令和3年質問議事録


令和3年11月26日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録

 

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 

 1 BCP・半育休・創造力向上等を勘案した働き方改革の推進について

 

 2 「にぎわい」に着目した施策展開について

 

  (1)中野区景観方針について

 

  (2)道路占有による非日常の創出について

 

  (3)エリアマネジメントについて

 

 3 中野区地域包括ケア総合アクションプランについて

 

 4 環境・防災・住み心地を総合的に考慮した野心的な住宅政策について

 

 5 その他

 

 

 

○議長(内川和久) 次に、加藤たくま議員。

 

〔加藤たくま議員登壇〕

 

○11番(加藤たくま) 自由民主党議員団の立場から質問をさせていただきます。

 

 質問は通告どおりで、その他はございません。

 

 それでは、1番、BCP・半育休・創造力向上等を勘案した働き方改革の推進について。

 

 本来であれば、新しく中野区役所移転を契機とした働き方改革のため、どのようなDX推進、デジタルトランスフォーメーションが必要か議論すべきではありますが、現状としては新たなツール、アプリケーションを活用し、どんな働き方改革ができそうかという検討となり、手段と目的が逆になりがちです。そこで、本一般質問では、働き方改革のうち目的とすべき項目について触れていきます。

 

 まずはBCP。さきの定例会で平山議員が決算総括質疑で取り上げましたが、長崎県の佐世保郵便局で新型コロナウイルスのクラスターが発生し、日本郵便が6万通の郵送物の期日中の配達ができなかったとの報道がありました。中野区においても、庁舎1階マイナンバーカード窓口で多数のコロナ感染者が発生し、濃厚接触者の職員も出勤停止とし、窓口を1週間閉鎖する非常事態となりました。

 

 このようなリスク回避には、同じ部署の職員全員、そして同時出勤を避けるしかありません。そのためにも各所管で常に誰かが在宅勤務をする体制を構築し、当該所管の職員全員が罹患もしくは濃厚接触する事態を回避すべきと考えます。そこで伺いますが、BCPの観点から、各部署でテレワークの職員枠を設けることを義務づけるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 

 続いて、半育休を含めた日常の観点から、例えばテレワークする職員の率を10%とします。そうすると、職員は平均10営業日に1度、つまり2週間に1回程度在宅勤務となります。テレワークできる業務を10%まで高めておけば、例えば足をけがして病気休暇を取得すべき人が在宅勤務であれば働ける場合に、テレワークを選択できます。

 

 最近では、育児休暇を取得しつつもテレワークで在宅勤務を実現する半育休という言葉があるそうです。また、妊娠初期は不安を抱えた生活を送る人が多いわけですが、日本においては一般的に安定期になるまで周りに報告しない人が多いようです。産婦人科学会の統計データによりますと、30歳以上になると20%以上の方が流産になり、20歳代ですら8%以上あります。妊娠初期12週以下の流産の原因のほとんどが胎児の染色体異常であり、受精卵の段階で流産は運命づけられているということです。しかし、妊娠初期は誰にも妊娠に気づかれない中、体調が優れない状態が続き、挙げ句の果てに悲しい結果となった場合、親として全力を尽くせていなかったのか自責の念に駆られる人もいると聞きます。プライバシーに関わることで、上司への報告さえもなかなか難しいですが、上司へ報告し、庁内全体でつくり上げたテレワーク業務を自宅で担ってもらうことで、精神的、体力的にもサポートできないかと考えます。そこで伺いますが、各所管でテレワークを推進し、妊娠・出産・育児、条件つきの病気休暇において在宅勤務がしやすい環境をつくるべきと考えますが、見解はいかがでしょうか。

 

 10%の職員が出勤しない体制を構築できれば、机と椅子を10%削減できます。新庁舎においては、生活援護課、社会福祉協議会などの配置に関する議論があるわけですが、テレワークの実現により各所管の執務スペースの削減が可能となります。テレワーク推進、マイナンバーカード普及により執務スペースを縮小し、将来的に空いたスペースをほかの用途に活用できるよう検討すべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。

 

 次に、創造力向上について。自民党会派で福岡県古賀市のフリーアドレスのオフィスを視察させていただきました。机を自由に使えるフリーアドレスとなり、職員たちが、例えば来週はプロジェクトチームのメンバーが同じ島の机なり、仕事がしたい、一人で集中させてもらいたい、テレワークがしたいなど、ある程度の要望を組み込んだ後、残りの席はくじ引きなどで決めるそうです。席が変わることで様々な会話ができ、新たな創造的なアイデアが生まれるそうです。また、必ずテレワークの職員枠があるそうです。もし職場内に苦手な方がいても固定席ではないため、そのリスクも軽減し、ストレスが著しく下がるようです。現在、中野区の新区役所整備課は、新庁舎に先立ち、モデルオフィスとしてフリーアドレスにも対応できる執務環境としましたが、これまでの検証内容、また今後の展望をお伺いいたします。

 

 11月29日から子ども・若者支援センター、児童相談所の内覧会に伺いましたが、机はフリーアドレス仕様で、個人ロッカーがあり、新庁舎と同様の什器がそろっています。同施設の業務は特殊ですが、仕事の引継ぎ、継続性の重要性はほかの業務よりもなおのこと高く、フリーアドレスのオフィスの考え方は重要だと考えます。新庁舎が完成する前に、新施設におけるフリーアドレスに関するノウハウのフィードバックが必要だと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。

 

 新庁舎移転に向けて、区では区民サービスのさらなる向上、職員の生産性を向上させる取組としてペーパーレス推進基本方針を策定し、2年半後に迫る新庁舎移転に向け、全庁的に効果的なペーパーレスを進める必要がありますが、具体的にどのような手法で紙を削減していくのか伺います。

 

 また、部署、所属によって業務内容も様々で、紙文書の書類や取扱いは異なりますが、成果にばらつきが出ることを是とはできないため、全庁的に足並みをそろえるために、進捗が芳しくない部署への対処方針などをどのように行うかを伺います。

 

 ユニファイド・コミュニケーションを活用し、自席以外の様々な場所でも業務を行える新しい働き方を進めるということですが、現庁舎ではまだまだ紙ベース、手元の紙資料で作業することが多いです。現庁舎のうちからペーパーレスし、生産性を高め、スムーズに新庁舎での執務が始められるよう工夫、実施をすべきと考えますが、その点について伺います。また、新しいコミュニケーションツールについても現庁舎から徐々にならしながら、これからの働き方の検証、検討を進めていく必要があると考えますが、区の見解を伺います。

 

 新庁舎における行政と議会の情報共有の在り方についてもお尋ねいたします。区議会としても、議場システム、新庁舎における議会運営方法などの検討を進めておりますが、区のDXの進捗状況についての情報共有を図り、区と区議会で認識を合わせながら調整を進める必要があると考えます。今後導入を考えているコミュニケーションツールやICT機器について議会とも連携する必要があると考えますが、区の見解はいかがでしょうか。ちなみに、本原稿はMS365のディクテーション、音声認識を使って取材をしておりますけれども、この原稿を作るのにふだんの半分ぐらいの時間で済んだかなということで、コミュニケーションツールの在り方、よくよく考えていただければと思います。

 

 続きまして、2、「にぎわい」に着目した施策展開についてのうち、(1)中野区景観方針について。よい景観をつくりましょうとなれば、一般的に自然あふれ、テーマ性のあるまち並みというような表現になるかと思います。例えば東京駅周辺や西新宿の高層ビル街は看板の設置が禁じられ、スマートなまち並みです。自然との調和であれば、雪国のコンビニの看板が茶系になっている事例があります。景観とは地権者と相互努力が必要不可欠で、話合いで景観のテーマが決まらないと何も前に進みません。そして、決まらないことがほとんどで、多くの場合、防災面からまちづくりが進められ、特徴のないまちが出来上がっていきます。

 

 以前、私は景観デザインの学会に論文を出したこともあり、景観について多少学びましたが、今も昔もキーワードは緑と水辺とにぎわい、この三つ。場所によっては歴史や文化というキーワードも加わります。中野区景観方針骨子においても、目指す景観もそのキーワードを軸に構成されております。桜並木で有名な中目黒の目黒川沿いなどが分かりやすい理想像の一つになるのでしょう。

 

 私は様々なまちでどんな風景、景色、デザインがいいか、勉強会、パネルディスカッション、ワークショップなどを実行する企画運営メンバーとなり、時にはファシリテーターも務めたことがあります。参加者と議論をすると多種多様の価値観があり、参加者の中には、川の中には珍しいミジンコがいるため、川の改修は断じて認めないなどの意見もあり、なかなか統一見解を見出せず、最後やっつけの結論として、緑と水辺とにぎわいが調和するまちにすべきとまとめると、その場は一旦落ち着きます。しかし、これは具体的な方針が全く定まらないわけです。

 

 時代にそぐわない表現かもしれませんが、一つ思い出しました。三島由紀夫の書籍で「文章読本」というのがありますけれども、「あなたが小説を書くとき、彼女は絶世の美女だと書けば、それで、そのままその人は絶世の美女となるのです。」という一節があります。しかし、映画などで映像化されると個々のイメージと異なってくるということも述べられております。景観も同様で、個人が描く理想はそれぞれ異なります。多様性があるまちにすると掲げ、具体性がないということと同様です。

 

 また、ワークショップという手法は、東日本大震災後の復興方針について議論する場合は、早く結論を出さなければ自分たちの住む場所も描けないため、具体的な結論を導くことができました。しかし、切迫感がないワークショップは参加者のガス抜きを一定程度するだけの手法であり、それには限界があります。区はこういったところを丸投げするのではなく、最終的には腹を決めるしかありません。そこで伺いますが、景観方針で示される良好な景観を区内各地域で実現していく際には、どのようなスキームで構築していくのか伺います。

 

 例えば具体的にスカイライン、屋根の高さの統一、沿道の緑化などを義務づけしようというのは簡単ですが、民有地での計画策定、実施は困難を極めます。また、小宮山議員が主張される神田川などの水辺空間を最大に生かすことも重要な視点です。しかし、川沿いには建物が張りつき、コンクリート三面張りの川の中で親水空間を造ろうにも、気候変動に伴う降雨の激甚化、ゲリラ豪雨による洪水リスクが年々上昇し、区民の命を守る観点から行政はゴーサインを出せません。河川災害があった場合、自己責任論では済まされず、行政側が裁判で負けるケースが多いからです。ICTを活用した緊急避難手法の確立でこの状況も打開できると期待はしておりますが、即座にできるものではありません。

 

 何が言いたいかといいますと、先ほど挙げました緑と水辺とにぎわいのこの三つのうち、緑と水辺は地権者の合意形成、行政的な了承を得るのが非常に困難です。となると、緑、水辺、にぎわい、三位一体の理想的な景観方針を策定しても、道路の計画線を引いて30年間何も進まない事例と同様な形になっていくことが想定されます。

 

 景観方針を活用した事例は、にぎわいを主とすることが現実的には推進しやすいです。簡単に言えば、もうかるからです。住居エリアを除いた市街地に限定すれば、もうけ話に賛同する人は多いはずです。新しい中野サンプラザを含めた中野通りの景観は、区民のみならず全国的に興味を持たれる話です。東京駅周辺のように看板をなくし、かつ四季の森と連動性のある空間、それとも中野らしくアジアンチックに看板がたくさんあるまち並みにするのか。中野四丁目、五丁目で二面性をつくるのか。はたまた統一性を持たせるのか。中野通りの桜並木へのライトアップ、照明をつくるのか。特徴ある道路タイル、中野区の中心とも言える中野駅ガード下の整備、エリアマネジメントなど、様々にぎわいツールを景観の観点からは考える必要があります。

 

 そこで伺いますが、景観施策の中で緑、水辺、にぎわいを生かした景観形成が最も典型的だと考えますが、区は現在策定中の景観方針の中でにぎわい形成についてどのように位置付けていくのか伺います。また、具体的ににぎわいの実現に向けてどのような景観誘導手法があると考えられるか伺います。

 

 続きまして、(2)道路占有における非日常の創出について。なぜアミューズメントパーク、テーマパークなどに行きたいかと理由を問われましたら、根底は非日常を味わいたいからではないでしょうか。中野区にはアミューズメントパークの誘致は非常に困難でありますけれども、にぎわいを生み出す非日常空間をつくり出すことはできると考えます。例えば中野区の神社祭礼において、青梅街道南台交差点などを一時的に封鎖する神輿の渡御があり、鍋屋横丁、川島通り、南台商店街などを封鎖したお祭りも盛況です。四季の森公園沿道で東北復興祭のねぶた、ランニングフェスタなど、道路占有によって生まれた非日常空間には多くの笑顔があふれており、臨時的なアミューズメントパークが生まれます。無論これらイベントは関係者の長年による御努力によって実現したものです。

 

 余談ではありますが、私がタイに行ったときの話をします。現地の国土交通省の職員からレストランに招待されて、大学の後輩20人と幌なしの軽トラの荷台に乗せられました。そのまま移動して、すぐ近くのお店に行くと思ったんですけど、軽トラは一般道から高速道路に乗ってしまって、非常に興奮したことを覚えました。窓もドアもないトゥクトゥクと呼ばれるタクシーがあるように、実はこれは問題ないらしいんですね。こういった日本の法律という一般常識が身についていることでイメージしづらいですが、イベント利用や特区制度を活用して道路交通法を一時的に緩和させることで、どこでもアミューズメントパークをつくることを理解していく必要があると思います。このような道路上でのイベントなど、にぎわい創出の観点から道路占有の取扱いについて区の見解を伺います。

 

 ところで、沼袋の区画街路第4号線は道路拡幅により新たに生まれ変わる商店街です。国土交通省で昨年の5月に歩行者利便増進道路制度を創設しました。これは、にぎわいのある道路空間を構築するための制度であり、区画街路第4号線におけるにぎわいの創出として道路上でのテラス席など、一つの重要な切り口となると考えますが、区として今後どのように展開していくのかをお伺いします。

 

 (3)エリアマネジメントについて伺います。第2回定例会一般質問で取り上げましたが、コロナ禍でキッチンカーが増えました。資金面、能力面などで自信がない方が飲食業にチャレンジできるということで人気が出ました。将来的に新区役所前に位置する四季の森公園イベント広場及び周辺道路を活用し、キッチンカー事業者に期間限定で場所の無償提供ができれば、区の職員がお弁当を買い求めやすく、好循環が望め、新たなにぎわいが創出できます。事業者は中野で商売を始め、お客さんがつけば中野で店舗を持ちたいと考え、空き店舗対策につながる可能性があります。サンプラザ解体中の中野駅北口のにぎわいの一助となることが考えられます。ほかのエリアマネジメントの対象となり得る地区においても同様のことが期待できます。エリアマネジメントで生まれた活力を区全体に広げるためにも、このような空間活用があってもよいと思いますが、区の見解をお伺いいたします。

 

 オンラインショッピング、スーパー、コンビニで買えないものはない時代になりました。中野区商店街連合会からのお話ですと、現在、商店街の個店で生き残りができるのは、サービスを受ける本人が来店する理美容、マッサージ、飲食店とのことです。区としては、キッチンカーの創業の後押しで飲食店を盛り上げていくことができると考えます。

 

 続きまして、(仮称)中野駅周辺エリアマネジメント協議会設立について伺います。いよいよ協議会が設立されますが、中野駅周辺におけるエリアマネジメントの取組の進捗状況を伺います。また、協議会の主体は中野区民間事業者、経済団体、地域団体となりますが、中野駅周辺のエリアマネジメントはどこがハンドリングするのか伺います。

 

 続きまして、3、中野区地域包括ケア総合アクションプランについて伺います。

 

 令和2年第3回定例会地域包括ケア推進調査特別委員会において、地域包括ケアに向けての区民1万人アンケートの内容が出てきましたけれども、生活実態、意識の調査に偏った内容であり、施策につながらないと私は指摘させていただきました。そして、令和3年第2回定例会で令和2年度暮らしの状況と意識に関する調査の一次処理データが報告されましたが、案の定、施策につながる調査結果ではありませんでした。また、11月4日の厚生委員会で報告された中野区地域包括ケア総合アクションプラン中間のまとめについてで、アンケート調査結果として、孤立感を感じていない人たちは趣味、生きがいがある。要介護度が上がると外出していない割合が増える。SOSを発信できない人たちはスーパー、コンビニ以外にあんまり行かない。自分のスキルを地域に生かしたいが、やり方が分からないなど、こういった概略が書いてあったわけでありますけれども、当たり前の事実が、アンケートを取らなくても分かるような当たり前の事実が挙げられていたわけであります。生きていればスーパー、コンビニぐらい行くのは当たり前で、わざわざ1万人にアンケートをして出てきた結果がこれなのかなと残念に思うところであります。実態把握は重要ではありますが、その生活苦に対して何ができるか、その施策を導けないものでありました。一般質問というよりは一般的な疑問ではありましたが、640万円の予算、多大な時間をかけてあれだけ大々的に実施したアンケートで知り得た事実は何だったのか。また、そこから見出した施策は何かを伺います。また、アンケート結果からアクションプランに反映する取組は何になるのか伺います。

 

 地域包括ケアシステム推進プランでは認知症対策が柱8にありましたけれども、総合アクションプランでは認知症対策は権利保護に含まれることになり、特出しの施策ではなくなり、認知症発症と歯周病の因果関係も指摘されるなど、これから予防手法の確立がされていく中で、中野区のそういったところの積極的な施策展開を期待していたので、残念でなりません。トーンダウンした感がありますが、認知症対策について区はどのような施策を展開されるおつもりなのか伺います。

 

 認知症や不慮の事故で自分の意思が表示できない、表明できなくなることがあります。私ごとではありますが、私の父が生活習慣病を患い、入院し、その病院でコロナのクラスター感染し、コロナ病棟から戻ったら終末期医療の病院行きとなりました。現在、本人の意思を確認できない状況です。ぎりぎり会話ができたとき、父は家に帰りたいと連呼しており、最後の希望と思い、医師に自宅での尊厳死、看取りを希望したら、あり得ないと一喝されまして、現在ほぼ寝たきりの状態が続いております。家族としてはあらゆる可能性を模索し、悔いが残らないように今もしているだけです。

 

 先日、特別養護老人ホームの入居相談を受け、相談者に今のエピソードを話しましたら、要介護者及び家族同士の未来についてしっかりと話すきっかけができ、情報共有をさらに深め、ケアマネジャーさんに状況をしっかりと伝えることになりましたら、要介護度が変わるなどして状況が改善していったそうです。地域包括ケアの構築も非常に重要ではありますけれども、家族でそういったことを話し合う風土をつくり上げていくということが最優先事項だと実感しました。ずっと父と終活について話そうと考えていた時期もありましたけど、私自身が転職、結婚、出産など目まぐるしいライフステージが変化する中で、気づいたらこういった手遅れの状況になっておりました。言霊信仰、滅相もない、縁起が悪い、腫れ物に触るなど言いますけれども、手遅れになる前に腹を割って家族で様々話すべきだと考えます。

