平成28年中野区議会(第4回定例会)本会議一般質問


それでは、2.人権擁護施策について。

人権擁護の観点から、あらゆる多様性を受け入れる世論の機運が醸成されており、その方向性は間違いなく正しいです。

しかし、多様性に対する理解の浸透度合いと政策の進捗の足並みがそろわず、このままでは理解の促進と政策の進展のバランスがとれず、瓦解していくのではないかと危惧しております。

グローバル社会において最たる多様性の理解として進んでいる一つに「人種」があります。国際連盟の1945年と1948年の総会においてそれぞれ採択された「国連憲章」と「世界人権宣言」により、国連は漸次人権の拡大を図り、今では人種、女性、子ども、障害者、少数者、移住労働者、その他脆弱な立場にある人々のための特定の基準を網羅するまでになりました。

国際社会では、全ての人に必要最低限な権利を分け隔てなく与えることを理想としました。「I have a dream」のスピーチで知られるマーチン・ルーサー・キング・ジュニアが掲げた黒人解放運動は、アメリカで初めて黒人であるオバマ大統領を誕生させることとなり、人種差別を除外する運動は一定の成果を上げたと言えます。

しかし、ことし、イギリスのEU離脱、フィリピンのドゥテルテ大統領誕生、そしてアメリカのトランプ次期大統領の誕生という選挙結果を残しました。

どの選挙もナショナリズムを訴えたほうが勝利しました。

それぞれの選挙結果の考察としましては、中間層が自身の生活が向上されていないにもかかわらずマイノリティーの生活のみが向上していると感じ起こった投票行動だったと分析する人もおります。

民主主義、政府の方法などに耐えられない方もいるように、マジョリティーが我慢を強いられることも理解しないといけません。

そういった感情がネット上などでナショナリズムに形を変えたのであると考えます。これまでに進められた人権擁護の政策も、マジョリティーの我慢の限界によって急にはしごを外すようなことなど、議論が起こるのではないかと危惧しています。

しかし、そんなことは絶対にあってはなりません。

では、なぜこのようになってしまったのか。多様性を知識とすることになっても、理解までに至っていないためだと考えます。

人権擁護の前進は大いに賛成でありますが、あらゆる事案に対して理解が深まっていなければ、サイレントマジョリティーの意が反映されず、大きな反発を生む可能性があります。

時間スケールとしては、次世代に託すぐらいのものが必要なものもあるかもしれません。

当たり前ですが、まずは制度や施設をつくるのではなく、理解の促進が最も重要であるということを原点に立ち戻って考え直す必要があります。

国、人種、宗教、男女、貧富、障害、価値観などの差やその有無による苦労を理解し、改めてゼロから考え直すきっかけが与えられたと考えます。

例えば男女共同参画という言葉があり、女性の権利が向上することは今後重要です。

男女共同参画と男女平等は異なりますが、それを理解している人は少ないように感じます。

男女共同参画社会基本法によりますと、男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、ともに責任を担うべき社会としています。

しかし、多くの男性は、男性のほうが負担が大きく、不平等と感じる人もいるでしょう。

社会的役割は男女平等で、生物的役割は男女──ここには区別というものがあることをしっかり認識しなければ、理解が深まらないのではないでしょうか。人権擁護の理解に対するポイントの一例だと思います。

そこで、区として人権擁護についてどのような御見解をお持ちか、伺います。

ここからはLGBTを含む性的マイノリティーに関して伺います。

理解促進なしの政策推進は、結果的に最悪な事態を発生させかねないということは先ほど言いましたが、今後、ユニバーサルデザインなどで性的マイノリティーを考慮すべきという意見がありますが、例えば多目的トイレであれば、性的マイノリティー専用のトイレをつくるのか、どの観点で何種類つくるべきなのか、そんな議論があるかもしれませんが、性的マイノリティーの方々が求めてはいないようです。

トイレ利用がいわゆるカミングアウトになってしまうために設置を断念した自治体もあると伺っています。

カミングアウトしたくないという人がたくさんいるというわけです。

諸外国においては、ジェンダーレストイレなどの導入もあり、個室をふやすという方策などもあります。

ことし4月に自民党「性的指向・性自認に関する特命委員会」が出した基本方針では、「カムアウトする必要のない社会」をつくることを掲げております。

ユニバーサルデザインの中に健常者も利用していい風潮を盛り込むことで、多目的トイレは性的マイノリティーの方々も利用しやすくなっていくと、そういった考えもあるのではないでしょうか。

そこで、LGBTを含めたマイノリティーを考慮したユニバーサルデザインのあり方について、区の御見解をお伺いします。

次に、学校教育に関しまして質問させていただきます。

さまざまな人権教育を教える機会が学校教育にありますが、性的マイノリティーに関しては非常にセンシティブに取り扱うべき内容だと考えております。

といいますのは、この性的マイノリティーにおきまして、学術研究では、まだ先天性のあるものなのか後天性のものなのかということが100%明らかになっているわけではありません。

自分の性を自覚し切れていない幼少期の段階で性的マイノリティーの教育をすることで、性的マイノリティーになることを助長させる可能性もあるのではないかと考えております。

教育としては、性的マイノリティーに関して、どの時期、またタイミング、その内容について教えていくのか非常に難しいと思いますし、そのことに関しましては今後研究していっていただきたいと考えております。

それよりも、性的マイノリティーの方々が言っておられるのは、そういった性的なところに関して違和感がある子どもが逃げ込める場所が欲しいと訴えているということです。

トイレと同様、マイノリティーの方々のみだけではなく、誰もがカウンセラーと面会しやすい環境づくりが全てのマイノリティーの救いの場になると考えます。

そこで伺いますが、性的マイノリティーに関する教育環境をどのようにしていくべきか、区の見解をお教えください。

以上でこの項目の質問を終えます。

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