令和4年中野区議会(第3回定例会)決算特別委員会 総括質疑


【質問項目】

1 令和3年度決算について
2 財政運営について
3 働き方改革について
4 子育て環境の充実について
5 ドローンの活用について
6 その他

 

【概要】

[令和3年度決算、令和5年度の予算について]

以下のコラムにまとめさせていただきました。

コロナ・ウクライナ危機を勘案した中野区の財政運営(前・後編)

https://agora-web.jp/archives/221009102607.html

https://agora-web.jp/archives/221010004350.html

 

[体育館施設使用料の改定について]

オリ・パラ開催前のスポーツ気運醸成のため、中野区体育館の使用料を期間限定で半額とした。

2021年に完成した中野区立総合体育館(キリンレモンスポーツセンター)においても適応するも、今年度末に料金改定に向けて検討の予定。

体育館の建設費100億円、ライフサイクル50年間、収支から今後の使用料に言及。

建設費半額を受益者負担とすると1.3倍程度の使用料の値上げが必要。

興行利用、一般貸出よりも高い料金でプロスポーツ利用、ネーミングライツの金額上昇でその穴埋めをとの提案。

区は区民・議会の意見を聞き検討との答弁。

 

[公共工事の包括的民間委託について]

府中市では2021年より、道路等包括管理事業を開始。

府中市における道路等包括管理事業では、包括管理受託者に道路等の管理を3年間で6億円程度を一括発注。

この3年間役所は道路関係の発注業務を行う必要はない。

包括管理受託者は巡回、植栽管理、清掃、害獣・害虫対応、付帯設備管理、コールセンター、自己一時対応、災害一時対応、補修・修繕、樹⽊剪定などの総括マネジメントを行う。

包括管理受託者は地元業者を中心にそれらの業務を割り振ることが業務。

業務よって、契約⾦額内で実施するものと、単価契約で行うものがあり、包括管理受託者の差配により、施工事業者は入札することなしにスムーズに工事ができる。

そのため道路陥没などが起こった際には、業者の都合次第では翌日には工事ができる。

この試みは令和4年度に国土交通省とPPP協定を締結する民間事業者が、国交省の後押しを受けて、地方自治体におけるPPP/PFIの一層の推進を図っている。

全国の自治体等では、PPP(官民連携)を活用して、今後「加速する社会保障負担」による厳しい財政環境でも、地方公共サービスの質の向上に尽力。

役所のメリットとしては発注業務の簡易化、クレーム対応からの解放により、現場踏査の機会を増やせる。

また包括管理受託者と連携することにより、技術力の向上が望める。

市民のメリットとしては先に述べたように通常の発注工程が省略されることで、迅速な工事対応が可能。

工事事業者としては閑散期などがなくなる可能性がある。

この道路等包括管理事業は市民・事業者・行政の3方良しといえる。

中野区においても道路、公園などにおいて包括的民間委託を実施すべきと考える。

→区の答弁:検討する。

 

[MS365の導入について]

区は来年度よりMicrosoft365の導入を決定。

都立高校では先生・生徒全員がMS365を使用可で、コロナ禍で活用。

特に中野にある都立富士高校の教員により「メガ都立構想」というプロジェクトを推進。

中野区の教育現場においてもMS365の学校教育現場へ導入を検討すべき。

MS365導入で区民、地域団体や民間企業などとの関係性にもMS365を活用することで確実に変化が生まれると考える。

また中野区議会が区と同様にMS365を導入した場合、さらなる働き方改革となるのでは。

 

[人事評価]

マイクロソフトの人事評価制度は、「評価者個人の能力」に加え、「他者をどれだけ助けたか」「他者からどれだけ助けられたか」といった行動と、その行動で得られた成果が、評価対象。

個人の成果よりもチームの評価、評価はランク付けではなく、上司・同僚のコメントのみ。

実現できれば、わざわざ横串を通すための会議体、プロジェクトチームがなくとも、それぞれの部署が必要なコミュニケーションをとる。

統計、ICT、プレゼンなどが得意な人材はどの部署にもいるわけではない。

「他者からどれだけ助けられたか」という指標で他職員に相談しやすくなる。

マイクロソフト社のような人事活用に特化した人事評価制度の仕組みを構築すべき。

 

[区独自の奨学金制度の創設について]

下記にまとめました。

少子化対策の検討:基礎自治体のできる支援とは

https://agora-web.jp/archives/221012014642.html

 

[保育園の適正配置について]

区は、区内一律の人口推計・保育園需要推計に基づき保育園の整備を進めて、令和4年度に待機児童はゼロになったものの、需要の地域偏在がある。

これまでに区は人口推計をコーホート要因法で得られた倍率を中野区全域一律に乗じたのみの数字を使っていた。

江東区豊洲はタワーマンション建設ラッシュで小学校2校を新設。

これまでの中野区全域を一律にかけた分析ではこのような分析はできない。

ポイントはマンション建設をどれだけ正確に捉えるか。

子ども教育部とまちづくりの所管の連携が必要不可欠。

 

平和の森小学校を新設した後に、跡地は民間に売却の方針。

売却後に巨大マンションができることは容易に想像がつき、新たな局地的な待機児童・学童の発生を懸念。

区は計画的に施設配置をするべき。

 

[学習スペースの確保について]

これまでに強く要望してきたが学習スペースを拡充すべきで、昨今の区の努力を評価。

中野中学校、中野東中学校などは校内に学習スペースを作り、生徒に大好評。

特に中野中は3部屋を確保。

各学校で部屋の確保のため、教育委員会として支援すべき。

また不登校生徒の対応に部屋が欲しいと現場からの要望。

ある中学校ではPTA室を不登校生徒用の部屋として貸している。

不登校生徒用の部屋ではオンラインで授業参加、気が向いたら好きな科目では授業に参加するなど柔軟な対応としたところ、生徒が復帰しやすくなったとのこと。

 

[中野サンプラザデジタルアーカイブ]

建築研究所等が実施したドローンによる建物点検において、中野サンプラザ屋上から中野区役所屋上へ着陸する実験を実施。

緊急着陸を想定したこの実証実験を応用し、サンプラザ屋上から広場、裏の駐車場への着陸が可能なため、サンプラザ全体像の撮影が可能。

またドローンにライダーというセンサー搭載で、中野サンプラザの3次元点群データの取得が可能。

3次元等のデータからメタバース化ができる。

作ったメタバースを熊本県のくまモンと同じようにライセンスフリーにして、数多あるメタバースそれぞれに実装できるのが理想的だと考える。

中野サンプラザ閉鎖はそれら活動の区外流出を懸念させますが、やり方次第では中野区全体をアイドルの聖地となることも可能があるとイベント事業者の見解。

メタバースのライブ会場を活かして、中野はアイドルの聖地であるというブランドを新サンプラザが完成するまで維持すべき。

 

[河川上空を活用したドローン物流について]

中央大学を中心としたグループが河川上部空間を活用したドローン物流に向けた実証実験を10月24日に神田川で実施予定。

ドローン物流実現には人件費を抑えるため、ドローン自動運転が求められ、そのための情報基盤整備が必要。

区は支援すべき。

 

[ドローンによる災害調査について]

災害時にドローンを活用すべき。

区内では基本的に上空での練習は不可能であるため、ドローン飛行の許可が得られやすい人口集中地区以外の地域で練習するのがよいと考える。

災害時、防災担当は、災害対策本部などに常駐するため、ドローンを上げる防災担当以外の職員が必要なのでその体制づくりを。

 

【議事録】

次に、加藤たくま委員、質疑をどうぞ。

○加藤委員 おはようございます。自由民主党のトップバッターとして質疑をさせていただきます。残り時間が、午前中は短いですが、途中で切れてしまうかもしれませんが、当初予定していたとおり進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、質問は通告どおりで、最初に令和3年度決算について質疑させていただきます。

 私は令和4年度の予算特別委員会総括質疑におきまして、今後10年間の財政の見通しである財政フレームで、歳入の見込みとして、特別区税については新型コロナ感染症拡大による先行きが見えない経済状況を勘案して妥当な歳入見込みであると評価しましたが、特別区交付金においては国のコロナの経済対策が主要因と考えられる法人税の急増を配慮せず、令和4年度の金額をベースに後年度も算出しておりまして、このドーピングとも言える経済対策費が切れることを前提としていない将来予測は毎年30億円程度過大に見ていると認識すべきだと指摘させていただきました。

 また、令和4年度の新規拡充推進事業のうち、一部が後年度に経常経費を約20億円増額させるということは要求資料や答弁からも明らかになりましたが、財政フレームにおいて令和5年度以降の一般事業費、つまり経常経費は令和4年度の214億円から同額で10年間変わらないと設定しているわけです。ビルド・アンド・スクラップの方針も、令和4年度にスクラップする事業がないことから、令和5年度以降の一般事業費は概算でもともとの214億円から、増えてしまった経常経費20億円を足して234億円とすべきでありましたが、それは記載されておりません。

 まとめますと、30億円の過大な歳入見通し、20億円の歳出が計上されていない、50億円程度の見込み差が生じる可能性がある令和4年度の財政フレームであると指摘させていただきました。緊張感を持って財政運営に努めるというフレーズを実践しているとは言えないものだと考えます。

 そして、令和4年の予算特別委員会から半年以上が経過しまして、ウクライナ危機による世界情勢は混沌となり、物資の不足に加えて、円安も加わり、物価が高騰しております。コロナに加えて物価高騰、急激な円安によりまして法人の経営は今後さらに厳しいものになると考えられ、新たな経済対策のドーピングが追加され、将来における法人税の納税額の予測はさらに難しくなってまいりました。また、当面は急激なインフレが発生することが見込まれます。歳出予測には政府が定めるインフレ率、インフレターゲットなどを参考に財政フレームを組んだり、予算編成をする必要もあるのではないかと考えます。それは後ほど具体的に取り上げさせていただきます。

 例えば令和3年度決算値のように、ある年の普通会計予算が1,600億円だとすると、その翌年度の歳入が例えば30億円増えて、総額が1,630億円になったとしましても、日本銀行が予測する2022年度の消費者物価指数2.3%が1年後に増加するとなると、1,600億円の価値は1,637億円程度となりまして、歳入が30億円増えたとしても、物価で見ると、37億円と比較すると名目が上がっても実質の歳入が減少するというケースも考えられるわけであります。あくまで消費者物価指数を用いただけで、海外からの原材料の輸出に頼った施設整備などはそれ以上の物価上昇をしておりまして、より緊張感を持った財政運営が必要となります。

 この前、ゼネコンの方に聞いたところ、民間の建設ですと、200億円で予定していたものが材料費の高騰などでプラス50億円見ないといけないというようなことを言っている人もいるということです。学校建設費とかではかなり厳しい状況があるということで、区の運営をする上で物価上昇指数だけではなくて、材料費みたいな単品スライドのところもよく見ないといけないということで、世の中の物価上昇だけでは捉えられないようなところまで見込んでいかないといけないということです。

 円安の要因として赤字国債が挙げられまして、日本の信頼が揺らいでいる可能性もあり、赤字国債に頼った経済対策はさらに円安を誘導する可能性もありまして、負のスパイラルが発生します。一時期、れいわ新選組などはMMT理論に基づく政策を公約としていましたが、赤字国債を国民にばらまくというものですけれども、これ以上の円安を引き起こす可能性がある赤字国債は、やはり合理的な手法ではないということも考えられます。物価高によりまして、100円のお寿司、100円ショップの商品がその値段を維持できなくなれば、国民が基準としていました価格感覚が一気に変わります。つまりデフレマインドからの脱却が急激に進みまして、現在はその値段上昇は原材料費の価格転嫁のみですけれども、商品の値段に今後人件費の増額も加わることになれば、とんでもないインフレが起こる可能性もあると考えております。資本主義国家において、その仕組みから物価高になることは中長期的にはいいことでありますけれども、激変する可能性がある、今迎えている過渡期におきましては大きな混乱が生じる可能性があります。ウクライナ危機による物価高騰、円安によりまして日本経済の先行きが不透明となっております。令和4年度編成時の財政フレームの考え方では、区の運営は困難となると考えます。

 ちょっと長くなりましたが、ここでひとまず質問させていただきます。前段の財政フレームのところがずさんであるということは否定されると思いますので、お答えいただかなくて結構ですけれども、後段に述べましたウクライナ危機などを受けて、円安、物価高騰、国の経済対策等への見解と、それを受けて今後の財政運営に関して大幅に方針を見直す必要があると思いますが、その認識を教えてください。

