令和2年質問議事録


令和2年11月30日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録

 

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 

 1 行財政の構造改革について

 

  (1)施策について

 

  (2)施設について

 

  (3)組織について

 

  (4)その他

 

 2 新型コロナウイルス感染拡大による社会変革を踏まえた今後のまちづくりについて

 

  (1)テレワーク普及に対応したまちづくりについて

 

  (2)都市計画マスタープラン・住宅マスタープランについて

 

  (3)その他

 

 3 その他

 

 

 

○議長(高橋かずちか) 初めに、加藤たくま議員。

 

〔加藤たくま議員登壇〕

 

○11番(加藤たくま) 自民党の立場から質問いたします。

 

 その他で、ドローンの実証実験、旧中野刑務所正門について、伺います。

 

 1、行財政の構造改革について。

 

 さきの決算特別委員会総括質疑において行財政の構造改革は5年程度かけるべきと私から区に提案させていただきまして、その辺意識を共有できたと思いますので、その上で質疑します。

 

 (1)施策について。多くの議員が取り上げましたので、1点のみ質問します。

 

 区有施設整備計画は、今定例会で提示とのことですけれども、財政の裏付けなしでは絵に描いた餅です。施設に関する財政計画はいつ示されるのか、お伺いいたします。

 

 続きまして、(2)施設について。施設の幹となる新区役所整備について、伺います。

 

 新区役所のシステム、レイアウトは、コロナショックを契機としたデジタルシフトの推進を勘案する必要があります。中野区においてマイナンバーカードを利用した証明書のコンビニ交付サービスは、これまでの住民票の写し、印鑑登録証明書に加え、来年1月18日よりさらに拡充し、証明書交付で役所に来る必要がなくなります。2021年3月からは健康保険証との一体化が開始します。平井卓也デジタル改革担当相は、11月17日の記者会見で、将来的に保険者の判断で保険証発行の停止も選択肢との考えを示しました。

 

 そこで伺いますが、中野区は、マイナンバーカード普及を含むデジタルシフトによって生まれる業務削減量、財政効果をどのように見込んでいるのか、伺います。

 

 古代ローマの作家、ユウェナリスが唱えた「健全なる精神は健全なる身体にこそ宿るべし」、スポーツウエアメーカーのアシックスの社名の由来となっていることですけれども、中野区は、新庁舎を健全な身体とし、そこに健全なる精神を宿した業務体制とすべきです。構造改革5年間で、3年後に控えた新庁舎完成は絶好の機会です。厳しい財政状況ですが、新庁舎開設から逆算すると業務改善、システム検討は今すぐ取りかかるべきです。

 

 先日、会派で23区内最新の渋谷区役所を視察しました。渋谷区では、仮庁舎に移転し、業務改善やペーパーレス、テレワークなど実証実験を行い、新庁舎に移転しましたが、中野区は現庁舎から新庁舎へそのまま移転するということで、現庁舎内で実証実験をし、そこから得られた知見を新庁舎全体に生かすべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

 

 渋谷区役所では、2階に福祉手続き・相談フロアに四つの部署、社会福祉協議会があり、個別ブースに担当者が入れ替わりで対応するワンストップサービスが確立されております。3階の暮らしの手続きフロアには、住民戸籍課、国民健康保険課があり、住民票の異動にひもづく登録をサポートし、関連窓口は同じフロアにあり、スムーズに完了いたします。庁内テレワークが確立し、窓口とバックヤードの執務室のフロアを分けることでワンストップは可能としました。

 

 現在、中野区は、庁内と庁外とのテレワーク環境づくりに注力しておりますが、そもそも庁内同士のテレワークさえできなければ、新庁舎移転後に使いこなせるのか、疑問であります。庁内におけるテレワーク、ペーパーレス、フリーアドレスを強力に推進するためには、強いリーダーシップの下、例外を認めないルールの徹底、早期のスケジュールの提示など、推進体制の構築が必要ですが、区はどのようにお考えか、伺います。

 

 また、テレワーク推進にはICT整備と業務改善がセットです。現在、ハードは総務部、ソフトは業務改善課、システムは企画部と、異なる部署で検討しておりますが、ばらばらでよいものができるわけではありません。ハード、ソフト、システムを一体で検討すべきと考えますが、区の見解を伺います。

 

 非常に細かい話ですが、新区役所に移転するまでに消耗品の購入や在庫管理等の庶務的な業務を各所管ではなくフロアごとに共同化する必要があると考えます。私の公務員のつたない経験上ではありますが、職員によっては在庫数の維持に情熱を持ち、常に棚卸しをしたいというような方もおり、非効率です。細かいことの積み重ねですが、これも現庁舎における実証実験の実施、そして新庁舎における消耗品の管理方法をどのように考えているのか、お伺いいたします。

 

 (3)組織については、ドラスチックな改革を求めます。各係の職員数は繁忙期に必要な人数を念頭に2,000人が配置されており、区が定める事業概要の事務分掌以外を行うことは越権行為となりかねず、積極的に他部署の手伝いをすることはありません。行政が縦割り組織と言われるゆえんではありますが、税金から給料が出ている公務員の業務所掌を明確にする必要があります。

 

 田中区政では、課を分野という名称にし、人事の縦割りを緩めたものの、結果としては実らず、区民から分野とは何か理解されず、酒井区政で名称を戻したことは評価いたします。それら経緯を踏まえ、一部係員を係ではなく、課の直属の職員にし、所掌を広げることで係の所掌事務を超えた事務分担や協力・連携を可能とし、業務の効率化を図り、超過勤務の縮減や定数の削減を実現すべきです。新庁舎のフリーアドレスと相まって、常に全体を見渡せる職員が増え、区の底力を上げ、繁忙期対応、トラブルシュートをスムーズに行える体制とすべきと考えますが、区はどのようにお考えか、お伺いします。

 

 組織改編には、区の外郭団体、関係団体の統廃合も必要と考えます。各団体の創設当時の事業内容が変わり、財源が先細りする中で事業全体の見直しが考えられます。例えば、中野区国際交流協会と公益社団法人中野教育振興会、国際交流と教育という親和性が高い事業の統合はいかがでしょうか。社会福祉協議会の新庁舎移転後に空く社会福祉会館に移転し、大学やブロードウェイなどと連携することで国際交流がより円滑になり、大学との強い連携は、現在、区職員約3名でフルの直営で行っている生涯学習大学などを外部委託する受皿となり、業務負担の軽減にもなります。あくまで一案ですが、中野区は構造改革で関連団体を再編すべきと考えますが、区はどうお考えか、伺います。

 

 以上で本項目の質問を終えます。

 

 2、新型コロナウイルス感染拡大による社会変革を踏まえた今後のまちづくりについて。

 

 JR東日本によると、2020年8月の中央線快速、中野から新宿駅間の終日の利用率は昨年度比で35%減っております。各家庭でオンライン会議をしようにも、子どもの声などの生活音があり、もう一部屋欲しいと切望し、中には車でオンライン会議をするような家庭もあります。ライフルホームズの今年8月の調査によると、「コロナ禍での借りて住みたい街ランキング」では、準近郊・郊外エリアに位置するまちのランクが上がり、中野区は12位から22位、同じ中央線の立川は46位から23位になりました。コロナショックで中野区の都心に近いメリットが著しく損なわれ、現在のテレワークしづらい環境を打開しなければまちとしての活力を失います。このピンチを、短期的及び中・長期的な観点で分別し、対応する必要があります。

 

 そこで、短期的な戦略として、(1)テレワーク普及に対応したまちづくりについて、伺います。

 

 中野がコロナ期にむしろ発展するためには、5Gなどの情報通信技術による在宅勤務スタイル、自宅の近隣にシェアオフィスやコワーキングスペース、それに付随した子育て施設やカフェなどがある新しい生活様式に対応したまちづくりをする必要があります。中野区では手狭と感じている方々を早々に救い出さなければ転出を決意されかねません。これまで都心部を中心とした勤め先周辺で落とされていたお金を中野区に落としてもらうことになれば、中野区に新しい消費活動や産業ビジネスの活性化も望めますが、テレワーク普及に対応したまちづくりについて、区はどのようにお考えか、お伺いいたします。

 

 次に、中・長期的な観点から、(2)都市計画マスタープラン・住宅マスタープランについて、伺います。

 

 都市計画マスタープラン及び住宅マスタープランの改定を行っており、都市計画マスタープランはおおむね20年後、住宅マスタープランが10年後の中野のまちの姿を描いた、すなわち中・長期的な視野での検討で、区が進める都市計画・都市基盤整備、住宅や住環境施策の根本的根拠となるもので、まちづくりにおいては基本構想・基本計画よりも重みのある方針と言えます。新しい生活様式等の考えを盛り込むにも非常に重要な改定作業です。コロナ禍で本来では家族間でもマスクの着用が推奨されますが、事実上、家族間ではマスクを外す場合が多いです。今、社会コミュニティの最小単位である家族が見直され、核家族化と逆行し、親子2世帯もしくは3世帯家族など、昔ながらのスタイルに回帰することも考えられます。家族同士が力を合わせることで保育、医療・介護等の問題が少なからず緩和につながり、行政としても願ったり叶ったりで、地域包括ケアシステムにも資することです。そのため、全世代的に過ごしやすいまちづくりを推進させる必要があります。手狭と思われている住環境の改善、生活インフラの拡充、自然や広場が多いまちづくりが必要になると考えますが、中野区の今後のまちづくりの方向性についてどのようにお考えか、伺います。

 

 また、例えば、住生活基本法に定められている最低専用面積25平方メートルに、中野区の条例で容積率などにインセンティブを持たせながら面積の上乗せなどをし、中野区全体の住宅及び生活の質の向上をさせる転換期だと考えます。この点、都市計画マスタープランや住宅マスタープランにおいて、今回の新型コロナウイルス感染症の経験について、改定作業の中でどのように対応するのか、お伺いいたします。

 

 6月5日、国土交通省は、公道におけるテラス席や機材の設置などのルール緩和を行い、中野区にもこの制度を使った店舗ができました。公共空間の利活用はエリアマネジメントの基本であり、小さい一歩でありますが、中野区にエリアマネジメントののろしが上げられました。西武新宿線の連続立体交差事業の沼袋駅バス通りをはじめとした再整備、弥生町・大和町防災まちづくりなどにおいて公共空間活用の緩和をインセンティブとすることで、特に商店街では道路幅員拡大によるにぎわいの創出を懸念する方々に対して安心材料になるとも考えられます。

 

 また、5月20日、国土交通省は、歩行者利便増進道路制度を創設しました。これら制度が地域の不安を緩和させる一助となりますが、都市計画マスタープラン改定ではどのようにお考えなのか、区の見解をお伺いいたします。

 

 (3)その他で、公道の活用について、お伺いたします。公共空間の活用ならば、行政が公道にベンチを設置することで一定の効果が得られ、高齢者・障害者の方たちの休憩場所にもなり、ユニバーサルデザインに資するものです。例えば、歩道の広い山手通りにおいて、公共施設や店舗の前、あるいはバス停前などにベンチを設置していただけないか、東京都へ働きかけていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 