 

 成年後見人制度の利用促進、介護や医療が必要になったときに、自身が望むケアを受けるために、ACP、アドバンス・ケア・プラン、人生会議の普及を推進し、特に自助の大切さを芽生えさせることも必要だと考えます。超高齢化社会を迎えるに当たり、例えば60歳、65歳、70歳等の節目の年に成年後見制度やACPについての利用や理解促進を推奨すべきと考えますが、区の見解はいかがかお伺いいたします。

 

 最後に、4、環境・防災・住み心地を総合的に考慮した野心的な住宅政策について。

 

 11月に中野区はゼロカーボンシティとして、2050年までのカーボンニュートラルを目指し、本格的に脱炭素施策を進めることを宣言しました。また、様々な社会情勢も踏まえて、基本構想が示す安全安心で住み続けたくなる持続可能なまちの実現を目指すことが求められ、災害にも強く、バリアフリー、ユニバーサルデザインに配慮した住み心地のよい住環境の形成が必要です。環境、防災、コロナに伴う新しい生活スタイルなどの変化を鑑みた良好な住環境形成に向け、区は国や都の補助事業やインセンティブ等を活用して、相当野心的かつ斬新的な住環境施策を展開すべきと強く感じております。例えば環境、防災、福祉に配慮したマンション建設などに関して、土地利用の観点でこうした施策に対応した緩和策、容積率アップなどのインセンティブ政策があるのか伺います。

 

 また、現在、区では建築課で対応している集合住宅条例は、一定規模以上の集合住宅に対してワンルーム住宅のみの設置を規制し、一定割合のファミリー住宅の誘導や自転車駐車場の設置、ごみ置き場等の設置など、周辺環境に配慮した建築を誘導しております。区の集合住宅の建築等の条例では、一定規模の住宅に対してファミリータイプの誘導を図っておりますけども、誘導居住水準を満たして居住をもっと増やす。最低床面積を増加させるなど、もっと誘導を図っていくと考えますが、いかがでしょうか。あるいは耐震耐火、良好な居住水準を満たした優良マンションの建設を誘導する制度はあるのか伺います。

 

 カーボンニュートラル実現に向けて野心的な住環境施策が求められ、これまで以上に環境配慮への規制・誘導が必要ですが、かなり厳しいと言えます。エコや脱炭素へ向けたインセンティブによる積極的な誘導が必要と考えますが、区の見解を伺います。

 

 また、区はゼロカーボン社会の実現に向け、環境配慮型の住宅建設や住環境形成等に関して具体的にどのような誘導策等を検討しているのか伺いまして、私からの全ての質問を終えます。

 

〔区長酒井直人登壇〕

 

○区長(酒井直人) 加藤議員の御質問にお答えいたします。

 

 初めに、BCP・半育休・創造力向上等を勘案した働き方改革の推進について。

 

 初めに、テレワークをする職員枠の義務づけについての御質問です。BCPの観点からも、一定の規模の職員がテレワークできる体制を構築することは有効であると認識をしております。現在、テレワークの本格実施に向けた検討を進めているところでございますが、テレワークに必要な端末の台数や、テレワークにより自宅等で処理できる業務の量、これに制約があることから、枠を設けて義務づけるのは現在のところ難しいと考えております。業務の内容によっても、テレワークの実施しやすさが異なるため、それぞれの職場によってテレワークの可能性について積極的に検討するように促してまいりたいと考えております。

 

 続きまして、テレワークの推進についてでございます。BCPの観点のほか、職員が出産や育児、介護、病気やけがなどで通勤困難な場合等にも働きやすい環境をつくるために、テレワークの本格実施に向けて、これを推進していきたいと考えております。

 

 テレワークの推進に伴って、将来的なスペースが生まれるということについての活用についてでございます。新庁舎につきましては、レイアウト変更等が柔軟に行えるように間取りや内装を更新しやすい構造としておりまして、可動式の窓口カウンターも想定しております。将来的に来庁者や新庁舎で働く職員数が減少した場合には、空いたスペースを他の用途としても活用できるものと考えております。

 

 続きまして、モデルオフィスの検証内容、今後の展望についてでございます。庁内4階に設置しておりますモデルオフィスでは、新庁舎で導入を検討している什器及びICT環境を一部先行して導入し、新庁舎で目指す職員の働き方を実際に試行しております。これまで複数モニターやPCのペンタブレット機能を活用したペーパーレスの効果、それから、椅子の機能性や個人ロッカーの使い勝手等の検証を行ってきたところでございます。現在、同一係内におけるフリーアドレスも実践しておりまして、従来型の固定席方式との比較検証を行っております。今後はモデルオフィスで検証した内容をまとめて、什器やICT機器の発注や働き方のルールづくりに活用してまいります。

 

 次に、子ども・若者支援センターでの取組の活用についてでございます。子ども・若者支援センターにおきましては、業務内容や職員育成の観点から、当面席を固定化する予定でございます。子ども・若者支援センターで行っている取組や什器類の使い勝手等の内容については、新庁舎の検討に反映をしてまいります。

 

 次に、全庁を挙げてのペーパーレス推進の取組についてでございます。ペーパーレス推進は、継続的な文書量調査を行うとともに、電子申請及び窓口対応、電子化の推進等の観点から、業務特性に応じて各部で対象文書を選定し、電子化作業を民間事業者の知見も活用しながら効率的に進めていく必要があります。こうした考えの下、区では現在、副区長をトップとしたペーパーレス推進本部を設置して、各部の進捗状況の確認や優良事例、改善点の共有等を行っております。進捗が芳しくない部署につきましても、推進本部での確認や課題の洗い出しを通じて削減に向けた取組を進めておりまして、今後も全庁を挙げて着実にペーパーレス環境の実現を図ってまいります。

 

 次に、新庁舎に速やかに移行できる取組についての御質問です。新庁舎では執務環境に合わせてペーパーレスや場所を選ばない働き方の実現等、職員の働き方も大きく変わることになります。現庁舎のうちから紙を使用せずに、資料を見比べられるようなサブモニターの設置や、画面上で複数の電子ファイルを閲覧しやすい仕組みの導入など、ペーパーレスで業務を行える環境を現段階からできるだけ整えていくことで、新庁舎での働き方に速やかに移行したいと考えております。

 

 次に、新しいコミュニケーションツールの段階的な導入と新しい働き方の検証、検討についてでございます。新しいコミュニケーションツールに関しましては、新庁舎移転と併せて実施する本格運用に先行して、現庁舎にて業務用チャットやスケジュール管理、資料作成等、利用できる部分について段階的に利用開始をし、操作の習熟及び新しい働き方への活用を行うとともに、導入による効果を検証してまいります。

 

 次に、コミュニケーションツールを活用した議会との連携についてでございます。新庁舎における議会との連携については、お互いに情報共有を行いながら、一体となって検討を進めていくことが重要であると考えております。現在、区ではユニファイド・コミュニケーションの活用による情報伝達の円滑化や、ICT機器の導入による区政資料のペーパーレス化等の具体的な内容について検討を進めておりますが、これらの検討の内容についても適宜議会に情報提供してまいります。

 

 次に、中野区景観方針についてでございます。初めに、良好な景観形成に向けた手法についてでございます。景観方針では、区が目指す良好な景観形成に向け、区民参加の仕組みづくり、景観に取り組む区の体制づくり、景観形成事業の推進などを示すこととしております。この方針を踏まえ、区は今後、景観法に基づく景観計画を策定し、この中で景観計画区域、建築物の形態、意匠等の規制、誘導手法など、良好な景観形成に向けた様々な手法を示すとともに、区民参加と協働のための仕組みづくりを進めていく考えでございます。

 

 続きまして、景観方針におけるにぎわいの形成についての御質問です。景観方針の中では、暮らしの中のにぎわい、潤い、個性を育てる景観形成についての基本方針の一つとして示し、活気や親しみのある商店街、多くの人々が集まり、交流する場の形成、居心地がよく、歩きたくなるまちなかの実現など、活気や地域の魅力を高める景観形成を目指すこととしております。にぎわいを高める景観誘導手法としては、身近な景観資源を生かし、地域の自主的な合意形成により良好な景観づくりを目指す景観協定や建築協定制度、建築物の形態、意匠等の規制や壁面位置の後退等により、にぎわい空間づくりを目指すまち並み誘導型地区計画などの手法がございます。

 

 続きまして、道路占用の取扱いについての御質問です。区では地域の活性化やにぎわいの創出等に寄与する道路空間を活用した路上イベントの実施等の取組について、国土交通省の道を活用した地域活動の円滑化のためのガイドライン改定版、こちらに基づいて一般交通の確保とともに、公共性、公益性と地域における合意に配慮しながら占用許可を行っております。また、中野区内の道路は狭く、歩道のない道路が多いことから、交通管理者である警視庁と連携しながら検討していきたいと考えております。

 

 続きまして、区画街路第4号線におけるにぎわい創出についてでございます。区画街路第4号線沿道は、現在、商店街でございます。道路拡幅後も店舗やテナント等の活用が見込まれます。道路拡幅後の道路空間の活用に当たりましては、商店街の活性化や新たなにぎわいの創出に向け、地域住民や各商店街の意向を確認してまいります。国土交通省が創設した歩行者利便増進道路制度につきましては、地域の意向に沿った活用が見込まれる場合に、道路管理という視点も含めて交通管理者と協議するなど、地域を下支えしていきたいと考えております。

 

 続きまして、公共空間を活用したにぎわい創出、区内経済活性化についてでございます。中野駅周辺が再開発等によって変わりゆく中で、いかにこれまでのにぎわいをつなぎ、さらに発展させていくのかということは大きな課題であると認識をしております。公共空間を活用したにぎわいの創出は、エリアマネジメントの主たる取組の一つでございまして、地域経済の活性化にも寄与するものと考えております。まずは先行する中野駅周辺におけるエリアマネジメントの取組を試金石として、同様の課題を抱える区内各地区に展開していきたいと考えております。

 

 そして、中野駅周辺のエリアマネジメントの進捗状況についてでございます。現在、中野駅周辺エリアマネジメント協議会、この設立に向けて組織の制度設計の検討や、構成員となる関係者の調整を進めているところでございます。協議会の設立後は、中野駅周辺のまちの将来像等について、にぎわいや安心安全といったソフト的な観点から描いたエリアマネジメントビジョンを協議会として策定したいと考えております。

 

 続きまして、エリアマネジメント協議会の主たる担い手についてでございます。エリアマネジメント協議会の設立に向けた具体的検討や関係者調整のほか、設立後の事務局運営については区が担うことになります。今後、まちづくりが進展する中で、より発展的な取組が求められる場合は、適切な組織の在り方や役割分担等を協議していくものと考えております。

 

 続きまして、中野区地域包括ケア総合アクションプランについて。

 

 初めに、アンケート結果から把握できた事実や施策についてでございます。調査結果として、これまで主に社会的孤立や孤独、SOSを発信できないリスクの高い区民、地域の担い手に関する結果について報告をしております。社会的孤立や孤独、SOSを発信できない人については、地域で利用している施設や抱えている悩みなどの生活実態が把握できたことにより、調査結果を活用し、これまで十分ではなかったひきこもり支援などについて取り組んでいく予定でございます。ひきこもり支援の取組は総合アクションプランにも掲載しておりまして、令和4年度からはプラットフォームの立ち上げや本人、家族支援のための事業を実施する予定でございます。

 

 続きまして、認知症施策の展開についてでございます。総合アクションプランの柱につきましては、支援の対象者が広がったこと、若年性認知症への対応もあることから、権利擁護に変更いたしましたが、認知症施策については引き続き力を入れて取り組んでいるところであります。具体的な施策としては、従来の取組のほか、認知症本人や家族支援の場として運営するオレンジカフェについて、今年度新規開設支援を行うとともに、令和4年度については認知症検診の実施と地域における認知症地域支援拠点、これの設置を目指しております。これまで実施してきた取組や成果、今後の取組について総合的に発信をしてまいります。

 

 最後に、成年後見制度やACPの理解や利用促進についてでございます。節目の年や定年、あるいは介護保険制度への加入等のタイミングで、成年後見制度やACPについて理解を深め、御自身のその後の生活や望ましい医療、介護のケアについて考える機会を持つことは重要だと考えております。これまで区民や事業者に対する講演会等については実施しているところでございますが、節目の年に一斉に集中することも効果的であり、今後の取組に生かしてまいりたいと考えております。

 

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

 

○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、環境・防災・住み心地を総合的に考慮した野心的な住宅政策についての御質問のうち、初めに、新しい生活スタイルなどを考慮した土地利用のインセンティブについての御質問にお答えをいたします。

 

 東京都は、新しい都市づくりのための都市開発諸制度活用方針を策定し、この中で多様なライフスタイルやライフステージに応じた質の高い居住環境形成に資する総合設計や、市街地再開発事業等に対しまして、環境、防災及び福祉の都市づくりなど、公共貢献に応じて一定の割増し容積などについても示しているところでございます。区はこうした制度の活用等を前提としまして、改定中の都市計画マスタープランでは、良好な住環境を提供する都市づくりの基本方針を示し、時代の変化に対応した良質な住宅の建築による居住水準の改善、多様な世帯が暮らすことができる住宅供給、安全安心な住環境の確保等を目指すこととしてございます。

 

 続きまして、集合住宅条例に基づく規制・誘導等についての御質問でございます。条例は最低限の基準を示したものでございまして、ファミリー世帯の誘導や居住水準の向上につながる手法への誘導に当たっては、事業者や個人の建築主への過度の負担とならないよう慎重に対応していきたいと考えてございます。

 

 また、耐震耐火及び良好な居住水準を満たす建物に対しましては、税制面の優遇等が受けられる長期優良住宅認定制度がございます。今後もこうした制度が十分活用されるよう周知を図り、良好な住宅が確保できるよう積極的に取り組んでまいります。

 

〔環境部長朝井めぐみ登壇〕

 

○環境部長(朝井めぐみ) 私からは、環境配慮型住宅建設の誘導についての御質問にお答えいたします。

 

 区内の二酸化炭素排出量は、家庭における電力やガスの消費によるものが約半分を占めていることから、ゼロカーボンシティを実現するためには住宅の環境性能の向上が不可欠であると考えております。来年度は既存住宅の断熱性向上に向けた助成制度の実施を検討しておりますが、その後も国や東京都の助成制度なども勘案しながら、新たな助成制度を創出するなどによりまして、環境配慮型の住宅を増やし、地域の脱炭素化を強力に進めていきたいと考えております。

 

〔加藤たくま議員登壇〕

 

○11番(加藤たくま) 4番の環境・防災・住み心地を総合的に考慮した野心的な住宅政策についてお伺いいたします。

 

 中野区におきましては、狭小住宅を建てることが一番利益が生まれるというような、交通の便というところもありまして、これを解決するためには、最低床面積を強引に増やす。しかし、その代わりに容積率をアップするとか、そういった野心的な住宅政策がない限り、国の制度のままやっていくと、それをクリアできない。中野区独特の課題に対してクリアができないんじゃないかということを考えているんですけれども、その辺、積極的な政策を御検討されるおつもりがあるかというのを再度お伺いしたいと思います。

 

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

 

○都市基盤部長(奈良浩二) 加藤たくま議員の再質問にお答えいたします。

 

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、現在におきましては集合住宅条例に基づく規制・誘導ということで最低限の基準を示してございます。御指摘にありましたような点につきましては、今後研究してまいりたいと考えてございます。

 

○議長(内川和久) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。

 

 

令和3年09月17日中野区議会決算特別委員会の会議録

 

 次に、加藤たくま委員、質疑をどうぞ。

 

○加藤委員 自民党の一番手として質疑をさせていただきます。

 

 令和2年度予算は、酒井区政3年目となり、区長のカラーが色濃く出た内容でありました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大によりまして、それを起因とした感染拡大予防事業、医療体制の構築、特別定額給付金の事業など、様々な新規事業が国からなど発生しまして、一部事業を中断せざるを得ない、イレギュラー続きの区政運営となりました。そういった中で、最前線で執務を行われた職員の皆様方には、本当に感謝いたします。

 

 しかし、その令和2年の区政運営がよいものであったかというのは、その新型コロナのために分析が困難であり、中村委員もいろいろ新型コロナと一般事業で分けてやられておりましたけれども、新型コロナによって相当大変だったということは、分かったところでありますので、我が会派としては、限られた予算、職員、技術などの中で妥当な運営ができたかどうかを指摘させていただきたいと思います。

 

 そして、来年度予算は、その中でどうするべきであるかという総論を申し上げていきたいと思っております。

 

 それでは、1番、令和2年度決算について伺います。

 

 まず、定型的でありますけれども、歳入について触れます。特別区民税、先ほどもありましたけれども、増加の原因はどう分析されておりますでしょうか。

 

○竹内税務課長 お答えいたします。令和2年度の特別区民税の収入額は340億6,285万7,000円でございまして、前年度と比較して13億4,579万円増加してございます。これは、納税義務者数の増加や納税者1人当たりの所得額の増によるものと分析しております。

 

○加藤委員 来年度以降はどのようになると予測されていますでしょうか。

 

○竹内税務課長 国は、景気回復にはなお時間がかかるものと見ておりまして、過去の類似事例でございますリーマンショックにおいても、影響が複数年続いたことがございます。新型コロナウイルス感染症の影響も複数年続くと予想されておりまして、その動向には注視してまいりたいと考えてございます。

 

○加藤委員 リーマンショックのときは、東日本大震災の影響もあって、かなり長く、5年ぐらい影響が続いたというようなこともありましたけれども、新型コロナはリーマンショック以上のものだと言われている中で、どういったことになるかということでは、予断を許さない状況が続くものだと思います。

 

 そうしましたら、次は特別区交付金のほうを伺いますけれども、当初予算より減少しまして、昨年度予算よりも減額となっておりますけれども、その要因についてお伺いいたします。

 

○森財政課長 特別区交付金の減要因でございますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりまして、また、法人住民税の国税化の影響もありまして、交付金の財源でございます調整税等が減になったことが、減少の要因というふうに捉えております。

 

○加藤委員 その法人住民税等が減少した理由は、どう分析されているんですか。

 

○森財政課長 一つは、税制改正の影響がございます。

 

 もう一つは、大きなところですが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりまして、法人に影響があったということで、減少したというふうに捉えております。

 

○加藤委員 一般的に経済状況がよくないだろうというところは、イメージできるところでありますけれども、来年度以降はどうなると予測されておりますでしょうか。

 

