令和5年質問議事録


令和5年11月27日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 1 中野区実施計画について

 2 財政フレームについて

 3 中野区デジタル地域通貨事業について

 4 子どもの生活実態調査の結果を踏まえた子育て支援体制について

 5 その他

 

○議長(酒井たくや) 次に、加藤たくま議員。

〔加藤たくま議員登壇〕

○11番(加藤たくま) 自由民主党議員団の立場から一般質問させていただきます。

 1、中野区実施計画について。

 本件については、さきの定例会の決算特別委員会総括質疑で取り上げましたが、改めて違った切り口から質問させていただきます。

 令和3年に策定された中野区基本計画には112の成果指標が設定されており、令和5年7月の委員会において、その中間報告が行われました。成果指標のうち、計画策定時から低下した指標は40、全体の36%であり、区政の一部停滞・後退が明らかになりました。

 そこで、総括質疑において、成果指標がマイナスになった理由と今後の展開について質疑をしました。恐ろしいことに、そもそも中野区基本計画と照らし合わせて予算編成をしていないということが明らかになりました。最上位計画である中野区基本計画を無視した区政運営でした。今後は、自ら掲げた目標達成のため努力していただくほかありません。

 例えば、低下している成果指標に「地域包括支援センターを身近に感じる人の割合(50歳代以上)」があります。さきの定例会の厚生委員会で、現状として地域包括支援センターの人員体制の見直しが必要であり、人員配置に関する条例改正をする考えが示されました。予算の増額が唯一の答えなのか現時点では分かりませんが、成果指標の目標達成に向けた改善策を立てたということは、成果指標が有効に使われていると考えます。

 しかし、どうやっても達成が困難である指標が散見されました。例えば、成果指標「感染症の予防を心がけている人の割合」は、基本計画策定時の値がコロナ禍だからこそピークで、メディアからも感染症に関する警戒がなくなり、下がっていく指標です。成果指標の設定が、基本計画策定時に慌てて使えそうな指標を探すために、このような結果を招いていると考えます。

 本来であれば、じっくりと成果指標となる指標を作る必要がありますが、多くは手頃な中野区区民意識・実態調査から選ばれております。区民意識・実態調査は、継続性を重視するがあまり、時代に合っていない設問があります。また、調査する年によって回答者の世代分布が全く異なるにもかかわらず、調整されないまま、若者世代の割合次第で結果が大きく変わるなどの問題が判明しました。

 前例踏襲主義の役所文化において、中野区区民意識・実態調査で継続性を維持したい気持ちも理解できなくもありませんが、新たな時代に向け区政を前進させていくためには、新たな設問も加えるべきと考えます。しかし、急激にアンケート内容を変更することは困難であり、現行の区民意識・実態調査と並行して新たな調査を始めることも一案かと考えます。方法は要検討ですけれども、区民意識・実態調査の内容を改定すべきと考えますが、区の見解をお伺いします。

 区民意識・実態調査以外も成果指標として使っております。例えば、子育て施策の成果指標に、保護者満足度調査にある「「中野区保育の質ガイドライン」を知っている保護者のうち、ガイドラインが教育・保育に役立てられていると感じる保護者の割合」があります。保育の質ガイドラインを知らない人がその対象から外れる理由が分からなければ、知っている方も役立てられているかまで分からない、非常に難解な指標です。指標にするならば、同調査にあります「現在利用している施設等における教育・保育の内容について、満足していますか」を採用する方がシンプルです。保育の質ガイドラインはあくまで手段であり、施設に満足しているかという目的を指標にすべきです。

 中野区実施計画では、合理的ではない成果指標を変更すべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。

 今回の質問を受けて、中野区実施計画の抜本的な内容変更がなされることを期待いたしませんが、次期中野区基本計画においては、指摘事項の反映をお願いしまして、この項の質問を終えます。

 2、財政フレームについて。

 中野区基本計画の10年間の財政フレームでは、基本計画の前期2年間、後期3年間、次期基本計画の5年間、それぞれの合計値が示されるも、各年度の具体的な数値は分かりません。しかし、さきの定例会で報告された中野区実施計画(素案)においては、残り3年間の各年度のそれぞれの財政フレームが示されました。

 中野区実施計画の財政フレームには存在し、当初予算の概要で示される財政フレームにはない指標があります。新規・拡充等事業の内数にあります施設関連経費という項目です。私が再三、財政フレームに入れるべきだと申し上げている項目です。

 施設関連経費は大きな金額である上に、年度によって大きく変化するため、その内訳を明確に示すべきにもかかわらず、予算上、非常に見えづらい数値であります。今年度の予算は、新区役所整備費により大きく金額を伸ばし、前年度に比べて約377億円、23.9%の増の約1,956億円となりました。

 うち、投資的経費の増額は349億円でした。この投資的経費のうち、一般財源がどの程度なのか、とにかく分かりづらいです。中長期的にも必要な投資的経費の一般財源と特別財源の内訳も分からないまま財政を議論しても空虚であると、ずっと考えておりました。ところが、中野区実施計画では、単年度ごとの施設関連経費が示されたことから、これからは、今後10年間の財政フレームにおいても施設関連経費を示すことができると考えますが、区の見解をお伺いします。

 予算上、一般財源において施設関連経費が記載されなければ、計画的な施設計画ができるのかを判断し難いです。中野区は、以前、コロナ禍で歳入の大幅な減少を危惧し、鍋横区民活動センター、中野本郷小学校の設計を延期し、整備まで3年以上の遅れが生じております。このような事態のために、財政調整基金の年度間調整分を充てることもあり得たわけですが、判断できる数値は示されることもなく、行政側の判断で延期となりました。

 施設関連経費を財政フレームに記載するのであれば、中野区区有施設整備計画に試算されている施設更新経費の試算結果を財政フレームに当てはめれば、非常に明解となります。中野区区有施設整備計画の施設更新費の試算結果で、今後20年間平均97億円との結果です。この金額を基準に、施設関連経費の財源を一般財源、基金、起債のバランスを考えます。

 例えば、ある年の施設関連経費が50億円だとしたとき、97億円引く50億円の47億円は、基金として積み立てる。ある年は、例えば施設関連経費150億円かかるのであれば、150億円引く97億円の53億円は基金、起債から賄うといった、シンプルな財政運営が可能となると思います。新規・拡充等事業の経費の内訳はブラックボックスでしたが、施設関連経費を抽出するだけで、財政運営が理解しやすいものとなります。

 ところで、今、20年間平均97億円と言いましたが、到底この金額では収まらない物価高騰があります。令和3年度に策定された中野区基本計画の財政フレームで、次期基本計画5年間の施設関連経費が407億円でありましたが、先ほど紹介しました実施計画(素案)では641億円に増額しました。物価高騰で1.57倍の上昇となっております。単純計算で、20年間の平均97億円掛ける物価高騰1.57倍を掛けますと、20年間平均は152億円となります。

 そして、さらなる問題があります。施設更新経費の試算条件は、建物の更新は現在と同じ延べ床面積で更新すると仮定しています。今、小学校、区民活動センターなどで大規模改修をして、面積を維持、減少させている、もしくはその予定の施設があるでしょうか。そう考えると、倍率はさらに増えることは間違いありません。起債をする際に、世代間負担の公平化を図ると言い訳をしますけれども、オーバースペックの施設の建設は、次世代に大きな負担となります。区有施設整備計画において、総延べ床面積の考え方としては、総延べ床面積の縮減を図ると書いてありますが、区としてボリュームコントロールをしている様子は見受けられません。

 そこで、どの部署が、どのようにして、総延べ床面積の増加の抑制を行っていくのか、伺います。

 先日、総務委員会の地方都市行政視察で、名古屋市のアセットマネジメントを伺いました。2020年から2050年までの30年間に人口が6%減少、生産年齢人口の割合低下も踏まえた財政の観点から、一般施設を同30年間で、人口減少よりも多めの延べ床面積8%の減少の方向性を示しております。施設の維持管理は、あくまで財政状況で考えているわけであります。

 中野区においても、総延べ床面積の縮減を図るという文言にとどめるのではなく、具体的な数字を示し、そこへ向けた施設の再編計画を策定すべきと考えますが、区の見解を伺います。

 もしボリューム増を了とするのであれば、区有施設整備計画に将来資産は現在と同じ延べ床面積との仮定をやめて試算しなければ、財政フレームが組めません。

 また、施設利用の考えを改める必要があると思います。現在空室がかなりありますが、規制緩和により空室を埋め、それでも部屋が足りなければ、再整備に合わせて面積を広げる判断をすべきです。やるべきことをやっておりません。前定例会の白井議員の一般質問において、区民活動センターの集会室における飲食を可能とすべきとの御提案に、実施との答弁でありました。ほかに利用率を上げるためにも、例えば区民活動センターの集会室の利用について、1週間前くらいに空室があれば、特例措置の緩和などを行い、ビジネスの会議くらいならば使えるよう、利用の門戸を広げるなどの工夫が必要だと考えますが、区の見解をお伺いします。

 話を財政フレームに戻しますが、仮に全ての経費が、来年度、主な取組に入り、新規・拡充等事業の経費となれば、テクニカル的には財政フレームにおける事業の経常経費である一般事業費をゼロとすることが、さきの定例会で明らかになりました。となると、一般事業費と新規・拡充等事業の経費の線引きが曖昧であり、一般事業費を抑え込むために無理やり推進事業に変更すれば、見かけ上は一般事業費を抑え込むことができます。

 そういった財政フレームに意味があるのか疑問があり、真の意味での一般事業費の抑制ができるとは思えません。一般事業費と新規・拡充等事業の経費の考え方について伺います。

 新規・拡充等事業の考え方をしっかりと定義付け、計画に沿った確固とした施設関連経費を基礎とする投資的経費の資金スキームこそが財政フレームの根本となり、持続可能な財政運営の礎になると考えます。区の財政フレームに関する認識を伺い、この項の質問を終えます。

 3、中野区デジタル地域通貨事業について。

 中野区でデジタル地域通貨の検討を進めているということですが、大手決済事業者がある中で、新たに構築したアプリケーションが、どれだけ区民にメリットがあるものとして受け止められ、インストールしてもらうことができるのか、魅力ある事業を構築できるかが、中野区内の経済活性化に向けた鍵だと考えます。

 これまで物価高騰対策の一環として、一昨年、昨年、今年度は12月から実施予定ですけれども、3年間にわたりキャッシュレス決済ポイント還元事業を実施してきましたが、これまでの事業とデジタル地域通貨事業の違いはどのようなものになるか、伺います。

 大手決済事業者を利用するか、独自の決済手段を構築するかの差があるにせよ、経済対策として実施するのであれば、中野区内の店舗がメリットを享受できるスキームにする必要があろうかと思いますが、デジタル地域通貨を導入した場合、店舗側のメリットはどのようなものになるか、伺います。

 利用可能な店舗が多くなければ、利用者も増えません。利用可能店舗の開拓、拡大のために、どのような視点を持ってこの事業を進めていくのでしょうか。一方で、利用者がいなければ、導入店舗も広がっていきません。利用者を増やすための取組と併せて伺います。

 デジタル地域通貨事業の導入に当たり、区内経済の活性化のみを目的として導入するのではなく、アプリケーションを活用して全庁的な政策・施策を推進できるように、デジタル地域通貨の構築段階から、拡張性のある仕様になることを期待します。

 例といたしまして、健康施策、地域活動に関する活用について伺います。

 まず、健康施策。先日、我が自由民主党会派は、新潟県見附市のスマートウエルネスについて視察を行いました。見附市は、スマートウエルネスシティ首長研究会という、全国123自治体が加盟する団体のチャーターメンバーです。研究会設立時の共同宣言で、プロジェクトの目的として、ウエルネスをこれからのまちづくりの中核に捉え、健康に関心のある層だけが参加するこれまでの政策から脱却し、市民誰もが参加し、生活習慣病予防及び寝たきり予防を可能とするまちづくりを目指す。そのために、科学的根拠に基づき、市民の健康状態の改善が実証された健康まちづくり政策を、自治体間の連携によって、3年をめどに推進していこうというものであります。

 見附市では、スマートウエルネス施策として、「健幸ポイント事業」を実施しております。この事業は、市民の健康づくりを応援し、地域を活性化することを目的とした事業で、歩数や健康づくり事業への参加、健康診断の受診、ダイエットや筋肉増加といった健康に資する活動を行った市民に対し、ポイントを付与する事業です。

 特に歩くことを推奨しておりまして、国土交通省、まちづくりにおける健康増進効果を把握するための歩行量調査のガイドラインに示されております、一歩当たりの医療費抑制効果が0.065円から0.072円を参考に、今よりも1,500歩多く歩くことを目指すことで、1人当たり年間約3万5,000円の医療費相当が抑制できると推定し、毎日8,000歩以上歩いた人に、年間6,000ポイントを付与しております。結果的に医療費、介護費が抑制され、行政コストである国民健康保険、介護保険事業会計の繰出金の抑制につながったということです。

 中野区のデジタル地域通貨のプラットフォームにおいて、スマートフォンの歩数カウント機能と連動できれば、見附市のような健康ポイントを効率よく付与できると考えますが、区の見解をお伺いします。

 ところで、中野区もスマートウエルネスシティ首長研究会に2014年から加盟しているようですが、これまで一切報告がありません。現在の中野区のスマートウエルネスに関わる取組状況について伺います。

 続いて、地域活動について。今年の第2回定例会において、地域活動ポイントの導入について質問した際に、地域活動に対するポイントは、地域活動の活性化に向けた仕掛けとして有効であり、デジタル地域通貨の導入に合わせて組み込んでいくのが効率的かつ効果的であると御答弁いただきました。デジタル地域通貨事業の検討が進んでいく中、地域活動ポイントの取組や地域活動活性化モデルの現在の検討状況について伺います。

 プラットフォームを構築する段階から、利用者視点に立ち事業を組み立てるべきです。例えば、GPS機能が使える仕様であれば、利用者がいつ、どこを歩くのか情報を分析し、観光やウオーカブルなまちづくりの施策の展開にも生かせ、個人情報や家族情報と連動できれば、子育てに関する情報など、利用者個人に合わせた情報をプッシュ通知することが可能となり、区民と区をつなぐよいツールになると考えます。コミュニティポイントを様々な施策とひも付けて効果的な展開ができるよう、事業者提案させるべきと考えますが、それについて伺いまして、この項の質問を終えます。

 4、子どもの生活実態調査の結果を踏まえた子育て支援体制について。

 東京都立大学の子ども・若者貧困研究センターが、中野区内の高校2年生年齢の子どもに対して行った令和4年度子どもの生活実態調査の報告書がさきの定例会で示され、調査結果はエビデンスに基づく政策の一助になると考えます。

 この調査の前提には、生活困難度というものがあります。生活困難度は、子どもの生活における三大困難を三つの要素、1、低所得、2、家計の逼迫、3、子どもの体験や所有物の欠如から捉えており、その3要素のうち二つ以上該当する世帯を困窮層、一つのみ該当する世帯を周辺層、どれにも該当しない世帯を一般層と分類しております。

 低所得は、世帯所得が142万9,000円を下回るかどうか。二つ目は家計の逼迫で、経済的な理由により、光熱費、家賃などの滞納、必要品が買えなかった経験があったか。三つ目の子どもの体験や所有物の欠如は、子どもと過去1年において、海水浴、博物館などに行ったかどうか、また、お小遣いをあげたか、家族旅行に行ったかなどの経験、また、子どもの年齢に合った本、スポーツ用品、おもちゃ、子どもが自宅で宿題をすることができる場所を提供できたかどうか、全15項目のうち、経済的理由で三つ以上該当するかが問われます。

 発送数1,664通で、有効回答数は分析上512サンプルで、有効回答率は30.8%でした。調査結果で、興味深いものについて幾つか取り上げさせていただきます。子どもの様々な所有物の所有率は、生活困難度別で差はありましたけれども、スマートフォンには差がありません。スマートフォンを所有したい人はほとんど所有しているということから、高校生に対する政策を検討する場合、スマホの活用が有効と考えられます。

 また、生活の楽しさについて10点満点で尋ね、5以上と回答した率は83.3%で、生活困難度との相関性はなく、悩み事は生活困難度別に異なる可能性が示唆されます。例えばアルバイトの場合は、一般層16.3%に対して、33.8%の2倍程度である困窮層、周辺層は、生活のためにアルバイトをせざるを得ない可能性があり、就労の悩みがある可能性があり、一般層においては大学受験などの悩みがあるかもしれません。どの環境でも楽しさ、悩みがあることは参考になりますし、注意すべき結果であります。

 また、ヤングケアラーについて、毎日4時間以上、家事や育児、介護等に該当する活動を行っている子どもをヤングケアラーと定義した場合、家事は1.2%、弟や妹の世話は0.4%、父母・祖父母などの家族の介護・看病及び家族の通訳や手続の手伝いは0%で、最大値を取ると合計1.6%、65人に1人という結果です。厚生労働省の令和2年度の調査結果では、全日制の高校では24人に1人がヤングケアラーであり、本調査のほうが低い割合です。ちなみに、よく聞く17人に1人というのは、中学生のことです。国の調査は、全国の高校6万8,000人にアンケートを送付し、7,407人の回答、回答率は約11%です。双方のアンケートの回答率などを総合的に勘案すれば、都立大学の調査のほうが精度高く実態を捉えていると考えられます。

 となりますと、65人に1人と、24人に1人という差は、都市部特有のものだとすれば、今後、ヤングケアラー対策を中野区がそのまま実施することは、政策として見誤りがある可能性があります。そこで、国の調査の数字との違いをどう分析しているか、見解を伺います。

 子どもの経験・体験について、子どもに過去1年にさせた体験として、困窮層の48.1%が金銭的な理由でキャンプやバーベキューに行くことができないと回答しているほか、習い事、学習塾に通わせる、1年に1回くらいの家族旅行についても、家庭の状況より差が生じております。

 我が会派としましては、これまで、海の体験事業、中学校総合体育大会連合陸上競技大会の国立競技場での実施などを提案し、生活困窮度に関係ないプライスレスな体験・経験ができる事業の実現をしてきました。また、小学校6年生から中学校3年生を対象にしていた学習支援事業についても拡充を求め、今年度から小学校5年生まで、今後小学校4年生までの拡充が予定されております。

 このように、子どもの経験・体験の機会の拡充を進めてきましたが、区は、今回の調査結果を踏まえて、どのように子どもの経験・体験に関する施策を進めていくのか、見解をお伺いします。

 子どもの住居の重要な要素である自分の部屋と自分の家の中で勉強ができる場所を持ちたいが持っていないと回答したのは25%で、生活困難度別に困窮・周辺層が多いという結果です。私は大学受験のときに、毎日、お隣、杉並区の高円寺図書館に行っておりました。その図書館は、机と椅子だけの大部屋があり、150人ぐらいが座れ、利用者はほぼ受験、資格試験の勉強をされている方でした。区が机と椅子だけ用意するだけでも、子どもたちの居場所になります。区はこのような世帯に寄り添える政策をさらに進めるべきと考えますが、見解を伺います。

 子どもの進学について、進学予定はない、分からないと答えた子どもに、進学しない理由を聞くと、32%が経済的な問題を挙げています。親ではなく、子どもが答えたものです。3割の子どもが世帯の経済状況を見て、大学へ進学しないと方向性を答えるわけです。教育費は非常に重要な問題であります。

 少しケースは異なりますけれども、私も、学生時代に奨学金制度を活用しまして、大学、大学院を卒業しました。博士課程まで進学したために、奨学金をもらう期間は5年間に及び、借金総額は1,000万円まで到達し、今でも奨学金3万円を毎月返還しております。残り2年間あります。

 当時、博士課程まで進学した仲間たちとは「1,000万円プレーヤーだな」などと苦笑いし、不安を抱えながらも、明るい未来はあると信じて頑張っております。自分の人生に投資するといえば聞こえはいいですが、投資行為はある意味ギャンブルで、借金をしてまで投資をするわけです。私自身、返済が大変厳しい時期があり、1年間返還を延期した年もありました。住宅ローンを組む際にもハードルの一つとなります。

 教育費の問題は、行政がある程度担えないか期待するところであります。私は、令和4年決算特別委員会において、今から子どもが欲しいと思う家庭の金銭的な不安を取り除くセーフティネットとして、奨学金制度の創設を提案しました。

 その際にも取り上げましたが、社会保障・人口問題研究所の18歳から34歳までの未婚の方への調査で、一生結婚するつもりはないという人の割合は、2000年代に入って増加傾向が続き、男性が6年前から5.3ポイント伸ばし17.3%、女性は6.6ポイント伸ばし14.6%となり、34歳以下で一生結婚するつもりはないと決断する人が増えております。また、結婚願望があっても結婚に至らない場合もあるため、未婚率は相当高くなるでしょう。

 日本の人口維持には、子どもがいる世帯にさらに産んでいただくほかありません。しかし、教育費を考えると、3人目以降の子どもは厳しいと考える世帯は相当数いると考えます。経済的な不安を取り除き、もっと子どもを産んでもいいと思える環境の整備のため、区財政を踏まえると、現実的なラインとして、3人目以降を対象とした奨学金の制度設計でもよいと考えます。今回の調査結果を踏まえた区の見解を伺いまして、私の全ての質問を終えます。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 加藤議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、区民意識・実態調査の内容についてです。中野区区民意識・実態調査は、年1回、2,000人の区民を対象とし、区民意識と実態の変化を把握し、広く公表するとともに、今後の政策立案のエビデンスとして活用する目的で実施をしております。そのため、基本計画の成果指標など、現行施策の達成度を測る質問を行う一方、社会情勢や地域課題を見据えた質問を加えるなど、設問の新陳代謝に努めております。例えば、昨年度の調査では、デジタル端末の利用状況やひきこもりについて、今年度はヤングケアラーの意味や自転車用ヘルメット着用実態等について新たな質問項目を設定しております。今後も、次期基本計画策定等も十分視野に入れて、区民意識・実態調査が区の施策の確かなエビデンスとなるよう努めてまいります。

 次に、実施計画における成果指標についてです。基本計画で設定した成果指標については、施策の各取組を実施したことによる成果を数値で表すものとして設定したものであります。現在検討を進めている中野区実施計画における成果指標については、基本計画策定時からの制度変更等によって、同様の方法で数値を算出することが困難になったものについてのみ変更することとしております。来年度から検討を進めていく次期基本計画における成果指標については、現基本計画の状況や議会からの御意見も踏まえながら検討してまいります。

 次に、財政フレームへの施設関連経費の掲載についてです。持続可能な財政運営を行うに当たって、議論することができるような財政フレームを示すことが必要だと考えております。施設関連経費につきましては、今後の財政フレームにおいてより分かりやすく示してまいります。

 次に、区有施設の総延べ床面積についてでございます。区有施設整備計画では、改築は原則として従来施設から延べ床面積を増加させないこと、新たな施設サービスの実施に当たり施設整備が必要な場合は、他の施設の併設や廃止施設の転用を検討すること、未利用施設の売却を検討することなどによって、総床面積の増加を抑制していくものとしております。総床面積については、企画部が中心となって把握や調整をしていく考えでございます。

 次に、総延べ床面積の削減目標についてです。長期的には、将来の区の人口減少、サービス概要の変化などを見据えて、適正な施設規模の検討、区有施設の見直しや再編を行っていく必要があると認識しておりますが、具体的な目標値を示すことについては、今後研究してまいります。

 次に、区民活動センターの集会室の利用についての御質問です。現在、施設予約システムの導入を見据え、区民活動センター集会室の利用ルールを見直しておりまして、区民の活動や交流促進に向け、利用要件の緩和や改善を図ってまいります。飲食を伴う利用についても、区民活動センター運営委員会の合意が得られ次第、運用開始をしてまいります。

 次に、一般事業費と新規・拡充等事業の経費の考え方についてです。一般事業費は、義務的経費を除いた事業の経常経費について計上しております。新規・拡充等事業は、実施に当たって政策的な判断を要する事業や臨時的な事業について計上しております。一般事業費と新規・拡充等事業の合計が当該年度の事業費になるものでありまして、いずれの経費についてもエビデンスを基にした分析により適切な需要推計を行い、計上しているものであります。

 次に、中野区デジタル地域通貨事業についてで、キャッシュレス決済ポイント還元事業との違いについてです。大手決済事業者によるキャッシュレス決済ポイント還元事業は、買物などで支払った金額に応じてポイントが付与される仕組みでありまして、そのポイントは地域にかかわらず買物や特典と交換できるものであります。一方、デジタル地域通貨は、特定の地域やコミュニティでのみ使用できる電子通貨でありまして、地域内での消費が促進され、地域経済の活性化につながるとともに、ボランティア活動やエコ活動、健康増進に寄与する行動などへポイントを付与し、獲得したポイントを地域内の買物や支払いなどに利用できるコミュニティポイントとして、自治体の施策を側面で促進することができる点が大きな違いであります。

 次に、店舗側のメリットについてです。各店舗にとっては、大手決済事業者によるキャッシュレス決済ポイント還元事業と比べて、決済手数料や換金手数料の負担が縮減、軽減されます。また、利用者情報や流通経路のデータが入手できるため、店舗ごとの利用状況が把握しやすく、各店舗のマーケティング施策につなげられることも利点であります。さらに、地域内のみで流通する通貨であるため、当該店舗をリピートして利用することが期待できます。

 次に、利用可能店舗や利用者を増やす取組についてでございます。これまで協議してきた中野区商店街連合会など区内経済団体と連携をして、各店舗へ様々な機会を通じて、デジタル地域通貨の仕組みや導入することのメリットを動画なども利用しながら、分かりやすく丁寧な説明を繰り返し行ってまいります。他方で、店舗、利用者双方にとって使い勝手のよいアプリケーションを構築することや、店舗側にとって過度な負担とならない手数料を設定していくことが不可欠であると認識をしております。一方、利用者を増やすためには、操作性が高く、使用感のあるアプリといたします。また、プレミアム通貨を発行するとともに、コミュニティポイントの付与や様々な支払いへの利用など、今後の可能性を分かりやすく示し、利用者にとってのメリットを明らかにしてまいります。さらに、通貨の名称やロゴのデザインを公募するなど、区民に愛着を持ってもらう工夫をしていきます。これらについて積極的に広報していきたいと考えております。

 次に、スマートフォンと連動したプラットフォームについてです。他自治体において、地域通貨のプラットフォームを活用して、健康ポイントとひも付けた施策を実施している事例があることは認識をしているところであります。デジタル地域通貨の実施に当たっては、他のアプリなどのデジタルデータと連動が可能とするなど、使用感や拡張性を担保したプラットフォームの導入を検討してまいります。

 次に、スマートウエルネスシティー(SWC)の取組状況についてです。これまで中野区もスマートウエルネスシティ首長研究会に参加をし、スマートウエルネスシティの理念を踏まえたまちづくりの実現に向けて検討を行ってきたところであります。今年度末に策定予定の中野区健康福祉総合推進計画の素案においても、スマートウエルネスシティの理念を踏まえ、産官学の連携を図りながら、健康づくり施策を推進するための基本的な、具体的な方策について検討することを明記したところであります。今後、デジタル地域通貨事業のプラットフォームを活用した健康ポイントの仕組みなど、先進事例を検証し、産官学の連携による健康づくり事業の実現に向けて検討を進めてまいります。

 次に、地域活動ポイントについてです。地域活動ポイントは、地域活動を活性化させるツールとして有効であると考えておりまして、デジタル地域通貨のプラットフォームを活用した形での展開を検討しております。

 私からは最後に、コミュニティポイントの展開に関する事業者提案についてです。区がデジタル地域通貨事業を導入する目的の一つは、区の政策、施策を側面的に推進することでありまして、コミュニティポイントの付与とその利用は必須であると考えております。デジタル地域通貨のプラットフォームを構築する段階から、様々なコミュニティポイントと連動できる仕様にすることを前提とするとともに、事業者からもコミュニティポイントとしての活用の提案も受けながら、庁内や関係団体等との検討を進めてまいります。

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、子どもの生活実態調査の結果を踏まえた子育て支援体制についての御質問にお答えさせていただきます。

 初めに、ヤングケアラーの割合についてでございます。今回の区内の高校2年生年齢の子どもと保護者を対象とした実態調査と、令和2年度に厚生労働省が実施した調査では、ヤングケアラーの定義が異なるため、ケアを担っている子どもの割合に相違が見られたものと思っております。現在実施しております中野区ヤングケアラー実態調査の実施結果も含めまして、ヤングケアラーの実態把握を行ってまいります。

 次に、子どもの経験・体験の機会の拡充についてでございます。子どもの経験・体験につきましては、家庭の経済状況等にかかわらず、多様な経験・体験を得て、豊かな人間性を育むことができる環境を整えることが重要であると認識してございます。本調査におきましても、家庭の生活困難度により差が見られますため、本調査の分析結果も踏まえ、子どもの経験・体験の機会の確保に向けて施策を充実していく考えでございます。

 学習スペースの確保についての御質問でございます。子どもの学習環境につきましては、家庭の経済状況などによりまして学習の機会が奪われることがないよう、自宅以外で子どもが安心かつ集中して学習できる場所を確保することは重要であると認識しておりまして、可能な範囲で、児童館、区立図書館等の区有施設において、学習スペースとしての開放を進めてきたところでございます。本調査におきましても、家庭の生活困難度により差が見られるために、さらに取組を充実させてまいります。

 最後に、奨学金制度の検討についての御質問でございます。本調査におきまして、子どもの成長に合わせて必要となる教育費が家計にとって大きな負担になっているなど、子どもの進学や就学に関する現状を把握することができました。本調査の分析結果を踏まえまして、奨学金制度を含め、進学や就学に向けた支援の在り方について、全庁的な検討を進めてまいります。

〔加藤たくま議員登壇〕

○11番(加藤たくま) 区有施設整備計画において、延べ床面積をこれ以上増やさないように縮減を図っていくというところの質疑に関しまして、再質問させていただきます。

 区有施設整備計画の中で、面積をそのまま同じと仮定して試算がされているわけで、それで、今まで小学校を改築すると大体1.3倍ぐらいの延べ床面積が増えているかな。新しく鍋横区民活動センター、今出ていますけど、500平米から900平米ぐらいで、大体1.8倍ぐらいになっている。この中野区自体では、23区で比較すると、区民1人当たりの延べ床面積は下から2番目で、現状少ないというのであれば増やせばいいとは思うんですけども、そうすると、今度試算するときに、延べ床面積を増やした試算でやらないと、結局財政フレームに乗っけたときに、結果的に増えちゃいましたと、やっぱり大きいのにしますというのを繰り返していると、いつまでたっても将来的な、持続可能な経営というのが難しいと思うので、縮減を図っていくという、先ほど明言されておりましたけど、その辺のところを踏まえて、もう一度御答弁いただきたいと思います。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 加藤議員の再質問にお答えいたします。総延べ床面積について縮減の目標を掲げておりますけれども、1個当たりの施設の面積が増えており、総計としてそれが増えていく傾向にあるということ、それについては認識をしているところでございます。今後の区の総延べ床面積についての考え方については、改めてこの現状を踏まえながら検討してまいりたいと思います。

