【質問項目】
1.BCP・半育休・創造力向上等を勘案した働き方改革の推進について
2.「にぎわい」に着目した施策展開について
(1)中野区景観方針について
(2)道路占有による非日常の創出について
(3)エリアマネジメントについて
3.中野区地域包括ケア総合アクションプランについて
4.環境・防災・住み心地を総合的に考慮した野心的な住宅政策について
【概要】
1.BCP・半育休・創造力向上等を勘案した働き方改革の推進について
・役所で感染症クラスターが発生し、窓口閉鎖した経験からテレワークシステムを活用した在宅勤務体制を構築して、ある所管の職員が全滅することを避けるべき。
・妊娠初期、出産、育児、病欠、介護のためにも在宅勤務を認めていくべき。
・好きな席に座れるフリーアドレスのオフィスを最大限に活用して、創造力が向上する職場環境にすべき。
2.「にぎわい」に着目した施策展開について
(1)中野区景観方針について
・景観をよくするためのルールが中野区にやっとできますが、基本的に「水辺」「みどり」「にぎわい」の調和を目指そうとするのが定石、しかし「水辺」「みどり」の調和は都市部では困難、「にぎわい」に特化し、賛同者が多い金儲けのための景観づくりにすべき。
(2)道路占有による非日常の創出について
・アミューズメントパークは非日常を味わうために訪れるが、中野区にアミューズメントパークは誘致できないため、ランニングフェスタ、ねぶた運行などの道路占有によるイベントを開催することで非日常を作り出せるので積極的に行うべし。
(3)エリアマネジメントについて
・四季の森公園イベント広場などでキッチンカーを展開し、そこで味、経営に自信をもった事業者がこれからさらに増えると考えられる空き店舗に入っていただく機運を創るべきでは。
3.中野区地域包括ケア総合アクションプランについて
・自分の人生の締めくくり方を考えるタイミングを逃すと最悪、家族への意思の表明もできなくなるため、60、65、70歳などの節目で考えるきっかけをつくるべきでは。
4.環境・防災・住み心地を総合的に考慮した野心的な住宅政策について
・中野は通勤の便がよく、民間事業者は採算性が高い狭小住宅を建設するが、そこに住むような方々は結婚、出産などライフステージが変わると転出してしまい、中野区に留まらないことが問題であることから、高断熱、ファミリー世帯用の床面積を確保する住宅には容積率アップさせるインセンティブをあたえるべき。
【議事録】
○議長(内川和久) 次に、加藤たくま議員。
〔加藤たくま議員登壇〕
○11番(加藤たくま) 自由民主党議員団の立場から質問をさせていただきます。
質問は通告どおりで、その他はございません。
それでは、1番、BCP・半育休・創造力向上等を勘案した働き方改革の推進について。
本来であれば、新しく中野区役所移転を契機とした働き方改革のため、どのようなDX推進、デジタルトランスフォーメーションが必要か議論すべきではありますが、現状としては新たなツール、アプリケーションを活用し、どんな働き方改革ができそうかという検討となり、手段と目的が逆になりがちです。そこで、本一般質問では、働き方改革のうち目的とすべき項目について触れていきます。
まずはBCP。さきの定例会で平山議員が決算総括質疑で取り上げましたが、長崎県の佐世保郵便局で新型コロナウイルスのクラスターが発生し、日本郵便が6万通の郵送物の期日中の配達ができなかったとの報道がありました。中野区においても、庁舎1階マイナンバーカード窓口で多数のコロナ感染者が発生し、濃厚接触者の職員も出勤停止とし、窓口を1週間閉鎖する非常事態となりました。
このようなリスク回避には、同じ部署の職員全員、そして同時出勤を避けるしかありません。そのためにも各所管で常に誰かが在宅勤務をする体制を構築し、当該所管の職員全員が罹患もしくは濃厚接触する事態を回避すべきと考えます。そこで伺いますが、BCPの観点から、各部署でテレワークの職員枠を設けることを義務づけるべきと考えますが、いかがでしょうか。
続いて、半育休を含めた日常の観点から、例えばテレワークする職員の率を10%とします。そうすると、職員は平均10営業日に1度、つまり2週間に1回程度在宅勤務となります。テレワークできる業務を10%まで高めておけば、例えば足をけがして病気休暇を取得すべき人が在宅勤務であれば働ける場合に、テレワークを選択できます。
