平成28年質問議事録


平成28年11月28日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録

 

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 

 1 体系的で区民にわかりやすい組織のあり方について

 

 2 人権擁護施策について

 

 3 環境施策について

 

 4 受動喫煙防止施策について

 

 5 その他

 

 

 

○議長(北原ともあき) 次に、加藤たくま議員。

 

〔加藤たくま議員登壇〕

 

○1番(加藤たくま) 平成28年第4回定例会におきまして、自民党の立場から一般質問させていただきます。

 

 3番の環境施策については、すみませんが、今回省略させていただきます。取材に応じてくださった理事者の方、またその関係各位の方々、本当に申しわけございません。

 

 それでは、1番、体系的で区民にわかりやすい組織のあり方について。

 

 近々、目標体系を改訂されるということで、区民にわかりやすく、かつ職員の仕事に対するやる気が湧く組織としていただきたいということで、項目に挙げさせていただきました。

 

 よく行政には民間感覚がないという意見がよく出ますが、民間は利益追求ですし、また民間のCSR(企業の社会的責任)においても結果的には企業が評価されるわけで、民間の考え方をそのまま行政に踏襲することは難しく、時には一部からの執拗な批判などもあるかもしれませんが、可能な限り公共性の担保を確保しながら業務を進めていく必要があります。そして、公共性の担保を維持しながらの富の再配分、施設においては高い安全性などが求められます。また、民間では、能力、努力により、それに対する報酬もあり得ますが、役所にはありません。行政には、売り上げのような金額で成果を出せないため、成果の対価として給料を出すというシステムにはしづらいため、給料を上げるインセンティブがありません。役所は、民間にない特殊な環境であるため、職員がすばらしい仕事をするためには、職員が主体的に業務を行え、業務にやりがいを感じる職場環境、組織体系にする以外ないと私は考えます。

 

 業務のルーチンワークとなる部分は、ICTの技術の進展、職員削減の方針によるアウトソーシングにより、少なくなりました。常勤職員は、高度な判断が必要な業務に専念できる体系となってまいりました。そういった職場環境下で仕事にやりがいを感じるのは、区政改善に資する自分のアイデア、意見が政策立案に大きく関与したときと考えます。しかし、一般的に役所というのは縦割り行政、所掌の壁があり、すぐに壁にぶつかり、思うようにアイデア、意見が通りづらいということがあります。そういった意味では、現在の中野区の体制は、各分野の所掌をグレーにし、網羅的に動ける体制になっており、スピード感が発揮できるシステムであり、職員が使いこなせれば大変すばらしいものになると考えます。しかし、勝ち得た自由ではなく与えられた自由は使いこなすのが難しいように思えます。結果的に所掌がグレーとなったことで、各部署の守備範囲がわからなくなる事例が出てきていると伺っています。守備範囲は網羅的になったものの、公務員という職種柄、給料が変わらない中、自分から積極的に仕事をとりにいく担当者はほとんどいないのかもしれません。そのことから、所掌の壁というものはある程度絶対に必要であると考えます。しかし、各部署との連携がなくならないようにするためには、その所掌の壁は非常に低くする必要があると考えます。

 

 また、大きな新事業の際には、主に政策室企画分野が区役所全体の調整を行い、細部まで指針が整った後に担当者に引き渡す形がとられておりますが、企画分野の方々には、いつも非常に大変な業務をなさっていると思います。しかし、所管分野に業務が引き渡された際には、所管部署の裁量権がほとんどなく、やらされ仕事になっているのではないでしょうか。所管部署の職員らは、自分の専門にもかかわらず、意見をボトムアップする機会がなく、業務が押しつけられていると感じているのではないでしょうか。区の抱える問題に最前線で戦っている所管部署の職員の意見は重要ですし、もし意見が政策に盛り込まれれば、職員はやりがいを感じるでしょう。

 

 ここでポイントは二つです。一つは、所管部署の権限が少なく、仕事に対してやりがいを持ちづらい。二つ目は、所掌の壁がなく動きやすいが、給料が上がらない中でみずから仕事をとって仕事量とミスをふやすのは嫌だというマインドがあるということです。これを解決するためには、所管部署の所掌を明瞭にした上で、企画・政策立案の段階から所管部署の意見がボトムアップされるシステムとする必要があると考えます。

 

 役人の「役」は役者の役と同じ意味だというふうで、その役割が与えられればしっかりとその仕事を演じるといいます。

 

 そこで、今後の組織のあり方について区のお考えをお教えください。

 

 もし所管部署の所掌が明瞭になるのであれば、現行の分野というセクションではなく、課という表記に変わろうかと思います。職員が派遣、視察、勉強会などで交流をする際には、課長級の役職である副参事では外部の方がその副参事というのがどのぐらいの階級であるかということを理解できないため、その名前を課長と名刺に書いたりすることもあると伺っております。住民説明会では課長のほうが区民にわかりやすいでしょう。また、職員としても出世して課長というほうが仕事にやりがいも感じるのではないでしょうか。

 

 業務が事業部にまたがる場合について伺います。

 

 例えば第3回定例会で私が取り上げた樹木管理ですが、区が管理する樹木全てを樹木台帳にリスト化する場合には、都市基盤部の道路・公園管理分野、小中学校、センター等の各施設の担当、環境部地球温暖化対策担当の三つの担当にまたがります。もし三つの分野で何か新しい業務をしようという場合には、どのような過程で業務は進んでいくのでしょうか。現行のルールをお教えください。現行の体制は、事業部内の融通はききますが、事業部を越えるのは困難とお察しします。

 

 今後、地域包括ケアは、各部署の調整が困難と想定されるため、役割にしっかりとした哲学がなければ混乱する可能性もあります。複雑化する行政に対するニーズにおきまして、効率的で、職員のやりがいが出る組織となることを期待しまして、この項の質問を終えます。

 

 それでは、2.人権擁護施策について。

 

 人権擁護の観点から、あらゆる多様性を受け入れる世論の機運が醸成されており、その方向性は間違いなく正しいです。しかし、多様性に対する理解の浸透度合いと政策の進捗の足並みがそろわず、このままでは理解の促進と政策の進展のバランスがとれず、瓦解していくのではないかと危惧しております。

 

 グローバル社会において最たる多様性の理解として進んでいる一つに「人種」があります。国際連盟の1945年と1948年の総会においてそれぞれ採択された「国連憲章」と「世界人権宣言」により、国連は漸次人権の拡大を図り、今では人種、女性、子ども、障害者、少数者、移住労働者、その他脆弱な立場にある人々のための特定の基準を網羅するまでになりました。国際社会では、全ての人に必要最低限な権利を分け隔てなく与えることを理想としました。「I have a dream」のスピーチで知られるマーチン・ルーサー・キング・ジュニアが掲げた黒人解放運動は、アメリカで初めて黒人であるオバマ大統領を誕生させることとなり、人種差別を除外する運動は一定の成果を上げたと言えます。

 

 しかし、ことし、イギリスのEU離脱、フィリピンのドゥテルテ大統領誕生、そしてアメリカのトランプ次期大統領の誕生という選挙結果を残しました。どの選挙もナショナリズムを訴えたほうが勝利しました。それぞれの選挙結果の考察としましては、中間層が自身の生活が向上されていないにもかかわらずマイノリティーの生活のみが向上していると感じ起こった投票行動だったと分析する人もおります。民主主義、政府の方法などに耐えられない方もいるように、マジョリティーが我慢を強いられることも理解しないといけません。そういった感情がネット上などでナショナリズムに形を変えたのであると考えます。これまでに進められた人権擁護の政策も、マジョリティーの我慢の限界によって急にはしごを外すようなことなど、議論が起こるのではないかと危惧しています。しかし、そんなことは絶対にあってはなりません。

 

 では、なぜこのようになってしまったのか。多様性を知識とすることになっても、理解までに至っていないためだと考えます。人権擁護の前進は大いに賛成でありますが、あらゆる事案に対して理解が深まっていなければ、サイレントマジョリティーの意が反映されず、大きな反発を生む可能性があります。時間スケールとしては、次世代に託すぐらいのものが必要なものもあるかもしれません。

 

 当たり前ですが、まずは制度や施設をつくるのではなく、理解の促進が最も重要であるということを原点に立ち戻って考え直す必要があります。国、人種、宗教、男女、貧富、障害、価値観などの差やその有無による苦労を理解し、改めてゼロから考え直すきっかけが与えられたと考えます。

 

 例えば男女共同参画という言葉があり、女性の権利が向上することは今後重要です。男女共同参画と男女平等は異なりますが、それを理解している人は少ないように感じます。男女共同参画社会基本法によりますと、男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、ともに責任を担うべき社会としています。しかし、多くの男性は、男性のほうが負担が大きく、不平等と感じる人もいるでしょう。社会的役割は男女平等で、生物的役割は男女──ここには区別というものがあることをしっかり認識しなければ、理解が深まらないのではないでしょうか。人権擁護の理解に対するポイントの一例だと思います。

 

 そこで、区として人権擁護についてどのような御見解をお持ちか、伺います。

 

 ここからはLGBTを含む性的マイノリティーに関して伺います。

 

 理解促進なしの政策推進は、結果的に最悪な事態を発生させかねないということは先ほど言いましたが、今後、ユニバーサルデザインなどで性的マイノリティーを考慮すべきという意見がありますが、例えば多目的トイレであれば、性的マイノリティー専用のトイレをつくるのか、どの観点で何種類つくるべきなのか、そんな議論があるかもしれませんが、性的マイノリティーの方々が求めてはいないようです。トイレ利用がいわゆるカミングアウトになってしまうために設置を断念した自治体もあると伺っています。カミングアウトしたくないという人がたくさんいるというわけです。

 

 諸外国においては、ジェンダーレストイレなどの導入もあり、個室をふやすという方策などもあります。ことし4月に自民党「性的指向・性自認に関する特命委員会」が出した基本方針では、「カムアウトする必要のない社会」をつくることを掲げております。ユニバーサルデザインの中に健常者も利用していい風潮を盛り込むことで、多目的トイレは性的マイノリティーの方々も利用しやすくなっていくと、そういった考えもあるのではないでしょうか。

 

 そこで、LGBTを含めたマイノリティーを考慮したユニバーサルデザインのあり方について、区の御見解をお伺いします。

 

 次に、学校教育に関しまして質問させていただきます。

 

 さまざまな人権教育を教える機会が学校教育にありますが、性的マイノリティーに関しては非常にセンシティブに取り扱うべき内容だと考えております。といいますのは、この性的マイノリティーにおきまして、学術研究では、まだ先天性のあるものなのか後天性のものなのかということが100%明らかになっているわけではありません。自分の性を自覚し切れていない幼少期の段階で性的マイノリティーの教育をすることで、性的マイノリティーになることを助長させる可能性もあるのではないかと考えております。教育としては、性的マイノリティーに関して、どの時期、またタイミング、その内容について教えていくのか非常に難しいと思いますし、そのことに関しましては今後研究していっていただきたいと考えております。

 

 それよりも、性的マイノリティーの方々が言っておられるのは、そういった性的なところに関して違和感がある子どもが逃げ込める場所が欲しいと訴えているということです。トイレと同様、マイノリティーの方々のみだけではなく、誰もがカウンセラーと面会しやすい環境づくりが全てのマイノリティーの救いの場になると考えます。

 

 そこで伺いますが、性的マイノリティーに関する教育環境をどのようにしていくべきか、区の見解をお教えください。

 

 以上でこの項目の質問を終えます。

 

 3番は省略しまして、4番の受動喫煙防止施策について。

 

 前定例会におきまして上程されました受動喫煙等に関する四つの陳情は全て否決されましたが、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、国や東京都が受動喫煙防止に関して法制化することから、それに伴う、特に飲食店に関する懸案事項に対して、中野区独自で検討、準備していく必要があります。

 

 2004年に、ブータンは、宗教的な観点から、たばこの販売禁止及び完全喫煙になっている世界で唯一の国であります。スターバックス日本1号店は、徐々に喫煙スペースを減らし、完全禁煙に成功しました。世界的な禁煙ムードを受けてか、日本国内のマクドナルドは店内全面禁煙にしました。しかし、マクドナルドは、食の安全に関するトラブルもありましたが、全面禁煙にしたここ2年間で上場してから初の経常赤字になってしまいました。マクドナルドの独自調査で、ファストフード店に行く目的として、50%近くが喫煙だったという事実は売り上げ低下を免れない事実であります。

 

 このような事実の中、飲食店がインセンティブもなしに禁煙に踏み込むことは困難です。諸外国では、たばこの値段が高騰することがあっても、完全禁煙にはなっていません。日本国においても、国全体の完全禁煙を選択することはまずないでしょう。しかし、受動喫煙防止は必ずしなければならず、結論としては分煙しかありません。

 

 国際オリンピック委員会と世界保健機構は、2010年から「たばこのない五輪」を推進しており、今後、国もしくは東京都がつくる条例は、近年のオリンピック・パラリンピック開催国を参考とすることが想定されます。2010年ロンドンのイギリス、2016年リオデジャネイロのブラジルは、法律でレストランやバーなどを含めた公共における屋内は全面禁煙とし、罰則もありました。現在では50カ国近くが屋内全面禁煙としております。そして、諸外国の多くでは、屋内禁煙ですが、屋外喫煙が可能であるなど、まるで日本とは逆のルールにもなっているようでもあります。

 

 現段階の厚生労働省の検討結果を見ますと、新しい制度の考え方として、公共施設の建物内の完全禁煙、飲食店は原則建物内禁煙もしくは喫煙室設置による分煙をすることとしております。東京都が推進しているルールは、各店舗に喫煙、禁煙、ランチタイムなどの時間帯禁煙、分煙など、そのお店の喫煙の対応を店頭表示用ステッカーで喫煙の可否を示してもらい、店舗に入り、無駄な受動喫煙を避けることを推進しております。

 

 今後、受動喫煙防止の義務付けが想定されますが、東京の実態調査で4割が対策をしていない上、そのうち6割、つまり全体の4分の1程度が今後も何の対策もする予定がないと回答しております。これからオリンピック・パラリンピックに向けた新たな制度ができる中で、受動喫煙防止や分煙に対する国民の全体の理解が進んでおりません。

 

 今後できる制度に対応した対策がとれるよう検討、準備する必要があります。ポイントは、屋内で完全禁煙のみではなく、分煙、喫煙を選択できるのか、屋内の喫煙所の設置は可能かどうかということです。罰金、営業停止、店名公表などの罰則が出てくるかもしれません。分煙で営業可能だとしても、多くの中野の飲食店で分煙設備を入れるスペースはないです。狭い店が多く、入れられないでしょう。もし建物内完全禁煙のみしか許されないのであれば、その店舗周辺における屋外の喫煙所の設置ができるのかどうか、また、それはその地域商店街の重要な問題となってきます。