○森財政課長 円安や物価高騰の影響を受ける事業者や住民への支援策等について、国においては補正予算や予備費充用により実施されまして、区としても必要な対応等を図ってきたところでございます。御指摘のように世界情勢、非常に不透明でございまして、令和5年度予算編成においてもしっかり注視していかなきゃいけないと考えているところでございますが、こうした世界情勢や今後の区の財政状況を踏まえまして、どのような状況においても区民サービスを滞ることなく推進していくため、新たな財政運営の考え方を定めまして令和5年度予算編成を開始したところでございます。

○加藤委員 後ほど触れますけれども、令和4年8月31日の総務委員会で新たな財政運営の考え方について報告がありました。質問項目の二つ目に挙げていますけれども、その中では、予算編成手法の見直しの中で、今後の予算編成では基準となる一般財源規模を廃止するということです。自ら毎年基準となる一般財源規模を変更しながらも上振れをする状況が続き、財政規律として機能しているとはいえない状態であるという、日本語としてちょっと意味が分からない言い訳をしているわけですけれども、これはある金額をずっと維持していたけれども、それが維持できないというなら分かるんですけれども、毎年変更している中での言い訳としては、ちょっと頼りないと思います。いずれにせよ、財政規律が歳入見込みから算出されるべきで、それまで酒井区政では歳出見合いで数字が変更されるような気がありましたけれども、それが是正されるのであれば、その方針転換というのはいいことだと思います。

 財政運営の考え方については次の質問項目で取り上げますけれども、令和3年度の決算の結果を受けて令和5年度の予算編成に反映したいということで、今ここで一つだけポイントを伺います。義務的経費、経常的経費、新規拡充推進事業などありますが、単年度の予算の増減を著しく変化させるものは施設整備などの投資的経費です。しかし、施設は突発的に造るわけではなくて、長い年月をかけ計画され、整備しなければならない施設の数と金額はある程度見えてくるわけです。区有施設整備計画においては、20年間、40年間で平均どのぐらいの整備費用が必要であるか示しております。これらの施設に関するお金のマネジメントがしっかりできているのであれば、一番注視しなければならないのはランニングコスト、つまり義務的経費と一般事業費をどれだけ抑制できるかというところがポイントになると思います。ということで、今後の財政運営の考え方というのは、ランニングコスト、経常的経費をどれだけ抑制できるのかというのが最重要と私は考えますけれども、区の見解はどうでしょうか。

○森財政課長 これまでにおきましても、経常的経費を抑制するという考えで予算編成は行ってきたところでございまして、新しい新たな財政運営の考え方を定めたからといって、その考えが変わるというふうには捉えておりません。

○加藤委員 それでは、経常的経費とか投資的経費がそういった意味で、その辺をどう分析しているかということが重要だというところに焦点を合わせて、令和3年度の決算について伺っていきます。といっても会派1人目の質問でありますので、順序だって、まずは歳入の特別区税から伺っていきます。

 まず、財政白書6ページを見ながらやっていきたいと思います。近年の特別区税の傾向について、お伺いします。

○竹内税務課長 特別区税決算時の収入額の直近5年間の推移についてお答えいたします。平成29年度は337億7,554万4,000円、平成30年度は342億5,390万3,000円、令和元年度は347億3,445万9,000円、令和2年度は360億8,536万2,000円、令和3年度は360億8,370万円でございました。今まで増額していた特別区税が令和3年度に減額に転じたというものでございます。

○加藤委員 6ページの図5の特別区税の推移を見る限り、右肩上がりだったにもかかわらず、特別区税は初めて減額となったわけですけれども、特別区民税もですか、下がったわけで、その辺の要因について教えてください。

○竹内税務課長 主な要因につきましては、土地等の譲渡所得に係る税額の減によるものでございます。

○加藤委員 そこが大きいということですけれども、ほかにも、そこだけじゃなくて、財政白書7ページの図6の納税義務者数の推移で見ますと、このグラフだと1,000人ぐらいが減少したとなっていますけれども、四捨五入の関係もあるでしょうから、大きく見ても納税義務者数は1%ダウンで、図7の納税1人当たりの所得額の推移を見ますと、これも上がっていて、12万円アップで3%アップ、図8の特別区民税徴収率の推移では0.4%アップということで、これらを合わせると特別区民税がもう少し上がってもいいのかなと思うんですけれども、上がり切らない理由が分かれば教えてください。

○竹内税務課長 納税義務者数1人当たりの所得額については増加している一方、納税義務者数は減少、さらに、ふるさと納税などの寄附金税額控除も増加してございます。先ほど答弁しました土地等の譲渡所得に係る税額の減少と合わせまして、納税義務者数の減少、寄付金税額控除の増加が影響しまして、特別区民税全体の減少につながったものでございます。

○加藤委員 令和2年度におきましては、コロナにおける減免の要求資料が出ていましたけれども、今年度ないというのは、その制度が令和3年度においてはないということでよろしいですか。

○竹内税務課長 徴収猶予の特例措置は、総務省からの通知に基づいて中野区でも対応したところでございますが、この措置は令和2年度限りでございまして、令和3年度は行っていないために、こちらのほうがないという形になってございます。

○加藤委員 ということは、そういった特例がない中で徴収率が99%になっているということは、かなりすごいことだなというところで、そこは評価させていただきます。

 特別区民税のうち、土地等譲渡所得に関わる税額が減少ということですが、その金額はどのぐらいですか。

○竹内税務課長 令和3年度の土地等譲渡所得の税額は6億2,841万円でございまして、令和2年度の9億5,862万4,000円と比較しまして3億3,000万円の減少となってございます。

○加藤委員 先ほども取り上げられていましたけれども、大きく減ったというところですね。土地等譲渡所得というのはどういうときに発生するか、教えてください。

○竹内税務課長 こちらは土地や建物を譲渡した際に得られた所得に対して課税されるものでございます。

○加藤委員 そうですよね。マイホームを購入する際には、都税における不動産所得税が発生するということで、この土地等譲渡所得とは別でいいですよね、確認しますけれども。

○竹内税務課長 こちらは別のものでございます。

○加藤委員 むしろマイホームを買うときは、住宅ローンの控除を受けられるくらい税制控除があるわけですけれども、土地の譲渡で発生するこの税金は、基本的に投資目的の土地建物を売買したときに発生するものなので、納税額が減っていることを考えると投資目的の不動産売買が減っているということです。この課税対象は区民であって、その物件は中野区でなくてもいいということでよろしいですよね。

○竹内税務課長 委員おっしゃるとおりでございます。

○加藤委員 結局、都心とかの土地を投資目的で売買するというのが減ったというところで、先ほどもその辺説明がありましたけれども、国土交通省が発表している地価公示は、アベノミクスによりまして右肩上がりに首都圏、都心部は堅調にここ数年上昇していましたけれども、令和3年度においては東京都だけではなくて全国的にかなり下落しました。東京都におきましては、平成26年度より上昇率が1.4、1.3、1.6、1.9、2.4、2.9、2.8と上昇してきました。令和3年度に初めてマイナス0.6%となりました。令和4年度、今年度は1.0の上昇傾向ですが、伸び率は先ほどよりもなく、最低であります。コロナ禍でテレワークが普及しまして、土地建物に対する価値観が大きく変わっているのかなというふうにも考えられます。土地の値段が上がらなければ評価額にそのまま反映されまして、固定資産税が減少もしくは上昇しない可能性があります。円高・物価高などで予測不能な法人税に加えまして、この土地の価格の変動は固定資産税を下げる可能性もあり、特別区交付金に直撃するわけで、財政運営をする上で注視しなければならないと考えます。その辺り、財政としてどのように捉えているか、お伺いいたします。

○森財政課長 今お話がありました固定資産税でございますが、調整税等の主たる要素でございまして、土地の価格変動は特別区交付金に影響すると、そのように認識をしているところでございます。固定資産税も含めまして、特別区交付金の財源につきましては動向を注視していく必要があると考えております。

○加藤委員 固定資産税が下がってしまう可能性という、今までずっと右肩上がりだった税収ですけれども、そこがもうちょっと見ていかなきゃいけないという、法人税よりも安定していたので、そこが下がる可能性があるということは見越していかないといけないと思います。

 特別区税で、たばこ税についてお伺いいたします。

○竹内税務課長 直近3年間の特別区たばこ税の収入済額を比較いたしますと、令和元年度は19億397万1,000円、令和2年度は19億442万6,000円、令和3年度は19億8,520万5,000円と年々増加してございます。こちらのほうは税率改正がございまして、売渡し本数は減少しておりますが、税率が上昇しているため、増額となってございます。

○加藤委員 中野区は令和3年度というか、ここ2年間、たばこ税が増加しておりますけれども、令和2年度より都心3区は30%低下している、減少しております。テレワークなどで都心に出勤する機会が減りまして、中野区民の方が都心ではなくて、中野区内でたばこを買うことが増えたためだと考えられます。たばこ税は大きな歳入です。中野区民が中野区内でたばこを購入する環境を維持することを念頭に入れた政策が必要とも考えます。テレワークが進み、自宅周辺を散歩する機会も増えるため、大規模公園などで迷惑がかからない場所に喫煙所を設置する政策などを打ち立てていただきたいと思いますが、時間の関係上、要望のみとさせていただき、午前中の総括質疑を一応締めさせていただきたいと思います。

○ひやま委員長 加藤委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。1時まで委員会を休憩します。

午後0時00分休憩

 

午後1時00分開議

○ひやま委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。

 加藤委員、質疑をどうぞ。

○加藤委員 お昼休みを挟んで、午後一番よろしくお願いいたします。

 先ほどは特別区税についてお伺いしましたけれども、次に特別区交付金について伺います。財政白書の8ページの図9、調整税等と特別区交付金(中野区分)の推移を見て分かるとおり、令和3年度は急激な増加となっておりますが、その原因についてお伺いいたします。

○森財政課長 特別区交付金の増要因でございますが、当初予算編成時においては新型コロナウイルス感染症の影響により減収を積算したところでございますが、想定以上の企業収益の堅調な推移によりまして、財源となる市町村民税法人分をはじめとした調整税等が前年度比7.5%、1,377億円伸びたことが要因と捉えております。

○加藤委員 今お答えになりました想像以上の企業収益の増の原因は何でしょうか。

○森財政課長 詳細な部分については特にこちらも分析し切れておりませんが、様々な給付金などによりまして一定企業が経営を続けられたといったようなことで、そういったことも踏まえての増かなというふうに捉えております。

○加藤委員 その原因が予算編成のときに言えなかったんですけれども、今にわかに言いましたけれども、大体コロナによって持続化給付金、雇用調整助成金など、法人の経営を維持するための補助金が給料とかの補填のためだと思ったところでしたけれども、それも課税対象だったようで、それが影響かなと思って、何も事業しないのに給料は払えて、何も事業していないのに経費は発生しないので、いわゆる物品購入とかして節税対策もできないために、通常ではない納税をしたのかなと。一般的に7割の会社・法人が赤字決算をして、均等割の7万円の法人税の納付しかしないというのが通常運転みたいですけれども、コロナ禍ではそういったことができなかったので、法人税を払うところが多かったのかなというふうなことがあります。雇用調整助成金の対象期間が令和4年9月30日までということで制度が打ち切られるということで、再来年度にはこの結果が特別区交付金に出てくると思いますけれども、今後の財政運営について伺います。

○森財政課長 今お話のあった給付金等の影響がどこまで法人住民税の増に影響したかというところについては捉え切れていない、想定しづらい、できていないところではありますが、法人住民税市町村分については特別区交付金の財源でございまして、区の財源に関わることでございますので、その動向については注視をしていきたいと考えています。

○加藤委員 先ほど言いましたけれども、固定資産税も今後どうなるか分からない、法人税もどうなっていくか分からないというところで、特別区交付金というのが今後どうなっていくかというのは本当に不安なところなので、その辺はしっかりと分析をして財政運営に努められてほしいと思います。

