平成29年中野区議会(第1回定例会)予算特別委員会総括質疑


1.財政調整基金について

○加藤委員 おはようございます。最終日、頑張ってまいりたいと思います。昨日ちょっと横文字が誰かみたいに多いということで、できるだけその辺を減らしていきたいと思います。昨日、項目の3番を行いましたので、残りの1と2について総括質疑をさせていただきたいと思います。
それでは、1の財政調整基金について。
本定例会の篠議員の一般質問に対する答弁において、財政的に緊急な理由で50億円程度の出費があったということで、少なからずそういうことが3年間続くこともあり得ることを考えると、100から150億円の蓄えが必要なのではないかということがありました。また、「中野区公共施設総合管理計画(建物編)の考え方について」等に記載されておりますが、「施設の更新・保全を進めるためには、長期的な視点に基づく必要があることから、区の現状を踏まえ施設のライフサイクル期間を60年とし、この期間に必要となる更新経費の見込み額を踏まえた上で対応を図ることとする」とあります。これらの発言から、財政調整基金をどのように今後蓄えていくべきか具体的な数字が見えてくるのではないかということで、昨日みたいに語り合いじゃなくて、ラリー方式で質問させていただきたいと思います。
まず、基本的なところではありますが、財政調整基金を蓄える目的をお伺いいたします。
○黒田政策室副参事(予算担当) 区の財政調整基金を積み立てる目的ということでございますが、まず財政調整基金は、基本的に大きな目標としまして、区の健全な財政運営のために積み立てていくものでございます。中身としましては、今、委員御指摘のとおり、急激な景気の悪化により一般財源に減額が生じたときやシステム開発等、今年度のように臨時的な経費に対応が必要な場合に、年度間調整、また区有施設の改築や大規模改修等の多額の経費が必要になることに対応するための施設改修経費、また一時的に多額の経費が生じる退職手当の対応などに対応するために積み立てるものでございます。
○加藤委員 当初予算案の概要の19ページにありますように、三つの目的、年度間調整分とか施設改修分、退職手当分があるということですが、この1の年度間調整分というのは、各年度の財源不足というところで、先ほどの緊急事態のために100から150億円程度必要だというところの枠に当てはまる金額というか、その目的ということでよろしいんでしょうか。
○黒田政策室副参事(予算担当) 委員の御指摘のとおりでございます。
○加藤委員 その150億円というのは感覚的にはわかるんですが、その具体的な根拠、なぜ150億円ぐらい必要かというのは、何かそういったものをちゃんとお示しできますでしょうか。
○黒田政策室副参事(予算担当) 区は過去に急激な景気の悪化によりまして、予算編成の歳入を見込む際に、単年度で50億円程度の一般財源が減少したことがございます。現にリーマンショックの影響が出た際には、平成21年度から22年度につきましては、予算編成時、一般財源が54億円ほど減少しまして、その後の5年間は、平成21年の670億円の一般財源に対しまして、22年から25年で162億円の不足が生じたところでございます。こういった状態を乗り越える際に、この年度間調整が必要となってきますので、景気の動向が立ち直る時期を考慮しても2年から3年度分、およそ150億円程度の積み立てが必要であるというふうに考えております。
○加藤委員 その1の年度間調整分というところが、150億円ぐらいは最低限常にキープしていきたいということはわかりました。それでは2を飛ばして、3の退職手当分というのがありますけれども、これは例えば、新入職員が入って退職するまで積み立てるとか、そういうシステムではないと思うんですが、財政調整基金でこれを貯蓄していく必要性というのがあるのか、そういったところはなぜこういった枠があるのかというのをお教えいただけますか。
○黒田政策室副参事(予算担当) 退職手当分ということでございますけれども、退職手当については、基本的にその年度をもってその年度の予算で支払うということにしております。ただし、退職者数の増減によりまして、毎年度ごとの支払いが大きく異なることもございますので、財政調整基金を利用して負担の平準化を図っているところでございます。具体的に申しますと、22億円を基準としまして、支払い額が基準額に満たないとき、21億円といったような場合には財政調整基金への積み立てを行いまして、支払い額が基準額を超えた場合には、財政調整基金からの繰り入れを行っております。財政調整基金に意識をして積み立てを行っているというようなことではございません。平成29年度につきましては、退職手当について22億3,600万円余りを計上させていただいております。基準額からは3,600万円を超えますので、この3,600万円余につきまして来年度は財政調整基金からの繰り入れを行ったところでございます。
○加藤委員 その退職金というのは大体毎年22億円を超えたときには財政調整基金を使うということでよろしいですか。
○黒田政策室副参事(予算担当) そのとおりでございます。
○加藤委員 そうしましたら、先ほどの当初予算案の概要の19ページに書いてあります平成29年度の残高が、年間調整分が159億円、そして退職手当分が8億円というのが常に、大体このぐらいキープしていかないといけないということでよろしいんですか。
○黒田政策室副参事(予算担当) そうですね。年度間調整につきましては、おおむね150億円程度、退職手当についても8億円程度を積み立てることによって、その増減に対して対応していこうということで、委員の御指摘のとおりでございます。