 以上でこの項の質問を終えます。

 

 その他で、ドローンの実証実験について、お伺いいたします。

 

 中野区が未来都市として社会・経済ともに成長するために、スーパーシティ法案、国家戦略特区法案などを活用した事業を立案すべきだと考えます。中野区としては、国立研究開発法人建築研究所との実証実験が今その可能性がある事業と考えます。同研究所は、ドローンを活用した外壁点検などを中心とした建物診断技術の研究開発の実証実験をするために、中野区に区役所庁舎と中野サンプラザのフィールド提供を依頼しました。人口過密都市における同実験は日本初の試みであり、中野区で先進事例が生まれました。中野区からの費用は一切なく、フィールド提供のみで区の関連施設の診断が行われました。今後、高度成長期に建設された建物に一気に老朽化の波が訪れ、建物診断技術が注目されていきます。同研究所は、今後、様々な建物診断の実証実験を行うために中野区とさらなる連携を図りたいと打診しているようですが、区はいかがお考えか、伺います。

 

 最後に、旧中野刑務所正門について、伺います。

 

 区は、我が会派の要望を聞き入れない形式での関係者への意見聴取、アンケートをした結果、現地保存しかないという認識を示しました。我が会派は、小学校建設を考えると現地保存が合理的な判断ではないと再三申しましたが、区は、専門家の意見、アンケート結果が現地保存方針のエビデンスであると主張していたにもかかわらず、このたび一転して、区民に何の説明もすることなく、移築と判断いたしました。これまで区は、ボトムアップ区政ということで意見聴取やアンケートを活用したEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)を説いてきましたが、一体何だったのか、伺います。答弁によっては、これまで中野区が意見聴取、アンケート結果を基にしたエビデンス作成手法を自ら否定することになりますので、御留意ください。

 

 平成31年2月1日、区長記者会見で、2023年度に平和の森小学校の供用開始と発表されました。今回の判断で2027年度の供用となり、早期の新校開校から程遠い結果となりました。また、せめて早々に移築を選択していれば、当初の学校敷地には影響が出ないために、今年度中に平和の森小学校の基本構想・基本計画が完成し、来年度から実施設計に入れ、工期を1年間は少なからず短縮できたはずです。区は、しっかりとした調査を行わず、決断できず、工夫も努力もなく、平和の森小学校の完成がいたずらに遅れ、子どもたちにしわ寄せが行っている点についてどうお考えか、伺います。

 

 区の恣意的とも受け取られるアンケート方法、そしてその結果のみをエビデンスとし根拠とするのではなく、現地周辺にお住まいの方々の声を聞くことが本当のボトムアップとなると考えます。先日行われた保護者、地域住民の方々への説明会でどのような意見があったのか、伺います。

 

 移築は、現在においてはあくまで案ですが、改めて方針が変わる可能性があるのか、移築で決定なのか、伺います。

 

 以上で私からの全ての質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。

 

〔区長酒井直人登壇〕

 

○区長(酒井直人) 加藤議員の御質問にお答えいたします。

 

 初めに、行財政の構造改革について。施策についての施設更新経費の推計についてでございます。区有施設整備計画につきましては、計画に盛り込む区有施設配置の考え方を今定例会中の常任委員会においてお示しすることとしております。今後10年間の施設更新に係る経費につきましては、基本計画における財政見通しと併せて検討を進めているところでございまして、来年1月に策定する区有施設整備計画(素案)の中でお示しする予定でございます。

 

 次に、施設について。デジタルシフトによる効果についての御質問です。平成29年度に行った新庁舎に向けた調査では、来庁者のうち約46%が諸証明取得目的となっております。このことから、マイナンバーカードの取得率向上によるコンビニ交付の普及、あるいはさらに進んでデジタルシフトに伴って各種手続における証明書添付の省略等が進むことによって、諸証明発行に係る職員の業務量の削減、来庁者対応の削減等を見込むことができると考えております。

 

 続きまして、新しい働き方の実証実験についてでございます。新庁舎整備に伴う新たな執務環境への移行は、可能な限り現庁舎のうちから課題を発見し、トライアンドエラーを繰り返しながら移転までに効率的かつ最適な解決策を検討・検証していくことが必要であると考えております。来年度はパイロットオフィスの整備を検討しておりまして、無線LANやタブレット端末といったICT環境や、多様な打合せができ職員の席を固定しない執務環境の整備、さらにペーパーレスを前提とした働き方などの実証実験を行う予定でございます。

 

 次に、新庁舎に向けた推進体制についてでございます。新庁舎の整備を契機とし、区民サービスや職員の生産性を向上させるためには、これまでの区職員の働き方に対する意識を大きく変えていく必要があると認識をしております。新庁舎では場所を選ばない働き方やペーパーレスなどによる効率的な執務環境の確立を目指しており、その実現に向けて、既存文書の電子化やICTを活用した紙の使用を前提としない新しい働き方を浸透させていくことが重要であると考えております。こうしたことから、今年度中にペーパーレス推進体制を構築し、基本方針の策定や既存業務の見直し、改善を全庁的かつ強力に進めていく考えでございます。

 

 続きまして、新庁舎に向けた一体的な検討体制についての御質問です。新庁舎移転はこれまでの働き方を見直す好機であり、建物の整備はもとより、ICTやペーパーレス環境の整備など、生産性を高め、効率的に働ける執務環境を確立することが重要であると認識をしております。こうしたハードやソフト、システムの整備は密接な関係にあることから、一体的にこれらの業務を推進する体制について今後検討を進めていく考えでございます。

 

 続きまして、消耗品の一括購入・集中管理についてでございます。構造改革において生産性の向上につながる事務執行の改革を検討する必要があると考えておりまして、その一つの取組として、現状各課で個別に購入・管理している消耗品につきまして一括購入し、集中管理とすることなどが挙げられます。新庁舎では、原則として一括購入、集中管理とすることで業務を効率化し、余剰在庫及び設置スペースの削減を行う計画でございまして、開設までには様々な課題が想定されることから、来年度からの一部部署などにおける試行について検討してまいります。

 

 続きまして、係を越えた協力・連携体制についての御質問です。区民にとって分かりやすい組織とするため、平成31年度の組織改正によって一般的な組織名称である課と係を改めて設置いたしました。現在の体制でも、課の重点課題について必要に応じて担当係長を配置するなど、実質的には課直属となるような体制を取っているところでございます。また、課の中で係を越えて繁忙期の対応や協力をすることは可能でございます。臨機応変に各所属で対応しているところであります。長期的には、より効率的な事務分担によって超過勤務の縮減や定数の削減につながるような人員配置ができないか、検討していきたいと考えております。

 

 続きまして、関連団体の再編についての御質問です。区としては、各団体が自主的・自立的な経営改善に努めていくことが基本だと捉えております。仮に団体間の調整の中で統廃合の可能性が選択として提案された場合には、区としても検討に加わっていきたいと考えております。

 

 続きまして、新型コロナウイルス感染拡大による社会変革を踏まえた今後のまちづくりについてでございます。

 

 1点目に、テレワーク普及に対応したまちづくりについて。新型コロナウイルス感染症の影響によってリモートワークなどの新しい生活スタイルが広がってくると、産業の分野においてもこれに対応した施策が必要となってくると考えております。今後の感染症の状況とそれに伴う消費行動や働き方の変化による区民のニーズを踏まえて、中野のまちの経済活性化を図ってまいりたいと考えております。

 

 続きまして、新型コロナウイルス感染症を踏まえたまちづくりの方向性についてでございます。新型コロナウイルス感染症の対応に向けては、いわゆる3密を回避した新しい生活様式が求められ、通勤スタイル、テレワークの普及、オープンスペース等の活用など、区民の住生活や都市整備の在り方に大きな影響を及ぼしていると考えております。都市計画マスタープラン・住宅マスタープランの改定において都市の将来像を描く際には、区民のライフスタイルの変化や都市活動・社会状況の変化をしっかりと踏まえ、良質な住環境の形成や新しい生活様式に対応した都市基盤の整備など、持続可能な都市づくりに向け検討を進めてまいりたいと考えております。

 

 次に、新型コロナウイルス感染症対応と都市計画マスタープラン・住宅マスタープランの改定についてでございます。都市計画マスタープランや住宅マスタープランの改定においては、都市活動の変化に対応した住環境整備、オープンスペースや都市交通の在り方、また複合災害を踏まえた防災まちづくりなど、学識経験者からの意見も踏まえ、課題整理を行っております。今後、国や東京都の検討状況も踏まえて改定作業を進めてまいりたいと考えております。

 

 次に、にぎわいある歩行者空間の形成についてでございます。都市計画マスタープランにおいては、改定中の基本構想が示す「快適で魅力ある住環境」の実現に向けて、国が推進する「居心地が良く歩きたくなるまちなかづくり」、これを都市整備の方針の一つとして盛り込む予定でございます。この中で、街路を使った歩行者滞在空間の創出や官民連携によるにぎわいあるオープンスペース設置など、人々が出かけたくなるまちづくり・都市づくりについても検討を進めているところでございます。

 

 続きまして、歩道へのベンチ等の設置についてでございます。新型コロナウイルスを契機としたまちづくりの方向性について公表しており、この中で歩道等へのベンチやオープンテラスの設置など、歩行者滞在空間の創出に向けた支援策や規制緩和等を国は示しております。本趣旨を踏まえ、区としても歩道空間の活用について検討を進めるとともに、東京都に対して連携協力を求めるなど、良好な街路空間形成に向けて取り組んでまいります。

 

 続きまして、旧中野刑務所正門について。曳家移築の判断についてでございます。旧中野刑務所正門の取扱いについて、当初、現地での保存と決定しましたが、曳家移築を含めた多角的な検討するべきではないかという議会での御議論がございました。その後、昨年実施した学術調査によりますと、曳家が技術的に可能であることが分かり、また正門の公開活用と良好な教育環境の両立が難しいことから、文化財保護審議会の答申や教育委員会からの正門の取扱いに係る意見等を踏まえて再検討を行い、先日の常任委員会において正門の取扱い方針(案)として曳家による移築を報告したところでございます。結果として、平和の森小学校開校スケジュールに影響が生じ、遅れにつながってしまったことについてはおわびを申し上げたいと考えております。

 

 次に、旧中野刑務所正門の取扱い方針(案)に係る説明会についてでございます。旧中野刑務所正門の取扱い方針(案)に係る地域住民に対する説明会につきましては、11月29日、昨日に開催したところでございます。この中で、正門に文化財的価値があるのは分かるが、現在の子どもたちの環境を考えると、一日も早い新平和の森小開校を願うなどの御意見をいただきました。

 

 また、11月20日に開催した、平和の森小保護者説明会におきましては、同校学区域内の未就学児の保護者などが出席できる説明会を開いてほしいとの意見がございましたので、これらの保護者を含めた地域住民に対する説明会を12月中に実施することといたしました。その後、これらの説明会や議会での意見などを踏まえて、正門の取扱い方針を決定し、議会に報告してまいります。

 

