平成31・令和元年質問議事録


令和元年11月27日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録

 

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 

 1 中野区基本構想・基本計画について

 

  (1)地域包括ケアシステムについて

 

  (2)子育て先進区というキャッチフレーズの定義について

 

 2 ドローン実証実験について

 

 3 旧中野刑務所正門の取り扱いについて

 

 4 学校のメモリアルアーカイブについて

 

 5 その他

 

 

 

○副議長(平山英明) 次に、加藤たくま議員。

 

〔加藤たくま議員登壇〕

 

○11番(加藤たくま) 自由民主党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。

 

 通告どおり質問させていただきますが、時間に関しましては、この後の市川しんたろう議員の時間を多少いただいての質問とさせていただきます。

 

 それでは、一つ目、中野区基本構想・基本計画について質問させていただきます。

 

 令和元年10月28日に中野区基本構想審議会答申が出されました。さきの定例会決算総括質疑で我が会派のいでい議員と私加藤は、それまでの議論で答申に掲載されるであろう内容に関して、ソフト面に偏り過ぎて、まちづくり、すなわちハード面に関しての検討がほとんどないことについて指摘させていただきました。都市計画マスタープラン、住宅マスタープランの改定時期が来ておりますので、中野区基本構想・基本計画でその方向性をしっかりと打ち出し、足腰が強い自治体運営を目指していただきたいと思っております。

 

 本質問におきましては、基本構想・基本計画に盛り込むべき二つのソフト面について取り上げさせていただきます。

 

 それでは、(1)地域包括ケアシステムについて。

 

 地域包括ケアシステムは、各自治体の裁量で推進するものですが、もとをたどれば、増加し続ける社会保障、特に医療・介護費においては、各自治体で知恵を絞って抑制してくださいと言わんばかりの国から丸投げの制度であります。将来的に財源負担を抑制できるのか、各自治体は試されているわけです。この財源負担を自助・互助・共助・公助といったいろいろな理屈をつけ、支援のあり方をスマートな表現でするわけでありますけれども、予算的に見れば、費用が生じない自助・互助に頼っていかざるを得ない状況であるのは明白であります。つまり、地域包括ケアシステムの構築を検討する上で、自助・互助の力を最大限に引き出せる体制をつくっていくことが一番重要となってくるわけです。増加し続ける社会保障費の増大を防ぐためには、自助・互助を促し、予算を抑制した持続可能な地域包括ケアシステムの設計思想が必要となってきます。

 

 そこで伺いますが、区は持続的な地域包括ケアシステム構築の推進の上で、特に予算などにおいてどのような点に注意をされていますでしょうか。

 

 地域包括ケアシステムは、各地域の状況を勘案して、国の一律ではなく、各自治体事情によって構築できるわけですが、中野区全体を見渡して中野区一律ではなく、中野区においても細分化する必要があると思っております。中野区はJR線で南北区切ったところで文化がよく違うなどと言われるくらいですけれども、互助を促す上で、その文化圏が異なる地域を一括してシステムを構築することは困難だと考えられます。最適なエリア分割は何なのかを整理する必要があります。エリア分割のサイズ感はどのぐらいがいいのか。先日、自由民主党議員団有志で、台風15号の風による被害を受けた館山市に災害ボランティアに伺った際に、そのヒントを得られたと思いますので、事例を紹介いたします。

 

 館山市に着きますと、災害ごみが散乱して電気がなく、信号機も機能が不全しておりまして、ほぼ無政府状態になっていた館山市内は、中野で言う地区町会連合会を中心として秩序を保っておりました。地区町会連合会が中心となりまして、公民館を拠点として地域の方々が集い話し合い、公共スペース、私有地にごみの集積所を定めて、災害ごみの運搬、ブルーシートによる屋根の補強など、みんなで力を合わせて活動しておりました。また、区内外からのボランティアを受け入れるセンターの設置を自主的に行っておりました。有事の際には行政職員の力は当てにすることはできず、地域力が必要となってまいります。

 

 現地に行って、緊急時は助け合い、やはり御近所さんの信頼関係が重要と改めて感じさせていただきました。地域包括ケアシステムの単位エリアは、日ごろから顔を突き合わせている町会・自治会と、それを束ねる地区町会連合会の規模が妥当であると痛感いたしました。

 

 そこで伺いますが、現在、すこやか福祉センター圏域ごとに行っている地域包括ケアシステムのエリア単位を地区町会連合会、つまり区民活動センター圏域とするべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。もし地区町会連合会ごと、つまり区民活動センターごとに地域包括ケアに必要な専門員を配置できれば望ましいですけれども、この点におきましては、先ほどの自助・互助の話ではなくて、公助に置く話になってきますので、区の予算との兼ね合いになってまいります。

 

 そこで伺いますが、現状において、すこやか福祉センター一つを運営する上で必要最低限な予算、職員数はいかほどでしょうか。お伺いいたします。

 

 さきの定例会において、すこやか福祉センターを主に中部を二つに分割するということで、現在の四つの圏域から五つの圏域にするという報告がありました。中部圏域のJRより北部の方々には非常に不便を強いる状況を緩和するためには、一定程度評価させていただきたいと思っております。しかし、今後五つのすこやか福祉センターからさらに増設するのであれば、その配置等も含めて手戻りになりかねません。

 

 そこで伺いますが、すこやか福祉センターは地域包括ケアシステムにおいて現在どのような役割を果たしている施設なのでしょうか。そして、今後どのような役割を担っていくべきなのか、お伺いいたします。

 

 また、すこやか福祉センター、区民活動センターに配置されているアウトリーチの活動が見えてこないという声をよく聞きます。また、アウトリーチを必要とする年代の方々が、アウトリーチという言葉自体を理解できていないという事態も起こっております。そこで、アウトリーチチームとは何をするチームなのか、改めて伺います。また、民生委員、社会福祉協議会職員との役割の差について伺います。人事異動で地域に密着する職員を育てられないのであれば、アウトリーチチームのあり方自体を再検討されたほうがよいのかなと考えております。

 

 さまざま、るる申し上げてまいりましたけれども、中野区における地域包括ケアシステムは現在の二つの層がある体制から、3階層の組織に変革する必要があると考えております。

 

 現在、中野区における地域包括ケアシステムは全区レベルで実施する地域包括ケア推進会議を第1階層とし、すこやか福祉センター圏域ごとに年数回実施する地域ケア会議を第2層としております。この二つしか現在ありませんが、私が最も今後強化しなければいけないと思っていますのは、この第2層であるすこやか福祉センターの地域ケア会議につなげるために地区町会連合会、区民活動センター圏域ごとの地域に密着した課題の把握、解決策の検討、区が言うところのアウトリーチの取り組みだと考えておりますけれども、これを第3の層と位置付けることを提案させていただきます。

 

 第3層の取り組みは、地域事業に詳しく、地域の方々の信頼を得て多種多様な相談を受け、町会・自治会や民生委員などとともに連携し、適切に対応していくことが役割です。この役割は、ほかのさまざまな業務を同時に行わなければならない区の職員より、社会福祉協議会の職員にもっと力を発揮していただいたほうがよいかと思っております。

 

 そこで、例えば社会福祉協議会の地区担当職員に加えて、すこやか福祉センター圏域ごとに1名ずつ担当をふやすなどすることによって機能強化を図るべきだと考えております。そうすることで、区の職員はデータの収集や分析、町内の関係調整や第2層のすこやか福祉センターとつなぐための準備など、区の職員でなければできない業務に集中できると考えますが、いかがでしょうか。

 

 この項の最後として、健康寿命、その辺について質問しますけれども、人が亡くなる平均寿命から介護を受け始める健康寿命を差し引いた不健康期間は、ここ数年横ばいです。つまり、健康寿命を延ばしたけれども、死ぬまでの不健康期間、介護を受けている期間が変わらないということです。国の政策として、健康寿命を延ばせば平均寿命との差が縮まって、ぴんぴんころりといった介護期間をゼロに近づけると考えておりましたが、どうやらこの辺の分析、最近厚生労働省はその事実を、改善されていないという事実を隠しているようにも見受けられます。健康寿命延伸政策は介護期間を縮減しないどころか、区の財政と直接にかかわりはないですけれども、年金受給期間を延ばすのみであり、予算抑制の観点からはとてもプラスになるとは考えられません。

 

 介護費用を縮減できるエビデンスがない健康寿命延伸政策を区が独自でやることに疑義が生じております。メニューを減らす必要はございませんけれども、これ以上、区の税金を使ってまで進める政策でないとも言えます。

 

 そこで、区は今後、健康寿命延伸施策についてどのような御見解をお持ちなのかを伺いまして、本項目の質問を終えます。

 

 (2)子育て先進区というキャッチフレーズの定義について。

 

 酒井区政になりまして、子育て先進区というキャッチフレーズを多用されております。そして、さきの定例会におきまして、区が目指す子育て先進区ということで、次の二つを挙げられております。子育てをする上で必要な環境が整っており、子育て環境の満足度の高いまち、区の子育て環境が区内外に認知されており、多くの子育て家庭から選ばれるまち。一つ目の満足度の評価は非常に難しいですけれども、子育て家庭の満足度が高いことはもちろんいいことです。しかし、「多くの子育て家庭から選ばれるまち」という表現はやめるべきです。人口減少の中、財政を健全化、持続可能なまちをつくっていくために自治体間競争は必要です。しかし、この「多くの子育て家庭から選ばれるまち」という表現は、他の自治体から人口を奪う、つまり転入してもらうことという意味と捉えられますが、それを目標とするのはいかがなものかなと考えるわけです。

 

 田中区政におきましても、ポスト2020を見据えた中野区の取り組みについて、「多彩な魅力で選ばれるまち」、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)において、「グローバルに展開するビジネスの拠点として選ばれるまちづくりに取り組む」というような文言はありますが、これは来街者や企業をターゲットにしているのであって、子育て世代をターゲットとするものではありません。「多くの子育て家庭から選ばれるまち」というのは、他の自治体から人を奪うということを意味します。

 

 東京23区という日本の中枢として社会環境のアドバンテージを生かし、人口減少社会にあらがっていく、つまり人口をふやす姿勢こそが必要であり、奪っていくというのはナンセンスだと考えるわけであります。豊島区は日本創成会議が2014年5月に打ち出した、いわゆる消滅可能都市に指定されました。その後、豊島区は努力しまして短期間で結果を出しまして、道半ばでありますが、そのときの最悪な状況は脱しました。

 

 東京23区、リーディングシティというような状況の中から、他から人口を奪うのでなく、自己増殖で人口増加すべきであり、選ばれるまちを目指すという表現は非常に恥ずかしく感じられるわけであります。結果的に選ばれるまちというふうになるのは構いませんけれども、目標とすべきではありません。自治体間競争から人口、人を奪い合って、結果的に法人住民税の国税化のように、結局簡単に国からその利が奪われるような状況もあるわけであり、奪い合うのではなく、こういったものをつくり出していくということが重要だと考えるわけであります。