○森財政課長 令和2年度の決算状況ですとか、現時点での令和3年度の歳入見込みということからすると、上振れの状況でございます。ですが、経済状況は不透明でございますので、しっかりその辺りは注視していく必要があると考えております。

 

○加藤委員 上振れって、上に上がっていくと予測されているということでよろしいんですか。

 

○森財政課長 そういった傾向もあると考えておりますが、しっかり経済状況等、そこは注視していきたいと考えております。

 

○加藤委員 そうしましたら、今後の歳入全体としての見通しで、中野区はどのように予想されていますでしょうか。

 

○森財政課長 一般財源の歳入全体としまして、令和2年度の歳入状況というのが想定よりもよかったということでございます。また、令和3年度も想定より上振れの状況も見込まれるというようなところでございますが、繰り返しになりますが、経済状況等、しっかりその辺りは注視していきたいと考えております。

 

○加藤委員 そうしましたら、次、歳出のほうを伺います。

 

 生活保護については、先ほど質疑で取り上げられておりましたので、質問は割愛いたしますけれども、生活、住宅、介護扶助とかが増加しているものの、医療扶助が減少したということで、全体としては生活保護費が減ったということですが、あまり増えなかったというところは、政府・与党の新型コロナの緊急対策で、住宅確保給付金、総合支援資金貸付けの拡大だったり、特別定額給付金などがあったというふうにも、理由として挙げられるのではないかということは思います。しかし、今後、新型コロナの影響で見通すことはできないというような答弁であったと思います。

 

 そうしましたら、次は国民健康保険事業特別会計繰入金等について、その令和2年度決算と今後の傾向について伺います。

 

○伊藤保険医療課長 令和2年度におきましては、被保険者数の減少などの影響に伴い、国民健康保険事業特別会計への一般会計繰出金は38億3,349万5,000円で、令和元年度から6億59万3,000円の減となってございます。今後、国民健康保険の被保険者数は、令和2年度の約7万7,000人から減少すると見込まれるため、一般会計の繰出金も減少すると見込んでございます。

 

○加藤委員 続きまして、後期高齢者医療特別会計の広域連合納付金などについて伺います。同様に、令和2年度決算と今後どうなっていくかという予測についてお伺いします。

 

○伊藤保険医療課長 令和2年度におきましては、新型コロナウイルス感染の拡大などの影響から医療給付費が減少し、広域連合への納付金は、令和2年度、69億2,195万5,000円で、3,901万2,000円の減となってございます。しかし、団塊の世代が75歳を迎える来年1月以降、被保険者数は現在の3万4,500人から2%あるいは3%増加することが想定されてございます。今後、広域連合への納付金及び一般会計の繰出金は増えていくと見込んでございます。

 

○加藤委員 令和4年10月以降には、後期高齢者、現在、1割負担のところが2割負担へと変わっていくということですけれども、区財政への影響についてどのように予想されているか、お伺いします。

 

○伊藤保険医療課長 自己負担額が1割負担から2割負担に変わる方につきましては、必要な医療受診が抑制されるといった事態が生じないように、2割負担施行後の3年間は、外来患者の1か月の負担増が最大でも3,000円に収まるような措置がなされることとなってございます。広域連合納付金及び一般会計の繰出金が減少すると考えられるのは、令和7年度以降と考えてございます。

 

○加藤委員 続きまして、介護保険の特別会計について伺います。

 

 今年度はどんな傾向だったのか、今後どのような予想をされているのか、お伺いします。

 

○葉山介護・高齢者支援課長 お答えします。介護保険特別会計全体の歳出につきましては、微増、僅かに増ということになっております。高齢者人口はほぼ横ばいでございますけれども、その中でも高い年齢層の人口の増加が反映しているものと見ております。新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、通所系のサービスは減、訪問系のサービスは増といった傾向は見られますが、特別会計全体の数字には表れていないという状況でございます。今後の見通しといたしましては、微増傾向が続くと考えているところでございます。

 

○加藤委員 ありがとうございます。

 

 そうしましたら、歳出全体としての見通しについてお伺いします。

 

 さきの一般質問で若林議員より質問で、来年度予算は骨格予算にはしないということでした。その答えの中で、引き続き緊張感を持って区政運営をされるような趣旨の御発言がありましたけれども、来年度以降の歳出についてどのような方向で考えられているのか、お伺いします。

 

○森財政課長 まず、来年度予算編成に当たっての考え方でございますが、新型コロナウイルスの感染症対策と様々な活動の支援、それから基本計画で掲げる重点プロジェクト、区有施設整備計画に基づく施設整備、構造改革実行プログラムに基づく取組及び新庁舎移転を見据えた業務改善等、これら5項目を重点事項としまして、限られた財源を優先的に配分するということで、予算編成をこれから進めていくという考えでございます。

 

 来年度予算については、基本計画策定後、初年度の予算編成ということでございまして、新たな基本計画を踏まえながら、中長期的な視点を持ちながら編成を進めていきたいということで考えておりまして、そういった形で、来年度以降、検討しているところでございます。

 

○加藤委員 今後の区政運営で、そういった方向性であるということですけれども、いろいろと歳入の見通しが変わってきたという中で、基本計画の財政フレームとかが変わってくるぐらいのインパクトがあると思うんですけれども、その辺は変更が出てくるんでしょうか。

 

○森財政課長 基本計画の改定素案ということで、現在お示ししております財政フレームから、その後、事情の変更等あったものにつきましては、職員の退職金の見通しが変わったことによっての人件費の変更ですとか、令和2年度決算が確定したことによる基金残高の変更といったようなものは想定しているところでございますが、基本的には歳入歳出とも大きく変わるものではないと考えておりますので、財政フレームについても大きな変更があるとは考えていないところでございます。

 

○加藤委員 それは、もう施設整備とかの変更が出ない程度の影響ということですか。つまり、そこまで財政が楽観的な状況にはなっていないという状況のままだという認識でよろしいですか。

 

○森財政課長 施設整備計画についても、改定素案等、検討してまいりまして、それを踏まえた形で基本計画の財政フレームの中にも落とし込んでいるというような状況でございます。ですので、そういったことからすると、この間の検討の状況によって、大きく財政フレームに影響を与えるような変更があった、変化があったということでは捉えていないということでございます。

 

○加藤委員 財政的に厳しいという見通しは変わらないままという認識でいいんですか。

 

○森財政課長 歳入のところでも申し上げましたが、全体としては厳しい状況にあるということについては変わっていないところでございます。

 

○ひやま委員長 加藤委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。1時まで委員会を休憩します。

 

午前11時59分休憩

 

 

 

午後1時00分開議

 

○ひやま委員長 委員会を再開します。

 

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。

 

 加藤委員、質疑をどうぞ。

 

○加藤委員 お昼を挟んで続けてやらせていただきます。

 

 先ほど最後にお伺いしましたけれども、来年度以降も区政の財政運用的にはかなり厳しいものがあるということを最後にお聞かせいただきました。我々会派といたしましては、新区役所整備を進めるために必要な業務改善に注力すべき時期だと考えております。そのため会派としては、新型コロナ対策、災害対策だったり、将来的に財政負担が減っていくような事業以外の新規予算に関しては控えていくべきだろうと考えております。

 

 ちなみに、骨格予算とは何なのかというのをこの機会にちょっと伺ってみたいと思っていますけれども、財政担当としてはどのように考えておりますか。

 

○森財政課長 骨格予算についての考え方でございますが、新規事業等の経費は計上せず、法律等に基づく義務的経費や既存施設の維持管理経費など、基本的な行政運営を行っていくための経費、それのみ計上するものが骨格予算であると考えております。

 

○加藤委員 令和2年度におきましては執行統制をかけたわけですけれども、それによって新規予算等がかなり削られましたけれども、これはかなり骨格予算に近づいたと認識するものなんですか。

 

○森財政課長 確かに令和2年度予算の執行に当たりまして、新規事業、拡充事業について一旦立ち止まって、どうしていくのかということを検討してやったわけでございます。ですので、実際、当初予算の段階ではそういった政策的な経費、新規事業の部分については計上しないというのが骨格予算の考え方でありますので、近づいたというところまではなかなか言いづらいところがありますけれども、新規事業を立ち止まって見直したということについては、一つそういった要素もあったかなと思います。

 

○加藤委員 よしんばの話ですけれども、例えば予算が否決されて義務的経費だけでやっていかないといけないというような状況になった場合の予算と骨格予算というのはニアリーイコールになるものなんですか。

 

○森財政課長 例えば義務費について計上していくといったようなことと骨格予算がどうなのかということなんですけれども、なかなか骨格予算というのは、その時々の状況によって変わってくるところがあります。義務費については、当然、本当に必要な人件費ですとか法的に支出していかなければならない義務的経費とかというようなことで、結構ありますので、完全なイコールにはならないかなと思います。

 

○加藤委員 ないとは思いますけれども、そういった事態があったとしても、頭の体操として、区としては何が本当に必要というか、最低限運用するための予算とは何なのかというのをちょっと研究はしていただきたいなと思っております。

 

 これまで令和2年度決算から見て、令和4年度の予算についてマクロ的な視点から指摘させていただきました。続いて、ちょっと事業別にミクロな視点から質疑を行います。

 

 まず、備品の区分が3万円以上から10万円以上に上がったわけですけれども、この点については令和2年の第1回定例会で立憲民主党の酒井議員からも予算総括質疑等で挙げられ、多くの議員がその消耗品の購入について真っ当に行われているかということで懸念を示されておりました。それは、その質疑において、どのように運用されるか明確な答弁がなかったからだと思っております。鉛筆やボールペン1本の消耗品を業務の流れから持ち帰ることもひょっとしたらあるでしょう。では、電卓とか工具とか5万円の消耗品とかを持ち出していても鉛筆と同じような扱いだったら分からないようなこともあるだろうということで、疑義も生じるわけです。制度を変えた中で、結果的に消耗品はどのように運用管理されているのかお伺いいたします。

 

○吉村会計室長 お答えいたします。従前より、備品に限らず消耗品についても物品管理規則等に基づき適切に運用管理を行っているところであります。各課には部長が指定しました物品出納員と物品管理者がおりまして、購入した物品の保管、使用状況について相互にチェックを行う体制を取っております。消耗品となる基準単価が変更された後も、この体制に変更はございません。会計管理者としましては、これらの物品管理を適正に行うために、毎年、同規則第47条による自己検査で重点項目を各部に示すとともに、所属から定期的に報告を求め、必要に応じて調査を行うなど、指導を徹底しているところでございます。

 

○加藤委員 要求資料総務112の備品点数の推移(前年度までの4年間)というものを作成していただきました。令和元年度まで6万件余りあった物品数が令和2年度から2万点以下になっておりますが、購入時3万円から10万円までの金額であった備品を全て消耗品扱いに切り替えたということですかね。また、そうだとしたら、4万件ほど差があるわけですけれども、どういったものが消耗品に管理替えをされたんでしょうか。

 

○吉村会計室長 令和2年4月1日付で、購入時3万円以上10万円未満の備品約4万4,000点余り、これを全て消耗品に組み替えたところでございます。このうち特に多かった品目についてはスチールキャビネット、折りたたみ机、スクールロッカー、いずれも1,000点以上でございます。それに物品棚類でございます。

 

○加藤委員 今の時代、PCとかタブレットに関しては10万円以下で買えるわけですけれども、その辺もどのように管理されているのかお伺いいたします。

 

○白井情報システム課長 PC、タブレットといった情報機器等の調達に当たりましては、中野区調達ガイドラインによりまして、その必要性や費用等効果について評価した上で調達を行うこととしてございます。また、情報機器等の運用管理につきましては、情報機器等を執務室の外に持ち出す場合などに当たりましては、情報安全保護担当者として各課長の事前の許可を得た場合に限り利用可能とするなど、区の情報安全対策におけます情報セキュリティポリシー及び各情報システム実施手順の遵守により運用管理を行っているものでございます。

 

○加藤委員 新庁舎におきましては、新たに机とか椅子などの什器を大量に購入するわけですけれども、これらはもちろん値段の感覚からすれば消耗品の扱いになってくるわけですけれども、どのように管理されるのか。また、文具とかも消耗品で一緒ですけれども、どういうふうに新庁舎では管理していく予定なのかお伺いします。

 

○中村新区役所整備課長 新庁舎における机、椅子については、共通仕様となるものを基本とすることにより、全庁的に効率的に管理していく想定でございます。また、文具等の消耗品については、一括調達を行い、フロアごとに集約して配置することで、在庫管理等を効率的、適正に行うことを検討してございます。

 

○加藤委員 あまり細かいところをこの総括質疑の中で見ることはできないですけれども、一応、運用上は備品の管理というのはされているんだなというのは確認させていただきましたが、議会としてはその辺、これからも注視していくことだと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

 続きまして、執行統制についてお伺いいたします。まず、執行統制の目的と目標についてお伺いします。

 

○森財政課長 昨年度実施いたしました予算の執行の調整、統制でございますが、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして厳しさが増すことが予想された区財政に鑑み、区民生活を停滞させることなく安定した持続可能な財政運営を進めていくため、区民に対して安心な未来を提示できる財政基盤を構築することを目的としまして、執行調整を行ったというところでございます。

 

○加藤委員 事業を実施するか否かの判断や線引きというのはどうだったのか、また、誰がそれを判断したのかお伺いします。

 

○森財政課長 区民生活に大きな影響を与えない範囲で事業の規模や時期、方法について十分に検討して見直すべきものは見直したというところでございます。見直しに当たりましては、各部の検討結果を政策調整会議で議論いたしまして方針を決定したものでございます。

 

○加藤委員 そうしましたら、個別にちょっと聞いていきたいと思いますけれども、決算説明資料128ページの教育大綱パンフレットについて、なぜ執行統制をかけられたのかというのと、今後事業を復活する可能性があるのかお伺いいたします。

 

○堀越企画課長 教育大綱の執行停止と今後の事業化についてでございますが、教育大綱につきましては、その内容の周知のため配布するパンフレットの作成経費等を予算化していたものでございました。昨年度、新たな基本構想等の策定時期の変更もございまして、教育大綱自体の改定時期を延期する見込みとなりましたため、経費を執行しなかったものでございます。教育大綱の改定は行っていきたいと考えておりますが、今後、改定の時期に合わせまして効果的に内容を周知するための方法についても改めて検討を行っていきたいと考えております。

 

○加藤委員 役所としてはペーパーレス化を進めるとかそういったこともある中で、必ずしも印刷物にはしないということも踏まえているという認識でよろしいですか。

 

○堀越企画課長 紙による効果も検証しながら効果的な周知方法を併せて検討してまいりたいと思ってございます。

 

○加藤委員 続きまして、UDフォントについてお伺いしますけれども、なぜ執行停止されたのか、また、今後事業を復活させる可能性があるのかお伺いします。

 

○中村新区役所整備課長 令和2年度に導入を検討してございましたUDフォントにつきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を踏まえ、歳出抑制のため執行を見送ったものでございます。UDフォントの今後の活用につきましては引き続き検討してまいります。

 

○加藤委員 UDフォントは無料でも使えるものもあるというところでしたけれども、その後、検証というのは行われているんですか。

 

○中村新区役所整備課長 区のほうで現在、無償のUDフォントのほうの活用は行ってございまして、有償のものも含めまして今後改めて検討してまいります。

 

○加藤委員 決算説明資料140ページ、広聴一元管理システム導入に向けた試験的導入ですけれども、これも執行停止されたわけですけれども、なぜ執行停止されたのかと今後について展望をお伺いします。

 

○高村広聴・広報課長 執行統制の考えに基づき、必要性はあるが緊急性が高い取組ではないこと、また、感染症拡大に伴い、区民の声など、即時対応しなければならない広聴業務が増大していることを踏まえ、執行を停止したところでございます。このシステムの有効性そのものは認識しているところです。ですので、今後改めてシステムの導入について研究していきたいと考えております。

 

○加藤委員 先にどんな内容だったかを聞くべきだったと思うんですけれども、一元と言っているぐらいですから、ばらばらなものを一つにするということだと思うんですけれども、中身を教えてください。

 

○高村広聴・広報課長 各課に寄せられた意見と、その回答や対応、これをシステムに入力することで、それらを庁内で共有できると。さらに、内容を分析できるものなので、職員の対応力向上や事務の効率化を図ることが可能なツールというものです。

 

○加藤委員 止めるべきものだったのか、入れたときの作業効率とかが上がる可能性があったと思うんですけれども、止めなきゃいけなかったというところをどうやって認識されていますか。

 

○高村広聴・広報課長 確かに入れたときの効果は高いものだというふうに思うんですけれども、一方で課題もありまして、対応しなきゃいけない数が多い現場で入力をしなきゃいけないということがあります。ですので、試験的導入というふうにしました。なぜ止めたかというのは先ほどお話ししたとおりで、必要性は感じているんですけれども、緊急性という点で高い取組ではないということと、感染症等の当面の対応があったということで見送ったものでございます。

 

○加藤委員 結局、システムを導入するためにはまだ検証が少し足りなかったなということだったということですね。分かりました。

 

 続きまして、同じ140ページで、オーラルヒストリー作成事業ですけれども、これは広域行政でもそんなものがあったと思うんですけれども、これと連動したものなんですか。

 

○高村広聴・広報課長 このオーラルヒストリーの作成なんですけれども、地域団体等に対して委託という形で予算を組んでおりました。ただ、この業務は緊急性が高いものではないという判断をして執行停止したところです。ただ、当初委託先として想定していた団体が自主的な活動として規模とか対象を大幅に小さくしてオーラルヒストリーを作成するということを企画され、当課の区のシティプロモーション事業助成に応募して、審査の結果助成を受けたということで、シティプロモーション事業の助成を受けたものです。

 

○加藤委員 こういったものをボランタリーだったり──オーラルヒストリーというのは時間がかかる作業だと思いますから、こういったものがアウトソーシングできるというのは結果的に執行統制の中でよかったことなのかなということで評価させていただきたいと思います。

 

 続きまして、166ページの人事評価システムの導入開発委託で、先ほども取り扱っていましたけれども、補正予算で減額されていましたけれども、もう一度、これはどんなシステムだったかお伺いします。

 

○中谷職員課長 令和2年度予算に人事評価システムの導入経費を計上してございますが、これは職員の職務経験や人事評価等に関する情報をデータベース化して各種帳票の作成や提出をシステムで行うことによりまして、人事異動や人事評価に関する業務の効率化を図るとともに、職員に関する各種情報を活用することにより、効果的な人材育成や適切な人員配置を図ることを目的としたものでございます。

 

