6.新しい区役所整備基本構想について。
先日の我が会派の大内議員の一般質問と一部重複する部分もあろうかと思いますが、改めまして質問させていただきます。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」。これは平家物語の冒頭の一文ですが、祇園精舎の鐘の音には、全てのものは常に変化し、同じところにとどまることはないという響きがあり、沙羅双樹の花の色は、血気盛んな者も必ず衰えるという道理をあらわしています。また、都市計画学の観点から言うと、まちができるといずれ老朽化し、何も施策を打たなければスラム化するという都市計画上での常識があります。香港にありました九龍城砦は、スラム化して違法行為が横行する非常に危険なまちとなりまして、英国から中国に返還される1992年には、その九龍城砦は取り潰すということになりました。
18世紀前半、江戸の人口は100万人を超えて世界一の人口になったと言われておりますが、それは49回あった大火事がスラムを焼き尽くし、復興によりまちの新陳代謝が繰り返されたことが要因と言われております。先日、我が会派の佐野議員が一般質問した空き家、また学校のトイレも老朽化すると、コミュニティが荒れるというのは人間社会学として理解されている事実です。
本題に入りますが、今の区役所は建てられて既に47年が経過し、施設の老朽化、床面積の不足、災害対策など問題が山積しており、新しい区役所の建設は諸行無常の一つといえ、一定期間での施設の更新というのは必要なものであると考えられます。といいましても、新しい区役所の建設には多額の費用が必要となりますので、費用を抑え込むためにも、特に入念にさまざまな検討をしていただきたいと思います。
まずはPFIですが、PFIによる庁舎整備は九段第3合同庁舎と千代田区役所本庁舎の合同庁舎、また気象庁虎ノ門庁舎と港区立教育センターの合同庁舎、東京国税局などがあり、事例がふえております。新しい区役所整備基本構想では、直営方式が好ましいとの御判断が入っておりましたが、過去の事例をしっかりと研究していただきたいと考えます。資金調達は民間事業が実施し、維持管理は10年から15年となり、ある程度のコスト削減が望めます。また、豊島区役所では、全国初の民間高層マンションとの一体型再開発事業となる新庁舎を今年の5月7日にオープンし、区の負担をゼロにしました。保健所機能は新区役所に入る予定と伺っておりますが、税務署、法務局などさまざまな行政機関を集約することにより、区民からの利便性を高めるとともに、賃貸料を得るなどの試みの検討もできるかと思います。中野区の財政、地域性などは総合的に検討すべき事項がありますが、さまざまな手法の良し悪しをしっかりと分析し、区民が納得・理解できる最高の新しい区役所整備基本構想が策定されることが大切です。今後の整備の基本構想策定に関する方針に関して答弁を求めて、この項及び全ての質問を終わります。
御清聴というより、御声援ありがとうございました。
8ページ目:「中野区長田中大輔氏答弁を掲載」