平成30年中野区議会(第2回定例会)本会議一般質問


≪一般質問議事録全文≫

2ページ目より公開している一般質問議事録は「なかの区議会WEBサイト」で公開している議事会議録より、加藤たくまの発言部分のみを引用し掲載しています。詳細はリンク先の議事録をご確認下さい。

なかの区議会会議録一覧より「平成30年7月3日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録」へのリンク

※リンク先は新規ウィンドウ、タブにて開きます。

 

平成30年第2回定例会において自民党の立場から質問をさせていただきます。

酒井区長、ご当選おめでとうございます。

新しい風が区政の前進に寄与することを祈念いたします。

一般質問、終盤に差し掛かり、重複する質問は割愛いたしますので、ご対応お願いいたします。

質問は通告通り、その他に区立幼稚園の存続についてを取り上げます。

 

1.区民との対話のあり方について

 

区長は施政方針説明で今回の区長選挙は、政策決定過程での「区民参加のあり方」が問われた選挙と述べられ、対話の力を活かした区政にするとご発言されております。

「区民との対話」に重点を置かれることは困難ですが理想とする政治手法を選択されたことに敬意を表します。

そこで、対話のあり方について、ご質問させていただきます。

 

18世紀ヨーロッパは絶対王政であり、王様・貴族中心の世界で奴隷制度が当たり前の時代背景からジャン=ジャック=ルソーはのちにフランス革命を引き起こした一因といわれる民主主義の根本となる社会契約論を唱えます。

社会契約論では、国家や自治体などの政治体の統一を保ち、正しい政治を行うためには「一般意志」という基準が必要だとしています。

一般意思は、ステークホルダーの政治思想の中央値で、全員で一般意思を導くのが直接民主主義ですが、意見が多く、まとまらないために、今の間接民主主義、つまり議会制民主主義が世界のスタンダードとなりました。

議会制民主主義がベストではないですが、ベターな対話手法であることは間違いありません。

得票率でモノを測れませんが、先の区長選挙で、酒井区長の得票率が39.6%であり、投票率が区長選よりも高く3年前の区議選では当選した42名合計の得票率は87.6%であり、区議会は民意を集約する装置として非常に有効的だと信じ、私はその一人として、この場に立たせていただいています。

区議会が100点の機能を果たしているとはいえませんができる限りの対話、不断の努力をしております。しかし選挙中の「対話の力を活かす」という区長のキャッチフレーズ、今定例会における議会決議に対しての軽率な発言は、区議会が不要・無能といわれている気がし、憤りと悲しみを感じておりました。

もし区長が、よもや自身を選挙応援した区議会議員を含めて、中野区議会の対話能力が不足していると考えるのであれば、越権行為かもれしませんが、その点についてご意見をいただけますでしょうか。

もしくは区議会ではなく、前区長及び中野区全庁的に対話能力がないことを表現されていたのか、もしくは両方なのか、今、中野区政とどんな対話が不足しているのか区長のお考えをお伺いいたします。

 

それでは区長の「対話の力の活かし方」について具体例として区役所・サンプラザ地区再整備を取り上げます。

サンプラザ再整備は区民合意なしに推進されたとのご主張ですが、これまで議会での議論や24人の委員で構成された区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議が4回開催されました。

これまでの発言をまとめますと、この区民会議を活用して、新たに15~20人で構成された検証委員会を立ち上げ、審議を公開する予定ですが、区民会議24人から人数が減少するため、区民との対話力は落ちます。

すでにある会議体の劣化版を作り直す、それが「対話を活かす」ものなのでしょうか。

それらの問題を解決するために、まず人数に関しては前言撤回していただき、24人より多く、そして検証委員会の座長に区長自らが務めるべきと考えますが、いかがでしょうか。自らが座長を務めることにより、検証結果を一早く再整備にフィードバックできます。

 

私は水辺環境の研究者でしたが、住民との対話で様々な事例をみたので一例を挙げます。

2001年に就任した堂本千葉県知事は、政策論争にあった三番瀬という干潟をつぶして、道路を建設する否か、円い机の円卓、三番瀬円卓会議というのをつくり、県民との対話路線をとりました。