○議長(酒井たくや) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。

 

 

令和5年09月25日中野区議会決算特別委員会の会議録

 次に、加藤たくま委員、質疑をどうぞ。

○加藤委員 それでは、自民党トップバッターとして総括質疑をさせていただきます。我が会派、ちょっとインフルエンザがはやってしまいまして、今日、風邪を引かないのかどうか不安がありましたけど、何とかこの場に立ててよかったなと思っております。今回は新たな試みで、かなり多くの理事者が参加するような総括質疑となります。せっかく間引きの設定をしたんですけれども、こういった事態になりまして申し訳ないとも思っておりますが、区政前進のためということでいろいろ御指摘させていただきたいと思います。

 それでは、項目1の中野区基本計画における施策の進捗状況からみる令和4年度決算について質疑させていただきます。まず皆様、決算特別委員会の要求資料の総務の113番を御覧いただきたいと思います。これを基本に1時間ぐらいは質疑すると思いますので、ぜひ見ていただきたいなと思っております。ちょっと時間、そのために取りますけども、この資料は今回企画課に作っていただいて、17ページに及ぶ資料でございますけれども、その辺の内容は見ていただいてからということで、皆さん大丈夫ですかね。総務の113番です。

 では、この表について、「中野区基本計画」における施策の成果指標のうち計画策定時から低下した指標及び関連する主な事業一覧というタイトルですけども、この資料は項目の一番左、基本目標から真ん中辺にあります所管部、ここまでの部分に関しましては今年の第2回定例会の全常任委員会で報告された中野区基本計画及び中野区構造改革実行プログラムの進捗状況についてという報告の中で出ていた部分です。そこでは112の指標が設定されておりまして、進捗状況は五つの評価で分類されていました。2025年度の目標値を達成している指標は20個、当初から向上している指標が41個、当初の値から変化がない指標が3個、当初の値から低下している指標は40個、測定不能な項目は8個ありました。この資料は、当初の値から低下している指標40指標をリストアップしたものです。ちなみに、全部で112個指標がありましたので、そのうち40個下がっていて、36%が現状、目標とする指標を下回っているという状況であります。中にはコロナ禍で数値を上昇させるには厳しいだろうと思える指標もありますけれども、それは2020年に策定が計画されている時点で分かっていたことであり、現に基本計画案が出されたときに、例えば指標の中で中野駅の乗車数というものがありましたけれども、コロナ禍なので中野駅の乗車数を増やすなんて絶対無理だろうということで、私、当時、建設委員だったので強く要望したところ、中野駅乗車人員のJR東日本エリア内の順位という項目に変わりまして、結果的に2020年度20位だったものが21年度17位ということで上がった指標であります。これ、人数のままだったら絶対に上がっていなかっただろうと考えられる指標かもしれません。これは好事例でありますけれども、当時再三指摘させていただきましたように、指標は工夫できるものがあったと考えます。適当な指標をそのまま設定して今回達成できずに、自分で自分の首を絞めている状態になっていると考えられます。

 そして、この資料の今説明した成果指標のところより右側の項目はそれに関連する主な取組、主な事業、実施内容とその進捗部分です。17ページのこの資料ですけれども、企画課にゼロから作っていただいたということで感謝いたします。逆に言うと、それまでこういった資料がなかったということで、内容からすれば成果指標とそれにひもづく事業であるわけですから、このぐらいの資料はそもそも区のほうにあってもよかったんではないかなと考えます。

 そこで伺いますけれども、事業の企画、立案、予算編成をするときに、成果指標を見ていない、つまり基本計画を意識した政策決定がなされていなかったということを意味すると思いますけども、区の見解を教えてください。

○森企画課長 基本計画は区政全般にわたる総合的な計画でございまして、各個別計画の上位の計画として位置付けております。区のほとんどの事業は基本計画の政策、施策の取組に位置付けているところでございます。基本計画の全ての成果指標と取組を結び付けて政策議論をしているわけではございませんが、基本計画の推進に向けて、企画立案、予算編成を行って政策形成をしているというふうに考えております。

○加藤委員 基本計画の中で成果指標が大事だということで、それぞれの施策の中に成果指標が設けられたわけですけど、今、結び付けて見ていなかったって。つまり、基本計画で目標として設定している成果指標を見ないで、これまで予算編成だったり、政策立案過程でその事業をやっていいかというのを決定していたということを今おっしゃったわけですけれども、基本計画を何のためにつくったんだという話になるわけですよ、それは。そういった前提の中でこの資料に基づいて施策ごとにお話を伺っていきます。基本的には成果指標が下がった理由、そして成果指標の2025年の目標を達成するために何を改善させるかの2点を中心に伺っていきます。

 施策の1番の人権と多様性の尊重でありますけれども、この指標が下がった理由について教えてください。

○国分ユニバーサルデザイン推進担当課長 ユニバーサルデザインの認知度についてでございますが、年代別に見ると、例年若い世代のほうが高い状況にございます。この認知度の基となっている中野区区民意識実態調査でございますが、回答者に占める30歳代以下の割合が2020年度は28.4%に対し2022年度は17.2%と少なくなっております。こうしたことから、2022年度は回答者に若い世代が減ったことが認知度が下がった一つの要因であると考えております。今後、認知度を上げていくため、若い世代以外にもユニバーサルデザインを広げていくための取組等を充実してまいります。

 また、二つ目の社会全体における男女の地位が平等だと思う人の割合についてでございますが、国の調査においても令和元年度と令和4年度の比較で下がっておりまして、国全体で下がっていると認識しております。これは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、全国的に雇用状況の悪化、家事負担の増など、とりわけ女性をめぐる問題が表出したことが一つの要因ではないかと考えております。今後この割合を上げていくために、仕事と生活を両立するための公的サービスの充実、男女問わず誰もが働きやすい職場づくりの推進等に取り組んでまいります。

○加藤委員 今、ユニバーサルデザインの認知度が下がった理由が、区民意識実態調査において回答者の年代がばらばらだから若い世代の回答者比率が高いとユニバーサルデザイン認知度が高くなるんではないかと分析されているわけです。確かにそうでしょうけど、そうすると、この区民意識調査の精度というか、信頼性というのを欠いているということを今おっしゃられていると思うわけですけれども、その辺は後で企画課のほうに伺いますけれども、こういった問題点があるということを指摘させていただきまして、次の施策に行きます。

 では、3の地域における人のつながりと愛着が生まれる環境づくりについて、成果指標が下がった理由について伺います。

○池内区民活動推進担当課長 地区祭りやサロンなど広く区民に周知されてきました地域の恒例行事や事業が新型コロナウイルス感染症の影響によりまして活動の停止や規模の縮小を余儀なくされ、住民同士の交流の場が減少したことが大きな原因であると捉えてございます。また、地域における公益活動の再開、活性化に向けた取組として、区民活動センターにおける中間支援組織と連携した伴走支援の強化や、誰もが利用しやすいウェブアプリケーションためまっぷなかのの導入による活動情報の発信、また、活動実績が1年未満の団体への助成制度の設置、それから利用しやすい政策助成制度の見直しを行い取り組んでいるところでございます。

○加藤委員 ためまっぷは今年度からでしたか。ということは数字に表れないですけど、コロナ禍でどんどん下がっているのか。さっきみたいに数値に横ばいと見るぐらいの差しかないのか分かんないですけれども、まだ数値として出ないですけど、そういったウェブ戦略というのは効果が出てくるという、肌感ではどうなんですか、教えてください。

○池内区民活動推進担当課長 こういったウェブアプリケーションになりますと、やはりいろいろな世代だったり、高齢の方もそうですけれども、若い世代にも届きやすいアプリケーションだと思っておりますので、今後活躍していただければと考えております。

○加藤委員 続いて、2ページ目、6の施策、誰もが身近に文化芸術に親しめる環境づくりについて、成果指標が下がっている理由について教えてください。

○冨士縄文化振興・多文化共生推進課長 まず、割合が低下した理由ですけども、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、区民の活動ですとか行政における取組、こういったものが制限されたこと、これが指標の値に影響しているものと認識しております。そして、目標値達成に向けた改善についてですけども、本年3月に策定いたしました中野区文化芸術振興基本方針に基づきまして、今年6月にオープンしましたなかのZEROの新たな文化芸術スペースの活用を充実させるほか、今年度中に次世代育成に資する文化芸術の鑑賞体験機会の充実策を明らかにいたしまして、子どもや若者、文化芸術活動の促進策を着実に推進していくことで目標値の達成につなげていきたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 下がった、横ばいとも言える数字ですけども、この目標に対して上げるにはそれでは弱いのかなと思いますけども、その辺、目標達成のためにはどうすればいいか、もう一回。

○冨士縄文化振興・多文化共生推進課長 繰り返しになりますけども、昨年度、中野区の文化芸術振興基本方針、こちらを策定しました。これに基づく、いろいろ具体的な取組への策が書かれていますので、こういったものを着実に実施していきまして目標値の達成に寄与していきたいと、そういうふうに考えてございます。

○加藤委員 次、7の魅力的な地域資源の発掘・発信ついて、この指標が下がった理由を教えてください。

○高村シティプロモーション担当課長 SNSで発信した地域資源情報のインプレッション数の減少の理由と、あと目標値達成のための改善ですが、2020年度と比べて特に上半期のイベント数が少なかったこと、また、行政評価を踏まえまして、事業者に委託して行っていた観光サイトまるっと中野の運営等、SNSによる情報発信を廃止したところでございます。これらに伴いSNSによる発信数が少なかったことがインプレッション数が減少した主な要因でございます。

 今後、目標値を達成するためには、SNSによる発信数そのものを増やすとともに、区とは異なる視点を持った、中には御自身の発信力の高い方もいらっしゃる区民レポーターによる発信を積極的に行うこと、さらに中野区観光協会などの発信をシェアやリツイートすることで目標値の達成を図ってまいります。

○加藤委員 地域資源というものが急にぽっと現れるわけでもないので、そうすると、投稿が例えば哲学堂公園とかの配信も年がら年中やるわけにもいかないとなると、やっぱりマンネリ化を防ごうという中において、発信の数というか、最初立ち上げたときはいっぱいやるかもしれないけど、徐々に発信する数も減ってくるのかなと考えて、そういうマンネリ化を防ぐためにちゅうちょしているという点もあると考えますが、いかがですか。

○高村シティプロモーション担当課長 委員御指摘のとおり、地域資源の情報発信がパターン化しがちになる、こういう傾向があることは認識しているところでございます。そこで、先ほども申したように、区民レポーターによる異なる切り口での発信ですとか、それから地域資源をストーリー仕立てにするなどの工夫が必要かというふうに考えてございます。

○加藤委員 現在ある地域資源だけに頼るのでなくて、新たな付加価値だったり、今おっしゃったようにストーリー性みたいなものが必要かなと思っていて、以前にも取り上げましたけども、歴史などをやっぱりストーリーとして組み立てるという中で、犬小屋だったり、その事例は挙げましたけども、四季の森にあった場所に、生類憐みの令のシンボリック施設であります犬小屋が天下の悪法と言われている中で、ある意味、中野の黒歴史なんていうふうにも言える施設だと思っておりましたけれども、現在、生類憐れみの令は、戦国時代から続いた切り捨て御免とか、人を殺してもやむなしみたいなそういった感覚をゼロにするために、人の命を大事にしようという観点が一番最初。犬ではなくて、人権擁護の観点からあったとも言われていますし、もちろん動物愛護もありますが、そういったところで、現在世界で最も治安がよいと言われている日本の形をつくった礎の法律という解釈もあるわけで、こういった歴史をしっかり、そういったシンボリックな施設が中野にあったというのを言ってもいいと思っているんですね。各自治体でいろいろ地域資源を見ますと、ちょっとこれはうそではないかぐらい、誇張表現するようなぐらい宣伝するものもあって、でも、こういったものをその自治体が宣伝しなきゃ誰が宣伝するんだというふうに思うわけであって。うそはついてほしくないですけど、ある程度誇張するぐらいだったら、中野区はこういったすばらしい歴史を発信していってもいいのかなと思いますけど、区のお考えをお伺いします。

○高村シティプロモーション担当課長 地域や資源と歴史を関連付けた情報発信は有効かつ必要かというふうに考えてございます。現在、中野区認定観光資源の見直しに着手しておりまして、その中で今おっしゃったような歴史をひもといて、地域や資源と歴史の関連付け、こういったものにも取り組んでそれらの情報発信に努めてまいります。

○加藤委員 あと、観光資源を新たにつくるという観点も必要かなと思っています。新庁舎の議会フロアの屋上というか、議会棟の上のところになるんですけど、あそこから四季の森公園を一望できる展望ラウンジができそうですけれども、そこからVRで四季の森を見て当時の画像と重ね合わせる。例えば犬小屋だったり、日本初の公園と解釈できる花見のメッカであった桃園、あと中央線の前身の甲武鉄道だったり、陸軍鉄道大隊だったり、陸軍省の電信連隊、中野スパイ学校、あと警察大学校、こういった歴史の変遷をVRで見るようにできればいいななんて思っています。新しいサンプラザにおきましては、260メートルぐらいから下を見るのはなかなか現実的ではないな。もし展望ができるんだったらですね。だから、区役所から見るぐらいがちょうどいいかななんて思いますけど、こういった仕掛けをつくることによって新しい観光資源をつくる必要があると思いますけども、いかがですか。

○高村シティプロモーション担当課長 中野駅の北側一帯をVRにより昔の姿を見られるようにすることは、歴史とひもづけた情報発信として非常に可能性を感じるものだというふうに思っております。昨年度、外部委員による検討会を設置して、都市観光施策の見直しに取り組んだところでございますが、その中でもVRとかARの積極的な活用が議論になったところでございます。事業者等と連携しながら、委員の御提案について、旧中野刑務所の正門など現存する文化的資源との関連付けも含めまして検討していきたいと考えてございます。

○加藤委員 あと、中野で何かお土産みたいなのが、我々も視察とか行くと何を持っていけばいいんだろうみたいなんで、中野の名産品みたいなものが欲しいなと思っているんですけども、今いきなりゼロから作るというといろいろもめるところでありますけど、歴史をひもとくと、江戸時代、宝仙寺に象がいたという話は有名ですけれども、象を飼っていた源助という人は、象の餌代を捻出するために象の三色まんじゅうというのを売っていたらしいです。あと、象のふんを使った漢方ですけど、これはなかなか非現実的ですけども。こういった三色まんじゅうぐらいは、歴史からひもとかれたお土産ならなかなかいいのかなみたいな。あと、犬小屋とマッチして、例えば「ブラタモリ」でも中野の町は動物に縁がある町だみたいな紹介で、そういったブランディング化するのもあると思いますけども、そういった中でこういった商品開発も考えたほうがいいのかなと思いますけど、見解をお伺いします。

○高村シティプロモーション担当課長 先ほども申しましたが、歴史をひもづけた資源の開発という視点は中野の都市観光において有効かつ必要かと。ふるさと納税の返礼品というようなところでも可能性があるかというふうに考えてございます。御提案の内容につきましては、まずは宝仙寺などの関係者とその可能性について協議したいと考えてございます。

○加藤委員 ありがとうございます。そこまでというつもりはなかったですけど、そうやっていただけるとありがたいなと思います。

 いずれにせよ、インプレッションが下がっているというのはかなり問題があるとは思っていますけども、様々工夫をやらないと絶対に意味ないものになってしまいますので、この辺は指摘させていただきます。

 続きまして、3ページ、8番、持続可能な地域経済の成長と働き続けられる環境づくりについて、成果指標が下がった理由をお伺いします。

○松丸産業振興課長 こちら業種ごとの違いはございますけれども、他区とほぼ同様でございまして、以前から課題となっておりました後継者不足により事業承継ができないことですとか、ICTやDXが進まずに生産性向上が図れていないことに加えまして、新型コロナウイルス感染症拡大による休業ですとか売上げの減少、これらによる廃業によりまして、新たに開業した事業所数を上回ったことが主たる要因であると捉えております。目標達成に向けましては、中小企業の経営を安定化させることにより事業活動を軌道に乗せて倒産を防いでいくこと。それから、創業スタートアップ支援によりまして、起業者、創業者を増やしていくこと。この二つの施策を軸にした事業展開を考えております。

○加藤委員 ほかにも指標の中で区内従業者数、つまり従業員数の数字もあったわけですけども、そちらについてちょっと説明してください。

○松丸産業振興課長 こちらは様々な要因が考えられるところでございますけれども、従業員数の多い事業所が増えたということと、それから事業規模が拡大されたこと、こういったことが主な要因であるというふうに捉えております。

○加藤委員 何か答弁、かみ合っていたか分かんないですけど。やろうとしていたのは、企業数は減ったのに働いている人が増えたという結果が出ているわけですね。こういった中で、従業員数が増えているんだったら、企業数が、M&Aとか事業承継がうまくいったかで、減っている分にはそんな問題ないのかなと思いますけども、そういった中でも企業数を本当に増やすのであれば、このまま中野区のやり方でいいのかな。失敗に終わってしまいましたけども、ICTCOなんかは区内で産業をつくろうという意味では、うまくはいかなかったですけども、結局、うまくいったとしても区内にとどまってくれなかったみたいな、こういった反省点があるわけですけども、その辺、どういう見解かお伺いします。

○松丸産業振興課長 創業後に中野区内で事業活動を継続するためのインセンティブですとか支援策が十分ではなかったというところは認識しておるところでございます。産業振興機能集約の検討ですとか、今後、創業スタートアップ支援を検討していく中で、他自治体と差別化を図った産業支援策を考えてまいりたいというふうに考えております。

○加藤委員 今後も企業数を増やすという前提でよろしいわけですよね。もちろん指標に入っているわけですから。そうした場合には、僕なんかいろいろドローンを区内で上げさせていただいていますけど、それって何か特区みたいなもんで、ドローン関係者が区内で産業をやってくれないかなみたいな観点でいろいろと上げさせていただいたんですけど、区役所とサンプラザを借りてやらせていただいた建物点検というのはあまりにもうまくいき過ぎてしまいましてね。ドローン建築物調査安全飛行技能者という資格ができてしまって、もう中野だけではなくて全国でできるようになってしまったというもので、中野だけでそういうのが発展すればいいなと思ったんですけど、ちょっとやり過ぎてしまったというのもあるんですけど。そういった意味では、次、ドローンの物流というものが中野区でできないかなみたいなんで実験させていただいているわけですけども、これなんかはいきなり上空を飛ぶことはできませんので、川の中だったら面的な動きができるかなみたいなことで、こういった特区みたいなものが必要かなと。

 あと、エリアマネジメントを使ったら、例えば、エリアというのは面的に見えますけど、空間としてドローンの活用もありかなと思います。また、ロボットだったり新交通を試すようなものがこの中野駅周辺であってもいいのかなと。あと、西武新宿線の上部空間も空けば、また線路の点検技術みたいな新しい技術開発みたいな、こういったことが可能かな。こういったフィールドを提供することによって、中野でやりたいな、中野でやるほうがいいなみたいなところで、先ほどのICTCOでうまくいったけど出ていってしまったみたいではなくて、中野でそういうインセンティブがある事業ができるということをやらないと中野区の産業として企業数が増えていかないのかなと思うんですけど、その辺、見解をお伺いします。

○高村シティプロモーション担当課長 先ほど委員からお話がありましたように、昨年、中野サンプラザでドローンを外壁点検に用いる実証実験、大変話題になったところでございます。当然、建物の調査手法の社会実装を目指したという研究価値もありましたが、これ自体が中野区のプロモーションにも寄与するものになったかなというふうに考えてございます。

 企業数を増やすという点でも、それからシティプロモーションに資するという点でも、多分、今後再整備が進む中野駅周辺が中心になるかと思いますが、そういった実証実験などの要望があれば、法的規制など様々な問題をクリアする必要はいまだありますけれども、そういった開発事業者をはじめ関係各所と協議して進めてまいりたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 続きまして、9番、商店街の活性化支援によるにぎわい空間の創出について、指標が下がった理由を教えてください。

○松丸産業振興課長 2020年度は緊急事態宣言の影響によりまして、遠出が制限されまして近所での買物が促進されたことによって増加しましたが、外出制限が解除されることによりまして新型コロナウイルス感染症拡大期以前の水準に戻ったものというふうに捉えております。区内店舗の魅力創出、集客力を高めるための支援ですとか、現在検討を進めておりますデジタル地域通貨を活用しまして、商店街のデジタル化の促進をすることなどにより顧客の利便性の向上を図ってまいりたいと考えております。

○加藤委員 その前に、新型コロナ前からの数値、推移を教えてください。

○松丸産業振興課長 こちら、買物やサービス等利用のために商店街へ週1日行く人の割合ということでございますけれども、新型コロナ前2016年が65.7%、2018年で64.5%、2019年で63.7%だったものが新型コロナ期間につきましては70%台ということでございました。

○加藤委員 結局新型コロナ前のほうが値が低かった。新型コロナで買物を近隣でやってくださいというのがあったから、移動をできるだけするなということで、近隣で買物しろということで、2020年がピークの72.6%だった。それまでは6割台だったと。増えたということで、それは社会状況を考えれば上がるのはあれですけど。新型コロナによって、基本計画策定時の数字を設定した上で、それよりさらに目標値を上げようとしても、かなり新型コロナのおかげで上がってくれた数字をまたさらに上げようというのはかなりむちゃな目標になっていたんではないかなということで、ここは後で全体で指摘させていただきます。

 続きまして、4ページの11番、中野駅周辺のまちづくりにおける都市基盤の整備と多様な都市機能の誘導について、この指標が下がった理由について教えてください。

○小幡中野駅周辺まちづくり課長 当該指標については、過去5年の数値を見ますと、調査年、その調査対象の違いによって上下しながら推移をしておりまして、2022年度の数値が下がったということについて特定される理由はないというふうに考えてございます。引き続き中野駅周辺各事業の確実な進捗を図るとともに駅周辺まちづくりの周知に努めていきたいと考えてございます。

○加藤委員 100年に一度とも言われている開発をしながら顕著な上昇がないというのは何か悲しいなと思うんですけども、その辺、どう見解をお持ちですか。

○小幡中野駅周辺まちづくり課長 現在は各地区で事業が進捗をしているものの、工事中の地区が多数でございまして、未完成の状態でございます。所管としては数値の長期トレンドで数値の推移を見ていきたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 駅前などの重点的なまちづくりというのが特に力を入れているなというわけですけど、完成してしまったら下がる数字かなと私は思うんですけど。それはいいです。

 それよりも何かこの指標自体が、駅前の再開発、すごい頑張っているなという指標ですけど、まちづくり推進部としてはこのベンチマークでいいかもしんないですけども、中野区全体で、中野区は駅前開発頑張っているなという見られ方がいいのかなみたいな。例えば公園緑地政策頑張っているなとかだったら理解できるんですけど。私は駅前開発頑張るべきだと思いますけど、あるグループからすれば、それでいいのかなとちょっと疑問を感じる指標だということをここでは指摘をさせていただきます。

 次、17番、発達の課題や障害のある子どもへの教育の充実ということで、この指標が下がった理由についてお伺いします。

○佐藤学務課長 こちらの指標二つございますけれども、まず一つ目、学校生活支援シートのほうですけれども、学校生活支援シートの作成に当たっては学校と保護者のコミュニケーションが重要となりますが、それぞれ就学時の意向が異なることも影響したというふうに考えてございます。引き続き、双方のコミュニケーションが充実するよう、学校と連携して取組を進めてまいりたいと考えてございます。

 もう一つの指標でございますが、こちらにつきましては心理士による特別支援教育巡回相談について、現状でも適切な相談が行われているというふうには認識しているところでございます。引き続き、巡回相談を含めた就学に関わる相談を充実し、取組を推進していきたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 2番目の巡回相談で対応したケースの割合が下がっている理由について詳細を教えてください。

○佐藤学務課長 こちらにつきましては、指標を作成した際には年当たり2%ずつ上昇するというところで考えていたところでございますけれども、実際につきましては、特別支援教育に係る巡回相談というのも同時に充実しているところでございます。それによって、結果として指標が、各学校を巡回するというこちらの割合としては下がってしまったというふうに認識しているところでございます。

○加藤委員 ある意味、改善したおかげで数字が下がっているけど、目標は達成できないということですけど、こういった状況で指標というのはこれでいいのか、どうお考えですか。

○佐藤学務課長 こちらについては、指標の設定時の考え方として、改めて学務課として、区として考えていかなくてはいけないのかなというふうに認識しているところではございます。

○加藤委員 では、続きまして5ページ、18、特色ある学校づくりと家庭・地域との協働による学校運営の推進について、この成果指標が下がった理由を教えてください。

○齊藤指導室長 学校での外部人材の活用は、令和元年度までは増加傾向でしたが、新型コロナウイルス感染症の対策で外部人材を招聘して事業等を行うことが難しくなり、令和2年度から令和4年度の間は減少していました。今年度5月に新型コロナウイルス感染症が5類になったことから、外部人材の活用は令和元年度以前に戻りつつあります。また、今後、コミュニティスクールの地域学校協働本部が全校に設置されることで様々な人材活用がより充実していくものと考えております。

○加藤委員 コミュニティスクールでいろいろ地域人材の活用ということがうたわれているわけですから、必ずこの数字は上がっていくものと考えられますけれども、今後は部活を地域へ移行していくという考えが出てきているわけですけども、その検討状況について概要を教えてください。

○齊藤指導室長 今年度、中野区として、部活動の地域移行の在り方や対応方針について、学識経験者、学校の教職員、スポーツ振興課や文化振興・多文化共生推進課の職員、指導主事をメンバーとした検討委員会を立ち上げ、検討を開始したところです。今後、生徒、教員、保護者へのアンケートを実施し、中野区の現状を把握、分析し、令和6年度からは幾つかの部活動において先行実施できるように検討を進めております。

○加藤委員 部活の地域移行というのが、少子化だったり、雑務が増えた教員の労働の改善という職場環境の改善だったり、児童・生徒たちが運動に対する考え方が変わったというので、ちょっとネガティブな感じを受けてこういった状況になってしまったのではないかなとは思っていたんですけども。しかし、先日テレビで室伏広治スポーツ庁長官がおっしゃっていたんですけども、地域移行することで、今までスポーツというのは学校を卒業、部活動を卒業してしまうとやめてしまうようなものだったけども、地域に移行できることになれば、ひょっとしたら生涯スポーツへと持っていけるのではないかみたいな期待の話。そして、またそれが地域力の向上につながるのではないかなみたいな趣旨のお話をされていて感銘を受けたわけですね。そういった意味では、今進めている部活の地域移行の中で生涯スポーツという観点も含んだ上での検討みたいなことを行っていただきたいなと思いますけども、見解を教えてください。

○齊藤指導室長 部活動検討委員会では、生徒だけでなく、地域住民も対象とした、将来にわたりスポーツや文化芸術に継続して親しむことができる機会の確保、環境の整備を行うことを部活動の地域移行の目標の一つとして検討を始めております。地域スポーツ環境の整備が重要な課題であるため、担当所管であるスポーツ振興課と連携して検討を進めてまいります。

○加藤委員 続きまして、20番、地域における子育て支援活動の促進の成果指標が下がった理由を教えてください。

○細野育成活動推進課長 2020年度から2022年度にかけて新型コロナウイルス感染拡大等の影響によりまして、児童館における子育て活動支援事業や育成団体支援事業の実施に制限があったこともあり、値が下がったものというふうに捉えてございます。今後は児童館のソーシャルワーク機能の強化を図り、地域の見守りネットワーク支援、団体支援を進め、子育て活動支援の取組を充実させてまいりたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 新型コロナ明けしたからといってこの目標を達成するのは非常に困難かと思いますけど、達成のためにどういった工夫をされるのか教えてください。

○細野育成活動推進課長 児童館の機能強化に現在取り組んでおります。その中で地域の見守りネットワーク支援に加え団体支援ということも視点の一つに置いております。そういった子育て団体さんへの活動支援などを充実させることで、よりこの辺りの強化に向けて進めてまいりたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 続きまして、22、将来を見通した幼児教育・保育の実現の成果指標が下がってしまった理由を教えてください。

○半田保育園・幼稚園課長 保育の質ガイドラインにつきましては、2020年3月に策定いたしまして、2023年4月に改訂したところでございます。2020年度は策定直後であり、積極的に保護者への周知を行ってまいりましたけれども、その後の周知が不足していたこと等によりまして成果指標が下がってしまったというふうに考えてございます。

○加藤委員 「中野区保育の質ガイドライン」を知っている保護者のうち、ガイドラインが教育・保育に役立てられていると感じる保護者の割合という非常に複雑な指標なわけですけども、ガイドラインを知っているにもかかわらず役立っていると思わない人が増えたというのはかなり問題なのかなと思いますけども。知っている人の割合が指標ぐらいならまだいいのかもしれないですけど、基本的に50ページぐらいあるこの冊子を持っている人はいないでしょうから、チラシの存在が重要になってくるのかなと思います。そういう中で、私も子どもを保育園に預けていますのでチラシを頂きましたけども、保育目標で、丈夫な体、豊かな心を育てるとかいう目標だけ書いてあって、当たり前のことがあるわけですから、チラシを見ても何も印象に残らないわけですね。そんなチラシが必要なのかとちょっと疑問になるわけですね。ガイドラインが存在することをわざわざそこまで宣伝するのかなというふうにも感じるわけですよね。

 もしそれでも宣伝したいというんであれば、所管をまたがるかもしれないですけど、例えばある年は不適切保育でバスの閉じ込めだったり、体罰、暴走車による交通事故などメディアで騒がれている事象に対して対策を講じましたとか、こういったことをチラシに載っけるならまだいいと思うんですけども、何かこの指標に合わせるためということになってしまいますけど。でも、ただ保護者の方々に安心して預けられるなみたいな話をしていくためにも重要なのかなと思いますけど、どうでしょうか。

○半田保育園・幼稚園課長 保育の質ガイドラインにつきましては、区や保育施設だけではなく保護者や地域も含めた関係者が協力して保育の質の向上に取り組むことを目指してございます。保護者の方にも保育の質ガイドラインを御理解いただく必要があると考えてございまして、引き続き保育の質ガイドラインそのものの周知にも努めてまいりたいというふうに考えてございます。