 続きまして、起債とか基金、いわゆる世代間負担の公平化というところについて伺います。

 要求資料総務117の一般会計における決算状況(一般財源ベース)(前年度までの3年間)という資料をつくっていただきました。いわゆる財政フレームの項目に決算値を当ててもらったというものになりますけれども、ここで特別区債が令和3年度0円となっております。要求資料総務14の補正予算一覧(前年度までの3年間)などを見ますと、令和3年度の第11次補正で特別区交付金は327億円から62.8億円増額補正で389.8億円となって、特別区債は92億円から全て一般財源に財源構成し、0円となりました。この内訳を見ますと、学校施設整備の財源構成で59億円余、西武新宿線連続立体交差事業などで5億円弱などが区債発行から一般財源の財源構成が行われました。もちろんというか、私としては起債をして借金による利子を払うよりも、できるだけ現金を使ったほうがいいとは思いますけれども、区は最初というか、予算編成時に世代間負担の公平化ということで、これまで起債を行う予定ではありましたけれども、それが一般財源に入れることで起債を抑制したりしていたわけですけれども、こういった変更というのは何の数字を重要視して、どのような考えで財源構成を行っていくのか、お伺いいたします。

○森財政課長 年度末の財源構成でございますが、今お話があった補正予算の関係ですが、当初予算編成後の歳入状況により、一般財源の充足が見込まれた場合、利子を含めた後年度負担を考慮しまして、起債を取りやめて一般財源に振り替えているというところでございまして、今のお話の令和3年度の補正、起債の取りやめ、財源構成についても同様の考えで行ったところでございます。

○加藤委員 財源構成のタイミングについてお伺いしたいんですけれども、今挙げた学校施設整備の中で、中野東中学校に関しては令和3年9月にスタートして、同じ建物に入っている子ども・若者支援センターは11月からスタートしたので、少なからず工事はそれまでに完了したということです。完了した後に、工事の完了で、完了検査が終われば料金を支払うわけですけれども、交付金がかなり増額すると分かるタイミングと工事完了でお金を支払うタイミングというのは、それぞれいつだったのか、教えてください。

○森財政課長 交付金が増額になるとの見込みですが、年末に東京都から情報があって、特別区財政調整交付金のフレームが増える、増額になるといったようなことでの情報に基づいて推計をしたということでございます。中野東中学校等の校舎建設工事については、令和3年9月が工期でございまして、そこからおおむね1か月程度で支払いが必要となるものと、そういう認識でございます。

○加藤委員 そうすると、中野東中学校が開校9月の後に完了検査をやって支払いということで、年内には支払いぐらいで、特別区交付金が増額するという情報が入ったのも大体年内、年末ぐらいだったということでよろしいですか。

○森財政課長 中野東中学校の校舎等の建設工事については、確かに子ども・若者支援センターの開設は令和3年11月なんですが、工事自体はほぼ令和3年9年に終わっているので、支払い時期についてはそこから1か月程度、ですので令和3年10月、そこが支払ったタイミングかなということで、一方、特別区交付金の増ということで言うと年末に、12月の下旬ですが、東京都から情報提供があって、それを基に増になるということで推計をしております。

○加藤委員 年末に交付金がかなり増えるという情報があり、支払いは11月か10月ぐらいだったという中で、どうやって財源構成をしようという、そういう話になるんですか。まだそれだけ歳入が増えるという見込みが分かっていない中で、どうやってそういうふうに方針が変えられたんですか。結果的には第11次補正の年度末の補正でやるわけですけれども、どの判断で、起債ではなくて一般財源に財源構成を変えるという判断ができるんですか。

○森財政課長 起債を取りやめて一般財源に振り替える、財源構成をするという判断をしたのは、特別区交付金が増になるということもあって、年末に補正予算の編成をやっていますから、そのタイミングで最終的な判断をしたということでございます。

○加藤委員 区の運営がよく分からないんですけれども、もし特別区交付金がこんな多く入ってこなかった場合には、そのときに初めて起債するものなんですか。もし増額が0円だったという場合は、そのときに起債をするんですか。年間の収支のところで考えるんでしょうけれども、タイミング関係ないという運営だとしたら、起債というのはそういうふうにやっていくものなんですか。

○森財政課長 起債については年度当初、5月、6月あたりに当初予算で計上したものをベースに東京都に、協議ということで書類を出すわけですね。その後、最終的に起債をかける、かけないというところは、本当のタイミングの最後のぎりぎりというのは出納整理期間内の段階でもできるので、そこまで実際のところ起債を最終的にするかしないかというのは判断ができるわけです。今回の部分については、補正予算の編成の段階で一般財源の充足が見込まれたので、そのタイミングで起債の取りやめはしたということでございます。

○加藤委員 そうすると、区の財布に中野東中学校の建設完了に伴う支払いをするお金が入っていたから、取りあえず払って、特別区交付金が増になっていなかったとしたら、そこで初めて起債をする、今回はたまたま増が大きくて、全部一般財源に切り替えることでできたという、そういうふうに起債の考え方があるということなんですか。

○森財政課長 中野東中学校の校舎等の建設工事の支払いについては当然、今お話があったように、その段階で歳計現金ですね、そちらの中で支払いはできた、支払いをしたということです。それで起債を取りやめる、取りやめないという部分については、一般財源の状況等を判断しておりまして、補正予算の段階では充足されるということなので取りやめの補正予算を出したと。一般財源がそれほど増しない状況だということであれば、そのまま、起債をしたまま、起債が予算計上されていた状態で、そのままいったということになろうかと思います。

○加藤委員 これだけ歳入が増になるというケースもなかなかないと思うので、レアケースだったのかもしれないですけれども、そういうふうに起債ってやるものなんですか。ちょっと知らなかったので、いいか悪いか知らないですけれども、通常こういうオペレーションをするものなんですか。

○森財政課長 予算編成の段階、最初の当初予算の段階では当然、多額の財源が必要なものについては、起債も含めて財源対策をしているということで予算計上します。その後、一般財源が増になって、財源が充足してくるということが分かれば、補正予算なり、最後の出納整理期間のタイミングでの取りやめというのも、これまでもしてきたということでございます。

○加藤委員 ちょっと予想と違う答えだったので詳しく聞いちゃいましたけれども、そういうものだというのだったら、今後そういうふうにやっているんだという目で予算を見ていくべきなんだなと勉強になりました。

 そういう中でも判断がぎりぎりとなったわけですけれども、予想以上に歳入が増えることが分かった場合には、今回の令和3年度の特別区債の財源構成もして一般財源を投入するという考え方、新しい財政運営の考え方においても、こういう考えを入れていくべきと思うんですけれども、どうでしょうか。

○森財政課長 新たな財政運営の考え方のところでは、特に起債の一般財源充足に伴う取りやめといったようなところについては盛り込んでいないところでございます。その時々の状況に応じて判断をしているということです。特別区債の発行の見送りについては、先ほど来御答弁しているように、一般財源の充足の状況において判断をしてきているということで、今後もそういったことは一つの対応として考えられるということは思っておりますが、その時々の歳入見込みですとか、基金の状況ですとか、適用される利率なんかも勘案して、その時々によって判断をしていきたいということで考えておりまして、考え方のほうへの具体的な明記ということはしていないところでございます。

○加藤委員 もともと世代間負担の公平化という言葉が何かいまいち言い訳がましい表現だなと思っていますけれども、こういうふうにその場しのぎ的な感覚で財源構成を変えられてしまうと、予算を立てたときのと何か説明が違うよなというところで、納得できるものもできなくなってしまうなというところなので、一定のルールみたいなものを新しい財政運営の考え方においては盛り込んでいただければなと思います。

 続きまして、経常的経費、投資的経費について伺いますけれども、要求資料総務117の先ほどの資料ですけれども、この中で一般事業費が3年間で減少してきている要因について伺います。

○森財政課長 総務117の資料で歳出のほう、一般事業費が令和2年度、令和3年度と減少しているという要因でございますが、令和2年度においては新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で縮小したり、取りやめた事業があったことが一つの要因になっているかと。あと、令和3年度については、構造改革実行プログラムでの短期的な取組を含めた経常的経費の削減に取り組んだ、当初予算の段階で取り組んだといったようなことから、それが一定程度この減につながったかなと捉えております。

○加藤委員 コロナの影響というところですね。

 次に、要求資料総務118の新規・拡充等事業から一般事業費となった事業一覧も今回つくっていただいたので、そこを使ってですけれども、これは名前のとおり新規拡充事業が経常経費化してしまったリストということになりますけれども、ここで大きいのがGIGAスクール構想7.7億円になります。区の独自の政策というわけではなくて、国の政策の中で、致し方ない中で経常的経費が7.7億円押し上げてしまうという、こういうケースもある中で、経常的経費を捻出する際に、ある程度お財布のひもを締めてでも、こういうことがあるかもしれないので、そういうこともあるような弾力性のある財政運営、支出を抑えていかないとと思いますけれども、いかがですかというか、当たり前の答えしか出ないでしょうけれども、一応伺います。

○森財政課長 経常的経費につきましては、PDCAサイクルによる事業の見直し改善、また、決算時の見込み差の残額の縮減に努める等、継続的に縮減の取組を進めていく必要があると、そのように考えております。

○加藤委員 時間も限られているので、ちょっと飛ばします。

 次に、受益者負担について伺います。施設使用料の妥当性についてです。いろいろな施設でやりたいんですけれども、ここでは体育館のみに絞っていきます。財政白書の98ページなどを参考にしていただきたいんですけれども、区民活動センターの行政コスト、この財源構成を知るために、こういったものを体育館でも同様につくっていただきたいと言ったんですけれども、オリンピック・パラリンピックで卓球練習場になるなど、通年利用がされていないために算出ができないということでした。ちなみに、区民活動センターの利益者負担金率は2.9%です。といっても、今度料金改定が体育館はあるということですので、ここで取り上げさせていただきます。

 中野区ホームページにキリンレモンスポーツセンターにおいて令和3年度平和の森公園及び総合体育館指定管理事業報告概要という資料がありましたので、これを参考にいろいろ取材等で聞いた数字などを使って質問させていただきます。先ほども言いましたけれども、令和3年度はオリンピック・パラリンピックの卓球場、令和3年7月1日から9月13日、緊急事態宣言で令和3年4月25日から6月20日、あと、オリンピックの開会から、令和3年7月12日から9月30日までが緊急事態宣言で、長期間閉まっている状態でありました。そういった時期ではありましたけれども、利用料金収入は4,197万円と取材の中で伺いました。また、収入の中には事業による収入というのが利用料金以外にもあるんですけれども、これが1,750万円です。この事業による収入というものは何を示すのか、お伺いします。

○辻本スポーツ振興課長 指定管理者が実施してございます各種スポーツ教室やイベントの参加料収入ということでございます。

○加藤委員 ということは、オリンピック・パラリンピック関係で何かほかの収入があったというわけではないということでよろしいですね。

○辻本スポーツ振興課長 委員御指摘のとおりでございます。

○加藤委員 そうすると、利用料金収入と、事業収入というのを足し合わせたのが区民・団体から得られた収入ということで、足し合わせると大体6,000万円程度ということで計算は合っていますかね。

○辻本スポーツ振興課長 委員御指摘のとおりでございます。

○加藤委員 そうすると、体育館が閉まっていた時期が3か月半、緊急事態宣言後も利用の抑制がなされていますが、ざっと単純計算で少なく見積もって、コロナが明ければ、開いている期間を考えれば1.4倍以上の収入が見込めると思います。そうすると、令和3年度の収入が3か月半閉まっていて6,000万円なので、1.4倍掛けて8,400万円ぐらいが期待できると考えますけれども、そういう計算でよろしいでしょうか。

○辻本スポーツ振興課長 ただいま委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症によります利用控えが解消されてくるとともに、オリンピック・パラリンピックの公式練習場となるといった特段の事情がなければ、御指摘の収益を見込むことができるものと考えてございます。

○加藤委員 続いて歳出ですけれども、施設維持管理費で約550万円かかっているということですけれども、これは何の費用なのか、そして今年度も同じような金額がかかってくるのか、伺います。

○辻本スポーツ振興課長 経費の内容でございますが、施設の設備保守管理費、また、清掃費などでございます。これらの経費につきましては、今後も同程度の金額を見込んでいるところでございます。

○加藤委員 そうすると、年間の指定管理者の収支報告書から今の施設維持管理費などを考えると、その辺にかかる費用が1.8億円程度となりますけれども、これは令和4年度以降も同額でしょうか。

○辻本スポーツ振興課長 指定管理料につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響や特段の事情がなければ一定程度減るものと見ているものでございます。