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

 

○企画部長(高橋昭彦) ドローンの実証実験について、お答えいたします。区としては、中野区の地域資源を最大限に生かし、様々な社会実験を誘導・促進することで区の持続的発展につなげていきたいと考えており、ドローンについても、過去の経緯を踏まえ、活用可能性を検討してまいりたい、そのように考えてございます。

 

〔加藤たくま議員登壇〕

 

○11番(加藤たくま) 旧中野刑務所正門について、再質問させていただきます。

 

 私、当時、現地保存、移設等、案が出ているときに、アンケート結果によって現地保存というふうになっていて、当時から残すというのがありきでアンケートが取られていたように感じますし、その前の選択肢の時点で移設というものもあって、学術調査を経る前から移設というものも既に案があった。なので、当時から移設というものも選択肢にあったので、学術調査前後で考えが変わるというのが、ちょっとそういうわけではないと思う。つまり、当時、委員会では、そのアンケート結果によって、現地保存しかない、これがエビデンスなんだと言ってきたにもかかわらず、今回、そのエビデンスを覆す形で、結局移築にしますというふうに言っていた。区がこれまでアンケートでボトムアップだと言っていた、そのエビデンスベースだと言っていたものを自ら否定するようなことが今回の決断だと思っておりますけれども、その辺についてちょっと詳細に語られていなかったように感じますので、再質問とさせていただきます。

 

〔区長酒井直人登壇〕

 

○区長(酒井直人) 加藤議員の再質問にお答えいたします。

 

 旧中野刑務所正門についてということで、最初に現地保存を方針として決定したというときの、そのエビデンスについての御質問だったと思います。現地保存についてということでは、当時の有識者に聞いた意見等で現地保存をしない、移築をすることによって文化財の価値が損なわれるという、そういう判断があったこと、それからタウンミーティングなどを開催していろんな区民の皆さんの意見を伺いました。そのときに様々学校の教育環境をよくするという声をたくさん聞きましたし、また門をそのまま現地保存してほしいという声もたくさん聞きました。その中で、早く教育環境を改善するために、現地保存にして、学校の改築を急ぐという結論を一旦出したわけでございます。その後、議会から御意見等をいただきまして、多角的な検討するということで、その中で移築というものの可能性があるということと、また文化財の価値というものも直ちに損なわれるわけではないというような状況が生まれてきたことによって、今回判断を変更したということになります。

 

〔加藤たくま議員登壇〕

 

○11番(加藤たくま) 同じ旧中野刑務所正門について、再々質問させていただきます。

 

 今の御説明から行くと、議会からの意見もあった、当時のアンケート結果、タウンミーティングなどの結果などもあって、あの時期ではそういう判断があったということでありますけども、当時やはりいろいろと、曳家というものは電話1本したら、そんなものはできますよと、割と曳家業者ができると、技術的に不可能ではないと言っていたにもかかわらず、なかなか難しいというような意見があると、当該委員会でそんな答弁もあったようにも記憶しております。そういった中で、当時しっかりと調査をしていなかったというのが一つの原因になっているのかなというふうに考えております。タウンミーティング等の意見交換やアンケート結果、それも区が掲げる中ではエビデンスというのかもしれませんけど、そもそもできるかどうかというような技術的な見地とか、あと合理的な判断というものが今回の判断に至るまでちょっといろいろと不足していたのではないかなというふうに考えるわけですけれども、その辺はどのようにお考えなのか。

 

 そして、これまでいろいろとアンケート結果など、区民のボトムアップと言っていた中で意見を集めていくというふうには言っておりましたけども、それだけではなかなか判断をつけてはいけない、もっと総合的に判断して、合理的な判断というものがあるのではないかなというふうに、その辺のところを区長はどのようにお考えか、再々質問をさせていただきます。

 

〔区長酒井直人登壇〕

 

○区長(酒井直人) 加藤議員の再々質問にお答えいたします。

 

 当時、曳家については、文化財的な価値が失われるということを専門家からの意見として聴取した結果、曳家についての可能性というものがそこではないというふうに判断したところは否定できません。なお、現地保存したとしても、学校の教育環境というものがこれは両立できるのではないかというところで私としては考えていたところでございますけれども、結果的に教育環境の両立と現地保存というものはなかなかこれは両立し難いということが判明した時点で、私としても考え方を変えたということでございます。

 

○議長(高橋かずちか) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。

 

 

令和2年09月18日中野区議会決算特別委員会の会議録

 

 次に、加藤たくま委員、質疑をどうぞ。

 

○加藤委員 自由民主党の立場から総括質疑させていただきます。河野太郎行革担当大臣がいろいろと規制改革のところを打ち破るということで、ちょっと与えられたこういった仕組みの中でやれることをやっていきたいなということで、こういったフリップを今回つけさせていただきました。いろいろ御協力いただき、ありがとうございます。また、インターネット中継が今回からやられるということで、こういった質問項目が多数ありますけれども、こういったところも見やすいものを作っていったほうがいいのかなということでの試みでもありますし、今回の行政報告に挙げられているのが3、4に全て項目として書いております。つまり、これは行政報告で今後やっていくもののチェックリストとして見ていただきたいという趣旨もございます。そういった観点からいろいろと質問させていただきます。

 

 それでは、1、令和元年度決算および基準となる一般財源規模の増加の理由について 、決算についてはほかの委員が質疑されましたので、申し訳ないですけど、割愛させていただきまして、基準となる一般財源規模について示します。

 

 左が令和元年度のものであります。右が令和2年度で編成されています。大きな違いとしましては、基準額を超えた財源超過分を貯金して、足りなくなれば取り崩す手間をかけておりました。しかし、令和2年度よりその手間をなくしました。例えば分かりやすいのが体育館整備です。要求資料の総務105番、令和元年度、令和2年度における基準となる一般財源規模が増額になった主な要因と事業一覧を見ると、令和2年度750億円になった理由に中野区立総合体育館の開設があります。しかし、平成31年度の予算概要で見ますと、(仮称)中野区立総合体育館整備14.64億円は臨時的な経費として基金の繰入れで行ってあり、基準となる一般財源規模に入っておりません。平成30年度においても同様でありました。つまり令和2年度は臨時的経費を基準となる一般財源規模に入れて計算しています。一定の規模を超えないような手間を省きました。

 

 一般家庭で言えば、お小遣い制度だった会計が、令和2年度から給料の全てを財布に入れて、パソコンが欲しかったら買った、余ったから貯金する、そんなイメージになるわけです。自民党、我が会派としてはこれが財政支出のたがが外れたと指摘しているわけであります。別に規模を来年度下げれば40億生まれるとは思っていないですけれども、こういった基準を上げたことによって経常経費が臨時的経費に隠れてしまって増加が分からなくなってしまうというところに疑義を感じているわけであります。なぜこの基準額を上げて基金を一財にため込む、この手間をなくしてしまったのか、お伺いいたします。

 

○森財政課長 基準となる一般財源規模でございますが、その規模、基準を上回った歳入は基金に積み立て、歳出が基準を上回った場合は基金を繰り入れて財源の調整を行っているということでございまして、この運用について変更はしていないところでございます。今、委員が少しお話しいただいた臨時的経費の取扱いという部分については、確かに御説明という部分については一部変更しているところではございますが、基準額を上げることにより経常経費の増加を見えにくくしているといったような認識は持ってございません。令和2年度は歳出の一般財源充当事業費が750億円の基準の範囲内に収まったことから基金からの繰入れを行わず、従来の考え方に基づいた編成をしているということでございます。

 

○加藤委員 そうしましたら、体育館の経費を平成30年度と平成31年度は基金の繰入れでやっていて、令和2年度ではこの750億の中に入れているというこのやり方の差というのはどこから生まれてくるんですか。

 

○森財政課長 先ほどの答弁の繰り返しになるところでございますが、令和2年度については一般財源充当事業費が750億円の基準の範囲内に収まったと。それは臨時的であっても経常的でも同じということでございます。ということなので基金からの繰入れは行っていないということでございます。令和元年度、平成31年度当初の予算編成においては基準額を超えたということでございますので基金からの繰入れは行ったということになります。

 

○加藤委員 やり方を変えたというのはお認めになるということでよろしいんですか。

 

○森財政課長 やり方を変えたというよりも、説明のところで基準となる一般財源規模を超えた部分が臨時的な経費の一部が当たっていたといったようなことは確かに令和元年度の予算の概要のところでは御説明をしているというところでございます。そこのところはおっしゃるとおりなんですけれども、繰り返しになるんですけれども、令和2年度については750億円の基準の範囲内に収まっているということですので、臨時的経費であっても経常的経費であっても基金を取り崩すことなく予算編成を行ったということになります。

 

○加藤委員 こういったところを、ちょっと自分が夫婦の話というと変ですけど、こういった会計制度を家庭内でいきなり変えちゃうとやっぱりもめごとの要因になるわけですよ。この辺の説明をしっかりと説明してもらわないとやっぱりもめてしまうので、議会にこういうふうにちょっと趣旨を変えました、方法を変えましたという説明はしっかりと丁寧にやっていただかないと信頼関係が失われるということで、来年度はまた全く異なった方法でやらざるを得ないところもあると思いますけど、その辺の説明はしっかりしていただきたいと思います。

 

 それでは、次の社会情勢を踏まえた令和3年度歳入見込みについて、特別区税についてお伺いいたします。

 

 これは過去のリーマンショック前後の特別区税の推移で、リーマンショックにより翌年度以降減収して、3年後が減収のピークとなります。翌年度じゃないんですね。平成23年、東日本大震災があったせいか、その税収が復活するまでには5年ぐらいかかっておりますけれども、コロナショックによるこの影響というのはどのように見込んでおりますか。

 

○矢島税務課長 新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、多くの納税相談の実情から区民の所得の減少が推測され、来年度につきましてはそれに伴う収納率の低下や課税額の減少などの影響があると見込んでございます。長期的な影響につきましては、経済の回復には新型コロナウイルス感染症の今後の状況も関係してくるため、現時点では見通すことは難しいと考えてございます。

 

○加藤委員 ありがとうございます。

 

 次に、特別区の交付金についてお伺いします。リーマンショック後2年後が減収のピークとなっております。コロナショックによります特別区交付金についてどのような予測をされておりますでしょうか。

 

○森財政課長 令和3年度の特別区交付金につきましては、リーマンショック時のGDPの成長率と減収額を踏まえ、今年度のGDPの成長率の予測値から来年度の減収額を推計し、特別区交付金といたしましては48億円の減を見込んでいるところでございます。令和4年度の推計につきましては、令和2年7月の経済財政諮問会議提出資料であります中長期の経済財政に関する試算に示された地方税収等の伸びを参考に推計をしておりまして、令和3年度から約1.1%の伸びを見込んでおります。

 