○杉山委員長 加藤委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。

午前11時58分休憩

 

午後1時00分開議

○杉山委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。

 加藤委員、質疑をどうぞ。

○加藤委員 午後からも先ほどの続きをさせていただきます。

 続きまして、6ページ、23番、特別な配慮を必要とする子どもとその家庭への一貫した相談支援体制の充実について、指標が下がった理由を教えてください。

○大場障害福祉サービス担当課長 実施回数が7回となりました2022年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いておりまして、各施設において事業の回数を減らしてきたためでございます。区立障害児通所支援施設の指定管理者に対しましては具体的な実施回数の指示はしておりませんが、今後、利用者の保護者の状況やニーズに応じた適切な回数の実施を促していくところでございます。

○加藤委員 今このプログラムを実施するというのが、仕様書上、何回やるとかいうのは書いていないということだと伺っていますけども、それでよろしいですね。

○大場障害福祉サービス担当課長 委員のおっしゃいますとおり、指定管理者との協定書の中には保護者を支援するプログラムという記載はしておりませんが、必須事業でございます児童発達支援事業の一環として行われるものでございます。

○加藤委員 事業者の自主事業に対して何回やれという制限も仕様書で定められていないし、予算もついていない中で、24回までやってくれと。自主事業なのに、何かお願いするわけでもなく増やしていくというのはなかなか指標としていかがなものかなということを指摘させていただいて、次へ行きます。

 26、若者が地域や社会で活躍できる環境づくりについて、指標が下がった理由を教えてください。

○細野育成活動推進課長 私から、地域活動やNPOなどの活動に参加した20代、30代の割合の値が下がった理由についてお話しさせていただきます。2020年度から2022年度にかけて新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、中・高生の活動の機会や場の確保が困難であり、値が下がったものというふうに考えてございます。2022年度よりハイティーン会議の運営方法を見直すとともに、大学生や社会人を対象とした若者会議を一体的に進めることで若者の育成支援施策及び環境整備の取組を充実させていきたいと考えてございます。

○加藤委員 これは子ども文教委員会などにいたときに再三申し上げておりますけども、この20代、30代が地域活動をやるという指標自体はいいことだと思うんですけど、これがハイティーン会議とかをやって、限られた人数のところの活動がこの指標を上げるに至るのかというところに結構疑問なところがありまして、SNSをやり始めたとか言いますけれども、それだけではなかなか数字が上がってこないかなというところで、これも指摘させていただいて、次へ行きます。

 次、7ページ、28、高齢者が安心して暮らし続けることができる体制の充実というところで指標が下がった理由を教えてください。

○河村地域包括ケア推進課長 私からは、地域包括支援センターを身近に感じる人の割合について御説明をいたします。地域包括支援センターを身近に感じる人の割合は、若干下がり傾向にございますが、20%前半で推移をしておりまして、高齢者に必要な相談窓口は一定継続して認識していただいている状況にあると捉えてございます。今後は、すこやか福祉センター等のアウトリーチチームの強化もさることながら、地域包括支援センターの職員自らが地域に出てアウトリーチできるよう体制整備を図ることが必要だと考えてございます。

○加藤委員 この数字を上げるためには、事業内容を見るとアウトリーチチームの活躍しかないなと思うんですけど、そのアウトリーチチームがなかなか最近機能していないように思えるんですけど、今後どういった面で新しくなっていくのか教えてください。

○河村地域包括ケア推進課長 アウトリーチチームは区民活動センター15圏域ごとに設置をさせていただいてございまして、令和5年4月から各すこやか福祉センターにアウトリーチ推進係を新設するなど体制強化を図ったところでございます。

○加藤委員 そういった報告を受けてもなかなか進まないというところが課題であるということを指摘させていただき、次へ行きます。

 30番、多様な交流・つながりを育み、いつまでも活躍できる環境づくりについて、指標が下がった理由を教えてください。

○池内区民活動推進担当課長 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして高齢者の就労や地域活動を通じた社会参加が厳しい状況にあったことが大きな原因であると捉えてございます。区民活動センターを拠点としました区、社会福祉協議会の連携体制により、高齢の方からの様々な活動の相談についても対応できるようにしていきたいと考えております。

○加藤委員 こういった数字を上げていくために今後どういうことをしていくのか伺います。

○池内区民活動推進担当課長 まずは、高齢の方だったり、そういったところのニーズだったりも地域で把握するというところでは、先ほどあった区のアウトリーチチームだったり、それから社会福祉協議会だったりの連携体制により相談を受けてまいりたいと考えております。

○加藤委員 地域デビューをするという意味では、この60歳代以上における地域活動を行っている割合が22.7%から35.1%に上がっているというところが顕著で、ほかは下がっているんですけども。こういったところをさらに後押しするような形で、地域通貨を設定して、そこで有償ボランティア制度など、そういったところをやることによってさらなる後押しをしていく。それが地域デビューにつながっていくと思いますけど、担当の見解はどうですか。

○池内区民活動推進担当課長 地域通貨の導入により地域活動に対するポイントを付与するということは地域活動の活性化に向けた仕掛けとして有効であると認識しております。これは、若い方に限らず高齢の方も同じだと考えております。また、デジタル通貨の導入に合わせて組み込んでいくことが効率的、効果的であると考えてございます。

○加藤委員 次へ行きます。32番、権利擁護と虐待防止の推進について、成果指標が低下している理由を教えてください。

○中谷福祉推進課長 権利擁護と虐待防止の推進の指標としましては、成年後見制度という言葉や仕組みを知っている人の割合でございますが、これが下がってしまった要因としましては、制度そのものの分かりにくさや制度を利用する必要のある方が限られることに加えまして、国や自治体などによる普及啓発の取組が十分効果的なものではなかったことなどによるものと考えてございます。今後は、成年後見制度の普及啓発事業を実施する際に、単独の実施では十分な参加者を集めることが難しいため、集客力の高いイベントと併せて実施するなど事業の効果を高める工夫を行うことによって、成年後見制度の認知度を高めていきたいと考えてございます。

○加藤委員 取材の中で、犯罪被害者のイベントでかなり人を集めたみたいな事例があったんで、ちょっと教えてください。

○中谷福祉推進課長 成年後見制度そのものではないんですけれども、犯罪被害者の支援に関するイベントで、民間の団体が実施したイベントで区が後援をしたものなんですが、セントラルパークサウスの会場を使って、過去に交通事故で亡くなられたバリスタの遺族の方が主催されていたんですけれども、その中で、バリスタの仲間を集めておいしいカフェを提供するイベントと、それと併せて交通事故で亡くなられた方のつらい思いですとか、交通事故が起きないようにということを知ってもらうような普及啓発のイベントを併せて実施することで非常にたくさんの方がお越しいただいて、またマスコミなどでも取り上げられて、周知や啓発の効果が高かったというふうに、そういったイベントがありました。そういったものを参考にして、集客力の高いコンテンツやイベントと併せて開催することで成年後見制度の理解や普及啓発も効果的に行っていきたいと考えています。

○加藤委員 そういったイベントを単発というか、一つの趣旨だけではなくて、いろんな複合的なことによって集客力を高めるというのが非常に有効だと思いますので、それぞれ、この話だけではないです。区全体として何かイベントを組むときにはそういった魅力的なコンテンツとセットでやっていただくということをお願いしたいと思います。

 続きまして、9ページ、34番、障害者への相談支援体制と地域生活移行を支える環境の整備について、成果指標が下がった理由をお伺いします。

○辻本障害福祉課長 成果指標が、この場合は上がった理由ということでございますが、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして相談窓口や障害当事者間同士の交流の場等に出向く機会が少なくなったこと、これによりまして情報を得る機会が減ったことが要因の一つであると推測しているところでございます。今後、これらを改善するため、利用できるサービスにつきましての広報、周知の在り方につきまして、より分かりやすい内容とするなど工夫してまいりたいと考えてございます。

○加藤委員 知っていたのに知らない人が増えてしまったみたいな指標にも見えるので、なかなか難儀だなと思います。あと、質問にはしないですけど、やはり解決策として広報が足りないというのは、どこの所管もよく言う話が多いということはここで指摘させていただき、後でまとめて伺います。

 次、37番、認知症のある人とその家族を支える環境づくりについて、指標が下がった理由について教えてください。

○河村地域包括ケア推進課長 オレンジカフェ等、認知症の人や家族が集える場所の設置数についてお答えさせていただきます。新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、2か所活動休止を余儀なくされ、17か所と成果指標が低下した状況にあるものの、今年度新たに開設しているオレンジカフェもございまして10月には19か所となる予定でございます。2025年までに25か所とするために、関係機関との連携を一層進め、認知症の人や家族の集える場所を整備してまいりたいと考えてございます。

○加藤委員 ちなみに、事業のほうでは地域拠点の開設、広報など運営支援というのが予定を変更して実施している事業というふうになっていますけど、この内容について教えてください。

○河村地域包括ケア推進課長 こちらにつきましては、4か所、令和4年度から設置をしました認知症の拠点ですけれども、こちらにつきましては基本計画の後期で予定をしていたところでございますが、前倒しをしまして令和4年度に実施させていただいたものでございます。

○加藤委員 その前倒しが黒丸で表示されて何か悪い印象も受けますけども、早くできたならいいのかなとも思いつつ、考え方はよく分わかんないですけど、そういったのがあるということは指摘させていただきます。

 続きまして、10ページ、39、健康的な生活習慣が身につく環境づくりの成果指標が下がった理由について教えてください。

○中村保健企画課長 新型コロナウイルス感染症の影響により、外出や買物などに制限を受けていたことによりましてこれまで行ってきた体調管理が思うようにできなかったことが影響している可能性があると考えてございます。

○加藤委員 この新型コロナ前からのトレンドについて教えてください。

○中村保健企画課長 自身の健康状態がよいと思う区民の割合ですけれども、2017年度は79.2%、2018年度は79.5%、2019年度は79.9%、2020年度は85.7%で、次に調査を行った2022年度が81.9%でございました。

○加藤委員 つまり、新型コロナ前はこの数字が8割いったことがない。さらに前は分かんないですけど、いっていなかったにもかかわらず、2020年度は85.7ということでかなり高い数字になったということで、推測すると、新型コロナで外出というか、外食とかそういったものがなくなって巣籠もり生活をすることによって、自身としては健康的な生活を送られていると思っている人が多くなったのが2020年度なのかなと。その後いろいろと経済活動、社会活動を活発化することによって、健康に対してちょっとネガティブなイメージが増えてこの数値が下がったのかなと思います。これ、先ほど言った商店街に行く人の割合が新型コロナの2020年ピークのときに上がったのと同じで、健康に関しても2020年の巣籠もり生活のときがピークだったと考えられて、そうするとこのときがピークの値で、ある意味、社会全体ですごい広報をした中でこういった数字になって、この後、9割の目標値を達成しようというのはなかなか難しいことだなということで、トレンドをしっかり見ない上でこういった成果目標を立てているということにちょっと疑問があるということを指摘させていただきまして、次の項へ行きます。

 11ページ、41番、生涯にわたり学び続けることができる環境づくりでこの数値が下がった理由について教えてください。

○冨士縄文化振興・多文化共生推進課長 まず、割合が低下した理由ですけれども、こちらにつきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、区民の活動ですとか取組、事業そのもの、あと区民の学習の機会、こういったものが一定制限されたことによりまして指標の値に影響しているものと認識しているものでございます。

○加藤委員 そもそもこの区民意識調査の設問が区内における様々な学習機会が充実していると感じる区民の割合ですけど、その枕言葉に、講座や教室、スポーツ活動や文化芸術活動など区内において様々な学習機会が充実していると感じる区民の割合となっているようですけれども、そうすると、何かこの指標が本当にこれで正しいのかなとか、あと、こういった指標を上げるためにこの事業がちゃんとひもづいているのかなと疑問がありますことを指摘して、次の項へ行きます。

 12ページ、43番、災害に強い体制づくりについて、数値が下がった理由について教えてください。

○福嶋防災担当課長 地域自主訓練等参加人員が減少した理由といたしましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、地域防災訓練の実施が見送られたことが要因と考えてございます。今後は、若い世代や要配慮者、外国人などを含めて地域の訓練等に参加していただくため、防災YouTubeの配信や防災体験デー、総合防災訓練など、魅力ある防災訓練を消防署や警察署などの防災関係機関と連携し積極的に展開してまいります。

○加藤委員 これもまた広報を頑張りますという話になってしまいますけど、先ほどひやま議員も取り上げていましたけども、やはり新型コロナでテレワークをやっている中で自宅にいる人が増えているという中で、そういったところで地域の活動の潜在能力や潜在値というのは上がっていると思いますので、そういったところにリーチするような広報をやるならばやっていただきたいということを指摘して、次へ行きます。

 13ページ、44番、西武新宿線連続立体交差事業を契機としたまちづくりの推進の数値が下がった理由について伺います。

○安田まちづくり計画課長 人口が減少した現状値は基本目標策定の翌年の数値であり、特に新型コロナウイルス感染症が流行している時期であり、そうした背景が理由にあると認識してございます。まちづくりの評価は長い年月の経過の中で成果が出るものでございまして、良好な住環境や魅力ある町並みの形成が進むことで定住人口が増えていくものと考えてございます。

○加藤委員 そうですね。まちづくりは5年では語れないと思いますけれども。ただ、数値目標を上げるというふうに言っておりますけれども、現状、例えば用途地域、第一種低層から変えないことには、建て替えしたところで別に人口が増えるような建物を建てるというのはかなり難しいなと思いますけども、そういった中で今まちづくり、いろいろここに挙がっている駅周辺まちづくりだったり防災まちづくり、こういったのを契機に用途地域を変えていかないとそういった人口増加というのはなかなか実現できないと思いますけど、その辺の区の見解をお伺いします。

○安田まちづくり計画課長 委員御指摘のとおり、連続立体交差事業や沿線のまちづくり、そういった契機が大事と考えております。これに併せて都市基盤の整備や駅周辺のにぎわい形成、そして防災を含む周辺の住環境向上に向けた、各地域特性を踏まえた地区計画等、様々なまちづくり手法を駆使することで達成していくものと考えてございます。線路上空活用や用途地域についても、こうした地域特性を踏まえたまちづくりを進める中で検討してまいりたいと考えてございます。

○加藤委員 我が会派でも、公共貢献ということで、サンプラザ容積率600%だったものが、良好な住宅、ホテルを造るとか、そういった要件をかなえることによって容積率1000%まで引き上げた。これ、中野区で一番最初だと聞いていますけども、今後、西武新宿線の駅周辺とかもこういった公共貢献の制度を使うことによりまして、いろいろと駅前の再開発をする際に公共貢献の中に区の欲しい施設を入れるというようなことも重要だと思いますけれども、見解をお伺いします。

○安田まちづくり計画課長 中野駅周辺とは少し性格が異なるものでございますけれども、地域特性や地域の要望を踏まえながら、様々なまちづくり手法を活用していく中で達成していきたいと考えてございます。

○加藤委員 続きまして、45番、各地区の特性に応じたまちづくりの推進について、これも同じような状況だと思いますけども、ここで一つ、事業の内容の中野坂上周辺地区のまちづくりにおける民間開発誘導の検討について未着手とありますけど、これはどういったことでしょうか。

○安田まちづくり計画課長 こちらの理由につきましては、中野坂上地区は新宿副都心に隣接した交通結節点等の立地条件を生かした交流拠点のまちづくりを誘導していく地区として都市計画マスタープランに示されてございます。こうした中で、地区まちづくり条例による地元権利者等のまちづくりの機運を踏まえ、民間再開発事業誘導等の勉強会の支援を行うことを想定してございました。地域では具体的なまちづくりの動きがまだ生じていないため、未着手としてございます。

○加藤委員 これ、5年以内には難しいということなんですかね。そういったところを御指摘させていただいて、次の46番、住宅ストックの質の向上、適切な維持管理及び有効活用の推進について、数値が悪化した理由について伺います。

○落合住宅課長 空き家棟数の増加の要因についてお答えいたします。令和3年度に空き家電話相談窓口を開設し、これを契機として、区民、町会関係者、民生・児童委員などに対して周知を強化したことなどにより、区へ寄せられる相談、苦情が増加しております。一方、空き家棟数の中では、建物自体に大きな損傷が見られるものの数は横ばいであり、大きく増加しているのは、建物自体の管理状況は比較的よいが、雑草や樹木の繁茂または越境があるものでございまして、苦情の多くを占めるのも雑草や樹木の繁茂や越境でございます。こうしたことにより、空き家として把握する件数が増加しているものと考えておりますが、庁内においても建築課、道路管理課、環境課等、関係部署との連携体制を構築して空き家に関する情報の集約と対応を進めているところでございます。

○加藤委員 ランク分けすると、資産として空き家がしっかりあって管理も行き届いているからカウントしなくてもいいんではないかなみたいなのもあると思いますし、その辺は指標の在り方として、悪いやつは横ばいだということなんで、その辺はしっかりと見ていただきたいなと思いますけども。今後そういった中で新たな目的達成のための試みというのは何がありますか。

○落合住宅課長 空き家に関連しましては、相続登記の義務化や所有者の責務の強化、管理が不十分な空き家に対する固定資産税の減額措置の解除などの法改正が予定されており、こうした法改正についても今後セミナーや啓発チラシなどの中で併せて周知してまいります。さらには、町会関係者や民生・児童委員だけでなく、高齢者会館や地域包括支援センター等、高齢者に関連する窓口や団体等を通じて、空き家の管理不全予防に向けて、空き家の所有者だけでなく、持家の所有者に対しても持家の有効活用等の啓発に取り組んでまいります。

○加藤委員 固定資産税減免が解除される可能性もあるというのはかなり大きな事業推進に、国のほうですけども、あると思いますので、しっかりとやっていただきたいと思います。

 次に、47番、まちなかの安全性・快適性の向上について数値が横ばいである理由はどうでしょう。

○塚本都市計画課長 こちらの指標数値でございますが、年度ごとに微小な上下を繰り返してございまして、今委員おっしゃったように、横ばい状態にあるものというふうに認識しているところでございます。

○加藤委員 これ、メインは景観方針、景観計画だと思いますけども、2025年度までにこういった数値を上げていくということですけども、結局、区全体の計画ができたところで、個別計画というのが見えないとなかなか景観が変わってこないと思うんですけど、個別計画というのは今後どうやって、まだ計画の策定の段階かもしれないですけど、その後どういうことが検討されているのか具体的に教えてください。

○塚本都市計画課長 まず、景観まちづくりの推進そのものの考え方でございますが、まず区が景観行政団体となることによりまして区が主体的に景観形成に関わっていくことができる。そういった結果、区民の景観形成に向けた機運が一層高まるものというふうに考えてございます。その上で、景観計画に基づき現在想定しているところといたしましては、まちづくりの検討が進んでいる地区、あるいは今後まちづくりを検討するような地区、そういったところにおきまして、地域住民と一緒に、まちづくりだけでなく景観の視点も併せて検討を行うことなどによって景観づくりの下支えができるものというふうに考えているところでございます。

○加藤委員 区はどこか特定の地域に入り込もうとか、そういった何か考えがあったりするんですか。言われるまで動かないんですか。

○塚本都市計画課長 区としてここをしっかり景観づくりを行っていこうという特別な地区という位置付けは現状ではまだございませんが、まちづくりの進展、そういったところでやはり景観も併せて進めていくべきであるというふうに考えた場合におきましては、積極的に区のほうからも働きかけを行っていきたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 何か当初出たときの期待よりはなかなか、実際それぞれの所有のものをどういじくるなんてあり得ないと思うので難しいと思いますけども。でも、やっぱり区が主導していかないとなかなかこんなものは進まないと思いますので、何か言われるまで待つというのはやめていただきたいなということを指摘させていただきます。

 49番、多様なニーズに応じた魅力ある公園の整備で、これはトレンドについて伺います。

○村田公園課長 利用頻度別の割合の単純合計でございますけれども、2015年度が約27.6%、2016年度が約29.1%、2017年度が30.4%、2018年度が約29.1%、2019年度が約31%、2020年度が約34%、2021年度が約37.5%、2022年度が32%となってございます。

○加藤委員 目標値が36%で、ここに載っている指標は、2020年度が34%、現状値が32%ですけれども、ここに書いてある2021年度では37.5%で目標値を達成しているということで、ある意味、外れ年だったみたいな。これは結局、区民意識実態調査がこれでいいのかみたいなところですけども、その辺は最後にまとめて言います。

 続いて、50番、誰もが利用しやすく、円滑に移動できる交通環境の整備で指標が悪くなった理由について教えてください。

○宮澤交通政策課長 アンケートの下がった理由でございますが、アンケートの回答者の感覚的なものとなりますので定量的な分析は困難ではございますが、指標が下がった理由としましては、中野駅周辺における駅ビル工事や再開発等により移転している仮設のバス停、自転車駐車場等が以前よりも利便性が低下したこと、また、新型コロナウイルス感染症の影響によりバスの減便等があったことが影響しているのではないかと考えてございます。目標達成に向けましては、現在策定検討中の地域公共交通計画を策定するとともに、本計画に位置付けられる施策を着実に推進することで目標値を達成していきたいと考えてございます。

○加藤委員 このアンケートでは、満足している割合と、どちらかといえば満足している人があるわけですけど、足し合わせた数値だとトレンドはどうなっていますか。

○宮澤交通政策課長 交通の便についてよいと回答した割合と、どちらかといえばよいと回答した割合は94%となってございます。

○加藤委員 結局、足し合わせると満足している人が大体一緒だということで、何か分析値としてどうなのかなということを指摘して、次へ行きます。

 52番、ごみの減量やリサイクルの推進について、指標が下がった理由を教えてください。

○阿部ごみゼロ推進課長 まず、2021年度のごみ組成調査時には、外出自粛の影響により、テイクアウト食品などの容器包装プラスチックが増えました。これにより排出者が資源回収に回さなかったことが想定されております。今後は、プラスチック新法を踏まえて資源回収の拡充を図るとともに、ごみの分別ルールを周知徹底する形でまいりたいと思います。

○加藤委員 かなり上がってしまっているので、改善を求めたいと思います。

 次に、54番、犯罪や事件・事故の防止と消費生活の安全の推進について、この数値が悪くなった理由を教えてください。

○阿部生活・交通安全担当課長 新型コロナウイルス感染症の影響により自転車利用者が増えたことが自転車関与事故増加の一因にあると考えております。区では、中野、野方両警察署と連携して、自転車事故の多い高齢者が多く参加する自転車安全利用講習会や、30代から50代の保護者世代に向けた親子自転車教室などの充実を図っております。また、7月から新規事業として開始した自転車用ヘルメット購入補助事業等を通じて区民に対して自転車の安全利用を啓発してまいりたいと思っております。

○加藤委員 一般質問でも我が会派の伊藤議員が取り上げましたけども、警察は、来年度以降、自転車にも青切符を切れるように国会で法改正に向けて検討しているということですけれども、改めて伺いますけれども、こういった警察が実効的なことをやってくれるということで、中野区はそういう意味では理念条例でもいいとは思うんですけども、自転車条例を制定すべきと考えますけれども、伺います。

○阿部生活・交通安全担当課長 警察庁が自転車の交通違反に対する交通反則通告制度の導入を検討していることは承知しており、法改正等の動向を注視しているところでございます。自転車の安全利用に関する条例の制定については、他区の制定状況などを調査研究していくとともに、引き続き交通安全啓発の充実に努めていきたいと考えております。

○加藤委員 理念条例でもいいと思いますので、しっかりとつくっていただきたいと思います。

 次、55番、感染症の予防と拡大防止でこの数値が悪化している理由について教えてください。

○鹿島保健予防課長 まず、2020年は97.3%でありましたところ、2022年には94.8%に低下しております。この2年間に何度も新型コロナウイルス感染症の流行を経験し、感染症対策が習慣化されたことが影響していると考えられております。今後も予期せぬ新感染症が流行または再興感染症の定期的な流行等に備えて感染症の予防を呼びかけていき、住民には継続して感染症予防の意識を高めていくことが重要であると考えております。

○中村保健企画課長 こちらの指標のうち、②の区民健診(長寿健診)の受診率のほうにつきまして私のほうからお答えいたします。新型コロナウイルス感染症の感染状況により、健診を行っている医療機関等への受診控えがあったのではないかと考えてございます。しかしながら、受診控えは減ってきていると認識しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響で健康に関する区民の関心は以前に比べて高まってきた一面もあると考えてございます。そういった意識に有効に働きかけるような広報を今後工夫していきたいと考えてございます。これに加えて、行動変容を促すナッジ理論を活用した受診の勧奨の工夫などにより、目標の達成に向けた受診率の向上を図ってまいりたいと考えてございます。

○加藤委員 感染症の予防を心がけている人は2020年をピークにちょっと低減してしまうと思いますので、防災意識も一緒ですけども、何かがあったときは上がりますけど、下がってしまうのをできるだけとどめるというようなことをやっていただきたいと思います。長寿健診の受診率が、取材のときに聞いたら、年々下がっているというところで、2018年から右肩下がりになっているわけですけれども。そういったところでやはり昨年も医師会から予算要望があったわけですけど、受診控えに対して、結局広報となってしまうんですけれども、そういったところをしっかりとやっていただきたいと思います。

 次、56番、最後、安全・安心な生活環境の確保、この数値が横ばいの理由を教えてください。

○秦生活衛生課長 まず、西暦の偶数年に実施しております健康福祉に関する意識調査アンケート結果において、食中毒に関心があり、十分理解している割合を成果指標としてございます。直近の2022年の調査は、新型コロナウイルス感染症が蔓延した時期であり、区の食中毒の普及啓発講座など一部中止になったことも影響している可能性があると考えております。

○加藤委員 これで全ての低下した成果指標について伺ってきましたけども、話を聞いていれば、たまたま数字が上がって、今回リストには挙がらないものもあったかもしれないなというぐらい、扱っている成果指標というところの問題点があったわけです。全体として総括をこの後させていただきますけれども。

 まず、中野区区民意識実態調査から持ってきた指標が多いわけですけども、最初に挙げましたユニバーサルデザインの認知度の際には、説明があったとおり、調査に回答した年代の構成によって出てくる結果が大きく変わってくる可能性が示唆されました。毎年取っている値であれば移動平均値を使うとか、また、年代の構成が異なるのであれば人口に対して割り戻した案分値を使うなど、それなりのデータ加工が必要になると思いますが、いかがでしょうか。

○森企画課長 成果指標の設定に当たってのデータの加工につきましてのお尋ねですが、基本計画の現在設定しております成果指標におきましても、年ごとに増減が大きいものにつきましては、5年間の平均値を現状値として設定しているといったような、平均値を取っているというものもございます。確定しました調査結果をさらに加工して成果指標に設定するかどうかということにつきましては、その加工したデータが適切なものと言えるかどうかにつきまして慎重に見極めた上で判断する必要があると考えております。

○加藤委員 既に移動平均しているものもあるということですけども、年代によって大きく変わってくるものとか、このまま何も操作していなかったら自分らで厳しい結果を出すだけだなと思いますので、そこら辺はお任せしますけれども、指摘させていただきます。

 昨年、情報政策等調査特別委員会で兵庫県の統計普及・加工分析事業について伺いました。講師は統計課の職員で、かつ、県立大学の客員教授という異色の方でした。兵庫県はEBPMを先進的に行っている自治体で、統計データとは何か根本的なところから、自治体でもできる経済波及効果の分析などを教えていただきました。神戸マラソンなどの経済波及効果などは自治体で自らそういった推計を行っているということです。中野区には使えないアンケートがたくさんあるかなと私は思うわけですけども、継続性を意識して改良できない状況もあるとも理解しています。しかし、そこで講師の方に伺いましたけれども、使えないのであれば継続性を無視してでも改良すべきとの指摘がありましたというか、そう言っていただきました。そう考えると、今後、区民意識実態調査をどうすべきかということを伺いたいと思います。

○浅川総務課長 区民意識実態調査の目的は様々ございますが、大きなものとして、基本計画の指標の達成度等、区の取組の進捗状況を把握し、区全体の政策に生かすためのエビデンスに活用するというものがございます。このため、質問事項について基本的な設問を経年的に観測していくものへと精選し、各所管が行う個別の事業満足度調査等とは役割分担し、すみ分けていくという方向性を持ってございます。このようなことから、ある程度の設問内容の継続性は保持しつつも、分かりやすく、より正確な選択肢を示せるように改善したり、区が新たに取り組むべき社会課題に対応する設問を取り入れるなど、各設問についての所管との調整をより精緻に行っていこうと思ってございます。また、区民意識実態調査という名のとおり、実際の区民の皆様の意識と実態を可能な限りありのまま反映させることが本調査のあるべき姿と思ってございます。

 回答率の高さはアンケート調査の信頼性の基礎であるとされている中、本調査は3年間の回答率平均約54%という、各種アンケートの調査の中では高い協力を頂いているものでございます。全体の協力率を向上させるだけでなく、例えば回答率の比較的低い若者層により一層協力いただきやすくする目的もあって昨年度からウェブ回答方式を導入しているところではございますが、年代層の分布についても区民の年代分布にできるだけ近しいものにしていくなど、調査精度をさらに高める努力を一層進めていきたいと思ってございます。

○加藤委員 そういった試みをやっていただけたらいいと思います。

 中で挙げましたけど、商店街の利用だったり、健康意識など、新型コロナによる影響がピークである2020年度ほど成果指標がよくなったという結果があり、その後逆に下がっていってしまうということで、目標達成が厳しいものとなっている指標も幾つかありますけれども、それは過去の2020年度より前のデータをしっかり見ていないからこういった設定になってしまっているのかなと思うんですけども、この点についてどのような見解をお持ちか伺います。

○森企画課長 成果指標の目標値の設定についてでございますが、過去のトレンドを踏まえた上で目標値を設定するということについては基本であるというふうに考えておりまして、そういった観点での設定ということもしているということでございます。一方で、一度上昇した値、これを低下させずにさらに上昇させていく目標ということを立てて取組を進めるということも必要だと考えておりまして、そういった観点でも目標値を設定したということで捉えております。

○加藤委員 また、横ばいの指標もありますけれども、何をやっても変わらないみたいな状況になっていて、そうすると、指標がまずいのか、事業が全くうまくいっていないのか、目標値が悪いのかといろいろあるわけですけど、その辺、どのような見解をお持ちですか。

○森企画課長 この成果指標につきましては、各施策の取組を実施したことによる成果を数値で表すということで設定をしておりまして、それぞれの施策の成果指標ということについては妥当なものとして捉えているところでございます。この設定した目標値の達成に向けて今後も取組を進めていくということで考えております。

