平成29年中野区議会(第2回定例会)本会議一般質問


(2)官民データ活用推進について

昨年12月に、官民データ活用推進基本法が制定されました。この法律は、インターネット、そのほかの高度情報通信ネットワークを通じて流通する、官民が保有する多様かつ大量の情報を活用することにより、急速な少子高齢化の進展への対応等の我が国が直面する課題の解決に資する環境をより一層整備し、それをもって国民が安全で安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現に寄与することを目的としております。
 また、先週5月30日に膨大な個人情報を集めたビッグデータの利活用のルールを定めた改正個人情報保護法が全面施行されました。改正法は、個人情報を定義して、個人が特定されないように加工することで本人の同意なしにデータを利活用することを認めたものです。前段で述べましたが、地域包括ケアシステムなどでは少子高齢化対応にその枠に入っていくために、そういった観点、イメージを持って、この項の御質問をさせていただきます。
 まずそこで、現状の中野区のデータの管理状況についてお伺いします。
 中野区の平成29年度当初予算(案)の概要によりますと、財調から区民のサービスの基盤となるシステムの再構築等に係る経費の一部として11億円が一般財源に繰り入れられております。その主な経費としては、次期住民情報システム構築、内部事務管理システム更新、高齢・障害福祉業務管理システム再構築などが挙げられております。こうしたシステムの更新や再構築に約11億円もの膨大な経費がかかっているわけですが、業務のスリム化、人件費削減などといった効果が見込めるような話は聞こえてきません。システム開発・再構築により業務の量、業務の質などにどのような変化が出てくるのか、お伺いいたします。
 地域包括ケアシステム推進プランの8本の柱の柱7の相談、コーディネート機能及びケアマネジメントの質の向上において、「すこやか福祉センター等の区の相談窓口では、要支援者情報台帳システム、福祉システム、健診システム、子育て支援システム等用途別のシステムを使用しており、出生から死亡までの健康・福祉に関する必要な情報を一体的に活用している状況にありません」としております。
 また、新しい区役所整備基本構想では、「24時間365日どこでも区役所」の実現に向け、新しい区役所の整備に合わせて新しいサービスが計画され、アウトリーチによる対面サービスや個別支援の充実が挙げられております。寝たきりの高齢者や重度障害により外出困難な方など、新しい区役所にお越しいただくことが困難な方には、すこやか福祉センターや地域包括支援センター等と連携を図りながら、職員が御自宅まで伺い必要なサービスを提供しています。持参したタブレット端末を利用することで将来的には総合窓口と同等のサービスを提供しますとあります。タブレットには、セキュリティの担保をしながら、分野横断的なデータがなければ別々の所管の担当者が出たり入ったりと訪問することになるわけですから、所管同士でのデータ連携が図られるものと思っております。
 今後、新区役所整備に向け全庁的なデータ連携を図り、ワンストップで用事が済ませられるような仕組みを構築し、区民サービスの向上につなげていくとされておりますが、その辺の細かいところの御見解をお伺いいたします。
 システム開発・再構築によりデータベースの利用が容易になっていくのであれば、データ活用推進において分析が容易になっていると思います。改正個人情報保護法により、データ分析が可能となっています。また、マイナンバーには医療・介護等の情報を載せる可能性があるということです。今後、さまざまな分析を対象に、財政効果が出るかどうか、そういったことの研究をしていただき、ほかの自治体に先駆けて区が所有できるデータを分析して政策判断に御利用していただきたいと考えます。
 これまでは区役所内のシステム・データについて述べましたが、次に民間が保有するデータの活用という点で述べさせていただきます。
 区のデータでは、これからのまちづくりや観光客の誘致などに有効なものがないと思われます。そこで一例として、ICTCOがサンモール商店街においてビーコンを利用した人流センサー実験を行っていますが、それの技術を区内各駅に設置し、乗降客の動きのデータを時系列で把握して、駅周辺のまちづくりや商業、観光などについての施策の立案や成果の把握に活用することが考えられます。ある施策、イベントによって人の流れに変化があり、それを分析できれば事業の効果を検証できるのではないでしょうか。先ほど述べた若者を商店街に集めるための施策がもし何かあれば、その効果を簡単に調べることだってできると思われます。
 また、ICTCOでは、GPSなどを用いた外国人の動線を分析するプロジェクトもあるそうです。担当者は、事業の効果の見える化がなされれば、業務に対してやりがいが出てきます。
 そこで、区としては、このように民間データを利活用したまちづくりや観光施策を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 これまで述べてきたように、官民データ活用推進基本法策定の背景には、超少子高齢社会における諸課題の解決に向けて、新ビジネスとイノベーションの創出や行政・医療・介護・観光・教育等の改革などに官民が保有するデータを活用する必要性が増大しているという現状があります。また、安全にもかかわらず、安心ではないといった感情論があります。車による交通事故・排気ガス、携帯の電波などリスクはゼロではありません。しかし、便利さ・価格・環境リスクなどのメリット・デメリットのバランスが図られ、ゼロリスクにする施策、つまり車と携帯電話の廃止ということにはなっておりません。自分の生活に密接な事象に対してはメリットとデメリットのバランスが考えやすいですが、イメージがつきづらい現象・事象に関しては科学技術の精査の結果としてデータが政策判断に必要になるわけであります。ゼロリスクには不要に費用がかかるだけです。感情論に捉われず、政策決定を行う際にはできるだけ科学技術を活用してデータを根拠として示し、区政を前進させていただきたいとお願いして、この項の質問を終えます。

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