令和4年中野区議会(第1回定例会)予算特別委員会 総括質疑


[質問項目]
1 令和4年度予算について
2 中野区のDX戦略について
3 その他

[概要]
1 令和4年度予算について

「中野区のずさんな財政計画(前編・後編)」をご参照ください。
https://agora-web.jp/archives/2055499.html
https://agora-web.jp/archives/2055529.html

2 中野区のDX戦略について
(1)働き方改革・MS365の活用について
・MS365の利用をきっかけに働き方改革を進めるべき。
・自治体の情報システムの標準化・共通化により、効率・効果が高い区政運営を。
・マイナンバーカードの普及を進め、区民の利便性を上げるべき。
・統合型GIS・オープンデータを活用して効率的な税の使い方を検討すべき。

[議事録]

○加藤委員 おはようございます。自由民主党議員団のトップバッターといたしまして総括質疑をさせていただきます。

 令和4年度の予算は、ウィズコロナ、アフターコロナ、そういったことを見据えた上での編成としなければならないということで、歳入歳出におきましてもきめ細かい精査をしたいと思い、ここに立つまでに質問検討をしてきたんですけれども、結局、最後まで予算の説明書だったり、補助資料を1ページも開くことがありませんでした。というのは、令和4年度当初予算案の概要を見たところ、非常に大問題、財政フレームにおきまして大問題を発見したからです。そのため、個別政策の各論ではなく、財政全体の総論で質疑を進めさせていただきたいと思います。私の質疑を聞いていただける議員・理事者の皆様には、要求資料、あとフリップも委員長の許可を得まして作成させていただきましたので、その辺よくそれぞれの資料を見ていただければと思います。理事者の方々には、財政フレームの信頼性を損ねる資料にもかかわらず、作成に御協力いただきまして本当にありがとうございます。

 先ほどの山本委員からの質疑の中で、財政非常事態宣言というのはもう抜けたんではないかということでしたけども、むしろこれから継続していかなければ本当に危ないんではないかということをそれらの資料で示していきたいと思っております。フリップ、またかなり高額で、4枚で数万円くらいかかって、安くはないですけれども、これから説明する何百億円という見込み差によって生じる向こう10年間の中野区政のダメージを抑えると考えるならば安いものだと考えます。様々説明させていただきますが、普段よりもゆっくりと時間をかけて、皆様に御理解を得ながら質疑させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、1、令和4年度予算について、まずは社会情勢から推測される今後の国や地方の財政のことについて触れさせていただきたいと思います。新型コロナウイルス感染症によって経済は悪化し、2020年度の名目GDPは335兆円と前年比3.9%減で、かなりの落ち込みにもかかわらず、収益が上がっている企業も多かったようです。国の税収は消費税増税もあり、令和元年度58.4兆円だったものが令和2年度60.8兆円となり、予想外にも過去最高を記録しました。また、2021年度はGDPを2.6%増加させ、税収は63.9兆円となり、これまた最高となっております。しかし、GDP、2019年から2020年の間に3.9%減して、その次に2.6%増なので、まだコロナ禍前のGDPには戻っていないということを理解していただきたいと思います。

 税収が増加した原因といたしましては、2020年度の国家予算で新型コロナウイルス問題の対応に力点が置かれ、3回にわたって合計76.8兆円の補正予算が編成されたことが大きいです。当初予算の一般歳出規模を74.8%も増加させました。この補正予算によりまして、皆さんよく御存じですけれども、新型コロナウイルス感染症に対応した医療機関等への支援、そして1人10万円の特別定額給付金、雇用調整助成金、持続化給付金、新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金、GoToトラベル・イート事業、自治体によっては感染拡大防止協力金などにそれを充てたりもして、国民の生活の下支えを行いました。しかし、その国の補正予算70兆円以上のうち、2020年度内に使い切れず、2021年度に繰り越された繰越金が30兆円に達しております。

 これまで繰越額が最も大きかったのは東日本大震災直後の2011年度の7.6兆円だったので、この数字は異例のことであります。70兆円を超える補正予算を2年間かけて、それら生活の下支えにされたということで、令和元年度から比較しまして、税収は令和2年度2.4兆円、そして令和3年度は5.5兆円が増えましたが、はっきり言って、これら補正予算によって経済へのドーピングとも言える財政出動を国はしてきたわけですけれども、こういった財政の出動というのは、国はいつまでも続けられるわけではありません。コロナ禍が落ち着けば、これほどの財政出動をすることはないでしょう。

 ここで伺いますが、区のこういったところの御担当は、現在日本が置かれている社会情勢及び財政について、どのような御見解を持っているか、お伺いいたします。

○森財政課長 内閣府作成の中長期の経済財政に関する試算におきましては、経済対策を迅速かつ着実に実施することなどによりまして、次年度の実質GDPの成長率は3.2%程度が見込まれるというふうにされております。国の令和4年度予算におけます税収入も過去最高の65.2兆円とされておりまして、こういった景気としては上向き状況だというところなんですが、新型コロナウイルス感染症の拡大による下振れリスクも当然ありますので、楽観視できる状況にはないと考えております。

○加藤委員 そうですよね。来年度においては、先ほども東京都との調停というか、協議の中で数字が見えてくるところですけども、令和5年度以降というのは全く、先行き不透明感があるということですよね。旅行関連、飲食関連など、対人接触型のサービス消費は大幅に悪化しました。国・都道府県の補助によりまして、多くの企業が休業しながらも収益を得る形になりました。例えば、東京都の飲食店においては、休業することによって感染拡大防止協力金を東京都から補助してもらい、それが店の売上げとして計上されることになります。通常であれば、お客様からいただいた勘定を売上げとして、そこから材料費だったり、そういったところを経費として引いて、それが利益となるわけですけども、店を開いていないために、開店しなければ生じない材料費だったり、光熱費、人件費などの経費は生じないということで、ありません。店によっては、その協力金をもらって収益はありますけど、全体的に収益が下がっているにもかかわらず、利益が上がっています。日本の企業の7割が赤字企業と言われておりますが、実態としては経費などを多く積算して赤字決算として、納税は均等割、義務として最低払わないといけない7万円のみを支払うケースが多いわけであります。しかし、コロナ禍における決算は、必要経費が少なくなった、店を開いていないので食材費だったり、店を開いていれば生じる光熱費だったり、人件費、こういったものが積算できないために赤字の決算にできなかったわけで、黒字の企業が増えてしまった。黒字の部分に対しては法人税率がかけられて、法人住民税が増額したと考えられます。コロナ禍でいびつな法人税収となっておりますけれども、中小企業の経済実態を区はどのように考えられているか、お伺いいたします。

○平田産業振興課長 区内中小企業の経済実態でございます。現在集計中ではございますが、東京商工会議所中野支部等と協力して実施しました区内事業者に対するアンケート調査によりますと、今期と比較した来期の利益見通しにつきましては、厳しい、または同水準との回答が過半数を超えておりまして、急速な回復は見込めない状況でございます。また、調査に回答した区内中小企業全体の約62%が何らかの雇用調整助成金や一時支援金などの補助金を受けていることから、これらの国や都の公的補助が直ちに終了した場合につきましては、業況の回復していない企業にとっては打撃となりまして、収益状況の悪化は避けられないと考えてございます。

○加藤委員 今後、先行き不透明というよりも、その補助金がないと危ないというふうに言っている企業が多いということですよね。このドーピング的な補助金がなくなったときに、ドーピングが切れたときに、やっている最中もですけど、やっぱりなくなったら、切れた途端に廃人になるような、そういった事を考えれば、この補助金が切れれば、そのはね返りで税収というか、法人税が減って、そのまま今見込んでいる額ほどのことが入ってこないというふうに推測できると思いますか。感触でしかないでしょうけど、御担当の考えをお伺いいたします。

○平田産業振興課長 委員御指摘のとおり、業況が悪化した場合は収益が少なくなってまいりますので、やはり法人税等には影響が出るかと考えてございます。

○加藤委員 それでは、全国の税収の動向について資料がありますので、見てください。予算要求資料総務86、皆さん、ちょっと開いていただきたいんですけれども、「特別区交付金の将来見込み方法(次年度から10年間)」の資料を御覧ください。

 まず、この資料について御説明いただきますでしょうか。

○森財政課長 総務86「特別区交付金の将来見込み方法」でございます。特別区交付金につきましては、令和4年度、405億円と見込んでいるところなんですが、これにつきまして、財産費を除く交付金と財産費ということで内訳を設定しまして計算をしているところでございますが、財産費を除く交付金については、ほぼほぼ地方の税収等の伸び率を踏まえて伸びていくだろうということで、欄外に書いてございますが、経済財政諮問会議の「中長期の経済財政に関する試算」のうち「地方の普通会計の姿」の、地方税の税収等の伸び率を掛けてということで、下の「対前年伸率」のところを掛けているところでございます。財産費につきましては、都市計画交付金の対象事業が関係していますので、それをベースに推計しているというところでございます。

○加藤委員 財産費は特別区交付金ではあるけれども、道路の改修などのひもつき予算であるから、一般財源として見づらいというような解釈でよろしいですか。

○森財政課長 そのように捉えております。

○加藤委員 この財産費を除く交付金というところの伸びというところが今回私が大きく指摘させていただきたいところですけども、その辺は後で説明するといたしまして、ここの1に書いてあります経済財政諮問会議資料の「中長期の経済財政に関する試算」のうち「地方の普通会計の姿」を参考としているというふうに書いてありますけれども、この数字というものを図面化したものを用意させていただいております。地方の普通会計の税収ということで、「地方の普通会計の姿」という内閣府の資料に載っているものをプロットしたのが青い線であります。平成28年82.4兆円、これは普通会計、全国を足し合わせた数字ですね、82.7兆円、83兆円、84.4兆円と横ばいに、ちょっと微増な数字を描いております。赤い枠のところが決算値で、令和3年度におきましては、これは補正予算の額であります。令和2年度が109.8兆円、令和3年度が102.9兆円であります。来年度予算、令和4年度、ここでガクッと下がって86.9兆円となります。つまり令和元年度から、このベースラインとも言える、こういった線に乗って戻るというのが国の試算であります。この辺は理解していただけますかね。結局、法人税とか、そういったところが急にドーピング的な財政出動によって伸びたというのが、この証左なわけであります。来年度も、あくまでこれは見込みではありますけれども、ベースラインに戻ってくるというのが国の指標なわけであります。