○加藤委員 指標が上がらない中で、その対応策として広報をしていきますという答弁が幾つかあったわけですけれども、あまりに情報があり過ぎて、例えば中野区のホームページとか見て、お知らせ欄を見たって、3日もあればもう更新されてトップページには載らなくなってしまって、情報があまりにもあふれ過ぎてしまって、逆に区からの情報を全部シャットアウトしてしまうぐらいの状況もあり得るのかなと思う中では、事業施策の中で何か優先順位というか、一般区民に対して――その必要なサービスを持っている人たちにはやっぱり必要ですけれども、一般区民の平均値的なところでどの施策が優先順位が高いかみたいな、こういうことをやらないと区民がなかなか区政について関心を寄せていただけないのかなと思うんですけど、その辺の区の見解を教えてください。

○森企画課長 基本計画におきまして組織横断的かつ重点的に対応することが必要な政策課題に対して重点プロジェクトを設定しているところでございまして、その取組については組織、人員体制の整備と予算の計上を行い、着実に推進していくというふうにしております。ですので、そういった部分での一定の優先順位というのはつけているというふうに考えております。

○加藤委員 そういった意味では、今回はやらないとおっしゃるんでしょうけど、成果指標を見直すことも必要だとは思います。

 ちょっと時間がないんで飛ばしますけども、先ほど冒頭のほうで言いましたけども、基本計画を達成するために事業があるのかなと思ったんですけど、あんまり見ていないというところがスタート地点です。何のために基本計画をつくったんだというところですけれども。その上で今度実施計画なるものをつくるわけですけども、この質問を市川議員にしてもらったら、具体的に、具体的にというキーワードばかり出て、今まで具体的にはなかったのかというような感じのものに対して実施計画が立てられるということになると思うんですけども、実施計画というのは何なのか、会派としてもう一回伺います。

○森企画課長 新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によりまして、財政状況を含め先行きが不透明な状況の中、令和3年度に基本計画を策定したこともございまして、結果として、後期の事業展開が前期からの継続というものも少なからずあったというようなことでございます。そういった後期に取り組むべき事業の展開を具体化して基本計画を着実に進めていくため、実施計画を策定するということでございます。

○加藤委員 決算としてこの基本計画の進捗を見ながら各施策について状況を伺いましたけれども、そもそもこの基本計画について見ながら予算編成がされていないというようなところもありましたし、この成果指標も見ていなかったということが出てきて、中野区の最上位計画である基本計画を実現するための区政ではなかったんだなという感想を残して、この項の質問を終えます。

 それでは、次、2、財政フレームについて伺います。

 まず、令和4年度の編成時の財政フレームについて。フリップを使って、読めないのは重々承知ですけど、何が見せたいかというと、財政フレームで、上に歳入歳出がありまして、義務的経費と繰出金、そしてここに赤枠でやっているところに一般事業費と新規・拡充等事業とありますけれども、この一般事業費というのは、この横引きで214億円で毎年ずっと一緒。この一般事業費というのは事業の経常経費ということで認識しておりますけれども、それでよろしいですか。

○竹内財政課長 一般事業費の考え方については、委員御指摘のとおり、義務的経費等を除いた事業費の経常経費でございます。

○加藤委員 いわゆる固定費とでもいうんですかね。経常経費を先ほど214億円で10年間やっていきますと言った翌年、令和5年度の予算編成では244億円になっています。これは30億円の増加となっているわけです。1年もたたずにその財政フレーム、翌年度以降こうすると言っていたやつが簡単に破綻してしまったわけですけども、このことを再三言わせていただきました。こういった状況をどう捉えていますか。

○竹内財政課長 実際の一般事業費につきましては、年度の歳入等もございますので、その年度年度の適当な時期を見計らってこちらのほうへ編成していると、そのように認識してございます。

○加藤委員 毎年様々な行政需要がある中で、単年度の単発事業や施設整備など金額が多少なり高くなることも致し方ないとありますけども、経常経費が膨らんでいくことは将来的に区財政に不安を残すものであります。経常的な経費をしっかり抑え込むことが区政安定に向かっていいのかなと思いますけれども、そういった中で今、一般事業費ともう一つ、新規・拡充等事業というのを言いましたけども、その新規・拡充等事業というのは「等」の中に推進で、新規・拡充・推進事業という意味でよろしいですか。

○竹内財政課長 こちらもそのとおりでございまして、新規・拡充・推進事業の全ての予算額の合計となってございます。

○加藤委員 新規・拡充等事業の中には投資的経費が含まれているということでいいですか。

○竹内財政課長 新規・拡充・推進事業に含まれる投資的経費につきましてはこちらの中に含まれてございます。

○加藤委員 となると、二つの事業費を足したもの、一般事業費と新規・拡充等事業費を足し合わせたものが当年度の事業費という認識でよろしいですか。

○竹内財政課長 委員御指摘のとおり、一般事業費と新規・拡充・推進事業、また、その他の義務的経費等の合計が当該年度の事業費となります。

○加藤委員 ここで一つ疑問が出てくるんですけど、ある事業が拡充・推進事業となると、一般事業費に入っていたものから取り出されて新規・拡充・推進事業となりますというルールで一般事業費を積算するのであれば、例えば全ての事業が拡充事業と指定された場合は、一般事業費はゼロになるというのはテクニカル上あり得ますよね。

○竹内財政課長 委員お示しのとおり、全ての事業が拡充事業になったと仮定した場合、全ての事業が新規・拡充・推進事業となりまして、一般事業費はゼロとなります。

○加藤委員 今こっちのフリップだと、上が一般事業費、下が新規・拡充・推進事業、投資的経費も含めますけども、トータル的に見たらこの金額を抑えていく。今のルールだと、一般事業費って結局ゼロ円にすることも簡単だということですね、言い方とすれば。現実には、だけれども、拡充事業だと認めれば一般事業費から除かれてしまうわけであって、そのことがどうなのかというのはこの総括質疑の中でのやりたいことなんですけども。例えば、あと投資的経費に関しましてもこの新庁舎建設があるといきなり510億円というふうになってしまうので、この事業費バランスを見るためには投資的経費を除いた事業費だったり、固定費とか変動のお金をちゃんと見ていかないと、そういった区の財政が難しいのかなというふうに考えるわけです。

 事業を一個一個見ていくと、例えば令和2年度、令和3年度、令和4年度の予算ですけども、GIGAスクール構想、これは補正予算で途中で生まれたやつですけど、3.7億円でした。これが翌年度はプラス5.5億円になりましたので、拡充事業として新規・拡充事業に入っていくわけです。これが翌年度になると一般事業費に回ります。拡充も推進もしないので、新規ではもちろんありませんので、そうするとこっちの中に入ります。逆に、こっちに耐震化促進事業1億円というのがありましたけれども、これが拡充によって1億円プラスになったんで総額2億円になりました。そうすると、こっちに行ってしまう。こういった中で一般事業費と新規・拡充事業費のお金が決まってくるということが分かるわけですけども。こうなると、一般事業費って何だったんだろうみたいなところ。何だったというか、それを理解をちゃんと、ここの数字は何のために出しているんだぐらい、一般事業費ってふわふわしたものだなというふうに思っているわけですけども、この辺についてちょっと御説明いただけますか。

○竹内財政課長 一般事業費と、あと新規・拡充事業等の経費につきまして、こういった入り繰りがあるというのは認識してございます。そういったものを含めまして区として歳出のほうを全体的にコントロール、総体的にコントロールしていく。そういったことが健全な財政運営につながるのかなと考えてございます。

○加藤委員 もう一回言いますと、私として、考えとしては、例えば家計に置き換えれば、上のほうが住居費とか光熱水費とか通信料、保険料などの固定費と捉えていたんですけど、そうでもないし、下のほうを交際費だったり医療費だったり変動費のほうで物を考えればいいのかなと思ったんですけど、例えば今のコントロールの仕方だと、物価高騰で電気代が1.5倍になりましたといったら、これは拡充事業だねといって、家庭の固定費で考えたらいきなり新規・拡充予算に回しているような、そういった感覚に見えるので。こうなると固定費の考え方が全く難しいなというふうになってくるわけで、何のために一般事業費というのを表示しているのかなというふうになってくるんですけれども、来年度予算からこういったところをしっかりと分類して表示してもらいたいなと考えるわけですけど、いかがでしょうか。

○竹内財政課長 現在、令和6年度予算編成につきましては方針を公表し、全庁的において作業を開始しているところでございます。考え方を変更することにつきましては現在進行中の編成作業に大きな影響を与えることになり、また、経費には物価高騰や人件費増などの増分もございまして、拡充・推進事業部分だけを切り出すのは非常に困難と考えてございます。

○加藤委員 結局、今年度は間に合わないのは分かりました。来年度は可能なんですか。

○竹内財政課長 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、一般事業費、また新規・拡充等事業、そういった事業費を全体的、総体的にコントロールすることによって健全な財政運営に努めてまいりたいと考えてございます。

○加藤委員 いや、表示することが不可能なものではないと思うんですけど、できないんですか。

○竹内財政課長 こちらの経費をそれぞれ切り出すとなりますとかなり煩雑な作業を膨大に行わなければいけませんので、現在のところでは非常に困難と考えてございます。

○加藤委員 例えば当初予算の概要とか見ると、昨年度幾らで、拡充して幾らみたいな表示をされているじゃないですか。その数字の中で一般財源のところだけ当てればいいだけですから、そんなに難しい作業ですか。

○竹内財政課長 新規・拡充事業に関しまして、各事業部のほうからこちらのほうへ予算編成のときに提出いただいています。その中でそちらの数字を明らかにして、純粋に増分であるとか、そういったところの切り分けをするといったことの作業はかなり困難かと思います。

○加藤委員 そうしたら投資的経費だけでも、その内訳だけでも出すことは可能ですか。

○竹内財政課長 投資的経費につきましては、現在、予算審議におきましても財源内訳等をお示ししているところでございます。財政フレーム上で明示することは難しいと考えていますけれども、分かりやすい説明に努めてまいりたいと考えてございます。

○加藤委員 何で財政フレームに入れないんですか。新規・拡充等の中で、そのうちの投資的経費は幾らかとだけ表示することも難しいですか。

○竹内財政課長 そもそも財政フレームというのは区全体の財政的な流れを示すものでございまして、そちらのほうに特化して示すということは趣旨にはあまりそぐわないものであるかなと考えてございます。

○加藤委員 その投資的経費さえ引いてしまえば、投資的経費以外のだけ見たいんですけど、そっちの表示をしてほしいんですけど、その表示はできますか。

○竹内財政課長 投資的経費に関しましては個別の事業費という形になりますので、こちらの財政フレームで明示することは難しいと考えてございます。

○加藤委員 繰り返しになってしまいますけど、難しいわけないじゃないかと言いたいの。今すぐそれはやってください、そのぐらい。それはいいです。そういったところで、そういうふうに物の考え方、全体的な財政フレームの考え方について提案とお願いということで、この項の質問を終わらせます。

 続いて、3番、職員の人材育成・適正配置についてお伺いします。

 今回特に問題と感じているのが技術職についてです。近年、業界団体から、職員の技術力が低く、発注者、管理者として備えおくべき必要な知識経験が足りないとの話です。発注における仕様のミスにより追加発注によるコスト増や納期遅延となり、行政運営、区民サービスへ大きな影響を残した事例もあるそうです。職員の技術力が低迷しているようであれば取り返しのつかない状況も想定できます。そこで伺いますが、中野区は技術職の育成に当たってはどのようにしているのか。技術職に関する育成方針などがあれば併せて伺います。

○石橋人事政策・育成担当課長 技術職の育成につきましては、職場でのOJTを基本に、基礎的な知識習得や実務能力の向上を目的とした職場単位での研修を実施しているところでございます。また、特定の高度の専門知識や最新の法令、技術情報等の獲得につきましては、特別区職員研修所や東京都あるいは国や関係機関の外部研修を活用して、個々人の職務経験や職務内容、技術レベルに応じて選択受講しているところでございます。また、区は人材育成基本方針を定めてございまして、現在その方針に基づき、土木建築職を中心とした技術職の人材育成プランの策定の検討を進めて、令和6年度には策定したいというふうに考えてございます。

○加藤委員 一方で、業界からの声で、技術職の対応に問題があるとも聞いております。職人気質になっているのか、かなり横柄な態度で対応する職員も少なからずいるということです。許認可等の権力行政といった業務上の性質であること。特定の専門能力を持ち、特定の職場に長くい続けた結果、視野が狭くなることも影響するのではないかと考えます。視野を広げるために、コミュニケーション能力を高めるためにも、技術職特有の特定職場にこだわらず、事務系の窓口職場等の経験をさせる異動ローテーションを経験すべきと考えますが、区の見解をお伺いします。

○石橋人事政策・育成担当課長 区の技術職は、行政として求められるレベルの確かな技術力を身につけることはもちろん、区民や事業者、関係団体の方々の立場に立ち、真のニーズや状況を読み取る力あるいは信頼を得るコミュニケーション能力、関連する周辺領域の知識や状況を理解できる視野の広さも求められるところでございます。異なる分野で区民と直接関わり合える職場の経験は、視野の拡大やコミュニケーション能力の獲得には有効であるというふうに考えてございます。技術職の育成プランの中でも検討を進めていきたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 技術職の在り方について、現場のトップであります都市基盤部長から見解をちょっとお伺いしたいと思います。

○豊川都市基盤部長 今、石橋課長のほうが大部分申し上げましたけれども、繰り返しになるかもしれませんが、技術職に求められる能力ですとか役割、そういったものはそもそも行政と民間企業では違うということもありまして、そうした役割や能力は時代時代で変わるものというふうに考えてございます。例えば建築技術職の場合でございますが、かつては職員自らが施設の設計を行ったりですとか工事監理を行う、そういったこともあったわけでございますけれども、現在では必要な業務内容が大幅に増加をしたこと、あるいはその専門分化、そういったことなどによりまして、民間への発注業務、それから進行管理が主流となっているというところでございます。こういった変化に沿った行政と民間の役割分担をしっかり認識しなければいけないというふうに考えているところでございます。基礎的な技術の習得、これはもちろんのことですが、現在では新庁舎移転に伴うDXの推進ですとか進展ですとか新しい働き方への移行、それから関連する法制度の変革や技術分野全般にわたるITシフト、こういった時代の大きな変化に敏感に反応しまして、時代に適した効果的・効率的な役割分担や能力開発についても確実に進めていく必要があるというふうに考えてございます。

 本来、技術職員はあくまでも行政職員でございますので、政策立案ですとか区民の接遇、こういったどの時代でも求められる普遍的な役割、これについても大切にしながら、中野区職員としてのスキルアップもしっかりと図っていきたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 私も役所で働いたことがありましたけど、物理の1ページに載っているニュートンの法則も分かんない人が技術職をやって、もう業者と何にも話が進まないみたいなことがあって、逆はないのかもしれないですけど、技術職は逆に区民と対応するようなサービスをしっかりやっていかないと、何が区民に求められているか本当に分からないと思いますので、その辺、しっかりと異動ローテーションを組んでやっていただきたいと思います。ありがとうございます。

 次に、デジタル人材について伺います。新庁舎移転が目の前に迫りまして、職員の働き方や区の業務オペレーションも変化しつつあります。特にMS365の活用は大きな変革をもたらす可能性があります。それに対しては短期的なツールの操作習熟はもちろん、長期的な視点でデジタルを最大限に活用した業務・サービス改革や働き方改革ができる人材の育成が課題であると考えます。区は3月にDX人材の育成の考え方を取りまとめ、それに基づいて職員の育成を進めているとしていますが、現在の取組状況について伺います。

○石橋人事政策・育成担当課長 DX推進に資する人材につきましては、外部人材の獲得と内部人材の育成の両面の対応で実現していく必要があり、とりわけ内部人材の育成につきましては全職員のICTリテラシーの底上げ、管理職の意識改革、そして業務推進の中核となるいわゆるDXリーダーの養成という観点で進めていくこととしてございます。特に各部課に配置するDXリーダーの養成につきましては重要かつ急務と考えており、今年度から協定を締結しているマイクロソフト社や、あるいは東京都と連携して検証を進めているところであり、ここ数年で一定数を育成する予定でございます。また、MS365の操作研修やDX推進に対する意識改革も併せて進めているところでございます。

○加藤委員 先ほどの技術職の技術力強化について言えば、MS365の機能を使って現場と執務室をつなぎ、技術力のある職員がリモートで技術指導ができるようにするなど、仕事の仕方や機能を見直すことで技術力を補えると考えますが、いかがでしょうか。

○石橋人事政策・育成担当課長 MS365を活用し、職場と現場をつなぐリモートワーク、これはこれからの仕事の基本スタイルの一つになるというふうに考えてございます。情報セキュリティに十分配慮しながら、知識や技術レベルを補完する機能としても有効に活用していきたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 それぞれの課でデジタル人材として担当者を置いていくことになると思いますけども、その担当者が異動でいなくなると誰もシステムが使えないで、途端にその課が大混乱するみたいなこともあると思います。私自身も大学の研究室にいたりシンクタンクにいたり、地域団体を辞めて、その後2年間ぐらい、「これ、どうやるの」というデジタル系の質問をよく連絡を受けたりもしたわけで、そうすると役所の中でも同じようなことが起こるようなことを懸念するわけですけども、その辺のデジタル人材の異動ローテーションについて伺います。

○石橋人事政策・育成担当課長 先ほどもお話ししたとおり、DXリーダーはここ数年で一定数を育成していく予定でございます。各部課に1、2名程度配置できたらなというふうに考えてございます。その後もDXリーダーによってさらに新たなDXリーダーを継続的に養成する仕組みを構築することによって、特定の職員が特定の職場に固定する必要はない人事異動ローテーションを実現できるというふうに考えてございます。

○加藤委員 今1、2名と言ったんですけど、少なくとも2名いないとそこが回っていかないのかなと思いますので、そこら辺は人数バランスを考えていただきたいと思います。

 2017年5月、国はデジタル社会に対応した行政サービスを実現する方針としてデジタル・ガバメント推進方針を定めました。その一つの柱としてデジタル技術を徹底活用した利用者中心の行政サービスの改革であり、その推進の考え方としてはサービスデザイン思考を取り入れると宣言しています。東京都もサービスデザインガイドラインを定め、サービスデザイン思考を基軸としたDXの推進、サービスの改革、そして職員の育成に取り組み始めております。区もDXを推進するに当たりましてそういった考えを基盤とする人材育成を取り組んではいかがか、伺います。

○石橋人事政策・育成担当課長 徹底的な利用者視点に立ったサービスの在り方を考える、いわゆるサービスデザイン思考の重要性については認識をしてございます。現在、先ほど申し上げましたDXリーダーの育成に当たりまして、その育成研修でのグループワークのテーマとして業務改善だとかデータ活用というこれまでの重視してきた概念とともに、区民サービスの向上を目的としたサービスデザイン思考を新たな議論のテーマとしても取り上げて検証しているところでございます。今後はDXの分野に限ることなく、区民サービスの質向上に貢献する施策構築の仕組みにつながるよう、サービスデザイン思考を人材育成の視点や要素に取り入れた人材マネジメントの取組を検討していきたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 そうしましたら、次、4番、業務発注について入っていきます。

 公契約条例についてまず伺います。公契約条例によりまして、1,000万円以上の委託業務においては労働報酬下限額が1,170円となり、無論そのための契約金額になっていると考えます。しかし、1,000万円未満の委託業務においては公契約条例の対象外となるために、東京都の最低賃金1,072円に準じるために契約金額も入札によってかなり割安になってきます。公契約条例では1,000万円以上の委託契約を適用対象としていますが、同時に、ほかの1,000万円未満の委託契約も受託している事業所、1,000万円以上と1,000万円以下、両方取っている会社がありますけども、そういった会社においては、1,000万円以上だと1,170円、そうではないほうは1,072円ということになります。そういう会社が実際にあるというふうに伺っておりまして、といって、同じ会社の従業員で、1,000万円以上だと1,170円で、そうではなかったら1,072円のベースで給料を与えるというわけにもいかないので、1,000万円以下の業務も持っているところは、結局1,170円を最低の時給に設定せざるを得なくなって、このままだと赤字になる見込みだということです。そのような状況が発生していることは区は認識しておりますか。

○原契約課長 公契約条例では、適用対象となる委託契約を1,000万円以上で、かつ規則で定める範囲の業務について対象としていることから、受託事業者内において公契約条例適用業務の従事者か否かにより労働報酬下限額が適用されるものとそうでないものが生じ得ることは認識してございます。一方、公契約条例を適用することによる受託者への報告書作成の事務負担等の観点から、契約予定金額の多寡等を基に適用対象とする委託業務に一定の制限をかけることはやむを得ないとも考えてございます。

○加藤委員 やむを得ないかもしれないですけど、こういった状況のままでいいとお考えですか。

○原契約課長 公契約条例の趣旨として、適切な労働者の契約環境の確保、それと公共サービスの品質確保という観点がございます。そちらの履行のために、公契約条例では、まず対象要件を、対象となる委託業務を制限の下、運用をスタートしてございます。今後の運用については引き続き状況を注視しながら考えていきます。

○加藤委員 こういった事態が発生するということは従前から我が会派としては指摘させていただいたところです。賃金のベースアップによる労働環境の改善というのは必要なことだと思いますけれども、この100円近くのギャップというのはかなり厳しいことになっている。このギャップを埋めるためにそれぞれの事業者が努力されていると。この前我が会派でも取り上げましたけど、全国の自治体の給食事業を担っていたホーユーという会社が経営不振で廃業の道を選び、事業が止まってしまった事例があります。ビジネスモデルに問題があったとも言われていますけども、物価高だったり、そういったものの影響があったわけで、公契約条例ではそういった中で人件費を人為的に上げるものであり、事業者の経営を圧迫させるケースがあり、年度途中で委託が業務停止になる可能性も否定はできません。

 こういったギャップを埋めるためには、乱暴ですけど、三つぐらい方法あるかなと。一つ目は、公契約条例を廃止する。これは現実的ではないので、労働報酬下限額と東京都の最低賃金の差が埋まるまで労働報酬下限額のアップを抑制する。あんまり差を、100円はちょっと大き過ぎるだろうみたいなところを考えるわけです。ちなみに、毎年10月1日に最低賃金は改定されますけれども、東京都は今度10月1日からは41円上昇して1,113円となりまして、98円あったその差は57円となります。こういったことを、差が縮まればそこまでではないかなという考え方があります。

 二つ目は、公契約条例による1,000万円以上の委託業務という表現のうち、この1,000万円以上というのをなくす。つまり、労働報酬下限額を全ての業務に対して設定する。これも抜本的な問題の解決の方法です。

 三つ目は、これはあんまり言えないですけども、75%と推察される最低落札価格を上昇させる。これは表にできない数字で議論はできないですけども、そんなことがあるのかなと思います。

 いろいろ申し上げましたけども、1,000万円未満の事業に対しても1,170円の時給が払えるような措置が必要と考えます。そういった意味で現実的といった労働下限報酬額の上昇を抑制することが一つあるのかなと思いますけども、前回の公契約審議会の答申で、労働報酬下限額は1,170円と指定されたときに、財政側のほうではその金額でいいかという審議も特になく、こういった金額以内でという要望もなく、言われた数字をそのまま業務の金額にしていったわけですけれども、本当に答申で言われた数字をそのまま、財政サイドとしてこのまま入れていいのかなというところが考えられるわけですけども、こういったことを答申の言われたとおり、言いなりにならないみたいなことは区として考えられるのか伺います。

○原契約課長 公契約審議会は、公契約施策の適正な実施を確保するために設置した区長の附属機関でございます。そのため、同審議会での審議を経て出された答申は重く受け止め、尊重すべきものであると考えてございます。

○加藤委員 審議会の種類によりますけど、都市計画審議会なんか別に、こういう方向で行きたいと区が言って、それを追認するような場の審議会ですけども、その趣旨が、そういった審議会によってどのぐらいの発言の重みがあるか変わってくるような感じもしますので、そういった意味では区の意見も少し入っていいのかなと思いますので、その辺はバランスを考えていただきたいなと思うところです。

 次に、工事案件の件ですけども、行政側にも届いておりますけど、東京土建の予算要望で、建設産業の担い手を確保する観点から実効性のある公契約条例を施行することをお願いしたいとありますけれども、要望内容も踏まえてどう対応するかお伺いします。

○原契約課長 まず、区が発注する工事費の積算については、国や都が公表している公共工事の設計労務単価等に基づき適切に行ってございます。その上で、公契約条例適用対象の工事では、国が設定した公共工事設計労務単価を基に、熟練労働者においてはその90%を、見習労働者の方においてはその70%に当たる額を労働報酬下限額として定めているものです。このことは、入札公告時に事業者にも通知していることから、一次請負、二次請負の事業者さんにも労働報酬下限額を踏まえた報酬が請負代金から支払われるものであると考えてございます。

○加藤委員 実効性ある公契約条例をやっているという答えでいいということですか。

○原契約課長 はい、現在そのように考えてございます。

○加藤委員 続きまして、インフレスライド条項について伺います。市川議員の一般質問でインフレスライド条項に対して見直しの検討を行うという答弁を頂きましたので、詳細について伺います。工事請負契約約款第26条第6項のインフレスライド条項を適用する場合のスライド額、協議の流れについて伺います。

○大須賀施設課長 スライド条項の協議の流れですけれども、受注者が、インフレスライド条項の規定により賃金水準または物価上昇の変動により契約金額が不当となったことを示す資料とともに、変更請求概算額を工事主管部署に提出いたします。区は、受注者からの申出を受けた後、受注者とのスライド協議を開始するとともに出来高等の確認を行い、スライド額案を受注者へ提示いたします。受注者は、区から提示されたスライド額案について異議のない場合は承諾書を区へ提出いたします。なお、協議が調わない場合は発注者がスライド額を決定し、受注者へ通知いたします。

○加藤委員 受託者からの申出に基づいて協議を行うということですけども、スライド額の算定対象を判断する上での考え方について伺います。

○大須賀施設課長 インフレスライドの運用の見直しについては今後の検討となりますが、物価高騰の実態を踏まえ、都の工事単価を採用している品目以外で、例えばサッシや可動間仕切り壁、エレベーターなどの品目についても協議の対象としてまいります。

○加藤委員 新しくスライド条項で明確にそういったエレベーターなどを踏まえて今後やっていただけるということですね。ありがとうございます。

 発注図書において工事の数量等の詳細を一式というふうに表記しているものがありますけども、スライド額の協議申出をする際には、一式だと、結局、単価も分からなければロットも分からないわけですから、こういったところの一式表示というのはやめていくべきだと思いますけど、その辺の検討状況を伺います。

○大須賀施設課長 工事積算内訳書の作成ですが、東京都の積算基準を準用し積算業務を行っております。内訳書作成要領に示されているもので、例えば仮設費など一式表示とされているものを除き、原則、数量を明記しております。なお、今後の一式表示の在り方については他の自治体などの状況も把握しながら工夫していきたいと考えております。

○加藤委員 地元の事業者さんとかにお話を聞くと、一式という表示でなかなか見積りも難しいということなので、そこら辺の改善は求めていきたいと思います。

 続きまして、随意契約について。入札ではなくて随意契約によることができる契約の予定価格の範囲についてどのように規定しているのか伺います。

○原契約課長 随意契約によることができる契約の予定価格につきましては地方自治法施行令に業務種別ごとの上限金額が定められてございます。中野区においては、同施行令の上限金額を随意契約によることができる契約の予定価格上限額として中野区契約事務規則において規定してございます。

○加藤委員 私もちょっと公務員をやっていて発注をやっていましたけど、入札か随意契約で作業ボリュームが感覚的に50倍ぐらいは違うかなみたいな。随意契約だと相みつ3社取って、それで金額決定で、ばっと係長の印で終わりというところが、入札になるととんでもない。2、3か月かかる長い作業になってくるわけで、このボリュームの差というのを何とか、随意契約の金額を上げることによってこれが働き方改革につながっていくのかなというふうに思っていたわけですけど、国で決められているということでなかなか難しいことなんだなと思いますけどね。ただ、平成12年からですかね、金額が改定されていないみたいですけど。消費税アップだったり、賃金水準や物価水準が高騰している中、こういった上限額の見直しについて区としても国に働きかけていく必要があるかなと思いますが、見解をお伺いします。

○原契約課長 契約の公平性、公正性というものを担保しつつでございますが、契約手続の効率化及び負担軽減を図る上でも、この間の物価変動等を反映した適切な金額設定とするよう、上限金額の見直しについて国に要望してまいりたいと思います。

○加藤委員 それで終わらせていただきます。

 続いて、5番、中野区の農業政策について。今定例会一般質問において我が会派の市川議員が都市型農業に関する質問をしまして、推進する旨の答弁を頂きました。そこで、農業政策について具体的に質疑、提案させていただきます。

 中野区内において農地や市街化区域の地域・地区の一つである生産緑地となりますので、そういった生産緑地、今後の中野区としてはどういうふうにやっていくかという展望をお伺いします。

○塚本都市計画課長 現在、区内には8地区、合計で約1.37ヘクタールの生産緑地地区、そして特定生産緑地地区が指定されてございます。生産緑地地区の指定に当たりましては、災害等の防止や良好な生活環境の確保に効果があり、かつ、公共施設等の用に供する土地として適している、そういった要件を満たすことが必要となってございます。区では、令和4年3月に生産緑地地区の指定規模を500平米以上としていたものを300平米以上とすることに引き下げる、そういった条例を施行してございます。区といたしましては、今後も、生産緑地法の趣旨に沿いまして、要件を満たすものについては地区の指定を行っていく考えでございます。

○加藤委員 1992年に改正生産緑地法ができまして、営農を継続することを条件に固定資産税、相続税等の税制上のメリットを受けるもので、30年間の期限を区切り、2022年以降は生産緑地の指定解除というのがありました。いわゆる2022年問題がありましたけれども、その後、法改正が行われまして、解除まで10年間の延期を選択することが可能になりました。また、もともと土地所有者が農業を営むことしか許されていませんでしたけれども、第三者へ農地を貸す、収穫した作物を製造・加工・販売する専用施設の建築、収穫した作物による農家レストランなどの活用などができるように法改正がされました。これによりまして、山場を迎えていた2022年問題でありましたけども、そういった問題は一時的には解決しました。