 

 おのおのの店舗の判断で喫煙、禁煙を選択できるのであれば、ある駅の南口周辺は禁煙の店だけ、ある駅の北口周辺は喫煙の店だけにするなど、地域ごとに色をつけることで売り上げが上がる商機もあるかもしれません。何も対策しないことで喫煙可能なホームパーティー、家で飲むことが本当に盛んになってしまえば、飲食店のダメージははかり知れません。どんな制度でもピンチをチャンスにできるように、地域全体で方向性を考えるべき状況になっています。

 

 そこで、区には、まず、今後どんな制度になるかわからないものの、個々の店舗にとっては営業にかかわる大きな変化があることを徹底的に各店舗に周知していくべきだと考えますが、区としてはどのように考えられておられるか、伺います。

 

 また、その変化は個々の店舗では対応できない可能性がありますが、制度が決まるまで待つのではなく、中野区において喫煙、禁煙いずれかに踏み切った店舗の経営がどのように変化するのか研究したり、商店街連合会、たばこ組合や飲食店の経営コンサルタントなどの知見や意見を参考にするなど、制度が施行されたときに区内飲食店が混乱しないように、中野区の地域性を考慮したアドバイスができる体制を整えるべきと考えますが、区としてはどのようにお考えか、伺います。

 

 また、アドバイスだけではなく、店舗の改装費用の助成なども検討する必要があると考えますが、区としてはどのようにお考えか、伺います。

 

 以上で私の全ての質問を終えます。御清聴ありがとうございました。

 

〔区長田中大輔登壇〕

 

○区長(田中大輔) 加藤議員の御質問にお答えいたします。

 

 体系的で区民にわかりやすい組織のあり方についてということで御質問がありました。

 

 今後の組織のあり方ということでの御質問から入ります。区の職員、成果を上げても給料の上がり方が変わらないというわけではありません。昇給にも幾つかの段階がありまして、成果に応じた給与の処遇といったようなこともある程度考えられております。また、級格付けなどの際には成果や、あるいはその人間の持っている資質、そういったようなものを考慮しながら動機づけをしていくというようなことも考えているところであります。組織の中で仕事をしていく、成果を上げるということと、それが認められて一定の処遇につながっていく、このことはやはり不可分のことなんだろうと考えております。そうしたことも全体の構成要素の中にあるということを踏まえた上での答弁になります。区としましては、課題を効率的、効果的に解決するために、各部が予算、人員、施設等の経営資源を最大限に活用し、事業を進める事業部制を採用しております。区民にとってより価値の高いサービスを提供するために、現場起点の取り組みが必要であり、今後ともボトムアップ型で柔軟かつ迅速に区政目標の達成が図られる、そうした組織運営を行ってまいりたい、こう考えております。

 

 事業部間での調整についてということです。複数の事業部にまたがる課題については、それぞれの事業部の区政目標の達成という観点から、協力、連携をして取り組みを進めることになります。この際、新たな取り組みに主にどのような区政目標の達成を目指すのかということを基準に、当該区政目標を担う部門が中心となり、各部の調整を行っていくこととなっております。すなわち、どの部、分野においても、区全体の調整を行いながら、みずからの職務における目標を達成していくと、そういった役割を帯びているということであります。そういった調整を行いながら仕事を進めていく中ですが、事業の内容が具体的になるまでの間、進行管理などを企画担当が調整をして進めているといったようなことでもあります。

 

 次に、人権擁護施策についてであります。

 

 人権擁護について、一人ひとりの権利が守られ、あらゆる差別を許さない地域社会を形成するためには、区は、個人や社会の多様性を理解し、相互に尊重し合い、誰もがみずからの個性や特徴、年齢、性別、思想信条、社会的少数派であることなどによって障壁を感じることなく活動ができるユニバーサルデザインのまちづくりを進めることとしております。こうした考えから、家庭、学校、職場、地域など身近なところでの啓発活動を行い、多様性の理解促進を進めているところであります。

 

 ユニバーサルデザインについて。ユニバーサルデザインの取り組みについては、誰もが自由に社会参加が進むまちの実現を目指し、まちのインフラや制度を誰もが使いやすいように設計していくことを目的とするものであります。区としては、マジョリティーやマイノリティーとして捉えるのではなく、さまざまな人々の相互理解を図りながら取り組みを進めていくものと考えております。今後、ユニバーサルデザインの審議会の答申を踏まえながら、その取り組みを進めていきたいと考えております。

 

 私からは以上です。

 

〔教育長田辺裕子登壇〕

 

○教育長(田辺裕子) 人権擁護施策のうち、性的マイノリティーに関する教育環境についての御質問にお答えをいたします。性同一性障害も含む性的マイノリティーについては、児童生徒の実情や発達段階を踏まえて、人権教育の中で指導していく必要があると認識をしてございます。児童生徒に対しましては、児童生徒の信条に寄り添い共感することから対応を進め、誰もが性的マイノリティーについても相談しやすい校内環境をつくってまいります。また、校内の支援体制につきましても、組織的な対応が図られるよう整えるとともに、関係機関との連携も図れるようにしてまいります。

 

〔健康福祉部長瀬田敏幸登壇〕

 

○健康福祉部長(瀬田敏幸) 私からは、受動喫煙防止対策の御質問にお答えをいたします。

 

 まず、受動喫煙防止対策における新たな制度の導入の動きなど、広く区民に理解を得るための周知、情報提供についてのお尋ねでございました。ことし10月に厚生労働省が公表した「受動喫煙防止対策の強化について(たたき台)」では、新たな制度の考え方として、飲食店等のサービス業につきましては、原則建物内禁煙とした上で、喫煙室設置は可能としてございます。こうした受動喫煙防止対策の強化が区内飲食店に与える影響は大変大きいものと考えてございます。今後、国や東京都の動向などを注視しながら、受動喫煙防止への理解が進むよう情報提供等に取り組む考えでございます。

 

 次に、受動喫煙防止対策強化に対応するための飲食店等へのアドバイス支援、さらに店舗改装費用の助成などの検討をすべきといった御質問でございました。国は、職場での受動喫煙防止対策に取り組む中小企業事業主のために、対策経費の一部を支援する受動喫煙防止対策助成金の活用を進め、専門家による相談支援を行っております。また、東京都は、外国人旅行者の受け入れに向けた宿泊、飲食施設の分煙環境整備補助金を交付するとともに、日本たばこ産業株式会社と協定を締結いたしまして、分煙コンサルタントの派遣を行っております。区といたしましては、こうした制度について情報提供を行うとともに、今後、国や東京都の動向、また区内飲食店や関係団体の状況等を把握しながら、必要な支援についても検討を行ってまいります。

 

○議長(北原ともあき) 以上で、加藤たくま議員の質問は終わります。

 

 

平成28年09月21日中野区議会決算特別委員会の会議録

 

 次に、加藤たくま委員、質疑をどうぞ。

 

○加藤委員 自民党の立場から総括質疑をさせていただきます。今のすばらしい質疑の後、いでい委員と内川委員に無事にバトンを渡せるように頑張りたいと思います。

 

 それでは、質問は通告どおりで、1番目から、国家戦略特区制度の利活用についてからお願いします。

 

 先日の一般質問で言わせていただきましたが、国家全体で見たときに産業や人口を自治体間で奪い合うのは、ゼロサムゲームで自治体間戦争をやっていると言えます。キリンビールが中野にやってきた南口の再開発においても、大企業を誘致しましょうと、中野さえよければいいという発想ではないでしょうが、結果的にどこかの自治体が苦しむ可能性があります。ゼロサムゲームとは言っていますが、実際は日本全体の人口が減少の一途をたどっているわけですから、そのゼロサムゲーム、実はパイ全体が減っている可能性がある中で、このゲームに負けてしまえば破綻する自治体もあると言えます。理想からいえば、このゼロサムゲームから抜け出して、産業、人口を自己増殖させることが自治体に求められるのではないかと思っております。東京全体が国家戦略特区に選ばれたことから、特区制度を用いて既存の特例を利活用するとともに、クールなルールをつくり、国内でゼロサムの状況を脱却して、中野は産業や人口を自己増殖していくべきだということを訴えさせていただきまして、区としても国家戦略特区制度に対して前向きな御回答をいただきましたので、一般質問に引き続き総括質疑で具体的なことに関して御質問させていただきます。

 

 それでは、改めてお伺いいたしますが、国家戦略特区制度を活用した提案は多岐にわたるわけですが、区役所内で完全にマッチした対応ができる部署が存在しないと思われますが、国家戦略特区、こういった案件に対して区の体制はどうなっていますでしょうか。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 国家戦略特区につきましては、都市政策推進室(グローバル戦略推進担当)が担当しております。

 

○加藤委員 区役所内でグローバル推進の担当がやっていただくということですが、区役所外からの問い合わせ事案もあろうかと思います。例えば、区役所内で検討すべき内容にしてみますと、まだ実施するか検討にも入っていないかもしれませんが、いわゆる民泊事業の規制、区役所・サンプラザ一体開発に伴う用途地区の規制などについては、全く検討しないということは絶対になく、検討しないといえば不作為になってしまうと思いますので、今後検討なさると思いますが、そういった事案の場合は、区の中ではどういった検討手順になっていくのか、詳細を教えていただけますか。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 国家戦略特区の活用が考えられる案件でございますが、それぞれの所管と調整の上、庁内での検討を行うこととなります。例えば民泊の件であれば、生活環境担当と調整ということになりますし、また、今区役所・サンプラザということもありましたが、都市再生の案件であれば中野駅周辺のまちづくり担当ですとか、まちづくりの部門ですね、そういったところに投げかけて、その活用の可能性について検討を行うということになっております。

 

○加藤委員 区内でそういった検討をされるということで、体制が、それぞれと連携していくということを御確認させていただきました。そうしましたら、区役所外からそういったアイデアが来るようなことも考えられると思うんですが、この制度を利用したいと民間や大学、NPOからアイデアを募っていくようなイメージは、区として持っていらっしゃいますか。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 産学公金連携により発足しました中野区グローバル戦略推進協議会では、国家戦略特区別区域を活用した規制改革を協議事項としております。これまで開催してきました会議におきましても、特区についての情報提供などを行ってきたところでございます。今後も国家戦略特区における事業の活用や規制緩和の提案など、協議会における議論の活発化とともに意見集約に努めてまいります。

 

○加藤委員 ちょっと質問に入っていなかったんですが、ICTCOとか、そういったところとの連携みたいなものがあったとしたら、どのような形になってくるんでしょうか。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) ICTCOとの連携につきましても同様でございまして、ICTCOで取り組みたい事業の中で国家戦略特区を活用ということがございますれば、そこと調整の上検討してまいりたいと考えております。

 

○加藤委員 この国家戦略特区に対して、区がかなりポジティブな動きをしていただけるということですが、そのことについて区内の方々とか、区外でもいいですけども、連携をとりたいといったところがあると、そういうことをやっているということを広報していくべきと思いますけれども、何かなさっていますか。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 今お伝えしたとおり、中野区グローバル戦略推進協議会での周知というのがまず一つになりますが、区のホームページにおきましても、そのグローバル戦略推進協議会のページと、また、国家戦略特区のページを設けてございます。そこで区としての窓口が、このグローバル戦略担当として行っているということを周知しているところでございます。

 

○加藤委員 具体的な事案に対して、どのような御対応を想定されているかということでちょっと質問させていただきます。例えば、区役所内のマターとして一例で、一般質問でも取り上げさせていただきましたけれども、私がさんざん言っています最先端の豪雨システムは、気象業務法などがボトルネックになってくるということですが、そういった事案が出てきた場合は、区役所内ではどういった連携や工夫をされていくのでしょうか。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) お尋ねの豪雨予測システムの運用に当たりまして、気象業務法の規制緩和が必要となって、それが国家戦略特区における提案制度を利用して規制緩和を提案するという運びになれば、そうした一連の手続や調整につきましては担当として進めてまいりたいと考えております。

 

○加藤委員 先ほどのICTCOに触れさせていただきますが、IoTによるビーコンやエリアワンセグなどの研究に関しては、電波法の規制緩和があればさらに研究が進むんじゃなかろうかと、ICTCOの中の担当者もおっしゃっていますけど、そういった事案の場合はどのような検討をされていくのでしょうか。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) ただいまの答弁と同様となりますが、電波法の規制の緩和が必要となりましたら、同じような手続や調整を行っていくということになります。

 

○加藤委員 民泊やドローンなどに関する事業に関しては、かなり日常的になっておりまして、行政書士などがその許可などで知見を蓄えているということなんですけれども、そういった方々との連携は考えられますでしょうか。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 中野区グローバル戦略推進協議会の賛同団体といたしまして、行政書士会など職能団体も加わっております。許認可などについての意見交換も行っているところでございまして、今後も様々な方面の企業、団体との連携を図ってまいりたいと考えております。

 

○加藤委員 国家戦略特区の制度に関して、かなりポジティブな御回答をいただけるとは思っておりませんでした。今後、区が国家戦略特区制度を用いましてさらなる発展、産業推進が行われることを期待しまして、この項の質問を終わらせていただきます。

 

 さんざんICTCOのことに触れさせていただいたんですが、色々と区内の会社とか地域の方々から、ICTCOが何をやっているのかというような、僕は応援したいんですけども、周りに見えていないということで、ICTCOの運営方針について2番で触れさせていただきたいと思います。

 

 今さんざん言いましたけど、中野セントラルパークイーストの1階には、一般財団法人中野区産業振興機構(ICTCO)があり、さまざまな企業が事業活動を行っております。中野区の産業のためにつくられた施設ということは名前からわかるとおりでありますが、詳細について全くわからない人が多いということなので、改めて、何度か質問されたものかと思いますが、この拠点の開設目的は何なのか、また、運営主体はどのようになっているかお伺いさせていただきます。

 

○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) ただいまお尋ねの中野区産業振興拠点、通称「ICTCO」でございますが、区内におけるICTコンテンツ関連産業の集積、創出等を促進し、区内の産業振興、経済活性化を図ることを目的として開設されたものでございます。区は、中野四季の都市エリアにおきまして中野セントラルパークの一部を借り受け、そのスペースの活用を担う事業共同体の参加事業者を公募いたしました。選定された事業者は、平成25年7月に一般社団法人中野区産業振興推進機構を設立し、同年11月に中野区産業振興拠点「ICTCO」を開設したものでございます。運営はいずれも区内事業者であります、西武信用金庫、株式会社構造計画研究所、株式会社矢野経済研究所、特定非営利活動法人中野コンテンツネットワーク協会が構成団体として行っているものでございます。