 このオレンジのラインは、前年度からの変化率になっております。例えば平成29年度の0.4%と示しているポイントは、前年度82.4兆円から82.7兆円、ここからここが増えたら0.4ポイント上がっているというふうに示されるわけです。こういうふうに、前年度からどのぐらい変化したかという数字がこのオレンジのラインなわけですけれども、ここに書いてある令和5年度から令和13年度、このラインの数字、微増で0.3、1.9、1.6、0.3、0.4、0.5、0.7、0.8、0.8と増えているわけですけども、この数字が総務86の「対前年伸率」の数字です。100足さないと、この数字にならないんですけど。この数字を使って特別区交付金の推定をしているということでよろしいですよね。

○森財政課長 そのとおりでございます。

○加藤委員 つまり区はこの資料をかなり信頼した上で使っているということであります。この国が示す10年後の予測を使っているので、財政フレームを作成する際には一定程度の信頼が置ける資料ではあります。この図で言いたいのは、その伸び率を使っているということと、ドーピング的に令和2年度と令和3年度は非常に数字が上がってきているということを皆さんには御確認していただきたいと思います。

 続きまして、特別区税の見込みについてお伺いいたします。次に、総務88、41の資料を使って作図しましたので、まずは総務88の資料を見ていただければと思います。総務88、「令和2年度予算編成時における10年間の財政フレームと主な基金の積立・繰入計画」であります。総務41は令和2年度と同じものでありますので、まず総務88を見ながらというところですけれども、この数字を使って特別区税についてグラフ化しました。横軸が令和元年度から令和13年度で、縦軸が一番下が340億円から360億円であります。黒い実線が決算と、この前、第11次補正でやった補正予算額であります。青い色が令和2年予算編成時の特別区税の予算のラインです。オレンジが今回示したところでありまして、令和4年編成時のラインであります。

 決算から見ていきますと、令和元年347億円だったのが、そこから11億円増えまして、令和2年で358億円となっております。令和3年度も、この前の補正だと同額ぐらいの358億円ぐらいであります。青いラインは令和2年度のときに編成したものでありますけれども、先ほども話がありましたけども、予算で見立てていたよりも決算額が増えているというところがここで示されているわけであります。この理由について改めてお伺いいたします。

○竹内税務課長 特別区税の約94%を占める特別区民税については、前年の所得に応じて課税されるものでございまして、令和4年度の特別区民税は令和3年度における新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を目的としました緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令などによる景気活動の低迷の影響を大きく受けると予想しております。納税義務者数、納税者1人当たりの所得額について慎重に見込んでいるものでございまして、今後とも景気の動向等について注視してまいりたいと考えております。

○加藤委員 今は、令和2年度のときに予算編成したよりも決算で増えてしまったというところを改めて、そのお答えを。

○竹内税務課長 令和3年度当初予算と、あとはこの前、補正を行わせていただきましたけれども、その額についてはそれほど、新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であったというものと分析しております。ただ、今後、先ほど委員もおっしゃられました経済対策等がなくなってしまったときの影響というのを大きく受けると予想しておりますので、慎重に見込んでいるといったところでございます。

○加藤委員 令和4年度特別区税はかなり下がって、決算ベースでの令和元年度347億円だったところ、それを下回る342億円が予算となっているということで、コロナ禍前のときよりも税収が、特別区民税においては下がるというふうに見込んでるということでよろしいですね。

○竹内税務課長 委員おっしゃるとおりでございます。

○加藤委員 この辺は令和2年度、令和3年度においては、納税義務者数が増えたりとか、その辺が増えて要因が、令和2年度、令和3年度で増えているというところですけど、令和4年度でこんな下がってしまうというのは、もう一度、具体的に何でこういうふうに下げた見込みとするのか、教えてください。

○竹内税務課長 こちらのほうは新聞報道でも報じられておりますけれども、令和3年のGDP、7月から9月期ですが、こちら再びマイナス成長となってございます。そのほかにも、サラリーマンの平均賞与のほうはリーマンショック後に次ぐ大幅減といったことの影響もございますので、景気のほうは先行き不透明というところがございますので、繰り返しになりますけれども、こういったところで区税の収入については慎重に見込んでいるというものでございます。

○加藤委員 妥当な考えかなと思います、これに関しては。先ほど出した図ですけれども、ここで先ほどの令和2年度、令和3年度だけ上がっているというのは、この図とある程度一致するような傾向で、その後、それ以上に下がってしまうという区の見立てではありますけど、先行き不透明という意味では、国が出している決算額だったり、今後の見通しと合致するところであるかなというふうに考えます。そういう見解でよろしいですね。

○竹内税務課長 先行き不透明ということでありますので、今回、令和4年度予算につきましては慎重に見込んでいるというものでございます。

○加藤委員 続きまして、特別区交付金の見込みについて、先ほどの総務88と総務41の要求資料二つに加えて、平成20年度から決算値をかき集めてグラフ化しました。特別区交付金の推移で、横軸が平成20年度から令和13年度までで、20数年間のプロットです。縦軸が、一番下が300億円で、一番上が400億円、これは先ほど言いました特別区交付金の一般財源化できるところの財産費を除いた特別区交付金となります。黒い線が決算とこの前の補正の、令和3年の補正予算で出てきた、ほぼ決算値の補正額、青い線が令和2年予算編成時の予算ラインで、オレンジのところが今回の令和4年度予算編成時の見込みのラインです。緑は後で説明いたします。

 まずは実績ベースで見ていきますと、平成20年度、一番左になりますけど、このときが327億円の特別区交付金、財産費除くですけれども、この後、平成21年度、そして平成23年度にリーマンショックと東日本大震災があり、大きく下がりました。もちろん法人税と固定資産税が多くを占める特別区交付金でありますから、景気の動向が大きくここに出てくるというわけであります。そして、持ち直して平成26年度、平成27年度はかなり上がってきて、今度、また一つ下がる、平成29年、下がります。このときは何があったのかなと思ったんですけれども、いろいろと東京都の資料を見ますと、平成29年度は海外経済が回復するもとで、輸出や生産の持ち直しが続くとともに、雇用所得環境の改善が続いたことで景気は緩やかな回復基調が続き、名目経済成長率は2.0%増となった。このような経済情勢のもとで、法人2税は金融証券業を中心に企業収益が低迷したこと等により、平成28年度決算に対して2.2%の減となったものの、雇用環境の改善により都税総額では0.7%の増となった。はっきり言って、素人にはよく分かんないですけど、結局、景気がよくなったことで、なぜか金融と証券業の法人税が下がったということなので、吉田委員とかなら分かるのかもしれないですけども、そういった素人にはできないような減が含まれているわけです。

 平成28年度から、そのところから平成29年度で19億円の減となっております。またその後、平成30年度359億円と増えて、令和2年度は345億円、赤丸で示したところですね、左側の。この前の令和3年度の補正予算で、380億円が特別区交付金、財産費除くのところになりました。ここで青いラインを見ていただきますと、令和2年度予算編成時のときは、こういった下降ラインを設定しておりますけど、この理由は何ですか。

○森財政課長 令和2年度予算編成時に今委員お話があった特別区交付金が下降していくという、右肩下がりと見込んだという理由でございますが、同じように経済財政諮問会議の資料の地方公会計、地方の普通会計の姿、税収等の伸びを財産費を除く普通交付金に掛けてはいるんですが、令和2年度は法人住民税の一部国税化も拡大するというような見通しがありました。そういった影響が翌年度以降も続くであろうという想定をしまして、さらに0.98掛けをしたことによりまして、こういった右肩下がりということになったということでございます。

○加藤委員 結果的に法人税の一部国税化というところの影響は、今はどのように見ているんですか。

○森財政課長 結果として、令和3年度の特別区交付金につきましてもそうですし、令和4年度の見立てもそうですが、伸びているといったようなことで、令和2年度当時見込んでいたほど落ち込んではいないというふうに考えております。

○加藤委員 いずれにせよ、こういった青いラインを危険だと思ったら設定するという過去の事例があったということでよろしいですね。そういう想定をすることもあると。

○森財政課長 令和2年度当時においては、そういったことも想定をして厳しく見積もったといったような、そういったことでございます。

○加藤委員 また決算のところに戻りますけれども、令和3年度380億円ぐらいに、最終的に過去最大の特別区交付金になったわけですけど、この理由について、どのようにお考えですか。

○森財政課長 令和3年度につきましては再調整が行われまして、東京都においても法人住民税など調整税等の増額がされたということでございます。企業収益が堅調に推移したということで、調整税等が全体で1兆9,700億円余ということで増えたといったようなことで、それを踏まえて中野区の特別区交付金についても積算をして、補正予算として計上したということでございます。

○加藤委員 先ほどから何度か触れているところでありますけれども、その次の3、令和4年度の373億円というのはどのように算出されたか、改めて伺います。

○森財政課長 普通交付金につきましては、令和4年度の東京都の調整税等のフレームが示されましたので、それをもとに過去の中野区のシェア等を勘案しまして算出したということでございます。特別区交付金につきましては、令和3年度は10億円を見込んだところですが、調整税等の増を踏まえまして令和4年度は15億円を見込んだということでございます。その結果、特別区交付金としては全体で405億円になりますが、財産費につきましては32億円を想定していますので、それを控除すると373億円というふうになります。

○加藤委員 東京都との調整協議で決まったということですけども、この交付金が先ほどの国全体の地方税の増減のものとちょっとずれている、ベースラインに戻らないってなっているのはなぜか、なぜ戻らないか、そのぐらい下がらないかというか、元どおりになると推定されますか。

○森財政課長 詳細なところは、東京都が積算しているので把握していませんが、報道によれば企業収益の伸びがあるということで、法人住民税も増収となっているといったことで、特別区交付金の全体の財源についても伸びているといったようなことから下がらず、今委員がお話になったベースラインというところまでは戻っていないということだと考えています。

○加藤委員 令和4年度だけを考えたら、そういったこともあるかもしれませんけれども、私の見解といたしましては、東京都は、ほかの道府県と比較しまして1兆円の財政調整基金を使って、感染拡大防止協力金などを潤沢に用意しまして飲食店に大量に支給していったわけで、そういったところが結局、経済の冷え込みというのが遅れて出てくるのではないかなというふうに考えております。そう考えると、令和5年度以降にその影響が出てくるかなと考えるわけですけども、令和5年度以降はどのように算定されて、このオレンジのラインが出てきたかをお伺いいたします。