○加藤委員 そうしましたら、三つの目的のうち、1と3のところは理解できました。そうしましたら、2の施設改修分についてお伺いします。施設改修分については、区有施設改修経費の対応ということで、その積立ての考え方は、「中野区公共施設総合管理計画(建物編)の考え方について」における施設更新経費の考え方に示されているということでよろしいんでしょうか。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 中野区公共施設総合管理計画(建物編)の考え方をお示ししたわけでございますが、計画的に財源を確保しまして、適切に更新、保全を進めていくということで、これに必要となる更新経費を試算するとともに、歳出目標額を定めて一定の条件下におけるシミュレーションを行ったというところでございます。このシミュレーションにおきましては、起債活用による経費の平準化を図りまして、その上で歳出標準額から超過額に対して現時点での活用が見込まれる基金を充て、なおも超過する更新経費について財政負担の軽減を図るという考え方に基づいて歳出目標額を算出したというところでございます。
○加藤委員 今の資料によりますと、区有施設270施設についての更新経費が総額で3,236億円と示されておりますけれども、この270施設というのは全て、具体的にはどのようなものが含まれているのか。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 学校や区営住宅など区有施設は全て含まれているというふうに考えております。
○加藤委員 そういった施設が含まれるということは、この施設更新費を考える際には、財政調整基金の施設改修分と特定目的基金である義務教育施設整備基金と社会福祉施設整備基金、区営住宅整備基金の四つの運用が必要になってくるという理解でよろしいでしょうか。
○黒田政策室副参事(予算担当) 今、委員の御指摘のありました義務教育施設整備基金、社会福祉施設整備基金、区営住宅整備基金と財政調整基金の施設改修分ということでございます。
○加藤委員 今、今年度ベースで見ると、財政調整基金の施設改修分が74億円、義務教育施設整備基金が189億円、社会福祉施設整備基金が37億円で、区営住宅整備基金が11億円で、四つを合わせると311億円ということでよろしいですか。
○黒田政策室副参事(予算担当) はい、そのとおりでございます。
○加藤委員 財政調整基金への積立てが景気の動向によってどうなるかわからない状況で、これまで義務教育施設整備基金が毎年10億円積み立てを行っていますが、今後もこれを行っていくということでよろしいんですか。
○黒田政策室副参事(予算担当) 学校改築経費につきましては、今後全校を新たに改築する予定でございまして、基準となる一般財源規模を超過する場合においては、年度当初から10億円の基金の積み立てを行うことを目標としているところでございます。財政状況が許す限り積み立てを行っていきたいというふうに考えております。
○加藤委員 この「中野区公共施設総合管理計画(建物編)の考え方について」において、現時点で活用が見込まれる基金391億円というのがあるんですが、これはどのように試算されたんでしょうか。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 平成27年度末の時点での財政調整基金の施設改修分、そして義務教育施設整備基金、それから社会福祉施設整備基金、区営住宅整備基金の合計額約280億円、これに義務教育施設整備基金を今後10年間積み立てたとして算出した100億円及びその他の基金の10年分の積立額約10億円を想定して391億円としたところでございます。総合管理計画の施設更新経費のモデルにおきましては、将来の経済状況がわからないというところで、基金の積立額につきましては10か年計画で予定している10年分を算入したというところでございます。
○加藤委員 それでは、次に先ほどの「中野区公共施設総合管理計画(建物編)の考え方について」に載っている標準歳出額についてお伺いします。標準歳出額とは、その資料によりますと、「持続可能な施設の更新・保全を進めるために、施設更新における標準的な歳出額を定め、これを基準として、財源の確保と更新経費の縮減を図ることとする。区においては、都区財政調整制度の基準財政需要額として算定されている経費を踏まえ、標準歳出額は、年間47.8億円を基準額とする」となっておりますが、これは中野区が毎年この程度の施設更新・保全に使うべき金額という理解でよろしいでしょうか。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 総合管理計画を検討する上で、施設更新経費のモデルを試算するために10年間を平均した年間施設更新経費の目安といたしまして、都区財政調整制度の標準財政需要額としている経費である年間47.8億円を示したというものでございます。施設更新でございますが、規模によって年間の歳出の額が大きく異なるというところで、都区財政調整制度の算定基準を使いまして、標準的な経費を設定したというものでございます。
○加藤委員 この更新経費の計画において47.8億円を毎年施設の更新・保全に使っていくというふうになっていて、その計画においても、60年間全体においてずっとその金額が出ているという前提で計画が練られておりますが、例えば過去3年間ぐらいでどのぐらいの金額が使われているかお教えください。