 しかし、2011年、農林水産省の都市農業に関する実態調査で示された営農者の高齢化、収益性が悪くもうからない、後継者の不足という都市農業が抱える問題が改善されたわけではありません。中野区の生産緑地を所有されている農業者さんにお話を伺ったところ、先祖代々の土地を守りたいが続けられる自信がないということでした。中野区としては、都市型農業の支援をして農業を続けるモチベーションを高めてもらう必要があります。最も重要と考えますのは収益性を高めることで、それにより後継者不足も解消される可能性が高まります。また、地域との連携を図ることで農地の存在感を高めることも重要であります。区は産業振興方針でもそうしたところを明記していただきたいと言っていたわけですけども、何らかの支援を今後していくという見解でよろしいでしょうか。

○松丸産業振興課長 都市型農業の意義や可能性につきましては区として認識しているところでございます。中野区産業振興方針の検討を進める中で、他区の事例などを参考にしながら、支援の在り方ですとか同方針への記載内容について検討してまいりたいと考えております。

○加藤委員 そのような背景で、農業者の皆様と様々相談させていただいた中で三つ柱があるのかなと考えます。一つは、農作物に付加価値をつけて収益性を高める。二つ目は、都市農業の存在価値を高めてさらに誇りを持ってもらう。三つ目は、災害時の一時避難場所、井戸水給水所として農地の必要性を高める。こういったことが考えられるかなと思います。

 一つ目の農作物に付加価値をつけ収益性を高めるについては、キーワードは朝採れと考えています。朝取れというのは、答弁でも頂いておりますけれども、都市で収穫するのに農作物の運搬コスト、時間が格段に少ないことが中野の農業の最大の魅力です。郊外の農地では直売所、道の駅、ファーマーズマーケットなどよく見ますけれども、私も茨城県つくば市に住んでいたときに時々行っておりましたけれども、都心からもよくお客さんがいらっしゃいます。もちろん、運搬コストが少ない分、商品の値段が安いことは当たり前ですが、なぜ都心の方々がわざわざ交通費がかさんでまでそういった野菜を取りに行くのかというのは、皆さん御存じですか。なぜ直売所みたいのがあるのか、皆さん御存じかということですけども、答えは鮮度が、味が全く違うということです。流通ルートに時間がかかり過ぎてしまうということですね。

 東京都中央卸売市場のホームページに、野菜、果物の流通の仕組みによりますと、野菜、果物などの農産物は、基本的に生産者である農家から農協などの出荷団体、卸売市場、スーパー、八百屋などの小売店の経路を経て消費者に届けられます。野菜類の76%、果物類の47%が卸売市場を経て流通しております。生産者から消費者に届くまで1日から3日ぐらいかかってしまいます。例えばトマトなどは収穫する際に、スーパーなどで出す場合には、緑のままもぎ取って、それを出荷して、スーパーに並ぶときに赤くなると。こういった形で収穫をしているわけでありまして、実際は朝、真っ赤っかになったものを夜食うんだったら最大においしいわけでありますので、できるだけその日中に、取った日が、一番ピークの日に収穫できるのが理想なわけです。そういったことを考えると、朝採れ野菜をそのまま地産地消で中野区内に出せるのであれば、郊外の野菜をスーパー、流通したものよりおいしいに違いないですし、こういったことが一つのブランド化できるんではないかと考えているわけですけども、そういった意味で、都市農業である中野の朝採れ野菜をそういった戦略をしてくというアイデアに対して区はどういう見解をお持ちか伺います。

○松丸産業振興課長 都心に近い中野の朝採れ野菜につきましては、消費者のニーズが一定程度あるものと考えております。その一方で、区民や来街者、そして事業者にも、中野区内に農地があって新鮮な野菜が取れるということがあまり知られていない状況に現在ございます。まずは周知することに努めまして、そういった中でブランド化の可能性ですとか支援の在り方を探ってまいりたいと考えております。

○加藤委員 先日、里・まちマルシェで中野区の野菜を里・まち連携が出す中のブースの一つで出していただいたということですけども、お話を伺ったら、午前中で完売するというぐらい人気があったということで、今後は自分らだけの野菜で、里・まちマルシェでなくて単独で出したいみたいな御意向も伺いました。そういった中で、いろんなところで出すというのが必要かなと思いますけれども、まずは使ってみるというところで、中野区役所の食堂だったり、総合体育館1階のカフェなど区有施設内でそういった野菜を使った料理を提供するなどスモールスタートしたらどうかなと思いますけど、いかがでしょうか。

○松丸産業振興課長 区役所新庁舎の食堂・カフェにつきましては契約優先交渉権者が決定しております。当該事業者につきまして区内の朝採れ野菜の提供を働きかけてまいりたいと考えております。また、中野総合体育館内のカフェにつきましては指定管理者が運営しているということでございます。所管部と連携しまして、指定管理者に対しても区内の朝採れ野菜の提供については働きかけてまいりたいと考えております。

○加藤委員 販路に関しては私のほうでちょっといろいろ情報を集めさせていただいたら、区内にある八百屋さんが興味を示していると。もちろん、中野の農業から卸を通さないでいきなり八百屋へ行けば、その分時間も短く中間マージンも取られないということなんで、それなりにメリットが出るわけです。また、その八百屋さんだと区内の50の飲食店と取引しているということで、そのまま中野の飲食店にその野菜が提供できるのかなということです。その八百屋とやるべきだと言っているわけではないですけど、そういったニーズもあるということなんで、かなり魅力があるのかなと思っているわけであります。

 そういった中でブランド化する中で、例えば杉並だとこういった段ボールを作っているそうなんですね。ここまでやるのはなかなかあれですけども、区内の飲食店で中野の朝採れ野菜を使っていますよみたいなステッカーとか使うとか、そういった販売促進だったりすることができるのかなということで、中野の農業支援だけではなくて、中野の飲食店に対するそういった支援にもなりますので、こういった事業をやっていただけないかなということで伺います。

○松丸産業振興課長 のぼり、ステッカーなどの中野区産の朝採れ野菜の啓発物につきましては、販売促進となるとともに、生産者と飲食店とのマッチングのきっかけにもなり得ると考えております。このことからも、まずは朝採れ野菜の周知に努めてまいりたいというふうに考えております。

○加藤委員 そういった中で、この前のマルシェみたいに見えるところで売ることによって、中野で野菜を作っていますよみたいな宣伝もやっぱりしていくというところにおいて、また、エリアマネジメントの観点からも何かいろいろとそういったファーマーズマーケットを積極的にやっていくべきだと思いますけども、いかがでしょうか。

○松丸産業振興課長 様々今申し上げさせていただいておりますけれども、現在まだ中野区内の農家さんの周知というところが不足しているということでございますので、まずは周知というところから始めさせていただいて、その先にステップ、段階を踏んだところで検討を進めていきたいというふうに考えております。

○加藤委員 産業振興の観点はここまでとさせていただきます。

 二つ目は、都市農業の存在感を高めて、さらに誇りを持ってもらうというところにおきましては、食育としての役割が必要かなというところです。中野区は今年、福島県田村市の常葉にあった少年自然の家を売却しました。私も中学校のときに常葉へ行って現地で農業体験したことは今でも覚えています。物理的に行うことが常葉ではできなくなってしまって、その農業体験の穴埋めとしてこういった生産緑地の活用が必要かなと思います。先日、谷戸小学校の3年生が大和町の生産緑地における農業の社会科見学をさせてもらいました。子どもたちが非常に興味深く農業者の話を聞いていました。ちなみに、バスをチャーターして、その後、歴史民俗資料館に行く行程だということで、いろいろとそういった勉強をしたということです。年間で九つの区内小学校が社会科見学をしているそうですけれども、現在、中野区立の学校における農業に関する学習の実施状況と今後の区内農地を活用した農業体験の検討について伺います。

○齊藤指導室長 小学校3年生の社会科において、区内の農家の方々に御協力いただき社会科見学を行っている学校もございますが、見学に行かない学校は、教育委員会で作成している副読本「わたしたちの中野区」を用いて中野区の農業について学習をしております。また、軽井沢移動教室の際に現地で農業体験を実施している学校もございます。今後も、子どもたちにとって充実した体験活動が行えるよう、他団体との連携も含めて検討してまいります。

○加藤委員 もう質問はないんですけど、三つ目に、災害時の一時避難場所、井戸水給水所として農地の必要性を高めるということですけれども、さきの一般質問で、災害発生時には防災空地としての農地等の活用により、一時的避難や農地が生産する食料の確保、井戸水の提供が考えられることから、災害時における農地等の活用について、他自治体の事例を参考にどのような協定が締結できるか検討していきたいと答弁を頂きましたんで、しっかりと前進するようにお願いいたします。

 以上で私の総括質疑を全て終了させていただきますけれども、この仕組み上、せっかく間引きしたのに理事者が30人ぐらいいたということで、最初始まったときすごい多かったんですけれども、非常にいろいろと新たな試みとしてやらせていただいた切り口のやり方でしたけども、基本計画がしっかりと、あんなに皆さんで議論してやってきた基本計画がある種ないがしろにされたまま事業が進められていたのかなということを指摘させていただきまして、私の全ての質問を終了いたします。ありがとうございました。

○杉山委員長 以上で加藤たくま委員の質疑を終了します。

 

 

令和5年06月22日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 1 行政報告について

 2 中野サンプラザの今後について

 3 中野区の子ども施設の今後の展望について

 4 地域活動・地域経済の好循環を目的とした地域通貨の導入について

 5 S-uiPSによるリアルタイム浸水予測システムについて

 6 その他

 

○議長(酒井たくや) 次に、加藤たくま議員。

〔加藤たくま議員登壇〕

○11番(加藤たくま) 4月に行われた中野区議会議員選挙の後、初めての定例会となりますため一言御挨拶申し上げます。さきの選挙におきまして、自由民主党の公認候補者に約2万1,732票を賜り、多くの御支持を頂くことができました。御支持頂きました皆様の期待に応えるべく、中野区議会自由民主党議員団の議員が力を合わせ区政前進に向けて尽力していく決意であります。

 それでは、令和5年第2回定例会において、自由民主党議員団を代表して一般質問させていただきます。

 1、行政報告について。

 定例会初日の区長の行政報告について質問いたします。当選に対するお祝いの言葉ありがとうございます。報告の中で、「議会におかれましては、公正な御審議と厳正なチェックに加え、建設的な御議論と御提案を賜りますようお願いいたします。」と発言されており、執行機関の皆様方には、我が会派の区政をよりよくするために打ち出す政策に御理解を頂くことをお願いさせていただきます。

 それでは、報告の中身について伺います。新型コロナが5類感染症に移行され、今後は中野のにぎわいを取り戻し、さらに活性化させる取組が重要との御発言ですが、具体的にはどのような施策を講じられるか伺います。

 続いて、物価高騰対策について。ウクライナ侵攻を起因として、1年以上連続して物価が上昇しております。中野区民、事業者が苦しい生活を余儀なくされる状況下で、中野区はいつでも手を差し伸べるという姿勢、メッセージを示すことは重要で、給付金及びそれに準ずる施策の必要性は理解します。一方、制度の対象外の方々からは不公平感が出るのは必定です。現在の厳しい社会状況下において理解を一定程度得られるでしょうが、制度のやめどきに関して出口戦略を考える必要もあります。例えば、報告で触れられている、実質賃金がウクライナ侵攻前の基準に戻ったときに物価高騰対策をやめるなど、明確な出口戦略を今のうちに検討すべきと考えますが、区の見解を伺います。

 続いて、三つの重点プロジェクトについて。そもそも重点プロジェクトは、縦割り行政において円滑に新たな事業を進めるために、様々な所管を集め、横の連携、部署間の調整をするためにできたと認識しておりました。しかし、昨年の第3回定例会において、中野区基本計画における重点プロジェクト等の取組状況について報告がなされましたが、横の連携が図られた形跡が見えません。また、今年の予算特別委員会の要求資料総務7、中野区基本計画(重点プロジェクト)に係る主な事業一覧では、横の連携があったからこそ予算化されたという事業はなかったように考えます。会議で報告、協議するたびに事業スピードが落ちるわけですから、横の連携が必要ない事業であれば重点プロジェクトに含めないほうがよいという判断もあります。この会議体がしっかりと運用されているのかが疑問です。そこで、重点プロジェクトの意義と、横の連携が図れた結果生まれたという具体的な成果として何が挙げられるのか伺います。

 続いて、子育て先進区の実現について。子どもの意見を区政運営に反映する仕組みづくりとありますが、子どもの権利に関する条例が策定されて以降、具体的に子どもの意見をどのように聞くのか、これまでに報告はありません。中野区が描く子どもの意見聴取及び施策への反映についての具体的な方法について伺います。

 また、学校現場として、条例制定を受けて、さらに子どもの意見を生かした学校運営や校則などにどのような効果があるのか伺います。

 続いて、地域包括ケア体制の実現について。「中野区地域包括ケア総合アクションプランに基づき、包括的な相談支援、参加支援、地域づくりに向けた三つを柱として、相談支援の質を向上するとともに、区民・団体と連携した地域づくりや関係機関を巻き込んだ基盤づくりを進めています。」と報告がなされました。アクションプランが動き出しているにもかかわらず、いまだに基盤づくりを進めるという表現です。いつになったら本格稼働をするのでしょうか。

 地域の方々から地域包括ケアに関する話を聞いたことがありません。地域包括ケアの担い手同士の連携が強化されている様子はうかがい知れますが、受け手側が置いてきぼりになっているのではないかと感じます。例えば、社会福祉協議会と無理やり役割分担を図るがゆえに無理やり縦割りをして、区民に対して窓口担当がばらばらになることを懸念します。中野区はマネジメントしやすい体制の構築を進め、受け手である区民の視点が欠けているように感じます。そこで、地域包括ケアの基盤づくりのネクストステージの目標と、それに向けた具体的な戦略について、区の見解について伺います。

 続いて、活力ある持続可能なまちの実現について。持続可能なまちをつくるためには、中野駅周辺だけだけではなく、住居のまちづくりに力を注ぐ必要があります。コロナ禍で中野区への転入者の特徴の様相が変わってきました。中野区内の不動産事業者に話を伺いますと、現在、中野区の単身世帯用のワンルームマンションは供給過多となり、一方、ファミリー世帯用のマンションが不足しているという話です。ワンルームの部屋二つを一つにできたらいいのになと冗談が出るほど、これまでになくワンルームが余っているということです。中野区は、これまで新入社員、大学へ新たに進学する方々に人気ではありましたけれども、テレワークなどによる在宅ワーク、オンライン授業などで、必ずしも毎日会社、学校に通わずともいい社会環境になったためと推測されます。一方、ファミリー世帯用住居は、原材料の高騰が価格に転嫁されているにもかかわらず、中野区内においても非常に人気があるそうです。ファミリー世帯住居に住みたくても住めない状況になっております。このような状況について、区はどのような見解をお持ちか伺います。

 中野区内の住居の仕様の転換を図るために大がかりな施策が必要だと考えます。今年の予算特別委員会総括質疑でも触れましたが、新・中野サンプラザの容積率を1,000%まで上げるのに使われた公共貢献の制度を中野区全域で活用すべきと考えます。他区では、大規模建築物に対し、子ども施設や福祉施設の整備等の公共貢献を条件として容積率を緩和する制度があり、中野区が戦略を持たないまま、まちづくりが進むのはもったいないことであります。民間企業による公共貢献を促していくためにも、そういった制度の整備が必要だと考えますが、区の見解を伺います。

 中野区ゼロカーボンシティは、区のCO2排出量削減目標を、2030年に2013年度比46%、2050年には100%削減としており、このことは環境省ホームページにも明記され、言わば中野区が国に示した公約でございます。オール東京62市区町村共同事業、みどり東京・温暖化防止プロジェクトによる中野区における二酸化炭素排出量構成比を見ますと、家庭内の活動を示す民生家庭部門が51.7%、第3次産業であるサービス業の活動を示す民生業務部門が27.8%でありまして、これを合わせると79.5%となります。つまり、中野区内の室内を中心とした活動で約8割がCO2の発生の原因となっているわけです。当面の目標である46%削減を考えたときに、まず行うべきは、この民生家庭・業務部門の排出量を抑えることが重要となってきます。建物ごとにケースは異なりますが、環境配慮型住宅などにすることで断熱効果は高まりまして、一般的には光熱費は半分以下になると試算されております。光熱費の基本料金を考慮すれば、二酸化炭素排出量はそれ以上に削減されるわけであります。

 そこで、令和4年第2回定例会で伺いましたが、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)を導入して、中野区が高環境性能である住居に太鼓判を押して、多少家賃は上がるかもしれませんが、光熱費を抑制することで結果的にランニングコスト全体を下げるというようなことを区民に理解してもらうことが必要なのではないかと訴えました。当時の答弁といたしましては、事業者との連携も視野に入れ、環境配慮型のまちづくりを進めるための施策等を検討していくということでしたが現在の検討状況について伺います。

 また、重点プロジェクトとして、まちづくりを進めるというのであれば、例えば、再開発事業における公共貢献の確保、環境配慮型住宅、そしてファミリー世帯用住宅への誘導の推進、これらが一つの形となるような議論をしていただけないかと考えますが、可能かどうか伺います。

 続いて、人材育成について。人材育成を計画的・戦略的に進めるため、(仮称)中野区人材育成計画を今年度策定する予定とのことです。行政報告でもあったとおり、この肝となるのがDX人材の育成かと思われます。3月の総務委員会でもDX推進に資する人材の確保・育成等の考え方が示され、今後、日本マイクロソフト社とも連携をしながらDX人材の育成の取組を強化していくことは、時勢に遅れている感はありますが、適切な判断だと考えます。

 一方で、さらなる取組の推進が求められる状況にありながら危機感が感じられないのが、EBPMの機能の強化、そしてその中核となる人材の育成だと考えており、これまでも何度となくその必要性を訴えてまいりました。昨年の第3回定例会決算特別委員会の総括質疑で、区職員のEBPMに関する能力をどう捉えているかとの問いに、高いレベルではないとの答弁がありました。このような認識にあるのであれば、区の政策形成手法の柱に位置付けられ、目指すべき職員像、行動指針の重要な要素であるEBPMのスキル強化こそ、DX推進の中で今まさに手をつけなければならない人材育成の最重要課題ではないかと考えます。今後、どのようにそれらについて取り組んでいくのか、区の見解を伺います。

 以上で、本項目の質問を終えます。

 続きまして、2番、中野サンプラザの今後について。

 今年の第1回定例会の委員会報告の際にはいろいろな意見が出ておりましたけれども、中野駅周辺まちづくりの目玉事業として進められている新北口駅前エリアの拠点施設において、区民や来街者が低層の5、6階までしか上がれないということはあり得ません。262メートルの建物高さに、中野サンプラザ付近の海抜は30メートル程度あり、合わせて300メートル弱から見ることができる景観は、公共物として非常に重要な財産であり、これを自ら手放すことは考えられません。新・中野サンプラザの262メートルの高さの話を区民とすれば、間違いなくすごい景色が見えると胸を躍らせます。高層階からの眺望を楽しめる展望施設は必須であると考えますが、民間事業者による所有、運営ができるのか伺います。

 また、民間か区のどちらが所有、運用をするにせよ、新たな公共財産である景観を見ることができる展望施設の規模、レストラン機能の要否などについて、実現可能なパターンを整理して、早期に検討すべきと考えますが、区の見解を伺います。

 議会では、展望施設について結論が見いだせていない状況であり、今後の整備スケジュールに不安が残ります。万が一、整備スケジュールが遅れた場合に想定される財政面における影響について伺います。

 それでは、話を現中野サンプラザに移します。令和4年第4回定例会一般質問では、中野サンプラザのレガシーとにぎわいを生み出す取組として、中野サンプラザの外観を活用したプロジェクションマッピングの実施や、中野サンプラザの内観・外観を三次元データとして計測し、研究材料として活用する一方、オープンデータとして利用を促すことなどを検討していると答弁されました。オープンデータに関しましては、今年度予算で三次元の計測をいたしますが、そのデータが広く活用されるには様々なプラットフォームで活用できるようにデータを整理する必要があると考えます。例えば、3億人が楽しんでいるというメタバースのシューティングゲーム「フォートナイト」内で中野サンプラザが建設されれば、中野サンプラザの屋上にパラシュートで着地し、中野サンプラザ内で銃撃戦ができるようになります。また、中野サンプラザホールのライブもメタバース上でできます。しかし、事業者によって3Dデータに求めるクオリティ、仕様は異なるため、様々な事業者とのヒアリングの上、事業を進めるべきだと助言してきたところでありますけれども、現況について伺います。

 また、中野サンプラザの3Dデータをくまモンのようにフリーライセンスにすることで、様々なメタバース空間での利用促進を図る一方、適切にライセンス管理し、中野サンプラザの文化的価値や中野区のシティプロモーションに資するように利用を担保するべきと考えますが、区の見解についてお伺いいたします。

 また、中野サンプラザに関しましては、その建設に大きく関わったとされる田中角栄総理大臣が祝辞を述べている開館当時の動画や、現在、中野サンプラザに展示されているホールで行われた記録の資料、中野サンプラザを思い出させる残置物、最近ではドローンを活用した実験など歴史的価値がある様々な資料について、積極的に公開、活用を図っていくことが必要と考えますが、区の見解を伺いましてこの項の質問を終えます。

 続きまして、3番、中野区の子ども施設の今後の展望について。

 令和5年3月に策定された中野区子ども総合計画の14ページに掲載されている、令和3年度における区の転入者・転出者の状況によると、0歳から4歳の転入者割合が7%、転出者が12%で、差引き5%が転出していることが分かります。また、5歳から9歳では、転出3%、転入4%で、差引き1%の転入、10歳から14歳では、転出が3%、転入が2%で、差引き1%が転出となっております。

 小・中学校に入ると転校を避けたい親御さんたちが、転入・転出を避けるではないかと推測されます。就学前に転出してしまうと、中野区に対しての愛着を抱かないために、子どもたちが大人になったとき、昔、中野に住んでいたみたいといった程度の関係性になってしまいます。中野区の小・中学校の出の私といたしましては、成人の集いで中野サンプラザに集まった同級生たちから中野愛を感じましたし、何らかの事情で中野区から転出したときに、「中野はよかった」と口々にしております。中野区に愛着を持った子どもたちは、大人になり中野へ恩返しをしようと考える人が少なからずいると考えます。中野のまちをつくる担い手として、次世代の若者たちを育てるのであれば、少なからず中野区立の小・中学校、中野区内で小学校時代を過ごしていただくことが、中野愛を育むことに重要だと考えます。

 保育園の待機児童問題が解決しましたが、学童クラブの待機児童問題へとスライドしてきました。学童クラブの待機児童の解決は、中野区立の小・中学校に通わすかどうか、中野区に住み続けるかどうかの重要な岐路に立つ世帯もあることでしょう。学童クラブの拡充は子どもたちの未来を左右し、結果的に今後の区政運営に大きな影響を与える重要な課題と考えます。これまでにほかの会派の議員が、中野区立小中学校再編計画は、当時の人口推計を基に計画が立てられ、数ありきの議論は現状にそぐわないために検証が必要であるといった趣旨の質問をされてきております。児童館を含めた地域子ども施設についても、数ありきではなく、人口動態の変化やファミリー向け住宅の供給状況、共働き世帯の増加による学童クラブの需要の変化などにも目を向けて在り方を見直すべきと考えますが、区の見解を伺いまして、この項の質問を終えます。

 4、地域活動・地域経済の好循環を目的とした地域通貨の導入について。

 この項に関しましては、今年の予算特別委員会におきまして、我が会派の若林前議員が取り上げさせていただきましたけれども、改めてお伺いいたします。

 新型コロナの拡大によって社会情勢が大きく変わりました。地域活動は中止、縮小を余儀なくされ、そのダメージは小さくなく、その果ては地域防災力の低下につながりかねません。今年度よりウィズコロナ、アフターコロナの中で地域活動が本格再開に向けて動き出しておりますが、3年、4年ぶりのフルスペックの開催となるところも多く、地域の方々からは、人が集まるのか、体力が持つのかなどの不安の声を聞きます。

 一方、コロナ禍により、在宅勤務、早期帰宅などにより、中野区民の区内滞在時間が長期化していると考えられます。JR東日本が公開している中野駅1日平均乗車人数は、コロナ禍前の2019年の約15万人から、新型コロナ拡大の2020年、2021年は、約10万人、11万人となり、およそ3分の2に減少しました。今年に入り増加しているようにも感じますが、人の流れは大きく変わってきました。

 令和5年5月8日に新型コロナ感染症の位置付けが5類に移行しましたけれども、新型コロナによって変化した在宅勤務、早期帰宅などのライフスタイルは、コロナ禍前のように戻ることはないでしょう。そしてライフスタイルの変化は、自宅や自宅近くの飲食店で飲食をする機会を増やしました。事実、コロナ禍前の令和元年度の燃やすごみは約5万4,000トンから、令和2年度は5万6,000トンと、3%増加いたしました。この間の人口は0.5%減少です。自宅で食事をすれば、商店街で買物に行く機会も増えます。また、飲食店に行く機会が増えれば、地域の方々同士の出会いが増えることも期待できます。裏付けとなるデータとして、リクルート社の調査があります。新型コロナ以降、新たななじみの外食店ができたという人は57.5%、新たにできたなじみの外食店の立地は自宅や最寄り駅の周辺が74.8%という結果でありました。不要不急の外出自粛が要請され、また、在宅勤務等も影響してか、なじみの外食店の場所も自宅近くに出来たという人が多いと分析されております。下品な言い方になるかもしれませんけれども、コロナ禍前、都心部で落とされたお金の一部がコロナ禍によって中野区で落とされるような形になったというわけであります。

 国勢調査で中野区の昼間人口は、2015年度31万3,270人から、2020年度32万5,767人と、1万2,000人以上が増加しております。これは、日中どこに通勤通学しているかという調査結果であり、リモートワーク、オンライン授業が反映された結果とは考えづらいですが、一つの参考値にはなります。企業が多い中野駅周辺においては、リモートワークの影響で昼間人口が少なくなった可能性は高いですけれども、区内全体を考えますと昼間人口が増えていると想定されます。アフターコロナによる地域活動の不安ながらの復活、そして在宅勤務で中野区民の区内滞在時間の長期化、この二つの状況をどうにか絡められないかと考えるわけであります。

 結論を先に言いますと、中野区版のデジタル地域通貨のプラットフォームをつくり、地域活動における地域活動ポイント制度を策定し、そのポイントをプラットフォーム上で運用できるようにすべきと提案させていただきます。地域活動ポイント制度により、中野区内にいる人材を地域デビューさせるための呼び水にできないかと考えるわけです。そして、地域活動で得られた地域活動ポイントは、中野区内限定での使用しかできないために、区内経済の好循環が期待できるわけです。

 前置きが長くなりましたけれども、それではデジタル地域通貨の導入について伺っていきます。この件に関しましては、行政報告で、「商店街に対しては、キャッシュレス化への支援を進めるとともに、デジタル地域通貨導入に向けた検討に着手します」と触れられており、我々のこれまでの要望の実現に向けて、前進したと評価させていただきます。

 ところで、令和4年度予算でも同様の事業があったかと思いますけど、その検討状況はどのようなものだったかお伺いします。

 これまでの実績から、区内商品券は確実に区内消費の促進につながることから、商品券の電子化で紙の商品券よりも使い勝手がよくなることは理解します。しかし、単に商品券を電子化するだけではなく、中野区が地域通貨のプラットフォームをつくり、そのプラットフォームの上に商品券を組み込むなど、商品券と互換性を持たせたデジタル地域通貨の仕組みをつくるべきと考えますが、区の見解についてお伺いいたします。

 もしそのプラットフォームが庁内全体、また商店街連合会などが利用できるデジタル地域通貨の仕組みが整備されれば、エコポイント、生活応援事業に関わるポイント還元事業、デジタル区内商品券などの既存サービスが一つのプラットフォームで運用が可能となります。貯まったポイントが地元で消費されれば、さらなる区内消費の活性化にもつながり、好循環が生まれます。各所管が地域通貨のプラットフォームを活用できるような整備をするべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。

 ただし、このプラットフォームを管理する所管が執行委任を受けないような形は担保すべきと考えます。

 次に、地域活動ポイントの導入について伺います。三鷹市では、ボランティアポイントとして、地域通貨の特徴を持ち合わせ、コミュニティ活動の参加者に対して市がポイントを付与し、コミュニティ活動への参加促進と地域のにぎわいを創出する、共に支え合う新しい地域社会の実現に向けた基盤として地域ポイントの取組を進めております。中野区においても、地域活動の活性化のテコ入れとして地域活動ポイントの導入を、時限的、サンセット方式でもいいので創設すべきと考えますが、区の見解についてお伺いいたします。

 ところで、今年の予算特別委員会総括質疑におきまして、昨年、中野区生活応援事業、ポイント還元事業で利用が多かった業種を伺ったところ、第一弾の大規模チェーン等を除く区内中小加盟店を対象としたキャンペーンで一番利用が多かった業種は、飲食店、喫茶店、続いて居酒屋、パブ、バー、3番目が理容、美容ということでした。そして、第二弾のコンビニを除く大手チェーンを対象としたキャンペーンでは、一番多かったのが食品スーパー、続いて飲食店、喫茶、3番目が医薬品、化粧品、ドラッグストアとの答弁でした。

 デジタル地域通貨の通常使用できる範囲は今後検討していくべきですが、大手チェーンを除くとすれば、飲食店などに大きな還元がされることが予想されます。デジタル地域通貨が整備されるのであれば、ターゲットは飲食店にすべきと考えます。地元飲食店を通じて地域デビューのきっかけをつくり、地域活動ポイントによりさらに呼び水としていく、このような地域活動の活性化モデルを設計すべきと考えますが、区の見解を伺いまして、この項の質問を終えます。

 5番目、S-uiPSによるリアルタイム浸水予測システムについて。

 本項目に関しましては今年の予算特別委員会の総括質疑で取り上げましたので、その後の進捗について伺います。

 S-uiPSとは、早稲田大学理工学術院の関根正人教授らが開発したシステムで、雨雲レーダーの降雨予測値をインプットし、約20分先の河川氾濫・道路の浸水状況を動画にしてお知らせするアプリケーションです。河川、下水道の水の流れをシミュレーションし、河川・道路のどこで水があふれるか、水深5センチメートル程度の誤差まで表現できるように精度を高めてまいりました。無料でインターネット閲覧するだけで、災害情報の重要な拡充に資するわけです。ちなみにこのシステムは、6月12日のNHKクローズアップ現代でも取り上げられました。

 このシステムのテスト配信ユーザーとして、中野区に参加してもらえないかという打診がありました。区は、「テスト配信を受けながら、今後の活用について研究してまいりたい」と答弁されました。6月2日の台風2号の影響により大雨洪水警報が発令されるとともに、区内の河川では、妙正寺川において氾濫危険水位に達しました。また、善福寺川上流の杉並区の西田端橋では一時氾濫発生水位を超え、道路冠水が発生しました。