○加藤委員 ところで、特別区交付金は各区の基準財政需要額から収入額を差し引いた金額で、基準財政需要額は、人口、学校数、生徒数、道路面積、いろんなものから算出して、収入額のほうは、特別区税、交付金、地方譲与税から算出されます。リーマンショックで中野区の特別区交付金が平成20年度、353億円から319億円へ翌年度下がるほど人口や区民税の変化があるわけではありません。私はオープンデータから、基準財政収入額からその金額を試算しましたけど、おおむね妥当な数字は出せました。基準財政需要額はちょっとそこで計算方法が全く分かりませんでした。この金額の差が出てくるのは何でかなというところで、リーマンショック時の基準財政需要額と交付金の算定方法について教えてください。

 

○森財政課長 基準財政需要額につきましては、今、委員少し御紹介いただきましたが、それぞれの項目について単価等が決められておりまして、そこから各区の状況、規模等に応じて算出をしているところでございます。リーマンショックの際の算定なんですけれども、平成21年、また平成22年において普通交付金の総額の減額が大きく見込まれたということでございまして、そのため、都区財調協議による基準財政需要額の計算におきまして、投資的経費の圧縮や臨時的に起債を充当するなどの財源対策を行った上で交付金を算定したというところでございます。

 

○加藤委員 つまり需要額というのは、結局23区で調整3税をどういうふうにパイを分けるかという計算式で、毎回区で起債をしたからお金が足りるんだろうというような、そういった想定で金額が大きく変わってしまうということで、結局このパイが少なくなってくるということは中野区に対して交付金が結果減少してしまうということでよろしいですか。

 

○森財政課長 リーマンショック時の平成21年度、また平成22年度についての基準財政需要額の算定方法については先ほど御説明をしたところでございますが、そういったことの変更により普通交付金のほうの減額にもつながったということになります。

 

○加藤委員 そうすると、結局パイを増やす以外にないということになりますので、区長には特別区長会で、現在、区が55.1%という割合になっていますけれども、これを引き上げるように強く要望していただきたいなということをここで要望させていただきます。

 

 次の今年度と比較し92億円減収が予測される次年度の一般財源についてです。リーマンショック前後の一般財源の推移を示します。この水色──色はないです。すみません、カラーにすると、全部で8万円するとか言われてやめちゃいましたけど。ここで足りない部分はこういう色になっていますけれども、2年後が一番減収となります。リーマンショックが9月ぐらいにあったというのと、コロナが今回年度初めから財政的には大きな影響というのがあるので、リーマンショックのように2年後が一番厳しいのかというとなかなか分からないところではありますけれども、一応そのリーマンショックのときと同じような計算をしますと、リーマンショック翌年からどのぐらい減収があったかというのがこの図になります。この前、9月1日の総務委員会の財政フレームの資料を使って今回のコロナショックを見ますと、92億円が来年度、そして徐々に低下するということで、合計215億円の減収ということが見込まれていますけれども、区は来年度だけでこういった穴埋めをすべきではなくて、他の委員も言っていましたけれども、中長期的にこの穴埋めをすべきと考えますけど、区のお考えをお伺いします。

 

○森財政課長 一般財源の歳入が今年度の当初予算並みに回復するというのは複数年要すると見込んでいるところでございます。ですので、令和3年度予算における見直しだけでなく、中期的な取組が必要だと考えております。

 

○加藤委員 次に、この215億円をどうやって穴埋めするかというのが行政報告で伝えられたと思いますけども、僕はこの行政報告を読んでこういったイメージを描きました。まず来年度予算、横が期間で、縦が財政効果です。つまりどのぐらい歳出を抑制したかというところになります。最初の令和3年度の予算規模を圧縮できれば、それを5年間続ければ、この5年間ずっと同じ金額を抑制できる。これはかなり厳しいですけど、区長の覚悟が一番重要になってくるところかなと思います。行政報告の中では行財政の構造改革というのも書かれていますけども、それは時間がかかるんで、効果としてはこういうふうに徐々に増えてくるもんだなと思っています。つまり、12月までに、この後聞きますけど、まずはここで、こういったところで行政報告の中身を僕はこういうふうなイメージを持って読んでいたんですけども、区としてはどういったイメージをお持ちか、お伺いします。

 

○森財政課長 行革の効果が徐々に現れてくるといった部分についてはそのとおりだろうなと思います。おっしゃられるように、今後の財政状況についてしっかりイメージを共有することが必要だと思いますので、財政、企画部門だけでなくて全庁的にそういった取組は必要だろうと考えております。

 

○加藤委員 では、大きい3の行政報告に示された令和3年度歳出抑制について、つまりここの下のバーのところになります。主に四つの手法が示されており、やり方によってはこういった5年間続く財政効果が得られると思います。来年度予算の編成はおおむね12月までに決定すると思いますけど、この四つの手法を残り2か月で実施するというスケジュール感でよろしいですか。

 

○森財政課長 12月には区長査定を行っていくということになりますので、令和3年度に向けました歳出削減などの取組、また、それを踏まえた各部の予算要求作業ということについて言いますと、残り2か月ということになろうかと思います。

 

○加藤委員 残り2か月間程度しかない中で、ちょっと取材をすると、まだ現段階でほとんど何も決まっていないということなんで、各項目の具体的な内容というよりはアウトラインだけ伺っていきます。

 

 (1)区立小中学校をはじめとした区有施設の改築・改修計画見直しについてですけれども、具体的には言えないんでしょうけども、これは全体的に施設整備を遅らせていくというイメージのものなんでしょうか。

 

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 学校再編による学校施設の改築を計画どおり進めるため、令和3年度の予算には計上することになりますけれども、施設全体の整備のスケジュールにつきましては、今後の財政見通しや事業の重なりの分散化の観点、改修等の必要性や計画の進捗状況などを見極め、慎重に判断をしていきたいと考えております。

 

○加藤委員 後にも行財政の構造改革のほうでありますので触れますけれども、瞬間的な経済危機に対して持続可能な行政運営に資する区有施設の更新をやめるべきではないということをここでは指摘させていただきます。

 

 そうしましたら、次、(2)から(4)、取材を通じて同等のものだということでしたので、ちょっと質問通告しておきながら申し訳ないんですけれども、まとめて伺わせていただきます。廃止、縮小、先送りすべき事業、既存事業の統合、再編、見直し等事業のスクラップ、事業の評価、見直しは区長査定に至るまでどのようなプロセスとなるのか、お伺いいたします。

 

○森財政課長 まず既存事業につきまして各部において事業の効果等を評価する。その中で見直しができるかどうか等ということの検討を行っていきます。その結果、予算要求として上がってきて、まず企画部に対してその内容が示されるというようなことになります。企画部においては予算査定において部から示された要求内容、また見直しの状況などを踏まえて、事業の実施方法及びその経費についてさらなる精査、検討を行い、区長査定に上げていくということになります。新規・拡充事業については各部において検討、区長への説明を行い、区としての各事業の方向性を確認し、当然実施時期の見直し等、判断できるものについてはしていく必要がございますし、また、既存事業の再編、スクラップ等が反映されているかどうかというようなことについても確認をして、企画部においてチェックをし、最終的な区長査定に至るということになります。

 

○加藤委員 各部からそういった予算要求が上がってくるということで、予算要求前に事業を見直すかどうか、その辺のこれは継続すべきだ、縮小すべきだみたいなリストでABCDとかそういうランクがついてくると思いますけれども、そもそも各部一律に事業費2割カットというのが妥当なのか。子育て先進区だから子ども関係は1割で、ほかは2割とかそういうふうな、そういう意味でのむらはあっていいかなとは思いますけども、それがまず妥当なのかというのが気になる点と、あと、各部がこの無理難題に対して2割ちゃんと言ってくる部と、結局、いや、うちはもう増加しかあり得ないとかそういうふうに言ったときに同じ土俵で評価ができるのかなということがすごい気にかかるんですけれども、でも、それは企画部が調整しないといけない内容なのかと思うんですけども、そういった評価がばらばらな各部から上がってきたものをどうやって一律の基準に乗っけていくのか、その作業について教えてください。

 

○森財政課長 当然各部の要求、上がってきたものについては予算編成方針にのっとっているかどうかということを企画部のほうで確認をいたします。重なる部分もございますが、新規・拡充事業については、事業の優先度や関連する既存事業の統合、再編、また見直し等事業のスクラップにより経費が生み出されているかどうかの確認、また、当然見込まれる効果などデータ等も含めた計画がなされているかどうかの確認も行います。経常経費については、効果を分析した上で経費削減の状況ですとか、また実際の至った効果の原因の分析状況などを確認して精査をしていくということでございます。

 

○加藤委員 いろいろと基準がばらばらなところ、それをまとめるのはかなり時間がかかると思いますけども、その辺はしっかりと各部のむらを企画部のほうで調整していただきたいと思います。

 

 それでは、上がってきた企画部で評価をある程度一律にしたものをその後区長が査定していくというプロセスでよろしいですか。

 

○森財政課長 そのようになります。

 

○加藤委員 来年度予算編成まで待ったなしという状況ではありますけれども、ある事業はなくなってしまうかもしれない。スクラップされるかもしれないという事態、これまで政策立案プロセスをちゃんと公表していくというような話もありましたけれども、逆になくすというところも流れを、プロセスを出していただきたいと思うわけですけれども、議会や区民にそういった詳細に示していただけるんでしょうか。

 

○森財政課長 そういった事業の見直し等の検討過程、またどういった評価によってそういう考え方に至ったのかなど、そういった検討状況につきまして区議会や区民に対して時期を逸することなくお示しをしていきたいと考えております。

 

○加藤委員 それでは、次の項目、4番、行政報告に示された行財政の構造改革の推進について、これで言う三角形で示しているところでありますけれども、この効果が出るには時間がかかるものかなとは思っております。そういった観点でお伺いいたします。

 

 この行財政の構造改革の推進は施策と施設と組織の三つの歳出抑制が指針のようなもので示されておりますけれども、それぞれの内容、実現性、財政効果について伺います。

 

 (1)施策の再編について、(ア)施策の統合・再編について、取材をしたところ、この施策全体の統合、再編というのは基本構想・基本計画に関連するということでしたので、御担当からその内容、実現性、財政効果についてお伺いいたします。

 

○永見基本構想担当課長 新しい基本計画における施策につきましては、現在の新しい中野をつくる10か年計画(第3次)における施策の体系を新しい基本構想で描くまちの姿の体系に沿って全体的に再編をする考えでございまして、具体的な内容につきましては第4回定例会で骨子としてお示しをする考えでございます。また、新しい体系に基づいて基本計画に定める施策を実施するに当たりまして、民間活力や外部資源の活用、また効果的、効率的な組織体制、内部事務の効率化、そういった構造改革に取り組むことで財政効果を含めて持続可能な区政運営を行っていくものであると考えてございます。

 

○加藤委員 今後、組織とか施設の再編をどうやっていくかという根本的なところになってくると思います。もちろんこういった基本構想・基本計画が重要というところにはなりますけれども、ここでは財政効果を生むわけではないということですよね。

 

○永見基本構想担当課長 施策の再編を行いまして、その事業の実施をするに当たっての様々な取組で財政効果を生んでいくものと考えてございます。

 