 

 そこで伺いますが、他の自治体から人口を奪うという意味にとられかねない「多くの子育て家庭から選ばれるまち」という目標をやめていただけないのかということを伺います。

 

 日本全体で少子化に歯どめがかからない状態でありますが、中野区はこの事態を乗り越えられ、初めて子育て先進区と呼ばれるものと考えます。子育て先進区という言葉に振り回され、全国初、23区初などの称号を手に入れたいがために小手先のことをするのではなく、政策の本流、本丸である出生率を向上させることのみが子育て先進区と呼ばれる唯一の道だと考えますが、区はどのようなお考えなのか、お伺いします。

 

 決算の総括で指摘させていただきましたけれども、中野区はファミリー世帯用の住宅の不足というハード面における欠陥的な問題を解消できない限り、抜本的な解決はなかなか図っていくのは難しいところでありますけれども、基本構想・基本計画、都市計画マスタープラン、住宅マスタープランなどにおいて、そのあたり、力強い中野をつくるための魂を注入していただきたいと考えております。

 

 一つひとつの子育て政策が出生率の向上に寄与するのか、しっかりと吟味しなければ、いたずらに予算を使うばかりであります。出生率の向上のために何ができるのか。子育ての前段として、結婚ができる環境整備が不可欠であると、街コンなどが全国にはやった時期もありますけれども、プライバシーにかかわる問題であり、行政が主体に行うには限界があるということ。実際、今、民間企業が商売として成立させていることから、わざわざ中野区が手を出す事業ではないと考えます。

 

 それでは、区が、子どものいない家庭に妊娠・出産を促すということもあり得ないということになります。そうなると、恐らく区民には妊娠・出産に対する安心感を与える以外にはないと考えます。そのためにも、まず一人っ子世帯がもう何人か産みたいと思えるような環境をつくる必要があるのだろうと考えます。中野区の子育て環境はいいという口コミがほかの家庭にも安心感を与えるはずです。区の子育て行政サービスは多岐にわたっており、まずは新しいメニューをつくる前に従前の行政サービスのPDCAサイクルを行うこと、子育て世帯にサービス内容をしっかりと周知していくという地道な作業が必要であります。

 

 さきの定例会で報告がありました中野区子ども・子育て支援事業計画の達成状況及び評価についてでは、事業評価は非常に甘い目標で、お手盛りの指標が設定されておりまして、マイナス評価になったとしても努力目標が書いてあるだけで、具体的に改善される兆しが全く読み取れません。新しいことをやる前に、これまでのサービスの見直しが必要だと考えますが、今後は子育てサービスをどのようにしていくべきか、お伺いいたします。

 

 そして、さきの定例会において、地域包括ケアの子どもバージョンをつくるために、その拠点として児童館を中学校圏域9カ所に残すという報告がありました。先ほど地域包括ケア体制として地区町会連合会という単位エリアでの設定が望ましいということを述べさせていただきました。自助・互助を最大限に引き上げることが、地域包括ケアを成功させるためにおいて重要と考えますけれども、子どもバージョンでは、すこやか福祉センター圏域、もしくは我々が自民党として提案させていただきます区民活動センター単位というのと、また新たな地域の設定ということで、その地域が混乱される可能性があるわけです。区の都合、管理しやすい体制で圏域を区切るわけにはいきません。互助の力を最大限に引き出すことを念頭に入れる必要があります。

 

 地域包括ケアシステムは、全て一つの単位エリアで成り立つべきものと考えますが、区は混乱が生じかねないこの新たな子ども版の地域包括ケアシステムの構築についてどのような御見解をお持ちなのかお伺いいたしまして、この項の質問を終えます。

 

 二つ目、ドローン実証実験について。

 

 先般、11月14日に中野区役所において、国立研究開発法人建築研究所が中心となり、ドローンを活用した建物点検調査技術の開発の一環として、ドローンを実際に飛翔させた実証実験を行いました。この実験は国土交通省の許可を得ることがかなり厳しい都市部のいわゆる人口密集地域(DID)において、許可を得て実際にドローンを飛翔させる画期的な実験であり、その実効性を確認できた試みでありました。御協力いただいた区の施設管理担当に感謝申し上げます。

 

 実験では、安全確保について十分検討し、建物屋上から地上にワイヤーやリールを張るなど創意工夫をして実験に臨みました。建築研究所によるドローンを活用した建物点検調査技術の開発では、ドローンを飛ばして建物周りをドローンで写真のような画像、3Dレーザースキャン、赤外線などさまざまなセンサーで非破壊・非接触検査を行うことです。高層ビルなどで足場を組んで人がチェックするよりもドローンの活用のほうが安全で、簡易的でかつ効率的に検査を実施できることがこの実験で証明されたと言えます。

 

 構造物の長寿命化をする上で、道路や橋梁を含む公共建造物等の維持管理は非常に重要で、そのために定期的な点検が必要であります。また、有事の際の安全性確保の緊急性が高いときには非常に有用な技術であると考えます。さらに、除去等が予定される歴史的・文化的建造物等の建物外観や、内部意匠などのアーカイブ記録の作成などにも応用が期待できると考え、例えば、中野サンプラザの外観や内装などを映像として記録を残すことなどにも応用が可能と考えます。

 

 そこで伺いますが、今回のドローンによる建物点検調査技術は非破壊・非接触により建造物の調査が可能であり、公共施設の長寿命化に向けた安全点検や大地震発生時の建物安全診断等に大きく役立つと考えますが、区はどのようにお考えでしょうか。

 

 また、ドローンの活用は、例えば除去前の中野サンプラザなど、歴史的・文化的施設の建物内外の映像記録を残すことで、貴重なアーカイブ記録の作成にも大きく役立つと考えます。状況によっては、この後に取り上げます旧中野刑務所正門、また小・中学校校舎などにも活用が期待できますが、区としては活用にどのようなお考えをお持ちでしょうか。

 

 今後、国立研究開発法人建築研究所では、より高層の中野サンプラザでも実証実験を試みたいと考えております。区としてもぜひ御協力いただけるようにお願いいたします。

 

 この項の最後に、ドローンを活用した公共構造物、老朽化した民間高層マンションなどの安全点検には、今後大きくその有用性が期待されます。今後の建築研究所など専門研究機関と連携し、今後、技術発展が見込めるドローンに関して、国家戦略特区の申請などを踏まえ、建築研究所などとの連携を模索していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

 

 ドローンが危険だと言われ続け、人口密集地域であるDID地区においては、特に飛行の許可は難しい状況は続いております。今回の中野区における実証実験は、人よりもドローンのほうが安全というキャッチフレーズとイノベーション実現に向けた第一歩になることを主張させていただきまして、この項の質問を終えます。

 

 3、旧中野刑務所正門の取り扱いについて。

 

 平成31年1月24日、厚生委員会資料「旧中野刑務所正門の取扱いについて」において、門の取り扱いについては、これまで区にお寄せいただいた区民の皆様方からの意見、議会での議論、文化的観点、費用等を総合的に判断して、旧中野刑務所正門の取扱い(案)として第4回定例会で報告を行いました。結果的には現地保存するということが報告されたわけでありますけれども、さきの区民委員会の旧中野刑務所正門の学術調査結果の報告では、技術的には移築が可能という結果が得られました。平成30年10月5日、厚生委員会の旧中野刑務所正門についての報告における学識者による意見聴取の結果報告(概要)で、学識者3名は東京都指定文化財になり得る、現地保存としない限りは文化財価値は低下する、モニュメント、映像保存は文化的見地からは検討対象にはならないとの見解でした。つまり、移築するという物理的にできるということが出たとしても、移築するということ自体には価値がなくなり、東京都の文化財指定を受けられない可能性が高いという主張となっているということになります。

 

 そういったところから、改めて伺いますけれども、移築が物理的にできるからといって、学術的な見解が変わることはないのかということを念のために確認いたします。従前に区は、移築した場合、都の文化財指定がとれなくなると報告されておりましたけれども、移築を再検討するということは文化財指定がとれなくなることを意味しますが、どうでしょうか。すなわち、区はもう文化財指定を目指すことをやめるということを意味すると思うんですけれども、それでよろしいでしょうか。

 

 移築の調査を実施したということは、移築も選択肢の一つであるというエビデンスにほかならないわけでありますけれども、改めて移築、現地保存する場合の期間と経費についてお伺いいたします。

 

 旧中野刑務所正門については、平和の森小学校開校日と密接にかかわってきます。区長は定例記者会見などにおいて、平和の森小学校の供用開始、2023年にすると明言されております。これに間に合わせるには文化財指定を受けられる可能性が低い、揚家をしない現地保存、もしくは現実的には解体・撤去、この二つに一つになろうかなという感じですけれども、解体・撤去もその選択肢になり得るのか、お伺いいたします。

 

 また、仮に曳家移築を選択した場合には、平和の森小学校開校日はおくれますが、区としては、学校開校日がおくれたとしてもそういった選択をなさるのか、お伺いいたします。

 

 また、学校施設であるため、教育委員会に本件について方針を伺うと考えられますが、教育委員会が出した回答に区は100%従うのでしょうか。もし従わないのであれば、時間がない中、諮問する必要性も問われてまいります。はっきり言ってどうするか、判断が既にできる判断材料がそろっていると考えますが、区はどのような見解をお持ちか、お伺いいたします。

 

 これは私見ですけれども、純粋に考えますけれども、本当に文化的な価値があるのであれば、ふるさと納税だったり、クラウドファンディングなどでそういった資金が集まるのかなというふうに考えるわけですけれども、こういったところに関しては質問を控えさせていただきますけれども、もし残さないという選択肢をするのであれば、ドローンを活用して、そういったデジタルアーカイブをしていったほうがいいのではないかということを要望させていただきまして、この項の質問を終えます。

 

 最後に四つ目、学校のメモリアルアーカイブについて。

 

 学校の思い出に関する問い合わせが私のところに幾つかありました。先日、私の母校、仲町小学校の先輩から校歌の歌詞、楽譜、音源を欲しいという御要望をいただき、再編後の桃花小学校にあるのかなと思いましたけれども、最終的には歴史民俗資料館にわら半紙とCDで保存されていたという事例がありました。

 

 また、昨今の統廃合で、旧中野第十中学校、現中野東中学校のところの敷地に石碑を置きたいというような御要望もいただいたということがあります。小・中学校の時代の思い出は何事にもかえがたいものであります。そこで伺いますけれども、小・中学校再編の中で要望が出てくるそういったモニュメントなどの保存というのは可能なのか、現行のルールをお伺いいたします。