 気候変動、ヒートアイランド現象などにより、大規模な都市水害はいつ起こってもおかしくない状況です。このような状況において、水害の発生が予測できるシステムの必要性はますます重要となってまいります。このシステムを活用すれば、中野区防災担当、また消防団の方々が、水没することが予想されたアンダーパス、地下空間に対して事前に封鎖することも可能となります。「今後の活用について研究をしてまいりたい」という前回の答弁よりもさらに踏み込み、開発者と共同で新たな取組を進めるべきと考えますが、区の見解をお伺いしまして、全ての質問を終えます。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 加藤議員の御質問にお答えいたします。

 まず初めに、行政報告についてで、今後の活動活性化に向けた取組についてでございます。小・中学生の豊かな感性、想像力、人間性などを育むための様々な文化芸術体験の機会を確保する取組、区民公益活動の活性化及び住民参加の促進を図るための地域団体活動情報発信ツールとしてのWebアプリの導入、商店街キャッシュレス普及キャンペーン事業などを着実に実施をしてまいる考えでございます。また、経済活性化策として、複数の決済事業者によるキャッシュレス決済ポイント還元事業の実施も検討しております。

 続きまして、物価高騰対策の出口戦略についてでございます。生活者や事業者の状況、国や都の施策の状況、他区の対策の状況を踏まえながら、必要な物価高騰対策を行いつつ、出口戦略についても検討してまいります。

 続きまして、重点プロジェクトの意義と成果についてでございます。重点プロジェクトは、基本計画に掲げる政策・施策を効果的かつ効率的に推進していくため、組織横断的、かつ重点的に対応する必要がある政策課題に対して設定したものであります。各部が重点プロジェクトに掲げる課題や方向性を共有し、それぞれ所管する取組、事業について、相互に関連性を持って進めていくことで成果につながっていくものと認識をしております。

 子どもの意見を区政運営に反映させる仕組みづくりや、孤独・孤立対策、新庁舎における環境マネジメントシステムの推進に係る取組などは、重点プロジェクト推進会議においても議論を行ったところでありまして、着実な成果につながるよう組織横断的に対応してまいります。

 続きまして、子どもの権利条例についてで、区政運営における子どもの意見表明・参加についてでございます。子どもが区政や地域の課題について考え、意見を表明し、主体的に参加するための機会を確保することが重要であると考えております。区政運営における子どもの意見聴取の場の設定や聴取の方法などを取りまとめた実践的な手引を作成をし、全庁で共有することで、子どもの意見表明、参加に関する取組を推進してまいります。

 続きまして、地域包括ケアの今後の具体的戦略についてでございます。区では、医療と介護の連携を軸に、複雑化、複合化する生活課題に対応するため、全世代を対象とした重層的支援体制の構築に取り組んできたところであります。ヤングケアラーやひきこもり、社会的孤立など顕在化しにくい課題も多く、生きづらさの声を上げやすい場や環境づくりが求められております。こうした状況を踏まえ、今後さらに、ハイリスクアプローチの強化とともに、ポピュレーションアプローチを拡充していきたいと考えております。

 次に、単身世帯用のワンルームマンションの質問のところで、ファミリー世帯住居についてでございます。区では、単身世帯やファミリー世帯など、世帯種別に応じた居住面積が確保された住宅の供給を誘導することが必要であると考えております。ファミリー世帯向け住居につきましては、中野区集合住宅の建築及び管理に関する条例におきまして、一定規模の集合住宅に対し、ファミリー世帯向け住戸の附置を義務付け、供給を誘導しているところでございます。

 民間企業による公共貢献についてでございます。都内では、大規模建築や再開発事業等の計画において、都市開発諸制度の適用によって、諸条件を満たして容積率緩和を受ける場合、区との協議によって一定の公共貢献を促すことも可能であると考えております。今後のまちづくりの進捗や他区の事例等も参考にしながら、必要な方策等について研究してまいります。

 次に、環境配慮型のまちづくりについてでございます。現在、脱炭素社会の実現に向けた分析調査として、各種データに基づく中野区の現状把握を進めているところであります。また、8月頃には、家庭や事業所の状況把握等を目的に、区民、事業者へのアンケート調査、これも実施し、これらの結果に基づいて今後取り組むべき施策について検討します。

 住宅や事業所の脱炭素化の推進に向けては、今後、国による建築物省エネ法の改正や東京都による建築物環境報告書制度の創設等が予定されているほか、民間企業による新たな技術の開発等も進められているところであります。区としては、これらの動向も踏まえ、ZEHやZEBなどの環境配慮型建築物の推奨や再生エネルギー電力への切替え推進など、区民や事業者に対する意識啓発も含め、効果的な方策について検討してまいります。

 続きまして、まちづくりの進め方についての御質問です。重点プロジェクトは、各関連分野が抱える課題を組織横断的に検討し、対応することが求められるものであります。区は今後、まちづくりが進められる中野駅周辺や西武新宿線沿線等のまちづくりにおいて、活力ある持続可能なまちの実現に向け、各部連携の下、取り組んでまいります。

 次に、EBPMに係る機能強化、スキル向上の取組についてでございます。客観的な事実やデータを基に政策形成を行うといったEBPMは、区政運営における政策形成の基本的な視点であり、職員にも職務に当たって意識すべき思考の基本プロセスとして理解と実践を強く求めているところであります。職員のEBPMに関わるスキル向上は、人材育成の重点項目として、これまで政策形成におけるデータ活用の在り方やオープンデータ、統合型GISの有効活用といった研修に取り組んでまいりました。今後も、DX人材育成の取組の一環として、協定を締結している日本マイクロソフト社等と連携をしながら、職員のEBPMに対する理解度、活用度のレベルを上げる取組を充実させてまいります。また、必要に応じて外部の高度専門人材の活用も検討し、区のEBPMの強化を図ってまいります。

 次に、中野サンプラザの今後についてで、民間事業者による展望施設の所有・運営についての御質問です。展望施設について、施行予定者に対し、民間事業者での所有、運営を求めてきたところでありますが、昨今の物価高騰の影響で、所有、運営は難しい旨の回答があったところであります。

 次に、展望施設を含む拠点施設の在り方についてでございます。展望施設を含む拠点施設のさらなるにぎわいの創出や魅力の向上等につながる施設の在り方について再検討を行っているところでありまして、整理ができ次第お示しする考えでございます。

 次に、整備スケジュールの遅延による財政面の影響についてでございます。中野サンプラザに関しては、株式会社まちづくり中野21は、借入金利子や固定資産税等で毎月3,000万円程度の経費を負担しておりますが、その経費負担の期間が長くなるという影響がございます。そして、現庁舎につきましては、新区役所移転後の閉鎖管理に伴う維持管理経費等の負担増が考えられます。また、転出補償金の収入時期が遅れますと、新区役所整備費の起債の償還時期が遅れ、年1億円程度の追加利払いが発生する可能性がございます。

 次に、中野サンプラザ三次元データのクオリティ確保でございます。中野サンプラザの三次元データ化は、実績のある複数の事業者から意見を伺いながら、保存するデータの一定程度の質と利活用しやすさを担保することを前提として進めているところであります。来年度早々にオープンデータとして公開できるようにしたいと考えております。

 そして、中野サンプラザ三次元データのライセンス管理についてでございます。三次元化した中野サンプラザのデータは、広く利活用してもらうためオープンデータとして公開しますが、一方で、それらの利活用が文化的価値の保持やシティプロモーションに資するとともに適正に行われるよう、使用に当たってのガイドラインを定め運用していく考えでございます。

 次に、中野サンプラザに関する歴史的価値がある資料の活用でございます。中野サンプラザに関する歴史的価値を有する資料につきましては、株式会社中野サンプラザから区が譲り受け、歴史民俗資料館で保管する方向で調整をしているところであります。中野サンプラザの歴史や功績がレガシーとして継承されるよう、権利関係にも十分配慮しながら資料の公開と活用を図ってまいります。

 最後に、中野区の子ども施設の今後の展望についてで、子ども施設の整備・運営方針についてのお尋ねです。子どもと子育て家庭を取り巻く現状として、孤独・孤立への不安や児童虐待、不登校、いじめ、貧困など様々な課題が複雑かつ複合化しているとともに、共働き世帯の増加による学童クラブ需要が年々増加傾向にあります。こうしたことを踏まえ、これまでの児童館の機能、役割を基礎とした上で、それぞれの施設の機能、役割に応じて、福祉的課題に対応を図るソーシャルワーク機能、乳幼児親子への支援機能、中高生世代への支援機能などを強化した運営ができるよう検討を進めているところであります。まちづくりの進展による都市構造の変化や、共働き世帯の増加などの社会状況の変化なども踏まえた上で、地域子ども施設の整備など多様な居場所づくりを進めていく考えでございます。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、行政報告についての御質問のうち、中野区子どもの権利に関する条例を受けた学校づくりについてお答えをいたします。

 昨年度から、区立小・中学校では、中野区子どもの権利に関する条例を改めて柱の一つに置いて、教育課程全般の見直しを図ってきたところでございます。小・中学校は、主に学級活動や生徒会活動、学校行事や学校生活等において、児童・生徒の意見や考え、思いを安心して表明できる場をより増やすための取組を行ってきております。子どもたち自身が考えた学校生活の決まりや運動会の企画運営などの実践が多く報告されてきております。引き続き、学習活動も含めて、子どもたちを主体とした学校づくりに向けて指導、助言をしてまいります。

〔文化・産業振興担当部長高村和哉登壇〕

○文化・産業振興担当部長(高村和哉) 私からは、地域活動・地域経済の好循環を目的とした地域通貨の導入についての中から2点お答えいたします。

 まず、区内商店街キャッシュレス化の検討状況でございます。昨年度、中野区商店街連合会及び中野区商店街振興組合連合会では、専門家の助言を受けながら、区内共通商品券の電子化に向けた調査と検討を行ったところでございます。具体的には、商品券の電子化に関する勉強会の開催、商店街へのヒアリング、先進事例の視察、システム事業者へのヒアリングを実施し、商品券の電子化に係るコストの算出やスケジュールの検討を行ったところでございます。

 次に、区内商品券と連携したデジタル地域通貨の検討についてでございます。他自治体では、デジタル地域通貨に区内共通商品券や区の事業を連携させ、コミュニティ通貨として運用しているところがございます。先行実施しているデジタル地域通貨の例を参考にしつつ、中野区商店街振興組合連合会と協議しながら、有効なキャッシュレス型の地域通貨のシステム構築に向けて検討してまいります。

〔企画部長岩浅英樹登壇〕

○企画部長(岩浅英樹) それでは、地域通貨の導入についての御質問のうち、全庁的な地域ポイントの検討についてお答えをいたします。キャッシュレス化のさらなる進展や区民のデジタル機器の活用状況等を踏まえ、他自治体の先進事例も参考にしながら、デジタルによるポイント活用につきまして、商店街や地域に新たなつながりを生み出すような仕組みにつきまして、全庁的な検討を進めてまいります。

〔地域支えあい推進部長石井大輔登壇〕

○地域支えあい推進部長(石井大輔) 私からは、地域通貨の導入についての御質問のうち、地域活動ポイントについてお答えいたします。地域活動に対するポイント付与につきましては、地域活動の活性化に向けた仕掛けとして有効であると認識しておりますけれども、デジタル地域通貨の導入に合わせて組み込んでいくのが効率的かつ効果的であると考えております。

 次に、地域活動活性化モデルの設計についての御質問にお答えいたします。地域活動に対するポイント付与は、活動のインセンティブとなることから、ポイントの受渡しが繰り返されることによって地域全体の活性化につながると考えております。こうした取組の参加者となり得る地域団体や事業者などとともに意見交換しながらモデルを検討してまいります。

〔防災危機管理担当部長石崎公一登壇〕

○防災危機管理担当部長(石崎公一) 私からは、S-uiPSによるリアルタイム浸水予測システムについての御質問についてお答えいたします。区では、S-uiPS、リアルタイム浸水予測システムのテスト配信サイトの利用者登録を行い、浸水予測システムの活用について検討を始めたところでございます。また、先日、開発者とも意見交換をしたところであり、今後、開発者との共同の取組についても、併せて検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○議長(酒井たくや) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。

 

 

令和5年02月21日中野区議会予算特別委員会の会議録

 

○ひやま委員長 以上で森たかゆき委員の質疑を終了します。

 次に、加藤たくま委員、質疑をどうぞ。

○加藤委員 自由民主党議員団のトップバッターを務めます加藤たくまです。

 質問に先立ちまして、2月6日にトルコ南東部で発生しました地震の影響によりまして、現地で大きな被害が発生しております。お亡くなりになられた方々と御遺族に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、不安な気持ちをお過ごしの被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 質問は通告どおりですが、小宮山議員ではないですけど、ちょっと遺書的に、その他で、(仮称)行ってはいけない科学館、区長への政治姿勢についてお尋ねします。

 では、令和5年度予算について、まず、歳入から伺います。

 新型コロナ、ウクライナ侵攻より、経済活動が停滞し、税収が落ち込むものと考えられておりましたけれども、中野区において、特別区民税及び特別区交付金は昨年度当初予算よりも大きな伸びが続いております。昨年の予算特別委員会、決算特別委員会の総括質疑で申し上げてきましたけれども、コロナ禍の経済対策として、国の雇用調整助成金、持続化給付金などのカンフル剤的な政策の効果が税収を押し上げたと考えられます。

 中野区の令和2年度、令和3年度の決算を比較しますと、特別区民税は増減0%、特別区交付金は13.9%増で、うち固定資産税は、これは都が集めたところでの総計ですけれども、固定資産税がマイナス0.4%、市町村民税法人分は49.7%伸びており、法人税の増額が増収した主要因というよりは、それのみが原因であります。結果、特別区民税と特別区交付金の合計額は、令和2年度が721億円で、そこから令和3年度771億円で、6.9%の増になりました。物価高騰対策などはありますが、法人税に直接的に関与するカンフル剤がない来年度予算はこのままでいいのか、その疑念は拭えません。

 といっても説得力がないために、ほかの自治体の状況について調べてみました。23区については所管がお詳しいと思いますので、所管にここ最近の歳入、23区についての概要をお尋ねします。

○森財政課長 23区の歳入の状況でございます。まず、23区総体として、全体として見ていきますと、歳入の柱であります区税収入、それから、特別区交付金の状況でございます。区税収入につきましては、昨年度まで――令和3年度まで11年連続で増となっております。それから、特別区交付金につきましては、令和2年度に一旦減となりましたが、令和3年度には令和元年度の水準に回復をしているというような状況でございます。特別区交付金について、今後の見込みについては、令和4年度、令和5年度とも前年度からの伸びが見込まれているところでございます。

○加藤委員 私のほうでほかの23区以外の自治体について調べてみました。私のほうで選ぶのは恣意的なので、中野区が里・まち連携している都市の令和2年度と令和3年度の決算額を調べてみました。それぞれの市税・町税です。市税・町税は、市民税・町民税と、あとは法人住民税、固定資産税などで構成されておりまして、中野区で言えば特別区民税と特別区交付金の合計額と見れば大まか合致するわけです。

 それぞれの自治体の令和2年度と令和3年度のそこら辺の市税と町税を言いますと、常陸太田市が、令和2年度が54.2億円、令和3年度が52.1億円で、2.1億円下がっています。館山市は、令和2年度61.7億円、令和3年度61億円で、7,000万円の減。喜多方市が、48.7億円から48億円になって7,000万円減。甲州市は、令和2年度42.4億円、令和3年度41.3億円で、9,000万円減。水上町は、41億円から39.1億円で、1.9億円と、どこの自治体もマイナスになっていました。中規模都市として秋田市と青森市を調べましたけど、令和2年度444億円から令和3年度は横ばいで444億円。青森市は、357億円から358億円で微増、1億円の増。大規模都市で、大阪市は令和2年度7,447億円から0.7%微増で7,500億円、名古屋市は5,946億円から令和3年度が5,838億円で1.9%減となっていました。

 コロナ禍で、東京以外は横ばいもしくは減額となっていることが分かりました。東京が独り勝ちをしていたということが分かりました。

 東京23区においては、市町村民税法人分が増額になった理由を理解することが今後の区の財政にとって重要なんだなというふうに考えます。先ほども森委員もその辺、この東京がなぜこんなに税収がいいのかというのを疑問と思っているというところでしたけれども、その辺が多分分析しないといけないポイントなんだろうなと思っております。

 財政課長は、なぜ23区のみ市町村民税法人分、ほかの自治体で言えば法人住民税のような、このような差が生まれるとお考えでしょうか。

○森財政課長 東京の市町村民税法人分の増収傾向ということについては、一般的には企業収益が堅調に推移しているということによるというふうに言われておりまして、そのように捉えております。

○加藤委員 コロナ禍でアマゾンとかウーバーイーツとか、新しい運送サービスがかなりはやっていると。あと、リモートワーク関連のICT産業の伸びというのも、オンラインで会議するとか、そういった設備投資とかで大分伸びが顕著だったとも聞いております。法人税は本社がある自治体に納税されるために、日本全体でこういった運送サービスだったりリモートワーク関連のICTのサービス業、こういったサービス業の利益が東京に本社がある会社が伸びているわけなので、結局、その法人税は東京に全部納められてしまう、言ってしまえば、日本全体のそういったサービスの利益が東京の法人税に跳ね返ってくるということが分かってくるわけです。

 また、コロナ禍で旅行に行くことが推奨されない時期が長くて、都民は都内でおいしいものを食べようとか都内観光しようなど、東京の人たちがふだんは地方都市だとかで使っていたお金が都内で使われるというのも、そういう意味では都内での内需が増えていることも一因と考えられます。

 もしこのような仮説が合っているとすれば、今後サービス業がどのように展開していくのかが本当に注目されるところであります。

 また、どの企業も節税することに努めますし、来年度からは人件費を上げていくということも考えられます。例えば先ほど言ったアマゾンとかウーバーイーツというのは、CMをがんがん流しているわけで、こういうのが経費節減になってくるわけで、本当に税収がこれまでどおり入ってくるかというのも疑わしいわけですけれども、そういったことをいろいろ考えたときに、御担当は、市町村民税法人分の傾向がどのように今後なっていくと想定されていますでしょうか。

○森財政課長 先ほど申し上げたとおり、企業収益が伸びているという推移ということでございますので、来年度以降も増収が見込まれるというようなところで考えております。一方で、企業収益の状況というものは、景気の変動ですとか社会情勢の変化によってもかなり影響を受けやすい性格のものでございますので、そういった状況の変化によっては下振れのリスクも当然に想定されるということと捉えております。

○加藤委員 ちょっと細かいというか、それぞれのところを見ていきますけど、特別区民税の増額の理由について伺います。先ほども触れられていましたけど、おさらいで。

○竹内税務課長 特別区民税についての増額の理由は、納税義務者数と所得の増によるものでございます。納税義務者数は、前年度と比較して1,120人増の20万4,657人、1人当たり総所得金額は前年度と比較して38万1,536円増の437万3,124円と見込んだものでございます。

○加藤委員 給与収入はどのぐらい増加したのか、お伺いします。

○竹内税務課長 令和5年度の予算積算に当たって見込んだ1人当たり給与収入は、560万3,515円でございます。令和4年度の予算積算時の530万1,339円と比較しまして、30万2,176円の増加を見込んでございます。

○加藤委員 給与収入増加の理由について伺います。

○竹内税務課長 積算に当たっては、厚生労働省の毎月勤労統計調査地方調査の東京都調査を参照しまして平均給与収入を算出してございまして、約3%増加の平均給与収入を見込んだものでございます。多くの企業において令和4年度に賃金の改定を実施しており、平均給与収入がおおむね増となっていると推測してございます。

○加藤委員 物価高騰とともに給与を上げようという話が出ているわけですけど、実質は来年度から上がっていくのかなと考えられますし、メディアとかの街頭インタビューとか、私の周りを見ても、給与が顕著に上がっているような話も聞くこともないんですけども、先ほどの3%とかというのは、結局、例年のベアの範疇みたいな認識でいいのか、よりふだんより高く上がっているのか、その辺の認識を教えてください。

○竹内税務課長 厚生労働省のほうで、賃金引上げ等の実態に関する調査というものをやってございまして、その中で、1人平均賃金を引き上げた・引き上げる企業の割合というのは、前年に比べ、前年が80.7%だったんですけれども、こちらが85.7%に上がったり、また、1人平均賃金の改定額のところが、前年4,694円だったものが5,534円となっていまして、おおむね上がっているというところがありますので、こういったところが給与収入の増につながっていると考えてございます。

○加藤委員 ちょっとすみません、通告にしていなかったんですけど、先ほどの森委員ので答えられればですけど、人口推計で区民税を計算していると言っていますけど、これまで毎年の人口の変化と推計は一致しているんですか、傾向は。

○竹内税務課長 納税義務者数の増が大体人口と比例していますので、こういったところは比例していると考えています。ただ、平均給与と掛け合わせますので、そこがどういった増加になるかというのは、詳細な分析というのはまだちょっとし切れていないというところでございます。

○加藤委員 ありがとうございます。突然の質問で。

 そうしたら、今度は特別区交付金について伺いますけど、増額の理由について伺います。

○森財政課長 特別区交付金につきましては、交付金の財源であります調整税等につきまして、企業収益の伸びにより市町村民税法人分や法人事業税交付対象額の増、また、固定資産税も伸びておりまして、23区合計の交付金の全体で前年度比較850億円、7.7%の増ということになっておりますので、増を見込んでいるということでございます。

○加藤委員 令和4年度の補正で増額になっていますけど、その決算値と今回の予算で比較すると、それぞれ幾らなんですか。

○森財政課長 先般議決いただきました第8次の補正予算におきましては28億円増額補正をいたしまして、補正後予算額は433億円というふうになっているところでございます。令和5年度予算につきましては、434億円を見込んでおりますので、そこから比較すると1億円の増となります。

○加藤委員 そうすると、決算値よりも今回の予算のほうが大きい金額ということですけど、何とも不透明な中で、かなり強気だなと思うんですけど、こういった数字というのは東京都から割り振られた数字をそのまま予算に入れるものなんですか。中野区のほうで数字は何か変えられたりするものなんですか。

○森財政課長 東京都から今の時点で示されるのは、全体のパイですね、交付金全体のフレーム、そこが示されるので、区としては、そこのフレームに対して、これまでの交付の占める割合を掛けまして積算して、大体3.7%程度なんですけれども、それを踏まえて積算しているということでございます。

○加藤委員 ちょっと強気な数字な気がします。

 そうしましたら、中身に入っていきますけど、資料を皆さんに見ていただきながらやっていただきたいので、「令和5年度当初予算(案)の概要」の24ページをお開きください。「新たな予算編成手法」というのがあります。今までの基準となる一般財源規模の考え方をやめた経緯が示されております。ここに書いてありますけど、「平成26年度以降歳入が上振れする状況が続き、歳出にあっては令和2年度を除き基準額に収まることはなく、財務規律として機能しているとはいえない状態でした」とありますが、私は何度も言ってきましたけれども、田中区政において基準額に収めることができなかった理由は、新規事業、特に投資的経費にどういうのがあったかという説明書きがありました。酒井区政になってからは、収まらなかった理由の説明もなく、ただただ財政規律が緩くなったような印象になっております。

 田中区政で設定された基準となる一般財源規模というのはランニングコストの基準額というふうに私は認識していたわけですけれども、新たな予算編成手法は、予算の最低金額を底上げするため、足かせを取るためで、これまでの考え方をそのためにやめたのではないかと疑念が出るような内容ですので、ちょっとその辺についてお聞きをしていきたいんですけれども、かなり足かせが強過ぎたというのもあるかもしれませんし、結局財政規律を守れないから何のための数字なんだということはあったわけですけれども、ある意味、聞いてもしようがないかもしれませんけれども、なぜ自ら設定した基準となる一般財源規模にこれまで収めることができなかったのか。結局ゴールポストを変えているだけだというふうな印象だったんですけど、その辺の認識を伺います。

○森財政課長 歳出の一般財源充当事業費につきまして、基準となる一般財源規模の範囲内に収めるということを目指して毎年度予算編成を行ってきたところでございます。経常経費の削減等を図りながら必要な行政需要への対応を行ってきたというような予算編成を進めた結果、基準の範囲内に収まってこなかったというところでございます。

○加藤委員 では、新たな予算編成手法について伺います。

 新たな予算編成手法では最高金額の設定がされていませんけれども、中野区はこういった中で自らをどうやって律していくのかということを伺います。

○森財政課長 新たな財政運営の考え方におきましては、予算編成開始時点の一般財源歳入の見通し、その範囲内で歳出の一般財源充当事業費の積算と、目標とする基金の積立てを行うというふうにしております。ですので、ここが一つの基準、規律ということになってまいります。

○加藤委員 令和5年度当初予算(案)の概要の24ページに書いてある棒グラフがそれを説明しているということなので、これについて直接聞いてみたいと思いますけれども、歳出の棒グラフが歳入の見込み基準値、編成フレーム878億円とありますけど、これが何を示しているんでしょうか。

○森財政課長 特別区税、特別区交付金、その他各種交付金など、いわゆる一般財源でございますが、この数字が当初予算編成開始時――8月下旬において令和5年度の歳入の見込みということで、この878億円ということでお示しをしております。

○加藤委員 8月時点で見込まれる一般財源ということですよね。見込み差分が36億円とありますけれども、8月からその後で結局幾らだったかということだと思いますけれども、それがいつ頃になるのかとか、そういったところの説明を教えてください。

○森財政課長 ここで最終的に一般財源については914億円となっております。36億円の見込み差ということになっているわけですが、最終的にこの914億円となったというところについては、年末の段階、予算編成がほぼ終了している段階で914億円ということで見込んだところでございます。

○加藤委員 この金額は、例年、常にプラスになるものなんですか。

○森財政課長 まず、予算編成の開始時点において、その時点の情報を基に歳入の見込みを立てているということでございますが、予算編成を進めていく中で、最新の情報を基に積算をし直していくということで、当然に見込み差は発生してくるわけでございます。常にプラスになるものではないと考えております。

○加藤委員 マイナスになることもあるということですけれども、過去にこういったマイナスがあったとするならば、最大どのぐらいあったんですか。

○森財政課長 平成22年度以降で確認をしたところ、平成29年度に、8月と最終的な予算額との差が14億1,800万円余の減ということがございました。

○加藤委員 そうすると、もしそういったケースがあるとしたら、今回はプラス36億円でよかったですけども、14億円減となると、足すと50億円ぐらい、結果的に、見込みの差だからあれですけれども、マイナスになっちゃうわけですけれども、例えば今年同じようなケースで14億円減となったならば、ここの右側の歳出――先に歳出を1個1個聞いたほうがいいですね。14億円歳入が減っちゃったという事例もあるということはちょっと後で聞いておきますけども、右側の、先に歳出を聞きますけれども、一番下に一般財源充当事業費とありますけれども、これはさきの新しい予算編成手法の中で最低値は基準財政需要額にするということでしたけれども、来年度のその金額は幾らですか。

○森財政課長 最低値ということにつきましては、都区財政調整の基準財政需要額の直近3年の平均額を下限にするということで考えておりまして、令和5年度については、739億6,000万円余というのが最低限になります。実際のところ、予算額としては803億円ということでございます。

○加藤委員 それでは、その上にある基金積立目標分とありますけれども、この金額はどのようにして決定されるものなんですか。

○森財政課長 基金の積立ての考え方につきましては新たな財政運営の考え方でお示しをしておりまして、施設整備に関する基金については、来年度発生する見込みの減価償却費相当額の25%を積み立てる、それから、道路・公園整備基金やまちづくり基金については、今後10年間の基金活用計画額の平均額を積み立てていくと。それから、減債基金については、特別区交付金の財産費算定分の相当額のうち起債活用分を積み立てていくといったような考え方を整理しておりまして、その考え方に基づいて算出したのがこの74億円ということになります。

○加藤委員 この中に財政調整基金は入っていないんですか。

○森財政課長 財政調整基金の年度間調整分については、こちらには入っておりません。

○加藤委員 組立て方の話か。一般財源充当事業803億円足す基金積立目標分74億円を足すと877億円となるということで、歳入の当初見込みの878億円とこれは金額をそろえるという予算編成の考え方ということでよろしいんですか。

○森財政課長 そろえるといいますか、この878億円の中に収めていくというようなことで予算編成を行っておりまして、歳出予算については、必要な区民サービスの質と量を見込む、それから、新たな財政運営の考え方に基づいて基金を積み立てたということで、結果として877億円になったということでございます。

○加藤委員 それでは、その上にあります年度末の残高目標分18億円とは何を示しているか、伺います。

○森財政課長 新たな財政運営の考え方において、基金残高の年度末残高の目標値というのも定めております。財政調整基金の施設改修分や社会福祉施設整備基金、義務教育施設整備基金の年度末残高については、対象施設の減価償却累計額の25%の確保に努めるということにしておりまして、その年度末残高――令和5年度末残高の目標額を確保するために、財政調整基金の施設改修分と社会福祉施設整備基金にこの18億円を積み増ししたということでございます。

○加藤委員 続いて、義務教基金積み増し分19億円とありますけれども、この新たな予算編成手法の文章を読むと、お金が余ったから入れるというような感じになっていますけれども、もし歳入がこの19億円分以上入らなかったら、これは義務教育施設整備基金にお金入れるのは0円になるということなんですか。

○森財政課長 基金の積立目標額としては、先ほど申し上げたとおり、減価償却費の25%は積み立てしていくというふうにしておりますので、今回の19億円というのは一般財源がさらに確保できた場合の積み増しということになっておりますので、歳入が予想より下回ったとしても、ここの19億円の分については予算額より積立額が減少するということはあり得るかなと思います。

○加藤委員 つまり、義務教育施設整備基金は、この36億円と見込み差が大きかったから入れるだけであって、例えば見込み差分が10億円とかだったら、義務教育施設整備基金に1円も入れることはないということですよね。そうすると、当初予算案の概要の27ページのほうを見ますと、義務教育施設整備基金の積立て23億円があるわけですよね。それで、19億円を積み立てない場合は4億円ということで、この4億円は基金積立目標分の中に入っているということでよろしいんですか。

○森財政課長 そのとおりでございます。

○加藤委員 基本的に、今、歳入が上振れ状況だと想定されているこの時期に、当初見込みの段階で、義務教育施設整備基金をもう少し積み込もうという予算編成をしてもいいのかなと思うんですけれども、その辺はいかがですか。

