令和6年中野区議会(第2回定例会)一般質問


【質問通告】
1.中野区役所新庁舎について
2.中野区の公教育の充実について
3.ギャンブル依存症対策について
4.デジタル庁が進めるデジタルマーケットプレイス(DMP)活用について
5.区民の防災リテラシーの向上について
6.その他

【概要】
1.中野区役所新庁舎について
多大な予算をかけてフルスペックで始めた新庁舎運営、しばらくすると無駄が散見されるはずなので、新システムの財政効果、妥当な体制を検証すべき。

新庁舎において、MS365、フリーアドレスはフレキシブルな仕事のやり方を創造できるが、使いこなさなければ税金の無駄遣い。システムを使いこなし、常に業務の効率を改善しようというマインドを醸成すべき。
またMS365の機能を内政だけではなく、外部とのやり取りに活用し、業務効率を上げるべき。

国民保護法等に基づき中野区国民保護計画があり、弾道ミサイル等が飛来した際の対応として、「攻撃当初は爆心地周辺から直ちに離れ、近くの堅牢な建物・地下施設等に避難」とある。新庁舎に移転した今、有事の際、地下への避難訓練を実施すべきと考えるが。

新区役所一階にドコモ・バイクシェア、HELLO CYCLING、LUUPの三社に無償で駐輪場ポートを貸し出した。民間会社としては区役所にポートを設置で会社のブランド力向上でき、願ってもない話で、賃料を払ってでも借りたいはず。板橋区では入札で貸し出したと聞くが、何故、無償で貸し出したのか。


2.中野区の公教育の充実について
本年度4月1日付でこれまで中野区の教育行政にご尽力されてきた田代雅規さんが教育長になられ、中野区教育委員会は新たなステージを迎える。
教育長は区立小中学校が私立人気に押され、入学率が低下していることを危惧されている。

中野区立小中学校出身の私は、受験というフィルターを通さない区立校にある多様性は人格形成に大きな影響を受け、大人になって地域との関係性構築に大きな役割があったと感じている。

私が提案した中野区立中学校総合体育大会連合陸上競技大会の国立競技場での開催は中学生に大きな感動を与えた。
特に、校長会のご提案の9つの中学校対抗リレーは、国立のトラックで走るというプレミアムな経験となった。
すべての学校が力を合わせれば、私立ではできない経験をさせてあげられる。

中野区の部活動の地域移行においてもスケールメリットを図るべきで、本年度より始めるモデルケースのダンスにおいては、中野で活躍される様々なプロのダンス・踊りの団体・個人を特別講師として招聘、中野区体育協会の協力で弓道、居合道などの競技に触れる機会を提供できる。

小学生を対象とした少年野球・サッカーなどの地域スポーツチームには中学生になっても引き続き指導していただく形が望まれる。そして高校大学生でもプレーヤー、コーチとして関われば、中学生の部活引退を機にスポーツ自体を卒業する傾向は減り、生涯スポーツとしての定着も望める。
スポーツ・趣味を通じた縦の繋がりは地域力の向上に資する。
部活動の地域移行がスムーズに進むよう、コミュニティスクールの体制を構築すべきと考えるが。


3.ギャンブル依存症対策について
大谷翔平選手の元通訳、水原一平氏の違法賭博問題で「ギャンブル依存症」が注目。
ギャンブル依存症回復を目的とした都内で唯一の施設、東京グレース・ロードという団体が中野区にあり、メディアで取り上げられており、同団体からご要望があった。
ギャンブル等依存症の外来患者数は年々増加。ここ近年、若者の割合が急増し、施設利用者のメインが30~40代であったのが20~30代に移行しているとのこと。
その主要因はスマホで気軽に違法ギャンブルにアクセスできること。
公営ギャンブル・パチンコは年齢制限があるが、違法ギャンブルは年齢制限をかけておらず、中高生でもできる。
掛け金がなくとも、電話番号さえ申告すれば、借金できる。
本来であれば親の許可が必要だが内緒で、返済能力がない子どもがゲーム課金、洋服購入などのために後払いサービスがある。何故お金を借りられるかといえば、親が代わりに返済する担保、そして中には児童ポルノや闇バイトなどあらゆる手段で借金のツケを払わされる。
子ども達のみならず、大人も簡単にギャンブル依存症に陥る環境が蔓延る時代を生き抜ける教育・区民への理解・周知を促進する必要がある。

ギャンブル依存症が発覚するのは多額の借金ができて、本人が家族・友人に相談するとき。
このときに家族・友人が借金の肩代わりをすることが最もやってはいけない行為。
MLBでは借金の肩代わりがペナルティになるそうで、大谷選手が肩代わりしたかどうかが捜査・裁判で一つの焦点となった。
何故かといえば、ギャンブルをしたいという根本的な症状に何も処置をせずに、借金の肩代わりだけすれば、あらゆる噓をついてまで新たに借金をする。
また借金返済により信用が上がり、借りられる金額が増加、最終的には家族全員が借金漬けになるケースが大変多いとのこと。
唯一の解決方法は本人がしっかりと返す、破産するなどけじめをつける以外にないそうである。
依存症の方が一人暮らしをしていれば、借金返済のために実家に戻させて、余力で借金を返させようとしても、必ずと言っていいほど浮いたお金をギャンブルにつぎ込む。
家族だけで解決しようとしても正解がわからず、家族全員が不幸になる。
ギャンブル依存症が発覚した時点で周りの方は、支援にすぐにつなげる必要がある。
そこでギャンブル依存症の患者やその家族に対して、区は支援する必要がある。