○加藤委員 今のところ、歳入と歳出を聞きました。また違った観点から、体育館の建設費用の総額は幾らでしたか。

○辻本スポーツ振興課長 実施設計及び施工経費で総額約96億7,000万円でございました。

○加藤委員 そのうち、補助金と区の持出しは幾らでしょうか。

○辻本スポーツ振興課長 国庫補助と補助金等で合計約36億円でございまして、区のいわゆる持出しでございますが、約60億7,000万円でございます。

○加藤委員 フルコストでの施設使用料の考え方というのは、この建設費総額で考えるものなのか、区の持出し分だけで考えるのか、伺います。

○森財政課長 施設使用料の算定に用いる、減価償却費を算定のところで入れているわけですが、それについては総額で算出して、それを算入しておりますので、今お話があった補助金と区の持出しという、それぞれ区分しているわけじゃなくて、総額で捉えている、算定しているということでございます。

○加藤委員 97億円を減価償却するという考えということで、ライフサイクルコストは何年で計算するんですか。

○森財政課長 おおむね約50年というふうに捉えていただければと思います。特に建物の躯体の部分について、50年と捉えていただければと思います。

○加藤委員 そうすると、97億円をライフサイクルコスト50年で割れば年間2億円が、そこら辺考えないといけないということですけれども、フルコストの計算というのは、指定管理者の委託料も含まれて計算するということでよろしいですか。

○森財政課長 含まれるものでございます。

○加藤委員 ここまでの数字を整理しますと、施設の減価償却が年間2億円、委託管理費が1.8億円程度で、大体年間3.8億円、体育館を運営するのに必要となってきます。施設使用料による収入は少なくとも8,400万円程度を見込めるとなると、8,400万円を3.8億円で割ると、受益者負担率は22%、これらを踏まえて質問しますけれども、区は平成30年7月からスポーツ施設使用料を半額としておりますが、改めてその目的と根拠について伺います。

○森財政課長 スポーツ施設使用料半額の目的でございますが、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機としたスポーツ健康づくりムーブメントを中野のまちに発展・定着させていくことを目的といたしまして、区民が日常的・継続的に身近な場所でスポーツに触れる機会や空間の創出促進といった環境整備策を進めていくと、そういった一環で導入したものでございます。

○加藤委員 一方で、令和2年3月に区が示した施設使用料の見直しの考え方によると、減価償却費はこれまでの全額から半額を減価に算入し、利用者の負担割合についても、スポーツ施設については7割から5割に変更するとしていますが、体育館についても同じ考えを踏襲するんですか。

○森財政課長 今お話があった令和2年3月の施設使用料見直しの考え方については体育館も同様でございます。

○加藤委員 スポーツ施設の受益者負担率はどのぐらいが妥当と考えていますか。

○森財政課長 財政白書でお示ししている他の施設と同様の計算の受益者負担比率については、まだ算出ができていないということなので、どれくらいが妥当かということは難しいところでございますが、今お話があった令和2年3月にお示しをした施設使用料の見直しの考え方における性質別負担割合については50%をお示ししたというところでございますので、この数値を基本に考えていくというところでございます。

○加藤委員 今の考え方でいくと、建設費用の減価償却を半額とするということなので、先ほど年間2億円試算が半額で年間1億円で、委託管理費は変わらないで1.8億円なので、年間維持費は合計して2.8億円で、先ほど受益者負担22%でしたけれども、新しい考え方でいうと30%の負担割合に変わってきます。利用者の負担割合、目指すところ5割というふうに考え方にあったので、それに照らし合わせると今の値段、料金より1.6倍から1.7倍程度、施設利用料の値上げが必要となってきますけれども、本当にこんな恐ろしい倍率を掛けた使用料になるのかというところをお伺いします。

○森財政課長 施設使用料の見直しに当たっては、大元は平成19年度に策定をしたものがあるわけですが、その当時から激変緩和という考え方もとっておりまして、使用料の増という部分については、1.5倍を超えないように、1.5倍に抑えるというようなことでとってきております。ですので、今のお話の1.6から1.7倍の増ということについては、そこまでは上げないということになります。

○加藤委員 といっても1.5倍で、激変緩和で1.5倍という数値ですけれども、これでは利用者が一気に減って、結果的に、逆に収益が減る可能性もあるのかなと思います。例えばお酒の酒税だったり、たばこ税もいきなりすごい値上げになれば、やっぱりその辺の嗜好品は利用者が減ってくるということで、この施設使用料に関しても、1.5倍とか急になってもなかなか、大会を年に3回開いていたところ、1回しかできないかなとか、2回しかできないかなとか、そういうことにもなりかねないわけですよね。そうすると空きが出てくる可能性も出てきます。

 一方、若林議員が一般質問で体育館の興行利用について質問しまして、検討するとの答弁でしたけれども、もしプロスポーツなどの利用があれば、一般貸出料よりも高い料金を設定することができるので、その分で区民負担を抑制することができます。また、興行がうまくいくようであれば、ネーミングライツの値段も上げられるのではないかなというところで、これも区民負担の軽減ができるのかなと思っております。受益者負担比率という考えではなくて、そういったネーミングライツも含めて、体育館で得られる収益全体で5割を目指すような考え方が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○森財政課長 体育館の運営に係るコストをどのように確保していくのか、今お話があったように使用料、また、それから他の歳入といったようなものも含めて、どのように確保していくのか、それを、コストをどういうふうに補っていくのかということについて、今後使用料見直し方針の検討を進めていきますので、その中で議会ですとか区民の意見、他自治体の状況などを踏まえながら、考え方について整理していきたいと思っております。

○加藤委員 そこら辺で、体育館のお金の状況でしたけれども、受益者負担というところの考え方について、区の考え方をお伺いしたいので、財政白書の135ページの受益者負担の割合という図面について説明していただけますでしょうか。

○森財政課長 財政白書の135ページでございます。こちらの表については、区民1人当たりのコストと受益者負担の割合ということで、23区の散布をしているところでございます。中野区は左のほうにあるわけですが、右の上のほうに、端のほうに行くということになると、区民1人当たりの経常費用ですね、コストがかかっていると、あと、受益者負担も高いというような、そういうふうに読み取れるというようなところでございます。経常費用の詳細な分析は必要でありますが、そういった読み取りができるということでございます。

○加藤委員 読み取り方がどうか、いろいろ分析は必要だと思うんですけれども、1人当たりの経常経費が大きいと、何かすばらしい施設をつくるのにお金を使ってしまって、結局それを使用するのに受益者負担も高まってしまっている可能性があるのかなというのをこの図面から読み取らせていただいたんですけれども、中野区は左下のほうにあるわけです。ちょっと昔のことを思い出して、僕が高校生だったときにミーティングで鍋横区民活動センターですけれども、当時、鍋横地域センターの会議室を予約しようとしたんですけれども、すごい倍率で取れなかったんですけれども、結局、有料ですけれども、取れないために永福町駅近くの杉並区の施設をよく使っていました。鍋横地域センターの会議室が予約できなかった日に、別日を予約しにいったところ、その部屋は使われていなかったということがあって、今思い起こせば、無料だから予約して使っていないという現状もあったのかなと思うので、そんな無責任な使い方をされるぐらいだったら、ある程度有料じゃないといけないかなとは思いますけれども、いずれにせよ、中野区政の中では、会議室の話ですけれども、無料だったという時代もあって、施設を借りるのがすごい安いというのにかなり慣れてしまっているのかなというふうに考えます。そういった中で、スポーツ施設の運営の在り方というのはどういうふうにするのが妥当と考えますでしょうか。

○辻本スポーツ振興課長 区といたしましても利用者負担は必要と考えているところでございまして、その上で誰もが身近な場所で気軽に運動・スポーツに取り組めるよう、施設運営を進めることが大切であると考えているところでございます。

○加藤委員 今の料金でも高いという声がスポーツ団体からありますけれども、先ほども言いましたけれども、急激な料金の値上げは区民スポーツに深刻な影響を及ぼすことが懸念されますので、区民のスポーツ実施率を高めるためにも、トータルでの現行の使用料負担額を上回ることがないように検討すべきと考えますけれども、区の見解をお伺いします。

○森財政課長 今後、使用料の見直しの考え方を検討してまいります。算定方法の検討を進めていく中で、議会や区民の意見を踏まえながら検討していきたいと考えております。

○加藤委員 ありがとうございました。これでやっと第1項目の令和3年度の決算について終えます。

 続きまして、財政運営についてお伺いいたします。

 令和5年度以降の財政運営については、先ほども紹介しましたけれども、令和4年8月31日の総務委員会で新たな財政運営の考え方について報告がありました。今後は基準となる一般財源規模の考え方を廃止するということです。この報告の中で、歳入一般財源が減少した場合でも急激な行政サービスの低下を招くことがないように、基金積立額を除く一般財源充当事業費は都区財政調整制度における基準財政需要額の直近3年の平均額を下限に編成するものと記載されております。特別区長会のホームページなどからその辺の数値が載っておりますので、それを使ってつくった図面が、委員長の許しを得てつくったものでございます。これで緑の線が23区の基準財政需要額、23区合計ですね、それに連動するように中野区、赤の破線ですけれども、基準財政需要額、中野区のができます。赤い実線が新たな財政運営の考え方に示されている基準財政需要額の直近3年の平均額というものであります。こういった形になります。

 この基準財政需要額というのは、23区というか、特別区長会が設定していくものですけれども、この23区の歳入の基準、歳入としてできるもので設定してよいと判断した理由についてお伺いします。

○森財政課長 今のお話、一般財源充当事業費の下限の設定のところでして、都区財政調整の基準財政需要額の平均を採用するという、そこを下限に設定するということで新たな財政運営の考え方でお示しをしたところですが、基準財政需要額は23区の普遍的な事業の経費により算定された、平均的に行うべき事業の経費でございますので、区民サービスを維持するための基準ということであれば適切であると、そのように考えたところでございます。

○加藤委員 次の図面を説明させていただきます。赤の実線は23区平均した、今の3年平均した中野区の基準財政需要額で、黄色が一般財源充当事業費、青の実線が基準となる一般財源規模です。これで2020年、基準となる一般財政規模が跳ね上がって、その後また抑制しております。前区政においては財政規律というものがありましたけれども、何かそういうのがなくなってしまったのかなと。特に青が跳ね上がって、結局、充当事業額よりも大きくなってしまっているというところで、規律が守れないからやめるというよりは、自分らで規律をつくったけれども、ぐちゃぐちゃな計算になってしまって、逆転現象すら起こしてしまったというのがここから読み取れます。なので、自分らで一般財源規模というのを決められないのであれば、ある意味、特別区長会で作成される基準財政需要額に外部的な数字から身をゆだねるのも一つの新しい財政規律の考え方かもしれないと。

 ただ、この数字を見ますと、2013年、2014年あたりを見てほしいんですけれども、赤い線が基準財政需要額、結局、調整3税とかがめちゃくちゃ下がってしまったとかも要因で、かなり下がってしまうわけですね。歳入が減ってくる、ここから歳入が大分下がるわけですけれども、そういうときにこそ、基準となる一般財源規模、青い線ですね、この線まで予算を基金か起債か何でも穴埋めをしないといけないという作業があったわけで、田中区政のときには、この青を守るためにそういったことをやっていたわけですね。こういうときに財政調整基金を使うタイミングだったわけですけれども、あくまで赤いラインは下限値と言っているものの、それを決めてしまうと、例えば2013年だと一般財源充当事業費が669億円で、基準財政需要額は597億円なので、70億円程度、何かしら切り詰めないとこれを守れないということになりますけれども、それだけスクラップってできるものなんですか、下限と設定する限りは。例えばの話ですけれども。

○森財政課長 歳入一般財源が減少した場合に、その場合は歳入見合いで歳出の一般財源充当事業費を削減していくと、そういう考え方を基本に今回の考え方をお示ししたところでございますが、急激な行政サービスの低下を招くことがないように、最低値ということでの下限額を設定したということでございます。その当時、その段階において、どういう形で予算を組んでいくかというところもあると思いますが、区民が安心して生活できる環境を整えていくのが当然区の責務でございますので、選択と集中を図って、必要な財源はしっかり投入していきたいと、そのように考えています。

○加藤委員 状態によっては、この下限値を守るために切り詰める、スクラップするという宣言でよろしいんですか。

○森財政課長 これは下限値なので、ここは最低限維持するということでございますので、ここまで下げるかというところについては、そこまでの段階、そこまでどうするかというところについては、今の段階ではお答えできないかなと思います。