○森財政課長 先ほど来申し上げている基金の積立ての考え方というのをお示ししているところでございます。まずは、最初の段階においては、この考え方に基づき、確実にこの目標額を計上していくということが必要であると考えておりまして、先ほど来申し上げているように、さらに一般財源を確保できた場合については、義務教育施設整備基金にも積み増しをするという考えでございます。

○加藤委員 大体この棒グラフの中身が分かったところですけども、先ほど歳入の見込み差分が36億円と今回なっていますけれども、過去にはマイナス14億円ということもあったということですけれども、当初見込みよりマイナス14億円になった場合、この棒グラフはどういう編成になってくるんですか。

○森財政課長 予算編成を進めていく中で、当初よりも歳入が下振れするということで、歳出超過というふうになりそうだといった場合については、当然経費の見直しということの検討も必要でございます。あわせて、基金の積立てをどうしていくのかということの検討も必要でありますが、これらの状況を整理した上で、当然必要であるということになれば財政調整基金の年度間調整分の取崩しというような対応にもなってまいります。

○加藤委員 基金積立目標分というのは、減価償却とかに関わるところの金額と言っていましたし、財政調整基金のお金はこの中には年度間調整分が入っていないということですから、結局ここで最初に当初見込みというのが、見込みの推計が悪かったという理由になって、それでマイナス、その後、見込み差分がマイナス14億円になったって、自分らの計算ミスみたいなものをそこで財政調整基金の年度間調整分を充てる、そういうことなんですか。

○森財政課長 今、年度間調整分を充てるといったことについて、そこの部分につきましては、当然必要な事業を予算編成において検討してきて、これは翌年度に計上していくというような、それが必要であるということになってきたら、そういうことであれば、当然、年度間調整分での対応もあり得るということでございます。

○加藤委員 一般財源充当事業費を下げるというところには至らないんですか。

○森財政課長 当然、そこの歳入が当初よりも下がってくるというような見込みに立ってくれば、当然歳出削減ということも検討の視野には入ってくると思います。

○加藤委員 そんないきなりマイナスになったというのは、8月の見込みがたまたまそうだったというところで、そんなに大きく14億円も下がっちゃったといって、事業費がそんなに下がるのか、急に対応し切れるのかなというところが疑問なんですけど、事業には優先順位とかがついているんですか。急にこれ、ちょっと予算が足りないからこれを削ってほしいという、そんな簡単なものなのか。ひょっとしたら入れられないという中で予算を組んでいればあれですけど、これを入れようという中で、やっぱりこれはお金がないから外してくれという、そういうふうなやり取りができるものなんですか。どうやって減らしていくんですか。

○森財政課長 今、優先順位というお話もありましたが、当然、減らしていく、やむを得ず、歳入が減しそうなので、歳出の計上を見送るということについて、そういう段階になった際には、優先順位を見ながら当然整理をしていくというような必要にはなってくるかなと思います。その上で、やはり当初、翌年度実施していくということで整理していったものについて、これは必要だというふうに判断があり、歳出超過というような状況になってまいると、先ほど申し上げたとおり、年度間調整分での対応ということも当然考えられるということでございます。

○加藤委員 結局、削ろうとしたときには、新規予算から削るしかなくなっちゃうと思うんですよ。だから、そういった中で、それすら削れない状況とか、あと、ランニングコストが上がり続けている中でどうやっていくのかというのは本当に考えていかないといけないなというふうに、このグラフから感じるわけですけれども、たまたまこれは見込み差分がプラスになったけど、マイナスになったらどんな絵になっちゃうんだろうと、ちょっと想像するだけでも意味が分からない。描きようはありますけど、どう描くのかなという絵になるわけですよね。たまたま今年はこうだったかもしれないですけど、マイナスだったら、どういう説明のグラフになるんだろうなと。

 そういったところで、次に行きますけれども、新たな予算編成手法は、財布のひもが最大限に広く、とんでもない考え方なのかなと私は思っているわけですけれども、それが、財布のひもが広がってきたというところについてちょっと質問していきたいと思いますけれども、令和5年度当初予算(案)の概要の29ページを見てください。財政フレームで、歳出の一般事業費を見てみます。ちょっと一応、皆様には釈迦に説法ですけど、一般事業費とは何か、ちょっとお尋ねします。

○森財政課長 こちら、29ページの歳出の表のところの人件費などの義務的経費や繰出金、それから、新規・拡充・推進事業、それから、基金積立金、これを除いた経費が一般事業費ということでございます。

○加藤委員 結局は、義務的経費を引いた経常経費という考え方でいいですか。

○森財政課長 経常経費の中には繰出金もございますので、義務的経費のほかに繰出金を除くと、今、委員がお話のとおり、おおむねそのとおりになってくるということでございます。

○加藤委員 基準となる一般財源規模という考えがなくなった今、どこで財政規律を守るかという観点をどうするかというときには、この一般事業費の増額をどのぐらい抑制するかというのが大きなポイントになると思います。

 では、要求資料の総務48「令和4年度予算編成時における10年間の財政フレームと主な基金の積立・繰入計画」を見てください。下から7行目、令和4年度の一般事業費は214億円となっています。令和5年度以降における一般事業費も214億円の横引きとなっております。

 新規・拡充・推進事業が経常経費化されれば一般事業費化されますので、下から6行目の令和4年度の新規・拡充等事業のうち令和5年度にどの程度が経常経費に変わるかは、昨年のこの場で議論しました。財政課長の答弁は、新規・拡充事業の後年度負担、単年度経費が10億4,500万円余で、推進事業の経常経費が8億1,000万円余でございますので、合計しますと18億5,000万円余、約19億円になるということでございます、私がそこで次のように質問します。経常経費が後年度18億5,000万円、約19億円ということですけれども、その金額が令和5年度以降に一般事業費に加えられるべきだと思うんですけれども、その19億円程度の金額はどこに入っていくんですか、この資料を見ると、一般事業費が令和4年度で214億円で、令和5年度も同じ214億円になっていますけれども、この辺りの経常経費がどこに加わるんでしょうかと。それに対する答弁は、令和4年度の新規・拡充事業や推進費で翌年度以降に経常経費化していくもの、19億円余と申し上げたところでございますが、当然それはかかってくるところなんですが、一方で、PDCAサイクルを回していき、行政評価や決算分析による事業の効果検証を行って、新規事業と既存事業の見直しを一体的に行うビルド・アンド・スクラップを徹底しまして、既存の経常経費については当然抑制を図っていく必要がある、努めていくということでございまして、令和5年度以降の一般事業費については横引きということでしたとなっていますね。

 結果、当初予算案の概要29ページの歳出のところで、令和5年度の一般事業費を見ますと、245億円となっています。昨年のこの場で214億円にとどめると言ったにもかかわらず31億円増額となりましたけれども、この原因は何でしょうか。

○森財政課長 令和4年度に新規・拡充・推進事業としておりまして、それが令和5年度に経常経費化したと。そうなってきた部分については、それによって一般事業費に入ってきたものがおよそ6億5,000万円余でございます。それ以外に、単純に令和4年度から令和5年度増したといったもので、区有施設の光熱水費で4億9,200万円余の増、それから、指定管理料で3億3,000万円余の増、定期予防接種で2億9,700万円余の増、それから、清掃一組分担金で1億2,600万円余の増、あと、小・中学校の施設維持管理経費で1億700万円余の増といったようなことになっております。

○加藤委員 先ほど言っていた令和4年度の新規・拡充10億円ちょっとと推進事業の8億円ぐらいは、令和5年度以降では後年度経費としてどのぐらい一般事業費化されたんでしょうか。

○森財政課長 今お話のあった8億円の推進事業のところでございますが、こちらにつきましては、商店街のキャッシュレス推進事業、こちらは引き続き令和5年度においても新規・拡充・推進事業にしておりますので、それ以外の経費が令和5年度において経常経費化はされているということでございます。一部、一般事業費ではなくて、扶助費や人件費に入っているものもございます。

○加藤委員 そうすると、19億円ぐらいと言っていましたけど、ほかの一般事業費じゃないところで経常経費化されているということで、この19億円がそのまま31億円の増になったわけではないということなので、さらに増えた要因がほかにもあるというわけですよね。

 ちょっと時間がないのであれですけど、そういったところで、要求資料の総務50では、令和2年度予算と令和5年度予算について、一般事業費が増額した要因を作成してもらいました。ちょっと細かいところまであれですので、一応言いますと、この3年間で一般事業費が150億円から95億円増額して245億円になっているということで、かなりの金額が一般事業費化されているということになります。ビルド・アンド・スクラップのスクラップは、当初予算案の概要、これの23ページに書いてありますけれども、5,000万円程度です。構造改革の財政効果は2.5億円となっておりますけれども、予算ベースで言うと1円も減らすものではないです。人的な財政効果とか、そういったところですので。ビルド・アンド・スクラップを徹底しまして、既存の経常経費については当然抑制していく必要がある、努めていくといった答弁はどこにいってしまったのか、改めて伺います。

○森財政課長 今お話のありましたとおり、予算編成に当たって、ビルド・アンド・スクラップの観点で当然経常経費は削減をしていくというようなことで取組をしてきたところでございまして、今、ビルド・アンド・スクラップという、明確に整理しているものについては、今お話があった予算案の概要の23ページに記載しているものがこの結果ということでございます。

○加藤委員 先ほど挙がった中でいろいろ聞いていきたいんですけれども、指定管理料は、この前の一般質問でありましたけれども、この1年間で3億3,700万円となっておりましたけれども、この中に光熱水費も入っていたと思うんですけれども、それは、令和4年度の補正予算で指定管理料に関わる光熱水費も補正であったわけですけど、それの合計額は幾らですか。

○森財政課長 令和4年度の補正予算で第7次です。一般会計第7次で区立施設の光熱水費の補正をしておりまして、そのうち指定管理料の増分については、およそ7,000万円ほどということでございます。

○加藤委員 7,000万円ぐらいが上がったということですけど、さらにそのときから光熱水費が上がっているので、さっき言っていた3億3,000万円ぐらいのうち1億円ぐらいが光熱水費の増だとした場合には、2.3億円以上が上昇していると考えられますけれども、いろいろ物品費とかもあるでしょうけど、やはり公契約条例によって、1,000万円以上の業務が東京の最低賃金1,072円から98円高い1,170円に押し上げたことがかなり大きな主要因になってくると考えられます。ちなみに、1,072円から1,170円に押し上げると9%の増額です。ほかに一般事業費で押し上げたもので学校用務業務委託というのがあると思うんですけど、これは幾ら上がりましたか。

○森財政課長 学校用務業務委託につきましては、令和4年度と令和5年度を比較しまして、3,700万円余を予算額としては増しております。8.9%ほどの増でございます。

○加藤委員 委託費も8.9%、今のは人件費がかなり、学校用務委託は人件費率がかなり高いということで、そこで8.9%の増で、先ほど言った9%ぐらいの増に近いわけです。人件費のみで構成される委託はやはり公契約条例の導入でかなり上がったと言えます。

 そういったところで、予算というか、財政を組む中で、こういった公契約条例で賃金上昇というのが少なからず影響が出てくるわけですけれども、委託でひょっとしたら2億円ぐらいかかっているかもしれないです。ちょっと中身を見ないと分からないですけど。そのぐらいかなり上げてしまうというところです。ある事業者から――先に経理課長に伺いますけど、公契約条例によって中野区の歳出が上昇することは当たり前ですけれども、財政当局は、公契約条例審議会との調整が行われていないですけど、それは間違いないですか。

○宮脇経理課長 財政当局は、公契約条例に関して関与しているものではございません。(「関与していないでいいんですね」と呼ぶ者あり)はい。

○加藤委員 ある委託事業者から話を聞いたんですけど、公契約条例に当てはまる1,000万円以上の事業と、そうでない1,000万円以下の事業を両方持っている事業者がいました。それぞれの職場で同じような業務で働く社員がそれぞれの業務に就いていて、そこで1,170円と1,072円で雇っているそれぞれの人が出てくると、そこで情報がツーカーになってしまうと、何でうちのほうが100円相当安いんだろうというようなことが起こると、その穴埋めをするために、安いほうの事業に就いている人に何かしらのボーナスを与えないといけないんじゃないかという、こういった不安の声もあります。

 あと、業界全体で言うと、ビルメンテナンスの業界全体の賃上げが求められてくるということで、民間ビルとかマンションの家賃をそういった管理費上昇のために上げざるを得ないような状況が生まれてくることも懸念すると言っていましたけれども、公契約条例の制定によってここまでの影響というのは考えられていましたか。

○宮脇経理課長 こちらは1,000万円で線を委託について引いてございますけれども、確かに契約の案件が、それと適用しないものとが同居するというような状況というのは想定されるシーンもあろうかなというふうに考えてございます。

 あと、ビルのメンテナンスの管理費の上昇についてもお伺いがありましたけれども、こちらについて、人件費、労働報酬下限額の設定がされれば、上がる場面も想定されるのではないかなというふうには予想はしてございました。

○加藤委員 1,000万円以下なら最低賃金のままでいいという格差が生まれる可能性もありますし、そういった1,000万円以下しか取れない零細事業者がさらに苦境に立つ可能性もあると思います。そういった意味では、1,000万円をボーダーにしていいのかなというところも考えられますし、全業務で賃金上昇できないかなみたいなことも本当は考えないといけないのかなとも考えます。

 あと、結局、財政当局と公契約審議会が情報を共有していないというか、どのぐらい出せるかというのを区側が審議会に言わないと、幾らでも賃金が上がってしまうという懸念もあって、その辺の調整をして、あと、1,000万円というボーダーでいいのかとか、そういったことを総合的に考える必要があると思いますけれども、その辺の御見解をお伺いします。

○宮脇経理課長 公契約審議会ですけれども、労働者側や事業者側のそれぞれの立場から、また、学識経験者2名が中立的な立場から、適正な労働賃金・報酬の下限額を設定して答申しているという仕組みになっております。審議会では、都の最低賃金、それから、中野区の会計年度任用職員の報酬を基に、その他事情も勘案して今回の額に至っておりますので、適正な額を答申していただいているんだと思っております。この額につきまして、財政当局との関与ということでお話がございましたけれども、この額を最終的に決めるのは、答申を踏まえて区が決めるという形になりますが、区側があらかじめ上限を定めるということであれば、諮問することの意味というのもちょっと大きく減ってきてしまうのかな、答申で出した下限額の妥当性についても関わる中身かなと思います。本来であれば、財政側の関与ということであれば、一般事業費の抑制を目的とするならば、例えば事業の削減や規模の縮小など、別の手段で担保するべき課題なのではないかなというふうに考えてございます。

○加藤委員 令和4年度から令和5年度にかけて一般事業費が上がるところについていろいろ掘りたいですけど、時間がないので、この辺にします。

 そうしますと、今度は、今年度新規・拡充・推進にしたのがまた後年度の負担になってくるというところについてやっていきたいと思いますけれども、要求資料総務45「次年度予算で計上した新規・拡充・推進事業に係る経常経費の見込み(一般財源ベース)」を御覧ください。この資料について説明してください。

○森財政課長 総務45でございますが、令和5年度予算で計上いたしました新規・拡充・推進事業のうち、後年度において経常化される事業について、令和5年度、令和6年度の経常経費と臨時経費、それから、令和7年度以降における単年度の経常経費を一覧にした資料でございます。

○加藤委員 新庁舎管理運営経費が6億円ぐらいとなっておりますけれども、これは、新庁舎という業務名ですから、現庁舎の管理費とはちょっと違う、別建てになっていると思うんですけど、現庁舎において管理運営費は幾らになっていますか。

○天野庁舎管理担当課長 新庁舎管理運営経費でございますけれども、管理費のうち、警備、清掃、設備保守委託の費用で、年間、新庁舎では3億6,000万円余を見込んでおり、令和4年度――今年度の予算の年間1億4,000万円余と比べて2億2,000万円の増加を見込んでいるところでございます。また、光熱水費ですけれども、新庁舎においては年間1億9,000万円余を見込んでおり、令和4年度予算の年間1億2,000万円余と比べて7,000万円余の増加を見込んでいるところでございます。

○加藤委員 ちょっと何か、質問に対してあれでしたけど、一応まとめると、新庁舎が6億円ですけれども、現庁舎の管理が2.7億円と聞いています。その上がってしまったところが、委託料は、現庁舎が1.5億円ですけれども、新庁舎においては3.6億円となり、2.1億円、2.4倍に増額されると聞いておりますけれども、その理由について教えてください。

○天野庁舎管理担当課長 管理費が増える要因ですけれども、新庁舎は、現庁舎と比べまして規模がおよそ1.7倍になり、管理対象面積が増えていること、これに加えまして、大部分がOAフロアで、タイルカーペットに仕様が変わり、清掃委託を必要とする範囲が現庁舎よりも大幅に増えること、こういったことが管理費増加の主な要因と考えているところでございます。

○加藤委員 ちょっと取材のところで伺いましたけど、清掃費の増で、床面積は1.7倍ですけれども、掃除できる範囲がそれ以上に広がっているというふうに伺っておりまして、清掃費が2億円ぐらい上がるというふうに聞いています。現在自分らでやっているのが今度は委託するという話で、2億円の増加はかなり、まだ工夫の余地はあるんでしょうけども、2,000人体制で2,000人で割ると、1人10万円分の掃除してくれるという話になって、かなりの福利厚生だなみたいな、そんな認識もできるので、かなりの工夫ができると思います。この辺は、総務分科会で皆さん御議論いただければ幸いです。

○ひやま委員長 加藤委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にします。

 午後1時まで休憩します。

午後0時00分休憩

 

午後1時00分開議

○ひやま委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き、総括質疑を行います。

 加藤委員、質疑をどうぞ。

○加藤委員 先ほどは、次年度――令和5年度に新規・拡充・推進事業として、それが令和6年度以降にどのぐらい経常経費が増えるかというところの話で、要求資料、総務45におきまして35億円の上昇分が見られるというところで、新庁舎の管理費が入っていたんですけど、現庁舎においてもあるので、新規というところと現庁舎のところというところで差し引きすると35億円から3億円程度引けるかなというところで、一応こっちもそれなりに見たところで、32億円が令和6年度以降一般事業費に加算されるのではないかなというふうに想定されるわけです。

 実は、この資料をつくる際に、35億円になったわけですけれども、取材している段階においては、大体10億円から20億円程度ですかねと言われたんですけれども、蓋を開いたら35億円だったということで、つまり、予算編成のときにこれがどのぐらい増えるかというのが全く想定されないまま予算編成がされるということが分かっているというわけですね。

 一般事業費が令和5年度245億円で、その差引き32億円がプラスになるとすると、令和6年度以降の一般事業費は245億円足す32億円で277億円になります。当初予算案の概要を見ると、令和6年度一般事業費251億円と書いてあり、277億円引く251億円で、26億円のスクラップが必要になりますけれども、それはどうやって行っていくのか、伺います。

○森財政課長 事業のスクラップの御質問でございます。これまでも取り組んでいるところでございますが、当然、毎年の決算分析ですとか行政評価を基に費用対効果等を十分に検証して、事業の見直し・改善に取り組むということでございまして、そういったことでしっかり事業経費の削減に努めていくということでございます。

○加藤委員 そう答えるしかないんでしょうけど、もはや中野区のその発言は信じられないなというところです。だって、実際に令和4年度で214億円と言って、そのまま抑えると言っていたのに、令和5年度は245億円で、31億円増になっています。一般事業費が、例えば245億円がインフレ率が4%だとしても、そういった物価高騰に関するところに充てられるのは10億円程度だと思いますけれども、それをはるかに超えてしまっている。中には上げざるを得ないものもいっぱいありますけれども、スクラップがはっきり言ってできていない現状、こういったところ、277億円をさらに来年度の一般事業費は増えていってしまうんじゃないかなというふうに考えますけれども、本当に財政フレームどおりに行っていく意思があるのか、聞いてもしようがないですけど、一応念のために聞いておきます。

○森財政課長 一般事業費の削減といいますか、縮減ですね、こちらでございます。今、委員も少しお話があったように、一般事業費の増要因については、物価高騰の影響などで増加を避けることが難しいというような経費もあるところでございます。一方で、先ほども申し上げたとおり、決算分析とか行政評価、こういったところで費用対効果を十分に検証して、事業の見直し・改善に取り組んで、事業経費の縮減に努めていくということは、当然それは必要であるところでございまして、来年度以降もそのように取り組むということでございます。

○加藤委員 信用できませんけれども、そう言わざるを得ないですよね。

 実は、聞いている中でそうだなと僕は気づきましたけど、一般事業費を見かけ上下げるテクニックがあります。今やっている事業を新規・拡充・推進に当てて一般事業費から外すと、見かけ上、数字を下げることは簡単なんです。こんなことやって、来年度予算をごまかすようだったら本当に許さないというふうに思っていますし、今からでも財政はしっかり考えて圧縮していってもらいたいと思います。

 一般事業費を上げないためには、新規事業をやめるしかないんですよ、はっきり言って。これからは、もうビルドは散々したんですから、もうスクラップしていかないといけないわけですよ。ビルド・アンド・スクラップで、ビルドはもういいじゃないですか、はっきり言って。スクラップなくしてビルドできない、こういう体制で来年度以降やらないと、本年度もですけど、こういった状況では予算もちょっと認め難いなというふうに思います。

 一つ確認しますけれども、事業を進めるために予算が足らないとかと言って、また学校の計画をストップするなんて、こんなことは絶対ないですよね。確認します。

○森財政課長 先ほど来御説明しておりますが、義務教育施設整備基金等、そういう基金の積立計画もしっかり考え方を定めたところでございます。また、起債計画についても、公債費負担比率を適正な範囲で維持していくというような財政運営を行っていくということもこれまでも御説明したところでございまして、当然これらの財源対策を確実にしっかり行って、学校施設の整備については計画に基づいて進めていくという考えでございます。

○加藤委員 これで予算については終わります。

 それでは、2、中野四季の森公園のレイアウトチェンジについて質疑します。

 この4月から指定管理者による管理が始まりますが、サービスレベルが高まり、より一層利用者が憩い、楽しめる公園になることを期待するところでありますが、現在のレイアウトでは限界があると考えます。

 先に提案の内容を示しますけれども、フリップを委員長の許可を得て出しますけれども、自由民主党議員団といたしましては、このイベント広場と芝生エリアの入替えを提案するというものでございます。

 では、今現在の中野四季の森公園の課題について整理したいと思います。

 まず、平成29年度に拡張開園した北側の部分のイベント広場ですけど、オープンスペースは約3,000平米弱あり、かなりの規模のイベントが実施できます。新型コロナウイルスにより、二、三年はイベントが少ない状況でありますけれども、そもそもテレビとのタイアップともなったこけら落としイベント「グルメ芸人祭」以降は、それと同等以上のイベントが開催されておりません。イベント事業者から聞くと、使い勝手が悪いとの声があります。

 そこで伺いますけれども、中野四季の森公園でイベント利用する際のルールや規制について、どのようなものがあるか、伺います。

○村田公園課長 専ら酒類の販売を目的とするイベント、調理に伴う煙の対策が十分でないイベントや音楽ステージ等による著しい音の発生のあるイベントの利用不可などを利用条件としているほか、安全対策の徹底などを促しているところでございます。

○加藤委員 そのルールはどのようにして決まったのでしょうか。

○村田公園課長 基本的には、都市公園としまして、都市公園法や中野区立公園条例による行為の制限がございます。その上で、イベントもできるエリアとして、近隣の中学校やマンション等に配慮いたしまして、意見を聞いた上でルールを決めているところでございます。

○加藤委員 騒音、飲酒へのルールは厳しく、イベントの利用は極めて限定的になります。

 次に、南側の芝生エリアについて伺います。

 芝生エリアでは、芝生の養生により閉鎖している期間が長く、区民が利用できないといった状況が見受けられますけれども、芝生の育成管理に関してどのような課題があると認識していますか。

○村田公園課長 芝生についてですが、条件面といたしまして、日陰である時間帯が長く、地下水位が高いことや地形がくぼ地状であることにより、配水管等を設置し、配慮してはいるものの、水はけが悪いために、芝の成長が鈍いといったことがございます。また、多くの方が芝地を利用する状況からも芝生への傷みがあり、成長を促すためには、一定期間の養生が必要となってございます。なお、参考までに、他区の状況でございますけれども、南池袋公園なども芝生がある公園でありまして、状況にもよるかと思いますが、芝生の維持管理のために中野四季の森公園よりも長い期間の全面養生を行っているというようなことを聞いているところでございます。

○加藤委員 芝の育成管理上、少なからず養生で使えない期間が生じるのは分かりますけれども、閉鎖期間をできるだけ短くして芝生を使えるような工夫をこれまでされてきたのでしょうか。

○村田公園課長 より育ちやすい芝があるか、種類を変えて検討してきたり、秋口にかけては様々なイベントの開催にも配慮いたしまして、極力短い播種や養生作業となるように努めているところでございます。今年度につきましては、養生によって閉鎖する芝地以外のエリアを一部開放するなど、どこかしらが使えるような運用に変えるなど工夫をしているところでございます。

○加藤委員 周辺の状況によって利用ルールに一定の制約があることや、利用条件、日照や地盤などから芝生管理の難しさがあることが分かります。少しでも長く芝生広場の開放時期を長くできないか、大きなイベントをできるだけ誘致できないか追求すべきです。

 そこで、現在の芝生エリアとイベント広場のレイアウトを変えることで、これらが解決できるということで提案させていただいております。現在の芝生エリアでイベントを行うようにすれば、セントラルアベニューとの一体的な利用ができ、中学校から離れるために、音の問題も解決します。

 また、この際、指向性――狙った場所に音を鳴らす最新スピーカーを使うことを提案させてもらいます。スピーカーのメーカーにより行ったシミュレーション結果について示します。

 これは、ここが区役所で、ここがセントラルパークイースト、セントラルパークサウス、ここは中学校ですけれども、ここでイベントをするとする、スピーカーがここで鳴ると、ここのエリアでだけ音を絞ります。この水色ぐらいの騒音というのは早稲田通りと同じぐらいの車の騒音だということです。つまり、ここでこの良い、最新のスピーカーを使えば、中学校にも騒音は届かないという、届いたとしても早稲田通りと同様、つまり、もう既にカバーできているぐらいの騒音レベルになるということで、こういったスピーカーを使うことによりまして、現状抱えている騒音問題は解決できると考えます。

 そういったこともありますし、あと、お酒を飲むというのも、中学校の前ではなかなか難しかったですけども、レイアウトチェンジすることによって解決もできると思います。

 様々考えなければならないことがあろうかと思いますけれども、このレイアウトチェンジをする場合に課題となることはあるでしょうか、伺います。

○村田公園課長 中野四季の森公園の芝生エリアの一部は、現在の公園形状とすることとして財務省用地を無償で借りているところでございますが、いわゆる公園としての利用よりもイベントが多くなるように使い方が変わることに対しまして、無償使用の解消や用地の取得要求などもあり得るので、慎重に対応する必要がございます。また、中野四季の森公園の南側芝生エリア側は、平成24年に開園し、その後、北側拡張部を取得し、南側の芝生エリアとは別に設計・工事等を行いまして、平成29年に開園をしてきたところでございまして、まだ5年から10年程度しかたっていないところでございます。公園整備には補助金も活用しており、耐用年数などから、20年程度たっていない場合には返還が生じる可能性がございます。さらには、使い方を変える場合には、改めて近隣の中学校、大学、マンション、オフィスなど周辺と調整する必要があるものと考えてございます。

○加藤委員 ステークホルダーと様々な条件交渉があるかもしれませんけれども、四季の森公園を取り巻く環境は、新区役所ができたり、新北口駅前エリアができたりと大きく変わります。周辺整備ができれば、中野駅から出て、北口で横断幕とかができて、徒歩2分でこういった何とかフェスをやっていますみたいのがあれば、2分なら行ってみようかなという、こういった好立地にもなりまして、さらに魅力が高まります。

 あと、四季の森公園は防災センターの拠点になるという割には、いろいろと、災害時給水ステーションがなかったりとか、あとは、今考えられている中では、気候変動対策で小学校のグラウンドなどの大規模な敷地においては地下に雨水貯留施設の建設などがされております。中野区においても、新設の学校には入れていると聞いています。あと、自衛隊などの重車両が入れられるとか、そういったところ、また、エリアマネジメントをする上でも、中野区が主体で持っているところというのはここだけですので、その利用も重要であります。

 今後、補助金の耐用年数などの問題がなくなりまして、何らかの工事が必要な機会があれば、パークPFIの活用なども含め、レイアウトチェンジをすることが可能か、お伺いいたします。

○村田公園課長 現時点でレイアウト変更を行うことは難しいですが、いずれ施設の老朽化などに対する改修等の工事が必要となりますので、その際には、状況に応じてパークPFIの活用も含めた整備を行ってまいりたいと考えております。

○加藤委員 以上でこの項の質問を終えます。

 それでは、3、にぎわい施策につきまして、(1)エリアマネジメントにおける行政の役割について、中野駅周辺エリアマネジメント協議会が立ち上がりましたが、区のエリアマネジメントにおける役割とは何と心得ますか、伺います。

○山本中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 エリアマネジメントにおける区の役割についてですが、中野駅周辺エリアマネジメント協議会は、まちの機能や価値を持続的に維持向上させ、ブランド力を強化することを目的としており、区は、構成員と事務局の役割を担っております。中野駅周辺では様々な事業実施主体による複数の市街地再開発事業が進められており、各地区が分断することなく連携して、より効果的な取組へとつなげられるよう、エリアマネジメントの初動期においては、区は一定の支援を行う必要があると考えてございます。

○加藤委員 国土交通省が平成20年度に定めたエリアマネジメント推進マニュアルによると、エリアマネジメントの定義は、地域における良好な環境や地域の価値を維持向上させるため、住民、事業主、地権者等による主体的な取組とあり、この「等」の中に自治体も含まれると思いますが、あくまで主体は住民、事業主、地権者であるわけです。また、そのマニュアルの中で、「行政との連携」という説明書きには、地域経済を活性化していく上で、初期段階では行政からの支援を受けることがあります、しかし、持続的に活動を行っていく上では、補助金に頼らず事業を軌道に乗せていくことが重要です、補助金に頼ることなく、地域が一つの主体となって事業を展開できるよう、活動の基盤となる収益事業を確立していくことが重要となりますと書いてあります。この点について、区はどのように認識しているか、伺います。

○山本中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 エリアマネジメント推進に向けた区の認識についてでございますが、エリアマネジメント自体、行政主導ではなく、住民、事業主、地権者等の主体的な取組であると認識してございます。将来的なエリアマネジメント活動の広がりや持続性を考えますと、構成員や地権者等からの会費、また、イベント開催等により得られる収益など自主財源の確保を目指していくことが望ましいと考えてございます。