 

○加藤委員 ICTCOの運営経費はどのような財源によって賄われているのか。また、ICTCO運営の、あ、今言いましたね。すみません。そうしたら、会員企業が増加しているという説明、会員はどのようになっているかということをお尋ねいたします。運営経費はどのように賄っているのかお教えください。

 

○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) ICTCOの運営経費でございます。区は、中野セントラルパークイースト及びサウスの一部を、建物所有者側であります東京建物株式会社から共益費相当の賃料で借り受けておりまして、これを同じ条件で中野区産業振興推進機構に転貸してございます。同機構は、このうちサウスの部分を通常相当の賃料で貸し付け、これと区に支払う賃料との差額を財源の一部とするということが当初から想定していた運営方法でございます。このサウスにつきましては、現在は構造計画研究所がこの部分を賃借してございます。賃料の差額収入でございますが、約1,000万円でございます。開設当初はこの収入が財源の大部分を占めてございました。その後、会員企業が順調に増加し、平成27年度の実績では会費収入が約1,400万円、これに外部から獲得した補助金などの自助努力による収入も加えて運営経費を賄っているものでございます。

 

○加藤委員 会員が増加しているということですが、どのぐらい増加しているんでしょうか。また、会員にはいろんなカテゴリーがあると伺っていますが、どういったカテゴリーがあるかお伺いいたします。

 

○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) まず会員数でございます。平成26年度末の会員数は55社でございましたが、現在の会員数は約100社となっております。特に最も中心となるカテゴリーであり、専用デスクを利用するプラチナ会員という会員は30社でございまして、定員がいっぱいになっている状況でございます。カテゴリー別の状況につきましては、まず一定面積のブースを利用し、その面積に応じて会費を支払うプレミア会員というものについては2社、それから、先ほど申し上げました専用デスクの使用と各種のサポートが受けられるプラチナ会員は30社で、こちらは会費が月額3万円となっております。それから、共用デスクの使用と各種のサポートが受けられるゴールド会員につきましては4社でございまして、会費は月額1万5,000円でございます。それから、デスクを使用せずサポートのみを受けるシルバー会員は23社で、会費は月額5,000円でございます。最後に、1日単位で共用デスクを使用するのみのブロンズ会員は38社で、利用料は日額1,500円となっております。

 

○加藤委員 会員増加によって収入増になっていると思いますが、一般社団法人という看板を使っているということは、要件として営利目的とできないというわけですけれども、その増額分の差額はどのように使われていますでしょうか。

 

○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) 増加した収入につきましては、会員のサポート体制や設備などの充実に使われる他、プロジェクトを推進するための経費などにも使われております。

 

○加藤委員 会員である事業者相互、あるいは、大学の研究者などとの連携により、新たなプロジェクトを創出することもICTCOに期待される大きな役割でありますが、現在の状況はどのようになっていますでしょうか。

 

○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) 平成27年度からは新規プロジェクトの創出をより促進するために、ビジネスのアイデアを公募して起業までを支援する起業支援プログラムというものを開始しました。これによりまして、平成27年度につきましては新たに7件のプロジェクトが生み出されております。現在は合わせて14件のプロジェクトに取り組んでいるところでございます。そのプロジェクトの代表的なものとしましては、スマートフォンやデジタルサイネージを活用した、平常時及び非常時の情報配信のプロジェクトがあり、先日中野サンモール商店街でビーコンとスマートフォンを使用した社会実験を行ったところでございます。また、このほか予防歯科を中心とした総合的な健康増進サービスのプロジェクトがあり、これにはICTCOの会員企業が中心となって株式会社日立製作所とも連携し、検討を行っているところでございます。

 

○加藤委員 ICTCOの会員事業者のみでなく、地域の既存事業者や経済団体との連携でありますが、これまで一緒にやっていくという取り組みはあったんでしょうか。区の費用が使われているのに、地元に還元がないというような声もありますので、ちょっと批判を招きかねないなというところがあります。

 

 ICTCOができて3年たちますが、私は以前、大学とか国の研究者として科学研究費補助金などを使って研究しましたが、中規模、大規模な研究になると、プロジェクト期間というのは5年間ぐらいになります。技術開発をする上で3年というのは中間地点ということになりますので、まだ成果がちゃんと出ないというのも理解できますけれども、3年ぐらいしましたら1度中間報告というものを、必ず大きなものを開くというのが普通であります。ICTCOに関してはそういったものを、区民や区民事業者に対して報告会やシンポジウムを開催したことはあるんでしょうか。

 

○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) まず、地域の経済団体との連携としましては、ICTCOと東京商工会議所中野支部との連携により、本年2月と9月にICTCOの複数の会員企業が東京商工会議所中野支部の会員に対して、みずからの事業のプレゼンテーションを行うビジネスマッチング交流会というものを実施しております。それぞれ30名から40名の参加がありまして、今後もこうした連携を強化することとしているところでございます。また、区民や地域の事業者などに対しましてICTCOの活動を理解してもらうために、最新の研究や技術などをわかりやすく情報発信する無料のイベントであります、中野サイエンスカフェというものを定期的に開催しております。これまでに4回開催し、約240名ほどの参加がございました。次回は10月1日に開催を予定しているものでございます。

 

○加藤委員 それでは、今後の運営方針についてちょっと触れさせていただきます。先ほどの答弁で会員が満杯になったということで、プラチナ会員、結構高くても定員がいっぱいになっているということで、今後活動を充実化して会員になりたいという企業が増えて、スペースがもう今満杯だということで足りないという状況で、会員になりたくてもなれないというケースが出てくると思います。会員の新陳代謝を促すためにも一定の期間ごとに会員の実績評価、売り上げとか、何かそういったものの実績評価に基づく会員の入れかえだったり、もしくは、それなりに企業が売り上げを上げていっているのであれば、その会社の実績評価を出さないでも会員の在籍期間、長くいればいるほど賃上げしていくとか、そういった工夫などをすることにして、インキュベーションセンターとして会員に対し高いモチベーションを与えるというのも重要かと思うんですが、いかがでしょうか。

 

○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) ICTCOの会員につきましては、一定期間を経て事業が発展した結果、その事業者が区内のほかの場所に移転して連携を継続することで、新たな事業者がICTCOの会員になるという好循環が生まれることが理想であると考えております。御提案につきましては、今後の課題としてICTCOに伝えてまいりたいと考えております。

 

○加藤委員 すみません、ここから語らせていただいちゃうんですが、ICTCOにおいては、現在、会員企業相互や大学研究者などとの連携を促進する、コーディネーター的なスタッフがいると伺っております。地域の事業者との連携を強化するために、単にプレゼンテーションを行うだけでなく、より積極的に会員企業が持つ技術やノウハウと地域の事業者のニーズを結びつける、イノベーション・ファシリテーターという人材が必要であると考えております。このイノベーション・ファシリテーターというのは、様々な研究者や事業者、地域の方々に入りまして、そういったところの利益や技術に対する調整をするような人材のことをいいまして、そういった調整をする人がそういったハイブリッドな研究の中に最近いて、そういうふうに呼び始めているということです。私が区議会議員になる前は、工学の研究技術者と一緒に仕事をすることが多かったんですが、その技術に対してすごく熱く語ることが技術者同士だったらできるんですけれども、それを一般人とか地域の方にしゃべろうと思うと、難しい言葉とか単語を使いたがるのでなかなか伝わらない。また、エンドユーザー側も欲しい技術があるにもかかわらず、その技術が目の前を通っても、その技術が、自分が欲しい技術ということを認識できないために、そのマッチングがうまくいかないということがよくあります。そのために、そういった間に入って利益調整するような人をイノベーション・ファシリテーターと定義しています。

 

 北海道にグローバルファシリティーセンターというのがありまして、私の九中の同級生が今勤めていまして、そういった話を伺っています。このグローバルファシリティーセンターは、北海道大学で行われている研究を横断的に連携させるための部署です。例えば、化学と機械、それぞれの専門性が高い研究を高度な連携によって結びつけて、それを商品開発して、どこにもないハイブリッドな商品をつくるということです。これはアメリカのマサチューセッツ工科大学、MITとよく言われていますが、MITのメディアラボの手法を踏襲しているということです。先ほど言ったシンポジウム、サンモールの実証実験成果の公表の際には、そういった商店街の人たちに説明したということですけど、いまいちリアクションが悪かった。何をやっているのかよくわからない。何のためになるのかというのがわからないということで、リアクションが悪かったということです。こういった状況を打破するためにイノベーション・ファシリテーターという人たちが、これはこういうふうに意味がある成果なんだよということを説明できるようにする人材がICTCOには必要だと思っております。研究推進には大きな花を咲かせる可能性がある。種(シーズ)とエンドユーザーの願望(ニーズ)、このシーズとニーズの連携が必要不可欠です。私は、先ほど国家戦略特区といったものを絡めて、かつイノベーション・ファシリテーター、これらの人たちを交えることによってICTCOをさらに発展させていただきたいと思っていますが、いかがでしょうか。

 

○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) 今後、ICTCOがさらに区内の産業振興に資するよう的確な運営を図っていく中で、御提案のような人材や機能につきましてもICTCOとともに検討してまいりたいと考えております。

 

○加藤委員 長々とすみませんでした。ICTCO関係者の中には、中野には知の集積ができやすくなっていて、中野が日本のシリコンバレーになるんじゃないかと期待している方々もいるということです。ICTCOにはぜひそういった立ち位置になっていただいて、頑張っていただきたいと思います。

 

 この項の質問を終えます。

 

 すみません、また語り口になってしまうんですが、3、樹木の維持管理の考え方について。

 

 ノスタルジーについて、最初語らせていただきます。東中野駅付近の桜の木の伐採について、地元住民から様々な訴えがありますが、それは住民にとって急な伐採計画に感じたためです。危険性の排除をするために伐採はいたし方ないものでありますが、そのプロセス、考え方自体に問題はないですが、地元住民たちのノスタルジーに対する配慮が足りなかったのかなと思っております。また、樹木の伐採には物理的な危険性の配慮のほか、暗がりで防犯上危険性がある場所、そして、よりよい再開発のためにも伐採は必要な行為ともなりますが、まちの急な変化は住民にとって戸惑いを与えます。

 

 昔、歌舞伎町の旧コマ劇場の西側に新宿シネマシティ広場、噴水が昔ありまして、名前も「噴水広場」と名づけられていました。しかし、飲み屋が多い土地柄で、酔っぱらいがトイレがわりに使ってしまうということで、悪臭騒ぎがよくあった。特に早明戦とか早慶戦とか、そういったスポーツのイベントがあるたびに大学生が飛び込んで、悪臭を振りまきながら周辺の店に入ったり電車に乗ったりと迷惑をかけていたのは、一昔前の道頓堀と同じ状態でした。そんなこともあり多くの反対もありながら、この思い出、ノスタルジーの固まりの噴水は昭和61年に取り壊されました。ちなみにこの取り壊しの経緯ですが、2年前ぐらいにプライベートで新宿区役所のホームページから問い合わせたら、翌日回答があって、昭和61年に取り壊されたという新宿区のレスポンスのすごさをあわせて申し上げます。

 

 話を戻しまして、噴水を昭和61年に取り壊したにもかかわらず、私の周りとかに聞くと、噴水なんかあったっけとか、まだ噴水、あるんじゃないのみたいな、そんな話もあってということで、当時取り壊しにすごい反対があったとしても、それは一時的な感情であって、ノスタルジーとはそんなものとも言えます。時間がたてば風化してしまうものです。しかし、ノスタルジーが思い宿るものに対して簡単に排除しますという場合は、その反対の感情が出てくるのは当たり前です。ちょっとすみません、長いんですけど。では、ノスタルジー物件を残すべきなのかといった場合は、そうではないと思います。世界最古の木造建築である法隆寺は維持管理費が高くなっているのか、拝観料が、他の寺院が500円ぐらいのところ、昨年から1,500円と3倍の値段。このノスタルジー物件を残すための維持管理費はすごく高いということになっています。多額なお金を使ってまで維持するというのが、どれだけばかばかしいかということにもなりかねないということを言いたいわけです。

 

 では、ノスタルジーをどう抑え込むかということなんですが、私の中野区における実体験をちょっとまた述べさせていただきたいと思います。母校であった仲町小学校、九中は、学校再編に伴い、なくなってしまいましたけれども、当時区政で何が行われていたか、区議会議員になる前の私は全く疎かったんですが、なくなる二、三前からにわかになくなるなみたいなことがあったというのは記憶しています。卒業後、ふだん全く行くことがなく、それこそ選挙のときぐらいしかその学校に行くことはなかったんですが、全然行っていないにもかかわらずノスタルジーを感じ、小学校、中学校がなくなってほしくないなと思っていました。じゃあ、最後、何か思い出をつくろうと思ったところ、仲町小学校で昭和63年に開校50周年記念で、私、タイムカプセルを保存して、50年後の100周年であけようと言っていたんですけど、結局学校がなくなるということで21年後にあけるイベントが行われました。タイムカプセルに保存していたのは、「50年後の私へ」というタイトルで、みんなと読みながらノスタルジーを感じながら、なくなっちゃうんだなというのをみんなで気持ちを共有して、ノスタルジーという気分は成仏したように感じました。また、九中においても大同窓会というので、私、副実行委員長だったんですけど、800人ぐらい集まって大盛況で、みんなで別れを惜しみました。

 

 やっと話は戻りますが、樹木の伐採というのは、日々その道を通る人にとって、毎日通る街並みの景色が変わるということで、急に変わることには違和感があります。防災上の危険性を除去することは、区が保持しなければならない安全性の観点からいたし方ないことですが、あらかじめ小・中学校がなくなるといったように説明があれば、また違ったのではないかなと。この木を切らないといけないけども、樹木診断によって直ちに伐採しなければならないという判定があったり、樹齢は45年でこの木の種類の寿命は50年だから、あと5年以内に切らなければならないといった理由があれば、そのスケジュール感が示されれば、切られてもしようがないなというふうになると思います。そのためには中長期的な樹木の維持管理計画を立てる必要があると思います。中長期的な維持管理については樹木に限ったことではありませんけれども、今回は樹木に関してのみ、その考え方やルールについて御質問させていただきます。

 

 木が倒れたりしないように、従前の対策としてのリスクマネジメント、木が倒れてしまった後のクライシスマネジメントの観点に分けて、やっと質問いたします。リスクマネジメントの観点から、木を伐採するということになった場合、一般的なプロセスをお教えいただけますでしょうか。

 