○黒田政策室副参事(予算担当) 区の施設更新に係る経費ということでございます。大規模改修や改築をざっと計算した数字でございますが、平成27年度は48億円、平成26年度は29億円、平成25年度は52億円となっております。起債額の18億円を除きますと――この間は若干景気の動向がいいというような状況がありましたので、基金の繰り入れはこれに対しては行っておりません。起債のみを行っておりまして、起債額がこの中で18億円ということになります。この18億円を除きますと、平均で37億円を一般財源としてこの3年間充当しているということでございます。
○加藤委員 毎年47.8億円を60年間使っていくということで、景気がよかったから基金を使わなかったという状況下において37億円しか毎年使っていないということで、そうすると、この3年間ベースで語るのはちょっとあれですけれども、10億円ぐらい足りないベースでここ3年間来ているという、景気がいいにもかかわらずということになっていくと、計画を立てる上で根幹が崩れてしまうのではないかと考えるんですが、どうでしょうか。
○黒田政策室副参事(予算担当) 公共施設総合管理計画の考え方をお示ししましたのが平成27年度の後半でございます。過去3年といいますのは、こういった公共施設総合管理計画も検討中であり、学校の再編計画についても検討している状況でございました。そういった中では、想定の経費に比較して、施設にかける改修経費や改築経費が低目となったというようなはあるかと思います。学校再編計画が決定された中で、今後、再編後の学校については、全校改築を行うことや公共施設の総合管理計画の中でも48億円が必要だという考え方も示されたところでございますので、今後より一層施設経費については、基金の積立てを行いながらその財源を賄っていくというようなことを検討する、また計画を立てていきたいというふうに考えております。
○加藤委員 その計画を立てたときの数字と現状がまだ合っていないけれども、今後はそういうふうに目標値に近づけていくことで60年間の計画を達成していこうということで理解します。そうしましたら、その公共施設の更新の計画について乗っかっているのでは、直近の40年間で更新が非常に多いとお金が不足するんじゃないかということで、直近の40年間に関して、さらにどういうふうにやっていくかという目標額を設定していますが、今ずっと長々と1個1個聞いていった数字をもとに計算を改めてしてみますと、40年間で更新費用は2,646億円。毎年今48億円、例えばですよ。これから増やしていくと言いますけれども、48億円いっていなかった現状を踏まえて、それが仮に過去3年37億円で計算して、そうすると、40年間で毎年払う額が、施設更新に一般財源から払われると思うのが1,480億円。先ほど言った活用できる基金は421億円で、そうすると、足りない費用というのが745億円。これを起債で行うのか基金でためるのかはわかりませんが、40年間で割ると、毎年19億円足りないということになってきますけれども、これは間違いないでしょうか。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 仮に標準歳出額を年37億円、活用できる基金を421億円といたしますと、毎年19億円が不足する計算になるというところでございます。
○加藤委員 この計算をしたところで、かなり財政的に絶望的な数字が出たかなと思いました。財調にため込み過ぎだといった議論とかもありますけれども、全くもって足りないのではないかというふうに感じております。今定例会の一般質問において、いでい議員は民間活力の導入によるファシリティマネジメントについて質問しました。今後の区有施設のあり方については、もうお金は全然足りないですから、そういった民間活力の導入だったり、区有資産の有効活用を進めていくファシリティマネジメントをしっかりとやっていかないといけないなと考えます。PFIとかそういった民間活力を導入して、例えば、1割更新経費を削減できるとして改めて試算しますと、いろいろ計算しますと、40年で割るとそれでも12億円程度必要となりますけれども、こういった活力を使ってもそのぐらいまだ必要だということですけれども、そういったところをどうお思いでしょうか。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 御指摘のとおりでございますが、仮にPFI、PPP等の導入や民営化等の促進ということで、1割程度削減したと想定した場合でございますが、毎年12億円程度の不足が見込まれてございます。
○加藤委員 そうしますと、12億円程度の基金の積立てだったり、一般財源でそういった施設更新費を増額するなど、これからさらにやっていかないといけない。そして民間活力は間違いなく使っていかないといけないんじゃないかという、こういった区の今後そういったものを、予算面だったり、施設の運用面だったり、総合的にどう思われるか、この項の最後の質問とさせていただきます。
○海老沢政策室副参事(企画担当) 中野区公共施設総合管理計画(建物編)の考え方についてお示しをした試算結果によりますと、継続的な施設更新を進めるに当たりましては、財源確保を進めるためにPPPや民営化など民間活力を活用いたしまして、区有資産を有効に活用していくということも必要なことであり、また、基金を試算モデル以上に増やしていくということが、やはり安定的な施設更新につながるというふうに考えているところでございます。