○加藤委員 では、続きまして、(イ)公助の役割と自助・共助、例えば町会、自治会、防災会などはいろいろと関係の中で自助、共助、公助の連携を区とやってきたわけでありますけれども、今後さらにそういったところから自助、共助を引き出す、強化するというのはなかなか難しいことです。またそこから、つまり財政効果を生み出すということは難しいだろうなということです。新たに自助、共助を強化できるとしたら、今まさに地域包括ケアを構築しているというところで、そういったところから期待されるわけでありますけども、現在の地域包括ケアシステムで自助、共助の力を引き出して歳出抑制ができると考えられる事業はあるか。またその財政効果についてお伺いいたします。

 

○高橋地域包括ケア推進課長 自助、共助、公助等の適切な役割分担が将来にわたり持続可能な地域包括ケアシステムの構築のためには重要であり、歳出抑制はその成果の一つとして考えられるところでありますが、具体的な事業の財政効果として申し上げるということは難しいところでございます。

 

○加藤委員 医療、介護、そういったところの費用をこれ以上増やさないためにそういった自助、共助の力、あとこれに関しては互助とかもありますけれども、そういったところを考えますと、イメージとしては、歳出抑制をするけれども、歳出を削減するというところまでにはなかなか至れないのかなということで、この自助、共助についても構造改革の中でなかなか財政効果を生むのは難しいのかなというふうに理解しました。

 

 続きまして、(2)施設の再編について、(ア)施設の集約化・複合化を踏まえた適正配置について、例えば小学校内にキッズプラザ、学童クラブを整備することにより児童館を廃止していくということで、こういったところでどのぐらい財政効果を生むのか、お伺いいたします。

 

○細野育成活動推進課長 施設の廃止を行った場合には、その施設の運営経費等の減少という面では財政上の効果はあると考えます。幾らかというところにつきましては、財政白書には児童館全体で5.5億円というようなことを掲げているわけなので、そこから今のところは試算するしかないですが、廃止を行える場合には最低限運営経費等の減少という効果はあるというふうに考えます。

 

○加藤委員 5.5億円というのは年間ということですか。

 

○細野育成活動推進課長 財政白書に示させていただいたところで、現状の行政コストの計算手法によりまして平成31年4月から令和2年末までで5.5億円という試算をしております。

 

○加藤委員 金額算出は難しいということですけれども、ちなみに、児童館の配置の今後の在り方はどのようになっていますか。

 

○細野育成活動推進課長 令和元年第3回定例会の子ども文教委員会で御報告申し上げたとおり、現時点では中学校区に1館の配置としていく考えでございます。

 

○加藤委員 今、児童館は一例ですけれども、例え話ですけれども、そうしたら、区はほかに具体的にそういったことができる施設、どこら辺にイメージを持っておられるのか、お伺いいたします。

 

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 区では現在区有施設は約270ございますけれども、それぞれの施設についての再編を考えているところでございます。その中で施設の集約化や複合化によってスケールメリットを生かした施設の運営が可能となると考えております。施設の管理費や人件費の軽減による財政効果が見込まれる組み合わせを現在検討しているところでございます。

 

○加藤委員 5年間というのは例えの話ですけど、コロナショックを考えたときに、そういったのを今から計画して集約とかする中で財政効果が生まれるにはちょっと時間がかかるのかなというようなイメージは持ちました。

 

 次に、(イ)の民間活力の活用について、1年前の決算資料になりますけれども、平成30年度の財政白書79ページに保育園の行政コストの割合が示されておりました。金額もありました。直営である14の区立保育園の行政コストは32億7,000万円、すみません、今回の数字じゃないですけれども、その脇の参考に私立園での行政コストが3割程度国と都の補助金が入っているという図でありました。単純計算でありますけれども、この32.7から3割程度掛けると10億円の補助金が入るということになって、行政コストとして10億円程度圧縮できるというふうに理解したんですけど、例えばそういうことをしたらそういう計算でよろしいんでしょうか。お伺いたします。

 

○渡邊保育園・幼稚園課長 財政白書でお示ししているコストと同規模の保育所であると仮定した場合、単純計算で国、都の補助等により約10億円の運営コストを圧縮できるものでございます。

 

○加藤委員 ちなみに、保育園は今後民営化とかそういったところの方針はどのようになってますか。

 

○渡邊保育園・幼稚園課長 区立保育園は区全体の保育定員と保育需要の調整機能を担うこととしております。民営化し、残る区立保育園10園については、地域的にばらつきがあるため、この調整機能を果たすためには10園全園を残しておく必要があり、現在の区立保育園10園は民営化しない方針でございます。

 

○加藤委員 区立園を残すというと、もう一回改めてお伺いいたします。

 

○渡邊保育園・幼稚園課長 区立保育園は、将来的に少子化により保育需要が減少する状況になった場合の調整機能の確保や民間保育施設に対する指導、検査や助言等を行う際の経験とノウハウの蓄積、就学前教育の充実、医療的ケアが必要な子どもへの対応など役割機能があり、6~7園存続させることとしております。

 

○加藤委員 区立園存続理由としてそういった医療連携とかもありましたし、過去の委員会答弁の中では、保育現場で培った豊富な経験、ノウハウを最大に活用する必要があるとか、そういったことをおっしゃられているんですけども、こういったコロナ危機において区立園がそういったところでイニシアチブを取って何かガイドライン作成に一役買うとか、そういったことも全くなくて、そのノウハウをどうやって私立園に生かしていくのか、そういったところも見えなくて、区立園の役割として、残すならもう少し役割というものを持たせないと、言っているところで区立園だからこそこういうのができたみたいなところをもう少し示していただきたいと思うんですけど、御見解はどうでしょうか。

 

○渡邊保育園・幼稚園課長 区立保育園の保育士は経験を蓄積しております。コロナ禍にありましても感染症マニュアル等を作成し、私立保育園に配布したところでございます。あるいは小規模保育所に対して合同保育をするなど、区立保育園の保育士の経験を提供しているところでございまして、そんな活用を考えてございます。

 

○加藤委員 ちょっと時間がないんであまり詰めませんけども、それでは、保育園は一例ではありますけども、ほかに民間活力が使えそうな施設というのはどこがあって、どんな財政効果を見込んでいますでしょうか。

 

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 民間活力の活用といった場合、ただいまあったような民営化ということもございますが、そのほかにも施設建設に当たっての民間活力といった観点もございます。今後の施設建設に当たりましては、PFIやPPPなどによる民間活力の活用も視野に入れているところでございます。再編する施設の整備のほか、未利用地、未利用施設の利活用でも検討してまいります。

 

○加藤委員 では、次に、(ウ)未利用地及び未利用施設の活用・処分について、総務の資料108に作っていただきましたけれども、財政効果を生むとしたら、その家賃収入や売却をするしかないですけれども、このコロナ危機に対して5年以内にというのは、5年は勝手に僕が定めたところですけども、危機として行政報告に3年から5年とは書いてあるんで、それに間に合わせるとしたらそういったスパンだと思うんですけれども、そういったところにこの項目がどうやって当てはまっていくのか、お伺いをいたします。

 

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) ただいま御案内があったように、やはり貸付けですとか売却、そういったことで収入を得ていくということは大きな点であるかと思います。また、資料にある施設のうち、今後、区民サービスを提供する公共施設として整備する場合には、ただいま御案内したとおり、PFIやPPPの活用といったことがございます。区として使用しない場合には売却や貸付けを行うことになると考えております。

 

○加藤委員 大きな億単位のお金を捻出しようとすると処分しかないのかなというところで、その辺は議会としても注視していかないといけないかなというふうに思います。

 

 次に、(エ)で区有施設の新規整備スケジュール見直しというところですけども、スケジュールの見直しの前に、まず区が進めている公契約条例について触れます。というのは、平成30年度に東京都知事がオリンピック施設の落札結果に納得いかないと入札契約制度改革をしたところ、不調、不落が続出し、工事が進まず大失敗、結局元に制度を戻すという事態がありました。契約制度の改革というのは本当に難しいもので、ある種職人技だと私は思っております。というところを心配するからこそ、この構造改革の中で公契約条例もセットで考えていくものとなってくるのかなというところで、ちょっと課題についてまとめましたので、その辺についてお伺いいたします。

 

 2000年頃に最低賃金が生活保護以下になるなど官製ワーキングプア問題がありましたけれども、最低賃金の引上げ、厚生労働省の命令によって解消しました。しかし、品質確保にはまださらなる賃上げが必要だという議論がありまして、引き上げるためにはこの重層構造を直していかないといけないというような指摘をする人がいるわけです。下請に仕事を回すたびに中間搾取をこのところでやっていく。これは管理する側からすれば管理費とも言えますし、でも、その厚生労働省の基準で最低賃金は保障されております。ちなみに、一人親方、小規模事業者さんなど、小学校工事とかだと5次まであるような現場も認められますので、3次、4次とかにこういった一人親方さんが入るようなことになっております。

 

 これを公契約条例でやっていくということで、フルスペックでやっていくと、最終的には首長が各元請さんと下請さんの間に介入して契約をするような状況にもなっていくわけです。それをやるとかなり大変ですし、そのためには労務管理をするために労務台帳が必要になりまして、事務作業が激増して、その作業が工事に積算されるのか、そして誰が作成するのかというのを押しつけ合うような状況になってきます。最終的には公契約条例をやるとこういった絵になりますけれども、下請さんがいなくなるというのはいいんですけども、一人親方さんとかそういったところがなかなか公共事業を請け負えなくなる。そして、ここでは非常に労務台帳を作る事務作業が激増するようになるために、こういったところで、質は向上しますけれども、非常に求めていた形になりづらいのかなと思っていますけれども、この辺、私というか、自民党はこういう見解を持っているわけですけれども、区はこの公契約条例についてどのような御見解をお持ちなのか、お伺いいたします。

 

○吉沢経理課長 現在、公契約条例につきまして意見聴取をしておりますけれども、事業者並びに関係団体からは、労働状況に関する確認書類の提出や複雑な労務管理が事業者に求められるなど、事務負担の増を懸念する声が多数寄せられているところでございます。公契約条例の制定につきましては事業者の御協力が必要不可欠でありまして、十分な御理解を求めていくことが重要であります。スピード感を持った制定が必要ではありますが、一方で事業者や関係団体の御理解、また諸課題等につきましてもその課題解決に向けまして慎重に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

 

○加藤委員 行財政の構造改革とともにこういったところも考えられるのかなと思いますけれども、しっかりと研究をしていただきたいと思います。

 

 話を行財政の構造改革に戻します。

 

 それでは、区有施設の整備スケジュール見直しとは何を意味しているのか。そしてその財政効果についてお伺いいたします。

 

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 今後、多くの区有施設が更新時期を迎えることによりまして区財政に大きな影響を及ぼすため、主に改築を要する施設の整備スケジュールの見直しを検討しているところでございます。今後の財政負担の平準化を図ることも視野に入れながら検討を進めているところでございます。また、区の財政負担といったこともございますけれども、地域経済への影響といったことも踏まえながら慎重に判断していきたいというふうに考えております。

 