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 街路樹や公園の樹木については、定期的に巡回しまして目視による点検を行っております。その際、倒木のおそれがあると判断した場合には、緊急の場合は除きまして、1週間程度張り紙等による周知の後に伐採作業を行っております。

 

○加藤委員 結局ノスタルジーは、僕はもうちゃんと処理してもらえれば切っていいという観点に立っているので、そういった意味で。でも、今のやり方ですと、ノスタルジーに対しての配慮が足りないのではないかということで、やはり短期的ではなく中長期的な計画を立てていただければと思うところです。

 

 まず、区の樹木の管理状況について伺いたいと思います。区が管理、関与する樹木は、大きく分けて道路・公園担当が管理している街路樹など、あと、学校や活動センターなどの区有の施設、敷地内にある樹木、あと、民地にあります保護樹木・保護樹林の3種類があると認識していますが、いかがでしょうか。

 

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 委員御指摘のとおりでございます。

 

○加藤委員 三つのそれぞれのカテゴリーで、それぞれ何本管理されていますでしょうか。

 

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) まず1番目に、公園の樹木、道路の街路樹でございますが、ともにおおむね高さ3メートル以上の樹木につきまして申し上げますと、公園では9,916本、道路の街路樹では1,371本、合計で1万1,287本でございます。なお、この中には江古田の森公園や哲学堂公園の自然樹林部分は、無調査のため含まれてございません。2番目の、区の各施設の敷地内にある樹木につきましては、それぞれの所管で管理してございますので、全体一括しての把握はしてございません。

 

○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) 3点目のお尋ねでございます。保護樹木等の指定状況でございますが、現時点で保護樹木は308本、保護樹林につきましては31カ所を指定してございます。

 

○若林委員長 加藤委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。3時20分まで委員会を休憩します。

 

午後3時00分休憩

 

 

 

午後3時20分開議

 

○若林委員長 委員会を再開します。

 

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。

 

 加藤委員、質疑をどうぞ。

 

○加藤委員 先ほど区が管理する木が3種類、管理・関与する木が、三つのカテゴリーがあって何本あるかというところで終わっております。

 

 続きまして、名古屋市の事例について。NHKのニュースで取り上げられていましたが、国交省の2012年の調査で、日本全国に街路樹は675万本あり、街路樹が盛んに植えられたのは高度成長期ということです。道路整備に伴い、排気ガスなどに対する環境対策や景観の美化、そして、火災のときに延焼を食いとめる防災などが目的で植えられました。現在においては、地球温暖化に伴う気候変動を抑制するためという理由も加わっていると思います。調査によると、種別本数で1位はイチョウ、2位がソメイヨシノなどの桜、3位はケヤキで、専門家によるとそれぞれの寿命は数百年、70年、150年と言われております。しかし、植えられてからまだ40年から50年ぐらいにもかかわらず、各地で街路樹が倒れるなどの事故が発生しているということです。樹木が道路や排水溝などに囲まれて自由に根を張れない。それで、十分な栄養を吸い上げることができないこと。あと、歩行者が根を踏んだり、自転車で幹に立てかけたりすることで表面が傷つくことにより、そこからキノコなどの菌が寄生して根や幹を腐らせるということです。理想の成育環境とは言えない中で、木の老朽化が進んでいるということです。

 

 名古屋市では10万本以上の街路樹を管理しており、治療などを含めて1本1本対応を行って来ましたが、コストがかかる上、倒木のリスクを完全になくすことはできないため、昨年、街路樹再生指針を打ち出して、アオギリなど高度成長期に植えられた木の多くを伐採して、かわりにハナミズキなどコンパクトな木を植えることにしました。ハナミズキは、制約された環境でも根をしっかりと張り、菌への耐性も比較的強いということから、倒木のリスクが少ないと言われております。アオギリなどの成長の早い木は毎日剪定が必要で、1本当たり年間およそ2万円の維持管理費がかかるのに対して、ハナミズキの植えかえは1本20万円で、イニシャルコストはかかりますけれども、成長が遅いため剪定するのは10年ほどに1回でいいということで、長期的にはコストが抑えられということです。

 

 それでは、区が直轄管理している、道路・公園担当が管理している中野区の樹木1本当たりの年間維持費は幾らぐらいでしょうか。

 

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 剪定や病虫害の防除等の維持管理のため、1本当たり年間で約1万4,000円の経費を用意しております。

 

○加藤委員 10年に1回剪定するということで、先ほど言った事例だと10年に1回2万円ということになると、2,000円ぐらい、木の種類によるとは思うんですけど、そのぐらい抑えられる可能性が木の種類によってはあるということです。やり方次第では、樹木管理のコストは今よりもさらに下げることができるのではないかということです。名古屋市の事例は、防災コスト面もすばらしい先進事例だと思います。今の名古屋の事例や、私が求める、事前に切るということを告知するためにも、樹木の中長期の維持管理のために樹木1本1本の樹木台帳が必要だと思うんですが、区はそのようなリストを持っていますでしょうか。

 

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 現時点では、御質問のような樹木台帳に当たる資料は作成しておりません。

 

○加藤委員 もし台帳を今後作成されるのであれば、樹木の種類、樹齢、樹高、簡易的及び詳細な樹木診断などの経年変化をその台帳に載せられればと思います。予算も限られているので、台帳をつくって、その空欄を直ちに埋めるというのはなかなか現実的ではないですし、台帳をつくって埋めたからといって、すぐ計画ができるとも思っていません。しかし、これから新しく植樹したり、定期的な剪定をする際には、簡易的な樹木診断結果などを記していけば、数十年後にどれを伐採すべきかなどといったことがわかってきまして、いつまでにこの木を切るからということで、逆算してその計画を立てることができると思われます。そして、特に桜の木など、住民にとって思い入れが強い樹木に関しては、樹木診断を定期的に行うべきで、そのデータベースとして台帳が必要になってくると思います。この台帳作成というのは、要するに木を切る根拠をつくるというものであります。区にとって不利益なものにならないと思いますが、今後そういった台帳を作成されるおつもりはありますでしょうか。

 

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 御提案の樹木台帳のような資料は、維持管理を適正に行う上で意味があると考えますので、今後作成していきたいと存じます。

 

○加藤委員 かなりポジティブな御回答、ありがとうございます。

 

 最近様々なセンサーが開発されておりまして、RGBカメラとか、何の植物であるか分類が可能なカメラと、あとドローンを組み合わせることによって、その植物が何かというのをドローンで空撮することによってできるぐらいの技術が実際にできております。樹木の健康状態に関しても、あるセンサーによっては今後そういったものもできる可能性もあります。緑の実態調査や、それら新しいモニタリング技術と台帳、それらいろいろと連携することによって、リスクマネジメントの高度化をしていただけると思います。できれば道路・公園担当で管理するだけじゃなくて、いろんな、先ほど言った三つのカテゴリー、道路・公園と区有施設、保護樹林・保護樹木、全てを統合した台帳にしていただければと思います。

 

 それでは、クライシスマネジメントの観点から御質問させていただきます。木が倒れてしまったときの対応です。例えば、強風や地震により木が倒れたとき、基本的にどのような対処方法をとられるのでしょうか。まずは区が直轄管理する樹木で、保護樹林以外のものをお答えいただければと思います。

 

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) まず、警察等関係機関に連絡の上、至急交通の安全確保に努め、区職員または委託業者によりまして、周囲の安全を確保しつつ撤去作業を実施することになります。

 

○加藤委員 それでは、所有者、管理者の敷地内で保護樹木が倒れた場合、どのように対応されるのでしょうか。木が倒れる際に、全く周りの家とかほかの木を傷つけない場合とか、逆に所有者の家に倒れ込んでしまった場合などにおいて、費用等を含めてお答えいただければと思います。

 

○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) お尋ねの事例につきましては、御自分の木が御自分の家に倒れ込んだということでございますので、通常どおりその保護樹木等の所有者の方が、その復旧ですとか、また、必要があれば家屋の修繕といった対応を行っていただくことになります。その費用につきましては所有者の方の御負担となります。

 

○加藤委員 区としては、全く出すことはないということでよろしいでしょうか。再確認。

 

○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) 維持管理につきましては、基本的には保護樹木等の所有者の方が行っていただくということでございます。なお、所有者の方の請求によりまして、保護樹木等につきましては維持管理に係る助成金を一部お支払いしてございますので、それが使えると、維持管理に当たるというような場合であれば、それを一部お使いいただくということは可能かというふうに思ってございます。

 

○加藤委員 それでは、保護樹木・保護樹林が倒れて、道路を封鎖してしまった場合というのはどうなんでしょうか。例えば台風とかが来て、所有者が家に滞在しているときでも、倒れている状況に対して戸惑って、誰にどう連絡をとればいいかわからないという状況もあると思いますし、海外旅行などでどこかへ行ってしまって、所有者自体がいなければ、その倒れた木はどうすればいいのか。道路の復旧はどうされていくのか。その辺も費用を含めてお答えいただければと思います。

 

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 倒木によりまして交通障害が発生した場合、緊急に対応する必要があるため、所有者等が御不在の場合も含め、区として早急に交通障害の除去及び安全の確保を図る必要があるものと考えます。なお、撤去に要する費用につきましては、所有者の御負担ということになります。

 

○加藤委員 それでは、保護樹林・保護樹木が、民家、隣の家とかに倒れ込んでしまった場合はどのようになりますでしょうか。

 

○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) 保護樹木等が隣家へ倒木した場合の対応ということでございますが、基本的にはその保護樹木の所有者の方が撤去等の対応を行っていただくことになります。その費用につきましては、所有者、管理者の負担となるというものでございます。なお、こうした場合に、隣家の、例えば家屋等に損害を与えるということがあり得るわけでございますが、こういった場合、保護樹木の所有者の方が損害賠償責任を負うことがございます。ただし、こういった家屋等の損壊というような損害賠償責任につきましては、特別区自治体総合賠償責任保険、この対象となりますので、その損害賠償金につきましては保険から補?されることになると考えてございます。

 

○加藤委員 ありがとうございました。

 

 最後に、国連が、中野区のほうでもよく言いますけど、サステーナブルという言葉がありますが、国連が持つ最終目標というのは、サステーナブルディベロップメント(持続可能な開発)、その頭文字をとってSDGsと。2030年までに持続可能な社会を開発していくということですが、この樹木管理におきましては、一定量の樹木が常にあるということがある程度求められると思います。高度成長期に建設された道路、上下水道の維持管理が昨今困難になってきているということで、樹木も昭和44年ぐらいから多く植えられたということで、そろそろそういった更新時期に入ってくると思います。個体差はあると思いますけど、例えばこういった部屋の蛍光灯のように、1本切れ始めるとほとんど全部切れてしまうというふうに、寿命が大体一緒だったりするわけです。そういうことも考えないといけないということで、植えた木が一気にだめになる可能性もあります。そうならないように、樹齢50年の樹木群とかであれば、10年に1回、5分の1ずつ植えかえるとか。そうすれば、常に木があるような状態を維持できるんじゃないかと思います。また、そんな木があるかわからないですが、LED的なすごく長持ちするような樹木を植えるというようなこともあると思います。

 

 最後の質問としまして、今後、区としてどのような樹木管理を考えておられるのかお教えいただければと思います。

 

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 樹木の寿命は樹齢により定まるというよりも、その生育場所や環境により異なってくるということも踏まえまして、そうした生育場所や環境に応じた手入れを日ごろから行っていくとともに、御提案のような取り組みを含め、検討の上、樹木の適正な管理に努めたいというふうに考えます。

 

○加藤委員 ありがとうございました。

 

 持続可能な樹木管理になることを望みまして、私の総括質疑を終えます。ありがとうございました。

 

○若林委員長 以上で加藤たくま委員の質疑を終了します。

 

 

平成28年09月13日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録

 

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 

 1 中野区の国家戦略特区施策について

 

 2 弥生町まちづくりについて

 

 3 東京オリンピック・パラリンピックに向けての区の取組について

 

 4 18歳選挙権導入結果を受けた選挙のあり方について

 

 5 その他

 

 

 

○議長(北原ともあき) 次に、加藤たくま議員。

 

〔加藤たくま議員登壇〕

 

○1番(加藤たくま) 平成28年第3回定例会におきまして、自由民主党議員団の立場から質問をさせていただきます。

 

 質問に先立ちまして、さきの台風10号等によります被害に対しまして、自治体、自衛隊、消防関係者などによる救助活動に敬意をあらわすとともに、被災された方々にはお見舞い申し上げます。

 

 これに関しまして、中野区の豪雨関連の質問を後ほど少し触れさせていただきます。

 

 質問は通告どおりで、5、その他はございません。

 

 それでは、1の中野区の国家戦略特区についてから質問させていただきます。

 

 中野区に産業や人口が集まることは、国家全体で見たときは産業や人口がある自治体から中野区に移動したというだけであり、その国家的な合計値は変わらない、つまりゼロサムであります。中野区政の観点から見れば、産業・人口が集中することは財政が安定する方向へ向かうわけであり、好ましいことでありますが、出て行かれた自治体はその移動により運営が逼迫する可能性があり得ます。その自治体さえよければいいという考えはどの自治体も持っていないとは思いますが、そのような現状は限られた資源を奪う自治体間戦争をしているという見方ができます。それぞれの自治体は国内ゼロサムの状況を脱却して、おのおのの自治体で産業や人口を自己増殖していく、そういった状況が国家全体として理想であると考えます。

 

 アベノミクスの第3の矢、成長戦略は、新たな学術研究とそれを推進する際にボトルネックとなる規制の緩和などが伴う政策で、中野区は国家戦略特区に指定されていることからさまざまな試みをすることが可能となっております。中野区独自の産業をつくり、それに携わる方が住み続けたいまちとなり、中野の地で子どもを育む、そういった環境をつくるイメージが行政として必要で、産業・人口の自己増殖になると考えます。口をあけていれば人口流入してくるような立地条件に甘えず、常に成長していく自治体づくりをしていくべきだと考えます。

 

 自治体は、地方自治法の第1条で、国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とするとしております。また、第1条の2では、地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。そして、第1条の2の2、一部省略しますが、国は、国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動もしくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模でもしくは全国的な視点に立って行わなければならないと定めております。ちょっとややこしいということで、要するに、この自治法というのは、国は全国の状況を鑑みて、全国的に統一したルールを規定することが国に求められて、そして自治体はそのルールなどを用いて、地方自治体は地方に寄り添った施策をやらないといけないことが示されております。

 