最近では、育児休暇を取得しつつもテレワークで在宅勤務を実現する半育休という言葉があるそうです。また、妊娠初期は不安を抱えた生活を送る人が多いわけですが、日本においては一般的に安定期になるまで周りに報告しない人が多いようです。産婦人科学会の統計データによりますと、30歳以上になると20%以上の方が流産になり、20歳代ですら8%以上あります。妊娠初期12週以下の流産の原因のほとんどが胎児の染色体異常であり、受精卵の段階で流産は運命づけられているということです。しかし、妊娠初期は誰にも妊娠に気づかれない中、体調が優れない状態が続き、挙げ句の果てに悲しい結果となった場合、親として全力を尽くせていなかったのか自責の念に駆られる人もいると聞きます。プライバシーに関わることで、上司への報告さえもなかなか難しいですが、上司へ報告し、庁内全体でつくり上げたテレワーク業務を自宅で担ってもらうことで、精神的、体力的にもサポートできないかと考えます。そこで伺いますが、各所管でテレワークを推進し、妊娠・出産・育児、条件つきの病気休暇において在宅勤務がしやすい環境をつくるべきと考えますが、見解はいかがでしょうか。
10%の職員が出勤しない体制を構築できれば、机と椅子を10%削減できます。新庁舎においては、生活援護課、社会福祉協議会などの配置に関する議論があるわけですが、テレワークの実現により各所管の執務スペースの削減が可能となります。テレワーク推進、マイナンバーカード普及により執務スペースを縮小し、将来的に空いたスペースをほかの用途に活用できるよう検討すべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。
次に、創造力向上について。自民党会派で福岡県古賀市のフリーアドレスのオフィスを視察させていただきました。机を自由に使えるフリーアドレスとなり、職員たちが、例えば来週はプロジェクトチームのメンバーが同じ島の机なり、仕事がしたい、一人で集中させてもらいたい、テレワークがしたいなど、ある程度の要望を組み込んだ後、残りの席はくじ引きなどで決めるそうです。席が変わることで様々な会話ができ、新たな創造的なアイデアが生まれるそうです。また、必ずテレワークの職員枠があるそうです。もし職場内に苦手な方がいても固定席ではないため、そのリスクも軽減し、ストレスが著しく下がるようです。現在、中野区の新区役所整備課は、新庁舎に先立ち、モデルオフィスとしてフリーアドレスにも対応できる執務環境としましたが、これまでの検証内容、また今後の展望をお伺いいたします。
11月29日から子ども・若者支援センター、児童相談所の内覧会に伺いましたが、机はフリーアドレス仕様で、個人ロッカーがあり、新庁舎と同様の什器がそろっています。同施設の業務は特殊ですが、仕事の引継ぎ、継続性の重要性はほかの業務よりもなおのこと高く、フリーアドレスのオフィスの考え方は重要だと考えます。新庁舎が完成する前に、新施設におけるフリーアドレスに関するノウハウのフィードバックが必要だと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。
新庁舎移転に向けて、区では区民サービスのさらなる向上、職員の生産性を向上させる取組としてペーパーレス推進基本方針を策定し、2年半後に迫る新庁舎移転に向け、全庁的に効果的なペーパーレスを進める必要がありますが、具体的にどのような手法で紙を削減していくのか伺います。
また、部署、所属によって業務内容も様々で、紙文書の書類や取扱いは異なりますが、成果にばらつきが出ることを是とはできないため、全庁的に足並みをそろえるために、進捗が芳しくない部署への対処方針などをどのように行うかを伺います。
ユニファイド・コミュニケーションを活用し、自席以外の様々な場所でも業務を行える新しい働き方を進めるということですが、現庁舎ではまだまだ紙ベース、手元の紙資料で作業することが多いです。現庁舎のうちからペーパーレスし、生産性を高め、スムーズに新庁舎での執務が始められるよう工夫、実施をすべきと考えますが、その点について伺います。また、新しいコミュニケーションツールについても現庁舎から徐々にならしながら、これからの働き方の検証、検討を進めていく必要があると考えますが、区の見解を伺います。
新庁舎における行政と議会の情報共有の在り方についてもお尋ねいたします。区議会としても、議場システム、新庁舎における議会運営方法などの検討を進めておりますが、区のDXの進捗状況についての情報共有を図り、区と区議会で認識を合わせながら調整を進める必要があると考えます。今後導入を考えているコミュニケーションツールやICT機器について議会とも連携する必要があると考えますが、区の見解はいかがでしょうか。ちなみに、本原稿はMS365のディクテーション、音声認識を使って取材をしておりますけれども、この原稿を作るのにふだんの半分ぐらいの時間で済んだかなということで、コミュニケーションツールの在り方、よくよく考えていただければと思います。