 

 と言いながらも、校舎、歌詞など、やはり当時を思い出すアイテムはみんな残したいというところではありますけれども、そういったものが延々と残るというのもなかなか、全く違う100年後とかになったときに、無用の産物になってくる可能性もあるということで、葛藤があるところではあります。ばかの一つ覚えで申しわけありませんけれども、こういった問題もデジタルアーカイブで解決するのかなというふうに考えます。

 

 岡山市においては岡山シティミュージアムというホームページがあります。このホームページでは学校メモリアルというページがあり、再編後の中でなくなった小・中学校の校舎の写真、校章、校歌、航空写真、沿革、レトロ写真などさまざまな情報が詰まっております。中野区においても事実そういった情報を求められている状況がありますので、さきのドローンの質問でも取り扱いましたが、そういった小・中学校をドローンで撮影したものもアーカイブできると考えます。また、区長のおっしゃるシビックプライドの醸成の一助にもなると考えられます。

 

 そこで伺いますが、今後も再編が続き、なくなっていく小・中学校のデジタルアーカイブを区のホームページに保存することがノスタルジーの成仏となると思いますので、御検討していただきたいということをお伺いいたしまして、私の全ての質問を終了させていただきます。

 

〔区長酒井直人登壇〕

 

○区長(酒井直人) 加藤議員の御質問で、1番目に中野区基本構想・基本計画について。

 

 1点目に、地域包括ケアシステム構築推進における予算の考え方についてでございます。区はこれまで介護予防・日常生活支援総合事業における住民主体サービスの創出、アウトリーチチームの配置や地域包括ケア推進会議の設置、情報共有システムの導入による医療介護連携の仕組みづくり、認知症サポーターの養成などについて事業化してまいりました。こうした事業は地域資源の開発、住民主体活動の活性化、地域のネットワークづくり、地域包括ケアの理念の共有などに資するものであり、区民による自助・互助を支援するものでございます。今後も事業効果を検証しつつ、PDCAサイクルによる評価結果を予算に反映させてまいります。

 

 次に、すこやか福祉センター運営に必要な予算と職員数についての項でございます。すこやか福祉センター運営経費は、平成30年度決算では1所当たりで約3億円でございます。職員数としては、所管する区民活動センターの職員を除いて、常勤職員で1所平均約25名となっております。

 

 次に、地域包括ケアシステムにおけるすこやか福祉センターの役割についてでございます。すこやか福祉センターは、介護保険サービス基盤の整備単位となる日常生活圏域を所管する地域包括ケアシステムの推進拠点でございます。同センターでは、その圏域の住民のライフステージに応じて、各種の保健福祉サービスを継続的・包括的に提供することを目指しております。このため、専門相談機関である地域包括支援センターや障害者相談支援事業所を置いて、ワンストップ型の相談支援を行うとともに、区民の活動圏域である区民活動センターごとにアウトリーチチームを編成し、区民とともに支えあいのまちづくりを進めているところでございます。

 

 次に、アウトリーチチームについての御質問でございます。みずから相談窓口にたどり着けない潜在的対象者へのアウトリーチ型支援は、保健福祉の領域で特に重要となっております。このため、区はアウトリーチチームを設置し、個別の相談支援と支援のために必要となる地域資源ネットワークの構築、不足している資源や地域課題の発見と解決に取り組んでいるところであります。一方、民生委員については、住民の最も身近な気軽な相談先として、ボランティアでさまざまな相談を受けるとともに、区と協働して高齢者や子育て世帯の継続的な見守りなども行っております。また、社会福祉協議会は社会福祉法に位置付けられた民間団体で、地域福祉の推進を目的として、住民主体の理念を基本としつつ、多様な事業を展開しております。地域包括ケアにおいては、その理念や情報を共有しながら、それぞれの立場で取り組む重層的な支援のネットワークが必要と考えております。

 

 次に、地域包括ケアシステムの階層の御質問と社会福祉協議会への支援についてでございます。中野区地域包括ケアシステム推進プランにおきましては、介護サービス基盤を整備する単位としての日常生活圏域、それと地域活動を推進する単位としての日常区民活動圏域の二つの圏域を設定しております。議員御指摘の区民活動センター単位ということで、日常区民活動圏域というものが一番基礎的な単位となっております。見守りや支えのある地域のつながりの再構築は喫緊の課題となっておりまして、今後ますます区民活動センター圏域での取り組みが重要になってくると感じております。中野区では、こうした区民活動センター単位での取り組みや発見した課題をすこやか福祉センターが集約し、地域ケア会議で検討する階層構造としております。区民活動センター圏域を基本とした活動が、地域包括ケアシステムの根幹でございまして、地域福祉推進のパートナーである社会福祉協議会への支援のあり方については、役割や機能を含め総合的に検討して充実してまいります。

 

 次に、健康寿命の延伸策についての御質問でございます。健康寿命の延伸が介護費用を縮減できるというエビデンスがないことは承知をしております。しかしながら、医療費、介護費への影響を議論する以前の話として、健康づくり、介護予防の取り組みは、個々人のQOLの向上という極めて大きな価値をもたらすものであり、中野区地域包括ケアシステム推進プランや中野区健康福祉総合推進計画においては、65歳以上の健康寿命を重要な指標の一つに掲げております。厚生労働省も、本年6月に健康寿命延伸プランを示して、2040年までに健康寿命を男女ともに3年以上延伸し、75歳以上とすることを目標として、介護予防、フレイル対策などの取り組みを推進するものとしております。区といたしましては、健康寿命延伸プランの考え方も踏まえて、区民による生きがいや介護予防の推進、各種検診の受診促進、検診データを用いたデータヘルスによる病気の早期発見、早期対応などを通じて、健康づくり、ひいては健康寿命の延伸に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 

 次に、子育て先進区についての御質問でございます。まず、区が目指す子育て先進区と出生率の向上についての御質問にお答えします。少子高齢化、人口減少が進むことによる地域活力の低下は、区政運営にとって大きな課題であると同時に、日本社会全体としても抱える最も大きな課題でございます。一方、区の合計特殊出生率は近年増加傾向にあるものの、1.0前後で推移しておりまして、全国の中でも低い水準である東京都平均、23区平均をも下回っている状態でございます。また、区の人口動態は区民全体では転入超過であるものの、子育て家庭の多くを占める年齢階層においては転出超過の傾向にあります。そのような区の現状を踏まえれば、当然、出生率の向上も目指すわけですが、子育て家庭の転入・定着を狙い、子どもと子育て家庭の満足度と認知度の高いまちを目指すことといたしました。区が子育て先進区を実現して都市型のモデルを示していくことは、これからの日本の社会が向かうべき方向性を考える上で大きな意義のあることだと考えております。これの実現に向けて力を尽くしたいと考えております。

 

 次に、子育て先進区実現に向けた子育てサービス実施のあり方についてでございます。子育て家庭のニーズは多種多様であるため、区民の声にしっかり耳を傾けて課題を把握して、その課題に向き合い、改善を重ねていくことで、子どもと子育て家庭の満足度を高めていきたいと考えております。それに加えて、子どもと子育て家庭に対して、区の子育て環境について広くわかりやすく情報を届けることによって、認知度を上げていきたいと考えております。もちろんサービスについては評価を行い、スクラップ・アンド・ビルドなど見直しを図っていくつもりでございます。

 

 次に、子どもと子育て家庭の包括ケアシステムの活動圏域についての御質問でございます。子どもと子育て家庭の地域包括ケアシステムについては、次世代育成委員などの地域での支援、見守り活動や保育園、幼稚園、小学校、中学校、これらの連携教育が中学校区単位で行われていることを踏まえて、中学校区を活動圏域といたしました。中学校区を活動圏域として地域包括ケアシステムの関係者が十分に情報を共有し、連携が図られるよう、ネットワーク体制を検討していきたいと考えております。

 

 次に、ドローン実証実験について、最初に、ドローンによる建物点検調査についての御質問です。区庁舎を使って行ったドローン実証実験は、国から人口密集地区において安全確保を含む飛行実験の許可を得た上、実際に建物調査を行ったものであり、先駆的な実験であると認識しております。本技術が確立されれば、公共施設等の安全点検や災害時の建物被害状況の把握など、さまざまな応用が期待できるものと考えております。

 

 次に、アーカイブとしてのドローンの活用についての御質問です。区は中野駅周辺地区の再整備をはじめ、まちの移り変わりなどを画像や映像で記録し、後世に残す貴重な資料として保存し、広く活用できるようにする取り組みを進めていきたいと考えております。諸条件が整い、中野サンプラザをはじめとした文化施設や歴史的建築物などをドローンで撮影することができ、また利用することが可能となれば、区として活用してまいりたいと考えております。

 

 次に、ドローンを活用した国家戦略特区の申請についての御質問です。現在進めている国立研究開発法人建築研究所における実証実験の推移やその成果等を踏まえ、国家戦略特区に向けた連携等についても研究してまいります。

 

 次に、旧中野刑務所正門の御質問で、最初に、移築した場合の文化財的価値と東京都の文化財指定についての御質問でございます。昨年9月、学識者3名に対して、旧中野刑務所正門の文化財的価値等について意見聴取を行い、翌10月、第3回定例会において、東京都の指定文化財になり得る、現地保存以外では文化財的価値が低下すると報告したところでございまして、現時点でその学術的見解に変更はございません。東京都の文化財指定については、東京都教育委員会が文化財保護審議会を設置して指定についての諮問を行い、審議会において審議し、教育委員会へ建議を行い、最終的に東京都教育委員会が議決し、指定される制度となっております。したがって、指定されるかどうかは、あくまで東京都の文化財指定制度のもとに判断されるものと考えております。

 

 次に、移築、現地保存、それぞれの期間と経費についての御質問です。詳細な調査を行わなければ確定はしませんが、曳家移築の場合は基本計画、基本設計、実施設計、曳家移築工事等で5年から5年8カ月の期間が見込まれ、概算経費は4億9,596万円でございます。一方、現地保存の場合は、設計、修理工事で2年半の期間が見込まれ、概算経費は9,339万円でございます。

 

 次に、解体・撤去の可能性についての御質問でございます。旧中野刑務所正門の取り扱いが決定するまでに、平和の森小学校新校舎整備に関する設計作業には着手しておりません。また、平和の森小学校の用地については、国が地下埋設物等の調査を行った後、売買契約を結ぶことになったことから、用地買収がおくれる見込みでございます。そのため、予定している新校舎の供用開始時期にもおくれが生じるものと現在考えております。学識者の意見や、本年10月の学術調査における文化財的価値の調査結果から、旧中野刑務所正門について文化財的価値はあると区は考えておりまして、現時点では解体・撤去ではなく、現地保存もしくは曳家移築する方向で検討しております。