○加藤委員 持続可能な行政運営について、先ほども言いましたけど、区有施設の更新というのも一つ重要になってくるわけであります。昨日高橋ちあき委員から質疑がありましたけれども、中野区公共施設総合管理計画建物編の考え方について、踏襲はするけども、金額とかが変わってくるというような話でしたけど、再度確認ですけども、常にそういった更新費用というのを区としてはちゃんとため込むなり起債なりをしてしっかり確保していかないといけないという認識はあるということでよろしいですか。

 

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 中野区公共施設総合管理計画建物編は平成29年3月に策定したものでございますので、削減の割合や金額については、対象となる施設の増減の反映や経費の算出根拠の見直しなど時点修正が必要であると考えております。現在検討中の区有施設整備計画との整合を図りながら改定の作業を進めてまいりたいと考えております。

 

○加藤委員 分かりました。

 

 次に行きます。(3)組織の再編について、(ア)新型コロナウイルス感染症対策・児童相談所開設について、行財政で財政効果を生むというよりは、むしろ歳出が増加するのかなというところでしたけれども、おとといの羽鳥委員への答弁で保健所体制の強化をするということで、ここは歳出はちょっとあるんだろうなというところで財政効果は出ないかなと思います。なので、今度は児童相談所についてお伺いしますけども、さらに増員されると思いますけれども、その辺の最終的な人数、開設時期をお伺いいたします。

 

○中谷職員課長 現在、児童相談所の開設に向けて準備を行っている職員や他自治体の児童相談所に派遣研修している職員は48名でありますが、令和3年度の開設時には70名程度の職員が必要というふうに所管からは聞いてございます。今後、虐待件数が増加した場合の配置数の増加を推計すると、100名を超える規模になる可能性もございます。職員定数の配分に当たりましては、専門職の配置基準を満たすとともに、業務量に応じた真に必要な職員数を精査していきたいというふうに考えてございます。

 

○加藤委員 いずれにせよ、この項ではマイナス効果を生むどころか、しっかりと今後検討していかないといけない財政支出のところだというふうに認識しました。

 

 (イ)の業務・手続・施設の管理・運営方法などの効率化・省力化・デジタル化推進による業務量削減・職員配置の見直しについてお伺いいたします。業務改善の観点から効率化、省力化についての財政効果について伺います。

 

○藤永業務改善課長 業務改善の観点から、効率化、省力化を進める手段としまして、従来から取り組んでいる施設の管理運営の指定管理者化のほか、複数施設の業務を一括で事業者に委託する包括管理委託があり、現在研究しているところでございます。包括管理委託のメリットとしましては、施設の維持管理水準の向上による安全安心の確保や不具合対応の迅速化による区民サービス向上のほか、発注や契約事務などの事務負担が効率化され、業務の省力化につながるというものであります。この取組により行政コスト軽減による財政効果が見込まれますが、現時点では具体的な効果額を算出するところというまでには至ってございません。

 

○加藤委員 システムの観点からデジタル化推進による財政効果についてお伺いいたします。

 

○平田情報システム課長(企画部参事事務取扱) デジタル化によります財政効果の例としまして現在想定している取組を御紹介いたします。まずペーパーレス化につきましては、紙のほかに廃棄のコスト、また紙が遷移することによる事務処理の時間ロス、そういったものの削減が見込めるとともに、電子データ化することによりまして情報システムを活用した事務処理が可能となるということでございます。また同時に、事務フローの見直しを行うことで業務処理の効率化も見込めるところでございます。また、RPAやAIなどの省力化ツールにつきましては定型業務の生産性向上に効果が期待できるものでございまして、例えば今年度構築中の保育園入園業務では年間約5,500時間の削減を見込んでいるところでございます。

 

○加藤委員 5,500時間で、アルバイト代2,000円だとしても億単位を生むということではないのかなということで、入れたほうがいいとは思いますけども、そこまで億単位を生み出すというものではないということを認識させていただきました。

 

 (ウ)適正な定数管理の実現について、区は2,000人体制維持を堅持するようですけども、その人数が必要かというのはちょっと疑義はありますけれども、といいながらも、自分の部署が暇で人が要らないというわけもありませんし、もし要らなかったとしても公務員のところから解雇するというのはあり得ません。そう考えると、人事の人数、2,000人をどうコントロールするかといったら、新しく採用枠を狭めるしかないのかなと思います。そういう中で新卒採用というところに注目しますけれども、現在、新卒は何人程度採用していますか。

 

○中谷職員課長 平成27年度以降、毎年100人に近い職員を採用しているところなんですが、そのうち経験者採用を徐々に増やしておりまして、昨年度は24名、今年度は30名程度経験者採用を行う予定でございます。必ずしも新卒というわけではないんですが、経験者以外の採用は今年度は60名程度を想定しているところでございます。

 

○加藤委員 新卒から定年ぐらいが40歳ぐらいの幅があるとなりますけども、2,000人体制を維持しようとしたら、そうすると40世代あるわけですから、40で割ると50人が適正な人数というか、必ずしもずんどうがいいかというのはありますけども、今のロスジェネが少ない状態よりは理想だというふうに考えると、50人ぐらいが妥当で、60人を採用というのはちょっとその世代だけ多いのかなと感じます。先ほども言っていましたけど、児童相談所などでそういった職員というのは新卒で有資格ではないわけで、有資格者を入れようとしたらある程度の年齢で入ってくる可能性もあるということを考えると、新卒採用をある程度狭めて、その年の入れられるキャパというのを残すべきだと思うんですけども、この40人ぐらいにするというのは可能なんですか。

 

○中谷職員課長 新規採用者数を減らせるかどうかといったことにつきましては、今後の退職者数の見込みと様々な定数の増減要因を十分見極めた上で判断をしていきたいというふうに考えてございます。

 

○加藤委員 そうすると、お伺いしますけど、行政コストというのは職員1人1,000万ぐらいで計算してよろしいんですか。

 

○中谷職員課長 概算で言うと、毎年人件費が200億円程度全体でかかりますので、それを2,000人で割り返すと1人当たり1,000万円程度というのが平均的な金額であります。

 

○加藤委員 こちらの提案ですけれども、もし今60人新卒を採っているのを20人に抑えるというと、そうすると、年間20人の1,000万で2億円、それを5年間やると、2億円、4億円と増えていくと、5年間抑えると20億円ぐらいの行政コスト、かつ、今後その年代に必要だというのを入れたいといったときにその年代にキャパがある、そういったような状況になるのかなということで、これは一つの提案ということですけれども、区としてここの項について具体的な案があったらちょっと教えていただけますか。

 

○中谷職員課長 今後、事業の廃止、縮小や組織の統廃合、また職員の適正配置などを全庁的に検討することで人員を削減できないか、また、捻出した人員を充てるべき新たな行政需要がないかといったことにつきまして内容の検討を進めてまいります。その結果として職員数を削減することになれば、その分人件費が財政効果として生み出すことができるというふうに考えてございます。

 

○加藤委員 ありがとうございます。

 

 (4)の構造改革の推進体制について、内容、スケジュール、基本計画等との関係について伺います。

 

○石井企画課長(企画部参事事務取扱) 構造改革の具体的な取組の内容やスケジュールにつきましては、今後プロジェクトチームに引き続き立ち上げる推進体制によって別途取りまとめていく考えでございます。一方、基本計画におきましては区政運営の基本方針を定める考えでございまして、その中で今後取り組む構造改革の趣旨についても記載をする考えでございます。

 

○加藤委員 分かりました。

 

 では、次の5、コロナショックを踏まえた今後の財政運営について、(1)経常経費の削減目標額2割の実現可能性について伺います。これまで区長が事業評価から事業のスクラップを判断してくということですけど、改めてですけど、伺いますけど、間違いないでしょうか。

 

○森財政課長 最終的にはそのようになります。

 

○加藤委員 そうすると、タイトルの2割の削減の実現の可能性というのは区長の覚悟そのものになってくるのかなというところで、非常に大変な決断をされる必要があるのかなということをここで確認しておきます。

 

○酒井区長 新規・拡充事業については、真に必要であって優先度の高いものとして、関連する既存事業の統合、再編を見直す等事業のスクラップによって経費を生み出していく考えでございます。経常経費につきましても削減を原則とし、全ての事業について、事業の成果、効果及びその原因の分析を行った上で、効果が上がっていないものについては事業の廃止、統合、縮小、休止、執行方法の変更等について検討を行っていきます。また、構造改革を進める中で組織横断的な事業の統合等、区全体を見据えながら歳出構造にメスを入れる考えでございます。

 

○加藤委員 すみません、ちょっと(3)で区長にお出まししていただく予定だったんでちょっとあれなんですけど、こちらの提案というか、一案ということで次の項へ行きますけど、人件費カットについてということですけど、伊藤議員が行財政5か年計画で挙げた区長級20%カット、一般職4%カットとかそういったことをやったんですけど、もしそれをやった場合、どういった財政効果が生まれるのか、伺います。

 

○中谷職員課長 当時と同様の給与カットを現在実施した場合には1年で3億5,000万円程度の人件費の削減効果がございます。

 

○加藤委員 そういったところで、一番分かりやすい財政効果というか、そこの身を切る改革というのはほかの議員も言ったとおり必要であると感じます。

 

 (3)全取り組みによって生み出される財政効果ということで、ここで区長にお出まししていただきたかったんですけれども、質問がなくなっちゃったんでちょっとこちらから提案というか、一言言わせていただきますけども、平時はボトムアップで、有事というのはトップダウン、どこかで聞いたよくあるセリフですけれども、こういった危機的状況において、やはり区長はトップダウン、それでリーダーシップを発揮していかないといけないところだと思います。このコロナショックにおいて誰が悪いわけでもないですし、ちゃんと決断していただければみんなついていくと思います。本当に覚悟を持ってしっかりとやっていただければ、我々議会としても応援していきますので、その覚悟というのをというのでここで質問する予定だったんですけど、そういったところを申し伝えておきます。

 

 6の新型コロナウイルスによる社会変革に対する対応でございますけれども、ちょっと何問かあったんですけども、申し訳ございません、時間がなくて割愛させていただきます。取材に応じていただいた理事者の方々、本当にありがとうございました。ここで挙げる内容に関しましては都市計画マスタープランとかの変更においてコロナショックを入れていただきたい。あとサンプラザアリーナにおいては、いろいろとコロナによってアリーナは必要なのかみたいな議論もありますけれども、バーチャルリアリティがこのさなか入ってきました。そういったところで、そういうコト消費みたいのが弱くなっちゃうんじゃないかなと思いますけれども、最近の技術だと、例えばフィギュアスケートだと、エキシビジョンだと、GPSをスケーターがつけて、それでライトがついているわけですね。そういった技術とかを含めてアリーナの事消費がバーチャルリアリティを超える、そういったものを入れてほしいと、そういったような内容を含めておりました。コロナ時代のこの社会の変革がある中で、逆にこれを契機に中野区政が前進できるようにみんなで知恵を出し合って前に進めればいいなということで、私からの全ての質問を終了させていただきます。

 

 ありがとうございました。

 

○山本委員長 以上で加藤たくま委員の質疑を終了します。

 

