平成29年中野区議会(第2回定例会)本会議一般質問


≪一般質問議事録全文≫

2ページ目より公開している一般質問議事録は「なかの区議会WEBサイト」で公開している議事会議録より、加藤たくまの発言部分のみを引用し掲載しています。詳細はリンク先の議事録をご確認下さい。

なかの区議会会議録一覧より「平成29年06月05日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録」へのリンク

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平成29年第2回定例会一般質問(加藤)

1.次世代を見据えた中野区政のあり方について
(1)地域包括ケアシステムについて
(2)官民データ活用推進について
(3)組織について
(4)契約・発注について
2.その他

〔加藤たくま議員登壇〕
○1番(加藤たくま) 平成29年第2回定例会におきまして、自由民主党の立場から一般質問をさせていただきます。質問項目は通告どおりで、その他はございません。
 1、次世代を見据えた中野区政のあり方について。
 このタイトル、大風呂敷を広げたようなタイトルではございますが、地域包括ケアシステムが始まり、二十、三十年後を見据え、中・長期的に中野区政が進むべき方向を考えなくてはならないと強く思いまして、この質問をさせていただきます。
 それでは、(1)地域包括ケアシステムについて。始まったばかりの地域包括ケアシステム、この目標、中野区としての方向性、事業としての持続可能性など、基本的なところに関して伺います。
 団塊の世代約800万人が75歳以上となる2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域の包括的な支援サービス、提供サービス、地域包括ケアシステムの構築を推進しています。そして、地域包括ケアシステムは、みずからのことを助ける自助、家族・友人・ボランティアなどに支えられる互助・保険制度などによって支えられる共助、税金など行政が助ける公助、「自助・互助・共助・公助」によって成り立つとしております。中野区の地域特性を踏まえて持続可能な社会システムを構築していかなければならない、この地域包括ケアシステムのあり方を語ることは中野区の理想の未来像を語ることに等しいです。
 地域包括ケアシステムを考える上で幾つかのポイントがあろうかと思いますが、ここでは五つ御質問をさせていただきます。
 中野区地域包括ケアシステム推進プランの達成指標として、2025年の目指す姿を、長期療養が必要になったときに自宅で過ごしたい人の割合を、現在、平成28年実績で34.4%から60%の目標値にすることになっております。目標値達成のためには、在宅でも医療・介護・生活支援の療養環境を整える必要があると同時に、高齢者自身が在宅療法を選択する意識改革が必要となりますが、区としてどのような方策があるのか、伺います。
 二つ目は、もう一つの目標値について。もう一つの目標値は、65歳の健康寿命、要介護2以上の認定を受けるまでの平均自立期間が示されております。平成25年実績値、男性17.13年、女性20.62年、それを平成37年度には目標値が男性は18.5年、女性が22.0年としておりまして、1.4年ぐらいの増加を見込んでおります。平均寿命と健康寿命の差、つまり不健康である期間、不健康期間が短くなればこの差がゼロということに、最終的にゼロということになればいわゆるぴんぴんころりという状況であり、行政としても医療費がかからず理想の状態となります。不健康期間を短くするには健康寿命の延伸が必要です。
 「東京23区健康格差」という書籍によりますと、全国の平均寿命と健康寿命ともに右肩上がりであるものの、その差である不健康期間が2001年から3年ごとに数字が示されていたのですが、男性は大体9年ぐらい、そして女性が12年程度ということで横ばいの数字でありました。健康寿命を延ばすことは最近言われ始めた言葉ではありますが、その健康寿命を増加させた先に不健康の期間を縮めることには必ずしもならないということで、未知数であります。高齢者の健康寿命向上に関する施策が不健康期間の縮減につながらず、医療費の削減に対して何もインパクトがなければ、区としては財政的に何の効果も生まないどころか、マイナス面が多くなってくる可能性すらあります。公平性の担保、効果的な施策立案などの面から、予算は子育てに回した方がいいという判断も生まれることもあり得るかもしれません。不健康期間を短くするためには平均寿命を無理やり延ばすことにも苦言を呈する必要もあります。
 終末医療、ターミナルケア、重たい病気の末期で不治と判断されたときに、治療よりも、患者の心身の苦痛を和らげ、穏やかに日々を過ごせるように配慮するということもあり得ます。在宅で亡くなられた方は、自宅にいる安心感から、亡くなられた親族が夢に出てくるお迎え現象というものが発生しやすくなり、穏やかな精神状態でみとられるというケースがふえるそうです。区としても、そういった点で、そういった終末医療に関して理解促進、サポートが必要になろうかと思います。さまざまな要因で医療費と平均寿命・平均余命・健康寿命などとの関係は簡単には説明がつきませんが、これらを目標とされている上で施策をどのように考えていくのか、お伺いいたします。