○森財政課長 先ほど来お話ししている内閣府の経済財政諮問会議の資料の「中長期の経済財政に関する試算」、こちらの税収等の伸び、これを財産費を除く普通交付金のほうに、それを伸び率として掛けまして算出をしているということでございます。

○加藤委員 先ほどから言っている総務86の「特別区交付金の将来見込み方法」というとおりだと思いますけれども、この計算で伸び率を出していくということですけども、1回もガクンと落ちることなく、堅調にこの交付金が伸びるとお考えなんでしょうか。

○森財政課長 政府の経済見通しによりますと、新型コロナ対策、新時代開拓のための経済対策、こちらを着実に実施することによりまして、今年度中には経済がコロナ禍前の水準に回帰するという、そういう展望もあるところでございます。令和3年度の決算見込みや令和4年度予算における特別区交付金の状況は、当初の想定よりも上振れの見通しでございまして、そういったところ、経済状況も戻りつつあるといったような、好転しているといったようなこともございまして、今後の特別区交付金につきましても、現時点においてはお示ししたような一定の伸びということで見込んでいるところでございます。

○加藤委員 先ほどから示していますけど、このベースラインに戻るという概念がこの特別区交付金の計算の中には入っていないのではないかと考えるわけであります。コロナ禍前の比較的安定している状態の経済に戻るとなれば、税収が下がってしまう、つまり交付金とかがなくなってしまうから、そういったふうな状況になるのではないかなと考えるわけですけども、そういうふうな想定はされないのかなと。ドーピングで上がった法人税のまま、そのまま伸びていくという計算方法になっているわけですけども、それが本当に正しいと思うのか、改めて伺います。

○森財政課長 区が今後の税収等、今回お話がありました特別区交付金の伸びの件でございますが、そういったものを、今後の伸びを見ていくときには、国の経済見通しを一つの参考にして見通しを立てているということでございます。繰り返しになりますけども、それを踏まえて見通しを立てておりまして、現時点においてはそういった形で伸びを見込んでいるということでございます。

○加藤委員 伸びのところしか見ていないですけど、下がるところを見込んでいないんじゃないかって言っているんですけど、下がることは見込まないんですかって改めて聞きます。

○森財政課長 いろいろ、様々リスクはあるというのは承知しております。承知はしているところですが、一つの区が参考にしている将来見通しにおいては、今回、国の経済見通しを参考にして伸びを見込んでおりますので、こういう形でお示しをしたということでございます。

○加藤委員 参考にしていると言うんだったら、この図面で示している下がりが、令和元年度から令和2年度でマイナス6.3%、令和2年度から令和3年度がマイナス0.3%、令和3年度から令和4年度がマイナス15.5%、この資料を参考にしていると言うんだったら、この下がりをどこかで入れないと計算としては成り立たないんじゃないかって言っているんです。もう1回お伺いします。

○森財政課長 令和5年度以降の伸び率は、経済財政諮問会議の資料で示されているところでございます。ですので、今回の令和5年度以降の見通しについては、その伸び率を踏まえて見通しを立てたということでございまして、それをどう掛けるのかというところはあるので、今回については国のこの伸び率、令和5年度以降の伸び率を踏まえたということでございます。

○加藤委員 だから、伸び率だけ参考にするんじゃなくて、下がるところは何で参考にしなかったかって聞いているんです。これだけ下がってしまったという現状、元どおりになるという現状は踏まえない想定だったんですかって聞いているんです。

○森財政課長 今ここで参考にしているのは、伸び率を参考にしておりまして、現状、令和4年度の積算については予算案のところでお示しをしたというところでございます。じゃ令和5年度以降どうなっていくのかといったところについては、この伸び率を踏まえて参考にしていますので、下がるといったところについては国の資料には出てきていませんので、こういう形でお示しをしたということでございます。

○加藤委員 だから、1年ずれているかもしれないけど下がっている現状があるじゃないですか。何で特別区交付金はこれを見込まないのかって聞いているんです。

○森財政課長 令和4年度予算については都のフレームを踏まえて積算をしていまして、それでお示ししたとおりでございます。繰り返しになるんですけど、国も経済対策を進めていくと。地方の税収等もこれによって伸びていくということでございますので、令和5年度以降の先についてはそういった見通し、見立てをしたということでございます。

○加藤委員 特別区税は下げているじゃないですか。そういう見込みをしているじゃないですか。担当部署によって考え方が違うんですか。

○森財政課長 特別区税は特別区税で、今後の人口見通しとか、収入の状況とか、そういったところは一定見ているというようなことは承知はしております。特別区交付金については、原資は都税でございます。東京都として徴収するということで、そこがどういった伸びをしていくのかといったようなところについては、詳細については区のほうも把握するのは難しいところでございますので、5年度以降の伸びについては、国が示した伸び率を参考に見通しを立てているということでございます。

○加藤委員 下げを含まないままやってしまったというところはお認めにならないですけど、確実に下がることも想定するということが先行き不透明な状況の中での緊張感を持った財政運営だと思いますけれども、緊張感がないんだろうなというふうに感じ取れます。

 2年前は、この青のラインで危機感を持った財政運営というものを実際にやろうとしていたわけであって、このぐらいのフレキシビリティーが区の財政運営の方法としてはあるんだなというのも一つ参考にはなったなという線でありますけども、今回は最大限に楽観視したオレンジのラインを設定したというのが分かっております。このオレンジと青の差、令和4年度で比較すると42億円、オレンジと青の差を引いたらですね。5年後の令和9年度には70億円となります。2年間でこれだけ見かけ上、財政的に余裕が生まれるとしたら、財政規律が緩んで、たがが外れた放漫経営というふうな方針転換になるというのも想像がたやすいわけです。計算ミスではないかもしれませんけれども、結局、総務86の財産費を除く交付金の、令和4年度の財産費を除く交付金の373億円に、ここの数字にエクセルで入れたらパッとその後10年間が出ちゃうという単純なことなわけですよ、はっきり言って。計算ミスとは言わないですけど、入れただけの数字が先に走り、こういったところで数字だけが先に走ってしまって、それで財政フレームを組み直したんだなというところで、青いラインから2年間でオレンジのラインになったということで、それで緩くなっていったんだろうなというふうに感じているわけであります。また、そういうところの想定というのが足りなかったのかなと。

 ちなみに、現実的な交付金の金額を自由民主党議員団で試算したのが緑のラインですけれども、これは令和5年度にコロナ禍による財政への影響がなくなったとする、つまり補正予算とかで感染拡大協力金だったり、雇用調整とかがなくなるのが令和5年、それ以降かもしれませんけれども、取りあえず令和5年度にはそういったドーピング的な財政出動がなくなったと仮定した場合、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する前の令和2年度歳入規模に戻ると仮定したのが、この赤丸から赤丸に移ったというところです。そして令和6年度以降は、総務86と同じように、財政経済財政諮問会議の「対前年伸率」というものを掛け合わせていくと、こういった緑のラインになります。そうすると、にわかにリーマンショックの前から、平均値がこういうふうにアップしたら緑のラインぐらいに近づくわけです。でも、このオレンジのラインというのは、最高値をずっと続けているぐらいのラインでやっているわけで、今じゃなくなってしまいましたけれども、当初予算の概要には令和元年度まで年度間調整分のぐにゃぐにゃと波線の図面が入っていたのに、令和2年度からなくなっているんですけれども、そういった変化みたいなものを捉えるというか、一応金額としては年度間調整分とは書いてありますけれども、そういった概念が薄れてしまったのかなというふうに感じるわけですけど、何で図面が令和2年度からなくなったのか、通告していないですけど教えてください。

○森財政課長 すみません、今のお話のところをちょっと認識は、特に意図的にこれをなくしたかどうかといったことについては、特に認識はしておりませんので、特にこういう目的で、これがあるからからなくしたということは、そこまでは認識はしておりません。

○加藤委員 そういった年度間調整分という概念が、危機的状況なときに使って、ある意味、来年度、令和4年度においては交付金が大きく入ってきて、その後、下がるというふうに考えたら、お金をためるタイミングなんじゃないかなというふうに、先ほどの山本委員の主張と全く逆になりますけど、令和5年度以降の財政を考えたときには非常に、まだ豊かな令和4年度予算になるのかなというときに、このときに金をためて、令和5年度以降に備えるというのが基本的な考えになると思うわけです。

 いろいろ言いましたけど、先ほど危機的状況で一部国税化をするということにおいて、青いラインということも想定された過去があって、今回は一番楽観視しているオレンジのラインをとったということで、今回緑で自由民主党議員団のほうで試算させていただきましたけれども、こういったラインになることもあり得ますよね、想定としては。だって青まで下げたことがあるんですから。考え方によっては、こういった緑になることもあり得ますよね。お伺いします。

○森財政課長 繰り返し御説明していますが、国の試算を踏まえて令和5年度以降の予測をしているところではございますが、今後の経済状況などにより、予測より伸びが鈍化する、下降する、そういった可能性もあるとは考えています。

○加藤委員 そうすると、こういった緑のラインというのも想定できないわけではないというか、全て分からないですから、税収は分かんないですけど、仮定としてはそういったラインも、青いラインも考えたことがあることなんですから、取りあえず緑のラインぐらいで考えるのが妥当ではないだろうかということで出させていただいたわけであります。

 そうすると、図面化するほどでもないですけど、大体、令和5年度以降は毎年30億円ぐらいが、このオレンジのラインと緑のラインで差が出てきます。毎年30億円ですよ。見込みが30億円足りなくなるんじゃないか、そのぐらいの危機感を持った経営が必要になってくると考えますけれども、そこに対しては、そちらはお答えできないかもしれませんけども、そういったことが考えられると。そういった先行き不透明な想定をしていかないといけないのではないかというふうに思います。

 以上、長くなりましたけど、財政フレームの歳入の部分についてまとめさせていただきます。特別区税においては、御担当が先行き不透明である経済状況を勘案して、緊張感を持った来年度以降の試算をしましたが、特別区交付金においては、令和4年度においては東京都との調整の中で出ているので問題ないかもしれませんけれども、令和5年度以降には毎年30億円以上過大に評価しているというのが、その辺が妥当な数字だということを指摘させていただきました。