 私も国で働いていた経験がありまして痛感するところですが、国は憲法に定めるところの基本的人権の平等主義に則して、決して均一ではない全国の状況を全て考慮して法律をつくっていかなければなりません。そのため地域ごとにさまざまな統計・観測・推計データをつくり、地域ごとの係数をつくるなど、不平等性の是正をする努力がなされます。東日本大震災のときに日本赤十字社が募った義援金が被災者の手元に行くには被害状況を分析しなければならないため、なかなか行き届かなかったのと同じ状況です。新法ができるには、その地域地域の問題を見ないといけないため長い調査期間が必要となり、制定には非常に時間がかかります。もしくは、後に取り上げる気象業務法のように、地方自治体とは全く関係性がない法律もたくさんあります。しかし、国家戦略特区制度ではその概念を取っ払うものでありまして、自治体が求める新法をつくることが可能といっても過言ではない制度です。

 

 平成25年に制定された国家戦略特別区域法の第1条では、この法律は、我が国を取り巻く国際経済環境の変化その他の経済社会情勢の変化に対応して、我が社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成することが重要であることに鑑み、国家戦略特別区域に関し、規制改革その他の施策を総合的、かつ集中的に推進するために必要な事項を定め、もって国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与することを目的としております。第2条におきましては、要するに、研究開発などをして国際競争力を強化しまして、居住者、来訪者、もしくは滞在者を増加させ、国際的な経済活動の拠点の形成に資する事業をやることによって、その地域のパワーをつけようという内容になっております。地方自治法の枠からこの国家戦略特区の法律というのは出られる、地方自治体を無視するというか、その枠を超えられるものであると考えております。中野区には国家戦略特区制度をフルに使っていただき、区政を前進させていただきたいと思います。

 

 そこで質問しますが、中野区は、今後、国家戦略特別区域制度に対してどのような御見解をお持ちか、伺いたいと思います。

 

 現在、国家戦略特区事業で推進されている事業としては、農業の1、2、3次産業を、この1から3を全部足した数字で一括で行う6次産業事業というものがあったり、ドローン利活用事業、都市計画法・エリアマネジメントに係る道路法等の特例、保育園の要件に関する事例など、いろいろなメニューが出ております。中野区においても、国家戦略特区制度を使うことで既存の規制緩和を利用することはもちろんのこと、中野区独自で規制緩和し前進できるシステム、技術がたくさんあると考えております。

 

 例えば、以前から私が一般質問、総括質疑で取り上げさせていただいている世界最先端豪雨予測システムの社会実験ですが、そのシステムが完成し、1時間先の豪雨と氾濫の予測情報を配信することが技術的には可能になったと伺っております。しかし、その社会実験ですが、予測情報を配信するためには気象業務法がボトルネックとなります。気象業務法第17条(予報業務の許可)、気象庁以外の者が気象、地象、津波、高潮、波浪又は洪水の予報の業務を行おうとする場合は、気象庁長官の許可を受けなければならないと定めておりまして、簡単に言えば、洪水予報するためには気象予報士がいなければいけないということになります。現状のルールにのっとれば、予測しているのが区の防災担当者でないにもかかわらず、その情報を発信するという理由で中野区の防災担当者が気象予報士の資格を持たなければならないということになります。人事上、なかなかそれは無茶な話となります。豪雨予測システムの開発には気象業務法の規制緩和が必要不可欠となるということです。これが国家戦略特区制度を用いることでボトルネックの解決が図られるものと考えます。

 

 また、ICTCOにおけるIoTを中心とした情報通信ツールの技術開発の中には電波法の規制緩和により発展が望めるものがあるということです。区役所・サンプラザ一体再開発には用途地域による制限などを変更させるような規制緩和も求められます。民泊におきましては、管理人がいないホテル型の施設を排除した良好な住環境の維持、国際交流の発展のためには独自のルールが必要になってくると思われます。中野区の今後の医療においては、病院の病床規制、国際的な医療人材、医療機器薬事戦略などの現在認定されている医療特区制度を利用するなどのニーズも考えられます。国家戦略特区制度を利用した新しい自治体にはグローバルな技術・人材が集まってくる可能性もあります。私が少し考えただけでもこれだけのアイデアが出てくるというわけで、中野区独自の産業をつくり、自治体として成長していくためにも、官民挙げて規制緩和を提案すべきと考えますが、大学、民間会社、財団、病院、NPOに提案を促し、それらを受けとめて国に上げていくための取り組みが必要と思われますが、区の体制はどのようになっているのでしょうか、伺います。

 

 また、内閣府では、地方創生コンシェルジュという地方創生にかかわるさまざまな自治体のサービスの相談窓口をつくっておりますが、その部署と中野区では連携をとられておりますでしょうか。あわせてお伺いします。

 

 既存の特例を利活用するとともに、中野区独自のクールなルールをつくることにより産業・人口の増加促進がなされることを期待しまして、本項の質問を終了させていただきます。

 

 それでは、二つ目に入ります。弥生町まちづくりについて。

 

 弥生町のまちづくりでは、用地買収及び新設道路の仮整備工事が始まりまして、弥生町の防災まちづくりは徐々に形となって目に見える具体的成果があらわれていると思います。

 

 都営川島町アパート跡地においてですが、区の避難道路5号、6号の整備にあわせURは代替地整備を進めていると聞いておりますが、事業の進捗状況や代替地運用に向けたURとの具体的連携はどのようになっていますでしょうか。

 

 また、都営川島町アパート跡地へ整備する公園は防災機能を備えた公園を計画していると聞いておりますが、それについても具体的にどうなっていますでしょうか。あわせてお伺いいたします。

 

 以前に御質問させていただきましたが、避難道路沿道の建物が不燃建築物に建てかわっても、その避難道路沿道の建物の後背地にある建物が変わらなければ、外づらだけよくなっただけで内側は安全性が向上しておりません。また、避難道路沿道の建物が建てられることによって、後背の住宅の建てかえがさらに困難になると考えられます。未接道敷地や行きどまり道路の解消も弥生町防災まちづくりの施策の一つとして挙げられておりますが、具体的な取り組みをどう行っているか、お伺いいたします。

 

 弥生町だけでなく、南台や平和の森公園周辺地区など、新設道路や建物が立ち並ぶ木密地域の避難道路の用地買収は、多くの権利者が、自分の土地が道路として買収された後、残地で建物の建てかえが可能なのか、設計や建築にかかる資金調達は大丈夫なのかという悩みや建てかえ時の仮住居の確保、また引っ越しの手配など、多くの手間と苦労があります。権利者は道路用地の買収に伴い大変な不安とストレスを抱えます。区は、道路拡幅に向け、単に補償額を提示して権利者合意を取りつけるだけでは売却に応じることはできません。幾ら地域の安全性向上をお題目にしても、自分の生活の基盤が揺らぐ、その状況に対して区の防災まちづくりに協力する権利者や住民の皆さんの厳しい実情を察した上での権利者に寄り添った丁寧かつきめ細かい相談や具体的な対応を行わなければなりません。

 

 例えば、借地上の老朽建物で減価償却資産となり、ほとんど補償額がなく、新たな住居を探すことが難しい場合、残った残地で引き続き家族皆が一緒に住めるような建てかえが可能な面積が残るのか、また高齢者のため個人で銀行から借金することが難しい、建てかえ地に移転するにも土地を買い足さなければ最低敷地面積を確保できず資金が足りなかったり、現在の土地建物に抵当権が設定されていて、補償金を受けても建物再築に回す余裕がなかったりするケースが想定されます。そのようなさまざまな権利者が直面する問題、まちづくりの担当職員は再建に向け具体的な対応に取り組んでもらえるのでしょうか。区は、これまでにそういった人たちに相談に乗るというような表現にとどめていますが、これらのケースは、権利者と銀行などとタフな交渉が必要となりまして、到底相談という甘いニュアンスで済むわけではなく専門家の介入レベルが求められます。不燃化特区の支援によりまして、例えば建築家やハウスメーカー、弁護士、税理士、金融関係の専門家を派遣し、権利者の課題解決に向けた現実的な対応を行ってもらえるのか、伺います。

 

 昨日、我が会派の市川議員が質問した狭隘道路の無電柱化とあわせ、東京都のパイロット事業となるもので、今後の防災まちづくりの行く末を占うものであり、失敗は許されません。かなり困難である事業であるということは認識しておりますが、この事業を成功裏におさめ、防災まちづくりの中野モデル、中野方式などと呼ばれるような事業としていただき、地元で生活する区民や権利者の立場や心情に十二分に配慮した防災まちづくりを進めることを切に望みます。

 

 以上でこの項に関する質問を終えます。

 

 3、東京オリンピック・パラリンピックに向けての区の取り組みについて。

 

 4年後に開催される東京オリンピック・パラリンピックでは、開催国として今大会以上の日本選手の活躍が期待されるとともに、競技の成績にとどまらず、大会の開催を通じたさまざまな効果をもたらすため、区としても全力で取り組んでいく必要があります。私も東京オリンピック・パラリンピック推進・スポーツ振興中野区議会議員連盟の一員として全力でサポート、バックアップしていきます。皆様もよろしくお願いいたします。

 

 平和の森公園に整備を計画されている新体育館では、東京オリンピック・パラリンピックの開催前に開設する予定であり、事前キャンプや練習場等と活用するための検討を進めており、本定例会におきまして市川みのる議員が海外選手団の誘致に関するメリットについて一般質問をしたところ、対外的な広報によるシティプロモーション効果、選手団の歓迎・おもてなしによるコミュニティ意識の醸成、青少年への教育効果が期待できるとの答弁がありました。

 

 そこで、具体的に計画を立てる必要性が出てきておりますので、伺います。

 

 区が海外選手団を誘致するためにはどのような手続が必要なのでしょうか。東京都や公益財団法人オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会などとの協議の必要性も含めてお答えください。

 

 また、東京オリンピック・パラリンピックを成功させるためには、行政による普及啓発にとどまらず、多くの区民が大会の運営に参画して区民みずからがつくり上げるオリンピック・パラリンピックとすることで、大会後も心に残る記憶となり、より強いレガシー・ヘリテージが形成されるものであると考えます。

 

 昨年の2月に東京都が発表した世論調査の結果によれば、およそ4人に1人がボランティアに参加したいと回答しております。現在開催されているリオデジャネイロ大会においても、7万人のボランティア募集に対して20万人以上の人から応募があったということです。運営に関する多種多様の役割を担うボランティアは、今やオリンピック・パラリンピックの成功には欠かせない存在となっております。組織委員会は2020年東京大会に向けて8万人のボランティアを募集するとしています。

 

 そこで伺いますが、中野区としてはボランティアの募集や活用についてどのように考えていますでしょうか。国際交流なども期待できる大きな事業です。御見解をお聞かせください。

 

 また、小・中学校においてはオリンピック・パラリンピック教育が進んでおります。オリンピック・パラリンピックは、オリンピック憲章に示されているオリンピック開催の意義について理解しながら、すばらしい演技や記録を追求する姿に感動を覚え、大きな成果の象徴であるメダルの重みを国民全員で受けとめることが大切であると認識しております。

 

 イギリスは、アテネ、北京、ロンドン、リオ大会と回を重ねるたびにメダル数をふやしております。宝くじの収益を各競技に充てるなどの金銭面でのサポートがメダル増加の一因と考えられておりますが、それとあわせて競技人口を国を挙げて増加させたということも理由にあるそうです。競技人口をふやすことで、その競技全体の裾野を広げ底上げをするということです。トップアスリートに特殊トレーニング環境を与えてさらに引き上げるというのも有効でありますが、その底上げがイギリスのメダル数に反映したということです。もちろん全国民が運動・スポーツすることは健康増進施策と合致するところです。今から日本代表を中野区から輩出してほしいなどと無理なことは言いませんが、日本全体を盛り上げて、そしてその競技の底上げを目指すためにもオリンピック・パラリンピック教育は非常に重要なことであると考えます。オリンピック・パラリンピック教育については、既に教育推進校を定め、昨年度は15校が指定を受け、本年度は公立幼稚園、小学校、中学校全体が推進校に指定されていると聞いております。メダリストやアスリートを招聘し、演技を見たり聞いたりすることは子どもたちにとってよい経験となるでしょう。

 

 そこで伺いますが、区がこれまでにオリンピック・パラリンピック教育にどのように取り組んでこられたのか、そしてどのような効用があったのか、お聞かせください。

 

 また、これまでの取り組みを踏まえて、今後のオリンピック・パラリンピック教育をどのように展開しようとしているのか、伺います。

 

 そして、教育によってスポーツ活動の機運が高まっても、区内のスポーツ施設の利用が不便であってはもったいないことです。私も施設の一利用者として実感するところでもありますし、ほかの施設利用者からの声としても、小・中学校体育館、スポーツ・コミュニティプラザ等の運動施設の備品の拡充が求められております。今後の区の運動施設のあり方についてお伺いいたします。

 

 東京オリンピック・パラリンピックによるさまざまなプラスの効果が最大限引き出されることを求め、この項の質問を終えます。

 

 最後、4番目、18歳選挙権導入結果を受けた選挙のあり方について。

 

 今回、7月に執行されました参議院選挙及び東京都知事選につきまして、選挙管理委員会委員長をはじめ、委員各位並びに選挙に従事された職員の皆様の公正かつ適正に対応されました点にまず敬意を表する次第です。

 

 既に御承知のとおり、昨年6月に公職選挙法が改正されまして、今回の参議院選挙から選挙権年齢が18歳に引き下げられました。これにより全国で240万人の18歳及び19歳の新たな有権者が生まれ、中野区においても約5,000人弱の若年層が新たに選挙権を持つことになったと伺っております。近年の選挙における投票率は低迷傾向にあり、今回の参議院選挙では新たに有権者となった若年層に対して注目が集まることとなりまして、選挙管理委員会でもこれを契機として、模擬選挙や各種啓発活動を行いながら若年層への関心を高める取り組みをさまざま行ってきたと思います。

 

 そこでお伺いいたしますが、今回、18歳、19歳が新たな選挙人となりましたが、参議院選挙において選挙管理委員会ではこれまでにどのような若年層への取り組みを行ってきましたでしょうか。

 

 今回の参議院選挙における中野の投票率は57%と、前回よりも3.5ポイント高くなったとの報告がありました。新聞報道等によりますと、今回の選挙では、高校などにおいて主権者教育を受ける機会の多かった18歳の投票率は高く、60%を超えたと伺っております。しかし、その反面、大学生や社会人が多い19歳の投票率では差が出る傾向があったと分析されております。改善の余地はあろうかと思いますが、18歳に対しては授業内での模擬投票などを行うなど主権者教育を行ってきたと思われます。7月上旬に開催されたということで、参議院選挙を投票できる高校3年生は全体の4分の1程度であり、18歳全員が、高校生で18歳のみんなが投票行動に移りづらい現状もあったかもしれませんが、60%という数字、3人に1人が投票所へ足を運ばなかったことになります。そもそも投票率はどこまで高くすべきなのか。投票率100%というのは投票を義務化しない限りほぼ無理な数字だと思われます。投票率のみでの議論するのは不毛かと思いますが、目安としては重要な数字であります。では、どこまで投票率を向上させるべきなのか。今回の18歳選挙権導入を奇貨として、授業で主権者教育を行った上で参議院選挙を18歳が60%という数字はその世代としてはアッパーな数字と見ることもできるのではないでしょうか。この数値を基準として投票率を向上させるだけではなく、下げさせないなどと選挙啓発のあり方について改めて考え直すいい機会になったのではないかと考えます。