 

令和2年02月19日中野区議会本会議(第1回定例会)の会議録

 

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 

 1 地域包括ケアシステムについて

 

  (1)抜本的な方針変更について

 

  (2)オーラルフレイル予防について

 

  (3)その他

 

 2 エリアマネジメントについて

 

 3 平和の森公園・中野区立総合体育館について

 

 4 公契約条例について

 

 5 国土強靱化地域計画について

 

 6 教科書採択の実施について

 

 7 その他

 

 

 

○議長(高橋かずちか) 次に、加藤たくま議員。

 

〔加藤たくま議員登壇〕

 

○11番(加藤たくま) 令和2年第1回定例会におきまして、自民党の立場から一般質問させていただきます。

 

 質問は通告どおりで、その他はございません。時間がないので駆け足で行きます。

 

 1、[2]地域包括ケアシステムについて 、(1)抜本的な方針変更について。

 

 1月16日の地域包括ケア推進調査特別委員会における、平成29年3月策定した中野区地域包括ケアシステム推進プランにおける指標の達成状況についての報告では、設定された達成指標のほとんどが横ばいもしくは悪化でした。しかし、同委員会において、現在のステップ1、高齢者が可能な限り住み続けられる地域づくりに向けた基盤整備を終え、ステップ2の基盤、機運の充実を背景とした地域包括ケアの全世代、全区民への発展・充実の段階に進んでいるとの報告でした。成果指標の目標をほとんど達成できていないにもかかわらず次のステップに移行しようとすることに全く理解ができません。

 

 達成指標がそもそもこれでいいのかということについて、平成29年第2回定例会一般質問において取り上げました。達成指標の一つである65歳の健康寿命、つまり、65歳の人が要介護2以上の認定されるまでの期間は、男性においては平成25年17.1年、平成27年では17.6年、平成29年では17.9年で、平成30年目標の17.7年を達成している可能性はあります。女性も同傾向です。

 

 しかし、健康寿命は理想値が設定できないため、指標として取り扱うべきではありません。例えば、65歳における健康寿命が50年だとしたら115歳まで要介護2にならないわけですが、この数字がでかければでかいほどいいのかというと、そういうわけでもない。税金を使って延ばす数字ではありません。健康寿命の延伸を行政が担うものではなく、個人個人が努めていくべき数字であります。度々申しておりますが、平均寿命から健康寿命を引いた不健康期間、つまり介護をされている期間を短縮することが医療費・介護費を抑制します。不健康期間の短縮を目標にすべきであります。非常に分析し難い指標ではありますが、医療・介護の分野において明確な目標となります。

 

 今のは一例ではありますが、達成指標の項目の全面改定を提案させていただきます。区民意識調査などから使えそうな指標を選ぶのではなく、中野の将来をしっかりと見据えられる指標にすべきと考えますが、いかがでしょうか。

 

 また、各指標と政策がひも付いていないため、指標の結果の良し悪しの原因が何なのか追求できないため、PDCAサイクル、スクラップ・アンド・ビルドができるわけがありません。例えば長期療養が必要になったとき、自宅で過ごしたい人の割合、成年後見制度の理解と活用を推進するためには、まず生命の死というものを理解する必要があります。学校教育で始まっている命の授業の中で、人の死、脳死と移植、人権擁護、動物愛護を学び、家族、関係者が死について語り合うなどの風土が必要であります。危篤状態のとき、延命治療をするのか否か、終末医療、また葬儀などをどうするかということを語り合える環境をつくり、人間の尊厳と死を再確認することが必要であります。

 

 政策は、対症療法ではなく根本療法、川上から川下へ向ける必要があります。政策が指標と結び付かないのであれば、指標に入れるべきではありません。地域包括ケアシステムに限りませんが、区が向上させたい指標と政策を結び付けた新たな推進プランを策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 

 (2)オーラルフレイル予防について。

 

 昨年の第4回定例会一般質問で、地域包括ケアシステムとしては、地区町会連合会、区民活動センターのエリア単位で組織づくりを進めるべきと訴えさせていただきましたけれども、現実としては、現状は医療・介護・福祉従事者、行政を中心にしたものであり、地域力を活用した理想形にはまだまだ程遠い状況であります。地域を含めたシステムの構築は粛々と進めながら、地域包括ケアシステムの推進、健康寿命延伸改め不健康期間の短縮のためのフレイル予防を行っていく必要があります。

 

 フレイル予防のための三つの柱として、栄養、社会参画、運動があります。昨年の予算特別委員会総括質疑で取り上げましたが、大阪警察病院などは、口腔機能ケア、つまり歯が健康であると病状によっては3割以上医療費が下がるという研究成果があり、口の健康が体全体の健康となるエビデンスがあります。様々なフレイル予防がありますが、中野区としては、ここはひとつ口腔ケアを中心としたオーラルフレイル対策を進めるべきと考えます。

 

 そこで、区のオーラルフレイル予防に関する認識と区のオーラルフレイル予防に向けての取組について伺います。

 

 国は、令和2年度予算で8%から10%への消費税率引上げに伴う社会保障の充実の中に、予防・健康づくりの取組の抜本的強化、都道府県・市町村における予防・健康づくり事業の推進等のための交付金として、公費700億円、国費700億円の計1,400億円を計上しております。まだ全貌は見えておりませんが、積極的にこういった予算の確保に向かっていただきたいと思います。

 

 次の質問に行きます。2、エリアマネジメントについて。

 

 人口減少により、不動産価値の低下、つまり、まちの価値を下げていきます。近年の研究では、まちの価値にはにぎわいが必要であり、そのためにはエリアマネジメントが必要です。昨年9月、副区長も発起人の1人に名を連ねる中野駅周辺エリアマネジメント研究会が発足し、講演会やグループディスカッションが行われていると聞いております。また、2月7日に公表された中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備民間事業者募集要項に、事業初動期からのエリアマネジメントの展開や周辺地域との連携が示されております。エリアマネジメントは、中野駅周辺全体を視野に入れて、各エリアのマネジメントに取り組むべきですし、それに向けた組織化が必要と思いますが、区はどのようにお考えか、伺います。

 

 区は、中長期的なプランを持ってエリアマネジメントに関わる必要があります。ここで、各地区のエリアマネジメントの事例を幾つか挙げさせていただきます。

 

 武蔵小杉駅周辺地区では、もともとグラウンドや大規模工場跡地などで居住者がほとんどおらず、新住民で新たな地域コミュニティを形成しました。町会・自治会の加入率が低下している昨今、今後の町会・自治会の在り方のヒントになります。

 

 大手町・丸ノ内・有楽町地区、通称大丸有では、公民協調によるサステーナブル・ディベロップメントを通じて、120ヘクタールのまち全体で「新しい価値」、「魅力と賑わい」の創造に取り組んでいます。地元住民はほとんどおりませんが、地元企業が中心に入り、まちの活性化を行っております。

 

 歌舞伎町は、昭和50年代中頃から性風俗店が乱立し、規制をするも、新たな性風俗店舗の登場と法規制のいたちごっこが繰り返されました。根本はまちのイメージが悪いとの認識に至り、公共空間の活用社会実験で食フェスを精力的に開催、小学校を吉本興業に貸すなど、イメージの変革とにぎわいの創出をしております。

 

 今紹介した三つのエリアマネジメントは、大きく分けると住民・企業・行政主体と言えます。エリアマネジメントには、その地域の特性を勘案する必要があります。中野区の地域特性は、交通の利便性が高く、区外からの転入者が多く、年間の転入出はおよそ10%であり、人の出入りが激しいことです。結果、多様性があふれるまちになりますが、マジョリティーが形成されづらく、何でもあるけど目玉となるものが何か、形成されないと推測します。

 

 区長が中野の強みとして挙げられる多様性は、放置すれば弱みになりますが、仕組みをつくれば強みにもなります。キーワードとして多様性があります。

 

 また、度々申し上げさせていただいておりますが、中野区の歴史は興味深いです。

 

 中野駅周辺の人権擁護、動物愛護のシンボリックな施設である犬小屋、日本初の公園、花見文化の形成に一役買った桃園、中央線の前身の甲武鉄道、陸軍鉄道隊による鉄道研究、飯田町駅と中野駅の区間の汽車からの電化、山手線の始発駅、陸軍中野学校、警察大学校、中野区役所、中野サンプラザ、オフィス、大学など、時の権力者にじゅうりんされながらも、実験的なフィールドとして様々な社会実験が行われた歴史がこの中野にはあります。

 

 もう一つのキーワードは社会実験で、区長の掲げるスタートアップの概念とも通じます。多様性掛ける社会実験、これが中野のエリアマネジメントにマッチすると考えます。多様性を生かし、何か一つを確立、執着するのではなく、常にいろいろ試せる環境づくりを目指すべきと考えます。常に新しいことができれば、新しい人たちが集まり、にぎわいが創出できます。多様なイベントを開催したり、犬小屋を期間限定復活させたり、ドローンを飛ばしたり、IoT、AI、ビッグデータの新技術の実験フィールドとしたり、無限の可能性が感じられるエリアマネジメントが必要です。

 

 中野駅周辺のエリアマネジメントに多様性掛ける社会実験を中核に入れるべきと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。

 

 ところで、2019年3月に、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局と内閣府地方創生推進事務局は、地域再生エリアマネジメント負担金制度ガイドラインを策定しました。3分の2以上の事業者の同意を要件として、市町村が、エリアマネジメント団体が実施する地域再生に資するエリアマネジメント活動に要する費用を、その受益の限度において活動区域内の受益者(事業者)から徴収し、これをエリアマネジメント団体に交付する官民連携の制度です。要するに、区がエリアマネジメント関係者から費用を徴収してエリアマネジメント団体に交付するものであります。

 

 そこで伺いますが、もし区がエリアマネジメントに関与する場合の財政スキームとして、このガイドラインに準拠されるものになるのでしょうか。

 

 社会実験を基軸としたエリアマネジメントが、国家戦略特区、スーパーシティ構想への参画を目指し、中野のブランドイメージを向上させることを切に願います。

 

 続きまして、3、平和の森公園・中野区立総合体育館について。

 

 ついに平和の森公園がリニューアルし、第1工区、第2工区を合わせて、300メートルトラック、バーベキューサイト、多目的運動公園、水遊び場、犬の広場、小多目的広場ができます。特に300メートルトラック、バーベキューサイトにおいては、中野区になかった施設であります。

 

 そこで、それぞれの施設の運営方法について伺います。

 

 続いて、中野区立総合体育館ですが、現在の工事の様子を外から眺めますと、6月20日のオープニングセレモニーがしっかりと迎えられるのか不安となりますが、どのようなスケジュールでなっているかお伺いいたします。

 

 また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の卓球公式練習場に使われるわけですが、世界トップクラスならではの練習環境が必要と考えられ、日本卓球連盟などにヒアリングなども必要かと思いますが、この事業における中野区の役割についてお伺いいたします。

 

 また、区にレガシーを残すために、例えば、小・中学校の生徒に練習見学、記念となる物品、写真などを残すなど試みるべきと考えますが、区はどのような努力をされているのかお伺いいたします。