○加藤委員 令和2年度は、その減額補正で丸々なくなったわけですけれども、その後、今策定中、策定し終わった──構造改革実行プログラムの中で、人事評価や人事異動等の人事情報の集約や活用を効率化するため、人事情報活用システムを令和4年度に構築することとしていますけれども、これは同じなんですよね、結局。

 

○中谷職員課長 基本的には、その人事評価システムと同様のシステムでございます。効果的な人材育成や適切な人員配置を図るという目的や効果を重視した導入を進める予定でありまして、まだ仮称の段階ではありますが、名称の表記を「人材情報活用システム」に改めたというものでございます。

 

○加藤委員 令和2年度の予算の執行統制でなくなったものの、区を構造改革していくという中でやはり必要だと判断されて、結局、令和4年度に同様のシステムを構築するというのだと、先ほども指摘がありましたけれども、2年間遅れた。これを入れることによって、構造改革実行プログラムは歳出の抑制とかそういったところが目的になっているわけですから、将来的には入れたほうがいいというシステムだったにもかかわらず執行統制をしたということになるわけですけれども、その辺はどういった認識なんですか。

 

○中谷職員課長 令和2年度の予算編成時から現在に至るまで、所管としましては効果的な人材育成や適正な人員配置を進めていくために必要性の高いシステムであるという認識に変わりはございませんが、予算の執行統制をしたときには、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う財政の影響がまだどの程度になるか想定できない初期の段階であったということで、予防的に導入時期を延期したということはやむを得なかったものであり、当時の判断としては妥当なものであったというふうに認識をしてございます。

 

○加藤委員 結局、でも、構造改革でやるぐらい必要なものだったということで、その時の執行統制として判断が正しかったのかというのは疑問が残ります。

 

 次へ行きます。次は決算説明書316ページ、キッズスペースの木製おもちゃについてですけれども、この事業はどういったものでしょうか。

 

○滝浪子育て支援課長 この事業は、3階の総合窓口のキッズスペースに木製おもちゃを配置するものでございます。

 

○加藤委員 現在、机とかそういったものはありますけれども、積み木も入っていたと思うんですけれども、現在はしまわれてしまっています。恐らく消毒が必要だというところで。ですけれども、そうなると、何で購入したんだみたいな話になるんですけれども、その辺は正しいのか。正しいんだったら、その認識はどう考えているか、見解を伺います。

 

○滝浪子育て支援課長 こちらのおもちゃは、子育て世代を中心に木材利用の普及啓発を図り、持続可能な森林整備に寄与するとともに子どもたちの遊びに係る環境を整備したものでございます。感染防止の観点を踏まえ、抗菌対策とともに拭き取りや日常的なメンテナンスが容易な物品を購入いたしましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を鑑み、利用できるおもちゃを限定しているものでございます。

 

○加藤委員 これを事業として始めたのは、いきなり4月から、もうそういった契約に入っていたんですか。いつ頃始まったんですか。つまり、新型コロナによって、そういった消毒が必要だという認識が既に生まれていた時期に契約に入っているんじゃないかなと思ったときに、そのタイミングというか判断が正しかったのかなという疑問が残るんですけれども、いかがですか。

 

○滝浪子育て支援課長 これは令和2年度の当初予算にのせているものでございますので、新型コロナが始まったときには既に予算化していたものですけれども、特にこのキッズスペースに限りましては、先ほど申し上げた理由で必要ということで、当初予定どおり導入したものでございます。

 

○加藤委員 いや、当初予算に入っていたけれども契約がいつだったかという話ですよ。執行統制に間に合うタイミングじゃなかったかどうかということですよ、簡単に言えば。

 

○滝浪子育て支援課長 時期的には年度当初ではなく途中ですので、執行統制の状況下の中で、これについては実施したものでございます。

 

○加藤委員 途中でいろいろ減額しないといけない中で判断材料には入ったわけですよね。その辺はちょっと指摘させていただきます。

 

 同様に、児童館への木製おもちゃですけれども、これも同様に執行停止をなぜされたか、今後復活する可能性があるのか伺います。

 

○細野育成活動推進課長 木製おもちゃの選定でございますが、児童館の利用者の声を聞きながら進めることといたしておりました。しかしながら、新型コロナの感染拡大の状況があって、児童館の臨時閉館等があり、意見募集や意見聴取の機会を設けることができなかったというのが一つの理由です。また、子どもが直接触れるものであること、それから、利用者が密集状態をつくるおそれがあることから、感染予防の観点から配置を見送る判断をさせていただきました。

 

 本事業については、森林環境譲与税の目的にもある、自然への親しみの醸成や木育に資する取組というふうに認識してございますが、利用者からの意見聴取の実施にめどが立たないことから、3年度の予算の計上は見送ったところでございます。今後につきましては、利用者の声も踏まえながら、木製おもちゃの配置について検討してまいりたいと考えてございます。

 

○加藤委員 執行統制をかけたものに関していろいろとありますけれども、止めるべきだったのか進めるべきだったのか、ちょっと当時の状況はあっただろうとは思うんですけれども、いろいろとそれが正しかったのかなというのが散見されるという指摘をして次へ行きます。

 

 個別の事業ですけれども、決算説明書264ページ、給付システム賃借料について伺います。令和元年、2年度の予算決算にはあるんですけれども、令和3年度から、この給付システム賃借料というのがなくなっているんですけれども、やめたということでよろしいですか。

 

○渡邊保育園・幼稚園課長 令和元年度と令和2年度につきましては、本システムの本格運用を目指し試験運用を行ったところでございますが、課題が判明したため、令和3年度は本システムの使用契約を見送ったものでございます。

 

○加藤委員 そもそも何をするシステムなのかというのと課題は何だったのかを教えてください。

 

○渡邊保育園・幼稚園課長 本給付システムは、各保育園が情報を入力し、区に給付費や補助金を申請するためのシステムでございます。本システムは、セキュリティを確保しながら区と事業者の双方向での個人情報を交換することが難しいこと、また、事業者にとってはシステム入力のほか紙ベースでの手続も残ることから、事業者の事務負担の軽減につながらないことが判明したため、令和3年度予算には本システムを使用する経費を計上しなかったところでございます。

 

○加藤委員 そのやめたとかというのは委員会とかで報告はされているんですか。

 

○渡邊保育園・幼稚園課長 委員会に対する報告はしておりません。

 

○加藤委員 PDCAサイクルでその事業をやっぱりやめるという判断はよかったと思うんですけれども、予算を立てて、結局結論としてやめるというそういったところというのは、議会に対して説明があってしかりだと思うんですけれども。あと、そのシステムというのは、いわゆるパッケージのものなんですか。

 

○渡邊保育園・幼稚園課長 パッケージシステムでございます。

 

○加藤委員 先日、情報政策等調査特別委員会の学習会で講師の方がおっしゃっていたんですけれども、他自治体でパッケージソフトを導入してうまくいったなんて話で、それをうちで使ってみようなんていっても、仕事のやり方が全然違うから、人がパッケージソフトに合わせて仕事をしようとしたら結局無理が生じるみたいな事例がある。簡単にパッケージソフトを入れるべきじゃないなんていうことを講師の方はおっしゃっていたんですけれども、やってみてそういう感じだったのか、その辺、見解を教えてください。

 

○渡邊保育園・幼稚園課長 やはり現実に合わせる部分はパッケージシステムの場合は難しい点もあるというふうに感じたところでございます。

 

○加藤委員 現在自分たちが抱えている業務というのはどういうものなのか、業務改善しようとしたらどういったシステムが必要なのかというのを一から、別にこの話だけではなくて役所全体で考えていくべきなのかなという、その一例だと考えています。

 

 続きまして、決算説明資料370ページ、すこやか福祉センターにおけるオンライン相談事業について伺います。なぜ実績がゼロだったのかお伺いします。

 

○大場鷺宮すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 お答えします。導入を検討していた昨年5月ごろは、すこやか福祉センターの事業の中止など、来所を制限しており、一定の利用があると想定しておりました。しかしながら、昨年6月以降、感染対策を徹底した上で来所等による事業や相談を再開したため、本年6月までの利用はございませんでしたが、本年7月以降の感染状況であったり、区の改善策を踏まえ、相談の利用実績が出てきたところでございます。

 

 周知につきましては、これまでも区のホームページや窓口等で周知に努めてまいりましたが、継続して相談される方への周知や各種事業での案内を強化しているところであり、広報アドバイザーも活用して周知を強化していくところでございます。

 

○加藤委員 役所の事業がうまく数字が出てこないとき、広報が、周知が足りなかったという言い訳になって、その広報費にまたチラシを入れて、結局利用者がほとんど増えないでという悪循環を繰り返すみたいなところで、PDCAサイクルとして広報が足りなかったという言い訳ではなくて、運用の仕方として何が問題だったか、どう考えているんですか。

 

○大場鷺宮すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 まず、オンライン相談を開始して数か月経過したときに、実際に実績がなかったというふうなところでございますので、その部分でどういったところが課題になっているのかというふうなところをきちんと見直し、検証を図っていくことが必要だというふうに考えております。その中で、妊産婦や子育て世代の保護者をターゲットにした周知であったり各種事業における個別案内の強化を図っていくというふうなことが必要だということでございますので、きちんとPDCAサイクルに従って効果を測っていきたいというふうに考えております。

 

○加藤委員 そもそも、表現は悪いですけれども筋が悪い事業だったんじゃないかと考えるわけです。区民ニーズがあったのか、現場窓口の声があってつくったのか、もしくはトップダウンでこんなものをやってみたらという状態だったのか。少なからず区民ニーズはなかったんですよね、ゼロ件ですから。現場はニーズがあったかもしれないけれども、区民とはマッチングしなかったかもしれない。その辺はどうやって分析されているんですか。

 

○大場鷺宮すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 昨年3月以降、すこやか福祉センターにおける事業を中止や延期した際におきましては、外出を自粛されている妊婦の方から、電話の説明では分かりづらいというふうな声が聞かれたということもございます。また、その時期に助産師会においてオンライン相談を実施しているというふうなところを、相談しやすいというふうな声も聞いており、一定のニーズがあるというふうに考え、導入したところでございます。なお、導入に当たっての必要性の検討につきましては、部内の職員の意見というものを反映して実施決定したところでございます。

 

○加藤委員 結局、現状としてはゼロではないけれども、当時始めたときにゼロ件だったというのは、何が合わなかったかというのが結局あんまり見えてこないんですけれども。それが制度のつくり方に問題があるのかというところで、緊急でいろいろと予算を組んだ割にはそのニーズがあんまり感じられなかったというところで、その辺は指摘させていただきます。

 

 続きまして、決算説明書242ページの経営相談オンラインについて実績をお伺いいたします。

 

○平田産業振興課長 オンラインビジネス相談でございます。こちらにつきましては、中小企業診断士会に委託して行っている事業でございますが、今回、9月現在で計4件の相談予約という実績でございます。事業を開始して2か月ということもございまして、これから件数としては伸びてくるものと考えてございます。

 

○加藤委員 これも件数がちょっと少ないというところで、広報が足りないとかそういう言い訳ではなくて、制度設計について考えていただきたいと思います。

 

 ちなみに、これは経費は幾らなんですか。

 

○平田産業振興課長 今年度につきましては、限度額契約でございますが、160万円余でございます。

 

○加藤委員 今のままだと、ちょっと単価が高く感じられますよね。

 

 続きまして、決算説明書532ページの自転車シェアリング事業実証実験業務委託について伺います。自転車シェアリングの4,240万円の事業ですけれども、補助金等の特定財源を抜いても一般財源が1,761万円となっていますけれども、この事業は、一般財源をそこまで投入してまで中野区にどんなメリットがあるのか伺います。

 

○村田交通政策課長 多様な交通環境が整うことで区民の移動に関する選択肢が広がり、利便性が高まるため、区としても新たな交通環境を育てる必要があると考えております。その中で、区内だけでなく自治体間の広域連携を活用できるシェアサイクルは、公共交通の補完、区民の移動利便性の向上というメリットがあると考えてございます。令和2年度の利用状況や利用者アンケート等から、現時点での事業の有効性は確認をさせていただいておりまして、引き続き検証していきたいと考えてございます。

 

○加藤委員 他区で補助金対象となりながらも実施しなかった自治体というのは幾つぐらいあるんですか。

 

○村田交通政策課長 シェアサイクルに活用できる補助金としまして、東京都環境公社の東京都区市町村との連携による地域環境力活性化事業補助金がございますが、この補助金を活用している区は中野区を含む広域連携区及び練馬区の12区でございまして、残りの11区は活用していないと聞いてございます。

 

○加藤委員 使っていないところもあるということですよね。すみません、質問はほかにもお願いしていたんですけれども、ちょっと時間の関係上割愛しますけれども、例えばソフトバンクグループが実施するハローサイクリング、中野サンプラザのところにありますけれども、実はハローサイクリングのポートの第1号がサンプラザだということですけれども、この事業は公金がほとんど注がれていなくて、先日、JR東日本と資本提携もして拡大が見込まれる上に公金がほとんど必要ないというような事業だということです。今回のシェアサイクル事業、東京都の補助金があるからといって、じゃあ乗ってみようというんじゃなくて、もう少し政策判断というのをしっかり見極めていただきたいなと思っております。この項は終わります。ありがとうございます。

 

 では、続いて中野サンプラザについて伺います。令和2年度の中野サンプラザ全体の連結決算では当初純損失がおよそ4.5億円、つまり営業で赤字になっているわけですけれども、令和2年度の純資産は前年度に比べて約4.4億円の資産が目減りしていると思いますけれども、区がまちづくり中野21の100%株主であることからすると、その減った額がそのまま区の資産が減少したと見てよろしいですか。

 

○浅川総務課長 株式会社まちづくり中野21の連結決算におきまして純資産が減少したことで区の資産が減少したと言ってもいいかということについては、あながち間違いではないと考えてございます。と申しますのも、株主資本合計は期首残高26億2,539万円から期末残高21億7,809万2,000円に減少しておりまして、株主資本は4億4,729万8,000円減少いたしました。また、1株当たりの純資産額も令和2年3月期の10万4,704円84銭から令和3年3月期の7万1,800円68銭に減少したものでございます。株式会社まちづくり中野21の純資産は、運営会社である株式会社中野サンプラザの営業が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け低迷したことによりまして大きく減少したものでございます。

 

○加藤委員 中野区の隠れた赤字があったということで認識が必要なんだなと思います。ちなみに、サンプラザ解体に伴って従業員の多くが退職されるわけですけれども、退職金というのはまちづくり中野21の資産から負担するものなんですか。確認です。

 

○浅川総務課長 株式会社中野サンプラザは中小企業退職金共済制度、中退共に加入してございまして、従業員の退職金は中退共から支払われることになります。

 

○加藤委員 この項は終わります。

 

 新型コロナによって組織体制がいろいろ変わっているなと。そもそも特別給付金とかでかなり職員が使われたとか、もちろんワクチンの接種だったり、いろんなところでありますけれども、そういったところで要求資料総務113の新型コロナウイルス感染症対策に伴う職員人事異動発令一覧というものをつくっていただきましたけれども、保健所等への応援とかでも人員が割かれているということで、新型コロナが収まるまで、いつ何どき職員の異動をさせなければいけないのかというのは予想もつかないところでもあります。そんなさなか、これから年末にかけて予算要求が始まっていくわけですけれども、予算があまりないというような印象を受ける財政でもありますし、職員体制もかなりつらいというところ、そして業務改善というのも質問項目2で挙げますけれども、その辺も求められているという状況の中で、我々自民党といたしましては、新型コロナ対策、災害対策、将来の財政負担の減少に資する事業であればやっていくべきだと思いますけれども、新規予算はそのほかでやっていくべきではないんじゃなかろうかなというふうに考えております。もし何か予算的に余裕があるといっても、それは小中学校の再整備スケジュールを大きく遅らせて、年に二、三校と言っていたものを年に1校に変えた、こういったところによって余裕が多少できたかもしれませんけれども、結局ここでお金を使うというのは、将来の子どもたちに借金をして何か事業をするということで、そのお金の使い方というのはしっかりと見極めてやっていただきたいなと思うということで、この1の項を終えます。

 

 それでは、2の新区役所整備を奇貨とした働き方改革、業務改善、DX推進、組織改編についてお伺いいたします。

 

 まず、JR東日本の企画系の職員から聞いた一昔前のDXの事例というのを挙げます。乗降客数が世界一であるJR新宿駅、自動改札機の導入前、新宿駅中央口の有人改札の職員は、切符を切ったりとか、その切符の日付だったり、搭乗駅、値段とかを瞬時にチェックしていたわけですけれども、この作業は本当に集中力が必要だったそうです。この通勤ラッシュピークの時間帯に有人改札ボックスに入っていた職員が入っていられる時間は皆さんどのぐらいか分かりますか。15分ぐらいだったらしいんですね。相当な集中力だったと。大変な業務であるために自動改札機の導入を検討したところ、今度は、仕事がなくなるといって労働組合から猛反対があったそうです。しかし、自動改札機を導入して、そのできた余力はホテル事業や不動産、キヨスクのような小売業を展開して、国鉄負債の返済の一助となりました。結果的に、有人改札にいた職員たちは地獄から解放されたと言ったそうです。切符の処理は人間がやるような仕事ではなくて奴隷みたいな作業だった。現代においてはあんな仕事は多分もうできないと思うんですけれども、そういう話です。

 

 おとぎ話のような話ですけれども、機械が導入できる仕事は機械に任せて、ルーチンワークから人々を解放することによって新しいアイデアを想像したり仕事ができる余力をつくっていくべきだと思います。この新庁舎に移転することによって様々なことが検討できるわけですけれども、そういった中野区政が生まれ変わるチャンスが巡ってきたと思っております。現在、中野区では中野区構造改革実行プログラムを実行するなど、構造改革に取り組んでいるところですけれども、この状況をどのように担当として捉えているのか伺います。

 

○中村新区役所整備課長 お答えします。現在、区では区政の構造改革の取組を進めているところでございますが、同時に新庁舎移転のタイミングも重なりますことから、それを契機として効果的に業務改善を進め、働き方を見直す絶好の機会であると認識してございます。

 

○加藤委員 7月21日の情報政策等調査特別委員会における学習会で講師の高橋邦夫さんに「加速する行政のデジタル化 庁舎移転を契機とした変革」というタイトルで、豊島区の事例を中心に講義していただきました。冒頭では、働き方改革の本当の意味ということで、自治体業務のクオリティについて考え方を示されて、要するに庁内におけるDX推進というのは働き方改革の1ツールにしかすぎないということでした。新庁舎整備を3年後に控えて、中野区政の働き方、業務改善の臨むべき展望がなければ、結局DX推進というのは、ある所管から無理やり各所管に押しつけられたものにすぎず、逆に業務の効率性が落ちる可能性すらあります。現在の中野区の働き方改革の検討状況についてお伺いします。