 

 そこで伺いますが、今回の中野区における18歳及び19歳の投票率はどのような傾向があったでしょうか。また、そうした結果を踏まえ、これまでの取り組みを受けて今後はどのような啓発活動や主権者教育を展開していくのか、お伺いいたします。

 

 一方、さまざまな選挙啓発とは別に、投票しやすい環境整備を充実させていくことも大変重要であると認識しております。今回の選挙においては、駅近くの商業施設等への期日前投票所の設置とともに、期日前投票における投票時間の弾力的な設定ができるようになったことにも注目が集まりました。

 

 豊島区では、今回の参議院選挙から、JR池袋駅の西武百貨店及び東武百貨店の2カ所に期日前投票所を設置し、両百貨店が開店する午前10時から午後8時までを投票時間として実施したと聞いております。

 

 現在、中野区では、期日前投票所は区役所のほか五つの地域事務所を併設する区民活動センターで行われておりますが、とりわけ利便性の高い中野区役所の期日前投票所は大変混雑をしている様子です。期日前投票における投票者数の割合も年々高くなっている点からも、今後は中野駅周辺における期日前投票所を増設することも視野に検討を行っていく必要があるのではないでしょうか。投票所の立地や利用状況等を踏まえ、柔軟性のある投票所をさらに効果的に活用することができれば、若年層を含めた多くの有権者にも有効な投票機会を提供することができると思いますが、選挙管理委員会の御見解をお伺いいたします。

 

 共通投票所ですが、現在、投票日当日は指定された投票区の投票所での投票のみとなっているわけですが、今回の参議院選挙から駅ビルや大型商業施設にこうした共通投票所を設置することによりまして指定された投票区との投票所とは別に、区内のどこの投票区に属する選挙人も投票できるという共通投票所を各自治体の裁量によって設置することを可能としました。既に今回の参議院選挙におきましては、全国で四つの市町村がショッピングセンターなどの共通投票所を設置し、その結果は、買い物等の際に投票ができるといった利便性を高めることによって、投票率向上に一定の効果があったといった新聞情報もなされております。しかしながら、この共通投票所の設置には二重投票を防止するためのシステム改修に高額な経費がかかる点や選挙当日のシステムダウンなどの懸念もされているため、今回の参議院選挙では4自治体にとどまったと聞いております。こうした多額な経費負担を克服するためには、単に選挙単体のシステム構築にとどまらず、今後、地域において利用が見込まれるシステムとの連携、例えば、投票所は災害時の避難場所に指定される場所も多いため、中野区地域防災計画の災害復旧・復興計画で上げられ、現在、区が検討を進めている被災者支援システムと共有化を図るなど、行政全般で活用が可能なIoTを含めたシステム連携を図りながら構築することでエラーやコスト面での解消が図られるものと考えております。

 

 そこで伺います。中野区において将来的に共通投票所を設置する考えはあるのでしょうか。また、実現に向けて乗り越えるべき課題を含め、御見解をお伺いしたいと思います。

 

 以上、今後とも引き続き次世代を担う若者への積極的な選挙啓発を推進するとともに、有権者にとって利便性の高い投票環境への配慮を行っていただくようお願い申し上げ、この項及び全ての質問を終えます。御清聴ありがとうございました。

 

〔区長田中大輔登壇〕

 

○区長(田中大輔) 加藤議員の御質問にお答えいたします。

 

 中野区の国家戦略特区施策についてということです。国家戦略特区は、我が国における国際競争力の強化や国際的な活動拠点の形成に向けた規制改革の取り組みであり、これまでも東京圏国家戦略特区において、都市再生の手続迅速化や都市公園内の保育所設置など、さまざまな規制緩和が実行されているところです。日本再興戦略2016では、民間の能力が十分に発揮できる、世界で一番ビジネスのしやすい環境を整備し、経済成長につながることを目指し、国家戦略特区について、平成29年度末までの2年間を集中改革強化期間として位置付けているところです。区といたしましても、中野駅周辺における都市再生プロジェクトをはじめ、都市外交の推進や地域産業の振興など、グローバルな活動拠点の形成に向けた取り組みに当たって、国家戦略特区におけるさまざまな規制緩和策の活用や提案を行っていく考えであります。

 

 国家戦略特区における規制緩和は、民間事業者や地方自治体からの提案を募集し、事業化をしていくというものであります。内閣府がこの6月から7月にかけて行った募集では、提案件数110件で、応募団体数73団体という結果だったと聞いております。区内では、産学公金連携による中野区グローバル戦略推進協議会を発足させ、グローバル都市づくりに向けた取り組みを推進することとしており、国家戦略特区の活用もこの協議会における協議内容となっております。現時点では規制緩和にかかわる提案には至っておりませんが、さまざまな事業を進めていく上で支障となる事項を集約し、提案していけるよう、協議会における議論を活発化させていきたいと考えております。

 

 地方創生コンシェルジュの活用について。地方創生コンシェルジュには国の府省庁の職員が選任され、地方創生にかかわる自治体からの各種の相談に応じているところであります。区でも、中野区まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定に当たり相談を行い、策定方法等について助言をもらったところであります。

 

 弥生町まちづくりについてであります。代替地整備の進捗状況やURによるその代替地の運用についてということです。都営川島町アパート跡地につきましては、区が避難道路5号、6号と公園を整備し、UR都市機構については土地区画整理事業による地権者用の代替地の整備を行う予定となっております。区は、本年度、まず避難道路5号、6号について工事車両等が入れるよう仮整備を行います。これを踏まえて、URとしては来年度に権利者用の代替地の整備を区画整理の手法によってつくると、このようになっております。その後、区として5号、6号の本格整備をしていくと、こういった形になります。

 

 権利者の代替地への移転につきまして、これについては、区が進めております避難道路1号等の用地折衝の中で各権利者の御意向を伺い、UR都市機構の協力を得ながら対応し、この代替地について適切に利用していただけるよう取り組んでまいります。

 

 それから、公園整備についてであります。公園整備につきましては、ソーラー照明灯やあるいは防災備蓄倉庫等の設置を予定しております。また、先行して、この夏に東京消防庁によりまして100トンの防火水槽の設置工事を行ったところであります。

 

 それから、接道不良敷地や行きどまり道路の解消について。弥生町三丁目周辺地区内には接道不良敷地や行きどまり道路があり、木造住宅が密集している地区、そうした街区が幾つかあります。このような地区では、権利者が主体となった建物の共同化やあるいは敷地の形状を変えて通り抜け道路をつくるなど、街区単位で安全性を高める取り組みが有効であると考えております。区は、そうした対象として考えられる地区の一つで、地権者からの要望を踏まえて、UR都市機構の支援を受けながら関係権利者が主体となった建物共同化に向けた検討を始めているところであります。

 

 道路拡幅に協力をされた権利者の方の生活再建への支援についてであります。権利者の折衝の中では、御指摘のように、困難な生活再建の課題も多々あるということは承知をしております。個々のケースに応じて不燃化特区制度を積極的に活用し、また共同事業者であるUR都市機構の協力やあるいは専門家派遣の事業を使い、権利者ニーズに応えられるよう、現実的できめ細かな対応を行っていく考えであります。

 

 私からは以上です。

 

〔教育長田辺裕子登壇〕

 

○教育長(田辺裕子) 私からは、オリンピック・パラリンピック教育の取り組みとその効用についての御質問にお答えをいたします。

 

 オリンピック・パラリンピック教育は、体力の向上やスポーツに対して関心・意欲の向上に加え、多文化理解や国際社会で貢献できるグローバル人材の育成を目的に行ってございます。各学校におきましては、教科等の学習内容等とオリンピック・パラリンピックとを関連づけて取り組んでいるところです。具体的には、アスリートを講師として招聘しての技術指導や努力することの大切さを学ぶ講演会、オリンピック・パラリンピック参加国の文化や歴史についての調べ学習、外国人との交流活動などがあり、各学校の実情やニーズに応じて行ってきております。御質問にもありましたように、全校での取り組みを始めたことしが1年目でございますが、子どもたちはスポーツへの関心・意欲の向上や目標に向かって根気強く取り組む姿、外国や外国語への関心の高まりが見られるようになってきております。

 

 また、今後の展開でございますが、今後はオリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、精神、スポーツ、文化、環境の四つのテーマを組み込んだ年次計画を作成し取り組んでまいります。小中連携の視点からも各中学校区単位で特色ある教育を展開していく予定です。また、オリンピック・パラリンピック大会終了後もこれらの取り組みの成果がレガシーとなってさらに発展していくよう推進してまいります。

 

〔選挙管理委員会委員長江口済三郎登壇〕

 

○選挙管理委員会委員長(江口済三郎) 初めに、選挙管理委員会の職務に対しまして議員各位の御理解と御協力を賜りまして心から感謝申し上げます。この場をおかりしましてお礼を申し上げます。

 

 それでは、加藤議員の18歳選挙権導入結果を受けた選挙のあり方についての御質問にお答えいたします。

 

 まず最初に、若年層の投票率についてでございます。選挙管理委員会では、今回の18歳選挙権年齢の引き下げを契機としまして、四季の森公園に隣接する大学構内に懸垂幕などを掲示したほか、若年層に利用の多いフェイスブック等を活用した情報発信を行いました。また、選挙期間中は、区内の都立高等学校に赴き、明るい選挙推進委員と連携しながら3年生を対象に出前講座を行うなど、積極的な若年層への働きかけを行いました。今後とも、区内大学や高等学校等の連携を深め、若年層の意見を取り入れた選挙啓発を行うなど、実施内容をさらに充実させていきたいと考えているところでございます。

 

 次に、18歳、19歳の投票率と今後の啓発活動についての御質問にお答えします。今回の参議院選挙における中野区の18歳投票率は約65%となり、全体の投票率を大きく上回りました。その一方、19歳の投票率は約55%と全体よりもやや下回る結果となりました。こうした結果を踏まえ、選挙管理委員会では、これまで高等学校等で実施してまいりました模擬選挙や参加実践型の若年層啓発を区内中学校でも展開するなど、教育委員会とも連携しながら早い時期から進めていきたいと考えているところでございます。

 

 次に、期日前投票所の増設についての御質問にお答えします。中野区では、現在、区内各地域に六つの期日前投票所が配置されております。一定の利便性は確保されていると考えております。しかしながら、今回の制度改正により期日前投票所を弾力的に設置することが可能になったことを踏まえ、今後は他の自治体での事例や期日前投票の利用状況等を調査するなど、期日前投票のあり方について選挙管理委員会で議論していきたいと考えているところでございます。

 

 最後に、共通投票所の設置と実現に向けての課題についての御質問にお答えします。共通投票所の設置には、二重投票を防止するためのシステム整備に経費や時間がかかる点や、万一システムダウンが発生した場合のバックアップ体制をどのように構築するかなど、選挙を安全に執行する仕組みの担保が不可欠であると認識しています。このため、共通投票所を直ちに設置することは予定してございませんが、今回の選挙から試行的に導入いたしましたパソコンにより名簿対照を行う、当日投票システムについて全投票所への導入を進めるなど、将来的な共通投票所の実現に向けた環境を整えていきたいと考えているところでございます。

 

 以上で私の答弁といたします。

 

〔健康福祉部長瀬田敏幸登壇〕

 

○健康福祉部長(瀬田敏幸) 私からは、東京オリンピック・パラリンピックに向けての区の取り組みに関連いたしまして、2点の御質問にお答えをいたします。

 

 初めに、海外選手団の誘致についてでございます。誘致につきましては、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が運営するホームページ上の事前キャンプ候補地ガイドや東京都が運営する東京事前キャンプガイドへの掲載がございます。また、大会組織委員会が選手村の開村から競技終了まで設置する公式の練習施設を探していると聞いております。この場所として新体育館を活用することも誘致の手段の一つとして考えられるところでございます。東京都のオリンピック・パラリンピック準備局が各自治体による誘致等に関する情報提供や組織委員会との連携などさまざまな調整を行っておりまして、今後都と十分な連携をとりながら誘致等を実現したいと考えております。

 

 次に、運動施設の備品の充実についてでございます。スポーツの機運を高めていくためには、必要となる施設の整備やさまざまな事業の実施とともに、より多くの区民がスポーツに親しむことができるよう備品の充実も必要であると考えております。今後、利用者の声を酌み取りながら区内運動施設の備品についても充実してまいりたいと考えております。

 

〔政策室長髙橋信一登壇〕

 

○政策室長(髙橋信一) 私からは、東京オリンピック・パラリンピックに向けての区の取り組みについての東京大会に向けたボランティアの活用についてお答えいたします。オリンピックに向けたボランティアとしては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が競技運営、会場案内、輸送等の大会運営に従事する大会ボランティアとして8万人程度の募集を想定しているほか、東京都が国内外からの観光客への観光、交通案内に従事する都市ボランティアについて約1万人以上の規模を想定していると聞いているところでございます。現在、区としては、都と連携し、外国人おもてなし語学ボランティア育成講座の開催などを進めているところでございます。今後、東京大会に向けて都のボランティア募集等が具体的になることにあわせて、区としてボランティアの募集、活用について検討を進めていきたいと考えます。

 

○議長(北原ともあき) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。

 

 

平成28年06月08日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録

 

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 1 ICTを用いた新しい施策・事業評価等について

 2 マイナンバー制度について

 3 平和の森公園および新中野体育館について

 4 熊本地震を教訓とした災害対策の在り方について

 5 その他

 

○議長(北原ともあき) 最初に、加藤たくま議員。

〔加藤たくま議員登壇〕

○1番(加藤たくま) 4月に発生しました熊本地震におきまして、熊本・大分県を中心に被災された方々にお見舞い申し上げるとともに、自衛隊・消防関係者による救助活動、中野区を含めた各行政の支援・復旧活動に敬意を表します。

 まだ評価をするには時期尚早とも思いますが、各メディア調査によると、政府の対応を「評価する」という解答が5割を超え、東日本大震災などで得られた教訓が生かされているものと感じられます。熊本地震を教訓とした災害対策のあり方については、通告どおり4番で触れさせていただきます。