続きまして、2、「にぎわい」に着目した施策展開についてのうち、(1)中野区景観方針について。よい景観をつくりましょうとなれば、一般的に自然あふれ、テーマ性のあるまち並みというような表現になるかと思います。例えば東京駅周辺や西新宿の高層ビル街は看板の設置が禁じられ、スマートなまち並みです。自然との調和であれば、雪国のコンビニの看板が茶系になっている事例があります。景観とは地権者と相互努力が必要不可欠で、話合いで景観のテーマが決まらないと何も前に進みません。そして、決まらないことがほとんどで、多くの場合、防災面からまちづくりが進められ、特徴のないまちが出来上がっていきます。
以前、私は景観デザインの学会に論文を出したこともあり、景観について多少学びましたが、今も昔もキーワードは緑と水辺とにぎわい、この三つ。場所によっては歴史や文化というキーワードも加わります。中野区景観方針骨子においても、目指す景観もそのキーワードを軸に構成されております。桜並木で有名な中目黒の目黒川沿いなどが分かりやすい理想像の一つになるのでしょう。
私は様々なまちでどんな風景、景色、デザインがいいか、勉強会、パネルディスカッション、ワークショップなどを実行する企画運営メンバーとなり、時にはファシリテーターも務めたことがあります。参加者と議論をすると多種多様の価値観があり、参加者の中には、川の中には珍しいミジンコがいるため、川の改修は断じて認めないなどの意見もあり、なかなか統一見解を見出せず、最後やっつけの結論として、緑と水辺とにぎわいが調和するまちにすべきとまとめると、その場は一旦落ち着きます。しかし、これは具体的な方針が全く定まらないわけです。
時代にそぐわない表現かもしれませんが、一つ思い出しました。三島由紀夫の書籍で「文章読本」というのがありますけれども、「あなたが小説を書くとき、彼女は絶世の美女だと書けば、それで、そのままその人は絶世の美女となるのです。」という一節があります。しかし、映画などで映像化されると個々のイメージと異なってくるということも述べられております。景観も同様で、個人が描く理想はそれぞれ異なります。多様性があるまちにすると掲げ、具体性がないということと同様です。
また、ワークショップという手法は、東日本大震災後の復興方針について議論する場合は、早く結論を出さなければ自分たちの住む場所も描けないため、具体的な結論を導くことができました。しかし、切迫感がないワークショップは参加者のガス抜きを一定程度するだけの手法であり、それには限界があります。区はこういったところを丸投げするのではなく、最終的には腹を決めるしかありません。そこで伺いますが、景観方針で示される良好な景観を区内各地域で実現していく際には、どのようなスキームで構築していくのか伺います。
例えば具体的にスカイライン、屋根の高さの統一、沿道の緑化などを義務づけしようというのは簡単ですが、民有地での計画策定、実施は困難を極めます。また、小宮山議員が主張される神田川などの水辺空間を最大に生かすことも重要な視点です。しかし、川沿いには建物が張りつき、コンクリート三面張りの川の中で親水空間を造ろうにも、気候変動に伴う降雨の激甚化、ゲリラ豪雨による洪水リスクが年々上昇し、区民の命を守る観点から行政はゴーサインを出せません。河川災害があった場合、自己責任論では済まされず、行政側が裁判で負けるケースが多いからです。ICTを活用した緊急避難手法の確立でこの状況も打開できると期待はしておりますが、即座にできるものではありません。
何が言いたいかといいますと、先ほど挙げました緑と水辺とにぎわいのこの三つのうち、緑と水辺は地権者の合意形成、行政的な了承を得るのが非常に困難です。となると、緑、水辺、にぎわい、三位一体の理想的な景観方針を策定しても、道路の計画線を引いて30年間何も進まない事例と同様な形になっていくことが想定されます。
景観方針を活用した事例は、にぎわいを主とすることが現実的には推進しやすいです。簡単に言えば、もうかるからです。住居エリアを除いた市街地に限定すれば、もうけ話に賛同する人は多いはずです。新しい中野サンプラザを含めた中野通りの景観は、区民のみならず全国的に興味を持たれる話です。東京駅周辺のように看板をなくし、かつ四季の森と連動性のある空間、それとも中野らしくアジアンチックに看板がたくさんあるまち並みにするのか。中野四丁目、五丁目で二面性をつくるのか。はたまた統一性を持たせるのか。中野通りの桜並木へのライトアップ、照明をつくるのか。特徴ある道路タイル、中野区の中心とも言える中野駅ガード下の整備、エリアマネジメントなど、様々にぎわいツールを景観の観点からは考える必要があります。
そこで伺いますが、景観施策の中で緑、水辺、にぎわいを生かした景観形成が最も典型的だと考えますが、区は現在策定中の景観方針の中でにぎわい形成についてどのように位置付けていくのか伺います。また、具体的ににぎわいの実現に向けてどのような景観誘導手法があると考えられるか伺います。