 

○中村新区役所整備課長 新庁舎整備を契機とした働き方、業務改善については、新庁舎でのフロアごとの運用を検討するプロジェクトチーム(PT)や職員の働き方を検討するPTを設置し、課題検討を進めているところでございます。

 

○加藤委員 働き方PTで検討を行っているということですが、どのようなテーマ、職員体制で行っているのでしょうか。

 

○中村新区役所整備課長 こちらの働き方PTでは、消耗品の一括管理、複合機の機能向上等をテーマにしまして、PTのリーダーでございます総務部長の指揮の下、総務部内の各課から職員を選出し検討を行っているものでございます。

 

○加藤委員 聞いている検討内容ですと、働き方改革というよりは一般職員だけがちょっと頑張って検討しているというぐらいで、業務改善どころか事務のちょっとした改善のレベルにすぎないという印象です。職員が効率的に働くような検討はもちろん大切ですけれども、同時に区民サービスを向上させていく具体的な取組を検討推進していくことも重要なテーマです。

 

 一例を挙げますと、区民の方が役所に来ることなく用事を済ませられる仕組み、行政手続のオンライン化に集中的に取り組んでいく。その効果を区民が実感できる実効力のあるものにするためにはオンライン化はもちろん前提ですし、その前にも、ペーパーレス化というのも計画的に進めることが必要です。手続書類の簡素化などの見直しにより区民の負担、区職員の負担も減らしていくといった大所的な視点に立って、抜本的に事務内容を見直していくことが大切です。

 

 先日、本会議の一般質問で、ペーパーレス化推進により文書の6割減という野心的な目標を掲げておりましたけれども、そのために現在の書類が本当に必要なのか抜本的に見直す必要があります。まず、6割減というものの定義を教えてください。

 

○中村新区役所整備課長 区では令和2年12月にペーパーレス推進基本方針を定めまして、紙文書の削減目標として、申請書や起案文書など組織で共有している文書について現状から6割を削減することを目標としまして定めてございます。

 

○加藤委員 その6割というのは、保管文書が6割減るということですよね。手続上の書類が6割減るのか。何が6割減るのか伺います。

 

○中村新区役所整備課長 執務室で保管している文書も含みますし、手続で行っている文書も含めたものになります。

 

○加藤委員 業務フローで出てくるのを6割減らすか、区の保管している保管庫にあるものを6割減らすのかとか、存在している紙自体を6割減らすという認識でいいんですか。

 

○中村新区役所整備課長 ペーパーレスの対象でございますが、主には執務室等で普段使っている文書が対象になりまして、保管庫等で保管している文書につきましては、また別の削減の内容を検討しているところでございます。

 

○加藤委員 庁舎内にある書類の量ということで、ウェブ申請とかデータファイルで保存することで紙を減らす、ペーパーレス化につながると思います。例えば国や東京都から標準フォーマットが送られて、そのまま準拠して書類がいたずらに増えているということもあろうかと思います。区民の皆様、区内事業者からの要望で、書類の簡素化というニーズが非常に高いです。代表的な事例に関して各所管の対応が可能か伺います。

 

 まず、区民サービスに直結する保育園の入園申込みに関わる書類について、昨年10月より電子申請による受付を開始したということですけれども、利用率を伺います。

 

○藤嶋保育施設利用調整担当課長 入園申請全体におけます電子申請の割合ですけれども、令和2年10月から3月、昨年度の分で4%、令和3年4月から現在までで6%というふうになってございます。

 

○加藤委員 すごい低い数字だと思うんですけれども、その原因は何でしょうか。

 

○藤嶋保育施設利用調整担当課長 制度開始当初、電子申請に対応していたのが入園の申請書類の一部にとどまっていたこと、また、申請書類を申込者の方がPDFファイルで添付する必要があるなど、利便性の面でまだまだ課題があったというふうに考えてございます。

 

○加藤委員 改善は可能なんですか。

 

○藤嶋保育施設利用調整担当課長 申請書類につきましては、今年10月より一部の書類を除きましてほぼ全ての申請書類に対応できるようにする予定でございます。また、さらに利便性向上というところで、引き続き検討のほうを進めてまいりたいと思います。

 

○加藤委員 ある程度画像ファイルというのが必要になると思いますけれども、今、新型コロナウイルスの感染拡大協力金ということで、飲食業の方々が協力金を得るために画像ファイルを送るわけですけれども、それはPDFではなくて写真のJPEGとか普通の画像ファイルでも申請ができるわけです。PDFは多分一般の方々がスマホでやったところで、かなりハードルが高いんだと思うんです、PDF化するというのが。区としては令和2年ときにAI-OCRを入れていますけれども、多分OCRはPDFしか効かないと思うので、その辺の画像変換とかも含めて利便性を向上させていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

 

○藤嶋保育施設利用調整担当課長 利便性の向上というところでございますので、PDFの部分以外にも、今、委員御指摘のJPEGといった画像ファイルですとか様々なファイル形式に対応していくというところにつきましても今後研究をしていきたいと考えております。

 

○加藤委員 ありがとうございます。では、私立幼稚園や保育所からも書類の簡素化を求められていますけれども、どのような書類の提出義務があるのか、また、その書類を削減していくことが可能なのか伺います。

 

○渡邊保育園・幼稚園課長 私立園や保育園につきましては、各種補助金の申請書、実績報告書、請求書、それらの証拠書類を区に提出する必要があります。今後、押印の省略など、事務の簡素化と併せ、オンラインを活用するなどしてペーパーレス化に取り組み、紙文書の6割削減を目指したいと考えております。

 

○加藤委員 具体的に聞くと時間があれなのであれですけれども、もちろん幼稚園や保育園のそういった事務的な手続で書類のやりとりをしていることによって子どもたちと向き合う時間というのがやっぱり減ってきて、それがすなわち保育・教育の質の低下につながってしまうので、その辺の改善はお願いしたいと思います。

 

 続きまして、工事業者から書類の簡素化を同様に求められているわけですけれども、どのような書類の提出義務があるのか伺います。

 

○井上道路課長 工事提出書類についてですが、区では請負者提出書類処理基準を定めており、工事に当たっては法令等で定められている書類のほか、安全や品質に関わる必要な書類や適正な執行を確認するための提出書類を求めております。この請負者提出書類処理基準については国土交通省の工事書類の簡素化に合わせて適宜改定を行ってございます。

 

○加藤委員 業者の事務作業が減るような工夫というのはできるんでしょうか。

 

○井上道路課長 区が発注する工事の中には国や都の補助金等を活用しているものが多くありまして、適正な執行を確認するために求められる書類があるため、それ以上の書類の簡素化については区が独自に判断できない部分もございます。工事書類の電子化につきましては、工事写真の管理などを専用のソフトウェアを活用することで事務作業の軽減につながると考えてございます。

 

○加藤委員 国・都からの補助金があると、国・都からの標準フォーマットに乗っからないと提出できないというのもあります。それは区では変えられないですけれども、そういったものを変えていただくような要望というのはちょっとやっていただきたいなと思います。

 

 今、電子化という話もありましたけれども、新庁舎に向けて庁内の書類の削減という話がありますが、工事書類のペーパーレス化や電子化はさらに進めることが可能ですか。

 

○井上道路課長 工事書類の電子化についてでございますが、請負者、発注者双方にとって、ペーパーレスの推進や業務の効率化の観点から、工事書類の電子化について工事関係団体等と意見交換を実施したいと考えてございます。

 

○加藤委員 そうですね、現場の方々が電子化に対応できなかったら問題があるので、その辺は現場の方々とコミュニケーションを取っていただければと思います。

 

 質問はしないですけれども、元請業者さんの求めが多いのは、書類が多過ぎて、結局、公契約条例をやめてくれと言っているんですけれども、こういったそもそものところが多いので、まずこういったところを整理しないと、公契約条例にまたプラスになる書類の対応がなかなかできない。また、職員のほうもすごい大変なことになっていくんだなというところなので、まずそういった整備をした上で検討すべきだと思います。これは要望です。

 

 話を戻しますが、現在、区でも働き方改革と言っていますけれども、業務改善に毛が生えたようなものに感じます。もっと庁舎全体でどういうふうにするか、権限を持って区長が直接やるか、新庁舎整備課だけではなかなかできないかもしれませんが、職員に嫌われても言う仕組みというのが必要なんだなと考えております。そのためにも、もっと大きく推進体制を組む必要があると思います。働き方に関するPTの責任部長は総務部長だと伺いましたけれども、その辺、どのようなお考えでどのような体制が必要だと考えておりますか。

 

○海老沢総務部長 新庁舎への移転を契機といたしまして、今まで以上に職員が効率よく働き、迅速に業務遂行が行え、かつ、区民サービスの拡充を図れるような環境整備をいたしまして、職員の職務意欲をさらに高めたいというふうに考えているわけでございます。そのために、お話があったようなペーパーレス化や押印の廃止など、今までの仕事の進め方と異なる改善に取り組んでいく必要があるというような認識を持ってございます。課題の一つひとつを改善検討していくという地道な作業になるわけでございますけれども、新庁舎移転までの2年半の間に働き方に関する職員プロジェクトチームの検討を踏まえまして、全庁に関わる取組でございますので、部長等で構成された新しい区役所整備検討会議の場で協議をいたしまして、全庁的な推進を図ってまいりたいと考えております。また、実施のための担当所管の体制強化も図ってまいりたいというふうに考えてございます。

 

○加藤委員 先ほど事例に挙げましたJRみたいに、ある部署が毎日すごい何人もいたのが、もう1人で作業できちゃうようなドラスチックに業務体系を変えてしまうというのは、その担当部署、課室の人から提案するのはなかなか難しくて、大所なところから言っていく必要があるのかなと思います。また、そういうことを言うと必ず抵抗勢力というのが出てきてしまうんですけれども、そこら辺は言われても、将来のために重要なんだという、そういう踏ん張りどころの3年間だと思うんですね。

 

 そこで伺いますけれども、中野区の働き方改革、業務改善、DXを推進する上で、区の検討体制、検討組織はどのようになっているのか、また、働き方改革や業務改善を支える手段としてユニファイドコミュニケーションの導入検討はどのようになっているのか伺います。

 

○中村新区役所整備課長 新庁舎移転に向けました職員の働き方については新区役所整備課、DX推進については情報システム課、ユニファイドコミュニケーションツールについては新区役所整備課と情報システム課が連携して検討を進めてございます。

 

○加藤委員 今後は中野区がどういったビジョンを持って区民サービスを向上させていくのかが、DX、テレワーク、データ統合、レイアウト、会議室、内線電話、フリーアドレス、ペーパーレスと、手段を言っても、とてつもない検討量があります。聞いたところ、新区役所整備担当と情報システムがやっているなというところですけれども、そこの部署だけではなかなか実現が難しいだろうなというふうに考えます。これだけ重要な事業にもかかわらず、中野区基本計画では重点プロジェクトにも挙げられておりません。今からでも入れるべきと思いますけれども、いかがですか。

 

○永見基本構想担当課長 基本計画(案)におきましては、区政運営の基本方針の「持続可能で活力ある組織体制の構築」の中で職員の働き方改革について述べるとともに、「デジタルシフトによる行政サービスの質と生産性の向上」や「利便性が高く、区民に開かれた新区役所の整備」についても記載をしているところでございます。新区役所の整備を見据え、職員の業務生産性と区民サービスをともに向上させるために、基本計画と併せて検討を進めている中野区地域情報化推進計画や新区役所における働き方の検討等を踏まえて全庁で連携しながら取組を推進していく必要があると考えてございます。

 

○加藤委員 もし基本計画(案)に入れられないというのであれば、働き方改革に関連する部署の組織権限だったり部課長の権限を強く持たせる必要があると思います。現在は手段の検討が先行しているきらいがありますけれども、本来であれば、目的、ビジョンの検討を十分詰めてから手段の検討を行うべきです。さきに述べたように、まさにこの数年が踏ん張りどころなわけですけれども、今こそ国の総力を結集して区民サービスや事務効率を飛躍的に向上させる意気込みを持って業務改善、働き方改革、DXなどを一体総合的に検討する体制整備が必要だと考えますが、事務方のトップである副区長はどのようにお考えか伺います。

 

○白土副区長 委員御指摘のように、新区役所整備はDXを一挙に進める好機であるというふうに考えております。DXの推進によりまして、区民サービスの向上、働き方改革、業務効率化を強力に推進する必要があるというふうに考えております。現在、ペーパーレス化を中心に全庁的に取り組んでおりますけれども、それ以外にも新庁舎のネットワーク環境の構築や、AI、RPAの導入など、また、マイナンバーの活用、それから統合型GISの活用によるオープンデータの推進、キャッシュレス決済の推進による商店街の活性化など、取り組まなければならない課題は山ほどあるというふうに考えてございます。これらの課題を短期集中的に取り組んでいくためには組織体制の強化も必要であるというふうに考えておりまして、CIO、副区長として自ら先頭に立って総合的に進めていく考えでございます。

 

○加藤委員 副区長から、全体的にそういった検討をする体制をつくっていただけるというお言葉を頂きましたので期待したいと思います。それでこの項の質問を終えます。

 

 3、都市計画マスタープランについてお伺いします。

 

 都市計画マスタープランは中野区の今後20年間、もっと先を言えば100年ぐらいを見据えた大方針と、それに付随すべき事業について中長期的な観点になってくると思いますが、その辺についてただしていきます。

 

 今、区の最高位の計画である基本構想というのは、かつて地方自治法により、その最高位という計画ではありましたけれども、地方自治法の一部を改正する法律、平成23年の改正によって、基本構想の策定を義務付けていた規定が廃止されて、現在においては基本構想は必ずしもつくらなければいけないというものではないです。一方、都市計画マスタープランは、都市計画法で作成の義務付けがされており、国から自治体を見ると、基本構想よりも都市計画マスタープランのほうが重要視されていると考えられます。

 

 私の話ですけれども、土木工学科に入学したんですけれども、大学1年生の夏休みの宿題は、住んでいる自治体の都市計画マスタープランを読み込んで、現状と課題、自分ならどんな計画にするかというレポートを提出するものがありました。当時、第1次のマスタープランだったそうですけれども、ふわっとした内容で、どんなまちにしたいのかというのが分かりづらい内容でありました。そして、あれから20年余り経過して、自分が都市計画マスタープランについて直接意見が言える立場になったことに対して感慨深いなと思いながら、これまで質疑をさせていただきました。

 

 それではまず、区の都市計画マスタープランの改定の歴史について伺います。

 

○安田都市計画課長 お答えします。区の都市計画マスタープランは平成12年3月に最初に策定し、平成21年4月に改定されてございます。今回は2回目の改定を行っているところでございます。

 

○加藤委員 現在改定中の都市計画マスタープランの改定内容の概要を教えてください。

 

○安田都市計画課長 上位計画の改定を踏まえ、これからの都市づくりの基本的な方針を明らかにすること。これまでの各まちづくりの成果を踏まえ、新たな都市政策を展開する方向性を定めること。社会経済状況や都市整備課題に対応した都市づくりの基本的な方針を定めること。また、個別具体の都市計画の決定や変更に向けた基本的な方向性を位置付けていくことを目標として、これらについて土地利用や都市施設の整備の総合的な都市計画の基本方針を定めているところでございます。

 

○加藤委員 都市計画マスタープランは法的根拠があるまちづくりの方針なのか確認します。

 

○安田都市計画課長 都市計画法第18条の2に規定されます区の都市計画に関する基本的な方針でございます。

 

○加藤委員 そうであれば、区が進める都市計画や地区計画、道路・公園などの都市基盤施設は、この方針に即して計画や事業化されると理解していいのか。

 

○安田都市計画課長 都市計画法第18条の2の第4項では、区市町村が定める都市計画は都市計画マスタープランに従う旨が示されており、委員御理解のとおりでございます。

 

○加藤委員 中野駅周辺まちづくりに関しては、都市計画マスタープランと中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3がありますけれども、どのような関係なのか伺います。

 

○小幡中野駅周辺まちづくり課長 中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3は、2012年(平成24年)に策定をしておりまして、現行2009年(平成21年)策定の中野区都市計画マスタープランの地域別構想、中央部地域のまちづくり方針を踏まえまして、駅周辺各地区の整備に係る基本的な考え方や実現に向けた取組を指針として示したものでございます。

 

○加藤委員 グランドデザインVer.3というのは、結局、都市計画マスタープランに載っていないところでもこうしたいというところを補完的にするものだと、都市計画マスタープランに欠けている部分を補完する位置付けということでよろしいですか。

 

○小幡中野駅周辺まちづくり課長 都市計画マスタープランを踏まえまして、そこを補完する形で策定したものでございます。

 

○加藤委員 そうですよね。だから結局、都市計画マスタープランに載っていないことはできなくて、それをやろうとしたら、また別の都市計画マスタープランに準ずるものをつくらないと、まちづくりというのは進められないということですよね。そうしたら、都市計画マスタープランについて、目標年度はいつ頃としているのか、また、その理由について伺います。

 

○安田都市計画課長 お答えします。おおむね20年を目標年度としてございます。理由は、上位計画である東京都の都市計画区域マスタープラン等が目標とする年数に合わせてございます。

 

○加藤委員 中野区の問題を解決するために中野区の特徴を捉えて、その長所と短所を理解した処方箋を都市計画マスタープランで出していかなければなりません。地域によっては用途地域と現状のまちの発展とミスマッチになっており、なかなか身動きが取れないようなところもあります。一つ分かりやすい事例で、その御本人からは承諾も得たんですけれども、東京アスレティッククラブ、TACさんが建設当時の建築条件と現在異なっている、用途地域が細分化されている中で全く同じスケールのものを建て替えることが今できないということで、事業的にどうしていくか非常に悩まれていると。また、このような問題はほかの中野区の経済団体からも要望をもらっておりまして、今、中野区で事業をしているところが、建て替えが困難であるから中野区外で事業を、その建物を建ててやり直そうということも考えたり、建て替えができないことを主要因として事業継承が困難になっているという事業所もあるということです。

 

 都は用途地域の変更に関して地区計画の原則を指標の一つとしています。例えば地域住民が周辺環境との整合や公共性、公益性を備えた地区計画を提案型で策定した場合、用途地域の変更について東京都が考慮する指標となり得るのか伺います。

 

○安田都市計画課長 都市計画マスタープランでは、土地利用の方針として課題がある土地利用について将来性を定めているところでございます。委員御指摘の用途地域の変更の権限は東京都にございます。用途地域において地区計画の原則化がありまして、地区内のみならず、周辺地区の公共性の高い地区計画等が提案された場合、そうした可能性があると考えてございます。

 