 アベノミクスにより、株価は4年間でおよそ2倍、有効求人倍率は1.34に増加、日本の家計金融資産は5年間で1,476兆円から1,741兆円となり、265兆円増加、そのうち85兆円がタンス預金・預貯金となり、デフレマインドがなくなれば、景気がさらによくなっていくと思われます。

 第一の矢、金融政策、第二の矢、財政政策は相当程度の成功をしておりますが、第三の矢、成長戦略は規制緩和、新たな学術研究などが伴う政策のため、その効果があらわれるまで少し時間がかかるものです。成長戦略に関しては政府に全て任せるものではなく、中野区でもできるものがあると私は思っております。そこで1番に、中野の成長戦略に資する可能性がある技術に関して質問をさせていただきます。ほかの質問は通告どおりで、その他はございません。

 それでは1番、ICTを用いた新しい施策・事業評価等について。

 中野区のICT施策の最終的なゴールは二つあると思います。一つ目は、中野区民と行政をつなぐこと、二つ目は、中野区の産業の振興です。ほとんどの人が携帯電話、スマートフォン、タブレット、パソコンのいずれかを所有しており、それら媒体を介することで中野区民と中野の行政、産業をつなぎ、過不足なく情報の送受信ができることが最終的なゴールと思われます。過不足なく情報を送受信するには、区民へ行政・産業からの情報が自動的にスマホなどに送られるプッシュ配信が不可欠です。そのためのポータルアプリが必要となってきます。

 ポータルアプリは、自分が望めばプッシュ配信以外の情報、別のアプリも得られるものであるべきです。例えば、ことしから中野ごみ分別アプリが始まります。そのポータルアプリを使いまして、そういうごみアプリができましたよというようなプッシュ配信がされたり、また、そのプッシュ配信されたごみアプリが欲しいとなれば、自分でそれをインストールする、そういう形が望ましいと思われます。

 さきの第1回定例会で私が総括質疑させていただいた、ゲリラ豪雨などの浸水予測情報などのリアル情報もプッシュ配信されることも可能だと考えております。要するに、今後の中野のICT施策推進は、中野のポータルアプリをつくり、区民にそのアプリをインストールしていただき、プッシュ配信する、これがこのICT施策のゴールになるのではなかろうかと考えております。

 Nakano Free Wi-Fiのサービス向上は、それ自体が増加とかを目的にするのではなく、あくまでICT施策の推進、そのポータルアプリをインストールしていただくきっかけづくりにすべきだと考えております。Nakano Free Wi-Fiを増加させるなどの手段の目的化をするのではなく、何のためにICT環境を整えるか、しっかりとしたビジョンを持ってやっていくべきです。とはいえ、そのインターネット環境がなければ、ICT施策も推進させていくことはかないません。そこで、Nakano Free Wi-Fiについて質問させていただきます。

 2015年10月からNakano Free Wi-Fiが開始されておりますが、利用者の推移はどのようになっているでしょうか。また、店舗にあるWi-FiをNakano Free Wi-Fi Plusというのに加入させるサービスもありますが、その加入状況についても伺います。

 また、それぞれの数が増加するように、中野区として何か対策をこれまで行ってきたかということについて、併せてお伺いいたします。

 次に、中野区の新しいICT関連の社会実験についてお伺いいたします。冒頭で挙げました中野の成長戦略の一つになるのではなかろうかと私は個人的には思っております。

 ことしの3月から、中野でICTを利活用した社会実験が行われており、この実験内容を応用することができれば、今後の中野において新しい施策や事業評価スキームの創出ができるのではないかということで、その実験の最新の知見と新たな試みについての提案を説明するとともに、それに関する質問をさせていただきます。

 中野区は「区内のICT・コンテンツ関連産業の集積・促進及びICTコンテンツを活用したICT、産業振興の促進を図る」ことを目的として、ICTCO(イクトコ)、一般社団法人中野区産業振興推進機構があります。その機構と情報サービス連携コンソーシアムが、中野区における地域経済・観光の活性化、防災計画でのデータ活用を目的として、中野北口サンモールと中野四季の都市(まち)を歩いている人の人数や流れの分析を行う動線解析の実証実験を始めました。

 この実証実験は二つありますが、一つ目のサンモールにおける実験では、歩いている人が持っているスマートフォン、ここから出ているWi-Fiなどを代表とした電波をBeaconといわれる機械で、そのセンサーで受信することで、どれだけの人数が通過したかカウントすることができます。このセンサーはサンモールに既に12カ所設置してありまして、そのセンサー付近の通過人数をカウントしています。そのセンサーから拾う電波から個人情報が流出することはないということで、安全だそうです。

 また、スマホが移動していない、つまり、そのスマートフォンを持っている人が移動していないということも確認できるため、どこの店舗に入ったかとか、そういった情報までも得られるということです。4月から行った実験結果から、朝から夕方まではサンモールを通過する客が多く、夕方以降は滞在、つまり店に入っていると思われる割合が増加することがわかってきました。センサーの設置条件によっては、店舗ごとに人数をカウントすることもできるのではなかろうかということです。

 二つ目の実験に関しましては、四季の都市の実験ですが、ビデオカメラで得られた動画とPIV解析と呼ばれる画像処理方法によりまして通過人数をはかる試みを中野区と共同研究しているということです。さまざま手法を組み合わせることで人の流れ、動線解析を行うのに非常に有効な手段が確立されようとしております。サンモールに設置されているというBeaconのセンサーは、今、1台初期投資で3,500円程度で、1カ月のランニングコストが600円程度と非常に安価なものです。人数をはかるのに非常にすばらしい技術だと思われます。

 例えば、四季の都市で開催されるイベントで、スタッフが参加人数を勘定するというのは、非常に困難なことです。そこで、この実証実験のプロジェクトメンバーに伺ったところ、サンモールの実証実験のように通過する人数を一本的なこういったものではかるのではなく、面的なものを、センサーを張ることによって人の配置や流れをはかることができる、そこの四季の都市にどれだけ人がいて、どれだけの人が動いたかということがはかれるということです。現在の実証実験のネクストステージとなる、この面的な動線解析が実現すれば、イベントの事業評価が容易になり、時間帯、天気、コンテンツの中身、あと、宣伝方法など、何がイベント人数の増減に効いてくるかが見えてくると思われます。

 そこで質問ですが、今後さまざまな形で社会実験がさらに拡充していく中で、さまざまな許可が必要になってきます。さらに実証実験を進められるように、区としてバックアップをしてはいかがでしょうか。このICTCOの技術、いろいろなすばらしい技術が出てきておりまして、中野からの成長戦略ということで、全国、世界に発信できるものと期待しております。

 また、Beaconにはプッシュ配信機能もあります。Wi-Fiでスマホなどに情報を送る機能があります。中野駅北口でNakano Free Wi-Fiでアクセスした状態でサンモールに入れば、Wi-Fi機能がオンのままでありますので、プッシュ配信することが可能です。四季の都市にBeaconを設置することで、イベント時には四季の都市にいる参加者のみにプレミアムなイベント情報をプッシュ配信するなどの楽しんだ情報などを、ポータルアプリを介してインストールしてもらうというような仕掛けを考えていくことも可能となってきます。

 そこで質問ですが、中野区のICT施策のさらなる推進のためには、Nakano Free Wi-Fi、Beacon、ポータルアプリなど、複合的、重層的なサービスが必要となっていくと思われますが、区の御見解はいかがでしょうか。

 また、Beaconのほかの利用方法として、区有施設にBeaconを設置することによって、施設の訪問者数を計測、中野の情報のプッシュ配信も可能になってきます。公共施設に利用者人数だけで評価するというものではありませんが、そういったイベントの人数などをはかるということによって、これが行われたことによってこういった人数がふえているとか、そういった分析が可能になってくるのではないかと思います。

 また、堅実なPDCAサイクルの循環に資する技術になるものではないかと考えております。中野のICT施策がさらに推進されることを期待しまして、この項目の質問を終わります。

 二つ目に、マイナンバー制度についてお伺いいたします。

 マイナンバーカードの交付が非常に遅れております。これまで遅くなっている理由としまして、地方公共団体情報システム機構、通称J-LISのシステム障害と言われておりますが、不完全なシステムのまま作業が進み、個人情報の流出リスクが高まるよりは、しっかりとしたシステム構築がなされてから作業が進んだほうがいいに違いないため、この遅れはある程度致し方ないと理解しておりますが、あまりに発行が遅れております。

 6月1日付で中野区ホームページを確認したところ、「非常に多くの方から申請をいただいており、マイナンバーカードの申請からお渡しまでに数カ月かかることが予想されています」と書いてあります。それで期間が明確になっておりません。なかの区報5月20日号の9ページには、マイナンバーカードを申請した方へという欄があり、「申請が集中しているため、申請から交付まで5~6カ月の期間がかかっております。交付通知を順次郵送するので、もうしばらくお待ちください」とありますが、これだけでは区民の心配を拭うことができないと思われます。全員が全員、半年程度遅延するかよくわかりませんが、そのぐらいのスケール感で待っていただかなければならないということを区民の方々にお伝えすべきだと考えております。

 そこでお伺いいたします。中野区のせいではないとはいえ、区民の方々が心配しておりますこのマイナンバーカードの交付の遅れにつきまして、その辺、どのような対応をなされていくかということをお教えください。

 マイナンバーカードの導入による現在のシステムのメリットとして、電子確定申告e-Taxなどの電子申請、免許証などのかわりになる公的な身分証として使えるようになる、コンビニなどで住民票、印鑑登録証などの公的な証明を受けられる程度と限定的です。しかし現在、中野区においてマイナンバーの申請者は、世代別に言うと40代が最も少なく、70代の方々が最も多いと聞いております。その理由として、マイナンバーカードの申請には免許証がわりの身分証になるということが挙げられると思います。そのために免許証を持っていない人が、今回は無料でつくれるためマイナンバーカードの申請がふえていると考えられます。まだ限定した機能でありますが、一定の利便性の向上が見られ、マイナンバー制度による効果があると思いますが、事業性も上がっていただかなければ困ります。

 そこで伺いますが、コンビニ交付の状況と、現在のマイナンバー制度ができたことで中野区としてどのようなメリットがあるかをお伺いいたします。

 現状では限られた機能ではありますが、将来的にはさまざまな機能拡張が考えられていると伺います。私が最も期待するところといたしましては、病院・診療所間でのデータ連携です。医療等分野の個人情報の適切な活用は、患者へのより安全で質の高い医療・介護の提供に不可欠です。

 日常の健康管理や災害時の対応でも、国民みずからが診療・服薬の履歴を把握するニーズが大きいです。多くの薬が処方されることによって生じる副作用、また、残る薬、残薬という問題がありますが、その解消が期待できます。

 10種類以上の薬を処方され、副作用で記憶が低下し、認知症と誤診されたり、適切に服用できず昏睡状態に陥ったりするケースなど、高齢者入院のおよそ1割が薬による有毒作用だと言われております。さらに最近の調査では、あまりに多くの薬が処方されることによって、飲み残しなどの残薬を知らずにさらに新たな薬が追加され、深刻な副作用を引き起こしている実態が明らかになっております。高齢者がどのように薬を飲んでいるかを把握しないまま、投薬が先行する医療体制の問題が指摘されている残薬は、在宅の高齢者だけで500億円に迫ると見られております。その解決のためには、なぜこの薬を飲んでいるのか、バックアップデータを把握できる仕組みが必要です。適切な薬を適切な量、処方することは、健康を向上させることに資することになります。

 また、無駄というか、過剰に処方されているかもしれない薬を減らし、社会保障費の支出を抑えることにも役立ちます。また、このようなビッグデータは最適な医療のあり方を導き出すことも可能とするわけで、大きな期待ができるところです。しかし、そのためには国からの方針が打ち出されたときに、いきなりの対応ができるように準備する必要があります。

 そこで質問ですが、今後さまざまな領域でマイナンバー制度の利活用が推進される中で、区はどのように対応するお考えがあるのか伺います。

 この項はこれで終わります。

 それでは3番、平和の森公園及び新中野体育館について。

 平和の森公園の、完成するまでの歴史的経緯をたどると、当初は体育館が求められておりました。中野区議会史 区政50周年記念によると、昭和41年6月の第2回定例会で、中野刑務所敷地等国有地解放特別委員会を設置し、刑務所敷地などの区内の国有地解放運動を行うことになりました。区内の町会連合会、PTA連合会、体育協会、婦人団体連絡協議会、青年団体協議会、労働組合協議会、商店街連合会、産業会、工業会の団体によって全区的に署名運動が展開され、昭和41年11月の第4回定例会に議員提出議案第6号「中野刑務所敷地解放に関する意見書」が上程され、原案どおり可決し、12月13日には議員全員の名前で法務大臣と大蔵大臣へ提出されました。

 この意見書の趣旨は「中野刑務所を一日も早く移転し、その跡地を公園、野球場、競技場、プール、体育館の文化体育施設に利用できるように解放してください」というものでした。その後、陳情、請願等を何度か行いますが、その要望はかなわず、昭和46年4月の区議会で、総理、法務、大蔵の各大臣に宛てて刑務所跡地を公園、運動場として活用し、緊急時の避難場所として活用したいという要望書を提出しました。

 同年11月10日、解放同盟と区議会の主催で中野刑務所移転促進区民大会を開催しました。大会後の署名運動には区民が続々と参加し、約12万人の署名が集まり、都議会への陳情と同時に提出しました。都議会の特別委員会は、全会一致で中野刑務所の敷地解放を採択し、総理、自治、大蔵、建設の各大臣へ意見書を提出し、移転促進運動は大きく前進しました。

 刑務所の解放運動が始まった昭和41年、当初の区民の悲願は、改めて言いますが、「中野刑務所を一日も早く移転し、その跡地を公園、野球場、競技場、プール、体育館の文化体育施設に利用できるように解放してください」ということです。また、昭和56年の中野刑務所跡地利用計画区民協議会の報告書によると、公園の基本計画案とその考え方において、第一に防災公園としての機能の確保、第二に家族を中心としたレクリエーションを楽しめる多目的な空間を重視すべきとしております。

 そこで伺いますが、区としても同じような、今言ったような歴史的経緯を踏まえた認識をお持ちか、お伺いいたします。議会史、区民協議会報告書のとおりであるとすれば、この50年間時が流れましたが、そして環境も変わりましたが、さきに発表された平和の森未開園部分に新中野体育館ができることにより、当時の区民がかなうものになると考えております。

 また、体育館建設予定地である未開園部分と現存の平和の森公園の敷地面積を足しますと、約6.5ヘクタール、現在中野で一番広い江古田の森公園は6ヘクタールであり、今度の体育館ができることによって、敷地面積は中野区内で一番広い公園となります。