 

 最後に、学校や教育委員会との関係と今後の方針についてお答えします。旧中野刑務所正門の保存につきましては、旧矯正管区用地内における平和の森小学校との共存が前提でございます。文化財の保存・活用と良好な教育環境の確保を両立し、できるだけ早く開校を実現したいと考えております。門の保存につきましては、文化財的価値や文化財としての保存・活用だけでなく、学校運営に大きな影響があることから、教育委員会へ意見聴取を行い、その意見を考慮し、区として方針を決定してまいります。

 

〔教育長入野貴美子登壇〕

 

○教育長(入野貴美子) 私からは、学校のメモリアルアーカイブについての御質問にお答えいたします。

 

 小・中学校の記念碑の保存につきましては、学校統合された学校については、地域要望を受け、学校の判断により記念碑の設置を認めてきたという経緯がございます。統合新校は、新たに保護者、地域と連携しながら学校を盛り立てていただきたいという思いの一方で、双方の学校の伝統や歴史を引き継ぐことも大切なことと考えております。校内にメモリアルコーナーを設置して、校旗、校歌、校名板、外壁校章、記念冊子などを保管しております。今後、統合された学校の記録は、石碑、モニュメントという形ではなく、メモリアル品の保管及びデジタル化という形で保存していくことを基本に、学校や地域と調整してまいります。

 

 次に、ホームページへのデジタルアーカイブ保存についてでございますが、現在、統合された学校の記録については、ホームページが削除されている学校と、統合新校から統合前のホームページにリンクできる学校がございます。今後は統合された学校の記録について、メモリアル品の保管に加え、電子的な記録も保存していきたいと考えております。デジタルアーカイブとしての保存、活用方法について検討してまいります。

 

〔加藤たくま議員登壇〕

 

○11番(加藤たくま) 2点、再質問させていただきます。

 

 「多くの子育て家庭から選ばれるまち」という目標はやめていただけませんかという質問に対して、ちょっと直接的な回答をいただけなかったんですけれども、イエスかノーかというところでお答えいただいて、その答えの理由を教えていただきたいと思います。

 

 二つ目に、旧中野刑務所正門についてです。もう判断ができる材料がそろっているかなというところでしたけれども、2023年の開校よりおくれるというのが先ほど発言で明言されたと思います。そうすると、一つの条件が変わったということで、また判断もいろいろ出てくるんでしょうけれども、はっきり言って現地におきましては、なかなか決まらないというこの不誠実とも言われるような態度に、区の対応について、もうどっちでもいいから早く決めてくれみたいな声もあるわけでありまして、その辺、今後のスケジュールが全然示されないという点におきまして、今後どのようなことを行っていくのかということをお伺いします。よろしくお願いします。

 

〔区長酒井直人登壇〕

 

○区長(酒井直人) 加藤議員の再質問にお答えします。

 

 まず、1点目の「多くの子育て家庭から選ばれるまち」という目標を変えられるかという話ですが、これについては、先ほども当然御説明いたしましたけれども、今後、中野区としては子育て家庭の転入・定着を狙っていくということで、これによって都市型のモデルとなる事例をつくっていくということなので、これについては目標として掲げていきたいと考えております。

 

 そして、もう1点の旧中野刑務所正門の取り扱いについての現地に対する保護者、PTAなど関係者に対する説明について。これについては今後、曳家についての詳細な条件がまだわからない部分もございますけれども、なるべく早く丁寧に情報提供していきたいと考えております。

 

○副議長(平山英明) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。

 

 

令和元年06月28日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録

 

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 

 1 8050問題 について

 

 2 国家戦略特別区域法の活用について

 

  (1)世界最先端浸水予測システムについて

 

  (2)ドローンについて

 

 3 森林環境譲与税の活用について

 

 4 海洋プラスチックごみ問題について

 

 5 中野駅新北口駅前エリア(区役所・サンプラザ地区)再整備について

 

 6 その他

 

 

 

○議長(高橋かずちか) 次に、加藤たくま議員。

 

〔加藤たくま議員登壇〕

 

○11番(加藤たくま) 令和元年第2回定例会におきまして、自民党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。

 

 まず1番目、[2]8050問題 におきまして、ことしの5月28日に神奈川県川崎市、登戸で通り魔殺傷事件が発生しまして、被害者のうち、二人がお亡くなりになりまして、18名が負傷し、犯行の直後、加害者はみずから首を刺し、その後死亡いたしました。また、その事件の後、6月1日、練馬区におきまして自分の息子を刺し殺すという痛ましい事件が発生いたしました。これらの事件におきまして関係各位の皆様に対して哀悼の意を表します。

 

 これらの事件において、いわゆる[3]8050問題 が指摘されています。ひきこもりが長期化し、親も高齢となり、収入や介護などに関して問題が発生することです。80代の親と50代の子の親子関係でのことが多いということから[4]8050問題 と呼ばれております。ひきこもりと犯罪率に相関は認められませんが、[5]8050問題 が要因として大惨事が引き起こされている可能性は否めません。また、中野区自殺対策審議会において[6]8050問題 が自殺につながっていくとの指摘をしており、ひきこもりが大きな問題となっております。プライバシーの問題もあり、一個人や民間、第三者が入り込むことは容易ではありません。現状を考えると、行政、公共機関がやるしかないという結論になっていくわけであります。[7]8050問題 といっても、ひきこもり、就業支援、生活保護、自殺対策のさまざまな行政の対応の形がありますが、当事者としてはどうすればいいのかわからないことだらけとなります。

 

 そこで伺いますが、区は、ひきこもり問題、[8]8050問題 などに対してどのように対応されているのでしょうか。もしくは、これからどうしていくのかということをお伺いいたします。

 

 中野区社会福祉協議会では、事業を進める中で、行政や介護保険等、既存のサービスの対象にならない制度のはざまにある人、またそれらサービスの対象になるにもかかわらずサービスを利用しない・利用できない、いわゆるSOSを出せない人たちの存在が課題であると認識しています。そこで、社協は、平成27年より福祉なんでも相談事業を開始し、年々利用者がふえているということです。福祉なんでも相談でひきこもりの相談は年々増加し、特に40代、50代の相談が多いということです。相談内容に中高年のひきこもりが多かったことをきっかけに、平成27年に民生・児童委員をはじめ、各すこやか福祉センターや地域包括支援センターなどに対してアンケート調査を実施し、167名の方が何らかの理由によりひきこもり状態であることがわかっております。社協としまして8050について事業内容に盛り込んでおりまして、ひきこもりの当事者とその御家族が語り合う場所としてカタルーベの会を毎月行っており、これも参加者が徐々に増加しているということであります。すこやか福祉センターなどからの紹介で参加されることもあります。これらの事業は社会福祉協議会の自主財源となっております。今後、さらなる深刻化が予想されるこの問題に対して、区は社会福祉協議会などとのより一層の連携支援、役割分担が必要になると考えますが、どのようにお考えでしょうか。

 

 OECDによりますと、ひきこもりの原因の多くの精神疾患は児童・青年期に発症するということです。中野区は、令和3年に児童相談所機能を含む(仮称)総合子どもセンターを開所する予定ですが、その役割は重要となってきます。また、私たち1970年代生まれの世代はロストジェネレーションとも呼ばれ、バブル崩壊で就職が思うようにできなかった世代であり、ニート、ひきこもりの方々が多いとも言われております。ひきこもりの潜在性は各世代にあります。ひきこもり対策として、短期観点からの対症療法と中・長期的な観点からの根本療法、双方の環境を拡充していくべきと考えますが、区は今後どのような対策を講じていくのか、お伺いいたします。

 

 しかし、財源、人工(にんく)、プライバシーの問題など行政の対応には限りがあります。最悪な事態にならない最低限度のセーフティネットとして区は何ができるのかということをしっかりと熟考していただきたいと要望を申し上げまして、この項の質問を終了させていただきます。

 

 2番目、国家戦略特別区域法の活用について、自治体間競争の中、魅力ある自治体であるために中野区で特徴ある産業を育てていただきたいと思っております。自治体間競争とはいえ、他の自治体からヒト・モノ・カネを奪うような発想はゼロサムゲームになるため、何もないところからモノ・カネを生み出して選ばれる、正々堂々とした戦いを中野区にはしていっていただきたいと思っております。私は、再三御提案しておりますが、国家戦略特別区域法を活用いたしまして規制緩和を行い、イノベーション、そして新たなビジネスが始まる、そんなわくわくする区政をつくっていきたいと切に思っております。

 

 ことし3月に、私が所属しております東京青年会議所中野区委員会から区長宛てに二つの提言を提出させていただきました。それについて取り上げさせていただきます。

 

 一つ目、世界最先端浸水予測システムについて。

 

 3年前から、国土交通省国土技術政策総合研究所は、ゲリラ豪雨のような突発的な大雨にも対応可能な浸水予測システムを社会実装するために中野区の一部地域で特定の方々を対象に社会実験を行ってきました。このシステムは、河川の外水だけではなく下水道管の水の流れも考慮されておりまして、マンホールなどからの浸水、つまり内水においてもその計算予測がされております。また、東京青年会議所では、その国交省のシステムと早稲田大学関根研究室のシステム二つを活用した水防訓練を南中野中学校で実施させていただきまして、テレビ・新聞にも取り上げられまして、その成果はマニフェスト大賞の政策提言賞のノミネートをいただきました。中野区地域防災計画の風水害対策計画では、台風性豪雨、線状降水帯豪雨、ゲリラ豪雨の降水種別ごとの避難対応が明記されたタイムラインが作成されました。また、東京都は、ことしより「東京マイ・タイムライン」という水害時の個人の行動パターンをまとめるツールを作成いたしました。リアルタイムの浸水予測システムとタイムラインを使うことで防災関係者と住民それぞれの動き方が明確になっていきます。さまざまな水害対策が進む中、国土交通省では、先ほど言っておりました、浸水予測システムのバージョンアップを図っていくということで、その実用性を検証するために中野区とさらなる連携を深めたいということでありますけれども、区のお考えをお伺いいたします。

 

 しかし、この予測システムが完成しても、現行の気象業務法の解釈の仕方ではシステムの不特定多数に情報発信ができません。気象業務法では、気象庁、気象予報士、気象業務許可事業者のみが気象情報、災害予測情報を出せるわけでありますが、国土交通省とはいえその情報を勝手に出すことができません。今回の浸水予測システムのさらなる技術発展のサポートすることを奇貨といたしまして、中野区のソフト対策としての防災力の強化が望めると考えます。

 

 そこで、国家戦略特別区域法によって、気象業務法の規制緩和をし、気象関連研究機関、事業者が予測技術を競争し合うことで浸水予測システムを含む新たな災害予測技術のイノベーションを推進していくべきと考えますが、区としてはいかがお考えでしょうか。