○加藤委員 地区計画の策定というのが中野区民の意思でつくれるということは非常に重要です。しかし、もちろんまちづくりは区民だけでなく行政サイドも注力しなければなりません。都市計画マスタープランは中野区の20年後の未来が描かれており、都市計画課が関わるのはもちろんですが、多くの所管が関わります。

 

 そこで、代表的な部署と都市計画マスタープランとの関係性について伺いたいと思います。住宅課の事業と都市計画マスタープランの関連性について連携関係を持っているか伺います。

 

○池内住宅課長 現在策定作業中の住宅マスタープランですが、相互に連携を図りながら取り組んでまいっております。引き続き連携を取りながら取り組んでまいりたいと思っております。

 

○加藤委員 もちろん住宅は、住宅マスタープランもこれから策定されていく中で重要な位置付けになっていくと思います。

 

 ちょっと時間がないので申し訳ないですけれども、続いて建築課の事業と都市計画マスタープランの関係性、連携関係について伺います。

 

○小山内建築課長 安全で安心、快適なまちづくりを進める上で重要な指針となる都市計画マスタープランの趣旨を踏まえ、今後も都市計画課と情報を共有し連携を図っていく所存でございます。

 

○加藤委員 続いて、環境課での都市計画マスタープランとの関係性と連携関係について伺います。

 

○波多江環境課長 都市計画マスタープランは、環境基本計画との関連計画と位置付けており、環境の計画との整合性を図る必要があるものと認識しております。都市計画マスタープランには都市整備上の主な課題として、都市活動から発生する環境負荷の軽減について、また、脱炭素社会、省エネ建築物や再生可能エネルギー導入促進についても掲げており、環境課としても都市計画課などと連携し、環境基本計画と都市計画マスタープランとの整合性を図っているところでございます。

 

○加藤委員 これから中野区は環境のCO2排出抑制、温室効果ガスを削減するといって、自動車とかの運輸部門からは、ほとんど乾いた雑巾を絞るような状態なので、住宅におけるCO2排出量を減らすということが大きな中野区の環境目標に資する政策だと思いますので、頑張っていただきたいと思います。

 

 住みたいまちというふうに言われ、そして住み続けたいまちと、中野区のブランドイメージが高まってきたと思いますが、現実としては年間10%の中野区民が転入転出を繰り返しております。ここにいる皆さんには釈迦に説法ではございますけれども、結婚や出産、就職など、様々なライフステージの変化によりまして、中野区に住み続けたいけれども、結果、住み続けられないという実態があります。酒井区長の言葉を借りれば、中野区はスタートアップのまちでありますけれどもステップアップのまちでもあり、ネガティブな表現をすれば踏み台とされてしまうまちでもあります。20代、30代の入れ替わりの激しさは40代以上の区民の人口を尻すぼみとさせ、持続可能な都市の形成がなかなか難しい状況が生まれております。そこで、提言させていただいた「住み続けられるまち」というキーワードが改定都市計画マスタープランの将来都市像として明記される方針であるということを大きく評価させていただきます。

 

 では、具体的にどうすればいいのか。まずは狭小集合住宅が多いことが問題であると考えます。しかし、オーナーとかディベロッパーからすれば、都心へのアクセスがよい中野区に寝に帰るだけの狭小住宅を供給するというのは利益確保をする上ではしようがない観点で、正しいです。オーナーからすれば。しかし、中野区の現状を考えると、こういったものを変えていかないといけないということがあります。自民党の2番手、高橋かずちか委員より詳細な質疑をしますけれども、住宅政策一つにしても、先ほどお答えいただいた都市計画課、住宅課、建築課、環境課が連携して様々なインセンティブを与えながら政策をしていく必要があると自民党は考えます。

 

 まち並みについても重要であります。例えばテレワークが進むと通勤しなくなり、体を動かす機会が激減する可能性があり、不健康な生活にならないか危惧されるところです。例えば骨子には、「居心地が良く歩きたくなるまちづくり」とあり、いわゆる景観行政、バリアフリーなど、あらゆる部署との連携が想定されるわけです。都市計画マスタープランが描く20年後のまちづくりに向けては、区の各組織が連携して土地利用や都市施設の方針を共有して進めなければ、20年後のまちはまとまりのないまちになってしまうかもしれません。そのためにも、区の各組織が連携してまちづくりに取り組む必要があると思いますが、そういった理解でよろしいでしょうか。

 

○安田都市計画課長 お答えいたします。都市計画マスタープランは、区が進める都市計画の基本的な方針であり、先ほども述べましたように、都市計画法において区が進める各まちづくりや都市整備は、この方針に従って進める必要がございます。この意味から、都市計画マスタープランが描く20年後のまちづくりに向けて各まちづくり計画や都市整備事業が連携して進んでいくものと考えてございます。

 

○加藤委員 また、緑・防災の観点からお伺いいたします。良好な景観形成に向けて、基本計画の施策47「まちなかの安全性・快適性の向上」の施策の中で示されているように、「周辺の建物等と調和のとれた街並みの形成、地域の特性や歴史的資源を生かした景観の形成、将来に向けた新たな都市景観の創出」がありますが、神社や寺院などの歴史ある空間は、地域の特性を生かした良好な空間にとって重要な地域の資源であると考えます。素案には社寺林──神社の社にお寺の社寺林というキーワードが載っておりますが、区はどういったイメージで明記されているんでしょうか。

 

○安田都市計画課長 社寺林は、神社や寺院にあるまとまりを持った樹林のことを言います。樹林など、緑が多い歴史ある空間というイメージを持っております。

 

○加藤委員 それならば、神社や寺院などの樹木や樹林は保護樹林などに指定されていることが多いわけですけれども、そういったことを勘案すると、地域の緑が長く保全できるように定期的に樹木医診断を行い、緑が健康に維持できるよう支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

 

○林公園緑地課長 区では、神社や寺院にある樹林、樹木について、条例に基づき一定の要件を満たし特に保護する必要があると認めることができるものを保護指定し、維持管理費の一部を補助しているところでございます。委員御指摘の樹木医診断につきましては、中野区基本計画(案)において検討しているところでございます。

 

○加藤委員 また、寺院や神社は貴重な緑だけではなくて、災害時に地域にとって安全な空間を提供できる可能性があると考えます。広域避難場所で、お隣、杉並区と中野区では、「コーシャハイム中野弥生町・立正佼成会大聖堂一帯」というのがありますけれども、非常に大きな重要なオープンスペースであり、地区のまちづくりを考える上でも防災性や災害時の避難場所としての活用も考えられる重要なところです。神社とかお寺というところ、緑だけでもなく、オープンスペースの地域の貢献について検討の俎上に、そちらのほうでも上がっているということなので、区との連携をこれから図っていっていただきたいなという要望を申し伝えまして、この項の質問を終えます。

 

 4、ガバメントクラウドファンディングについて。

 

 本格的に中野区も活用すべきと考えます。墨田区では、同区が生んだ世界の偉人、葛飾北斎の作品を集めたすみだ北斎美術館の当初建設費用7.4億円のうち5億円を建設時までにふるさと納税で募金しました。令和2年度末で14億3,000万円を集めており、返礼品を差し引いても1年1億円かかると言われる維持管理費を賄える状況となりました。

 

 私も10年前に、1歳の女の子が海外における心臓移植をするために、費用1億円を御支援者のおかげで10日という短期間で集めることができました。当時まだ普及していなかったSNSを使ったクラウドファンディングを行いました。ファンディングの趣旨、熱意があれば、短期間で募金することも可能だと、経験上、断言させていただきます。

 

 そこで伺いますが、中野区のガバメントクラウドファンディングについて考え方を伺います。

 

○高村広聴・広報課長 中野区のガバメントクラウドファンディングの活用の目的は、区政の課題に対応する事業にガバメントクラウドファンディングを活用することで、必要な財源の一部を確保するとともに、PR効果が高いことから、区への関心と取組への理解を深め、区民のシビックプライドの醸成を図るものでございます。

 

 対象となる事業は、区政の課題に関連するものであるとともに、区民の共感を呼ぶ内容であること、さらに、当該事業の実施が担保されていることを必須条件としています。また、個別要件として、区民や地域に貢献するものであるか、区民や事業者と連携協力していること、あるいは事業の拡大や新たな展開が期待できるものであること、このいずれかに該当するものとしております。以上の条件に照らし、区としてガバメントクラウドファンディングを活用すべきか否かを判断しているところでございます。

 

○加藤委員 墨田区のように文化的施設としてクラウドファンディングが見込める施設として旧中野刑務所正門、哲学堂公園、中野サンプラザがあると考えます。まず、旧中野刑務所正門ですが、現状、移設の費用と移設先の土地の購入等に合計約19億円、また、年間の維持管理費は今のところ100万円程度と言われておりますが、区の一般財源から賄わないといけないということです。旧中野刑務所正門の保存には、自民党会派としては、これまでどおり是とはしませんけれども、保存をするというのであれば、その価値があるというのであれば、今後保存や活用、周知をするに当たり、資金の調達の手段としてクラウドファンディングなどを活用してみてはいかがでしょうか。

 

○矢澤文化国際交流担当課長 旧中野刑務所正門の保存に当たりましては、移築や公開等に係る区の費用負担を見込んでいるところでございます。資金調達の手法につきましては、負担軽減を図るため、ガバメントクラウドファンディングなど特定財源確保の方策につきまして今後検討してまいりたいと考えております。

 

○加藤委員 次に、哲学堂公園ですが、令和2年3月に国の名勝指定を受けましたが、今後、哲学堂公園保存活用計画を策定する中で、例えば公園内の整備や維持管理費などに係るクラウドファンディングの活用も検討してはいかがでしょうか。

 

○矢澤文化国際交流担当課長 哲学堂公園が令和2年3月に国の名勝に指定されたことに伴いまして、その文化財的価値を後世に継承し適切に保存、復元、活用することを目的としまして、今後、哲学堂公園保存活用計画を策定する予定でございます。保存活用計画を作成した後、公園等の維持管理や整備を行うに当たりましては、国や都からの補助金を見込む予定でございますが、保存活用計画を作成する段階におきまして、こういったガバメントクラウドファンディング活用の可能性につきましても併せて検討してまいりたいと考えております。

 

○加藤委員 続きまして、中野サンプラザのデジタルアーカイブ化について、中野駅新北口駅前拠点施設整備における施行予定者が提案していますし、また、ほかの団体からも同様の要望もあると聞いており、その筋がよければ区としても文化振興の観点から関与していくべきと考えますが、こういったデジタルアーカイブの取組についても、区としてクラウドファンディングを活用していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 中野サンプラザのデジタルアーカイブ化につきましては、中野駅新北口駅前エリアの施行予定者が新北口駅前エリアにおけるエリアマネジメントの取組の中で現在内容を検討しております。施行予定者の取組と併せまして、区としてのその取組への関与、取組内容を検討する中でクラウドファンディングの活用についても整理をしてまいりたいと考えております。

 

○加藤委員 ありがとうございました。いろいろとクラウドファンディングを活用していただければと思います。これでこの項の質問を終えます。

 

 すみません、冒頭で予告していませんでしたけれども、その他で、多様性やエリアマネジメント、基本構想・基本計画について質問させていただきます。

 

 基本構想で多様性がうたわれており、中野区男女共同参画・多文化共生推進審議会を設置し、議論が重ねてこられましたけれども、特に事業と紐づけられることもなく、実効性がない理念条例となるのではないかと危惧します。

 

 私は2017年、当時所属しておりました東京青年会議所の総合政策委員会というところで、「青年が挑む ダイバーシティマネジメント推進 ~混沌とした時代で個性を輝かせるために~」という提言書を取りまとめさせていただき、方々に提言書を出してきた、誰よりも多様性の推進派であると自負しております。ダイバーシティ研究の権威である早稲田大学の谷口真美教授をはじめ、多くの企業のダイバーシティを推進されているヤフーの推進室長だったり、多くの著名人からアドバイスを頂きまして、個性が強いJC(東京青年会議所)という組織の中で、様々、まとまりがつかないのではないかという中で議論をまとめて、1年かけて全員が納得いくという答えを導き出せました。

 

 ダイバーシティ推進には、大きく分ければ、ダイバーシティインクルージョンとダイバーシティマネジメントがあります。ダイバーシティインクルージョンは、差別をなくして共存していこうという、大雑把に言えばそういった概念で、マイナス状態のところをゼロにするようなイメージで、人権擁護を中心とした考えです。一方、ダイバーシティマネジメントは、多様性を強みにしたチームをつくるということです。再三、例で挙げさせていただいていますけれども、多国籍であったラグビー日本代表が最も分かりやすい例だと考えます。

 

 こういったことを踏まえると、基本構想審議会で描かれる多様性のイメージは、ちょっとインクルージョン、人権擁護をメインとした色が強いなと考えて、多様性を強みにするという表記もありますけれども、その実現性が乏しいというふうにも考えられるわけです。ダイバーシティマネジメントを意識し、多様性を強みにした中野区になっていただきたいと思います。

 

 では、どんな提案内容だったかというので、ちょっとフリップを用意させていただきました。ダイバーシティマネジメントを行う上で三つのステップがあると考えております。まず、A、B、Cみたいな価値観がそれぞれ違う人が集まっていくというイメージです。どこに行けばいいか迷っている人、状況によっては世の中で溺れて死にそうな方もいるわけです、そういった個人のところから。そういったところからそれぞれマッチング、ダイバーシティマッチングということで、同じ価値観の人が相集い安心感を与える、この辺は中野区の基本構想でうたわれているところで、ここはインクルージョンとしていいところだと思います。次は、それぞれの立ち位置を、これは座標を描いているわけですけれども、どこに立っているかということをイメージする必要があります。これもインクルージョンのところです。

 

 その次ですけれども、それぞれが手を合わせて頑張っていく、こういったところ、これをやるためにはどうすればいいかといったときに、価値観を共有するのではなくて目的を共有する、これが重要なんです。多様性ということで、価値観は共有できないと言い切ってはあれですけれども、そういうふうに割り切ったほうがいいわけです。つまり、価値観を共有するのではなくて目的を共有する、こういった概念が必要であるという内容で提言をさせていただいたわけであります。

 

 こういった提言をさせていただいて、例えば最後のところ、手を合わせるというところですけれども、技術革新で分かりやすい事例かなと思って言うのが、例えばカーナビゲーションというのはGPSとオートジャイロ、マップマッチングシステムと、各個性を持った技術の融合の賜物です。一つの技術だけでは車がどこにあるかというのを示すことができないんです、実は。それらの技術を合わせたことによって精度が高い場所を維持できるわけです。こういったことを各個性を合わせて一つの目標、車の場所をここだと分からせるという目的を共有するからこそできる技術だと考えるわけです。

 

 提言書はもっといろいろ細かかったんですけれども、大ざっぱに言うとこんな感じです。この提言書は大手広告代理店でも参考にしていただいたという話もあり、JC(東京青年会議所)としても当時、自信作でもありました。今からでも基本的な考え方や条例に盛り込むべき事項としてこういった考えを入れていただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。

 

○堀越ユニバーサルデザイン推進担当課長 新たな条例に盛り込むべき事項についてでございます。現在検討を進めております新たな条例につきましては、人権や多様性が尊重される地域社会を目指すこととしておりまして、審議会の答申では、社会的包摂、ソーシャルインクルージョンという考え方も重要であると述べられております。委員の示されました活力を生み出していくようなダイバーシティインクルージョンの考え方ですとかマネジメントの姿勢についても、こちらは今後、条例内容の検討ですとかその後の浸透状況を捉える中で、各担当とも調整を図りながら検討してまいりたいと考えてございます。

 

○加藤委員 またほかのフリップも用意しているんですけれども、先ほど触れましたけれども、基本構想では、「多様性を生かし新たな価値を生み出します」と掲げておりますが、多様性を強みにしたまちづくりを進めるためには、ダイバーシティマネジメントだけではなくて、それをさらに強固に連携し合って高めていくために、エリアマネジメントやイノベーションマネジメント、三つを体系的に進めるべきだと私は考えます。

 

 1番目にダイバーシティマネジメント、そしてエリアマネジメント、これは中野区が今進めていこうとしているものですけれども。あと、イノベーションマネジメント。これは新規事業をつくっていこうという、これはまさに活力の経済部門のところですけれども、例えばダイバーシティマネジメントとエリアマネジメント、これを合わせることによって、それぞれ共感だったり同調できる、そういった関係構築をする、そういったみんなの集える場をつくっていくことができます。ダイバーシティマネジメントとイノベーションマネジメントをやれば、様々なアイデアが、ダイバーシティマネジメントがありまして、こういうものをやりたいといった場合に様々なアイデアができる、多角的な経営戦略みたいなものが築けると考えます。

 

 また、エリアマネジメントとイノベーションマネジメント、こういったところ、実験環境をつくる、こんなことができれば、この中野駅周辺ですごい事業ができるのかなと。中野駅周辺は、新宿を真似ても、中野駅より西にある駅の人たちは、新宿にあるようなものを中野区に来てまで、例えば映画館とかがあっても、新宿のほうが館数が多いので、結局、中野にわざわざ来て見ようという発想にはならないと思うんですね。そうすると、中野区に何の魅力があるかというのをつくり出すために、新たな魅力、新宿にはない魅力をつくっていかないといけないと私は考えます。そういった中で、こういった社会実験ができるような、チャレンジングができるようなまちというのを中野区でできればいいなと考えているわけでございます。

 

 そんなことを踏まえて、中野駅周辺のエリアマネジメントはこういった視点で進めていくべきと考えますが、区の見解を伺います。

 

○石橋中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 今年度、区が設置を予定してございます中野駅周辺エリアマネジメント協議会は、中野駅周辺の各開発地区等の事業者、それから地域団体、公共機関等のまさに多様な主体が結びつくプラットフォームとなることを想定してございます。今、委員が御指摘されたような視点で、新たな価値創造につながるような活動や取組が中野駅周辺で持続的に創出・展開される仕組みをエリアマネジメントの観点からも構築していきたいというふうに考えてございます。

 

○加藤委員 最後に、基本計画において基本構想に掲げる多様性を生かした新たな価値を生み出すための重点プロジェクトを設定すべきと考えますが、設定されておりません。新たな価値を生み出すためには、今言った三つのマネジメントを一体的に進めるべきと私は考えておりますけれども、そのためには横の連携を深めながら現在の事業を見直していく必要があると考えます。その辺のところ、区の見解をお伺いいたします。

 

○永見基本構想担当課長 多様性を生かし、新たな価値を生み出すまちづくりを進めていくためには、共通の目的の設定などを通じまして多様な主体との協働、協創を深めていくことも必要でございまして、そうした積み重ねが新しい価値を生み出していくものだと捉えてございます。今後の事業の実施に当たりましては、御意見の趣旨も踏まえながら、組織横断的に取り組んでいく考えでございます。