 本定例会一般質問において、我が会派の大内しんご議員の財政的な非常事態であるとの従前の認識について、現時点ではどのように考えているのか伺うとの質問に対して、令和3年度の決算見込みや令和4年度予算における一般財源の状況は当初の予定よりも上振れの見通しであり、当時の状況よりも好転しているものと捉えている、しかしながら新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う景気の下振れリスクは依然としてあり、不透明な経済状況に変わりはなく、引き続き緊張感を持って財政運営に当たる必要があると考えていると答弁されております。確かに令和4年度においては、ある程度見込みがある数字ですけども、令和5年度以降については緊張感が全くないような歳入の値になっていると思いますけども、その辺、答弁の中で、「不透明な経済状況に変わりはなく、引き続き緊張感を持って財政運営に当たる必要があると考えている」というのは、この図面で言ったらどこに反映されるのか、お伺いいたします。どこに緊張感を持っているのか。

○森財政課長 今の図面は歳入の見通しでございますので、歳入予測は、繰り返しになりますけど国の試算を踏まえて、現時点において適切に見通したということで捉えているところでございます。財政運営全体として見れば、当然毎年の予算編成においては、経常経費を中心とした歳出削減ですとか、あと、債権管理体制の強化などを通じまして歳入確保にも取り組んでいく、また、将来に備えた基金積立や起債の抑制、また、執行段階に当たっては、工夫によりまして執行額の精査をしていくといったようなことなど、全体としてそういった取組をしっかり、緊張感を持って取り組んでいく必要があるということで考えているところでございます。

○加藤委員 もし30億円足りなかったら、どこのお金が歳出のほうで削らないといけないかといったら、簡単に計算したら基金のところから30億円減ってくわけですよ、入ってこないんですから。緊張感を持つべきは歳入の積算が一番最初なんじゃないですか。そこに緊張感が感じられないんですけど、改めて聞きます。歳入においては、どこに緊張感を持って計算をされたのか。

○森財政課長 今後の見通しについては、繰り返しになりますが、国の試算を踏まえて積算をしたという見通しを立てたということでございます。当然、毎年毎年の予算編成、それから予算執行の段階、そういったところでしっかり切り詰めていく、また、段階段階で歳入を確保していくと、そういったところが当然必要になってくるということで捉えているところでございます。

○加藤委員 だから、その歳入のところで、緊張感がない歳入見通しなのがなぜなのかって改めて聞いているんですけれども、全体的な話じゃなくて一番重要なところですよね。入らなきゃ駄目なんですから、ない袖は振れないじゃないですか。入る見通しを何でこんな甘く見ているのかというのを改めて伺います。

○森財政課長 甘く見ているという認識はございませんで、令和4年度予算の歳入ベースを、歳入の予算を踏まえて今後の伸び率を掛けているわけでございまして、そこのところといったところについては、現時点における見通しとしては適切な見通しだと考えています。

○加藤委員 一度立てた予算だから、そう言わざるを得ないんでしょうけど、はっきり言って甘い見通し、先ほどから何回も言っていますけど、国全体の地方税はガクンと下がる、ベースラインに戻るという、ここがいつ戻るのかって。ドーピング的に入ってきている法人税をそのまま、今後永劫入ってくると見ているということでよろしいですか、その答えは。お伺いします。増税している理由を踏まえて、今後もそれがずっと入ってくるという見通しであるかというのをお伺いします。

○森財政課長 国がそういう伸び率を掛けて見通しを立てているということでございますので、そういった形で一定の伸びがあるということでは見ているところでございます。

○加藤委員 何度も言いますけど、下がったところを見込んでいないので、伸び率は伸び率でいいですけども、これはしつこくなっちゃうので、もうこれ以上やらないですけど、そういったところで過大な積算をしているということで、令和2年度予算編成時、危機的な想定をしたらああいうラインもとれるし、令和4年度の過大な、あの甘々なラインをつくることもできて、財政規律が緩んで歳出が今後、その緩みが歳出にも影響が出てしまっているんじゃないかということです。

 ここで終わらせますけれども、午後においては、その財政規律の緩みから歳出の項においても非常に問題があって、それが令和5年度以降にちゃんと反映されていない、令和5年度以降がやっぱりやばいというような状況に対して指摘させていただきますので、お昼休みを挟んで、また後半戦をよろしくお願いいたします。

○ひやま委員長 加藤委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。

 13時まで委員会を休憩にします。

午前11時56分休憩

 

午後1時00分開議

○ひやま委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。

 加藤委員、質疑をどうぞ。

○加藤委員 お昼休みを挟んで後半となります。前半では、特別区交付金が令和5年度以降30億円程度、毎年多く見積もっていると想定すべきだということを提言させていただきました。後半では、その特別区交付金が多く見積もられていて、中野区の実力を勘違いして多く見積もっているんではないかということで、それが今度、歳出のほうに影響が出ているということで、ただしていきたいと思います。

 それでは、令和4年度の歳出について、歳入と同様に基本的に財政フレームについて伺っていきます。また資料を見ていただきたいんですけど、総務41「令和4年度から10年間の財政フレームと主な基金の積立・繰入計画」を御覧ください。

 まず、この歳出のうち、一般事業費とは何か、御説明ください。

○森財政課長 一般事業費でございますが、経常的経費のうち人件費や公債費、扶助費といった義務的経費、それから特別会計の繰出金を除いた経費でお示しをしているところでございます。

○加藤委員 義務的経費等を除いた経常経費ということでよろしいですか。

○森財政課長 そのとおりでございます。

○加藤委員 そうすると、義務的経費というのはなかなか削りづらいところではありますけれども、経常経費を削ると言っている中で削られるのは、主にここの金額のことでよろしいですか。

○森財政課長 そのようになります。

○加藤委員 ここで令和4年度以降、経常経費が214億円を維持し続けるという予算編成となっております。この214億円という金額を皆さん、覚えてください。

 次に、総務88を御覧ください。「令和2年度予算編成時における10年間の財政フレームと主な基金・積立繰入計画」であります。

 同じく一般事業費を見てみますと、大体150億円と設定しております。一般事業費は令和2年度編成時で150億円としておりましたけれども、令和4年度で214億円として、この2年間で経常経費が年間64億円増額していることが分かります。令和2年度の予算編成時の後年度の歳入見込みが厳し過ぎた反動か、経常経費がとんでもなく膨らんでいるわけですけれども、この2年間で64億円増額した理由は何でしょうか。

○森財政課長 主な理由、増要因を挙げさせていただきます。GIGAスクール構想の推進、また、清掃事業、予備費、東京二十三区清掃一部事務組合の分担金、それから定期予防接種、図書館指定管理委託料、それから文化施設の指定管理料、産業経済融資の利子補給、それから学校給食調理業務委託や学校用務の業務委託など、こういったところが2年前と比べると大きく増をしているところでございます。

○加藤委員 資料として要求したんですけど、締切日を過ぎてしまったので、明日以降出てくるということですけど、令和4年度予算において一般事業費が増額した主な要因ということで、致し方ない経常経費もあると思いますけれども、かなり増えていて、今おっしゃった主なところでは、幾らぐらいを計上しているんでしょうか。

○森財政課長 今申し上げたもので約14億円増になります。それ以外に、令和2年度の時点と令和4年度のところで言うと、新規・拡充事業との入り繰りといったようなものもございます。大きな増要因としては先ほど申し上げた約14億円でございます。

○加藤委員 64億円増えて、14億円は先ほど主なところと言っていましたけど、50億円、もう1回どういったものが増えたかをお答えください。

○森財政課長 先ほど申し上げた新規・拡充事業、令和2年度のときは新規・拡充事業に寄せていたものが、しっかり整理したことによって、令和4年度においては経常経費のほうでカウントしたといったようなところで11億円ほどありまして、あとはすみません、細々としたものがありまして、それ以上についてはちょっとつかみ切れていないところでございます。

○加藤委員 分かっているところで、新規事業でやったものが、新規事業やった翌年からは、令和2年度で新規だったものは、令和3年度以降は経常経費となるということで一般事業費に回る。今分かる範囲でも11億円。先ほど14億円がGIGAスクールとか、そういった致し方なかろう経費増でしたけれども、合わせて14億円と11億円、でも2年間で増えたのは64億円で、差し引きすると39億円、何らかで増え続けている。大体その36億円は何で増えたか、もう1回教えてください。

○森財政課長 申し訳ないです、それより細かなところについては、ちょっと今調べ切れていないところでございます。

○加藤委員 結局、経常経費なるものが何で増えたか、すぐには分からないというような感じで、どんどん財政規律が緩んで、経常経費が膨らんでいる、2年間でということだと思うわけですけれども、本当に分かんないですか、分析してそれが。何で30億円以上増えちゃっているか。

○森財政課長 ちょっと今のところでは分析がし切れていないところです。

○加藤委員 もう増えてしまっているという、かなり経常経費が増えている事実はそこにあるわけで、切り詰めると言いながらも全然切り詰められなくて、何だかよく分からないで30億円以上が経常経費として増えていっているということであります。増えてしまう部分は構造改革実行プログラムとか財政効果、その辺で埋めていくということですけれども、その辺の進捗具合について伺います。

 要求資料、総務85「構造改革実行プログラムに基づく取組の財政効果の内訳」を御覧ください。御担当から総務85の内容について御説明いただけますか。

○石井構造改革担当課長 総務85「構造改革実行プログラムに基づく取組の財政効果の内訳」ということでございますが、こちらの財政効果につきましては、経費の削減、歳入確保、それから人件費相当額という三つに区分をいたしまして試算を行ったところでございます。内訳といたしまして、業務のICT化の推進による紙文書等の削減など、執行方法の見直しや事業規模の縮小により経費削減が見込まれるものということが経費削減になりますが、これが令和4年度では7,016万円余、それから、口座振替の促進や納付勧奨の工夫による収納率の向上など、新たな補助金や歳入確保等により歳入増加が見込まれるものが、同じく令和4年度として3億1,140万円、それからウェブ会議による移動時間等の削減など、効率化等による労働時間の削減が見込まれるもの、これを人件費相当に換算したものということで、令和4年度が1億6,271万円余ということでございます。

○加藤委員 財政効果を経費削減と歳入確保と人件費相当というふうに三つに分けておりますけれども、この人件費相当というのは、財政効果は時間を人件費に換算しただけであって、この人件費をカットするわけではないので、予算削減にはならないということでよろしいですね。

