平成29年中野区議会(第4回定例会)本会議一般質問


≪一般質問議事録全文≫

2ページ目より公開している一般質問議事録は「なかの区議会WEBサイト」で公開している議事会議録より、加藤たくまの発言部分のみを引用し掲載しています。詳細はリンク先の議事録をご確認下さい。

なかの区議会会議録一覧より「平成29年11月30日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録」へのリンク

※リンク先は新規ウィンドウ、タブにて開きます。

平成29年第4回定例会一般質問(加藤)
 1 地域特性を踏まえた民泊条例のあり方について
 2 中野二丁目地区のまちづくりについて
 3 放置自転車対策について
 4 地域情報の発信方法について
 5 その他

〔加藤たくま議員登壇〕
○1番(加藤たくま) 平成29年第4回定例会に際しまして、自民党の立場から一般質問をさせていただきます。

 時間がちょっと少ないので、前段のところは同僚議員が説明していますので、ある程度省略させていただきながら進めていきたいと思います。
 質問は通告どおりで、1番からいきます。

 地域特性を踏まえた民泊条例のあり方についてです。

 中野区が現在抱える民泊によるクレームは大きく分けて三つで、一つ目が時間・場所関係なしの騒音、二つ目に、無秩序なごみ捨て、三つ目に、外国人がふえる漠然とした不安といったところであります。中野区においても、これらのクレームを減らして、生活環境の保全を目的として、条例の策定に苦心されていると伺っております。

 そこで早速伺いますが、この民泊新法に伴い策定される条例において、新宿においてはホテル、世田谷においては閑静な住宅街を守るといったようなスタンス、ニュアンスがありますが、中野区においてはどのようなスタンスで基本的方針を立てられているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

 民泊における中野の地域特性について、私のほうでいろいろと調べさせていただきました。まず、結論を言わせていただきますと、中野の民泊利用者の考えとしましては、東京に長期滞在したい、もしくはベースキャンプになるということで、できるだけ安い物件、こういったものを中野に求めています。

 事業者に御協力いただきまして、中野の現在の民泊の宿泊情報について分析いたしました。分析期間は、2016年11月から2017年10月の1年間です。

 まず、この事業者のやっているサイトの情報なんですけれども、ここからですと、中野に宿泊した人は4.8万人――サンプルは5万くらいから成りますので、かなり高精度な情報となります。そして、ホストの1年間の総収入は6.8億円です。何曜日に泊まるかというような宿泊特性はなく、ほとんど同率であります。つまり、利用者は、日本の暦など全く気にしていないということです。次に、宿泊日数ですありますが、1泊だけする人が10%、2泊が14%、3泊が20%、そして、4泊以上が56%ということになります。一つの宿に泊まる宿泊数が全国平均で2.5泊となっていることから、中野の民泊は全国平均よりもかなり長い宿泊日数となって、実態が全国平均と違うということがうかがい知れます。また、目視によるサイトのチェックではありますが、やはり都心部よりも価格は中野の民泊のほうが安いです。

 浅草、渋谷などの観光名所があるところに泊まる人は2泊ぐらいして、京都、北海道などに移動するケースが多いそうです。中野に泊まるというのは、東京に長期滞在したい、もしくはベースキャンプとして大きな荷物だけ中野に置いて、都外の観光地に行くというケースもあるということです。そういうことができるのはいわゆる家主居住型のみでありますが、中野区内で居住型の民泊は33%を占めているということです。中野の民泊は、東京での長期滞在、ベースキャンプといったニーズがあるということを改めてお伝えします。

 そして、現状に民泊新法の180日ルールを適応しますと、365日ありました売り上げ、利用客数は180日になるわけですから、曜日の特性は特にないということなので、単純に365分の180日で、49%まで下がることになります。そして、中野区の条例素案を適応した2018年の暦でカウントいたしますと、1泊が2回できまして、3泊が41回、それで、4泊できるチャンスは年に10回のみです。単純計算ですが、先ほどの宿泊日数、それらから換算いたしますと、民泊新法施行前から条例素案どおりやりますと、13%程度まで利用客が減るということになります。無論、事業者も営業努力をすることでしょうが、中野の民泊に対して、長期滞在したいというニーズに応えられないインパクトははかり知れません。

 11月24日の都政新報によりますと、都市政策推進室では、民泊の適正な実施にはアクセルとブレーキが必要、地域イベントが多く行われる金、土、日、祝日を営業可能にすることで地域交流を深め、民泊のよい部分を引き出したいと語ったとしておりましたが、いささかブレーキが強過ぎるかと思います。素案の住宅専用地域かつ駅周辺ではない街区の生活環境を守るために行う条例は非常に効果があるものだと考えられますが、あまりの厳しいルールに、闇民泊をふやすことになりかねないと懸念いたしますが、区の御見解をお伺いいたします。

 そして、このアクセルに当たるところは、駅周辺ということではなくて、家主居住型にするのはいかがでしょうか。駅周辺のみの緩和ですと、新宿などにアクセスがいいために、宿泊というところで出てくるいろいろな不安要素は全て中野区で受け持つことになり、そして、インバウンドなど期待したいところに関しては他区で行われる可能性が高く、ハイリスクでローリターンなルールになる可能性があります。