小委員会、ワーキンググループに分かれて議論するも、小委員長が多くの意見をまとめきれず、途中辞任など大混乱。知事が議論を「丸投げ」したことが問題と指摘されました。

例えば大人数で昼飯に何を食べるか意見を募り、和洋中、イタリアン、アジア、エスニック、あらゆる種類が出たときに全員の要望を聞き入れられません。

「船頭多くして船山に登る」といった誰も食べたくない創作料理が出るかもしれません。

対話とは全ての意見を入れることではなく、ときには説得することが求められます。

改めて伺いますが、対話を標榜される区長には、検証委員会の座長になっていただくしかないと考えます。YESかNOでお答えしていただくことをお願いして、この項の質問を終わります。

 

 

2.行政改革について

 

公約においてオープンデータの推進、IoT・AIの活用による行政の効率化、多様性社会の実現がありました。それらの推進には、まず職員のマインドチェンジ、そのためにも人事制度の改善が必要です。目指すべきは、あらゆる人材育成のためのダイバーシティマネジメント推進です。

私は昨年、東京青年会議所において「ダイバーシティマネジメント」について一年間の調査研究から、その必要性について説明します。

インターネットの進展により多様な価値観が表面化しました。またその情報のスピード化、ボリューム化によってVUCAワールドという予測不能な時代に突入しています。例えば、わずかな口コミからのヒット商品の誕生や、政局の大きな変動、既存ビジネスモデルの崩壊・再構築など新しい価値観、多様な考えが様々な現象を引き起こしております。

大学教授・各分野の専門家・官僚などと、この予測不能な時代にどう対応するかを議論を交わし、多様な人材育成をするダイバーシティマネジメントを推進し、閉塞感がある現代社会を改善する必要があるとの結論に至りました。

ダイバーシティマネジメント推進には、個人として、パラレルキャリアの推進、ボランティア活動等への参加意識の向上、組織としては年功序列、縦割りにより組織の硬直化を解消するため、異なる価値観を認め、活性化させる組織制度が必要との見解となりました。

今年6月15日、政府は国家公務員の兼業を正式に認める調整に入りました。地方公務員でも神戸市など様々な自治体が実施しております。

そこで中野区においても兼業許可を行っていますし、区長自身もなさっておりました。職員の人材育成、ダイバーシティマネジメント推進に資するパラレルキャリアの観点から、さらに兼業を推進すべきと考えますがいかがでしょうか。

 

また人材育成のため、人事評価の内容の見直しが必要と考えます。

現行の人事評価は「企画力」「折衝・応対力」「指導力」「規律性」「積極性」「協調性」「責任感」からなる能力・態度と、業績の平均点から成ります。

ここで「折衝」という言葉は「利害関係が一致しない相手と問題を解決するために、かけひきをすること。」です。

例えば、行政が住民に道路拡張で立ち退きを要求しているにもかかわらず、利害が一致しないから折衝というのであれば、傲慢です。

対話を大事にするのであれば、評価項目の「折衝」という言葉に「対話・交渉」などの言葉を使い、言葉から襟を正す必要があると思いますがいかがでしょうか。

またダイバーシティマネジメント推進には「企画力」「交渉力」「協調性」が必要であり、また挑戦・チャレンジなどを評価としてウェイトやメリハリをつける必要があると考えますが、いかがでしょか。

 また、そのための区の方針が必要となるが、いかがお考えでしょうか。

兼業の規制緩和によるパラレルキャリア、人事評価改正がダイバーシティマネジメントを推進し、文字通り多様性を認める区政に直結していきます。また新たな技術に対応できる人材育成にも資するものであります。前向きなご答弁を求め、この項の質問を終えます。

 

3.その他(区立園の存続)

 

公約で中野区として幼児教育に関するノウハウの維持のため、区立幼稚園の存続をすべきということでした。田中区政において、障害をお持ちのお子さんに対しては偏在性を考慮して、私立園で対応できるように措置を施す予定でした。

そこで素朴な疑問ですが、これまで区立園のノウハウがどのように中野区の幼児教育にいい影響を与えてきたのでしょうか。重要なフィードバックがなされてきたのでしょうか。行財政改革を無にしてまで、必要と考えるノウハウの維持による効果の具体的な例を教えてください。残すべき理由はそこにあり、公約にしていたわけですので、これから検証という答弁はありえないと思っております。

納得できる理由があれば、是々非々で新たな議論ができるものと思っております。

 

以上ですべての質問を終えます。