○石井構造改革担当課長 実際、予算そのものでの削減効果ではないものでございます。

○加藤委員 歳入確保で、Ⅴの安定的な財政運営と財源創出のところで3億1,540万円は、これは何をして生まれたお金ですか。

○石井構造改革担当課長 主には債権管理体制の強化ということで、税収増によるところが大きいということでございます。

○加藤委員 よく分かんないですけど、令和5年度にはこれがないわけですか。

○石井構造改革担当課長 令和5年度は、現時点ではまだ見込めないということで、歳入効果はあるものと見ておりますけれども、現時点では試算はできないというものでございます。

○加藤委員 そうすると、構造改革実行プログラムにおきまして経常的経費を生むというところは、①の経費削減というところのみになるということが言えます。令和4年度においては7,000万円程度で、令和5年度においては経費削減が2,500万円程度ということで、合わせると9,500万円ぐらいで、予算ベースで言うと、削減するのはそのぐらいの金額ということでよろしいですか。

○石井構造改革担当課長 実質的に経費の削減ということで、予算額に影響するものはそれに当たると考えております。

○加藤委員 構造改革実行プログラムが無駄とは言いませんけども、大きな予算削減につながるような財政効果というのは、今のところ見えていないということですけれども、そういった認識でよろしいですか。

○石井構造改革担当課長 今回のこの資料のとおり、構造改革の実行プログラムに位置付けている事業にも、資料にあるとおり事業費というのもございまして、実行するに当たっても事業費がかかるというものがございます。したがいまして、予算削減に直結するというところは、先ほどの経費削減の部分ではございますけれども、今後、構造改革の取組につきましては、中長期的に財政効果が上がるものと考えております。

○加藤委員 来年度までに完成させなくて、中長期的にということですか。今年度と来年度、再来年度の3か年って言っていましたよね。それで、中長期的というのはいつぐらいの年月を言っているんですか。

○石井構造改革担当課長 この構造改革実行プログラムは令和5年度まで、3か年で計画をしておりますけれども、その先、5年、10年という単位で、これは中長期的に財政効果が上がるということは考えております。

○加藤委員 いずれにせよ、今は検討中ということで、中身が出せないから、ここには数字として現れないということでよろしいですね。

○石井構造改革担当課長 現時点で、まだなかなか見込めないものもございますけれども、今後、取組を進める中で、財政効果も見ながら推進していきたいと考えております。

○加藤委員 それでは、次に総務84「次年度予算で計上した新規・拡充事業に係る経常経費の見込み」を御覧ください。総務84です。よろしいですか。

 では、御担当からこの資料について御説明してください。

○森財政課長 総務84でございますが、令和4年度予算に計上しました新規・拡充事業のうち、経常経費化する事業につきまして、経常経費と臨時経費に分けて記載したということでございます。令和5年度につきましても、経常経費と臨時経費の見込みの経費を記載しております。今後、後年度にわたって、単年度に見込まれる経常経費と見込まれるものが一番右端の列、後年度における単年度の経常経費ということで整理をしております。

○加藤委員 経常経費ということで、後々、後年度に関わる経常経費も出していただいたということで、この臨時経費というのはいわゆるイニシャルコストという認識でよろしいですか。

○森財政課長 そのようになります。

○加藤委員 ここで重要なのは後年度における単年度経常経費ということですけれども、これの2ページを見てください。2ページの一番右下、後年度における単年度経常経費の合計値が出ていますけれども、10億4,500万円余、10億円以上が後年度における単年度経常経費として出てくるということですけれども、今度の新規・拡充事業をやると、後々10億円以上が経常経費化する、令和5年度以降は経常経費化していくということでよろしいですね。

○森財政課長 そのように経常経費として見込んでいく、見込まれるということでございます。

○加藤委員 先ほども令和2年から令和4年において、経常経費化したものが64億円あって、致し方ないものも含めて、新規事業をやることによって、それが経常経費化いずれしていくという中でどんどん予算が増えていく、年間で必要なお金が増えてくるということで、これも同じような状況になっていくということでよろしいですか。

○森財政課長 この事業を進めていけば、そのようになっていくということでございます。

○加藤委員 ちなみに、この新規・拡充事業の中に児童相談所の経費が入っていないように見えますけれども、どうなんでしょうか。

○森財政課長 児童相談所の運営に係る経費につきましては、当初予算案の概要での整理、記載はしているところなんですけれども、推進事業として整理をしているところでございまして、この総務84につきましては、新規・拡充事業で整理をしている事業をまとめておりますので、この資料にはお示しをしていないということでございます。実際かかってくる経費については、令和4年度に12億6,000万円余、一般財源ベースで7億8,000万円余を計上しておりまして、これがほぼほぼ、翌年度以降も経費として見ていく必要があるということでございます。

○加藤委員 そうすると新規・拡充事業のほかに推進事業というのもあるということで、それは新規・拡充等事業の「等」に入るということなので、その推進事業をまとめると幾らになるんですか。

○森財政課長 先ほど一般財源ベースでは児童相談所について7億8,000万円余ということで申し上げましたが、それ以外の推進事業を合わせますと8億1,000万円余となります。

○加藤委員 そうすると新規・拡充事業に係る経常経費が10億4,000万円で、推進事業は8億1,000万円ということで、後方年度の単年度経常経費はそれら事業を始めると10億5,000万円になるということでよろしいですか。

○森財政課長 新規・拡充事業の後年度負担、単年度経費が10億4,500万円余で、推進事業の経常経費が8億1,000万円余でございますので、合計しますと18億5,000万円余、約19億円になるということでございます。

○加藤委員 計算をミスしました、18億5,000万円が経常経費として後年度負担していかないといけないということですね。改めまして、総務41「令和4年度から10年間の財政フレームと主な基金の積立・繰越計画」を御覧ください。

 経常経費が後年度18億5,000万円、約19億円ということですけれども、その金額が令和5年度以降に、義務的経費だったら一般事業費に加えられるべきだと思うんですけれども、その19億円程度の金額はどこに入っていくんですか。この総務41を見ると、一般事業費が令和4年度で214億円で、令和5年度も同じ214億円になっていますけれども、この辺の経常経費がどこに加わるんでしょうか。

○森財政課長 令和4年度の新規・拡充事業や推進事業で翌年度以降に経常経費化していくもの、19億円余と申し上げたところでございますが、当然それはかかってくるというところなんですが、一方で、PDCAサイクルを回していき、行政評価や決算分析による事業の効果検証を行って、新規事業と既存事業の見直しを一体的に行うビルド・アンド・スクラップを徹底しまして、既存の経常経費については当然抑制していく必要がある、努めていくということでございまして、令和5年度以降の一般事業費については横引きということでしたところでございます。

○加藤委員 令和5年度は、その19億円の経常経費を削れると今おっしゃったんですけど、本当ですか。今まで削れないじゃないですか、ビルド、ビルドばっかりで。スクラップやっていないじゃないですか。19億円のスクラップをするって今言ったわけですよ。ただ、構造改革実行プログラムでは、ほぼほぼ0円。19億円、令和5年度の予算で削れるって、どこにこれまでの区政運営の中で証明できるんですか。どうやって19億円削減するか、おっしゃってください。

○森財政課長 繰り返しになりますけれども、行政評価や決算分析の事業効果検証、当然ビルド・アンド・スクラップも徹底していく必要があるということで、そういった中で既存の経常経費についてはしっかり抑えるということでございまして、令和5年度予算以降についてもそういう形で進めていくということでございます。

○加藤委員 今まで、そのスクラップをやってきたなら、それも信じられますけど、今までやれていないじゃないですか。どうやって急にできるんですか、19億円もスクラップが。もう一度伺います。どうやって具体的に進めていくのか、教えてください。

○森財政課長 繰り返しになりますが、当然、行政評価や決算分析、そこのところでしっかりチェックをし、効果検証を行っていくと。その中で削減できるもの、経費を抑えていけるもの、見直ししていくもの、そういったところはしっかり整理をする、そういうところで既存の経常経費は抑えるということで、取り組みを進めていくということでございます。

○加藤委員 繰り返しになっちゃうので、次に行きますけれども、本定例会の一般質問において我が会派の大内議員が、区民の暮らしを守るため、財政運営のため、令和4年度予算で最も優先すべきことは何と考えているか伺うとの質問に対して、新型コロナウイルス感染症の影響による経済状況の先行きが不透明であることから、中長期的な視点を持ちながら経常経費の削減や歳入確保、将来に備えた基金への積立と起債発行の抑制にも取り組んだところであるとの答弁がありました。中長期的な視点とはどこら辺に持たれているのか。本当に経費削減や歳入確保とか、その辺のところの中長期的な戦略というのが見えてこないですけど、改めて伺います。

○森財政課長 当然、新規・拡充事業を計画する際、そういった際には事業の目標年度、どこに置き、事業展開をしていくか、また後年度負担、どういった形で軽減をしていくのか、そういったところを踏まえた事業構築、そういったところは議論したところでございます。また、歳入確保につきましては、債権管理体制の強化などを踏まえての取組、それから将来に備えた基金への積立や起債発行の抑制といったようなことも当然取り組んできたところでして、中長期的な視点ということについて、そういったところを見て予算編成を行ってきたというところでございます。

○加藤委員 その答弁でなかったわけですけれども、結局、新たに生まれる経常経費というのを考慮していなかったというだけだと思うんですけども、その辺、削減するといってもなかなかできない中で、新たに生まれる経常経費というものにどういう考えがあったのか、そこをお伺いいたします。

○森財政課長 先ほども少し御答弁申し上げましたが、事業計画を立てる際は、当然後年度負担の経費も明らかにするようにいたしまして、後々の経常経費化ということについて議論をしたといったところはまずございます。当然、先ほども御答弁したとおり、ビルド・アンド・スクラップ、PDCAサイクルをしっかり回していくと、そういったところでの既存事業の経費削減、それから経費抑制、経常経費の抑制ということが必要であると考えておりまして、今後もそういう形で進めていきたいと思っているところでございます。

○加藤委員 内示のときの話をするのがありか分かんないですけど、予算内示のときに、新規予算を出すけれども、その分歳出抑制できるのかという、新規予算でどういった後年度予算が生まれるのかって質問に答えられなくて、今後整理していきますというふうに言って、それでこの資料、これら資料を作ってもらっているわけですよ。ということは、予算を編成するときには後年度どのぐらいの予算が生まれてくるかというのを、そのときには積算していなかったということじゃないですか。後年度予算がどのぐらい増えるかというのを考えないで新規予算をつくったということですよね。その辺、どうなんですか。