 

○加藤委員 ありがとうございました。私の今回の総括質疑におきましては、前半でかなり財政的に厳しい、そしていろいろと各事業がうまくいっていないこともある。今抱えている区の問題というのはかなりいっぱいあって、まず新規事業を立ち上げるべきではなくて、業務改善とかそういったところに注力をすべき時期なのではないかということで質疑させていただきました。ただし、新型コロナだったり災害だったり、今後、財政負担を削減するためにやる事業であればよしとするということで、予算に対しての要望を言わせていただきまして、私の総括質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

○ひやま委員長 以上で加藤たくま委員の質疑を終了します。

 

 

令和3年06月03日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録

 

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 

 1 小さな失敗と大きな成功ができる街NAKANOの創造について

 

  (1)ダイバーシティマネジメントについて

 

  (2)エリアマネジメントの考え方について

 

  (3)実験特区等への申請について

 

  (4)その他

 

 2 中野区の公務員倫理について

 

  (1)予算の積算根拠および業者選定について

 

  (2)中野区職員倫理条例の遵守について

 

  (3)その他

 

 3 中野区の情報政策の推進について

 

  (1)デジタル庁の創設について

 

  (2)地域情報化推進計画について

 

  (3)マイナンバーカードの利用促進について

 

  (4)GIGAスクールについて

 

  (5)区民のデジタルデバイドの解消について

 

  (6)その他

 

 4 行財政の構造改革で生み出す財政効果の目標・見込みについて

 

 5 その他

 

 

 

○議長(内川和久) 初めに、加藤たくま議員。

 

〔加藤たくま議員登壇〕

 

○11番(加藤たくま) 自民党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。

 

 新型コロナウイルス感染症によってこれまでの日常が一変し、誰しもがストレスを抱える状況が続いております。政治・行政はこの喫緊の課題に対して全力で対応することが責務であり、持てる力を注力されていることと思いますが、今、大きく変わろうとしている中野の未来を語っていくことも必要な時期であります。

 

 そこで、1、小さな失敗と大きな成功ができる街NAKANOの創造について質問させていただきます。

 

 (1)ダイバーシティマネジメントについて伺います。

 

 中野区基本構想は21対20と薄氷の勝利での可決ではありましたが、今後、中野区はこの構想の下、区政運営をすることとなりますので、具体的な方向性についてある一つの視点から言及させていただきます。

 

 ダイバーシティマネジメントは、多様性の個の力を生かした人間関係の構築、組織運営ということです。基本構想の冒頭の2「10年後に目指すまちの姿」、(1)「人と人とがつながり、新たな活力が生み出されるまち」では、「多様性を生かした新たな価値をつくります」「国籍や文化、年齢、障害、性別、性自認や性的指向などにかかわらず、誰もが地域の一員として暮らし、地域の特色や今までにない新たな価値が生まれています」とあります。

 

 冒頭にあることから、「多様性により新たな価値をつくります」という方針は区の一丁目一番地の政策であると理解します。間もなく大詰めの中野区男女共同参画・多文化共生推進審議会では、多様性を認め合うことが中心として明記されております。もちろん多様性を認めることは大前提でありますが、多様性を認めるだけでは新しい価値が生まれることは困難です。新しい価値を生み出せる環境、土壌を創出する必要があります。

 

 ダイバーシティマネジメントは、多様性を認め合い、力を合わせ、新たな価値・活力を生み出します。理想の形は、2年前のラグビーワールドカップに見られた日本代表です。当時日本代表は、代表登録31名中15名が日本ではなく他国にルーツを持つ方々でした。そして、何よりキャプテン、リーチマイケルはニュージーランド人。しかし、日本代表選手は一般の日本人より日本を愛し、大会前に日本国・国歌に対する理解を深めるため、さざれ石を見学するなど、誰よりも日本人の魂を持ったチームでした。共通の目標・目的に心一つにすることで、ダイバーシティ、多様性は強みとなり、快進撃を続けました。多様な能力が組み合わさり、短所を補い合う最高のイメージです。個々の力を認め合うだけではなく、共通の目標を見つけ、力を合わせることが重要なのです。このようなイメージの実現こそが、中野区が求める多様性あるまちなのではないかと考えます。

 

 区は、基本計画(素案)の政策1「多様性を生かし新たな価値を生み出す」に対する主な新規事業は男女共同参画・多文化共生推進条例の制定、ユニバーサルデザイン合同点検のみで、新たな価値が生まれる三歩手前の段階で終わることが見込まれます。

 

 新たな価値をつくることは、AI社会で生き抜く上で重要です。AIは過去のデータから未来を予測するシステムで、前例があればAIが人間に取って代わり、仕事をも奪っていく可能性があります。前例がないものをつくり続ける力が必要になります。

 

 そこで伺いますが、区の一丁目一番地の重要政策として、多様性を生かし、どのように新たな価値を生み出すイメージを区はお持ちなのか、具体的な政策とともに区のお考えを質します。

 

 一事が万事で、基本計画全体を見ますと、個別政策を実現するための事業計画を成功させるためには見えないような中野区基本計画全体のさらなる検討を求めます。

 

 では、「多様性により新たな価値をつくります」をどう実現するか、私としての答えはエリアマネジメントにあると考えます。そこで、次の(2)エリアマネジメントの考え方について伺います。

 

 エリアマネジメントは都市計画学の延長線上にあります。大ざっぱに言うと、都市化され、都市が成熟し、社会・経済活動が横ばい、停滞するとスラム化することは都市計画学の基本です。ほかの自治体の成長に埋もれ、スラム化しないためにも、ブランド力を高め、中野が都市として常にアップデートし続ける必要があります。ブランド力というのは、都市間・地域間における競争力に資する付加価値、あるいは都市やエリアの不動産価値を示します。ここでは、競争力に資する付加価値を与える最たる方法として注目されているのがエリアマネジメントです。新宿の隣で新宿をまねても付加価値はほとんど生まれません。

 

 今年度、(仮称)中野駅周辺エリアマネジメント協議会の設立がなされ、来年度以降は(仮称)中野駅周辺エリアマネジメントビジョンの策定、ビジョンに基づく具体的な事業の検討・実施というスケジュールです。協議会は一つの結論、一様性の考えに統一するのではなく、様々な共通目的がある仲間・組織がおのおのの考えで活躍・活動ができる器のでかいまちにすることが、常に活力あるまちをつくる上で必要となっていきます。

 

 そこで伺いますが、エリアマネジメントにおける中野の付加価値を生み出すためにダイバーシティマネジメントの導入を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 

 そして、中野のエリアマネジメントには、ダイバーシティマネジメントのほかにもう一つのエッセンスとして、挑戦、実験というキーワードが必要になってくると考えます。小さな失敗と大きな成功ができるまちです。

 

 私は大学に入学し、大学院、大学助手を経て、30歳まで大学にいました。大学教授のサポート、学生指導、研究など、日々多くの初体験と失敗を繰り返してきました。特に研究においては、自作プログラミングによる数値シミュレーション、都市や山間部、河川における観測、前例が全くない数々の実験など、トライ・アンド・エラーの繰り返し。当初はこれだと思える成功例は、感覚で言えば100回に1回、30歳ぐらいになると10回に1回くらいになってきました。指導教官からは、研究も野球と同じで、3割打者なら名プレーヤーだと言われました。

 

 本当に失敗だらけの30年間でしたが、32歳のときに、当時1歳の私の親友の娘さんの海外における心臓移植のために1億円の募金活動をしてほしいと頼まれました。募金活動の業務量の多さに悲鳴を上げましたが、多くの重要な判断が求められる中、30年間の失敗・経験から、与えられた環境下において何が最適な答えなのか、迷いなく即時に判断ができ、手戻りや無駄がなく、中野を中心としてスムーズに募金活動ができ、皆様のおかげで、結果的に準備期間1か月、募金活動10日間で1億円を集めることができました。当時まだなかったクラウドファンディングのような手法も考案いたしました。私の人生にとって最大の成功であったこの出来事は、小中高を中野で育んでもらい、そして、大学で多くの失敗をさせてもらえたからだと、その環境を与えてくれた方々に今でも感謝しております。

 

 「失敗は成功の元」と言われますが、今の御時世、失敗が許される場が少ないと感じます。そこで私は、「小さな失敗と大きな成功ができる街NAKANOの創造」を提唱させていただきます。

 

 中野区政、公教育にも、小さな失敗を恐れずに挑み、様々な経験ができる環境をさらにつくる方針を打ち立てるべきと考えます。中野区政において、実験的に事業を行い、3,000件見込んでいたがゼロ件の実績となり、PDCAサイクルで考えれば事業廃止、抜本的な見直しが妥当なところ、実績を増やすために広報するという結論は、失敗を認めない最も駄目な事例であります。科学的アプローチに言えば仮説が間違っているわけですが、区政や公教育については別の機会に質問させていただきます。

 

 ともかく、中野のエリアマネジメントでは実験的なことを許容し、夢見る者たちが失敗を恐れずに挑戦でき、新たな価値を生みながら成功できるまちになっていただきたいと考えますが、区の見解をお伺いいたします。

 

 ところで、中野のエリアマネジメントの試金石である四季の森公園の運用に関するサウンディング調査を現在行っていますが、どのような提案があるのか伺います。

 

 今、キッチンカーは空前のブームです。特にコロナ禍でもあり、店舗を持つことに感染対策、資金面、能力面などで自信がない方が飲食業にお試しで参入できる上でも人気があります。例えば将来的に区役所前に位置する四季の森公園イベント広場及び周辺道路を活用し、キッチンカー事業者に期間限定2年間の無償提供などを行い、小さな失敗を積むことができ、大成功をつかんでもらいます。中野で商売を始め、お客さんがつけば、中野で店舗を持ちたいと考える事業者もおり、空き店舗対策にもつながると考えられます。

 

 このような空間活用があってもよいと思いますが、区の見解はいかがかお伺いいたします。

 

 3番、実験特区等への申請について。

 

 ダイバーシティマネジメント、エリアマネジメントを相互に高め合いスパイラルアップし、中野区全体を実験特区にはできないでしょうか。多様な技術力が中野区に集結し、日本のシリコンバレーを目指すことで、人、物、金、情報が中野に集まります。例えば時期・場所が未定の病院誘致が行政課題としてありますが、医療圏域の病床数など地政学的に困難です。臓器移植に関する医療特区に申請し、インセンティブを持つことで打開できる可能性があると考えます。

 

 スウェーデンでは、子宮不全のために妊娠ができない方が、子宮の臓器移植で妊娠・出産した事例が増えております。移植後、拒絶反応を防ぐために、出産後に子宮の摘出もします。

 

 中野区ではLGBTQが多いと言われ、そのうちトランスジェンダーの方で子宮の除去・摘出手術を行う方がいます。子宮が欲しいという方、そして要らないという方、こんなすばらしいマッチングはありません。iPS細胞の研究が進めば、自分の細胞からつくられた臓器を移植する技術も生まれ、その手術ができる病院が必要になるため、都内で先駆けの医療を目指せるわけです。

 

 中野区の特性を生かした特区申請をして、地域発展を目指すべきですが、区の特区申請に対する考えをお伺いいたします。

 

 また、先日、国立研究開発法人建築研究所等と建築ドローンの共同研究に関する覚書を締結されましたが、研究が進む中で、行く行くは初の都心地上部を飛行できるドローン特区を目指すということも肝要かと存じますが、区の見解をお伺いいたします。

 

 また、西武新宿線の上部空間、つまり、現在の線路の部分におきまして、今後の利活用方針について西武鉄道に要望や協議を始める時期かと考えます。駐車場、駐輪場、緑道、公園など様々な地元ニーズがあるかもしれません。しかし、状況としては、自治体も西武鉄道もコロナによる減収で、今すぐ利活用ということは困難かもしれません。そして、直前まで現役だった線路をただ単に除却するのではなく、車両・ドローンを含めた最新機器を活用した維持管理の技術開発をするため、実験フィールドとして利用し、踏切部分以外の線路を当面据置きにすることなども一案かと思います。

 

 区は、西武新宿線の上部空間についてどのような方針であるかお伺いし、この項の質問を終えます。

 

 2、中野区の公務員倫理について。

 

 (1)予算の積算根拠および業者選定について。

 

 さきの中野区議会第1回定例会では、イレギュラーで臨時の予算特別委員会全体会が開催され、令和2年度補正予算のテレワークシステムに関する費用1.4億円の積算根拠などについて質疑させていただきました。テレワークシステム構築に、現在の主幹事業を委託している事業者に見積りを取ったところ、イニシャルコスト1億2,600万円、ランニングコスト5,900万円で、別の事業者ですとイニシャルコスト2,300万円、ランニングコスト1,500万円でした。システムの新規参入事業者は通常安い価格を提示いたしますが、イニシャルコスト1億300万円、ランニングコスト4,400万円の差はあまりに大きく、補正予算の積算根拠に疑義が生じました。

 

 そこで、一般的に中野区ではどのようなプロセスを経て、特に事業内容、金額については誰が主に査定した上で予算案が出されるのかお伺いいたします。

 

 また、コロナ関連の急ぎの事業だとしても、予算立てに最低3者見積りをすべきですが、なぜ1者のみになったのかお伺いいたします。

 

 私も過去に公務員として発注業務に携わってきました。公務員になりたてのときは一つの契約に数か月間かかり、ステップが進むたびに決裁が必要となる果てしない事務作業ははっきり言って面倒くさいと思っておりましたが、それは発注業務の妥当性を受益者である納税者に説明するための作業だと認識するには時間はかかりませんでした。しかし、監査委員ですら予算議案提出前に積算根拠をチェックすることができません。ましてや区議会でもチェックはできません。

 

 そこで伺いますが、状況によっては予算案とともに積算根拠を、決算時には業者指定理由書を要求資料として提出することは可能でしょうか、伺います。

 

 (2)中野区職員倫理条例の遵守について。

 

 監査委員でも予算議案上程前に積算根拠が見られないのであれば、職員の倫理観に期待するしかありません。中野区職員倫理条例の第3条の(3)には、「効果及び効率並びに経済性を科学的に検証し、区民の利益を最大化することを目指して計画的に職務に当たること」とあります。区民の立場から見たときに、事業が適切に行われているのか、おのれの執務を俯瞰、第三者の視点から見ることができる職員倫理を徹底し、公務を遂行すべきと考えますが、区は職員に対してどのような倫理教育を行っているのか伺います。

 

 職員の倫理の徹底により財政効果が生まれると考えます。私個人としては、職員が予算を使い切ろうという感覚はなくし、予算成立後であっても、職員の努力によって生まれた契約落差ならばありだと考えます。議会報告に出ている図面を説明できない、何回も不調になるなど、研究不足が否めない職員もおります。

 

 このコロナ禍で大変厳しい財政状況にあって、なおのこと職員の倫理観、緊張感を高め、財政効果を生むべきと考えますが、区はどのようにお考えかを伺い、この項の質問を終えます。

 

 3、中野区の情報政策の推進について。

 

 情報政策等調査特別委員会が設置され、二、三年で解決しなければならない情報政策に関する一刻を争う課題について質問をさせていただきます。

 

 (1)デジタル庁の創設について。

 

 2021年9月1日に設置されるデジタル庁は、これまで複数の省庁にまたがって行われてきたマイナンバー施策などのデジタル化に関する業務をまとめ、国のデジタル化主導をする役割を担います。省庁や地方自治体などの行政機関の間でスムーズにデータをやり取りし、共有し、行政手続全般を迅速化するとともに、マイナンバーカードの普及を推進し、様々な証明カードを統合していきます。まだ全容は見えませんが、国がシステムを一括に管理することで、各自治体のシステムに係る費用を持ってくれる可能性もあり、国の動向にすぐさま対応できるように多角的な準備が必要となります。

 

 地方自治体が担う行政サービスについて、デジタル技術やデータを生かして、住民の利便性を向上させるとともに、デジタル技術の活用によって業務効率化を図り、人的資源を行政サービスのさらなる向上につなげていくことが求められますが、これらを達成するためにどのようなことに対して重点的に取り組んでいく必要があると区は考えているのか、お伺いいたします。

 

 また、重点的に取り組んでいる項目は多岐にわたりますが、区としてどのようにDX推進をしていくのか、予定をお伺いいたします。

 

 (2)地域情報化推進計画について。

 

 地域情報化推進計画においては、国の自治体DX推進計画における重点取組事項への取組を示すとしております。一方で、中野区ではもう一つ大きな転換期として、新しい区役所への移転があります。新しい区役所への移転を契機として、これまで組織で縦割りの情報保有の仕組みを、区が保有するデータを組織横断的に保有する仕組みに転換していく必要があると考えます。区内で情報がガラパゴス化と言っても過言ではない状況になっておりますが、区が導入しているシステムというのは現在幾つあるのかお伺いいたします。

 

 システムの数だけ人が張りついており、システムを統合することでスケールメリット、システム管理に係る人的資源の省力化を図ることも可能です。ガラパゴス化の解消の手段の一つとして、遅々として進まなかった統合型GISの構築などを本格的に行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

 

 統合型GIS構築により、また、官民データ活用推進法などによるデータ分析が可能となり、行政課題の因果関係を考察することで、エビデンスがある予防策を打つことも可能となります。区内で情報を共有するのみならず、公開可能なデータについては産民学官が活用を可能とするために、積極的にその情報を公開するとともに、自由な活用が可能となるようにオープンデータとして活用していくべきと考えますが、区はいかがお考えか伺います。

 

 コロナにより厳しい財政でもありますが、区のDX化による財政効果は、中・長期的には必ず大きなものとなっていきます。しかし、現状では、そのような組織体制、予算とは見受けられません。今このときに情報政策に人的・財政的な投資をすべきと考えますが、区はいかがお考えでしょうか、伺います。

 

 (3)マイナンバーカードの利用促進について。

 

 中野区においては今年の1月18日より、マイナンバーカードがあれば、コンビニで住民票の写し、印鑑登録証明書、特別区民税・都民税の課税もしくは非課税証明書、特別区民税・都民税の納税証明書、戸籍全部事項証明書、戸籍個人事項証明書、戸籍の附票の写しが交付できるようになりました。窓口よりも100円安く、時間は朝6時半から夜11時まで、一度コンビニ交付を経験すれば、もはや証明書のために役所に行く人はおりません。

 

 私が自民党の区議会議員の候補の公募を決意したときに、住民票の写しが必要となりました。退職理由につながるかもしれない住民票の写しをもらうということで有給を取るとは、ちょっと上司には言えない状況で、かつ、ほぼ毎日深夜1時まで残業していた業務量の中、後ろめたさを感じながら午前中の有給を取り、区役所窓口に訪れました。その午前休が数日間しわ寄せとして、非常に大変な状況になりました。