 さきの一般質問、総括質疑で取り上げさせていただきましたが、家主居住型はホストとゲストでコミュニケーションをとるのが常でありまして、国際交流の拠点にもなり得ます。そもそも条例の制定の目的で、先ほど挙げましたクレームに対して、騒音、ごみ捨てに関しては、家主居住型では問題がありません。家主が民泊利用者に対して利用上の注意をダイレクトに説明できるために、クレームはないということです。また、基本的に事業者は自宅を利用しているわけですから、周りからクレームを受けないように細心の注意を払います。

 不在型におきましては、民泊新法では管理業者を入れないといけないというルールになっておりますが、新事業のために、業務がしっかりとなされるかというところには疑問が残ります。例えば、夜中の3時に騒音騒ぎがあったときに、10分ぐらいでその管理業者が現場に到着できるのか、実態が見えない事業のために、不安は残ります。不在型は関係者がふえるために、居住型と全く違う、そういった管理状況にあります。

 また、クレームの外国人に対しての漠然とした不安に関しては、先ほどのサイトで年間4.8万人、そのサイトの国内シェアを考えますと、中野ではどう考えても年間10万人、1日平均で300人程度かなというふうに私のほうでは推測します。現在、中野区においては、1万7,000人、5%が外国人登録というところで、むしろ数百人の民泊というよりも、賃貸などにおける外国人における事例に対して区民の方々が不安を感じている可能性も否めません。

 素案の中においても、近隣住民等への事前周知の項目において内容に違いを持たせ、一定の配慮が見られます。民泊新法における国会答弁では、例えば家主不在型の民泊の急激な増大に起因して生活環境が悪化するような特別な場合など合理的に認められる限度において、類型ごとに制限することまでを否定するものではないと考えておりますと、非常に難解な文章でありまして、この見解は、それぞれの区でなかなか難しい、区だけではなくて自治体でも難しいというところでありますけれども、北海道、京都市では、既に居住型と不在型で分けた条例策定に向けて骨子を固めているとホームページに記載すらあります。隣の杉並区においても、まだ正式ではないようですが、不在型と居住型について分ける方針が出ているそうです。そして、2時間ぐらい前ですが、ほかの区でも、また23区のある一つのところで、分けるルールをやる方針だということもあります。

 そのため、中野区においても、民泊のアクセル部分、いいところを引き出すというためにも、そして、国際交流の拠点にもなります家主居住型に対して寛容なルールを設定すべきと考えますが、区の御見解はいかがでしょうか。

 そして、中野区内で家主居住型を運営されている方々と懇談をいたしました。運営は交流を目的の一つとしていることと、あと、人の入れかわりが激しいと疲れるために、基本的には3泊、4泊以上の方々しか認めていないということです。先ほどのデータに出てくるのは、貸し手側のそういった現状があるということです。荷物を預かっている数日間に都外に行って、そして、日本から帰国する直前に中野に戻ってくる、そういったケースもあるということです。また、毎日運営するのも厳しいということで、政省令の180日というのは割と妥当なラインだという認識だそうです。

 また、消防法も民泊に対して法改正を行う可能性がありまして、誘導灯、消火器、自動火災報知機の設置義務を課す方向性であるということです。ここまでの設備基準を整えるのであれば、旅館業法の許可をとったほうがいいという話になりますが、普通の一軒家なので、旅館としてやろうとする場合には、今度は建築基準法にひっかかるということで、民泊というのはどんどんハードルが高まっていく方向になるということなので、条例でこれ以上厳しく家主居住型について絞ると、絶滅の危機があるのではないかと察します。

 また、民泊新法の届け出をしない違法民泊は、ルール的には旅館業法で取り締まることになりますので、改正される予定の消防法、旅館業法おいても、その動向に注視していただきたいと思います。

 家主居住型に関する寛容な対応は、著書「米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす」の作中にあります、外国人が中野、東京を楽しんでいる世界感を維持するためにも重要なことだと考えます。条例素案によれば、ただ、鉄道の駅の出口から一定の範囲は、住居専用地域であってもこの制限の対象から除くとありますが、駅周辺の事情はそれぞれ大きく事情が異なることから、地域活性化を理由とする例外規定としては合理性に欠けます。さらに、事業者、地域住民の双方にとってわかりづらく、不公平感を招きかねないと考えます。

 そこで、我が会派としては、駅周辺などのエリア規制を設けず、家主居住型と不在型の2種類に分類することで規制を図っていただきたいと考えております。基本としましては、家主居住型は政省令どおりの180日ルール、一方で、家主不在型に関しましては、通学時間を避けるように、金、土と祝日の前日のみの運営を可能とすべきと考えますが、区の御見解はいかがでしょうか。

 民泊による生活環境悪化を防ぐとともに、利活用によるグローバル推進がなされることを願いまして、この項の質問を終えます。

3ページ目:「2 中野二丁目地区のまちづくりについて」