 

 続きまして、4、公契約条例について。

 

 条例の性質上、最低賃金を定めるものであり、請負事業者は労務者に対して条例で定める金額以上の賃金を支払う義務を負うこととなります。建設業では、一つの受注案件に下請業者がかなりの数になり、重層的な下請構造が特徴となる、ほかの業界で見られない構造となっています。公契約条例が導入されると、元請が下請に対する賃金の支払状況を管理するための膨大な事務量が発生します。事務量を抑制するため、元請は重層的な下請構造を嫌い、一人親方等の会社に下請をせずに、ある程度人工の確保が見込める会社にお願いすることが想定でき、重層的な下請構造は解消し、ダンピング、中間搾取を予防することはでき、条例の効果は見込めると思います。

 

 しかし、元請からすると一人親方や小規模会社への下請は手間になるため、現在3次、4次下請をしている中野区の地元の小規模企業は区の公共事業に関われなくなる可能性が出てくると懸念しますが、区の見解とその対策方法についてお伺いいたします。

 

 5、国土強靱化地域計画について。

 

 東日本大震災から得られた教訓を踏まえ、平成25年に強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法が制定され、平成30年度の国土強靱化関係予算は補正などを含め5兆円が計上され、その取組が大きく進みました。

 

 令和元年12月2日の総務委員会で、中野区国土強靱化地域計画の策定についての報告がありましたが、国は地域計画の策定と地域の国土強靱化の取組を一層促進するため、国は地域計画に明記された事業に交付金等を優先的に配分していく旨の方針を示しており、中野区は地域防災計画と整合を図りつつ、国土強靱化地域計画の策定を進めているとの報告でありました。

 

 つまり、国土強靱化地域計画を策定しなければ国の交付金が配分されづらいということです。国のホームページによれば、23区で現在、荒川区は策定済み、大田区は令和3年3月策定完了予定、中野区においては令和2年7月策定完了予定で、荒川区に次ぐ2番目の早さで策定が完了します。国土強靱化関連予算は大型予算でありますが、時限的とも考えられ、区が率先して交付金・補助金を得る努力をされ、評価するところであります。

 

 そこで伺いますが、中野区国土強靱化地域計画の策定において、区はどのように注視されていますか。また、時限的とも考えられるこの国土強靱化の予算を取りにいくためには、各所管はいずれ実施しようとしている関連事業を前倒しする必要があります。短期、中長期の計画を全て整理して、財源確保として積極的に交付金・補助金の取得をすべきと考えますが、区のお考えをお伺いします。

 

 6、教科書採択の実施について。

 

 令和2年度は、学習指導要領の変更と併せて、区立中学校の教科書選定のタイミングとなります。エリアマネジメントのところで触れましたが、犬小屋、鉄道などの歴史は区民の郷土愛を醸成させると考えます。平成31年予算特別委員会の総括質疑においてその辺りの歴史認識について伺ったところ、「今後の文化施策展開に当たりましても、そういった視点を取り入れてまいりたいと考えております。」との御答弁をいただきました。令和3年度から使う教科書を科目ごとに1種を選定、採択するわけですが、中学校の社会科の教科書においては、生類憐れみの令の表現がネガティブになっていないようなものを取り上げていただきたいと思いますけれども、教育委員会の御見解をお伺いいたします。

 

 駆け足ですみませんでした。以上で全ての質問を終了いたします。

 

〔区長酒井直人登壇〕

 

○区長(酒井直人) 加藤議員の御質問にお答えいたします。

 

 私からは、2番目のエリアマネジメントについてのお答えになります。

 

 最初に、エリアマネジメントの組織化についての御質問です。

 

 中野駅周辺におきましては、各地区整備におけるエリアマネジメントを誘導するとともに、中野駅周辺全体でまちづくりの目標を共有し連携していくためのプラットフォームの組成が必要であると考えております。各地区整備の進捗状況を踏まえながら、推進体制の構築を検討してまいります。

 

 次に、エリアマネジメントの概念についての御指摘でございます。

 

 全国各地で行われているエリアマネジメントでは、多様な人々の交流促進や様々な社会実験が行われている事例が散見されます。中野駅周辺で取り組む場合には、検討素案として示した基本構想にあるように、多様性を重視しつつ、人と人がつながることや、新たなことが始まる、チャレンジするといった中野らしさを生かした取組が求められると考えております。

 

 次に、エリアマネジメント負担金制度についての御質問です。

 

 地域再生法に基づくエリアマネジメント負担金制度は、安定的な活動財源の確保によってエリアマネジメント活動の推進を図るため、平成30年に創設されたものであります。自治体が受益者負担金を徴収し、活動に応じて交付金を支出するものでありますが、中野区周辺の状況に適合するか、研究はしてまいります。

 

〔教育長入野貴美子登壇〕

 

○教育長(入野貴美子) 私からは、教科書採択の実施についてお答えいたします。

 

 区民の郷土愛を考慮した教科書採択についてでございますが、これまで中野区の教科書採択では、独自に地域性への配慮なども採択基準の一つに加えてまいりました。中野区の子どもたちにとってふさわしい教科書を採択することは、大切な視点の一つであると考えております。

 

 また、採択基準には、これ以外にも内容等、構成・分量、表記・表現、使用上の便宜などがあり、教育委員会では教科書の科目ごとに総合的に判断して採択してまいります。

 

〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕

 

○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、地域包括ケアシステムに関する御質問にお答えいたします。

 

 まず、推進プランの達成指標の全面改定に関する御質問です。

 

 現在、中野区地域包括ケアシステム推進プランのステップ1の実績を取りまとめるとともに、見直しを行っているところでございます。達成指標の改定も含め、(仮称)地域包括ケアシステム総合計画策定の中で、より適切なものとなるように検討してまいります。

 

 次に、指標に結び付いた政策立案についての御質問です。

 

 政策立案評価における各指標は、実施している事業や施策の成果や効果を適切に図ることができるものでなければならないと認識しております。(仮称)地域包括ケアシステム推進総合計画の策定に当たっては、手段と目的の関係を明確にして、適切な指標を考案してまいりたいと考えております。

 

〔健康福祉部長朝井めぐみ登壇〕

 

○健康福祉部長(朝井めぐみ) 私からは、[3]地域包括ケアシステムについて の御質問のうち、まずオーラルフレイル予防に関する区の認識についての御質問にお答えいたします。

 

 オーラルフレイルは、歯、舌、口周りの筋肉、喉など、口に関する様々な機能が衰えることをいいます。オーラルフレイルによって口腔機能が衰えると、食べ物をかんで飲み込むことや言葉を伝えるなどのコミュニケーションが困難になり、栄養の摂取や社会参画に支障を来す可能性がございます。オーラルフレイルが進行することで身体的フレイル状態となるリスクが高まるため、区民の健康増進維持のためには、オーラルフレイルを予防することが極めて重要であると考えております。

 

 次に、オーラルフレイル予防のための取組についての御質問でございます。

 

 オーラルフレイルは、健康な口腔機能の状態と機能障害のある状態の中間に位置するものでございます。適切な対応をすることによって健康な状態に回復する可能性があります。今年度、区は、区民への口腔機能の維持に関する意識の啓発を目的とした区民向け講演会やイベントにおける歯科医師による口腔機能測定や指導、また介護予防事業として食べる幸せ口腔機能向上プログラムなど、オーラルフレイル予防のための取組を行ってまいりました。今後も、他自治体の先進的な取組についての情報収集を行うとともに、中野区歯科医師会並びに保健師及び栄養士などの多職種の連携を図りつつ、オーラルフレイルを予防するための対策を検討してまいります。

 

 次に、平和の森公園・中野区立総合体育館についての御質問のうち、総合体育館の完成時期についての御質問にお答えいたします。

 

 現在、令和2年5月末の完成に向け工事が進行中でございます。6月20日に予定どおり区立総合体育館の開所式を執り行うことを予定してございます。

 

 続きまして、卓球の公式練習会場としての準備についての御質問でございます。

 

 総合体育館が卓球の公式練習会場に求められる機能を有していることは、既に大会組織委員会の確認が得られているところでございます。公式練習会場に必要な備品類は組織委員会が用意することとなっており、区は、組織委員会と緊密な連絡調整等を図り、公式練習会場が円滑に運営され、各国の選手に最良の練習会場を提供できるよう努めていきたいと考えております。

 

 次に、公式練習会場としての使用をレガシーとすることについてでございます。

 

 総合体育館が東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の公式練習会場として使用されたということを区民の誇りとして後世に残していけるよう、練習で使われた卓球台の購入や展示用銘板の作成を考えております。

 

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

 

○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、平和の森公園の300メートルトラック、バーベキューサイトの運営方法についての御質問にお答えいたします。

 

 平和の森公園は、体育館開館後の令和2年6月より指定管理者による管理を予定してございます。300メートルトラック、バーベキューサイトは、専用利用が可能な施設とする考えであり、今後具体的な運用方法を示していく予定でございます。

 

〔総務部長海老沢憲一登壇〕

 

○総務部長(海老沢憲一) 私からは、公契約条例導入に伴う課題等の対応についてお答えいたします。

 

 公契約条例の制定に当たりましては、事業者においても新たに対応すべき義務等が生じてくるため、事業者や労働者など関係団体との議論を重ねながら条例の内容を検討していくことが重要であるというふうに考えてございます。公契約条例導入に伴う課題等の対応については、既に条例が制定され施行されている近隣区の実態を把握いたしまして、それを踏まえて制度を検討するなどして、地域事業者の活性化や区民サービスの向上に貢献できるものになるよう進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 

〔危機管理担当部長滝瀬裕之登壇〕

 

○危機管理担当部長(滝瀬裕之) 私からは、国土強靱化地域計画につきまして、地域計画の作成についてお答えいたします。

 

 区は、これまでも中野区地域防災計画に基づきまして防災対策等の取組を進めてきたところでございます。今般、より一層の防災・減災対策を推進していくため、中野区国土強靱化地域計画を策定することといたしました。

 

 具体的には、建物の耐震化や不燃化の促進、防災性能を備えた共同建築物の整備誘導など、計画的な防災まちづくりの推進や各種防災訓練の拡充など、区民の防災意識や災害対応能力を高めていくための平時からの取組の強化といったハード、ソフト両面の防災・減災対策を総合的かつ着実に進めるための指針としたいと考えているところでございます。

 

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

 

○企画部長(高橋昭彦) 国土強靱化予算に係る交付金・補助金の検討についてのお尋ねでございます。

 

 国は、各自治体の国土強靱化地域計画に基づいて実施される事業等に対しまして、令和2年度予算におきまして重点配分や優先採択等を重点化することを公表しており、令和3年度以降につきましては要件化をすることも検討していると聞いているところでございます。

 

 国の政策動向を注視しながら、時限的な制度にも対応できるよう、今後策定する区の国土強靱化地域計画においては、対象となる補助金・交付金等を精査いたしまして、確実な交付金・補助金の獲得に努めてまいりたいと考えてございます。

 

○議長(高橋かずちか) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。