続きまして、(2)道路占有における非日常の創出について。なぜアミューズメントパーク、テーマパークなどに行きたいかと理由を問われましたら、根底は非日常を味わいたいからではないでしょうか。中野区にはアミューズメントパークの誘致は非常に困難でありますけれども、にぎわいを生み出す非日常空間をつくり出すことはできると考えます。例えば中野区の神社祭礼において、青梅街道南台交差点などを一時的に封鎖する神輿の渡御があり、鍋屋横丁、川島通り、南台商店街などを封鎖したお祭りも盛況です。四季の森公園沿道で東北復興祭のねぶた、ランニングフェスタなど、道路占有によって生まれた非日常空間には多くの笑顔があふれており、臨時的なアミューズメントパークが生まれます。無論これらイベントは関係者の長年による御努力によって実現したものです。
余談ではありますが、私がタイに行ったときの話をします。現地の国土交通省の職員からレストランに招待されて、大学の後輩20人と幌なしの軽トラの荷台に乗せられました。そのまま移動して、すぐ近くのお店に行くと思ったんですけど、軽トラは一般道から高速道路に乗ってしまって、非常に興奮したことを覚えました。窓もドアもないトゥクトゥクと呼ばれるタクシーがあるように、実はこれは問題ないらしいんですね。こういった日本の法律という一般常識が身についていることでイメージしづらいですが、イベント利用や特区制度を活用して道路交通法を一時的に緩和させることで、どこでもアミューズメントパークをつくることを理解していく必要があると思います。このような道路上でのイベントなど、にぎわい創出の観点から道路占有の取扱いについて区の見解を伺います。
ところで、沼袋の区画街路第4号線は道路拡幅により新たに生まれ変わる商店街です。国土交通省で昨年の5月に歩行者利便増進道路制度を創設しました。これは、にぎわいのある道路空間を構築するための制度であり、区画街路第4号線におけるにぎわいの創出として道路上でのテラス席など、一つの重要な切り口となると考えますが、区として今後どのように展開していくのかをお伺いします。
(3)エリアマネジメントについて伺います。第2回定例会一般質問で取り上げましたが、コロナ禍でキッチンカーが増えました。資金面、能力面などで自信がない方が飲食業にチャレンジできるということで人気が出ました。将来的に新区役所前に位置する四季の森公園イベント広場及び周辺道路を活用し、キッチンカー事業者に期間限定で場所の無償提供ができれば、区の職員がお弁当を買い求めやすく、好循環が望め、新たなにぎわいが創出できます。事業者は中野で商売を始め、お客さんがつけば中野で店舗を持ちたいと考え、空き店舗対策につながる可能性があります。サンプラザ解体中の中野駅北口のにぎわいの一助となることが考えられます。ほかのエリアマネジメントの対象となり得る地区においても同様のことが期待できます。エリアマネジメントで生まれた活力を区全体に広げるためにも、このような空間活用があってもよいと思いますが、区の見解をお伺いいたします。
オンラインショッピング、スーパー、コンビニで買えないものはない時代になりました。中野区商店街連合会からのお話ですと、現在、商店街の個店で生き残りができるのは、サービスを受ける本人が来店する理美容、マッサージ、飲食店とのことです。区としては、キッチンカーの創業の後押しで飲食店を盛り上げていくことができると考えます。
続きまして、(仮称)中野駅周辺エリアマネジメント協議会設立について伺います。いよいよ協議会が設立されますが、中野駅周辺におけるエリアマネジメントの取組の進捗状況を伺います。また、協議会の主体は中野区民間事業者、経済団体、地域団体となりますが、中野駅周辺のエリアマネジメントはどこがハンドリングするのか伺います。
続きまして、3、中野区地域包括ケア総合アクションプランについて伺います。
令和2年第3回定例会地域包括ケア推進調査特別委員会において、地域包括ケアに向けての区民1万人アンケートの内容が出てきましたけれども、生活実態、意識の調査に偏った内容であり、施策につながらないと私は指摘させていただきました。そして、令和3年第2回定例会で令和2年度暮らしの状況と意識に関する調査の一次処理データが報告されましたが、案の定、施策につながる調査結果ではありませんでした。また、11月4日の厚生委員会で報告された中野区地域包括ケア総合アクションプラン中間のまとめについてで、アンケート調査結果として、孤立感を感じていない人たちは趣味、生きがいがある。要介護度が上がると外出していない割合が増える。SOSを発信できない人たちはスーパー、コンビニ以外にあんまり行かない。自分のスキルを地域に生かしたいが、やり方が分からないなど、こういった概略が書いてあったわけでありますけれども、当たり前の事実が、アンケートを取らなくても分かるような当たり前の事実が挙げられていたわけであります。生きていればスーパー、コンビニぐらい行くのは当たり前で、わざわざ1万人にアンケートをして出てきた結果がこれなのかなと残念に思うところであります。実態把握は重要ではありますが、その生活苦に対して何ができるか、その施策を導けないものでありました。一般質問というよりは一般的な疑問ではありましたが、640万円の予算、多大な時間をかけてあれだけ大々的に実施したアンケートで知り得た事実は何だったのか。また、そこから見出した施策は何かを伺います。また、アンケート結果からアクションプランに反映する取組は何になるのか伺います。