 三つ目に、地域包括ケアの地域特性に関してです。
 地域包括ケアは各自治体の特性に合わせる、つまり中野区の実情をしっかりと理解した上で制度設計をしなければならず、マニュアルがないため非常に困難ではありますが、ある程度自由度が高いものでありますので、ここはそういった環境をピンチと思わずにチャンスとしていくべきであります。例えば、東京のような都市部ではないような地域におきまして、地域包括ケアのその地域特性と考えた場合には自動車があることが前提となりまして、その自動車、誰がその費用を負担するのか、そういった議論もあるかもしれません。そういった意味で地域特性というものは非常に重要であるということになります。
 そこで、地域特性を踏まえて地域包括ケアシステムの制度設計に当たりまして、中野区は他の自治体と比べてどのような地域特性があるのか。そして、その地域特性を踏まえてどのようなことを気をつけていくべきと考えているのか、お教えください。
 四つ目として、地域包括ケアの持続可能性についてです。
 持続可能にしていくためには、共助・公助、保険制度・税金にできるだけ頼らない、財政的にそういうところに頼らないことが必要になってくると考えられますが、そのためには自助と互助を拡充していかなければなりません。推進プランの中で、自助に関しては、本人の意思や権利が尊重されるように擁護し、精神的に負担を少なくすることが重要ですと示されていますが、結局、互助・公助あたりの助けが必要になってくるということも考えられます。そうしますと、自助・互助・共助・公助の中で一番重要なのは互助、つまりはボランティア、友人、家族の力が最重要になってくると考えられます。
 地域包括ケアは、大ざっぱに言えば高齢者を下の世代が支えていくということになってきます。私は、今37歳で高齢者を支えていかなければならない立場ですが、40年後には77歳で支えられている立場になっているかもしれません。世代の新陳代謝を繰り返すようなイメージがなければ、持続可能な地域包括ケアシステムにはなっていきません。ほかの自治体である、地域活動をするともらえる地域ポイント、地域通貨などをためると自分がもし支えられる側に立った場合にそれが還元されるような仕組みもあってもいいかもしれません。
 とにかく若者が地域に巻き込まれ、そして定着していくことが重要となってきます。例えばですが、朝、出勤で中野から出発して、都心3区中心で働いて、夜に帰ってくる。そして、夕飯は職場の同僚とその都心3区などで行ってくる。そうすると、中野の人と誰ともしゃべることなく1日が終わってしまいます。地域との接点がない若者が多いわけです。
 私は、この区議会議員になる前はもともと中央に住んでおりまして弥生町に移り住みましたが、そのとき弥生町のことを全く知りませんでした。弥生町の地元のことがわからなかったのですが、地域の飲み屋さんなどで仲よくなった人たちに地域のイベントや祭りに誘ってもらいまして、地域活動に徐々に参加していきました。皆、昼は中野にいません。そういった地域活動の入り口というものは、そういった夜の集まる場所にあるのかなというふうに考えております。夜に地元の商店街で食事、飲み、語らいを共にする仲間が集えるような仕組みをつくれば、自然に仲間がふえ、町会などの地域活動に参加してくる、そんな形が今、私の回りで胎動しているように感じております。
 人口データから若者が中野区にたくさんいることはわかっております。職場の同僚と上司の悪口を吐くぐらいなら、地元で楽しいイベントの話ができる中野の夜になっていけば、商店街も町会もにぎわいが生まれ、持続可能な未来が見えるのではないでしょうか。どんな方法であれ、若者がまちを守る、そういったイメージが区になければ地域包括ケアシステムは維持できません。今後、持続可能なシステムを構築していくために、若い世代、次世代リーダーとなる方々が地域活動に参加する必要があると考えますが、区は、その仕組み、人的資源の確保をどのようにお考えなのか、お伺いします。
 最後、五つ目に、区役所内の体制についてです。
 昨年、区民委員会の視察で、足立区のいわゆるごみ屋敷対策の状況について視察に行きました。生活環境の保全に関する条例により、調査段階で生活環境適正化対策会議を設置し、地域のちから推進部、福祉部、衛生部、環境部、都市建設部、区民部、社会福祉協議会との横断的な連携を図ることとなっております。また、指導・勧告に従わない場合は、弁護士、医師、学識経験者、町会・自治会連合会役員、民生・児童委員役員、まちづくり推進委員、社会福祉協議会、役所の部長級6人によって構成される生活環境保全審議会でそういった事案に対して話し合われます。ごみ屋敷になっている状況に対してごみを処分する対処療法はもちろんのことでありますが、原因となっているごみ屋敷住居者の精神疾患を特定し改善していくという根本治療がなされる、一人のためにできるだけ寄り添う理想の区民サービスがそこにあると感じました。地域包括ケアシステムは一人ひとりに寄り添う体制であってほしいと考えますが、どのような形になっていくのかお伺いして、この項の質問は終了いたします。

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