○加藤委員 この下限値を、結局、今言ったように、守るのはなかなか困難だというニュアンスのことを言っているわけなので、守れないぐらいだったら最初からこれを下限値にする必要はないんじゃないかという話なので、考え方を改めたほうがいいんじゃないかと思いますけれども、もう一度伺います。

○森財政課長 あくまで区民サービス、このレベルは維持するということでの設定なので、ここまで落とすという数字ではないというふうに捉えています。その時々の状況で、しっかり区民のサービスを維持していくと。ここの下限値の段階までは、それ以上は区民サービスとして予算は組んでいくということで考えています。

○加藤委員 下限値だから、いくら下げたって、ゼロと言ったって下限値だから、それ以上に決まっているじゃないですかと言ったら、この数字はあっても意味がないわけですけれども、守るつもりもない数字を設定するというのは、よく分からないなと。あくまで下限値だから、どう設定しようと、どちらかといえば上限値をどう設定するかのほうが重要だとは思いますけれども、守るつもりがない下限値を今後財政規律の中に入れていくというのは、ちょっと理解ができないなというところで指摘させていただきます。

 例えば、ここで新型コロナによって、黄色いラインで一般財源充当費、2020年、2021年、かなり下がっていますけれども、こういったときには結局、中野本郷小学校だったり、鍋横区民活動センターの工事を取りやめたとか、そういった大きい投資的経費を減らすことによって、この一般財源充当事業費を減らしたということでよろしいですか。

○森財政課長 今お話があった一般財源充当事業費は当初予算額でございます。投資的経費の部分については、今お話があった鍋横区民活動センターや中野本郷小学校の部分については一定基金や起債も充当した上で予算化していますので、ここを、投資的経費を落としたから一般財源充当費がすごく下がったということには必ずしもつながらないかなと思います。全体的な見直しをした結果、こういう数字になったと捉えています。

○加藤委員 前区政のときには、青いラインの基準となる一般財源規模で、これを超えるようなときがある場合は、予算のあらましとかで投資的経費にこういったお金がかかるから基金を充当しますというふうな説明書きがしっかりあったので、ある意味、基準となる一般財源規模というのは経常的経費とか、そういったところをある程度基準にしていたとは思うんですけれども、何か酒井区政になってから、その辺のたがが外れたというか、計算方法が変わったというようなところで、2020年の逆転現象が起こるようなことも起こっているのかなというふうにも感じるわけですけれども、こういったことを考えると、今後の財政運営の考え方として、経常的経費と投資的経費を分離して考えたほうが波をしっかり見られるんじゃないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

○森財政課長 投資的経費のほとんどは基金を、起債を活用する事業ということでございまして、財源対策を行う基金・起債を活用する事業については別項目として当初予算の概要では出しているというところがまずございます。現在、一般財源充当事業費の中では、経常的経費と投資的経費を一緒、一つのところで、一つのくくりの中で整理をしておるところでございます。今後もそういう形で、一般財源充当事業費という大きな枠の中で捉えていくということで、その考え方は変更はないところでございますが、今お話があったように、じゃ経常的経費がどう伸び、あるいは投資的経費がどのように伸びていくかといったような、その部分についての取扱いについては検討課題としたいと考えています。

○加藤委員 この図面は終わらせていただきます。

 今おっしゃって、一応内部的にはしっかりと投資的経費と経常的経費に分けているんでしょうけれども、それをしっかりと、情報をとればこっちもつくれますけれども、そういったものをしっかりオープンすることによって、経常的経費は大体このぐらいという、それがある意味、基準となる一般財源規模代わりになるようなところの指標の一つの見定めとしてつくっておいて、年々変わってしまう一般財源の充当事業費というのを、波のところは投資的経費なことが多いわけですから、それはそれで20年間、40年間で考えているというところで、区有施設整備のほうで考えていますから、それはそれで財源を分けて見たほうがいいんじゃないかということで、そういった財政フレームをそれぞれ経常的経費なところ、経常的経費というか、投資的経費とそれ以外の財政フレームをつくっていく必要があろうかなと思いますけれども、改めて伺います。

○森財政課長 まず経常的経費、一般事業費として扱ってお示ししていますが、その部分の今後の伸びというものについては、伸びというか、今後の推移の見込みということは財政フレームのところでもお示ししておるところでございます。一方、もう一つ、投資的経費の状況ということで言うと、基金・起債を活用する事業については、お示しはしているというようなところでございます。ですので、そういったところでの、それぞれの項目立てしている部分については、資料についても表記はしているところでございますが、繰り返しになるところですが、一般財源充当事業費の中でどういうふうに分離して取り扱っていくかということについては今後の検討課題とさせていただきたいと思います。

○加藤委員 検討していただけるならありがたいです。

 そういう中では、区有施設整備というところがしっかりと、ばちっと決まらないと、それも不可能というところで、その辺の施設整備がどうなっていくかというところで、児童館、区立保育園、地域図書館など、棚上げの計画がたくさんありますけれども、そういったものが決まってこないとなかなか費用も決まらないですけれども、今後どのような見通しなんでしょうか。

○瀬谷構造改革担当課長 施設整備の見通しですが、各個別計画の進捗状況を踏まえまして今後の見通しについて見定めていく考えでございます。

○加藤委員 いろいろ計画、棚上げ状態ですけれども、これらが実行されると区有施設整備計画、物価高とかを考慮されていないですけれども、20年間平均で年間97億円必要だというのが大体の数字となるという考えでよろしいんですか。

○瀬谷構造改革担当課長 区有施設整備計画では、施設の再編、また、更新単価など一定の条件を基にして、策定時点から20年間に必要となる施設更新経費を試算したものでございます。

○加藤委員 物価高騰とか修正を加えていく必要があると思いますけれども、何年かに1回見直しがあると思いますが、その辺どう検討されていますか。

○瀬谷構造改革担当課長 今後個別施設ごとの計画が進んでいく中で、更新、改修などの経費について、経費の高騰につきましても精査していくことになると考えてございます。

○加藤委員 そういったところで97億円というのも、この数字でいいのかというのもありますけれども、その辺、物価高騰などを踏まえて年間100億円、100何億円みたいなところが積み立てればいいんだなとなれば、施設整備用に必要な金額、それを別のところで財政フレームを組んで、例えば100億円を一般財源として施設整備費に投入するのか、基金へ積立するのか、区債の借金の返済のために使うのかという、この3種類に分けるだけで見やすい、分かりやすい施設整備の財政フレームがつくれると思いますけれども、その辺どうお考えでしょうか。

○森財政課長 施設整備に関する財政フレームということでございますが、施設整備もそうですし、大規模修繕、そういったものにかかる経費をどのように平準化していき、基金・起債を活用した財源対策を行っていくかといったようなことについては当然、施設マネジメントの面からもしっかり見える化していくという必要があると考えております。ですので、施設整備に係る財政フレームということについては検討を進めていきたいと考えています。

○加藤委員 ありがとうございます。そこで施設のほうが大体そんな、僕が言ったイメージができれば、一般事業費とか新規拡充推進事業についての枠みたいなところが議論できると思います。

 ところで、先ほどから言っています財政運営の考え方の報告の中で、一般事業費について、これは出ていましたけれども、この中に一般事業費の考え方で、決算分析や行政評価を基に費用対効果等を十分に検証し、事業の見直し・改善に取り組み、事業経費の縮減に努めると書いてありますけれども、この中から事業の廃止という言葉が完全になくなっちゃいましたが、スクラップをあきらめたということですか。

○森財政課長 令和5年度予算編成においては、過去の決算の状況や行政評価の結果等を十分に踏まえ、構造改革実行プログラムの構造改革の八つの視点に基づいて事業の廃止・縮小、手法の検討、執行体制の見直し等を経た予算要求を行うことと、そういうことで示しているところでございまして、廃止をする、廃止の考えというのをなくしているわけではございません。

○加藤委員 では、なぜ廃止という言葉を入れていないんですか。

○森財政課長 確かに御指摘の財政運営の考え方のところでは、廃止という言葉は入っておりませんが、事業の見直しのところには当然廃止も含まれるということでこちらは捉えておりまして、廃止という考え方をなくしているというわけではないということでございます。

○加藤委員 今までスクラップ・アンド・ビルドとか、そういった高らかに何かキャッチフレーズを掲げられていたので、廃止というのは常に考えていくものなので、この言葉が消えたということは、区政全体でそういった意欲がなくなったというふうにも読み取れるわけですよ。そういうことなら、しようがないですけれども、だから、いろいろキャッチフレーズがありましたけれども、スクラップすると言ったのも行政側ですし、構造改革すると言ったのもそちら側で、その言葉どおりできないから、こういったいろいろな指摘が出てくるわけだと思います。廃止という言葉を書いていないですけれども、やっていく意向はあるのか、新たな財政運営の考え方ということですから、しっかりとこの後、何かが策定される中では廃止という言葉を明記していくのか、その辺を伺います。

○森財政課長 新たな財政運営の考え方については、確定したものを令和4年8月の総務委員会で報告をしているところでございます。繰り返しになりますが、事業の見直しのところには当然廃止も含まれるというふうに、そういう考えでございまして、ビルド・アンド・スクラップには引き続き取り組んでいくということでございます。

○加藤委員 これは確定版だったんですか。さっき私がつくった、需要額の3年平均というグラフをつくって、こんなグラフになるんですか的な話で、つくったことがなかったみたいな話だったじゃないですか。見てもないのに、こういう指針をつくっちゃったということですか。

○森財政課長 グラフに落としているわけじゃないですけれども、過去の基準財政需要額の平均ということについては当然計算はしていたということではございますが、グラフに落としてということについては、していなかったということでございます。

○加藤委員 そういうニュアンスじゃなかったと思いますけれども、本当にその数字が妥当なのかなというような、さっきのグラフを見れば明確だったわけで、もうちょっと考え方があったのかなと思うんですけれども、これはもう考え方を変えるつもりはないということなんですか。

○森財政課長 これで令和5年度予算編成はスタートしておりますので、変更はしないということでございます。

○加藤委員 まだ間に合わないですかね。じゃ再来年度予算のときには変えられるんですか。まだいろいろ不備がいっぱいあると思うんですけれども、このまま進んでいいのかなというところなんですけれども、全くその辺は、マイナーチェンジもなされないということですか。

○森財政課長 この考え方で運営をしていくということがまず基本でございます。これを未来永劫変えないというわけには当然、運営をしていく中で検証して、改善する必要があれば見直しをしていくということでございますので、そこは運営をしていく中で今後考えていきたいと思っております。

○加藤委員 何かあやふやに書いてあって、これで結局どうなるのかというのが余計見えなくなってきているなと思うので、その辺は変えていただきたいと、やっても時間がなくなってしまうので、要望でとどめておきますけれども、そういった考えで進めていただきたいと思います。そういったところで、考え方として、先ほども言いましたけれども、義務的経費、一般事業費とか投資的経費、こういったところをしっかりと細分化というか、大きく分けたところで財政フレームをそれぞれつくると物が分かりやすくなるかと思いますので、その辺は別に、ここにやらないともやるとも書いていないので、反映していただければと思います。

 では、物価高への配慮ということで、今後、政府が掲げるインフレターゲットやインフレ率を予算全体に乗じることによりまして、先ほども言いましたけれども、名目が上がっても実質が下がっちゃうみたいなこともあると思うので、その辺を予算編成の中で考え方として我々も持っておかないといけないのかなと思いますけれども、どういうふうに考えているのか、お伺いします。

○森財政課長 物価高の状況を予算編成において、当然そこは反映していく必要があると思っております。例えば、昨年度の執行状況と今年度の執行状況を比較して、来年度どれくらい伸びるかとか、それに当たってインフレの状況をどこまで見ていくかということですとか、あるいは事業者から見積りを聴取する際にも当然、事業者のほうでそういったところも踏まえての見積りが出されてくるでしょうから、そういったところでの、それを踏まえた形での積算ということは当然必要だなと思っておりますので、しっかり状況を注視して予算編成を進めていきたいと考えております。