 

 二つ目、ドローンについて。

 

 第1次はパソコン、第2次はインターネットやメールアドレス等の普及、そして第3次はスマートフォンの登場で、IT革命はどんどん進んでおります。そして、第4次のイノベーションとして、ドローンの誕生にそれが期待されているところでございます。しかし、法律によってドローンの飛行の規制は厳しいものであります。千葉県千葉市では、国家戦略特区を使って宅配ドローンの社会実験により実用性の検証を行っております。東京青年会議所では、中野区においても同特区法に申請しまして、ドローンを利活用したシティプロモーション、防犯・防災、メンテナンス等の技術向上に資する実証実験を行い、イノベーションが想像できる環境づくりについて提言をさせていただきました。区としても、哲学堂公園のプロモーションビデオ撮影でドローンを使用されており、ドローンの活用にお考えがあることはうかがいしれます。

 

 私個人的には、中野区内にあります都立富士高校のグラウンドをお借りいたしまして、密集市街地におけるドローンの飛行実験を2回実施させていただきました。1回目は、アメリカンフットボールの試合を真上から撮影いたしまして、戦略的に非常に参考になる映像をおさめることができました。2回目は富士高校で、文化祭の後夜祭で打ち上げ花火を中野区内で上げるということを毎年やっておりますので、その様子を上空からおさめようとしましたが、その日は風が強くて撮影を断念いたしました。ドローンパイロットの技術やモラル、風の状況から飛行をやめる判断などを見て、あくまで安全・安心は人間がつくるものということの確証もいたしました。

 

 ドローンによるイノベーションを創造するためには、まずは飛行できるフィールドを用意する必要があります。以前にも取り上げましたけれども、有事を踏まえ、まずは河川上で飛行できないかと考えます。河川は、区の管理であるために区の許可があれば飛行可能と思いますけれども、飛行させるために必要な諸手続について、伺います。

 

 また、小・中学校の周年行事などで行われる人文字などはヘリコプターで撮影するよりもドローンの方が低価格でさまざまな角度から撮影が可能であり有用と考えますが、こういった場合の諸手続についてもお伺いいたします。

 

 ところで、国立研究開発法人建築研究所では、ドローンを活用した建物点検調査技術の開発をしております。建物の周りをドローンで写真のような画像データ、ほかにも3Dレーザースキャン、赤外線など、さまざまなセンサーで非破壊・非接触検査を行う開発をしております。高層ビルなどで人が直接検査するよりもドローンのほうが安全であります。構造物の長寿命化をする上で維持管理は非常に重要で、そのために定期的な検査・点検が必要となってまいります。また、有事の緊急性が高いときに有用な技術であります。建築研究所は、人口集中地区、DIDと呼ばれるエリアであります自治体と連携をしていきたいということであります。そういった社会実験は中野区でも求められているということで、今後、技術発展が見込めるドローンに関しても国家戦略特区の申請などを踏まえ建築研究所などとの連携を模索していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

 人よりもドローンのほうが安全というキャッチフレーズでイノベーションが起こることを期待して、この項の質問を終えます。

 

 3番目、森林環境譲与税について。

 

 平成31年3月27日に森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律が成立しました。森林環境譲与税は、令和6年度から個人住民税に上乗せして一人当たり1,000円を徴収します。徴収された森林環境税は、森林環境譲与税として配分されます。配分に関しては先行的に行われまして、ことしから始まりました。森林環境譲与税は復興税からの切りかえとなり、実質負担は感じませんが、区民に納めていただいた森林環境税は区民に還元されなければなりません。そもそも、この森林環境税は、国土の森林を推進するために、平成18年の森林・林業基本計画、そして平成22年の木材利用促進法がこの法体系のルーツとなります。私もその現場にいたんですけど、国土交通省の実物大の実験で木造3階建ての小学校の火災実験というものをやっていました。その3階建ての小学校に火をつけてそのまま燃やしてしまうという実験なんですけども、そういった実験などを踏まえて、平成26年には木造3階建て、学校大規模建設などができる建築基準法が改定されていきました。そして、今回の森林環境譲与税ができました。このような国の大きな動きから、国や東京都は木造の公共施設を建設するための補助制度を創設しておりますが、区は把握されているのか、お伺いいたします。

 

 これから区役所、小学校の建てかえが進む中、財源が非常に厳しくなっていきます。森林環境譲与税と国・東京都の補助金を活用することで区の持ち出しを最小限に抑えつつ、小・中学校の建てかえであれば、2年前に山本議員が取り上げておりましたけれども、木育にも資するものとなっていくと考えます。木造を含む前提で施設整備計画をすることで多くのメリットが生まれてきます。

 

 そこで、森林環境譲与税をまずは環境基金に積み立て、施設整備に対して投資すべきと考えますが、区はどのように活用するのか、お伺いして、この項の質問を終えます。

 

 4番目、海洋プラスチックごみ問題につきまして、海洋プラスチックごみ問題は、人間生活から廃棄されるプラスチックごみが沿岸部や海に流出し、生態系破壊や人体への健康被害、沿岸部の経済社会のダメージ等を引き起こしている問題です。

 

 2018年6月カナダで開催されましたG7シャルルボワサミットで、海洋プラスチック問題等に対応するために世界各国に具体的な対策を促す「健康な海洋、海、レジリエントな沿岸地域社会のためのシャルルボワ・ブループリント」を採択いたしました。プラごみは、本日と明日開催しておりますG20の主要なテーマの一つとなっております。プラスチックは紫外線に弱く、洗濯ばさみがよくぼろぼろになっていくということから、紫外線によってぼろぼろになり、さらに細かくなっていきますと5ミリ以下のマイクロプラスチックとか生態系を破壊してまいります。洗顔料や歯磨き粉のスクラブ剤等にも利用されているマイクロビーズも同様であります。排出抑制よりもプラスチックを製造させない根本的な対策が必要となってきますけれども、まずは可能なところから実施していかなければなりません。

 

 そこで伺いますが、区は、家庭から排出されるプラスチックごみをどのように回収しているのか、お伺いいたします。

 

 プラスチックのリサイクルは、物理的に形を変えるマテリアルリサイクル、化学変化をさせるケミカルリサイクル、プラスチックが原油由来ということで熱処理に使われるサーマルリサイクルがあります。区として収集したプラスチックごみはどのように処理されているのか、お伺いいたします。

 

 また、中野区の家庭から排出されるプラスチックごみと世界的に問題となっております海洋プラスチックごみとの関連性についてどのようになっているのか、お伺いいたします。

 

 中野区として海洋プラスチックごみ問題として、御答弁の中で、もし不作為がなかったとしても、個人のポイ捨てや無許可業者の不法投棄などモラル・法律にかかわるところもあります。持続可能な世界をつくっていくためにも、行政、そして各個人で御努力していただくことを切に要望させていただきまして、この項の質問を終えます。

 

 最後、5番目、中野駅新北口駅前エリア(区役所・サンプラザ地区)再整備について、質問させていただきます。

 

 本定例会一般質問において、新サンプラザにおきましては民設民営で行うとの御答弁がありましたが、それについて深掘りさせていただきます。区役所の建設費用に254億円かかりまして、64億円を財調で、190億円程度が起債と想定されているというような御答弁があったと思いますけれども、区債については早期に償還しなければ年々利子返済分だけでも数億円かかっていくというものになっております。サンプラザ再開発から生まれる転出補償は区運営において非常に重要な財源となります。サンプラザ再開発が民間によるものになると、最終的には土地を所有する事業者に好き勝手な開発をされるのではないかということの懸念も出てまいります。中野区、そして中野区民にとってみんなが描く理想に近付けたいという思いもありますし、事業者としてはできるだけ収益が高いものにしたいと双方の思いが出てくると思いますけれども、権利を持っている事業者の意見が通るのではないかということが不安になってまいります。

 

 そこで伺いますけれども、区は、民間によるサンプラザの再整備について一定の発言権を維持し、事業者に好き勝手な開発をさせないための方法について、お伺いいたします。

 

 続いて、民設民営の大規模集客交流施設、いわゆるアリーナについて、お伺いいたします。

 

 現段階において客席数の規模感は決まっていないということであります。3月の予算特別委員会で、私は、現在の中野サンプラザホールがそもそも中野区民のために役立っているのかということに疑問を呈させていただきました。一般区民にとってはコンサートとかに行かない限り中野サンプラザホールへ入ることはありません。行くとしたら、成人式のみでございます。幾ら区民のための施設とうたっても、今と同規模のホールをつくるのであると同じようなことがまた起こる、区外の方々ばかりが還元されるというような施設になるのかなというふうにも考えるわけであります。ある程度の規模がある平土間型のアリーナであれば、北海道物産展みたいなイベント、最近では規模が拡大し細分化されているコミケ、バスケ、卓球、フットサルなどのプロスポーツなどにも使え、区民がわくわくできる可能性があると指摘させていただきました。むしろ区民に還元されない規模、今と同じような規模であれば区がホール、アリーナを間接的であろうと立地させる必要があるのかということも疑問になってまいります。ということで、最大の集客規模の平土間型の施設がよいということを提案させていただきます。

 

 第22期、前期4年間で自民党会派委員会視察におきまして、これも予算特別委員会で言いましたけども、函館アリーナ、ゼビオアリーナ仙台、浜松アリーナ、大阪城ホール、愛知県武道館、マリンメッセ福岡などの全国のアリーナ施設に伺いましてその成功と失敗を視察してまいりました。設計思想、それらの成功事例を見て、最先端にすることで1回当たりの興行の使用料、年間の維持管理等の費用の抑制を図ることができるわけであります。

 

 ポイントは、大きく分けて四つだと思っております。

 

 一つ目は、舞台装置・照明。今、舞台というのは、ワイヤーでつり下げるのが基本ということで、地上から組み立てると非常に危ないというものもあるということで、ワイヤーでつり下げる、そういった施設にするということです。大阪城ホールでは、最大39トンつり下げることができるということでありますが、後からそういったつり下げもつくったということで、やはり定期的なメンテナンスが必要だということで最初からある必要があると考えます。また、LED照明を最初からしっかりとすることによりまして、もちろん軽いということでありますし、またすばらしい演出を今LEDの照明ですることができます。

 

 二つ目は、搬入です。興行用装置の荷さばきのためにトラックがアリーナに直接入ることによりましていろいろ荷さばきをする時間が短縮されるということで、人件費の抑制ができますし、トラックをアリーナの脇に駐車するというような、そのスペースも必要ありません。これはホールではできないということであります。

 

 3番目、ウェイティングスペースでありますが、興行開始前の利用者の待機スペース、四季の森公園、そして幾らでも時間を費やしたくなる中野駅周辺地区がありまして、それもまた地域に還元されるということになります。