地域包括ケアシステム推進プランでは認知症対策が柱8にありましたけれども、総合アクションプランでは認知症対策は権利保護に含まれることになり、特出しの施策ではなくなり、認知症発症と歯周病の因果関係も指摘されるなど、これから予防手法の確立がされていく中で、中野区のそういったところの積極的な施策展開を期待していたので、残念でなりません。トーンダウンした感がありますが、認知症対策について区はどのような施策を展開されるおつもりなのか伺います。
認知症や不慮の事故で自分の意思が表示できない、表明できなくなることがあります。私ごとではありますが、私の父が生活習慣病を患い、入院し、その病院でコロナのクラスター感染し、コロナ病棟から戻ったら終末期医療の病院行きとなりました。現在、本人の意思を確認できない状況です。ぎりぎり会話ができたとき、父は家に帰りたいと連呼しており、最後の希望と思い、医師に自宅での尊厳死、看取りを希望したら、あり得ないと一喝されまして、現在ほぼ寝たきりの状態が続いております。家族としてはあらゆる可能性を模索し、悔いが残らないように今もしているだけです。
先日、特別養護老人ホームの入居相談を受け、相談者に今のエピソードを話しましたら、要介護者及び家族同士の未来についてしっかりと話すきっかけができ、情報共有をさらに深め、ケアマネジャーさんに状況をしっかりと伝えることになりましたら、要介護度が変わるなどして状況が改善していったそうです。地域包括ケアの構築も非常に重要ではありますけれども、家族でそういったことを話し合う風土をつくり上げていくということが最優先事項だと実感しました。ずっと父と終活について話そうと考えていた時期もありましたけど、私自身が転職、結婚、出産など目まぐるしいライフステージが変化する中で、気づいたらこういった手遅れの状況になっておりました。言霊信仰、滅相もない、縁起が悪い、腫れ物に触るなど言いますけれども、手遅れになる前に腹を割って家族で様々話すべきだと考えます。
成年後見人制度の利用促進、介護や医療が必要になったときに、自身が望むケアを受けるために、ACP、アドバンス・ケア・プラン、人生会議の普及を推進し、特に自助の大切さを芽生えさせることも必要だと考えます。超高齢化社会を迎えるに当たり、例えば60歳、65歳、70歳等の節目の年に成年後見制度やACPについての利用や理解促進を推奨すべきと考えますが、区の見解はいかがかお伺いいたします。
最後に、4、環境・防災・住み心地を総合的に考慮した野心的な住宅政策について。
11月に中野区はゼロカーボンシティとして、2050年までのカーボンニュートラルを目指し、本格的に脱炭素施策を進めることを宣言しました。また、様々な社会情勢も踏まえて、基本構想が示す安全安心で住み続けたくなる持続可能なまちの実現を目指すことが求められ、災害にも強く、バリアフリー、ユニバーサルデザインに配慮した住み心地のよい住環境の形成が必要です。環境、防災、コロナに伴う新しい生活スタイルなどの変化を鑑みた良好な住環境形成に向け、区は国や都の補助事業やインセンティブ等を活用して、相当野心的かつ斬新的な住環境施策を展開すべきと強く感じております。例えば環境、防災、福祉に配慮したマンション建設などに関して、土地利用の観点でこうした施策に対応した緩和策、容積率アップなどのインセンティブ政策があるのか伺います。
また、現在、区では建築課で対応している集合住宅条例は、一定規模以上の集合住宅に対してワンルーム住宅のみの設置を規制し、一定割合のファミリー住宅の誘導や自転車駐車場の設置、ごみ置き場等の設置など、周辺環境に配慮した建築を誘導しております。区の集合住宅の建築等の条例では、一定規模の住宅に対してファミリータイプの誘導を図っておりますけども、誘導居住水準を満たして居住をもっと増やす。最低床面積を増加させるなど、もっと誘導を図っていくと考えますが、いかがでしょうか。あるいは耐震耐火、良好な居住水準を満たした優良マンションの建設を誘導する制度はあるのか伺います。
カーボンニュートラル実現に向けて野心的な住環境施策が求められ、これまで以上に環境配慮への規制・誘導が必要ですが、かなり厳しいと言えます。エコや脱炭素へ向けたインセンティブによる積極的な誘導が必要と考えますが、区の見解を伺います。