○加藤委員 最後は1個1個聞こうと思ったんですけれども、ちょっと時間がないので要望だけ。今言った流れを全部1個1個まとめますと、一般財源充当事業費をコントロールする考えから、投資的経費とそれ以外の事業費に分けて財政フレームをつくっていただきたい。あと、義務的経費、一般事業費、投資的経費を除いた新規拡充事業を一定の金額に抑えていただきたい。投資的経費は早々に区有施設整備計画がスムーズに遂行できる体制を整えて、投資的経費に関する20年間の財政フレームを策定してほしい。令和3年度に歳入が急増した場合には起債を取りやめるような財源構成などをルール化していただきたい。あと、物価指数などが高騰する可能性を秘めている現状においては、インフレ率を考慮した予算編成に努めていただきたいと要望して終わらせていただきます。

 最後に、この項で、公共事業の包括的民間委託について質問させていただきます。ちょっと早口でいきます。

 府中市では2021年度より道路等包括管理事業というものを始めております。府中市における道路等包括管理事業では、包括管理受託者に道路等の管理を3年間で6億円程度、一括発注します。この3年間、役所は道路関係の発注をする必要がなくなります。包括管理受託者は巡回、植栽管理、清掃、害獣・害虫対応、付帯設備管理、コールセンター、事故一次対応、災害一次対応、補修・修繕、樹木剪定などの総括マネジメントを行います。包括管理受託者は地元業者を中心にそれらの業務を割り振ることが業務となります。業務によっては契約金額内で実施するものと単価契約で行うものがあり、包括管理受託者の差配によって施工事業者は入札することなしにスムーズに工事できます。そのため、道路陥没などで急な工事が必要になった場合、業者の都合次第では翌日工事をすることができます。入札していたら、下手すれば二、三か月かかっちゃうのが翌日できます。

 この試みは、令和4年度に国土交通省とPPP協定を締結する民間事業者が国土交通省の後押しを受けて、地方自治体におけるPPP、PFIの一層の推進を図っているものです。全国の自治体では、PPPを活用して今後加速する社会保障負担による厳しい財政環境でも地方公共サービスの質の向上に力を尽くしております。

 御存じのようにPPP、パブリック・プライベート・パートナーシップ、官民連携とは、民間の資金やノウハウを活用して公共施設の維持管理等や効率化、公共サービスの推進の向上を目指す手法であり、中野区においてもパークPFIを検討するなどの取組が始まっています。役所のメリットとしては、業務発注の簡易化、クレーム対応からの開放によりまして、現場踏査の機会を増やせます。また、包括管理受託者と連携することによりまして、職員がそういったところに行って技術力の向上が望めます。市民のメリットとしましては、先ほど言ったみたいに迅速な工事対応が望めます。工事事業者としては閑散期などがなくなる可能性があります。

 この道路等包括管理事業は、市民・事業者・行政の三方よしと言えます。中野区においても道路・公園などにおいて包括的民間委託を実施すべきと考えますが、区の御見解をお伺いいたします。

○井上道路課長 公共工事の包括的民間委託についてですが、先行して実施している自治体にヒアリングを行い、業務の効率化や住民サービス向上等、メリットがあることは認識しております。一方で、契約内容は性能発注である総価契約と仕様発注である単価契約を併合したものであり、受注者が業務を自主的に判断する必要があることや、区内業者の意向等の課題等もございます。今後、道路等の包括管理委託について研究してまいりたいと考えてございます。

○加藤委員 ありがとうございます。前例があまりないということで、なかなか勉強しないといけないところがあると思いますけれども、今現場のほうからは職員の質が、若い人が多いので、なかなか悪いということですけれども、例えばコールセンターとか、そういったところに職員が行って現場を見るようなことも、こういった協定の中では可能ではないかというふうにも伺っております。現場の能力が上がれば発注の能力も上がってくるわけで、そういったところで、この仕組み自体、本当にいいことばかりだなと思いますので、ぜひとも中野区でこういったPPPが実現することをお願いいたしまして、この項の質問を終了いたします。

 働き方改革についてお伺いいたします。

 区ではマイクロソフト365の導入を決定いたしました。説明については省略します。私からはこれまでも情報政策等調査特別委員会において議論が行われてきましたけれども、改めてマイクロソフト365の導入によって区の業務にどのような変化をもたらすことを想定しているのか、特に従前より私が指摘させていただいております縦割り行政の打破と組織間の連携に着目した視点でお伺いいたします。

○白井情報システム課長 マイクロソフト365に含まれますTeamsなどのアプリケーションを活用することで部や課を横断し、場所にとらわれずに迅速な情報連携や議論、職層にとらわれない密なコミュニケーションの構築、会議のペーパーレス化などを実現していくことを想定しております。また、データ分析ツールなどを活用した分析結果を簡易な操作で全庁的に共有可能とすることで、組織横断的に取り組む必要がある困難な課題の理解が深まり、解決にも大きく寄与するものと考えております。

○加藤委員 大分説明をはしょってしまいましたけれども、続いて、教育現場の導入について伺います。情報政策等調査特別委員会でその辺の検討についての質疑があったんですけれども、ああいったところで質問させていただきます。マイクロソフト365を導入することで教員間や区内の小・中学校のみならず、全国の学校間とのシームレスな連携や情報共有、また、教員は職場でなければ仕事ができない現状を解決するためのテレワークへの対応など、様々な働き方改革への効果が見込まれます。マイクロソフト365の学校教育現場への導入は検討されているのか、また、検討されているのであれば、その状況についてお伺いいたします。

○齊藤指導室長 子どもと向き合う時間を確保し、学校教育の質を高めるためには教員の一人ひとりの働き方を改革していく必要があると考えます。マイクロソフト365をはじめ、必要とされる新たなICTツールの導入については、教育現場の声を聞きながら導入の必要性を含め、検討してまいります。

○加藤委員 都立高校では先生と生徒全員がマイクロソフト365を使えるということで、コロナ禍でもうまく活用ができたそうです。特に、中野にあります都立富士高校の教員によりメガ都立構想というプロジェクトが進んでいるということです。この構想というのは、東京大学入学とかがすごい多い都立日比谷高校などの授業をほかの学校の生徒も閲覧できるという仕組みをつくろうというものです。これは高校生だからできるというところもあるでしょうけれども、こういったツールを使うことによって、いろいろな可能性があるわけで、マイクロソフト365の導入が学校教育現場においても必ず、働き方改革だったり、そういった教育のパワーツールになってくると考えます。

 先日、区はマイクロソフト365の導入に係る事業者選定の募集を始めていますが、これらの検討では教員向けに導入するにしても、教育委員会単独の調達となると、調達に係るスケールメリットなどを考えると既に遅いという感じもありますけれども、前向きに検討を進めていただきたいということで要望いたします。

 続いて、ハード面についてお伺いします。現在の教育現場において教員が利用している教員用端末についてです。これらは現在、区が利用している端末と同時期にリース時期を迎えると聞いております。具体的には令和5年12月にリースの期限を迎えると聞いておりますが、リース期限後の端末の調達について、その形式やスペックなど検討状況をお伺いいたします。

○松原学校教育課長 賃貸借終了後における校務端末の使用など在り方につきましては、学校管理職を構成員といたします教育委員会情報システム委員会において意見を聞くとともに、適宜、情報システム担当の助言を受けながら、令和5年度予算の積算作業において検討を進めているところでございます。

○加藤委員 教員の方々は職員室の自席でしか業務ができないという今のこの現状を変えていく可能性を持ったほうがいいのかなと思いますので、この機会に検討をお願いいたします。

 続きまして、現在、区の職員だけで成り立っているという業務は実質的にないということで、外部との連絡、会議だったり、そういったことをやらないといけないわけですけれども、区民・地域団体や民間企業などの関係性においても、マイクロソフト365を活用することで確実に変化が生まれると考えます。

 そこで伺いますけれども、区が導入するマイクロソフト365の活用方法としては、民間企業や地域団体、区民との協働などにどのように生かせると考えていますでしょうか。

○白井情報システム課長 マイクロソフト365を活用しました民間企業との連携についてでございますが、それらの機能の一つでございますTeamsの活用をメインに検討を行ってございます。主にはウェブ会議やチャット機能、ファイルの同時編集機能等を活用することで、人数、物理的スペース、移動時間や地理的な制約なく協働の実現が可能であると考えてございます。民間企業などとの接続に当たりましては、セキュリティの確保などが必要になってくることから、協働における具体的な活用に向けて、利用可能とする機能や安全対策、運用ルールなどについて引き続き検討を行ってまいります。

○加藤委員 ちなみに、民間企業などと連携と同様の考え方になると思いますけれども、例えば中野区議会が区と同様にマイクロソフト365を導入した場合、先ほどの質問に対する今の回答のような連携ができるのかなと思いますけれども、区議会との連携において、技術面、機能面において可能であるか、伺います。

○白井情報システム課長 技術面、機能面におきましては、民間等と同様の連携が可能となると考えてございます。

○加藤委員 ありがとうございます。

 そうしましたら、この項の中で人事評価についてお伺いいたします。エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング、EBPM、日本語で言えば証拠に基づく政策立案ですけれども、現在、中野区政において新しい政策を立案する際に、なるほどとうなずくようなエビデンスを示された記憶は、私の7年間の議員生活の中ではなかったと思います。現状、やりたい政策があって、その補足説明としてエビデンスを集めている状況です。マスコミなどのメディアの切り取り報道みたいに、自分らが望むストーリーにエビデンスとなるようなデータを貼り付けているために、論理的に破綻した説明となります。EBPM、証拠に基づく政策立案でなく、PBEM、ポリシー・ベースド・エビデンス・メイキング、政策に基づいて証拠をつくり上げるということになっております。

 私はもともと国の仕事で、国の公共事業の予算編成に妥当性を見出すための政策研究を生業にしていたということもありまして、図面や表など様々つくってきました。申し訳ないですけれども、いろいろつくられた図面を見ると、そちらの意図だったり、ごまかしを見抜くことができます。また、大学では助手などをやっていましたので、学生の論文レポートのチェックとかをしてきたこともありますけれども、申し訳ないですけれども、今の区の職員のその辺のデータ分析能力は、理系の大学2・3年生ぐらいかなというふうにも感じるわけです。公務員になるためには試験で資料解釈という、図表を見て、その状況を判断するという問題がありますけれども、この辺の試験が弱いんじゃないかなというふうにも感じるわけです。

 そこで、区は現在の職員のEBPMに関する能力をどのように捉えているのか、伺います。また、その状況を打開するために何か考えがあれば教えてください。

○石橋人材育成担当課長 客観的な事実やデータを基に政策形成を行うという、EBPMの意味や意義、それを区が組織として仕事を進める上で遵守しているという基本的な考え方であること、その必要性については一定程度、職員・組織に浸透してきているというふうに考えてございます。一方で、それが高いレベルで実行できているかという観点においては、十分ではないというふうに考えてございます。これに対して、近年、政策形成におけるデータ活用の在り方やオープンデータ、統合型GISの活用といった研修にも力を入れており、今後も職員のEBPMに対する理解度、活用度のレベルを上げる取組を充実させていきたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 今、役所は、できるだけ業務委託だったり、アウトソースすることによって直営事業が減りまして、発注とその業務管理をすることが仕事となっております。職員は現場に行けない分、データなどから現場の状況、意見、思いを分析して、PDCAサイクルで事業をよりよくしていく必要がありますけれども、分析能力がなければ前例踏襲で業務発注するだけになってしまいます。新しい政策立案を職員に現在任せていいのか、本当に私としては疑問であります。マイクロソフト365導入で、BIツールで、分析ができるツールを皆さん持つわけですけれども、このままでは猫に小判となりかねません。といっても、研修で一から統計分析能力を育成するのは難しいと思います。せめて研修などをして、分析をすればこんなことが分かるんじゃないかなという、このぐらいの感覚ぐらいはどうか身につけられるのか、そこら辺が関の山かなと思います。それは例えばDX化するというのも同様だと思います。

 そこで、専門職や高度な専門知識を有する職員を、全庁的に職域を超えて活用する仕組みをつくるべきと考えます。例えば、今後導入予定の人材マネジメントシステムにより、活用してほしい能力を登録させ、活用したい能力を検索することにより、マッチングさせる仕組みをつくるのはいかがか、伺います。

