平成29年中野区議会(第3回定例会)本会議一般質問


2 民泊の推進と生活環境保全の両立について

 二つ目、民泊の推進と生活環境保全の両立についてお伺いします。

 住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が平成29年6月9日、参院本会議で可決し、成立しました。これにより民泊ホストは都道府県に届け出することで、年間180泊を上限として、住宅の空き部屋に旅行者を合法的に宿泊させることが可能となりました。新法は来年、平成30年6月に施行、その準備行為としては、平成30年3月から始まるとされております。新法の施行によりまして、民泊ホスト及び民泊ホストにかわって物件を管理する住宅宿泊管理業者は、国土交通省への登録、エアビーアンドビー、ホームアウェイなどに代表される住宅宿泊仲介業者も官公庁への登録が義務付けられます。

 民泊施設はホテルのように看板がないために、基本的にはこういった民泊仲介サイトにおける掲載がなければ運営が成り立ちませんが、SNSを使った業者、また、仲介サイトを利用しなくても大量の顧客管理ができている業者においては、違法民泊を続けていく可能性があります。

 国がこの民泊新法について、まだ詳細を示していないため、区としては具体的に対応ができない時期ではありますが、各自治体が条例により宿泊日数、区域の制限をかけることが可能であるとの方向性は示されているようですが、それらを受けて、現段階において、区はどのような対応をする方針であるかをお伺いいたします

 平成28年の予算特別委員会総括質疑において、私は中野駅北口かいわいの民泊施設に宿泊し、身をもって民泊のメリットとデメリットについて調査し、説明させていただきました。サイトで民泊施設を予約すると、当該物件の住所と関係者しか知り得ないオートロックのパスワードを教えてもらい、建物に入れました。その物件の鍵が郵便ポストに入っているわけですが、誤って当該民泊施設以外のポストをあけて、そこに鍵が入ってしまって、本当は泊まるべきはずじゃない物件に私が入りそうになったというエピソードです。騒音、ごみの処分などの苦情が区に挙げられているところでありますが、それ以上のリスクが民泊に関しては内在しているということを強く感じたところであります。

 中野区民の生活環境を悪化させてまで民泊を導入する必要は全くありません。現段階において、住宅宿泊事業法は、名前のとおり住居を宿泊できるようにする法律であり、これは住宅専用地域においても同様です。むしろオフィスビルなど住居でないところは、旅館業法にのっとり運営すべきという内容です。そして、基本的に周辺住民に民泊として運用することを知らせる必要もないということを伺っております。

 住環境を保全するという観点で、ほかのさまざまある情報を総合してみますと、ポイントは三つになろうかと思います。一つ目が来年、平成30年6月以降は民泊の届出をしなければ罰せられる。二つ目、届出制度ができても、違法民泊物件がなくならない可能性がある。三つ目として、住宅専用地域を含めたどの物件が民泊施設になるかわからないということです。

 一つ目に言いました届出がされることで、違法民泊を罰することができるというのは、住環境の悪化を防ぐ一助となっていくでしょう。二つ目の違法民泊物件がなくならない点においては、区は全ての物件の監視が不可能であるということをある程度割り切りまして、トラブルが発生したときに無届け物件に対して迅速に対応できる体制を敷ければいいと思っております。道交法でシートベルトをつけていない人を全員検挙することができないのと同じだと考えます。

 問題は三つ目で、どの住居が民泊になるかわからない中で、区の条例などがなければ、戸建ては間違いなく許可をせざるを得ません。しかし、マンションなどの集合住宅は、民泊新法ができるまでにマンション管理規約に民泊禁止の文言を入れなければ、トラブルのもとになることが想定されます。もし新法の施行もしくはその準備行為期間、つまり来年の3月以降にマンション内の民泊実績があり、届出も出してしまえば、どんな手だてを使おうと、後からその民泊ホストを追い出すことは困難となっていくでしょう。

 区は、今からでも集合住宅に管理規約の改定の検討を促すことも必要かと思いますが、そのような住宅リストがないというふうにも伺っております。

 そこで、区条例などで定めるところの届出の要件として、マンション管理規約に民泊としての利用が認められている条項が含まれている、もしくは理事会で民泊利用の承認の資料などが提出、そういったものが義務付けられるものがあれば、マンションの管理規約の改定が民泊新法ができるまで間に合わなくても水際対策として、悪質な民泊がふえるのを抑制できるものと考えます。

 区としては、違法民泊が届出を出さないように何か規定を定めるべきと考えますが、区の方針はどのようなものか、お尋ねいたします。

 民泊による住環境の悪化は到底許せませんが、制度を利活用して、わくわくするまち中野にしていきたいということは一つ考えていきたいところです。

 日本のそういった住環境のルールを理解されていない外国人による問題がクローズアップされておりますが、民泊は日本人も使えるものであります。何人か中野の民泊施設の利用者と接触することができましたが、大抵は日本人学生の長期休暇中の利用が多かったです。そして、いわゆる居住者滞在型と言われるオーナーもしくは管理人がいることによって、周辺にクレームが出にくい民泊施設の利用者でありました。また、そういった施設は、オーナーの努力によりまして、モノ消費、あと、最近言われています体験型のコト消費につながる可能性もあります。中野の地域性、ホテルが密集している新宿などに隣接している地理条件、民泊利用者の所得、世代などを考えますと、中野の民泊利用者は若者が多いと考えられます。居住者滞在型はクレームが少ないと考えられ、どの地区においても推進してもいいものかと考えております。

 中野における民泊に対するニーズ分析をしっかり行って、環境施策に反映していただきたいと考えますが、区は観光施策において民泊事業をどのような位置付けにすべきとお考えなのか、お伺いいたします。

 今後は、180泊ルールなどを勘案して、マンスリーマンション、そして民泊、そういった組み合わせの新しいスキームが既に登場しているなど、民間業者はさまざまなアイデアを持っています。区は生活環境を悪化させないことを念頭にして、臨機応変の対応をお願いして、この項の質問を終わります。

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