平成29年中野区議会(第2回定例会)本会議一般質問


(4)契約・発注について

中野区では、これまで時勢の変化を捉え、さまざまな入札・契約制度の改善に取り組まれてきました。我が会派から幾つかの制度改正について提案させていただきまして、本年度から取り組まれた制度もありますが、時代によって変化するニーズに対応していかなければならず、完成することはまずないでしょう。
 今年度からの取り組みとして、工事請負契約における最低制限価格等の上限額引き上げ、業務委託契約における総合評価方式の導入、区内業者優先枠の拡大などがありました。これらの取り組みの理念は、公共調達の品質確保、それに貢献する区内業者の育成であります。
 発注というものは、安さと質、両方の観点から見ていかなければなりません。東京都が今月末から始める最低制限価格等の見直しは、中小企業事業者に不利益となる、市場の健全な競争を阻害するほど不当に安い価格となるダンピングを推奨するようなルールであり、品確法の趣旨から外れてしまう可能性すらあります。中野区としては、公共調達の品質向上に向けた区内事業の技術力を高める仕組み、発注者と受注者双方がスパイラルアップしながら持続的に成長する仕組みが必要であります。区内事業者が区内だけではなく区外でも活躍できる、区外からも選ばれるほどの実力、信用力が確かなものとなっていくことが、この先20年、30年先を見据えた区内事業者の競争力強化につながっていくのではないかと考えます。
 また、区の抱える現状として、行政サービスの多様化、2,000人体制の大きな理由から発注に依存せざるを得ない状況が続いております。部署や職員によっては、ある意味業務の仕様書作成、公募、入札、契約締結、工程管理、完了検査までの一連の作業に追われるのみで1年間が終わってしまうということもあるでしょう。公務員にとって発注は重要な業務ではありますが、多くの業務に囲まれ、業務発注の形式・書式的な作業に追われ、じっくりと業務と向き合う時間がないのではないかと危惧します。このような状況になりがちな理由として、一つはその業務の細分化により予算・人事的に融通がきかない、二つ目は期間的な制約があろうかと思います。
 一つ目に関しては、庁内で地域包括ケアシステムのような共通、関連する事業や業務を取りまとめ調整することで、発注ロットを大きくすることでコストメリット、仕事のスリム化につながるのではないかと考えます。一律のルールではなく、個別の案件に対して対応できる手法を研究していただければと思います。
 二つ目の期間的な制約に関しては、年間を通じた切れ目のない公共事業の発注で、地域の公共工事の担い手となる事業者の経営の効率化及び安定化、その結果として公共事業の品質確保を図る上で極めて重要ではあります。発注が少なくなりやすい4月・5月は工事事業者が暇になっているということが多いのが現状です。発注・施工時期等の平準化に当たっては、発注時期及び工期末が一時期に集中しないように年間を通じて分散化を図る必要があります。国やほかの自治体では債務負担行為の積極的な活用を行っております。中野区としてもさらに活用をしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、公共工事品質の指標である工事成績は、一般競争入札の総合評価の得点に反映されたり、低い場合は指名停止ともなるなど、受注者にとっては将来の安定した受注獲得に向けて工事品質を高めようとするインセンティブとなる重要なものであります。さらなるインセンティブとなるよう工事成績の活用方法の拡大について検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 発注することは、業務達成のためのあくまで手段でありまして目的ではありません。与えられた現場・予算・環境で頭をフルに使って夢がある仕様書を作成し、すばらしい業務にしていただき、発注者、受注者がともに成長するものにしていっていただきたいと思います。
 以上でこの項及び全ての質問を終えます。御清聴ありがとうございました。

6ページ目:「中野区長田中大輔氏答弁を掲載」