○石橋人材育成担当課長 今後導入予定の人材マネジメントシステムは、職員個人の能力、経験、意向と職務が求めるスキルやそのレベルなどを情報システムでマッチングさせて、適正配置、人材育成、業績評価といった人事施策について活用したいというふうに考えてございます。委員おっしゃるとおり、活用してほしい能力や資格を見える化して、組織が活用したい能力とマッチングさせることも人材マネジメントシステムの機能の一つと考えており、活用方法を検討していきたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 今定例会の一般質問で、我が会派の若林議員がマイクロソフト社の人事評価について触れました。マイクロソフトの人事評価は、評価者個人の能力に加え、他者をどれだけ助けたか、他者からどれだけ助けられたかといった行動と、その行動で得られた成果が評価対象となります。その人事評価のベースの考え方は、個人の成果よりもチームの成果を重視し、評価はランク付けではなく、上司・同僚がコメントをフィードバックするだけということです。これが実現すれば、わざわざ横串を通すための会議体だったり、プロジェクトチームがなくとも、それぞれの部署が必要なコミュニケーションをとるのではないかと思います。統計だったり、ICTだったり、プレゼンテーションなどが得意な人材がどの部署にもいるわけではないために、そういう得意な人をこういったマッチングシステムで探すことによって、他者からどれだけ助けられたかという指標があるということなので、そういった職員に相談しやすいという環境ができてきます。部署間をまたいだアイデアが生まれるすばらしい環境づくりが人事評価から生まれるわけです。

 そこで伺いますが、マイクロソフト社のような人事活用に特化した人事評価制度の仕組みを構築してみてはいかがでしょうか。

○吉沢職員課長 現在も区の人事評価におきましては、部課をまたがる施策や課題に取り組むため、関連する部課の職員でチームを編成して対応した場合につきまして、職員の業績評価の評定の要素の一つとしまして評価をしているところでございます。委員がおっしゃるとおり、今後マイクロソフト社のチームワークを重視する点や、そのほか総合評価の事例等も含めまして、民間企業における評価手法を研究してまいりたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 この仕組みは区民対応だったり、ルーチンワークが多いような部署には不向きとも考えられるので、全部の部署とは言えませんけれども、政策立案をするような部署には非常に有効な人事評価システムだなと思いますので、その辺、部署ごとに人事評価の考え方を変えるというのもなかなか難しいとは思いますけれども、うまくそういったものを取り入れていただきたいということをお伝えいたしまして、この項の質問を終えます。

 続きまして、子育て環境の充実について伺います。

 一つ目に、区独自の就学支援事業について伺います。またパネルを使わせていただきます。令和4年9月9日、国立社会保障・人口問題研究所が結婚と出産に関する全国調査の結果を発表しました。調査数は、独身者で有効数が7,800人ぐらいで、夫婦が6,800人ぐらいです。主な結果として、まず結婚の意思について取り上げられております。この図は18歳から34歳までの未婚の方に調査した結果です。いずれ結婚するつもりと考えている未婚者の割合は徐々に減っていき、6年前の調査で85.7%だったのが81.4%、男性がですね。女性に関しては89.3%だったのが、5ポイントダウンして84.3%となりました。それより驚くのが、一方、一生結婚するつもりがないと答えた未婚者は、20代に入ってどんどん増加傾向になりまして、今回の調査では、前回12%から17.3%、男性が増えて、女性は8%から14.6%へと多く増加しました。衝撃な数字が出ております。34歳以下で一生結婚するつもりがないと決断をしているということなので、これは驚くべきことです。これに、結果的に結婚ができない、しない人を合わせれば、未婚率というのは相当高いものになってくるんだろうと思います。同じ調査で、結婚時の理想の子どもの数が2.27で、予定子ども数は横ばいの2.0、理想と予定ですね、どちらとも2人、結果的には2人以上の子どもが持てるわけではありません。

 次の図面にいきます。先ほどの調査の中の一つの指標ですけれども、このパネルは妻の初婚年齢別に見た結婚当時の予定子ども数と現実の完結出生子ども数の分布、結婚持続期間15年から19年です。サンプル数は953。上から、妻の初婚年齢で、一番上が全体総数、二つ目が25歳未満、次が25歳から29歳、次は30歳から34歳、次は35歳以上で、左の棒グラフは結婚当時の予定子ども数、右が完結出生子ども数、つまり結果的に何人産んだかです。予定数よりも結果の子どもが少ないことが分かります。妻の初婚年齢で見ますと、25歳未満であると3人子どもを産んでいるというのが42.6%もあります。平均で見ると、25歳未満で2.25、29歳以下で1.88、34歳以下で1.5、35歳以上で1.23と減少傾向です。イメージすればすぐ分かる話でありますけれども、初婚年齢によって子どもの数が2倍程度変わるというのが大きな指標であります。

 理想の子どもの数を実際に持てない理由としまして、最も選択率が多いのが子育てや教育にお金がかかり過ぎるからという経済的理由で、選択率は52.6%、お金が足りないというので52.6%、子どもがのびのび育つ環境ではないからを選択する割合は、近年の調査ほど減っております。妻が35歳以上の夫婦では、高齢で産むのは嫌だから、欲しいけれどもできないからといった身体的な理由の選択率が高いです。子育てと仕事の両立が困難という理由も挙げられております。また、自民党の若手の勉強会の調査ですけれども、子どもを産むには高校・大学の就学費用が蓄えられるか不安で、もう一人産むことができないといった回答をされる方も多かったと聞いております。

 今いろいろ説明しましたけれども、区のこういった子育てに関することについての御見解をお伺いします。

○青木子ども政策担当課長 子どもの出生数に関しまして、若者が結婚する意思の有無や婚姻する年齢、将来的な子育てや教育にかかる費用の負担感なども影響を及ぼす要因になっていると認識してございます。

○加藤委員 人口を維持すること自体が行政として正解なのか分かりませんけれども、行政としては持続可能な自治体運営をしよう、区政運営をしようという場合には、やっぱり人口というのは常に意識しないといけない、目標にしなければいけないもので、しかし、先ほど冒頭に見せた一生結婚しないという男性が17%いるような状況ですから、各家庭が二人ずつ子どもを産んだとしても人口は維持できません。3人以上を産もうと思える環境をつくり出す必要があると思います。乳幼児とその家族の居場所をつくることはもちろん重要ですが、違った観点から、まずは体力的には、やはり早めに初産をしていただけるように女性の職場環境における保障制度をさらに拡充していく必要がありますが、区としては、基礎自治体でやれることはほとんどないと思います。もし、出産しやすい職場環境をクリアして、若いうちに子どもを産みたいと思っても、先ほど言ったみたいに高校・大学入学などの大きな費用に対して不安が出てくるところであります。

 男性のほうも、初産が若い奥様だとしても、奥様というか、結婚しているかはまた別なんですけれども、パートナーの男性の方も若い可能性があるので、世帯収入は若いカップルだと高くはない可能性があるので、将来的な見通しが立たない中で子どもを産もうというモチベーション、もう一人産もうというモチベーションは大きくならないのかなと考えられます。

 子どもが出生している原因が、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからという理由が、52%のエビデンスがあるわけですから、中野区としても最も費用がかかる高校・大学の就学支援を推進すべきだと考えます。東京都だったり、いろいろなところから制度がありますけれども、それをやったとしても、制服の費用、通学用のかばん、交通費、教材、修学旅行の費用、教科書以外の授業の必要経費として体育、家庭科、音楽、美術などの実技科目に使用する教材、あと、最近ではパソコンやタブレットの購入もあるということであります。

 そこで、中野区独自で奨学金制度などの創設などをしてはいかがかなということで、パネルを用意しました。これは23区で奨学金制度をまとめたものであります。グレーのところはやっていないんですけれども、やっているところで言いますと23区中15区です。15区は区の独自の制度があります。中野区は2011年度に制度を廃止したということで、現在は一応白塗りになっていますけれども、中野区教育振興会が寄附金で賄った奨学金制度であり、月1万程度です。他区の制度は月2万円だったり、入学準備金などもあり、充実したメニューであります。

 今から子どもが欲しいと思いまして、金銭的な不安を取り除くセーフティネットとして、中野区も奨学金制度などを含めた就学支援事業をするべきだと考えますけれども、区の見解をお伺いします。

○青木子ども政策担当課長 子どもの成長に合わせて必要となる教育費につきまして、負担を軽減する支援策が用意されているということは、子育て環境の充実において重要な視点の一つであると認識してございます。今後、東京都立大学が区内の高校2年生年齢の子どもと保護者を対象とした生活実態調査を行うことを予定しておりまして、当該調査結果を踏まえ、高校生年代に対する支援策を充実させてまいりたいと考えてございます。

○加藤委員 制度があれば、15年後に使うかどうか分からないですけれども、そういう制度があるんだ、中野区はこうやってくれるんだという安心感が子どもを産もうというモチベーションにつながることもあると思いますので、よくよくそういったところを御検討いただければと思います。

 ハイティーン会議として若者施策をされておりますけれども、金銭・時間・精神的に割と余裕がある子が参画している事業と感じられます。行政としましては、そこも重要なのかもしれませんけれども、セーフティネットとしての事業をまずは拡充することが最重要だということを指摘させていただきまして、就学支援についての質問を終えます。

 保育園の適正配置についてお伺いします。区は区一律の人口推計、保育園需要推計に基づきまして保育園の整備を進めて、令和4年度に待機児童がゼロになったものの、需要の地域偏在が生じております。23区とも同様な傾向で、どの区に住めば保活が有利という考えはなくなってきております。これまで区は、人口推計をコーホート要因法で得られた倍率を中野区全域一律にかけたもので分析を行ってきましたが、例えば江東区豊洲では、タワーマンション建設ラッシュで小学校二つを新設しましたが、コーホート要因法みたいなマクロモデルではこういった分析はできません。地域の分析をするためには、ミクロモデルとは言いませんけれども、まちづくりでマンションがこの辺に建つとか、そういったところが一番重要なわけでありますので、その辺を正確にどう捉えるかというところが子どもの保育施設の適正配置、ましてや小・中学校のところにも影響が出てくると思いますので、子ども教育部とまちづくり推進部で連携が不可欠となると思いますけれども、その辺の連携を図られているのか、お伺いします。

○藤嶋幼児施設整備担当課長 これまでも大規模開発等につきましては、まちづくり推進部より情報を得まして、その影響について検討してきたところでございます。今後も関係部署と連携して保育施策の検討を進めてまいります。

○加藤委員 中野区周辺のマンション建設などに関しても、ある程度予想しているとも聞いていますけれども、子ども文教委員会で平和の森小学校の跡地に、民間に売っ払ったらすぐにマンションが建って、それでいきなり子どもが増えてしまって、需要の偏在化につながるんじゃないかというところで、ちょっとにぎわせたのがありましたけれども、そういったところを全部1個1個見て妥当な施策を打っていく必要がありますので、今後は区全体ではなくて、地域ごとの推計に基づきまして施策を進めていく必要があると思いますが、区の見解をお伺いします。

○藤嶋幼児施設整備担当課長 現在、区におけます就学前の人口推計ですとか、保育需要について見直しを行っているところでございます。地域ごとの状況を踏まえた推計方法について検討しているところでございます。今後、地域の状況も検討した上で、施策のほうを進めてまいりたいと考えております。

○加藤委員 安全性や保護者の負担などを考慮すると、保育施設は徒歩圏内であることは絶対条件となりますので、このことを踏まえれば、例えば小学校区、中学校区ぐらいに区切って、その地域ごとの人口推計などを立て、それに対する施策を考えていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○藤嶋幼児施設整備担当課長 保護者が入園先を検討する上で、自宅からの距離というのも非常に重要ではございますけれども、ほかにも通勤上の利便性や保育内容など、様々な要素があると認識しております。どのような範囲で施策を考えていくことが必要であるかについては、今後研究してまいりたいと思います。

○加藤委員 現状においても、地域で見れば保育施設が充足しまして、定員に空きが生じており、いたずらに全ての保育施設を残すには補助金がもたないかもしれません。空きを抑制するためにも、今後は地域ごとに必要な保育定員の上限値を設定して、その数を抑えるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○藤嶋幼児施設整備担当課長 区におきましては、特に保育需要が高い0から2歳児、ここに着目いたしまして、保育施設の定員設定など検討してきたところでございます。今後、地域における保育定員の考え方につきまして、エリアごとの保育の需要や保護者の様々なニーズなど、そういったものを踏まえまして研究してまいりたいと思います。