 

 窓口受け取りで午前中の3時間を失い、アルバイトの時給換算でも3,000円以上、交通費や社会的コスト、機会損失など被害は計り知れません。住民票の写しのためだけに精神、肉体、時間、物理的、費用的にも多くの犠牲を払いました。コンビニ交付は区が抱えるコストだけで語られるべきではありません。

 

 マイナンバーの普及は、昨年の特別定額給付金、マイナポイントを契機にカード取得率50%になる見込みということですが、今後はコンビニ交付がさらに増加することで窓口交付が減少し、窓口業務の縮小化にもつながります。カード取得のきっかけはマイナポイント等だとしても、その流れをコンビニ交付サービスにつなげるためにも、マイナンバーカードによって得られる機能、利便性を改めて区報などで周知してはいかがでしょうか。行政・区民両サイドにとってよいことしかありません。

 

 ちなみに、先ほど児童手当の申込みをマイナンバーカードからやろうとしたら、中野区はその対象になっていませんというふうに画面で出てきましたので、その辺も含めて御検討いただきたいと思います。

 

 (4)GIGAスクールについて。

 

 学校内の通信速度が脆弱で、インターネットを活用した授業は困難であると聞いておりますが、今後どのような対策が取られるのか伺います。

 

 しかし、オンラインではタブレットが使えないというわけではありません。オフラインだからこそ、ICTの最も基礎となるタイピングをマスターするチャンスです。タイピングのスピードと仕事の能力が比例するという知見もあります。条件反射的に入力するタッチタイピングまでの上達は、小・中学生ならばすぐのことです。

 

 そこで伺いますが、通信速度が悪い期間中だからこそ実施すべきカリキュラムがあると考えますが、区はどのように御検討されていますか、伺います。

 

 GIGAスクールでは情報リテラシーを育むことも重要と考えます。NHK教育で和田アキ子さん、藤岡弘さんにスマホの使い方について講師をしている、中央大学の岡嶋裕史教授から伺った話ですけど、ツイッターで裏アカウントを取得して、他人の悪口や偽情報をつぶやいている学生は、世の中にあふれている情報、例えば偏向報道、えせ科学、詐欺行為などを見極める能力が高いということです。どんな情報であろうと発信すると、自分自身がその情報を発信することによって、他人の出している情報に対して取捨選択できるリテラシーが向上するということです。

 

 人に何かを伝えたいという気持ちは学びのきっかけとなります。例えば学校で今配付されているタブレットに内蔵されているパワーポイントなどを活用したプレゼンで情報発信能力を高め、情報リテラシーの向上が可能だと考えます。

 

 そこで、情報社会にさらされる子どもたちが正しい情報を選べる人材にすべく、どのような指導をされていくのかお伺いいたします。

 

 (5)区民のデジタルデバイドの解消について。

 

 先輩議員が財布を忘れて、Suicaだけ持って出かけてしまい、一日中不安だったけれども、交通機関はもちろんのこと、映画、食事をSuicaだけで決済でき、その利便性に感動したということを伺いました。デジタルデバイド政策は、デジタルの利便性に触れるきっかけが重要だと考えます。

 

 先ほど御紹介させていただきました岡嶋教授によりますと、デジタルツール未使用者は、デジタルに不信感があり、また、携帯ショップのスマホ教室などが開催されて興味があっても、何か買わされるのではないかということで疑心暗鬼になるということです。

 

 区が区民活動センターなどで携帯ショップと共催のスマホ教室を開催することで、その不信感をある程度拭える可能性もあります。携帯ショップは商機にもなり、無料で行ってもらえる可能性もあると考えます。孫とテレビ電話ができる、最新の共有写真が見られる、スマホがあるすばらしい未来・生活をイメージしてもらう。コロナ禍でその利点はより魅力的に見えるはずです。

 

 デジタルデバイド対策として、携帯ショップとタイアップしたセミナーが有効と考えられますが、区の御見解をお伺いいたします。

 

 また、岡嶋教授は、高齢者こそキャッシュレス決済をするべきだと言います。高齢者はお財布からお金を出すのに手間取ったり、お金の勘定が苦手になっていくということで、買物にどんどん行きたくなくなってしまうという方がある程度いるということです。キャッシュレス決済ならばその問題をクリアでき、買物に行くために歩くことで、健康施策にもつながっていきます。

 

 デジタルツール活用による利便性を知ってもらうために、スマホ、キャッシュレス決済がある豊かな生活、夢のある生活があることを区報などで特集を組む必要があると考えますが、区の御見解はいかがかお伺いしまして、この項の質問を終えます。

 

 4、行財政の構造改革で生み出す財政効果の目標・見込みについて。

 

 昨年の決算特別委員会で総括質疑させていただき、今後の中野区の財政状況について指摘させていただきました。その当時、中野区は最新の国の経済指標を基に財政の将来予測をしておりました。令和2年度を基準とした一般財源の減収は5年間で215億円となり、コロナショックによる財政悪化は非常に厳しいものとの予測で、同時期に行財政の構造改革に着手するということも明言されたタイミングでありました。

 

 そして、第1回定例会で報告された中野区基本計画(素案)23ページに示された最新の財政予測はさらに厳しいものでありました。10年たっても令和2年度の一般財源784億円まで回復せずに、10年間の減収は総額で457億円となります。半年間で予測は大きく悪化し、減収は215億円から457億円となり、大前提が変わりました。財政調整基金に全く手をつけない場合と、逆に使い切るという幅で考えても、毎年20億円から50億円の財政効果を生まなければ、この危機を乗り切ることができません。現状として、この穴埋めに小・中学校をはじめとした施設整備を遅らせることのみで乗り切るのではないかと不安になります。

 

 どの議員も構造改革は中野区政に大なたを振るう大きな事業と思っておりましたが、あくまで基本計画を下支えするだけのものということが、おとといの総務委員会で御報告がありました。一般の区民はこの言葉の強さに、大きなことをすると勘違いするのではないでしょうか。このままでは構造改革というキャッチフレーズは見せかけだけだと言わざるを得ません。子育て先進区、エビデンスベース、スクラップ・アンド・ビルド、様々な言葉が出てきましたが、ほとんどその結果が残せておりません。見せかけ、見栄えの政治はもうやめましょう。

 

 中野区政が財政緊急事態となっている今、我々が一般的に想像する構造改革を実行し、そこで得る財政効果を事業ごとにごまかしなしにしっかりと明示すべきと考えますが、区の御見解をお伺いします。

 

 以上で私からの全ての質問を終了いたします。御清聴ありがとうございます。

 

〔区長酒井直人登壇〕

 

○区長(酒井直人) 加藤議員の御質問にお答えいたします。

 

 一つ目に、小さな失敗と大きな成功ができる街NAKANOの創造について。

 

 まず、新たな価値を生み出す政策についての御質問です。共通の目標の実現に向けた多様な主体との協働・協創の積み重ねが新たな価値を生み出していくものだと考えております。その前提として、一人ひとりの人権を尊重しつつ、多様性を認め合う社会の土壌づくりに取り組んでいくことが必要だと考えておりまして、基本計画の前期において、男女共同参画・多文化共生推進条例の制定や多文化共生の推進に向けた基本指針の策定を予定しているところでございます。その上で、多様な人材・団体が参画し、活躍できる事業の構築・展開について検討を進めていきたいと考えております。

 

 続きまして、エリアマネジメントの考え方についてでございます。今年度区が設置を予定しております(仮称)中野駅周辺エリアマネジメント協議会は、各開発地区の事業者間や地域団体、公共機関等の多様な主体が結びつくプラットフォーム機能となることを想定しております。協議会では、中野駅周辺におけるまちの将来像を主にソフト面から描く(仮称)中野駅周辺エリアマネジメントビジョンの策定をはじめ、公開空地等公共空間の活用や安心・安全に対する一体的な取組など、中野駅周辺全域で展開してこそ価値を高め、新たな価値を創出する事項について協議・検討していく予定でございます。多様性や挑戦という概念も、こうした取組を進めるに当たって参考にしてまいります。

 

 次に、中野四季の森公園サウンディング調査における提案についてでございます。中野四季の森公園の管理運営に係るサウンディング型市場調査は、今年の2月から3月にかけてオンライン形式で行い、11社が参加しました。主な提案としては、管理運営における民間参画による事業手法、キッチンカーなど公園のポテンシャルを生かした企画運営、カフェなど収益施設の新たな整備、芝生の基盤改良等による維持管理費の縮減策、地域貢献に関する取組など様々な提案があり、今定例会の常任委員会で報告する予定でございます。

 

 次に、中野四季の森公園などにおけるキッチンカーやテラス席についてでございます。サウンディング調査においても、キッチンカーの出店やカフェ等の飲食施設の整備などが提案としてありました。この調査における提案内容などを参考に、中野四季の森公園などのにぎわいや快適性につながるような管理運営方法について検討してまいります。

 

 次に、区の特性を生かした特区申請とドローン特区についてでございます。区としては、中野区の地域資源を最大限に生かし、様々な社会実験を誘導・促進することで、区の持続的発展につなげていきたいと考えております。ドローンに係る特区申請につきましては、共同研究の推移やその成果等を踏まえ、引き続き区として研究するとともに、その他の領域における特区の可能性についても、御提案のあった内容も参考にしながら研究をしてまいりたいと考えております。

 

 次に、西武新宿線の上部空間の利活用方針についてでございます。鉄道の上部空間につきましては、地域のにぎわいや不足する都市施設の補完などに寄与する利活用が望ましいと考えております。今年度は、東京都、中野区、西武鉄道株式会社で上部空間の利活用に関する検討会議体を設置する予定でございますので、御提案については、その会議体を活用して、関係者で情報共有も行っていきます。

 

 次に、中野区の公務員倫理についてで、最初に、予算案提出までのプロセスについてでございます。予算案につきましては、予算編成方針及び事務処理方針に基づいて、各部において経費の積算を行い、企画部において事業内容や経費の精査を行った上で、区長査定の場で最終調整・確認を行い、議案として提出することになります。経費の積算に当たりましては、原則として二つ以上の事業者の見積りを聴取するものとしておりますが、昨年5月の臨時会に提案したテレワークシステムの補正予算につきましては、区の契約するデータセンター内に環境を構築することを想定していたことから、当該業者から聴取した見積りのみを根拠に予算を調製したところでございます。

 

 次に、契約における積算根拠や業者指定理由書の提示についてでございます。契約締結請求がなされた契約案件につきましては、契約締結手続の前提となる積算根拠や業者指定理由書を契約締結後に提出することは可能でございます。

 

 続きまして、職員倫理の教育についてでございます。中野区職員倫理条例の内容を理解し、職員として踏まえなければならない職務行動について学ぶことを目的とし、係長級の昇任者や管理職候補者等を対象として研修を実施しているところであります。今後もこうした実務研修を通じて、職務遂行の行動原則を周知徹底し、適正な公務の執行を確保してまいりたいと考えております。

 

 続きまして、職員倫理の向上による財政効果についてでございます。職員倫理条例で定める職員の行動原則の中には、「効果及び効率並びに経済性を科学的に検証し、区民の利益を最大化することを目指して計画的に職務に当たる」という項目があります。職員一人ひとりがこうした行動原則を職務の中で徹底していくことにより、効率的かつ効果的な行政運営につながっていくものと考えております。

 

 続きまして、中野区の情報政策の推進についてで、重点的に取り組む事項についてでございます。行政サービスの向上を目的として、国の自治体DX推進計画において示されている重点取組事項のうち、特に区民サービスに直結する自治体の情報システム標準化・共通化、マイナンバーカードの普及促進、行政手続のオンライン化などに注力して取り組んでいく必要があると考えております。

 

 次に、区のDX推進についての御質問です。特に自治体の情報システムの標準化・共通化につきましては、令和7年度までに実行する必要がございます。そのためにも組織体制を強固にし、併せてデジタル人材の確保・育成に当たっていく必要があると考えております。

 

 続きまして、地域情報化推進計画についてで、稼働しているシステムの件数についてでございます。区で稼働中の情報システムの数は141システムとなっております。うち、国や東京都が所有しているシステムや共同利用、クラウドサービス等を利用しているシステムを除く76システムが、区独自にパッケージソフトウエアの導入やサーバー構築等により導入されたものとなっております。

 

 次に、統合型GISの導入に係る検討状況についてでございます。統合型GISを構築することで、各部が保有する地理データなどの共有が図られ、政策形成などに当たって横断的な分析が可能になると考えておりまして、地域情報化推進計画にも位置付けた上で導入を進めていきたいと考えております。

 

 次に、オープンデータの拡充についてでございます。行政で保有するデータを行政のみで活用するのではなく、産学民による活用を促すために、これまでもオープンデータとして公開をしてきております。また、統合型GISの構築に合わせて、各種空間情報と組み合わせた情報を公開するなどデータの内容を充実させるとともに、データ形式も充実させるなど活用の範囲を広げる取組を進めていきたいと考えております。

 

 次に、DX推進に向けた投資についてでございます。厳しい財政状況下においても、デジタルシフトやデジタルトランスフォーメーションを推進し、効率的かつ効果的な行財政運営を行っていく必要があります。そのための組織や体制を構築して、外部人材の活用等によって人員体制を強化し、取り組んでいく必要があると考えております。財政的な投資につきましては、中・長期的な効果を見込んだ上で、必要な経費を積算し、各年度の予算の中で計上してまいります。

 

 マイナンバーカードの機能や利便性の周知についてでございます。これまでも区報やホームページ、ポスター掲示等で、証明書のコンビニ交付サービスの利便性の周知に努めてきたところであります。今後もマイナンバーカードの利便性を十分に周知するとともに、コンビニ交付サービスなどの機能の充実にも努めてまいります。

 

 続きまして、区民のデジタルデバイドの解消についてで、携帯電話事業者との協力についてでございます。ウィズコロナ時代の新しい生活様式では、スマホなどのデジタル機器が生活の質、クオリティー・オブ・ライフを向上させる重要な役割を担うと考えておりまして、特に高齢者のデジタルデバイド解消は喫緊の課題だと捉えております。今年度、国が携帯電話事業者による講習会などを予定しておりますが、これには区としても大いに期待しておりまして、無料講習会開催時の区施設などの提供や参加者募集における広報活動など、協力できることがないか検討してまいります。

 

 最後に、キャッシュレス決済の現在の取組と今後の展開についての御質問です。区では、住民税、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料や介護保険料の納付について、24時間365日支払いが行えるスマートフォン決済の取扱いを3月1日から開始をしておりまして、区報やチラシで周知を行っているところでございます。また、キャッシュレス決済はポイント還元も得られるなど利便性が高いことから、高齢者の利用機会を増やすために、区報等による周知のほか、きめ細やかな説明会の開催や、商店街での使い方の説明動画の放映など、丁寧な対応を行っていく予定でございます。引き続き、他自治体などの先行事例も参考にしながら、区報やお知らせのチラシを活用したキャッシュレス決済の準備をしてまいりたいと考えております。

 

〔教育長入野貴美子登壇〕

 

○教育長(入野貴美子) 私からは、中野区の情報政策の推進のうちGIGAスクールについてお答えをいたします。

 

 初めに、校内ネットワークの通信速度についてでございますが、現在、校内ネットワークにつきましては、複数のクラスが同時にインターネットに接続しながら授業が行える状況には至っておりません。このような状況を改善するための学校のインターネット環境の高速・大容量化について、来年度の実施に向けて検討を行っているところでございます。

 

 次に、タブレット端末を活用した学習についてでございますが、学校では、カメラ機能を用いて植物の成長を記録したり、跳び箱やマット運動で自分の動きを動画に撮影して確認するなど、授業で活用しております。また、ワープロ機能等を用いて自分の考えや学習したことをまとめ、それらを電子黒板を用いて学級で交流するなど、発達の段階に合わせて、様々な場面でタブレットを活用しております。現在、オフラインでも使用ができる学習アプリ等の導入も学校と連携して検討しているところでございます。教育委員会では、取組の進んでいる学校の事例を紹介するなど、全ての学校で効果的にタブレットを活用した学習が行われるように推進してまいります。

 

 最後に、情報リテラシーの育成についてでございますが、低学年から各教科等の学習の中で自分の考えを発表する場面などを計画的に行い、正しい情報を分かりやすく発信する指導を重ねることで、情報収集の力、情報選択の力、情報発信力などの情報リテラシーを育成しております。あわせて、個人情報の扱い方やインターネットを介した様々なトラブルを回避するための情報モラルにつきましては、セーフティー教室などの機会に指導しているところでございます。これらの活動を通して、児童・生徒が情報や情報技術を適切かつ効果的に活用して、自分の考えを発信することができる力を身につけさせてまいります。

 

〔構造改革担当部長石井大輔登壇〕

 

○構造改革担当部長(石井大輔) 私からは、行財政の構造改革で生み出す財政効果の目標・見込みについての御質問にお答えいたします。

 

 財政的な非常事態に対処する観点から、予算編成におきましては、歳出の一般財源充当事業費を基準となる一般財源規模に近づけるよう努めていく考えでございます。一方、実行プログラムでは、個別プログラムそれぞれに設定している想定する成果を目指すものとし、六つの指標及び目標によって統制を図っていく考えでございます。

 

〔加藤たくま議員登壇〕

 

○11番(加藤たくま) 2の中野区の公務員倫理の(1)の予算の積算根拠および業者選定について再質問させていただきます。

 

 先ほども挙げましたけれども、すごい金額の差がある見積りが二つあって、適正な金額が積算根拠として出ていないというところで、こういったことが役所内で多々あるのではないかということを危惧しておりまして、そういった観点から、予算提案のときに予算の積算根拠、決算のときにはそれをどこの事業者がやったか、決算においては出していただけるということですが、予算に関しては契約締結後ということでした。我々としては積算根拠をしっかりと出していただいて、緊張感がある中でそういったお金の支出のところを議会で審議していきたいなと考えているわけですけども、そういったところ、出せないというのであれば、どうやれば我々は金額の妥当性について審議をしていけばいいのか。それをしっかりやっていくことが、構造改革をやる前に大前提として中野区政が今求められていることの一つなのかなと思っておりますので、その辺、どうやってもう少しそういったスリム化をしていくのか、方針を伺えればなと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 

〔区長酒井直人登壇〕

 

○区長(酒井直人) 加藤たくま議員の再質問にお答えいたします。

 

 我々が予算を要求する中で、事業の積算根拠についてどのようにチェックをしていただけるかということだと思いますけれども、それについては予算の質疑の中で、我々の業務の積算根拠についてお尋ねいただければ、業務に支障のない範囲内では我々もしっかりと説明をしていきたいというふうに考えておりますので、そのようにお願いしたいと思います。

 

○議長(内川和久) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。