また、区はゼロカーボン社会の実現に向け、環境配慮型の住宅建設や住環境形成等に関して具体的にどのような誘導策等を検討しているのか伺いまして、私からの全ての質問を終えます。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 加藤議員の御質問にお答えいたします。
初めに、BCP・半育休・創造力向上等を勘案した働き方改革の推進について。
初めに、テレワークをする職員枠の義務づけについての御質問です。BCPの観点からも、一定の規模の職員がテレワークできる体制を構築することは有効であると認識をしております。現在、テレワークの本格実施に向けた検討を進めているところでございますが、テレワークに必要な端末の台数や、テレワークにより自宅等で処理できる業務の量、これに制約があることから、枠を設けて義務づけるのは現在のところ難しいと考えております。業務の内容によっても、テレワークの実施しやすさが異なるため、それぞれの職場によってテレワークの可能性について積極的に検討するように促してまいりたいと考えております。
続きまして、テレワークの推進についてでございます。BCPの観点のほか、職員が出産や育児、介護、病気やけがなどで通勤困難な場合等にも働きやすい環境をつくるために、テレワークの本格実施に向けて、これを推進していきたいと考えております。
テレワークの推進に伴って、将来的なスペースが生まれるということについての活用についてでございます。新庁舎につきましては、レイアウト変更等が柔軟に行えるように間取りや内装を更新しやすい構造としておりまして、可動式の窓口カウンターも想定しております。将来的に来庁者や新庁舎で働く職員数が減少した場合には、空いたスペースを他の用途としても活用できるものと考えております。
続きまして、モデルオフィスの検証内容、今後の展望についてでございます。庁内4階に設置しておりますモデルオフィスでは、新庁舎で導入を検討している什器及びICT環境を一部先行して導入し、新庁舎で目指す職員の働き方を実際に試行しております。これまで複数モニターやPCのペンタブレット機能を活用したペーパーレスの効果、それから、椅子の機能性や個人ロッカーの使い勝手等の検証を行ってきたところでございます。現在、同一係内におけるフリーアドレスも実践しておりまして、従来型の固定席方式との比較検証を行っております。今後はモデルオフィスで検証した内容をまとめて、什器やICT機器の発注や働き方のルールづくりに活用してまいります。
次に、子ども・若者支援センターでの取組の活用についてでございます。子ども・若者支援センターにおきましては、業務内容や職員育成の観点から、当面席を固定化する予定でございます。子ども・若者支援センターで行っている取組や什器類の使い勝手等の内容については、新庁舎の検討に反映をしてまいります。
次に、全庁を挙げてのペーパーレス推進の取組についてでございます。ペーパーレス推進は、継続的な文書量調査を行うとともに、電子申請及び窓口対応、電子化の推進等の観点から、業務特性に応じて各部で対象文書を選定し、電子化作業を民間事業者の知見も活用しながら効率的に進めていく必要があります。こうした考えの下、区では現在、副区長をトップとしたペーパーレス推進本部を設置して、各部の進捗状況の確認や優良事例、改善点の共有等を行っております。進捗が芳しくない部署につきましても、推進本部での確認や課題の洗い出しを通じて削減に向けた取組を進めておりまして、今後も全庁を挙げて着実にペーパーレス環境の実現を図ってまいります。
次に、新庁舎に速やかに移行できる取組についての御質問です。新庁舎では執務環境に合わせてペーパーレスや場所を選ばない働き方の実現等、職員の働き方も大きく変わることになります。現庁舎のうちから紙を使用せずに、資料を見比べられるようなサブモニターの設置や、画面上で複数の電子ファイルを閲覧しやすい仕組みの導入など、ペーパーレスで業務を行える環境を現段階からできるだけ整えていくことで、新庁舎での働き方に速やかに移行したいと考えております。
次に、新しいコミュニケーションツールの段階的な導入と新しい働き方の検証、検討についてでございます。新しいコミュニケーションツールに関しましては、新庁舎移転と併せて実施する本格運用に先行して、現庁舎にて業務用チャットやスケジュール管理、資料作成等、利用できる部分について段階的に利用開始をし、操作の習熟及び新しい働き方への活用を行うとともに、導入による効果を検証してまいります。
次に、コミュニケーションツールを活用した議会との連携についてでございます。新庁舎における議会との連携については、お互いに情報共有を行いながら、一体となって検討を進めていくことが重要であると考えております。現在、区ではユニファイド・コミュニケーションの活用による情報伝達の円滑化や、ICT機器の導入による区政資料のペーパーレス化等の具体的な内容について検討を進めておりますが、これらの検討の内容についても適宜議会に情報提供してまいります。