 

 そして、四つ目、IoT活用をすることです。スマートフォンなどで管理される出入り口でこれをすることによりまして人件費の抑制ができますし、そういった入退場がスムーズになることで、スマートアリーナと呼ばれるものですが、こういったものの活用もしていくべきだと考えます。

 

 区民が楽しめる施設とするために平土間型施設、つまりアリーナにしていただきたいと考えます。この新しいサンプラザにおけるアリーナのあり方について区長はどのようにお考えなのか、お伺いして、私の全ての質問を終えます。

 

〔区長酒井直人登壇〕

 

○区長(酒井直人) 加藤議員の御質問です。

 

 まず最初に、ひきこもりや[9]8050問題 への対応です。区では、ひきこもり者や家族からの相談はすこやか福祉センターが地域のワンストップ総合相談窓口として相談支援を行っているほか、生活援護課の生活困窮者自立支援や地域包括支援センターでも相談を受けているところでございます。また、東京都のひきこもりサポートネットとも連携して個別事例に対応しているところであります。一方、社会福祉協議会は、以前から中高年のひきこもりについて家族支援などの取り組みを進めているということで認識をしております。区や社会福祉協議会をはじめとする関係団体がそれぞれの専門性を生かして包括的な支援体制を構築していくために、適切な役割分担と連携の強化に努めてまいります。

 

 次に、今後のひきこもり対策についてでございます。ひきこもりの状態に至るまでの原因や経過、また当事者や家族が求める支援の形もさまざまであると考えられます。このため、一人ひとりの状況とニーズに応じた丁寧な対応が求められていると認識しております。区では、当事者・家族に寄り添いながら地域での継続的で包括的な支援につながることが重要であると考えておりまして、関連部署、関係団体が一体となって進める地域包括ケア体制を構築して支援を行ってまいりたいと考えております。

 

 次に、国家戦略特別区域法の活用について。

 

 まずは、各研究機関との連携と国家戦略特区の申請についてでございます。本システムでは、降雨量等から河川の氾濫やマンホール等からの内水判断による浸水を事前に予測し、携帯電話等に警報アラートとしてメール配信をすることで区民の避難行動を促すことができると聞いております。一方、区では、現在、河川判断にかかわる情報は、降雨量、河川の水位、洪水予報等を総合的に判断して避難情報として区民に提供する体制を整えておりますが、内水判断は浸水予測が困難な状況でございます。内水判断による浸水予測が可能となって必要な避難情報等を区民に提供できる場合には効果は高いと考えられることから、委員御案内の各研究機関との連携、それから国家戦略特区の申請等について検討してまいります。

 

 次に、ドローンについて。河川におけるドローンの飛行手続についてのお尋ねでございます。中野区は人口集中地区なので、ドローンを飛行させる場合にはあらかじめ国土交通大臣の許可を受ける必要がございます。また、ドローンの飛行に当たっては、国土交通省が定めた無人航空機飛行マニュアルを順守することや、飛行目的や日時等について東京都や区をはじめとした関係機関との情報共有、周辺住民への周知等が必要と考えております。

 

 次に、学校行事等へのドローンの活用でございます。学校行事等を含む多数の人々に影響が生じる催し物の上空飛行の場合は、航空法に基づく所定の審査手続に加えて、学校関係や警察等を含む各行政機関との調整を含め、より厳しい安全性確保や保安上の措置が求められていると認識をしております。

 

 次に、国の研究機関と連携したドローン活用でございます。都市計画法に基づく土地建物現況調査並びに構造物、建造物の安全点検など、国の研究機関と連携したドローンの活用は有用だと考えております。ドローン飛行に当たっての安全性や保安上の課題も十分検証し、可能性について検討してまいります。

 

 次は、森林環境譲与税の活用についての木造公共施設建設への補助制度についての御質問でございます。国は、公共建築物等木材利用促進法に基づく木材利用方針を策定している地方公共団体に対して、地域材利用のモデルとなるような公共建築物の木造化、内装木質化を行った場合などに補助しております。また、東京都には多摩産材利用促進プロジェクトの一環として、木材利用推進方針を策定している市区町村が多摩産材を使用したモデル的な木造、内装木質化、木製什器による施設整備を行う場合の補助制度があることなどを承知しております。

 

 次に、森林環境譲与税の有効な活用についてでございます。今後の施設整備における財源として、森林環境譲与税や国や都の補助制度を有効に活用することも必要となってくると考えております。施設整備における木材利用はそのコストを勘案しながら促進すべきと考えており、今後、区の木材利用の考え方を整理してまいります。森林環境譲与税は毎年譲与されるものであって、施設整備のスケジュールを踏まえて、最も有効に活用するために一時的に環境基金に積み立てることも想定をしております。

 

 次に、中野駅新北口駅前エリア再整備についてでございます。

 

 まず、再整備における発言権についての御質問です。中野駅新北口駅前エリア再整備は、今後策定する再整備事業計画に基づいて民間参画事業者の公募を行うこととしております。この再整備事業計画や上位計画となる中野四丁目新北口まちづくり方針、都市計画としての中野四丁目新北口地区地区計画などにおける方針に沿った開発を誘導していくため、民間の完全な自由ということにはならず、むしろ公共貢献を引き出していく考えでございます。また、市街地再開発事業への一定の関与を保持し、事業の着実な推進を図るため、現在の資産の一部を市街地再開発事業において権利変換し、事業後の資産を保有する考えでございます。

 

 最後に、大規模集客交流施設のあり方についてでございます。中野駅新北口駅前エリア再整備における大規模集客交流施設は、中野サンプラザのDNAの一つであるポピュラー音楽の公演を主体とした民設民営の多目的ホールとして整備・誘導を図る考えでございます。また、中野の文化がさらに豊かになるよう多様なエンターテイメントに対応できるホールとするため、民間事業者からの提案を求めていく考えでございます。

 

〔環境部長岩浅英樹登壇〕

 

○環境部長(岩浅英樹) 私からは、海洋プラスチックごみ問題について、お答えいたします。

 

 まず、プラスチックごみの収集と処理についてでございます。プラスチック製容器包装及びペットボトルは資源として回収し、それ以外のプラスチックでできた製品は燃やすごみとして収集をしているところでございます。資源として回収いたしましたプラスチック製容器包装及びペットボトルは中間処理施設に運搬し、そこで選別をした後に圧縮・保管し、容器包装リサイクル法に基づく指定法人ルートに乗せて再商品化事業者によりリサイクルが行われておりますけれども、今年度区が回収したものにつきましてはマテリアルリサイクルが行われております。燃やすごみとして収集いたしましたプラスチックごみは清掃工場に搬入し、適正に焼却処理を行っております。なお、焼却により発生する熱エネルギーはサーマルリサイクルとして発電や熱供給に有効利用され、焼却灰も埋め立て処分以外にセメントの原材料である粘土の代替材料としても利用されているところでございます。

 

 次に、海洋プラスチックごみと家庭ごみとの関連でございます。海洋プラスチックは、その多くが陸から運ばれたものであるとされておりまして、例えばポイ捨てされたレジ袋やペットボトル、使い捨ての食器等が屋外に放置され、それらが雨や風によって流され、最終的に海に流れてしまったことにより発生しているものでございます。分け方や出し方のルールがきちんと守られて家庭から排出されたプラスチックは、リサイクルや焼却処理等を確実に行っているため、海へ流出することはございません。今後とも3Rの推進や資源ごみの適正排出につきましては、海洋プラスチックごみの問題に関することも含め、区民等に対し周知・啓発を行ってまいりたいと考えております。

 

○議長(高橋かずちか) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。

 

 

平成31年02月26日中野区議会予算特別委員会の会議録

 

 次に、加藤たくま委員、質疑をどうぞ。

 

〇加藤委員 それでは、自民党の立場から総括質疑をさせていただきます。時間がありませんので、足早に行かせていただきたいと思います。

 

 質問は通告どおりで、初めに、5、その他で、平和の森小学校と成人歯科健診について取り上げさせていただきます。

 

 昨日の伊東委員の質疑におきまして、門の保存用地について、10月の厚生委員会報告時の区の見解は別敷地であるということが改めて示されました。その見解に立てば、報告資料別紙3の4、旧中野刑務所正門を現地保存した場合の平和の森小学校新校舎の新イメージ②の校舎配置――上の図のほうですね――は建築基準法56条の建築物の各部分の高さの規定に抵触し、違法建築になると思いますが、建築主事の見解はいかがでしょうか。

 

〇小山内都市基盤部副参事(建築担当) 御指摘のとおり、別敷地であると――2通りの考え方ができるというふうに考えております。まず、平和の森小学校新校舎の配置イメージ②、これについて、敷地を分割しないというふうに考えれば違反はしない。だけど、敷地を分割したら違反をするというような考え方を当時思っておりました。

 

〇加藤委員 この辺に関しましては、各分科会で詳しくお伺いしたいと思います。ありがとうございました。

 

 それでは、その他で、成人歯科健診についてお伺いいたします。

 

 タレントの堀ちえみさんが先日舌がんを発表されて、手術が間もなく実施されたニュースは非常に大きなインパクトを与えました。舌がんとは、舌の前、3分の2の部分と、その下面に発生するがんで、口の中に発生するがん、つまり口腔がんの約半数以上が舌がんが占めるということであります。口腔がんが進行してから見つかると、話す、食べる、飲むといった大切な機能に支障を来すほか、がんの手術後に顔や首、舌に大きな傷跡が残り、外見にも大きな影響を及ぼすためにQOLを著しく低下させてしまいます。

 

 口腔がんで毎年1万1,000人が発症しているということで、歯科医師会でも講演会研修、啓蒙活動しておられます。歯科医師会によりますと、多くは視診、触診で早期発見もすることが可能だということでございます。

 

 昨日の読売新聞によりますと、スマホで歯周病発見開発へなどというふうなものもありまして、さまざまなこういった口の中に関することが進んでおります。口腔がんに関しましては、不安のある方々がその受け皿として、近所の歯医者さんにそういう受け皿があるということを認識していただきたいわけでありまして、事実、ここ最近、そういったニュースを受けて気になさった患者さんがふえているということを伺っております。

 

 そこで、成人歯科健診の機会を利用いたしまして、ふだん自分で気づかない口腔内の異常を発見してもらい、精密検査を受けることで口腔がんの早期発見・早期治療へとつなげられると考えられます。

 

 そこで、伺いますが、現在成人歯科健診の受診率は何%ぐらいでしょうか。

 

〇只野健康福祉部副参事(健康推進担当) 平成29年度の成人歯科健診の受診率は約2%でございます。

 

〇加藤委員 非常に低いということでございます。

 