○森財政課長 予算編成過程において、事業計画を立てる際は当然後年度負担の経費も含めて議論はしているところでございます。今回改めて資料の作成に当たりまして全体を整理しまして、こういう形でお示しをしたということでございます。

○加藤委員 いや、内示のときには、そういうのはやっていないと言っていたんですよ。予算編成のときに、そういう後年度、後々のことを考えないで新規予算を作っているようにしか思えないわけですよ。歳入が増えそうだからといって、そういうところにバンバンお金を使って、後年度の負担のことまで考えていないというのが今回の財政フレームだと言っているわけです。

 時間もあれなので、ここでおさらいというか、まとめますけれども、まず歳入は年間30億円少なくするべきだと見込むべきだと考えています。そして、構造改革実行プログラムによる歳出の抑制は難しくて、ほぼ金額的に言ったらゼロと見ていいと考えております。それに加えて、令和4年度からの新規・拡充推進事業を始めることによりまして、後年度経常経費が約19億円増額されます。そして財政フレームに、経常経費が令和5年度以降入っていないというような財政フレームになっている、削れないと言い切ってしまうのは申し訳ないですけど、今までのことから考えればそうです。そうすると、歳入が30億円少ない、支出が19億円多いってなると、大体49億円、年間不足していくんじゃないかなということが推測されるわけです。しかも10年間。これは、大体50億円ですけれども、小学校1校建て替えるのに必要と言われているのが今52億円と言われていますけれども、それ相当の金額になるわけです。今後1年間に1校建て替える予算、ちょうど小学校の予算というのがないもんだと考えたほうがいいのかなと考えるわけですけれども、新規・拡充事業をやっている場合ではなくて、令和4年度はそれらの計画をある程度見直して、基金をため込むべきだったんじゃないかなと思うんですけども、その辺、中長期的な戦略はどう考えていますか。

○森財政課長 令和4年度予算で計上いたしました新規・拡充事業は、新型コロナウイルス感染症との闘いを乗り越え、活動を力強く再開し、未来へつなげる予算とするために計上したものでございまして、必要な事業であるということで認識をしているところでございます。将来的には、基金への積立につきまして、将来の施設更新に備えての減価償却費相当、25%相当額を関係する基金に積み立てたほか、財政調整基金への積立も行っているところでございまして、後年度負担も踏まえながら、基金の残高確保にも努めたところでございます。

○加藤委員 仮定の話もありますけれども、50億円ぐらい見込み差があるんじゃないかというところをしっかりと肝に銘じた予算編成であったべきだと我が会派としては考えているところであります。その辺は、歳入に関しては令和5年度から見込みが甘かったということで変えることは可能かもしれませんけど、来年度予算で始めてしまった新規事業、始める、ものによっては減らせられないんですけれども、児童相談所の8億円というのは削れる費用ではないですし、経常経費として使わないといけないものももちろんありますけれども、それに対して、そういうのも含んだ上で新規予算というのを抑制して、後年度経費というのを減らすべきだったと思うわけです。その辺のところを皆さんには理解していただいて、予算に対する質疑を終了いたします。

 それでは、中野区のDX戦略についてお伺いいたします。ちょっと時間の都合上、どこかで変わっちゃうかもしれませんけど、よろしくお願いします。

 戦略という言葉を使わせていただいているので、戦術的な細かい話ではなくて、抜本的にどうやって改革をしていくかというような観点から質問をさせていただきます。

 まず、働き方改革やMS365の活用についてお伺いします。新庁舎整備を契機とした行政事務のDX推進を実現するためにMS365の導入が令和3年12月に決定しました。MS365については、民間企業や自治体においても導入が広がっており、私自身も個人的に使用しておりますけれども、保有する機能面において、チャット・ウェブ会議などによるコミュニケーションの円滑化、ペーパーレスの推進、ファイルの共同利用や会議メモの自動作成、音声認識機能など、主たる機能だけ考えても業務の効率が上がっていくと想像できます。一方、構築経費で約5億円、年間ランニングコストで約3億円を見込んでいるところです。これだけのコストをかけてMS365を利用する以上、期待する効果は行政事務の効率化のみならず、やはり職員の働き方改革に資するものでないといけないと捉えております。DXの推進は、あくまで働き方改革の一手段にすぎず、DX推進が目的になってはいけません。

 そこで、区はMS365の利用について、働き方改革の視点で見たときに、どのようなメリットが生まれると考えているか、お伺いします。

○白井情報システム課長 新庁舎におきましては、MS365の導入やネットワーク環境、端末類の整備と併せまして、端末で電話を受発信できる機能を実装することにより、ウェブ会議によるコミュニケーションの迅速化・円滑化やテレワークの推進による柔軟な働き方の実現等のメリットが生まれると考えております。また、職員は組織横断的なプロジェクト型の働き方を実践することで、これまでの業務にかかる時間を縮減させ、生み出した時間は直接の支援を必要とする区民へのより丁寧な対応や政策の充実に向けた検討に充てるなど、さらなる区民サービスの向上につなげることができると考えてございます。

○加藤委員 いろいろメリットはあるとは思いますけれども、職員等いろいろ取材している中で、MS365日って何ですかとか、何だそれみたいなぐらい、MS365が庁内でこれから使われるということを認識していない理事者もいらっしゃるようなので、担当課だけじゃなくて、全庁的にしっかりと普及をするというプロモーションをかけてもらわないと、変わったときに大混乱が起こる、もしくは全くツールを使いこなせないということが想定できますので、しっかりとやってください。

 先般の我が会派、大内議員の一般質問における答弁において、DXを進めるに当たって専門的な知識や様々な経験を持った先進的な事業者と区とのDXを推進することを目的に協定を締結することを検討しているとの区側の答弁がありました。情報政策等調査特別委員会にて12月に行った愛知県の視察においても、先進企業と組んでDXの推進を図っていくことは、行政側、事業者側、双方にメリットのある取組であると感じるところです。しかしながら、DXの推進を目的に協定を結ぶに当たっては、区のDXを共に進められる事業者でなければ、その意味もなく、行政事務の効率化のみにとどまらず、区民サービスの貢献もままなりません。

 そこで、具体的にどのような内容を盛り込んだ協定とすると考えているか、伺います。

○白井情報システム課長 協定の締結に当たりましては、効果的な内容を盛り込む必要があるということは認識をしてございます。詳細につきましては、相手先となる事業者との今後の協議などを踏まえたものにする必要がございますが、行政事務のデジタル化や業務改善、職員のICTスキルの全体的な底上げや専門人材の育成と確保、ICTを活用した区民サービスの向上などをテーマとした協定を結びたいと考えてございます。具体的には、モバイルワークの環境の構築と窓口や現場での活用、職員の働き方改革への意識向上に関する取組や行政分野におけますICT人材の育成と確保、情報発信における多様性の対応などの分野で協働できる事業者との協定を考えてまいりたいと検討してございます。

○加藤委員 MS365の導入がDXの推進だけではないんですけれども、新庁舎において、庁舎を一から建設整備をするため、この機会に最適なネットワーク環境や会議環境を整備することが可能であると考えます。一方で、全庁でDXを進めていくという観点からすると、環境整備が新庁舎内にとどまってはいけないと考えます。区全体で取り組むことが可能な環境整備が必要となります。庁外施設においてはMS365を導入するのか、また、庁外施設のネットワーク環境についてどうやって整備を進めていくのか、伺います。

○白井情報システム課長 庁外施設におきましても、新庁舎整備と同時期にMS365や対応端末の導入を行い、環境整備を進めていく考えでございます。なお、外線電話に関しましては、庁外施設につきましては従前の電話機での対応となることや、当面は有線LAN環境での運用となりますことから、新庁舎における環境とは違い、固定電話であったり、固定席の義務となるなどの制約は発生するものと想定をしてございます。当面は各庁舎に既に配備しております環境の活用やモバイルルーター等を活用しつつ、新庁舎移転後の検証等も踏まえまして、庁外施設のネットワーク環境の在り方については引き続き検討してまいりたいと考えてございます。

○加藤委員 令和3年の第4回定例会の私の一般質問で、各所管でテレワークを推進し、BCP、出産・育児、条件付き病気休暇について、在宅勤務がしやすい環境をつくるべきだと考えるとの質問をしました。区の答弁は、テレワークの本格実施に向けて推進していきたいとのことでしたけれども、あまり具体的な答えではなかったんです。このたびMS365を導入するとしたことで、テレワークが可能な執務環境は一定整備されると考えますが、一方で、テレワークが可能な環境にするという道具がそろったとしても、区の職員が使いたい、使うという職員の勤務に関する制度がないということで、活用しようがありません。今後、区としてはテレワークを推進していく中で、さらに活用を図ろうとした場合、現在の区の制度面ではどういったことが課題となっているのか、また、新しい働き方に対する制度の検討についての進捗状況についてお伺いいたします。

○中谷職員課長 テレワークの本格実施に向けて推進をしていくに当たりまして、制度面の課題としては、半日単位の取得を認めるかといったことや、超過勤務や通勤手当の取り扱いをどうするかといったことが課題となってございます。東京都など、既にテレワークの実績が多い自治体の制度を参考にして検討は進めているところでありまして、ハード面の環境が整い次第、本格実施を開始できるように制度面の整備も進めているところでございます。テレワークの有効な活用が進むように、職員が利用しやすい制度とするよう検討を進めていきたいと考えています。

○加藤委員 例えば、半育休みたいな質問を前回定例会でさせていただいたんですけど、そういったものもできるんですか。半分働いて、半分育児しているみたいなことは、なかなか難しいんですか。

○中谷職員課長 休暇との組み合わせみたいなことはできるかとは思うんですけれども、半日単位の取得の場合には、通勤時間と勤務時間をどういうふうに認めるのかとか、管理上の難しさといった課題があるので、なかなか実現は難しい部分もありますが、検討は進めていきたいというふうに考えています。

○加藤委員 先ほど東京都の事例を挙げられましたけど、東京都は緊急事態宣言時のときに求められた4割出勤みたいなところを実現したわけで、制度的に既にあったのか、どうやって運用していたのか、ちょっとその辺のところを教えてください。