次に、中野区景観方針についてでございます。初めに、良好な景観形成に向けた手法についてでございます。景観方針では、区が目指す良好な景観形成に向け、区民参加の仕組みづくり、景観に取り組む区の体制づくり、景観形成事業の推進などを示すこととしております。この方針を踏まえ、区は今後、景観法に基づく景観計画を策定し、この中で景観計画区域、建築物の形態、意匠等の規制、誘導手法など、良好な景観形成に向けた様々な手法を示すとともに、区民参加と協働のための仕組みづくりを進めていく考えでございます。
続きまして、景観方針におけるにぎわいの形成についての御質問です。景観方針の中では、暮らしの中のにぎわい、潤い、個性を育てる景観形成についての基本方針の一つとして示し、活気や親しみのある商店街、多くの人々が集まり、交流する場の形成、居心地がよく、歩きたくなるまちなかの実現など、活気や地域の魅力を高める景観形成を目指すこととしております。にぎわいを高める景観誘導手法としては、身近な景観資源を生かし、地域の自主的な合意形成により良好な景観づくりを目指す景観協定や建築協定制度、建築物の形態、意匠等の規制や壁面位置の後退等により、にぎわい空間づくりを目指すまち並み誘導型地区計画などの手法がございます。
続きまして、道路占用の取扱いについての御質問です。区では地域の活性化やにぎわいの創出等に寄与する道路空間を活用した路上イベントの実施等の取組について、国土交通省の道を活用した地域活動の円滑化のためのガイドライン改定版、こちらに基づいて一般交通の確保とともに、公共性、公益性と地域における合意に配慮しながら占用許可を行っております。また、中野区内の道路は狭く、歩道のない道路が多いことから、交通管理者である警視庁と連携しながら検討していきたいと考えております。
続きまして、区画街路第4号線におけるにぎわい創出についてでございます。区画街路第4号線沿道は、現在、商店街でございます。道路拡幅後も店舗やテナント等の活用が見込まれます。道路拡幅後の道路空間の活用に当たりましては、商店街の活性化や新たなにぎわいの創出に向け、地域住民や各商店街の意向を確認してまいります。国土交通省が創設した歩行者利便増進道路制度につきましては、地域の意向に沿った活用が見込まれる場合に、道路管理という視点も含めて交通管理者と協議するなど、地域を下支えしていきたいと考えております。
続きまして、公共空間を活用したにぎわい創出、区内経済活性化についてでございます。中野駅周辺が再開発等によって変わりゆく中で、いかにこれまでのにぎわいをつなぎ、さらに発展させていくのかということは大きな課題であると認識をしております。公共空間を活用したにぎわいの創出は、エリアマネジメントの主たる取組の一つでございまして、地域経済の活性化にも寄与するものと考えております。まずは先行する中野駅周辺におけるエリアマネジメントの取組を試金石として、同様の課題を抱える区内各地区に展開していきたいと考えております。
そして、中野駅周辺のエリアマネジメントの進捗状況についてでございます。現在、中野駅周辺エリアマネジメント協議会、この設立に向けて組織の制度設計の検討や、構成員となる関係者の調整を進めているところでございます。協議会の設立後は、中野駅周辺のまちの将来像等について、にぎわいや安心安全といったソフト的な観点から描いたエリアマネジメントビジョンを協議会として策定したいと考えております。
続きまして、エリアマネジメント協議会の主たる担い手についてでございます。エリアマネジメント協議会の設立に向けた具体的検討や関係者調整のほか、設立後の事務局運営については区が担うことになります。今後、まちづくりが進展する中で、より発展的な取組が求められる場合は、適切な組織の在り方や役割分担等を協議していくものと考えております。
続きまして、中野区地域包括ケア総合アクションプランについて。
初めに、アンケート結果から把握できた事実や施策についてでございます。調査結果として、これまで主に社会的孤立や孤独、SOSを発信できないリスクの高い区民、地域の担い手に関する結果について報告をしております。社会的孤立や孤独、SOSを発信できない人については、地域で利用している施設や抱えている悩みなどの生活実態が把握できたことにより、調査結果を活用し、これまで十分ではなかったひきこもり支援などについて取り組んでいく予定でございます。ひきこもり支援の取組は総合アクションプランにも掲載しておりまして、令和4年度からはプラットフォームの立ち上げや本人、家族支援のための事業を実施する予定でございます。