○加藤委員 自治体は長期的に見たらお金を払わないのが前提ということです。一方、内閣官房の地方創生のホームページで、エリアマネジメント活動の推進において、地域再生エリアマネジメント負担金制度というのを創設することを推奨しております。これは、3分の2以上の事業者の同意を要件として、市町村が、エリアマネジメント団体が実施する地域再生に資するエリアマネジメント活動に関する費用をその受益の限度において活動地区内の受益者から徴収し、これをエリアマネジメント団体に交付する官民連携の制度を創設し、地域再生に資するエリアマネジメント活動の推進を図るということです。

 つまり、市町村がステークホルダーから事前にお金を徴収して活動する団体に補助するという制度ですが、この制度は使っていくつもりか、伺います。

○山本中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 地域再生エリアマネジメント負担金制度の活用についてございますが、当負担金制度は、エリアマネジメント活動を、来訪者や滞在者の増加を通じ、エリア内事業者の事業機会の拡大、また、収益性の向上が図られ、経済効果の増進を通じた地域再生を実現するものと捉え、事業者から負担金を自治体が徴収する制度でございます。本制度の活用に当たりましては、負担金徴収の対象となる事業者の把握、また、受益事業者の合意形成を図るなどの課題があると考えてございます。

○加藤委員 まだ何も決まっていないということですよね。いずれにせよ、自治体が今のところスタートアップで若干お金を出したりとかしていますけれども、いつまで出すんだというところがちょっと検討――現段階では難しいかもしれないですけれども、そういった支出をする期限を設定して、ステークホルダーが事業を収益化するのにちょっとハッパをかけていく必要があると思うんですけれども、その辺はどうお考えですか。

○山本中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 エリアマネジメント活動における区の支援についてでございますが、エリアマネジメント活動の初動期におきましては、区は、協議会の事務局を担っております。その後は、協議会に参加する民間団体に移行するなど、まちづくりの進捗に応じてふさわしい関与を持ち、中野駅周辺のまちの機能や価値の持続的な維持向上を目指していくものと考えてございます。

○加藤委員 では、エリアマネジメントにおいて自治体の役割は何かと考えたときに、私としては、中野区が許可権者として、道路とか空間などに対する使用許可、規制緩和に協力をしていく、事業者とか、そういったステークホルダーには絶対にできないことを率先してやっていくべきだと考えますけど、区の見解をお伺いします。

○山本中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 民間主導のエリアマネジメント活動推進に当たっては、人材や資金のほか、様々な活動を展開できる空間の確保は重要な要素の一つと考えております。他地区においては、道路や河川など、行政が日常に管理を行っている公共空間と、広場、公開空地など民間の施設管理者により管理されている民有地がその活動空間として利用されてございます。しかし、これら空間の活用に当たりましては、法律、条例等に基づく制約を受けることから、本来の効用を損なわない範囲において、その使用が可能となるよう、規制緩和に向け、関係機関との調整など、区が果たすべき役割があると認識してございます。

○加藤委員 続きまして、(2)ほこみち制度の活用について。

 今、道路の使用許可などについて触れましたけど、まずはそのような基盤をつくっていくべきと考えます。コロナ禍において、テラス席の設置などにより密な関係を回避することを目的に、道路利用の規制緩和特例がありました。しかし、5類の議論の中で、その特例も今年度末に終了ということです。ただし、国土交通省より、特例後はほこみち制度へ移行することが推奨されております。まずは、区のほこみち制度に対する認識を伺います。

○山本中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 歩行者利便増進道路制度についてですが、道路法の一部を改正する法律により、にぎわいのある道路空間を構築するための道路指定制度として創設されたものでございます。歩行者利便増進道路として指定された道路のうち、歩行者の利便増進に資する物件等の計画的な設置を誘導するための区域を道路管理者が指定することにより、その区域内を対象とした道路占用許可を行うに当たって、道路の敷地外に余地がなく、やむを得ないこと、いわゆる無余地性という許可基準を適用しないこととする道路占用許可の特例制度であると認識しております。

○加藤委員 我が党は、池袋のバス通りの再開発においてもテラス席を念頭に入れたまちづくりを提案しておりますが、エリアマネジメント推進においても、規制緩和をする制度が重要だと考えます。特にエリアマネジメント――中野駅周辺を考えますと、新しい区役所がここにできますけれども、このけやき通り、先ほど言ったこういった芝生とか、あと、新サンプラザができれば、ここがメイン通りになると考えられます。つまり、けやき通りですけれども、こういったところをほこみち申請していくべきと考えますけれども、その辺は、実現に向けてどのようなハードルがあるか、伺います。

○山本中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 区のほうでは、けやき通り沿道飲食店の路上利用等に伴う道路占用許可に当たり、無余地性の基準等について弾力的な判断を行うことで、道路管理者において当該路上利用を令和2年10月より支援したところであります。このコロナ占用特例は、時限措置――令和5年3月31日までとなっておりましたが、歩行者利便増進道路制度では、占用期間は最長5年にわたり無余地性の基準が除外されることなどから、特例制度の活用に当たっては、その必要性を十分に検討すべきであると考えてございます。このほか、歩道のバリアフリー基準への適合など、それらの要件を満たす必要があると考えてございます。

○加藤委員 ありがとうございます。

 続きまして、(3)大規模建築物の公共貢献について。

 まず、事実確認から。新北口駅前エリア、新サンプラザでは高度利用地区で容積緩和がされる予定ですけれども、どのような貢献で容積緩和されるのか、改めて伺います。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 新北口駅前エリアでは、高度利用地区の指定により、容積率の最高限度を設定する予定となっております。割増し容積率のメニューとしましては、空地等の緩和の項目として、空地の確保、公共的屋内空間、緑化施設、一時滞在施設、宿泊施設がございます。また、空地等の緩和以外の項目として、住宅、質の高い住宅の確保というメニューを活用しております。

○加藤委員 その容積緩和は、どの法令、条例に基づくものでしょうか。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 高度利用地区指定のこれらの基準につきましては、東京都高度利用地区指定方針及び指定基準に準じて、区として設定をしております。

○加藤委員 先ほど挙げられたメニューを見ますと、施行予定者が提案しているエリアマネジメント施設は公共貢献の中には入らないということでいいですか。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 エリアマネジメントスペースにつきましては、施行予定者から地域の交流施設として提案されているものでございまして、公共貢献施設ではありますが、割増し容積率のメニューとはなってございません。

○加藤委員 そうすると、公共貢献には、条例で、容積割増しの要件となる公共貢献と、企業の社会的貢献、いわゆるCSR的な公共貢献の2種類があるという認識でよろしいですか。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 認識としては、委員のお話のとおりでございます。

○加藤委員 では、新北口駅前エリアのCSR的な公共貢献というのは何があるのか、教えてください。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 容積緩和の要件とはなっていない、施行予定者からの公共貢献としては、地区外につながる歩行者デッキや地域荷さばき駐車場を含む都市計画駐車場、公共自転車駐車場といった提案がございます。

○加藤委員 荷さばき駐車場は、施行予定者からすればなぜつくらなければならないかということで、そういったものであるので、公共貢献かなとは思いますけれども、一方、エリアマネジメント施設は、名前こそ公共貢献のように聞こえますけれども、基本的には事業者の収益のための施設と考えられますので、公共貢献とは言い難いと考えます。昔、丸井の旧本館では屋上に子どもが遊べる施設ありましたけど、あそこをエリアマネジメント施設です、公共貢献していますと言われても、そうなのかとなりますから、そういう認識だと僕は思っています。中野にあったらいい施設だとは思いますけれども、CSR的な公共貢献としてはカウントできないビジネス的な施設だと考えます。

 先ほどのエリアマネジメントの定義でも聞きましたけど、自治体は資金を出すべきではないという認識ですので、最悪、最終的にエリアマネジメント事業から事業者も区も撤退ということもありますので、そうした場合は、事業者は最終的にその施設をビジネスライクな施設に変えていくということを考えることが民間企業としては妥当な考えであります。しつこいようですけども、公共貢献と言えるかは疑問です。

 例えば東京スカイツリーでは、東武鉄道のCSRの公共貢献で、事業者が墨田区民に対する割引を行っています。ちなみに、墨田区は、スカイツリーの敷地や床に何の権利も持っておりません。東武のCSR、区民のためにということでやっております。墨田区のために骨を折ろうという心意気があるわけですね。

 新北口駅前エリアの展望施設の所有に関しては協議中とは思いますけれども、中野区に対する公共貢献とは何かをしっかりと整理した上で、また交渉に当たっていただきたいと思いますけど、区の見解を伺います。

○瀬谷構造改革担当課長 展望フロアについては、区民や来街者など誰もが眺望や飲食を楽しめる空間であり、中野のシティプロモーションにも資する施設であると考えております。施設を運営する民間事業者には、CSRの観点から、集客や発信の取組を求めていきたいと考えております。

○加藤委員 公共貢献に関して、新北口駅前エリアのはあれですけども、中野区全体の話を聞きたいんですけども、渋谷区においては、そういった公共貢献に対する条例で、渋谷区安全・安心なまちづくりのための大規模建築物に関する条例があります。1万平米を超える建物には、帰宅困難者対策、停電対策、Wi-Fiなどの情報基盤整備、自転車等駐車場、あと、喫煙施設があります。千代田区においても同じような制度がありまして、これは、敷地が何と500平米以上の建物にはそういったものが対象となります。公共貢献となる施設を入れると容積緩和されますが、最もポイントが高いのが喫煙施設となっています。渋谷も千代田区も全面禁煙としているために、その穴埋め的に公共貢献として喫煙施設を設置することを強く求めるわけです。

 つまり、各自治体におけるお悩み事はこの容積割増しのための公共貢献の制度を使ってカバーしているという戦略です。中野区にはこういった制度・仕組みがないと考えますけれども、都市計画課長、どうでしょうか。

○安田都市計画課長 中野区にはそうした制度はないものと把握してございます。

○加藤委員 都市計画マスタープランが改定されたばかりですけど、確かにそういう文言はありませんよね。例えば、中野区で、この地域にこういった施設が欲しい、あのエリアで大規模開発が行われそう、容積割増しを条件に子ども施設とか福祉施設を入れてもらおうと戦略的に交渉に当たることが必要だと思いますけれども、各所管でどのエリアにこの施設が欲しいとか、そういった情報が集まっているのかというのも疑問ですし、今後、平和の森小学校跡地を手放せば、ほぼマンションになることは間違いないと思います。西武新宿線沿線も地下化が進めば、大きなまちづくりが始まります。中野区は何も戦略がないまま民間にまちづくりをさせると非常にもったいないと考えますけれども、中野区においてもこういった公共貢献を求めていくべきと考えますけど、いかがですか。

○安田都市計画課長 区では、駅周辺等の大規模なまちづくりにつきまして、公共貢献を引き出すために、都市再開発諸制度のほか、地区計画や様々な都市基盤整備手法を活用し、事業者等と合意形成を図りながら、地区の公共性を高めるまちづくりを進めているところでございます。なお、御質問を含めた様々な手法については研究してまいりたいと考えてございます。

○加藤委員 大規模開発においては周辺の地域に相当な影響が想定されますが、先進区では、そういった負荷の軽減に向け、民間主導の開発に対して、子育て、防災、環境、地域活性化など、公共貢献を積極的に求めており、難しい場合には、面積に応じて開発協力金を要求する場合もあります。一方、企業は、こうした公共貢献することでCSRも高くなってきます。中野区としても、地区計画をかけ、用途地域を変えるのみで、税金は1円も使わないで、実質の区の施設ができます。中野区は民間主導で行う大規模な再開発等に対して公共貢献を戦略的に求めていくような体制をつくることを強く要望して、この項の質問を終えます。

 では、4、浸水予測シミュレーションモデルの利活用について。

 昨年7月に妙正寺川の鷺盛橋の水位観測所で氾濫危険水位を一時超えました。いろいろハード対策を進めても、それ以上に降ってしまえばどうしようもないので、ソフト対策が重要ですけれども、ソフト対策の要は情報です。

 私は、昔、国土交通省で雨雲レーダーを開発しておりましたけれども、当時は、スマホの普及率が低く、予測雨量までは出ていなかったので、利用者は限定的でした。しかし、現在、スマホの所有台数はすごくなりまして、気象庁の予測雨量の情報が加わりまして、今は多くの方が雨雲レーダーアプリを実装しており、イノベーションが行政課題を解決しているよい例となっております。

 河川の研究分野において、次のステージとして、このレーダーデータを使って河川洪水の予測をする時代になっております。その開発された技術を紹介させていただきます。

 これは、S-uiPSというシミュレーションモデルのリアルタイム予測システムです。雨雲レーダーの降雨予測値をインプットして、20分先の河川氾濫や道路の浸水状況を動画によってお知らせできるアプリです。河川、下水の水の流れをシミュレーションし、どこで水があふれるか、水深10センチ程度の誤差まで精度を高めてきました。予測技術としてはこれ以上の精度は必要なく、完成したと言ってもいいでしょう。あとは、予測される雨の精度が上がること、排水溝にごみがたまってシミュレーション結果と異なるというような事例をどう潰していくかというのがモデル以外の問題となってきます。

 これは23区全体でやったものですけれども、中野区はこの辺ですけれども、一番赤くなっているこの辺は桃園川の中野通りとクロスしている辺りが一番危ないとこの開発者は言っておりまして、中野区は赤いところがそれなりにありますので、大雨が降ればまだまだ危ないことが示唆されております。

 このシステムをつくったのは早稲田大学の関根正人教授という人なんですけれども、その方より、中野区に参加してもらえないか、こういったデータを使ったテストをやるので、そういったものに参画してくれないかというふうに私に打診がありました。そこで、私は、区の担当者に紹介しまして、その教授から区の担当者は説明を受けていただきましたが、このシステムについての感想をお伺いします。

○石崎防災危機管理課長事務取扱 浸水予想シミュレーションモデル「S-uiPS」でございます。このシステムは、コンピュータ上に東京のまちを忠実に再現し、そこに雨が降ったときの浸水の状況を精密に予測するもので、頂いた説明からは、かなり精度の高いものであるというふうに認識してございます。

○加藤委員 費用がかかるわけではなく、インターネットブラウザから見るだけですので、災害情報の拡充に資するわけです。このシステムを活用できれば、区民を安全な場所に避難させ、水没が予測される道路を事前に封鎖することも可能と思いますけれども、区としてこのテストメンバーに参加するべきと考えますけれども、見解をお伺いします。

○石崎防災危機管理課長事務取扱 区では、現在、気象庁の注意報・警報をはじめ、区の河川観測や民間気象会社の雨量予測など、様々なデータを基に避難指示等の発令基準を定めてございます。降雨災害を最小限にするためには、数多くのデータを活用することが有用であり、この浸水予測シミュレーションモデルにつきましても、テスト配信を受けながら、今後の活用について研究してまいりたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 それでは、次の5、GIGAスクールについて。

 デジタル教科書についてお伺いします。

 区の学校再編で期間が延びたり、スクールバスが急に提案されるなど、子どもたちの登下校に関する環境は年々変化しております。昨年の夏にITOCHU SDGs STUDIOというのがありましたけれども、ここのテレビで紹介を見てちょっとびっくりしたというのが、今、背負っている子どものランドセルの重さを大人に換算するとそれが19キロぐらいになるということで、かなり重たいものを毎日背負わされているということです。近年、子どもの肩凝りはランドセルを背負い始めてから始まるとも言われております。教科書、参考書の重量が年々増えて、それに今タブレットが加わって、ペーパーレス化に向けて過渡期である現在は、ランドセル史上最も重たい可能性がありますけれども、現在の置き勉の状況について伺います。

○齊藤指導室長 現在、全ての小・中学校において、児童・生徒の持ち帰りの負担を鑑みて、教科書や資料集の一部を教室に置いていけるようにしております。どの教材を持ち帰り、どの教材を置いていくかにつきましては、児童・生徒の発達の段階や家庭学習での必要性、通学上の負担などの実態を考慮し、各学校が柔軟な対応ができるよう助言しております。

○加藤委員 まだ過渡期なので、いろいろあると思います。

 4年前の中学校の教科書選定において、選定理由としてデジタル教科書がそのポイントの一つとして挙げられておりましたけれども、令和6年度からの小学校の教科書選定が始まるようですけれども、候補となる各社の教科書はデジタル教科書の機能を有しているのか、伺います。

○齊藤指導室長 令和6年度の各社の教科書の情報はまだ公表されておりませんが、文部科学省の小学校用教科書目録によりますと、現在発行されている教科書のうち約93%に学習者用デジタル教科書がございます。

○加藤委員 紙をなくせというわけではないですけれども、デジタル化が進むということで、デジタル教科書があれば自宅にタブレットさえ持って帰れば一応教材としてはあるということができますので、置き勉が基本となるようにすべきと考えるわけですけれども、教育委員会の見解はどうでしょうか。

○齊藤指導室長 現在、教科書の無償給与は紙の教科書のみであり、デジタル教科書については、別途費用が必要となります。国は、令和5年度に英語を、令和6年度以降に算数・数学の導入を決めております。中野区では、令和5年度は、国の方向性を踏まえて、英語と算数・数学を導入する予定です。デジタル教科書の導入された教科につきましては、家庭学習での効果的な活用を研究していく必要があると考えております。

○加藤委員 授業での導入に関して伺いますけれども、こういった本を中野区立内の小学校の先生から紹介されました。「GIGAスクール時代の学校」というものです。これを見ますと、タブレット端末の理想の活用法が、1日の登校から下校までと、各教科、委員会活動、部活動など、どういう場合に使うかというのが書かれております。全体を読んだ感想で言えば、情報収集・整理の最適化とプレゼンテーションというところが重要だなと思っております。

 2020年の教育改革で、子どもたちが自主的・能動的にものを考え、授業に参加する学習方法として、主体的・対話的で深い学びを掲げました。いわゆるアクティブラーニングという教育の考え方です。学習の定着率は、次の順番で決まります。講義を聞く、読書をする、視聴覚で感じる、実技を見る、グループ討論、自ら体験する、ほかの人に教えるの順番です。一番定着するのは、他人にものを教えるということです。それがプレゼンテーションというわけでありますけれども、プレゼンテーションをするためには、また情報を集める能力も必要です。タブレットがあるからできる教育となります。学校現場では、今、タブレットを使ってどのような教育が行われているのか、伺います。

○齊藤指導室長 学校現場では、1人1台端末を効果的に活用して、主体的・対話的で深い学びの実現を目指し、実践に取り組んでおります。

○加藤委員 現場の先生方からお話を伺ったところ、教員はウィンドウズ用の指導用パソコンがあるために、児童・生徒と同じiPadタブレットを配付すると2台持ちになってしまうという理由で、子どもたちと同じ端末を持っていないというふうに聞きますけれども、現状はどうなっているでしょうか。

○松原学校教育課長 児童・生徒へのiPad配付に際し、既に教員に配付されている指導用端末で対応ができるものとして、教員にはiPadを配付しなかったところでございます。しかしながら、特に小学校低学年児童の指導に当たり、学校現場から、教員に対してもiPadを配付するよう要望がございます。当面は、各校に配置された予備のiPadを活用して対応する予定でございます。

○加藤委員 小学校は担任の先生が割と子どもたちに対して責任を持って授業へ導入すると言っておりますけれども、中学校では技術の先生に押しつけられている現状があると伺いますが、どのようになっていますでしょうか。

○齊藤指導室長 小・中学校とも、ICT教育推進リーダー教員を中心として、授業でのICTの効果的な活用が進むよう、組織的に取り組んでおります。中学校でも、全ての教科で1人1台端末を活用した授業を実施しており、新しい学び方が進んできております。

○加藤委員 タブレットを使うことでどんな教育が可能となるのかというのを、勉強会、検討会などで、中野区の職員、もしくは東京都でもいいですけども、そういったところでちゃんと横の連携で能力を高めていただきたいと思いますけれども、どういった現状でしょうか。

○齊藤指導室長 本年度は、ICT教育推進リーダー研修、希望制のICT活用研修を教育委員会が実施し、講義及び協議を通して、1人1台端末の効果的な活用について情報交換及び検討を行いました。また、学校教育授業の研究指定校として、ICTの効果的な活用について研究してもらい、発表等を通して、全小・中学校にその成果を広めたところです。

○加藤委員 続いて、AIドリルについて聞きます。

 中野第一小学校では、私費でAIドリル「Monoxer」を導入していると聞きますが、その効果について伺います。

○齊藤指導室長 AI学習ドリルを利用することで児童一人ひとりが自分のペースで学習することによって、学習する意欲が高まり、学習する習慣が身についたと聞いております。タブレットにAI学習ドリルが入っていることで、興味・関心や理解度、自分に合った進路に応じて学習ができるのが利点であります。

○加藤委員 大学受験に関するエンタメで、ビリギャルとかも小学校4年生から勉強をやり直したとか、ドラゴン桜は小学校2年生から算数をやり直せと先生に言われるとか、かなり勉強を中学校で進めようとしてもやり直したほうがいいみたいのがあるので、ドリルというのは非常に個人個人でやれることは重要だなと思うんですけれども、そういった結果を踏まえて、中野区全体としてAIドリルを進めていくというのも重要かなと思うんですけど、その辺の御見解を伺います。

○齊藤指導室長 AI学習ドリルについては、既に学校で実践されているものも含め、比較検討していく予定であります。財政的な負担も含め、AI学習ドリルの導入の仕方につきましては、総合的に判断していきたいと考えております。

○加藤委員 続いて、AIと教育について伺いますけれども、AIとは何なのか理解する必要がありますけれども、現状としては、過去のデータから割り出した最適解であり、過去のデータセットに依存し、前例がなければ答えが出ません。誰も考えたことがないことは、AIはそれを出すことはできない。

 最近、ChatGPTというのがはやっておりますけど、AIで公開されたチャットボットで、質問を入れると答えが返ってくるわけです。例えば中野区の地域包括ケア体制の構築に必要なことはと検索してみましたけれども、1、中野区の地域課題の把握、中野区の地域内における高齢化や障害者の増加、孤立などの課題を把握して、必要なサービスを整備することと出てきて、あと、続いて、2、地域包括ケアネットワークの構築、人材育成、情報共有の促進、地域住民の参画の促進、モニタリングの実施という項目と共に、それなりの説明があります。一方、ヤングケアラーで調べると、自治体ができるヤングケアラー支援とは、自治体が年齢が若い世代、通常は20代後半から30代前半のヤングケアレスシニアとか、何かよく分からない文章が出てくるわけですけれども、基本言語は英語であり、翻訳の精度もありますでしょうし、ヤングケアラーに対する検索をしてもあまり出てこないとなると、過去データがないために、意味が分からない結果が出るわけです。AIとは過去のデータに依存する証左であります。

 しかし、過去データがしっかりあるものに関しては、AIにより人間は出番を失っていきます。行政書士、司法書士は既に仕事を奪われ始めまして、弁護士は日本においては判例がまだデータベース化になっていないため大丈夫ということですが、いずれ仕事が奪われる可能性が言われております。

 こういった時代の中、シンギュラリティ、VUCA時代、不確実な世の中を生き抜く子どもたちを育てるために、教育委員会はどのような教育方針を打ち立てていくべきか、伺います。

○入野教育長 子どもたちには、一人ひとりに、予測困難な社会の変化においても、主体的に向き合い、関わり、自ら考え、判断し、行動していく、未来を切り開き、つくり出していく力を伸ばし、これからの持続可能な社会の担い手をしっかりと育てていく方針でございます。身近な地域を含め、社会とのつながりの中で、情報活用能力などを生かし、協働しながら学び、身につけていくことが必要と考えております。

○加藤委員 ありがとうございました。

 では、その他にいきます。

 現代の親は、子どもたちに大きな挫折をさせたくないということで過保護になり、転ばぬ先のつえをつき過ぎる傾向があります。かなり古いデータではありますが、平成13年度の文部科学省の調査では、家庭の教育力が低下している理由の1位として、子どもに対して過保護、甘やかせ過ぎや過干渉な親の増加が66.7%となっておりました。出生率の低下がその傾向を増やしているということです。出生率が低下しているのは今も一緒ですので、その現状はあまり変わらないと思います。現代の、失敗を許容しない、AI等が先回りして判断してしまい経験が積めなくなる社会の流れにより、子どもたちが新しいことに挑戦できなくなることがあってはいけません。小さな失敗を重ねることにより、新たなチャレンジに挑戦していく素養を身につけさせ、大きな成功体験まで導けるようやることが教育において重要だと思っております。

 中野区子どもの権利に関する条例では、「失敗をしてもやり直せること。そのために必要な環境が整えられること。」と明記されております。区教育委員会は、子どもたちに様々な経験をさせるためにどのようなことを実施、検討されているのでしょうか。

○齊藤指導室長 学習の中に体験的な活動を取り入れており、また、自ら調べてみたい問題を設定し、工夫しながら取り組む問題解決型の学習を展開しており、他者と協働しながら、うまくいかなかったことも、原因を振り返ったり、新たな方法を考えたりするような活動を全教科の中で実施するようにしております。教育委員会では、これらの学校の体験活動に加え、小学校1年生からの英語活動や宿泊による英語体験活動、本物の文化芸術に直接触れる活動など、子どもたちの体験活動を充実させてまいります。

○加藤委員 やってはいけない疑似体験というのができる施設があってもいいのかなということで提案させていただきます。

 例えば、電子レンジで卵を温めたら爆発します。川の浅瀬でも、水の流れが強かったりコケが生えていれば、足元をすくわれて水深30センチでも溺死することもあります。IHが普及し、火を見る機会もないです。コンセント周りで物を突っ込んだり水をかけたりする危険とかも、言われるだけで分からない。ひねる蛇口が家庭から姿を消して、小学校で初めてひねったら骨折したなんていう事例も聞いたことがあります。助手時代に後輩たちと中国へ行ったんですけど、ウォシュレットがないために大便ができないと5日間しなかった後輩もいました。段ボールが組み立てられないという大学生もいました。交通事故に遭ったらどうなってしまうのか、人生で痛さを知っているのは注射ぐらいだったり、人を殴るのはどのぐらい痛いのかとか、様々、何か経験ができるような、その経験の10分の1、100分の1スケールでいいので、痛さを感じるとか、そういうものがあってもいいのかなということで、やってはいけないことが体験できる科学館、(仮称)行ってはいけない科学館の創設を提唱します。

 例えば産業振興センター跡地に設置するのであれば、中央線沿線からの来場者も見込め、子育て先進区を目指す中野区のPRになると思いますけれども、御見解をお伺いします。

○瀬谷構造改革担当課長 産業振興センター跡施設については、公益活動を主体とした複合交流拠点に転用し、中高生の交流・活動支援の場としての活用も検討しているところであります。施設仕様や規模から科学館や博物館的な使い方は難しいと考えておりますが、今後の施設のコンセプトや具体的機能の検討に当たっては、実体験というキーワードも参考にしてまいりたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 最後に、区長の政治姿勢について伺います。

 至るところで、中野の最大の財産は人と強調されております。また、オール中野で中野の未来の礎をしっかりと築いていく決意と表明されております。中野の最大の財産が人というのはまさにそのとおりだと思います。オール中野も正しいと思います。しかし、個性が強いために、それぞれの意見を全て反映させると結論が出せません。

 先日報告があった「今後の区立図書館のサービス・配置のあり方検討会」はまさにそれを具現化した内容です。報告書に様々な意見が明記されたことで、委員のメンバーの中には、自分の考えが図書館運営に反映されると期待する方もいるでしょう。例えば地域開放型学校図書館の検証と在り方についてのまとめは、身近に図書館があるという点、気軽に立ち寄れるという点で小さい図書館も有効である、小さい図書館であるゆえ、機能の限定とともに小学校内に設置する必要があるか疑問がある、つまり、両論併記しております。結論を出さないことが結論になっているとしか思えません。こういった状況が続いているわけでございます。

 しかし、これは全て両論併記ですけど、両方やったとしたら、図書館経費は今の何倍になるか分からないというような問題です。そもそも予算が厳しいためになされた検討会ですけれども、財政的な視点が抜け落ちております。どんな結論を導こうと、不平不満が出るのではないかと危惧するわけでございます。

 そういった中で、区長は、リーダーシップを発揮される、巻き込み型のリーダーシップを発揮してやっていくということも言っておりますけれども、リーダーシップとは、時には冷血な判断も必要であります。いたずらに結論を先延ばしにされている区政課題は山積しており、その覚悟が見えません。

 それに加えて、これまで我が会派ではキャッチフレーズ区政とやゆしてきましたけど、スクラップ・アンド・ビルド、構造改革、子育て先進区の標語や名前を変えて定義を限定するなど、成果と言えるものではありません。区の執行部が思いつきで始めたのか、迷走し、職員が疲弊していると伺えます。中野の最大の財産である人を消耗させているわけであります。

 とにかくリーダーシップを発揮していただきたい。こういった形でいつも抽象的な質問をしても煙に巻かれてしまいますので、具体的な質問をします。

 区長がこれまでにリーダーシップを発揮して大きな決断をしたなと言える政策を三つ教えてください。

○酒井区長 率先して取り組んだ事例として、近年の新型コロナウイルス感染症関連の対策に取り組んでまいりました。ワクチン接種券の発送やPCR検査センター開設、生活応援の対策、また、現在行っている子育て世帯への所得制限なしの給付金事業など、区民の健康と暮らしを守ることにリーダーシップを発揮してきたと考えております。このほか、中野区子どもの権利に関する条例の制定など、子育て先進区の実現に向けた取組を進めてまいりましたけれども、区政課題を解決するためには、区民との協働・協創が不可欠であると考えております。今後も区民を巻き込んでいくリーダーシップを発揮していきたいと考えております。

○加藤委員 私が三つ挙げるとしたら、区長がリーダーシップを発揮されたというか、時世に流されたか慣性力が強かったか分かりませんけれども、中野サンプラザの取壊し、平和の森公園300メートルトラック建設、小学校建設を遅らせての旧中野刑務所正門の保存なのかなと思います。いずれも大きな論争になりましたけれども、結論を導いたおかげで前には進んでいるわけです。そういった、今山積して決まっていないから前に進まないという問題に率先して取り組んで、前に進めていただきたいと思います。

 私個人としては、あらゆる審議会、検討会などに議員も交ぜて、例えば構造改革で何をスクラップする必要があるか議員からも意見を聞くなど、そういった中でオール中野の議論があってもいいのかなということを提案させていただきまして、全ての質問を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。

○ひやま委員長 以上で加藤委員の質疑を終わります。