4.デジタル庁が進めるデジタルマーケットプレイス (DMP)活用について
国は現在、自治体情報システムの標準化・共通化を進めており、これにより全国のデータが統一されることで全国自治体共通のソフトウェアを実装可能。
デジタル庁が構築するデジタルマーケットプレイス (DMP)という仕組みである。
DMPとはデジタル庁とあらかじめ基本契約を締結した事業者がデジタルサービスを登録するカタログサイトを設け、そのサイトより各行政機関が最適なサービスを選択し、個別契約を行う調達手法である。
イギリスでは2週間でソフトウェアを契約ができる体制を構築したということである。
完成すれば、ベンダーロックインをなくし、常に状況に合わせたソフトウェアの利用が可能となる。
これまで高い経費や長い期間などを必要したシステムの構築を不要とする手段であるが、区はこの仕組みをどう捉えている。現実問題としては職員のノウハウ不足でベンダーの言いりとなり、DMPからソフトウェアを調達することが叶わない可能性が多分にあろうかと思う。
DMPに限る必要はないが、各所管でソフトウェアの更新時に最適なソフトウェアを調達できるように区としてさらなるフォロー体制が必要だが、区の見解を伺う。

5.区民の防災リテラシーの向上について
現在、災害の研究では行動経済学が活用されている。
私も10年前に行動経済学のプロスペクト理論を使った避難行動を研究していた。
2002年にノーベル経済学賞を受賞した理論で例題を挙げる。

あなたが次の条件の時にどちらを選択するかお答えください。
選択肢A:無条件で100万円がもらえる
選択肢B:コイントスで勝つと200万円もらえて、負ければ0円
期待値はどちらも100万円だが、皆さんはどちらを選ぶか?…ほとんどの人は前者を選ぶ。
では、あなたは借金を200万円している前提条件が加わったら、どう考えるか。
この場合、選択肢Bの割合が増えることがわかっている。
人間は損得勘定において得する快楽よりも、負の状況を回避したい気持ちが優り、一発逆転を狙うためである。
経済行動学とは人間の感情を数式化、理論化する学問である。
ギャンブル依存症も数式で表現できる。
経済行動学で、災害時、パニックが原因で、通常ではありえない行動を選ぶことが説明できる。
例えば、映画館内で大地震が起こり、急いで館外に出るとき、遠くの空いている出口より、一発逆転の近くの混んでいる出口に向かい、さらに混乱、圧迫、ドミノ倒しなどを引き起こす可能性を上げる。

一昔前、不動産価値が下がるため、洪水ハザードマップを公表しないで欲しいとクレームがあった。
現在では説明は義務で、価値を下げないためにリバーサイド、ウォーターフロントなどと横文字を使い、その弱点を補う努力がなされている。
江戸川区は洪水時、最悪ケースで区全域が水没するための洪水ハザードマップには「ここにいてはダメです」と区外へ逃げることを促している。
人間は損することを嫌うことがわかっているため、真実をしっかりと伝えて、「その知識、考え方では損をしていますよ」と、ある意味脅してでも災害に対する行動変容を促す必要があると考えるが、区の見解を伺う。

能登半島地震を契機に区は防災倉庫に携帯トイレを備蓄される。
災害の備えとしては必要だが、区民に携帯トイレの個人所有を推奨することなしに進めることに疑問がある。
行政の災害に対する備えには限界があり、自助の力を高めなければ有事に対応しきれない。
中野区の避難所の最大収容人数はおよそ5万人で中野区民34万人に対して15%程度であり、あなたは避難所に入れないかもしれない、そのため在宅避難の準備をして下さいと、言い切る必要があると考える。
食べ物・生活日用品などの備蓄はもちろんのこと、携帯トイレがなければ生活は成り立たないことを脅してでも理解してもらう必要があると考える。
今一度、区民の防災リテラシーを向上させ、自助の力を強化するため基本的な知識を改めて区民に普及啓発する必要があると考えるが、区の見解を伺う。

先日、第20回地域の防火防災功労賞の優良賞に南台四丁目東町会の「世代を超えて未来へつなぐ~発災対応型「まちかど防災訓練」の取組~」が選考された。
この試みは、「訓練地震だ!」の掛け声を合図に自宅を飛び出し、街路消火器や防災資材倉庫に配備されているスタンドパイプを、実際に配置・配備されている場所から運び出し、震災発生時の一連の流れを意識した訓練である。
どこに消火器があるかを日頃から認識しなければ、消火器を現場に運ぶことはできない。
その内容はテレビでも取り上げられた。
自分の家が火事になった場合、自分がやらずに誰が真っ先に初期消火をするのか。
自助・公助の基礎的な能力向上として、消火器の場所の把握が必要だと考えます。
今年3月より中野区の公開型GIS「なかのデータマップ」では避難所、避難場所、消火器、スタンドパイプの場所など様々閲覧可能。
自分の家周辺に何があるかGISでチェックし、現地で自分の目で確認することを促す必要がある。