○中谷職員課長 制度上、詳細の部分の整備は進まない中でも、運用上、取得しやすいような半日勤務のようなものも認めていたというふうに聞いてございます。

○加藤委員 なかなか難しいでしょうけど、運用の範囲でいろいろできるように制度のほうをつくっていただきたいと思います。

 次に、令和4年度から総務部内にDX推進室を設置することになっています。働き方改革に資する道具の面については、新庁舎のレイアウトや窓口配置、MS365の導入など、方向性が示されておりますが、一方で、これを活用するための区の制度面については、その変化があまり外からは見えません。先般の一般質問において、中村議員の多岐にわたる横断的な区のDXの取組について、どのような検討・実施体制で進めていくのかとの質問に対して、新庁舎整備を契機としたDX推進による働き方、行政事務の効率化については、総務部内にDX推進室を組織して推進していくとの答弁がありました。働き方改革の視点で見たとき、総務部にDX推進室を設置することはどのような効果を見込んでのことなのでしょうか。また、区の目指す働き方改革とはどういったものなのか、総務部長にお伺いします。

○海老沢総務部長 業務の効率化を進める上でペーパーワークを削減していく、職員の移動時間を削減していく、組織横断的なコミュニケーションを円滑にしていくと、主にこの3点が大きな要素になるというふうに考えるところでございます。業務の効率化は、職務が増加する中で職員定数を一定維持していく上でも大変重要なことだというふうに認識を持っております。例えばでございますけれども、立案から契約、実施、検査、支払い、そして監査と、こういった一連の業務の流れについてでございますが、複数の組織が連携して行っているというところでございまして、これをペーパーレスで事務処理ができるとなれば、多くの職員の作業時間の削減につながるというふうに認識を持っています。新区役所の移転を契機といたしまして、これを推進していくに当たりまして、業務の執行を統括する総務部が中心となってDXの改革を担っていくということが必要だというふうに考えております。

 また、先ほどお話がありましたテレワークの推進などによる移動時間、職員の移動時間の効率化につきましても、システムの導入と職員課が担う職員管理制度を一体的に進める必要があるというふうに考えておりまして、職員が働きやすい取組を目指してまいりたいというふうに考えております。

○加藤委員 まだ何も組織ができていないので、具体的なところまで言及できないとは思いますけれども、新区役所ができるまでにしっかりと整備、その辺、進めていただきたいと思います。

 ここまでは区の働き方改革やDXの推進体制について伺ってきましたけれども、先ほど予算のところでもお話ししましたけれども、構造改革実行プログラムにおいて、令和4年度は人件費相当として1億3,000万円余りが見込まれるということを紹介させていただきましたけれども、あくまでデジタルシフトによって生まれた時間を人件費相当に換算しただけで、予算上その分が削減できるわけではありません。なので、そこでしっかりと財政効果として生まれた時間というのがどういうふうに生かされるのか、デジタルシフトによって生まれたこの果実をどのように働き方改革として生かしていくのか、構造改革の担当からお伺いいたします。

○石井構造改革担当課長 構造改革実行プログラムにおけますデジタルシフトの取組によりまして、今御案内のあったとおり人件費相当の財政効果、これが見込まれます。主に、ペーパーレスの推進と、また、区立保育園におけるICT化、こういったものが挙げられるところでございます。まず、ペーパーレスにつきましては、各種の申請手続や庁内事務におけるペーパーレス化、これによって業務が効率化されますので、職員は政策や事業の企画立案に注力ができるということもあります。また、超過勤務の縮減という実質的な削減効果もあるというふうに見込んでいるところでございます。また、区立保育園のICT化につきましても、登校園の時間管理等の電子化によって業務の負担軽減を図るというものでございますので、生み出された時間につきましては園児と接する時間に充てるといったようなことで、さらなる区民サービスの向上につながるものと考えております。

○加藤委員 通告はしていないですけど、言ってもやっぱり予算に反映できない、つまり人件費を削減できないのは分かるんですけど、新規の職員の採用数を抑えるとか、そういうふうには変わっていかないんですか、ここの財政効果というのは。

○中谷職員課長 財政効果といいますか、改善によって生み出される効果を積み上げていくことで、超過勤務の削減とかという部分には割と分かりやすく反映できると思うんですが、具体的に採用者数の減少までというところまで直接的にできるかというと、なかなか難しい部分があるのかなと思います。要は全庁的に、例えばDXの効果というのは、2,000人で生み出していくものだとすると、1人当たりに貢献できる業務量の削減効果というのは少しずつになってきますので、それを寄せ集めれば何人分となりますけれども、単純にその分、定数削減できるかというと、なかなか難しいのかなというふうには考えています。

○加藤委員 ある係で人一人分をなくすほどの効果はないということですかね。ちょっと時間がないので次へ行きます。ありがとうございます。

 次に、自治体の情報システムの標準化・共通化についてお伺いします。今年2月の読売新聞によると、令和4年2月8日、公正取引委員会は国や自治体が発注する情報システムに関する調査報告書を公表しました。既存のIT事業者がデータ引き継ぎなどを拒否するなど、新規業者の参入を妨害する契約の囲い込みが独占禁止法に抵触するおそれがあるとの指摘でした。行政システムで特定業者が受注を繰り返すことが問題となっており、国や自治体の約99%がシステムの改修や更新時に既存業者と再契約をしたと答えました。そのうち約半数が既存の業者しかシステムの詳細を把握することができないと回答しております。行政のデジタル対応が求められる中で、公正取引委員会はほかの業者の参入を妨げるベンダーロックインと呼ばれる状況を問題視し、業者にとっては一旦受注すれば保守や修理時でも稼ぐことができるといった記事です。独占禁止法に抵触するおそれがあるとの内容でもあります。

 中野区においても、基幹システムの標準化・共通化を約20のシステムについて令和7年度までに進める必要がありますが、対象となるシステムが同様の状態になっていると考えますが、いかがでしょうか。また、情報システムの標準化・共通化をすることで、そのベンダーロックの状況を打破できると考えますが、いかがでしょうか。

○伊東住民情報システム担当課長 住民基本台帳や児童手当、国民健康保険など、基幹系の業務に関わるシステムにつきまして、区では原則としてオープン調達を行っており、ベンダーロックインの状態になっているとの認識はございませんが、国が示しております自治体情報システムの標準化・共通化の意義や効果は、行政サービス及び住民の利便性の向上、行政運営の効率化、コスト削減、そして委員御指摘のベンダーロックインの解消でございまして、区としてもそのようなことを踏まえまして標準化・共通化の取組を行っていく考えでございます。

○加藤委員 ちょっと私の昔話になっちゃうんですけど、国土交通省に勤めていたときにCommonMPというシステムの構築業務をやっていました。CommonMPというのは建設業界において気象・河川・上下水道をモデル化して洪水の予測化とかをするんですけれども、そういったもののシステムの標準化・共通化を狙ったものでした。河川の計画を作成する場合には、統計学上から想定される降雨、雨を設定して、洪水予測モデルで河川流量、被害想定などを算出します。しかし、この洪水予測モデルは建設コンサルタント、事業者によってそれぞれ独自に開発しておりまして、完全にブラックボックスで、同じ想定の降雨を入れても、コンサルがつくるモデルによって答えが異なるというのが大問題でした。コンサルの計算結果によって国家予算1兆円規模の河川整備事業費の109ある一級河川の割り振りが変わってしまうからです。そこでシステムの標準化・共通化のためにシステム開発をしたんですが、結果的に失敗に終わりました。というのは、最大の要因が、ベンダーロックが発生する理由がコンサルの事業者、囲い込み側の話だけでなくて、その事業者と慣れ親しんでしまった行政サイドの職員が、事業者を変えたくないという身内の問題だったからです。新たな事業者と洪水予測のモデルをやって、違う答えが出てしまって、例えば過去の計画を再現できないまま新たな計画を作っても、その新しい計画に対して信憑性がなくなってしまうから、住民に対して説明責任が果たせなくなると考えたからです。ほかにも、著作権の問題などもありましたけれども、本省からかなり圧力がかかったにもかかわらず、変わることはなかったです。発注担当者がプロポーザルで事業継続性に焦点を当てた技術提案をさせれば、結局、ほぼ間違いなく同じ業者が取れることになります。

 話を戻しますけれども、せっかく自治体の情報システムの標準化・共通化を国が進めて、ベンダーロックを外すチャンスができても、担当職員自体が新たなロックを自らかける可能性もあるわけです。というのは、国の標準とは関係なく、例えば保育園の利用調整基準とか、中野区独自で試算するシステムを設ける必要は今後も続くわけで、区独自のシステムをつくり続ける限りはベンダーロックがかかる可能性があるわけです。はっきり言って、そんなシステム、大したものではないですけれども、事業者によってはこのシステムをブラックボックス化されると、情報システムに弱い発注担当者によっては、そこに恐怖を感じて、新たな事業者に入られることを拒むようになることも考えられます。結果的にシステム関連に関する費用の圧縮できるチャンスを自らつぶす可能性すらあります。

 話が長くなりましたけど、システム構築、維持管理の発注する際に、ベンダーロックがかけられないように情報システム課等の職員によくよく仕様書などを精査してもらう制度が必要と感じますが、区はいかがお考えでしょうか。

○白井情報システム課長 区では情報政策の推進に係る規則におきまして、情報システムの管理を計画的・効果的及び効率的に行うためにCIO体制を整備し、調達ガイドラインにのっとり運用をしているものでございます。導入するシステムで実現すべき機能要件を備えているか、構築・運用経費の妥当性、情報安全の確保等の視点を持って確認するとともに、ベンダーロックインとならないよう、競争性を確保した仕様書となっているか、新規・リプレイスの案件にかかわらず、システムの調達時においては必ず精査を行う運用としているものでございます。

○加藤委員 こういったシステム構築業務は仕様書が命ですから、その辺の仕様書にいろいろな成果物だったり、プログラム総数がちゃんと見れるような形でやってくように、仕様書策定に努めていただきたいと思います。

 次に、マイナンバーの普及についてお伺いいたします。

 令和3年度区民部の事業概要を見ますと、マイナンバーの交付は平成30年度1万2,000件余り、令和元年度13万件余り、令和2年度35万件程度、そしてマイナンバーを使った証明書のコンビニ交付は、平成30年度2万8,000件余り、令和元年度2万5,000件余り、令和2年度4万1,000件余りとなっております。これらの数字から、もしマイナンバーカードを80%ぐらい取得した場合に、証明書の発行数が14万件ぐらいになるかなというふうに私のほうで試算しましたけれども、区が現在発行する証明書全体が40万件なので、3分の1ぐらいをコンビニ交付でカバーされるのかなというふうに考えます。8割というのも、ワクチンの取得と、その辺の数字が妥当かなというので勝手に決めた数字ですけど。なので、コンビニ交付の認知度が高まれば、さらにそのカバー率は増えるのかなと思います。どう考えても、明らかに事務作業が軽減することは分かっておりまして、委託の人件費を圧縮し、予算削減できる、財政効果が見込めると考えられます。マイナンバー取得率を向上させることで財政効果が生み出せるのであれば、国が交付事業を進めている中で、マイナポイント最大2万円のキャンペーンに、さらに中野区が上乗せで何かできないかなというふうに考えますけれども、そこで伺いますけど、マイナンバー普及による財政効果について算定されているようだったら、お聞かせください。