 また、大阪警察病院の研究で、歯の治療が行き届いている方のほうが医療費が非常に下がっているというような、症状によっては3割以上医療費が下がっているというような結果も出ているということで、口の健康自体が体全体の健康にいい影響を及ぼすというような結果も出始めておりますので、これから口の中の健康というのを非常に重視すべきだというふうに考えております。

 

 そこで、成人歯科健診制度について、さらに周知を図り、区民のお口の健康を守る働きかけをさらにしていただくというのはいかがでしょうか。

 

〇只野健康福祉部副参事(健康推進担当) 成人歯科健診は申し込み制でございますが、平成30年度からは周知を強化いたしまして、40歳から75歳までの5歳刻みの区民に対し、受診券を送付し、受診勧奨を行っているところでございます。また、区報、ホームページのほか、健康づくりフェスタ、オレンジバルーンフェスタなどのイベントを活用し、区民健診の周知を図ってまいりました。今後もさまざまな機会を捉え、成人歯科健診をはじめとした区民健診の周知に努めてまいります。

 

〇加藤委員 ありがとうございました。口の中の健康は、体全体にいい影響を及ぼすというデータ、先ほど言いましたけれども、こういったところに着目して、区政としてもそこら辺を手助けしていただければなと思います。ありがとうございました。

 

 それでは、予算について伺わせていただきます。

 

 平成30年の決算特別委員会の場におきましてこういった図面を示させていただきました。借金と貯金のバランスだけで考えた、一元化したようなイメージでありますけれども、このままいきますと、人口減少の影響におきまして貯金がどんどん減っていって借金がふえていく、こういったような簡単なイメージをつくらせていただきました。さまざまなアイデアを持って無駄遣いをなくすことは当たり前ですけれども、そのアイデアを持って行政運営をしていただくことをお訴えさせていただきました。しかし、予算案を見ますと、かなり借金だらけの計画だということで、最悪なものができ上がってきたなという印象が拭えません。

 

 平成31年度当初予算(案)の概要、この17ページ、これを見ますと、起債残高は平成35年で791億円、公債費負担比率(中野区方式)では9.7%まで上昇し、目安の10%近くになっております。

 

 まず、起債をする際の基本的な償還期間、そしてその利率についてはどのぐらいなのかということをお伺いいたします。

 

○海老沢政策室副参事(予算担当) 償還期間につきましては、借り入れ先の起債の種別ごとに設定されている償還期間内で、施設建設の場合であれば、その施設の耐用年数で設定することが望ましいというふうにされているわけでございまして、利率につきましては、借り入れ先や償還期間、借り入れ方法等によって変わってございます。

 

 平成29年度末に残っている区債の償還期間は20年、10年、5年で構成されておりまして、利率につきましては、一番低いもので0.01%と、一番高いもので2.1%でございます。

 

〇加藤委員 そうしますと、ここに、17ページに書いてあります起債残高に対して、それぞれどのぐらい利子を払っているかというのは計算できますでしょうか。

 

○海老沢政策室副参事(予算担当) それぞれというところはちょっと手元にはございませんが、5年間の利子ということでございますが、出しますと、この間、当初予算(案)の概要の財政運営の考え方でお示しした今後の起債予定分を含みまして、さらに用地特別会計分含めまして、平成31年度が1億4,700万円余り。平成32年度が3億3,100万円余り。平成33年度が5億400万円余り。平成34年度が6億700万円余り。平成35年度が7億200万円余りで、合計いたしますと22億9,300万円余りでございます。

 

〇加藤委員 利子だけで22億円かかってしまうということで、この辺、ここに起債の計画、世代間負担の公平化という言葉がありますけども、せっかく基金があるにもかかわらず、なかなかそこら辺のバランス、うまく考えられていないのかなというふうなイメージを受けました。

 

 これは昨年度の起債残高と、あと主な基金の残高でございますけども、ここ、青い線が昨年までのベースでしたけれども、平成34年におきましては377億円、そして同じ平成34年で比較しますと、ことしの計画が平成34年におきましては699億円ということで、起債計画、起債残高が非常に一気にボリュームがふえているということです。に対して、基金は非常に残すというような計画になっております。こういったところから、なぜこのように一気に起債でお金を賄うというような考え、方針が変わったんでしょうか。

 

○海老沢政策室副参事(予算担当) 労務単価の上昇等によります建設経費の大幅の増加ですとか、あるいは経済状況の不確実性に対しまして留意が必要とされる中で、より柔軟な財政運営を行うことができるよう、学校施設の建て替えにつきまして必要な起債を行いまして、基金を確保していくという方針にしたというところでございます。

 

〇加藤委員 そこら辺の景気の変動とかは財政調整基金のところでやると言っているんで、義務教育施設整備基金とはあまり関係ないと思うんです。まだ義務教育のところ、深くは触れていませんけれども、財調がそれは150億円残していれば何とかやっていけるって今までの説明、あとほかの目的基金に対しての使い方とはまた別の話になってくると思うんですけど、いかがでしょうか。

 

○海老沢政策室副参事(予算担当) 委員御指摘のとおり、財調基金につきましては、年度間調整ということで、景気の変動等に耐え得る予算を確保していくということでの機能を持っているということでございますが、あわせまして、今後の建て替え需要が非常に大きいということでございます。施設の老朽化等がございまして、そういった基金の需要もふえていくというところの中で、より柔軟な財政運営を行うためには、基金を少しでも多く残しておくという形の財政運営に持っていくという形で判断したものでございます。

 

〇加藤委員 そういったところで、計画的にどうやって考えていくべきかということでちょっと考えを示させていただきたいなと思っております。

 

 まず、義務教育施設整備基金に限って考えていくところですけれども、現在中野区の小学校23校、中学校10校でありますので33校、一つの学校の改修経費が40億円ぐらいだといういう話ですので、合わせると1,320億円、そしてその耐用年数を今60年で設定されているようなことを伺っておりますので、60で割れば、毎年必要なお金というのは22億円ということになります。今の計画でいきますと、16ページの義務教育施設整備基金は平成32年度は30億円でありますけれども、ほかは20億円ということで、おおむねこの積み立ての計画というのはいいかなと思います。

 

 そこで、伺いますけれども、この積み立ての計画というのは、こういった計画のもとに成り立っているのか、ほかの意図があるのか、教えてください。

 

○海老沢政策室副参事(予算担当) 学校改築についてでございますが、学校再編計画(第2次)などによりまして、学校の適正規模を確保しつつ、学校数を再編して改築を進めていくとしたものでございまして、この計画に合わせました改築を、区民サービスの縮小を及ぼすことなく対応できるように、基金の積み立て及び起債計画を進めているところでございます。

 

 御指摘のように、減価償却分を基金に積み立てるという考え、ございますが、基本的に全額を基金で賄うことになるわけでございます。現在は、基本計画等で予定している改築に対応するため、基金と起債をバランスよく活用して、世代間負担の公平化を図るというところを前提といたしまして、基金の積み立てを行っているというものでございます。

 

〇加藤委員 世代間負担ということで、全部を積み立てで行う必要はないとは思いますけれども、少なからずこの5年間で20億円ずつ積み立てるという計画は、そういった減価償却分に相当する充当金額になってくるということで、そういった考えのもと、数年間やっていいのかなというふうには考えられるわけです。

 

 そうしましたら、学校の、小中学校再編計画(第2次)が終了する際には、基金を使い切る資金計画があると考えたら、利子払いを最小限に抑え込むことができると考えますけども、ここに載っています平成35年度において148億円残していますけども、この後、小学校を改修する予定は何校あるんでしょうか。

 

○石原子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 平成35年度、すなわち2023年度から2027年度に改築を行う小中学校は5校でございます。

 

〇加藤委員 また、その後に計画しているものというのはあるんでしょうか。

 

○石原子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 2028年度以降に校舎の主要部分が建築後50年を経過する学校の改築スケジュールにつきましては、今後検討を進めていきたいと考えているところでございます。

 

〇加藤委員 まだ計画できていないということでございますけども、当面のところ、第2次の再編が終わるまでにその基金をうまく使っていくというところで、ある程度境界条件が出てくるということで計算ができるのかなと思います。

 

 そうしますと、これに載っていないところの、平成36年以降も毎年20億円積み立てをして、第2次の終了までに基金を使い切るようなイメージになった場合に、ここで言う17ページの起債残高――学校関係の起債というのはどのぐらいになってくるんでしょうか。

 

○海老沢政策室副参事(予算担当) 基金につきましては、各基金に係る事業計画等に基づきまして、義務教育施設整備基金のほか、財政調整基金等に財源を振り分けて、各基金で運用しているというところでございます。

 

 仮に、平成35年、2023年までに、義務教育施設整備基金の残高がなくなるように試算をいたしますと、抑制される起債発行額は、5年間の計は約470億円でございまして、平成35年度末の起債残高は408億円という形になります。

 

〇加藤委員 いつが408億円……。

 

○海老沢政策室副参事(予算担当) 今回の計画は平成35年度までお示しをしておりまして、その平成35年度の段階で義務教育施設整備基金を全て使い切るという形にいたしますと、起債残高は408億円という形になります。

 

〇加藤委員 ありがとうございます。そうしますと、昨年度までの計画していたようなベースになってくると思いますけども、そうなると利子払いのところも大分抑制されるのかなというふうに考えられますし、その辺の――多分今のも理想過ぎると思いますけれども、起債をフルに使っている今の状況もなかなか厳しい状況でありまして、ちょっと間みたいなところがあるとは思うんですけれども、ちょっと今の現行の起債計画というのはなかなか納得いくようなものではないなと考えているわけです。

 

 あと、ちょっと社会福祉施設整備基金についてお伺いしますけれども、予算説明書補助資料の87ページにあります社会福祉整備基金繰入金が8,000万円、学校施設整備に繰り入れられることになっておりまして、当初予算(案)の概要で言うと、16ページで、1億円とついているわけですけど、これは具体的に何に使われるのでしょうか。

 

○海老沢政策室副参事(予算担当) 中野東中に併設いたします(仮称)総合子どもセンターにかかわる経費に充当したいというふうに考えております。

 

〇加藤委員 目的に合っていれば基金を使っていくべきだと思いますし、この社会福祉施設整備基金は、当初予算(案)の概要の後ろのほうのページに載っていますけれども、ここ数年使っていない予算でありますけれども、使っちゃいけないのかなと思ったら、使うことももちろんできるわけであって、こういったところもちゃんと使っていただきたいなというわけでありますけれども。

 

 同じような趣旨でいきますと、児童福祉施設に当たります今後予定の一時保護所の建設費用にも使うことは可能なんでしょうか。

 