続きまして、認知症施策の展開についてでございます。総合アクションプランの柱につきましては、支援の対象者が広がったこと、若年性認知症への対応もあることから、権利擁護に変更いたしましたが、認知症施策については引き続き力を入れて取り組んでいるところであります。具体的な施策としては、従来の取組のほか、認知症本人や家族支援の場として運営するオレンジカフェについて、今年度新規開設支援を行うとともに、令和4年度については認知症検診の実施と地域における認知症地域支援拠点、これの設置を目指しております。これまで実施してきた取組や成果、今後の取組について総合的に発信をしてまいります。
最後に、成年後見制度やACPの理解や利用促進についてでございます。節目の年や定年、あるいは介護保険制度への加入等のタイミングで、成年後見制度やACPについて理解を深め、御自身のその後の生活や望ましい医療、介護のケアについて考える機会を持つことは重要だと考えております。これまで区民や事業者に対する講演会等については実施しているところでございますが、節目の年に一斉に集中することも効果的であり、今後の取組に生かしてまいりたいと考えております。
〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕
○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、環境・防災・住み心地を総合的に考慮した野心的な住宅政策についての御質問のうち、初めに、新しい生活スタイルなどを考慮した土地利用のインセンティブについての御質問にお答えをいたします。
東京都は、新しい都市づくりのための都市開発諸制度活用方針を策定し、この中で多様なライフスタイルやライフステージに応じた質の高い居住環境形成に資する総合設計や、市街地再開発事業等に対しまして、環境、防災及び福祉の都市づくりなど、公共貢献に応じて一定の割増し容積などについても示しているところでございます。区はこうした制度の活用等を前提としまして、改定中の都市計画マスタープランでは、良好な住環境を提供する都市づくりの基本方針を示し、時代の変化に対応した良質な住宅の建築による居住水準の改善、多様な世帯が暮らすことができる住宅供給、安全安心な住環境の確保等を目指すこととしてございます。
続きまして、集合住宅条例に基づく規制・誘導等についての御質問でございます。条例は最低限の基準を示したものでございまして、ファミリー世帯の誘導や居住水準の向上につながる手法への誘導に当たっては、事業者や個人の建築主への過度の負担とならないよう慎重に対応していきたいと考えてございます。
また、耐震耐火及び良好な居住水準を満たす建物に対しましては、税制面の優遇等が受けられる長期優良住宅認定制度がございます。今後もこうした制度が十分活用されるよう周知を図り、良好な住宅が確保できるよう積極的に取り組んでまいります。
〔環境部長朝井めぐみ登壇〕
○環境部長(朝井めぐみ) 私からは、環境配慮型住宅建設の誘導についての御質問にお答えいたします。
区内の二酸化炭素排出量は、家庭における電力やガスの消費によるものが約半分を占めていることから、ゼロカーボンシティを実現するためには住宅の環境性能の向上が不可欠であると考えております。来年度は既存住宅の断熱性向上に向けた助成制度の実施を検討しておりますが、その後も国や東京都の助成制度なども勘案しながら、新たな助成制度を創出するなどによりまして、環境配慮型の住宅を増やし、地域の脱炭素化を強力に進めていきたいと考えております。
〔加藤たくま議員登壇〕
○11番(加藤たくま) 4番の環境・防災・住み心地を総合的に考慮した野心的な住宅政策についてお伺いいたします。
中野区におきましては、狭小住宅を建てることが一番利益が生まれるというような、交通の便というところもありまして、これを解決するためには、最低床面積を強引に増やす。しかし、その代わりに容積率をアップするとか、そういった野心的な住宅政策がない限り、国の制度のままやっていくと、それをクリアできない。中野区独特の課題に対してクリアができないんじゃないかということを考えているんですけれども、その辺、積極的な政策を御検討されるおつもりがあるかというのを再度お伺いしたいと思います。
〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕
○都市基盤部長(奈良浩二) 加藤たくま議員の再質問にお答えいたします。
先ほど御答弁申し上げましたとおり、現在におきましては集合住宅条例に基づく規制・誘導ということで最低限の基準を示してございます。御指摘にありましたような点につきましては、今後研究してまいりたいと考えてございます。
○議長(内川和久) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。