○伊藤戸籍住民課長 マイナンバーカード交付率の伸びに伴いまして、コンビニでの証明書交付数は飛躍的に増加し、令和3年度の交付数は1月末現在、約5万6,000枚となってございます。一方で、無料による証明書の発行のほか、相続に伴う除籍謄本の発行や郵送による証明書の発行など、コンビニ交付サービスでは対応できない証明書の申請も依然として残ってございます。また、令和5年度には戸籍証明の広域交付も開始される予定でございます。今後、コンビニでの証明書交付数が伸びていけば、必然的に窓口業務量が減っていくことが想定されるため、委託業務において必要な見直しを検討してまいりたいと考えてございます。

○加藤委員 窓口の業務量が減るということで、その辺は検討すべきところだと思います。もしその財政効果、積算して、その効果が大きいというのであれば、その財政効果に生まれてくる経費削減の、生まれてくるお金の中で区独自の交付キャンペーンなどを打ってもいいのかなと思います。昨年12月に情報政策等調査特別委員会で行った袋井市では、マイナンバーカードを取得すると抽選で5,000名が5,000ポイントもらえるキャンペーンを自治体独自にやっていました。結果的に5,000円当たるというところだったんですけど、3,800人ぐらいだったかな、全員行かなかったので抽選することはなかったですけども、自治体がそういった抽選をするということも一つの手法であるということを学ばせていただきました。そもそも国のほうで2万ポイントあげると言っているので、ここで5,000ポイント加えたところで、なかなか伸びはないだろうなというところで、思い切って10万ポイントぐらいつけて、それが抽選で当たるぐらいのことを考えてもいいのかなというふうに考えております。その際には、不公平感を与えずに、取得というよりは、コンビニ交付した証明書を送ると当たるとか何か、コンビニの利用も実際に行ってもらった人に当たるような、そんなキャンペーンもやってもいいのかなと思います。これは質問にしませんけれども。

 新庁舎では、訪問した区民が受付を1回で済ませられるように共通発券機を設置するということですけれども、区民が各フロアに移動しなければならないため、結局はワンストップとは言いがたい状況になっております。最近、新庁舎を建てた渋谷区では、ワンフロアとはいきませんけれども、2フロアで完結するように設計されております。ワンフロアがめちゃくちゃ広いというわけではないですけれども、一つの課の窓口業務をそれぞれ窓口とそれをフォローするバックヤードの業務に分けて、フロアを窓口とバックヤードをする階を変えているということで実現しているわけです。DX推進がなされれば、同じフロアにおわらずともできることは増えるということで、そういったことを踏まえてのレイアウトというのも考えられると思います。現在の体制だと、結局その課でまとまって仕事をやりたいという職員側の意思、職員ファーストの体制が区民に負担を強いているとも言えるわけです。現在、中野区の戸籍住民課の窓口では、窓口の後ろの2列目の職員が証明書の申請書、手書きで書いてもらった申請書を2列目の人に入力してもらうという業務があると聞いていますけれども、そこで担当にお伺いしますけど、窓口やバックヤードの改善について他自治体などの先進事例がどんなものがあるか、お伺いいたします。

○伊藤戸籍住民課長 他自治体での先進的な事例については、御紹介の渋谷区のほか、会津若松市やつくば市の事例を把握してございます。会津若松市やつくば市では、市民にタブレットやスマートフォンでの申請を行っていただくことで、市民は申請書を書かずに証明書の交付を受けられてございます。また、これらの市では、申請書データを電子データとしてシステムに取り込むことで、手入力の業務を不要にしてございます。

○加藤委員 2列目というのをタブレットで入力してもらうことで、書いているものを入力する2列目みたいなのは要らなくなる、かつ3列目とでも言えばいいですかね、奥のほうで確認作業というのもありますよね。それもMS365を入れれば、ある程度、作業を減らせられるのかなと。つまり、2列目、3列目をわざわざ窓口に置かなくてもできるんじゃないかなというふうに考えられるわけですけれども、そういったいろんな事例を含めて、中野区は今後どうやって取り組んでいくか、お伺いいたします。

○伊藤戸籍住民課長 区でもこのような先進事例を研究しながら、様々なシステムを活用して、区民サービスの向上と効率的な業務に向けた改善への取組を行ってまいりたいと考えてございます。

○加藤委員 こういった取組は戸籍住民課以外でもいろいろと、他自治体の事例を含めて進めていただきたいと思います。この項については終わります。

 最後に、統合型GISオープンデータについてお伺いいたします。令和5年度に向けて、区では統合型GISを構築します。GISとは地図データをベースに、図面情報や位置情報を地形図や住宅地図などに組み合わせて、用途に応じて必要な形で参照や抽出が可能となるものです。主にGISによって管理するデータは、都市計画図、道路現状平面図、道路判定図など多岐にわたっています。一方で、中野区の保有するデータは都市計画図や道路判定図を中心に、いまだ紙媒体での運用となっております。現在、紙媒体で運用しているデータは今後デジタル化をしていくわけですが、都市計画課、道路課、建築課などが抱えている情報は、紙媒体が何十万枚にもわたる膨大な量になっていると聞いております。これまでに当該の原図を何度か私、拝見させていただいたことがありますけど、かなりの量の変更点や注意点など、その地図の上に書き込みがなされているわけですね。これらの附帯的な、かつ継承が必要な情報もデジタルデータに変換がしっかりとなされるのか、非常に不安に感じるところであります。また、今後生き字引とも言える職員の方の退職も控えているとも聞いております。建築許可や道路判定といった業務は、長年の経験に裏打ちされた部分が強くあると思っていますが、行政である以上、定年退職等による人材の流出は避けられるものではなく、積み重ねてきた技術や知識の継承が必要となってきます。統合型GISへのデータ取り込みは、ただ行うのではなく、これまで職員が連綿とメモなどをしてきたその内容や更新履歴などの保有も必要になります。次年度以降、統合型GISへの取り込みを前提とした各種紙データの電子化をかなりの予算を持って行うこととしていますが、こういった課題に対応する内容となっているか、お伺いいたします。

○小山内建築課長 道路判定については、僅かな違いでも問題化することがあり、根拠を示すため、これまで蓄積された資料やメモ等を保存してきたところでございます。今後、統合型GISの導入に当たり、これらの電子化された資料等をきちっとひもづけることにより、これまでの経験や知識が活用されていくことと考えております。

○加藤委員 引き継ぎをしっかりとできんのかなという、誰とは言いませんけど、いなくなることを本当に懸念しているわけですけども、本当に大丈夫ですかね。

○小山内建築課長 今回の例えばひもづけのデータにつきましては、私ども建築課としては数年前から準備を進めておりまして、きちっと整理された資料で、きちっとひもづけをしていきたいということで、来年度の予算の中でもそういったことができるよう、きちっと仕様書をつくっているところでございます。

○加藤委員 ありがとうございます。またちょっと国土交通省にいたときの話になっちゃうんですけど、10年前に気象レーダーシステム開発をしておりました。この気象レーダーの情報は、皆さんが今多く使われているスマホアプリの雨雲レーダーなんですけれども、厳密に言えば、私が開発していたのは気象レーダーで、1分ごとに250メーターメッシュで観測された降雨、雨の情報で、この予測、その後、何分後にこのぐらい降るという予測のところに関しては、とった降水量観測データを基に気象庁が気象モデルで予測したもので、この観測データと予測データを合わせて高解像度ナウキャストという形でデータセットになっております。このデータは一般社団法人をかまして国が販売しているものです。国土交通省は、この情報を当初、自前で情報発信しようとも考えたんですけど、これだけいい情報だったら民間が勝手に広めてくれるんじゃないかなということで販売にいけました。自前で情報発信を試みようとも考えて、私もやっていたんですけど、レーダーで得られた情報はあくまで、その座標情報と降雨の情報だけで、ここから地図と重ね合わせたり、いろいろ、すごい大変だというのが分かったんで諦めました。情報公開をしたんですけれども、ちょっと時間はかかりましたけど、今、スマホの所有率が向上したり、民間の御努力もありまして、誰もがスマホで見れる情報になっていったという話です。

 何が言いたいかというと、今後の統合型GISやオープンデータの充実に当たって、自治体のシステムの標準化・共通化で整理させた区民情報のデータベースなど、その辺は個人情報をマスキングする前提ですけれども、官民データ活用推進基本法に基づいた運用も可能になると考えています。これらが実現すると、すごいことになるのかなと。中野区もうこういった売り物にするぐらい、いいオープンデータをつくろうという気概が必要なのかなというところで、その辺のオープンデータに、ビッグデータを整理することによって、例えばこういった情報が医療の政策に役立つとか、そういったことも誰かが研究してくれるかもしれないというふうに考えます。

 そこで、戦略的にオープンデータの開発をすることが必要と考えますけれども、区はどのように考えているか、お伺いします。

○白井情報システム課長 令和5年度の公開型GISの構築・運用開始に向けまして、オープンデータの種類でありましたり、システムでより活用が図りやすいデータ形式の拡充を考えているところでございます。国が示す推奨データセットにつきましては、既に区としては公開済みでございます。段階的にデータの公開数を現在は増やしているところでございますが、今後につきましては区民や事業者の利用実績でありましたり、ニーズを把握・検証しながら、需要の高いデータを中心に、さらなるオープンデータの充実を検討してまいりたいと考えてございます。

○加藤委員 ありがとうございました。最後に、また予算の話を言いますけれども、歳入の見込みが甘いということと、そして経常経費がこれから増えるような新規・拡充推進予算があるにもかかわらず、しっかりとその辺の経費削減についての検討がなされていないということを非常に危惧しているということをお伝えさせていただきまして、私からの総括質疑を終了させていただきます。ありがとうございました。

○ひやま委員長 以上で加藤たくま委員の質疑を終了します。