○海老沢政策室副参事(予算担当) 社会福祉施設整備基金でございますが、条例で中野区の社会福祉施設の整備に要する財源に充てる場合に繰り入れできるものというふうに定められているものでございます。

 

 今後、建設予定の一時保護所につきましても、児童福祉施設でございまして、当該施設の建設費用にこの基金を充当するということは可能でございます。現在のところ、建設費用等が具体化されていないというところで、財源計画に参入してはいないというところでございます。

 

〇加藤委員 また、社会福祉施設整備基金の使い道としては、すこやか福祉センター等の、何かそういった福祉施設があると思いますけども、今後の改修予定というのはあるんでしょうか。

 

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) すこやか福祉センターにつきましては、今現時点で改修というようなことは予定しておりませんけれども、北部すこやか福祉センターとそれから鷺宮のすこやか福祉センターについては建て替えを予定しているというところでございます。

 

〇加藤委員 あと、ついでに、区役所の建設費用とかに充てることというのは、この基金は可能なんでしょうか。

 

○海老沢政策室副参事(予算担当) 先ほど申しました条例の趣旨でございますが、中野区の社会福祉施設の整備に要する財源と定められているというところから、区役所の建設費用に充当することは難しいだろうなというふうに考えております。

 

〇加藤委員 ありがとうございました。これで質問を終わりますけれども、こういった、綿密に練ればいろいろと計画もっといいものになると思いますので、その辺はしっかり綿密にやっていただきたいなと思います。これでこの項の質問は終わります。

 

 それでは、中野駅新北口駅前エリア再整備についてお伺いします。

 

 ホール、アリーナと注目されがちですけれども、ほかの機能についてもお話しできればなと思っております。

 

 今、多機能複合施設ゾーンと集客交流施設ゾーンの2つがあると思いますけれども、前者の多機能複合施設については、高層棟になると考えられますが、今サンプラザにあります会議室、式場、ホテルの機能に加えて、オフィスやショッピングモールなどがまざってくることも想定されます。そして、単に収益を上げるだけなら極端な話、デベロッパーからすれば全部住宅にすればいいわけですし、区民税もそれだけ上がるというような考えもありますけれども、しかし、それでは区民も望まない形になるのかなというふうに考えられます。そういうところでバランスが必要なわけであります。オフィスが来るならば、ランチ難民をこれ以上ふやさないために、それなりの食事できる場所も必要になってくるわけでございます。

 

 そういった難しい運営が高層ビルのほうには出てくると思いますけれども、区が運営できるものとは思えないんですが、この運営、どのようにやっていくか、区はどうお考えか、お伺いします。

 

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 多機能複合施設は、民間運営になると考えております。

 

〇加藤委員 それでは、集客交流施設については公設民営、民設民営など議論ありますけれども、この多機能複合施設とは管理が全く違う形で行う可能性が高いのかなと思っておりますけれども、建物は、これ別々のものなんでしょうか。また、その容積率とか、それぞれの施設で設定するもんですか。

 

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) この再整備における施設は、高度利用により最大限活用するため、一つの建物として建設することを想定をしております。容積率は、その施設全体での設定となります。主に集客交流施設を配分する部分と、他の複合施設を配置する部分でのゾーニングを考えているものでございます。

 

〇加藤委員 そうすると、集客交流施設を大きくしたりすると、今度は高層ビルのほうの多機能のほうが面積小さくなるとか、容積率小さくなるってことなんでしょうか。

 

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 集客交流施設ですが、施設の大きさの割に床面積を抑えられるということになりますので、容積は余り消化をしない施設と考えております。したがいまして、多機能複合施設への影響は少ないものと考えております。

 

〇加藤委員 そうしますと、集客交流施設、ホール、アリーナ、話ありますけど、これの規模感、関係なく、高層ビルの面積とかにはほとんど関係がないということが言えるってことは、アリーナ、ホールのサイズ感というのは、区民の要望に沿ったものにするとか、民間だとか、それぞれのニーズに合わせて変えていくことが可能だということだと思います。

 

 そうしますと、ホールよりアリーナのほうが、多目的に使えて収益性が上がるのかなとも考えられます。アリーナであれば、北海道の物産展みたいなイベントだったり、最近では、規模が大きくなって細分化されているコミケだったり、バスケットボール、卓球、フットサルみたいなプロスポーツなどもできるのかなということで、広く区民の方々がわくわくできる可能性が出てくるのかなと考えておりますけども、区の考えはいかがでしょうか。

 

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 施設運営の観点から申しますと、主たる用途が決まっている方が運営をしやすいだろうと考えられますが、多目的であることをメリットに生かした運営ということも考えられます。どのようなコンセプトで施設をつくるかということにつきましては、収益性の面からも検討が必要であろうというふうに思っております。

 

〇加藤委員 私自身、区議会議員になってから結構いろいろ行くことありましたけれども、それまでホールに入ったのは成人式の日しかないわけですよ、はっきり言って。一般区民が入るような施設ではないために、広く今の状況、今の規模感だけだと、区民に還元されづらいのかと考えておりますので、広くいろんな方々が参加できるイベントみたいなことができるような施設になっていただきたいなと思います。

 

 自民党ではいろいろと視察に行きまして、あと委員会視察でも行きましたけれども、函館アリーナ、ゼビオアリーナ仙台、浜松アリーナ、大阪城ホール、愛媛県武道館、マリンメッセ福岡といろいろ行ってきました。ちょっとここで全部しゃべると時間かかっちゃいますけれども、それぞれの魅力を感じて、成功と失敗を聞いてきましたので、それはまた別の機会にお話ししますけども、こういったアリーナの魅力というものがあるわけでございます。

 

 最終的には、民間企業にやってもらうというところで、そのたがをはめながらも、区民の税金、財産を脅かさないでどうやってすまされるのかということを区は考えないといけないと思いますけども、その辺の作戦みたいなものがあったら教えてください。

 

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 集客交流施設につきましては、やはり運営のしやすさですとか、収益を上げる工夫というのが必要だと考えています。設計の段階から運営者が関与するようなことが必要であると考えておりまして、そうしたスキームとなるような検討をしていきたいと思っております。

 

〇加藤委員 ありがとうございました。これでこの項目の質問は終了させていただきます。

 

 平和の森公園再整備について、端的に質問だけ。

 

 先日の建設委員会において、バーベキューサイト設置予定場所に災害時の炊き出しに対応するためのスペースを設置するとの案が示されました。このスペースの施工はどのような内容になるのか、お伺いいたします。

 

○細野都市基盤部副参事(公園担当) そちらのスペースにつきましては、石を敷き詰め、砂利状に仕上げていく予定でございます。また、災害時の水等については、予定地付近の洗い場等を活用していただきたいというふうに考えてございます。

 

〇加藤委員 災害時の対応策として、例えば弥生町三丁目にあります川島公園などのように、防災を目的とした公園は防災パーゴラ等が設置される例がありますが、雨天時にも対応できるよう屋根の設置を検討してはいかがでしょうか。

 

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 屋根につきましては、これまで想定をしてきませんでしたので、今後、今いただいた御提案の趣旨も踏まえて検討してまいりたいと考えております。

 

〇加藤委員 建設委員会において、2020年4月予定の全面開園時のバーベキューサイトとしての運用開始を目指し、煙の園路内への流入対策等の技術的検討を継続するとありますけれども、煙の対策等はどのように今後進められていくのでしょうか。

 

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 具体的には今後の検討となりますが、民間事業者の知見も生かして考えていきたいというふうに思っております。

 

 また、煙の園路内の流入対策等への十分な対策が可能となることが、バーベキューサイト運用の開始の条件であるというふうに考えてございます。

 

〇加藤委員 最後に質問します。

 

 このバーベキューサイトは、無論防災に資するものになるばかりか、区内の青少年育成地区委員会で実施されているミニリーダーなどで、デイキャンプなどにも活用することも可能です。こういった趣旨から、キャンプサイトなどと命名することも一案と考えますが、そういった余地はございますでしょうか。

 

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 名称については今後の検討ということになりますが、災害時炊き出しスペースの機能もわかることも含めて考えていきたいというふうに思っております。

 

〇加藤委員 ありがとうございました。この項の質問を終わります。

 

 最後、教科書採択の実施について。これもあれですけど、結局、中野の黒歴史と思っていた犬小屋、生類憐れみの令が悪いというようなところの話になってしまうんですけれども、この法律は人権擁護、動物愛護をうたった法律ということで、最近解釈が変わっております。そういった歴史がある中で、シンボリックな施設である犬小屋、こういったものを再評価してもいいのではないか。そして、その後、桃の木が植えられまして、日本初の公園にもなりますし、花見文化が形成された場所、この中野駅、その後は日本発の電車の始発駅など、初物づくしであります。

 

 中野区の歴史や文化について、古い解釈にとらわれず、新しい解釈を積極的に取り入れることが、中野区民が地域に郷土愛を持つこと、そして区長がおっしゃる、区に対する愛着や誇り、シビックプライドに直結するものと考えます。テレビなどで学芸員の方がそのような解釈を述べられておりますけども、酒井区政においては、このような歴史認識、どのように捉えていますでしょうか。

 

〇平田健康福祉部副参事(文化・スポーツ担当) 歴史認識についてでございます。生類憐れみの令につきまして、歴史解釈は諸説あるところでございますが、近年は行路病人を放置することや、捨て子、動物への虐待を禁止することを目的としたものであったという研究も出てきているところでございます。中野区の持つ、こういった歴史に対する正しい認識は大切だと考えておりまして、今後の文化施策展開に当たりましても、そういった視点を取り入れてまいりたいと考えております。

 

〇加藤委員 最後の質問にします。平成31年1月31日の子ども文教委員会におきまして、2019年度教科書採択の実施についての報告がなされました。2020年度から使う教科書を科目ごとに1種を選定、採択するいうことです。小学校の社会の教科書に、生類憐れみの令を記載している事例はほぼないようですけれども、もし記載があった場合に、その表現がネガティブなものは採用してほしくないというわけであります。教科書採択の参考とするために、保護者や区民の意見を聴取するということですが、区民の声として、こういった声が上がっていることも1意見としてお含みいただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

 

〇宮崎教育委員会事務局指導室長 これまで中野区の教科書採択では、特筆すべき事項として、地域性への配慮なども採択基準の一つとして加えてまいりました。採択基準には、これ以外にも内容と構成、分量、表記、表現、使用上の便宜などがあり、教育委員会では、科目ごとに総合的に判断して教科書を選定しているところでございます。

 

 来年度は、小学校の教科書採択の年に当たっておりますが、その採択期間には広く学校や区民から意見を受け付けるつもりでございます。

 

〇加藤委員 これで全ての質問を終了させていただきます。駆け足ですみませんでした。ありがとうございます。

 

○高橋(か)委員長 以上で加藤委員の質疑を終了します。