○加藤委員 もし地域ごとに定員が設定されれば、その定員を維持するために保育施設への補助をしていくべきですが、逆に地域の定員を抑制すべき地域、つまり保育施設を抑制すべき地域も出てくると思います。区はその地域ごとに定員を示すことによりまして、保育施設をコントロールしていかないといけないんだと考えます。しかし、保育事業者が例えば閉園を考えたとしても、開園年数によっては整備補助金の返還が生じる場合もあり、こういったことが閉園の判断をしていく上でネックになるとも聞いております。区といたしましては、今後の保育需要の見通しを示すとともに、閉園時の費用や手続を明確化していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○藤嶋幼児施設整備担当課長 人口推計や保育需要につきましては現在見直しを行っておりまして、今後お示ししていく予定でございます。事業者に対し、どのような形で周知していくかということにつきましては今後検討してまいります。また、閉園に至った場合の財産処分や手続につきましては、整理しまして、誘致の際に説明するとともに、実際に閉園の相談があった際には、定員の調整なども含めて対応できるようにしてまいりたいと思います。

○加藤委員 保育施設の適正配置についての質問を終えます。

 続きまして、学習スペースの確保について、私自身が受験生だったときに、中野区ではなく他区の施設を利用していたなど、そういった経験から事あるたびにこのスペースを確保すべきだと言いました。勉強したいにもかかわらず、家庭内でその環境を十分につくれない、また、友達と切磋琢磨できる環境が欲しいなど、様々な子どもがいるわけで、中野区では昨今、子ども学習スペースを拡充していることを評価いたします。

 そんな中、中野中学校とか中野東中学校では学習スペースをつくって、生徒に大好評で、試験前でなくとも毎日盛況ということです。現代社会においては、テレビだけではなくネット環境からも離れ、勉強する環境を得たいという子どもの考えがあるということです。中野中学校においては、PTAや町会などからの椅子や机などの什器の寄附によって学習スペースの環境整備が実現したそうです。場所はもちろん校内ですが、中野中学校では倉庫としていた3部屋を学習スペースにしたそうです。大変厳しいかと思いますが、各学校でそのような部屋を確保できるように、教育委員会としてサポートできないかということでお伺いいたします。

○齊藤指導室長 中野中学校や中野東中学校だけでなく、他の学校につきましても、限られたスペースであったり、限られた時間であったりしますが、自校の校内環境を生かして取り組んでいる事例は把握をしており、生徒が主体的に学習に取り組んでいると聞いております。しかし、実際には学習スペースとして使える部屋が確保できない学校もあるため、そのような学校につきましては教育委員会が相談に乗るなどのサポートを行ってまいります。

○加藤委員 例えば鍵つきのロッカーを幾つか購入すれば、そういった部屋をつくることができるなどがあれば、そのぐらいの予算措置はしていただけたらなと思います。また、部屋の確保も重要ですけれども、中野中学校では什器を寄附してもらったことで成り立っていますけれども、ほかの学校が同様のようなケースでいけるとは思えません。例えば、体育館のパイプ椅子などを活用するなどして、何とかして、できるだけ子どもたちの学習意欲を尊重できるような環境をつくっていただきたいと思いますけれども、区の見解をお伺いします。

○齊藤指導室長 今年度行いました夏期休業中の学校図書館開放の実績や成果報告から、生徒が学校図書館を学習する場として利用していることが分かりました。場所や見守りの人員確保などの課題も大きいですが、今後も学校図書館を自習スペースとして活用することも含め、できるだけ子どもたちの学習意欲を尊重できるような環境について検討してまいります。

○加藤委員 よろしくお願いいたします。

 また、不登校生徒の対応に部屋が欲しいという声も現場からありました。現在、完全に不登校になってしまう前の瀬戸際の対策として、中野中学校ではPTA室などをオープンにして、不登校になりそうな生徒の部屋として貸しているそうです。その部屋では、オンラインで授業を見ることができて、気が向いたりとか、好きな科目の場合には授業に参加するなど、フレキシブルな対応をすることで生徒が復帰しやすくなったということです。そのような部屋がどこの学校にもというわけにはいきませんので、なかなか大変だということです。また、通常そういった普通教室に行けない子どもは保健室対応ということでありますけれども、急病人だったり、けが人が出たら対応が困難になるということですので、不登校児対策として、部屋とその辺の人員の確保について御検討いただきたいんですけれども、区の御見解を伺います。

○齊藤指導室長 各学校では、登校はできるが教室に入ることができない児童・生徒に対しまして、相談室や保健室だけでなく、それぞれの校内環境を生かして居場所を確保し、教職員等が交代で指導を行っております。現在、各学校に教育センターの支援員が不登校児童・生徒の巡回指導を行っておりますが、今後は学校での不登校児童・生徒の対応状況を把握して、一人ひとりの子どもに対する支援体制について改善を図ってまいります。

○加藤委員 よろしくお願いします。これでこの項目の質問を終えます。

 ちょっとほかの委員から時間をいただきまして、最後にドローンの活用について伺います。

 中野サンプラザ等のデジタルアーカイブについてお伺いします。これまで私の提案で徐々に実現に向けて進めてきたドローンを活用した中野サンプラザのデジタルアーカイブについて伺います。

 中野区、建築研究所等が実施したドローンによる建物点検において、中野サンプラザの屋上から中野区役所屋上へ着陸するという実験をしました。これは建物点検中の緊急着陸しなければならないことを想定した実証実験です。この実証実験を応用することで、中野サンプラザ屋上から中野サンプラザ前の広場、また、裏の駐車場への着陸も可能となります。そのドローンの飛行の中でサンプラザの全体像を画像・動画で撮影することも可能となります。また、ドローンにライダーと言われるセンサーを搭載することで中野サンプラザの点群データというものを撮ることができまして、3次元データをつくり上げる基礎データを計測することができます。この技術・ノウハウを使うことで中野サンプラザの外観のあらゆるデータを取得すべきと考えますが、区の見解はどうでしょうか。

○矢澤文化国際交流担当課長 建物の3次元データ化につきましては、立体的で、よりリアリティのある資料として保存・活用できる利点があると考えております。こちらについては施行予定者からの提案も受けてございまして、この中野サンプラザにつきましても、区として実施可能性を検討しているところでございます。建物の撮影にドローンを使用している先行事例もありまして、中野サンプラザの外観を撮影するならばドローン使用も想定されると考えております。

○加藤委員 また、サンプラザホールなど内部に関しては、中野サンプラザによると、目的によっては竣工図を貸し出すことも可能だと聞いております。しかし、設計関係の図書を入手できたとしても、細かい諸元まで分からない可能性もありまして、先ほど紹介した点群データを取得するセンサーを活用することも必要かと思います。また、小型ドローンで天井などの高い部分を撮影することで、竣工図からは得られない素材の質感などの情報も得られます。中野サンプラザの内観についても様々な技術を活用してデータを取得すべきと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。

○矢澤文化国際交流担当課長 中野サンプラザ内部につきましても、立体的に撮影するならばドローンの使用も想定されると考えてございます。

○加藤委員 これら中野サンプラザの3次元データのデータがあれば、メタバース化することができます。しかし、メタバースの仮想現実のフォーマットは既に数え切れないほど乱立しておりまして、中野サンプラザの3Dグラフィックスを設置するメタバースを限定すると、そのメタバースが淘汰されたとき、なくなってしまう可能性もあります。となると、せっかくのプロダクトも消えてしまうために、熊本県のくまモンのようにライセンスフリーにして、あまたあるメタバースそれぞれに実装できるのが理想と考えますが、区の見解はいかがでしょうか。

○矢澤文化国際交流担当課長 3次元データを加工することでメタバースなど応用範囲が広がることは認識しているところでございます。データの使用許諾の在り方も含めまして、ライセンスフリーにつきまして検討を進めていきたいと考えております。

○加藤委員 ライセンスフリーとするのであれば、やはりこれらのデータは区が所有・管理すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○矢澤文化国際交流担当課長 ライセンスフリーのいかんに関わらず、区の事業として3次元データ化を行うとすれば、区の所有となるものと考えております。

○加藤委員 もしそれらを実施するのであれば、ガバメントクラウドファンディングもその方法の一つと考えますが、いかがでしょうか。

○矢澤文化国際交流担当課長 中野サンプラザの3次元データ化につきましては、PR効果があるとともに、文化継承や学術振興の観点からも多くの賛同を得ていきたいと考えておりまして、実施する場合にはガバメントクラウドファンディングの活用も検討してまいりたいと考えております。

○加藤委員 ガバメントクラウドファンディングも一つの手法としてお答えいただきましたけれども、中野区を対象としたプロジェクトだとボランティアでやりたいという声もありますので、様々な情報を得ながら採用の方法を検討していただければと思います。

 続きまして、河川上空を活用したドローン物流について伺います。さきの定例会で取り上げましたが、中央大学を中心としたグループが河川上部空間を活用したドローン物流に向けた実証実験を令和4年10月24日に神田川で行う予定ということです。ドローン物流実験には、人件費を抑えるためにドローンの自動運転が求められます。ドローン配送で自動運転化するためには空の道の設定が必要で、そのためにも空の道の3次元データが必要になります。その実験では河道の3次元データを取得するもので、国土交通省、東京都、中野区に了承を得て進めていると聞いております。その実証実験が成功した際には、実際に物流実験をするということですが、神田川河川区域から川沿いの河川管理ツールをまたいで民地の屋上に着陸することも検討しているようですが、区の見解を伺います。

○井上道路課長 河川上空を活用したドローン物流の実証実験についてですが、河川空間でドローン飛行を行う場合は、航空法や河川法など関係法令を遵守する必要がございます。その上で、安全対策が十分に行われる場合には河川の使用許可を行ってまいりたいと考えてございます。

○加藤委員 ありがとうございます。

 では、最後の項目で、ドローンによる災害調査についてお伺いします。ドローンを活用した災害調査は近年様々な現場で行われております。第2回定例会で平山議員も取り上げておりましたが、中野区においても災害時にドローンを活用すべきだと考えます。しかしながら、区内では基本的に上空にドローンを飛ばすことができないため、実践的な練習はやれても体育館程度の施設に限られます。強風時の飛行は禁じられておりますが、ある程度の風がある中でも実践経験を重ねていかなければ災害時に対応できません。外で実践的にドローンを飛行できる能力をつけるための練習は、別に中野区内でやらないといけないというわけではないと思います。そこで、ドローン飛行が緩い、DID、人口集中地区以外の地域で練習するのがよいと考えますが、区の見解をお伺いいたします。

○石崎防災危機管理課長事務取扱 災害時のドローンの活用につきましては、現在研究を進めているところでございます。先日、DID、人口集中地区外のあきる野市にございます小学校跡施設も視察してまいりました。災害時にドローンを活用するためには、災害時に災害対策本部に従事することになる防災危機管理課職員以外でドローンを操縦できる職員が複数必要になることや、災害対策組織に必要な班を編成することなどが必要であり、今後さらに研究を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 災害時に防災担当は災害対策本部とか主要施設、ヘッドクオーターのところに張りつく事になってしまうということで、ドローンを上げるための防災担当の職員が残るわけもないということで、防災担当以外の職員がやらないといけないという課題があるということですね。そういう人を選抜してドローンの練習をしてもらう必要があるということですけれども、ここで考え方としては、例えば選挙のときに選挙管理委員が、開票所を設置する際に選挙管理委員会経験者、庁内で言ういわゆる選管OBが開票責任者だったり指定職員に任命されるように、防災においてもそういった体制が必要と考えます。防災担当経験者がドローンを練習できるような制度が必要です。でも、これはドローンに関することだけではなくて、中野区の地域防災計画の資料33、中野区災害対策本部組織図などを参考にしてみますと、災害対策本部が設置されると、各部は災害総務部、地域部、建設部、保健福祉部、教育部に割り振られますが、マンパワーに偏りも出てくる可能性があります。また、人事評価でも触れましたけれども、人事マネジメントで災害時にそういった適材適所というものが色濃く出てくると考えられますので、そういったときに中野区全体の災害対応能力を上げるためにも、適材適所に人事を配置できるように事前に準備するべきと考えますけれども、区の見解はいかがでしょうか。

○吉沢職員課長 防災危機管理課を経験しました職員を災害対策本部の設置時におきまして要となる各部に割り振られる職員配置に活用することについては、緊急時の体制整備としても有効であるというふうにも考えてございます。今年度導入を予定しております人材マネジメントシステムでは、職員の能力や経歴をデータベース化して、適材適所の人事配置に生かす役割を担うことを考えておりまして、今後、職員課と防災危機管理課が連携しながら検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 その辺、災害だけではないですけれども、様々な人事、うまくやっていけるようにお願いいたしまして、私の全ての質問を終了させていただきます。ありがとうございました。