 また、区におけます中央体育館を有することから、中野区の健康増進施策のシンボリックで、地域のみならず中野区民全員が楽しめる、にぎわいのあるスポーツ施設に生まれ変わっていかなければなりません。そして、中野区最大の公園かつ中央体育館の利用者は、地域の方々ではなく、中野区全員を対象とした中野区の中心の施設でなければいけない、そういうことです。区民全員が利用者で、解放時間帯は常に活気、にぎわいがあふれる施設のイメージを計画に盛り込んでいただきたいと考えます。現在の案では、一つひとつの施設が独立したような計画に考えられます。中野の中心施設という役割を認識し、にぎわいを創出する総合的かつ包括的なさまざまな仕組みが必要となってくると考えます。コンセプトは、人を集めてにぎわいのある公園をつくる、そういうことです。区民全員が行きたいと思える中心施設となっていかなければ公共性が担保されず、区としては不作為と言われても致し方ありません。そこで、幾つか質問させていただきます。

 一つ目、多目的広場です。多目的広場となる少年スポーツ広場に夜間照明が設置され、現在よりもグラウンドを広くする計画案となっているということですが、日中は子どもたちが使いやすいように優先権を与えるなどの配慮があってもよいかと思います。そこで伺いますが、多目的広場の今後の活用の展望を区はどのようにお考えか伺います。

 二つ目、陸上トラックですが、先日、台東区の台東リバーサイドスポーツセンターを視察したのですが、200メートルトラックで今回計画している300メートルのものよりは狭いですが、通常、陸上部が利用しているようです。そして、休日になりますと、中学校、高校の運動会が開催されることもあるということです。中野区内の中学校のグラウンドは非常に小さく、私が先日南中野中学校の運動会では150メートルトラックで、インコースを走る子どもたちは非常に大変そうで、明らかにアウトコースの学生とはフェアな条件ではないように見られました。また、校庭スペースには限りがあるため、父兄はシートなどを敷いて運動会を観戦することはできず、全員立ち見となっております。みんながシートの上に座って、ピクニック気分のような形での運動会、そういったにぎわいのあるイベントが平和の森公園のこの場所で行われることを希望します。

 そこで伺いますが、陸上トラックはどのようなコンセプトでつくられるおつもりか、区のお考えをお聞かせください。

 3点目に、ウォーキング、ジョギングコースについてですが、区のスポーツ拠点としての位置付けであれば、女性でも夜安心して走れる、そういった明るい公園づくりが必要になってくると思います。現状では、利用するなと言わんばかりの、暗がりが多い、危険を感じる園内です。物理的・雰囲気的に明るくするためには、まず、茂みを減らすことが重要です。そして、夜間照明をふやすことが重要になってくると思います。ジョギングコースにある程度の園路灯を入れていただくのはもちろんですが、多目的広場の照明を利用して、その明かりをジョギングコースにも入るようにすれば、物理的にも雰囲気的にも明るくなってくるものと考えます。

 そこで伺いますが、ジョギングコースはどのようなコンセプトでおつくりになるか、そのお考えをお聞かせください。

 最後、4点目、体育館内の施設配置・サイズ感についてお伺いします。

 体育館が完成すれば、野球場、園路、草地ひろばの利用者は、体育館の更衣室、シャワー室を使いたくなることが想定できます。しかし、現在の計画では更衣室、シャワー室は体育館の中ほどに位置しているため、泥汚れを外から持ち込みかねない状況が想定されます。区のスポーツの拠点ということになるのであれば、野外施設との関連性を高めていただければと思います。

 また、現体育館でよく言われているのは、各施設の狭さです。さまざまなイベントを拝見しますが、試合自体はもちろんできているんですが、観客が入れるようなスペースが少ないように思われます。そこで質問ですが、区としては現在の体育館と比較して、どのような点を変更していこうとしているのか、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

 かつて、警察大学校等の開発に対して反対を表明した人々が、開発が整って四季の都市で行われるイベントに参加しているように、平和の森に新たに整備される新体育館の諸施設に反対する人にも、完成後に利用され、行われるイベントに進んで参加してもらえるような、よりよい施設整備を望み、この項の質問を終わります。

 4点目、熊本地震を教訓とした災害対策のあり方について。

 熊本地震が発生した際には、東日本大震災で得られた教訓から、被災していない各自治体の初動は非常にすばらしいものがあったと聞きます。しかし、被災した自治体は人生で体験するかどうかと言う確率の自然災害に対してノウハウを持っているわけではなく、実際に起こってしまったら、幾ら訓練を積んでも対応は困難となります。それはどの自治体でも同じで、中野区においても例外ではありません。ほかの自治体より地震等災害の教訓を得て、事前に準備する以外方法はありません。東日本大震災でも非常に教訓になることはありますが、津波が発生することがない中野区においては、今回の熊本地震から得られる教訓のほうが多いと感じております。クライシス・マネジメントの観点から、想定できるものは全て事前に対応し、有事の際の負担を軽減することが重要です。まだ災害調査のさなかで、しっかりとした検証はなされておりませんが、現段階で中野区はできるのではないかという2点を挙げさせていただきます。

 一つ目が災害対策本部です。災害対応中は議会を開催することは非常に困難な状況であるため、議会棟の本会議場及び委員会室などを使用することが災害対応中はありません。議会棟は災害対策に資するスペースになるべきと考えます。この本会議場を災害対策本部として使いまして、委員会室を各所管の部屋とすれば、動線的には非常によいものがあると考えられます。7階会議室で行われている図上訓練を拝見したところ、電話・インターネット・防災無線などの情報インフラ、机・椅子・パソコン・スクリーンなどの備品が必要であり、いきなりこの部屋を災害対策本部にするというのは難しいとは思いますが、その検討の価値はあるかと思います。まずは有事の際、この部屋とか委員会室を職員が寝泊まりする場所にできるのではないかということで、そういったことを提案させていただきます。

 そこで質問ですが、区の災害対策本部が継続的に機能し続けるために、区職員の休憩場所が欠かせません。議会棟を含めて現庁舎で災害時に活用しない部分を点検し、休憩場所の確保に取り組んではいかがでしょうか。回答を求めます。

 二つ目、支援物資の運搬方法です。支援物資が倉庫に滞る事態がメディアから見受けられました。東日本大震災を受けて、各自治体に支援物資を早急に被災地に送る体制が備わっていることが確認できた今回の熊本地震でありました。しかし、支援物資を受け取る自治体側が対応し切れなく、混乱したように感じました。支援物資を送る側は練度が上がってきますが、受け取る側の練度を上げるのは非常に困難です。中野区においては、区役所、都立富士高校、都立稔ヶ丘高校を支援物資の集積所とするということですが、中野区が災害時の輸送協定で東京都トラック協会中野支部、赤帽と連携して集積所から各避難場所に配布するルールとなっていると聞いております。しかし、熊本の事例より、中野区においても職員の混乱が予想され、支援物資を各避難場所に送ることが非常に困難だと考えられます。ここで抜本的に支援物資の配布ルールを変えることで職員の負担を軽減させてはいかがでしょうか。

 また、熊本地震では、復旧・復興段階の移行に時間がかかり、混乱も生じてきているようです。被災後、速やかに復旧・復興へ移行できるよう、区は復旧・復興手続に必要なものや具体的な計画を事前に整備しておくべきだと考えます。現在、区が有事になる前にできることを検討されていることがあれば、御教示いただければと思います。

 これで全て私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 加藤議員の御質問にお答えをいたします。ICTを用いた新しい施策、事業評価等についてであります。

 Nakano Free Wi-Fiの状況についてですが、Nakano Free Wi-Fiは昨年10月からサービスを開始し、11月のアクセス数は9,247件だったのに対し、ことしの4月は2万1,718件と2.3倍に伸びてきました。

 また、民間店舗が参加するNakano Free Wi-Fi Plus、これは5月末現在で81アクセスポイントとなり、こちらも順調に伸びているというふうに思っております。利用の増加に向けて区報やホームページでの周知に加えて、アクセスポイントでの路上シートの添付、それから利用ガイドの配布など、認知度を高める工夫を行っているところであります。また、商店街に御説明をするなど、民間店舗に対する働きかけも行ってきたところであります。

 ICT実証実験、Beaconを活用した実証実験の促進についてという御質問がありました。

 Beaconと言われる無線通信機器などを活用した人流計測、人の流れの計測ですね、人流計測の実証実験は、中野駅周辺における高度な環境情報都市整備に関する共同研究、この協定に基づいて区と産業振興推進機構が共同して研究を進めているものであります。この研究には幾つかの大学の研究者の方が参加をしておられると、こういう形になっております。Beaconによって歩行者の流れや交通量を計測し、平常時のまちの状況を把握・分析することで観光イベントやあるいは非常時の対応など、さまざまな活用も考えられることから、有効な取り組みであると認識をしております。今後も実証実験の実施に当たっては、区として関係機関との調整や情報提供など、研究活動が円滑に進むよう支援を行うとともに、実証実験で得られるデータの活用や情報発信の検討など、相互に連携しながらより効果的な政策形成に資するよう、取り組みを進めてまいります。

 Nakano Free Wi-Fiの利活用についてであります。

 Nakano Free Wi-FiやBeaconなど、さまざまな情報インフラの整備・活用によって、平常時のタウン情報や非常時の災害支援情報など、適時適切に情報を発信していくことが必要であると認識をしております。スマートフォンなどの情報端末の利用者もふえており、アプリを活用した情報の収集・発信の強化も視野に入れ、具体的な事業展開ができるよう検討していきたいと考えていきたいと考えております。

 マイナンバー制度についてであります。マイナンバーカードの取得期間の周知についてであります。確かにおくれているところです。

 マイナンバーカードを取得するまでの流れは、まず、希望する区民が地方公共団体情報システム機構、いわゆるJ-LIS、このJ-LISに申請をいたしますと、J-LISからマイナンバーカードと交付通知書が区のほうに届きます。それを受けて、区のほうでは申請者に対してカード交付通知書を送付いたします。それを受けて、申請者の方が予約をしていただいて区役所に来庁してもらい、マイナンバーカードを受け取っていただくと、こういう流れになっております。このマイナンバーカードの交付が始まった本年1月から、J-LISのカード管理システムの障害の発生により、交付事務が滞っておりました。この間、申請者への交付通知書の送付数を制限せざるを得なかった、こういったような状況になっております。しかしながら、カード管理システムの障害が改善されたということでありまして、今後は交付通知書の送付数を徐々にふやしていくことができるというようになったということになっております。

 また、適宜区報やホームページでカード申請者にお知らせをするとともに、申請者からのお問い合わせについて丁寧に御説明をしていきたい、このように考えております。

 それから、マイナンバー制度のメリットに関連をして、現在のコンビニ交付の状況、また、マイナンバー制度のメリットなどについての御質問がありました。

 コンビニでの証明書交付サービスとして、住民基本台帳カードを利用して住民票の写しや印鑑登録証明書を取得した数は、平成26年度では2万5,700枚、平成27年度には2万6,200枚を超えており、交付数全体の9.4%に達している状況となっています。今後マイナンバーカードの普及により、さらにコンビニ交付が増加し、窓口での交付数が縮減されれば、3月、4月の繁忙期における窓口の混雑緩和などが図れるだろうと考えております。

 マイナンバー制度のメリットの一つとして、地方公共団体間の情報連携により、情報の転記や入力などに要している労力が大幅に削減されるとともに、申請時の添付書類の省略などによって区民の負担も軽減されるなどの効果が期待できると考えています。このマイナンバーの利活用、これが今後重要になってくることであります。マイナンバーカードを活用したサービスの将来像として、国は母子健康手帳のデジタル化や病院間でのデータ連携、救急隊員による救急時における情報確認などの例を示しているところです。

 また、マイナポータルという個人用のサイトをインターネット上に開設し、そこにプッシュ型で情報提供したり、ワンストップでの電子申請などを行うといったようなことが検討されているところです。区といたしましても、区民の利便性向上と行政の効率化を一層推進するため、国の進捗状況を適切に把握しながら、マイナンバー制度に対応した利活用を進めるシステム基盤の整備等に取り組んでまいります。

 平和の森公園及び新中野体育館についての御質問がありました。平和の森公園設置までの経緯についてであります。

 跡地を公園や野球場、競技場、体育館等に利用したいとした昭和41年の国への意見書は、刑務所解放を要望する約6万5,000の署名をもって提出されたものであり、まさに中野区民全体の要望であったことがうかがえるわけであります。この意見書の提出を契機として、刑務所敷地解放運動が活発化し、今日の平和の森公園へとつながったものであります。平和の森公園誕生の原点においては、公園や運動場等文化体育施設が23区中最も不足している状況から、当時の区民が運動施設を要望していたという事実については十分に認識をしているところであります。その後、中野刑務所の廃止、払い下げが決定し、結成された中野刑務所跡地利用計画区民協議会においても、防災公園としての機能確保、子どもの自由な遊びや大人の健康づくり、軽運動ができる多目的な空間を基本的な考えとして整備することとしたものであり、防災機能の拡充や公園機能の拡充を目指した今回の再整備計画は、この考えに沿ったものであると考えております。

 多目的広場の活用の展望について。上高田と哲学堂の両野球場は、昼間と比較して夜間の利用率が高く、大人の野球は夜間利用のニーズが高いと考えております。平和の森公園の多目的広場の整備に当たっては、現在の少年スポーツ広場の面積を拡張するとともに、大人の夜間利用のニーズを踏まえて照明設備を設置する予定であります。夜間の利用時間が拡大することで子どもの昼間の利用についても配慮しながら、地域イベントなど多目的に活用できる広場として整備をしていきたいと考えております。

 陸上トラックのコンセプトについてであります。区内には、陸上競技に取り組むことのできる環境が少なく、全天候型の300メートルトラックを整備することで中学校の部活動等が充実し、競技水準の向上を通じたスポーツ機運の高まりが期待できると考えています。平和の森公園の草地広場は、現在も遠足やラジオ体操、防災訓練など、多様な形で占用されており、トラックの整備を行うことで陸上競技に限らず施設を利用した新たなニーズも生まれてくる可能性があると思います。今後学校や地域の声を酌み取りながら、さまざまなイベントでの利用など、区民の利便性が高まる新たな活用についても検討をしていきたいと考えております。

 ジョギングコースのコンセプトについて。園路には防犯上必要な照明設備を設置し、ウォーキングやジョギングにも使いやすいコースとして整備をいたします。公園内の既存樹木は、景観の骨格となる緑は残しつつ、密度調整によって明るく快適なものとし、四季を感じられる落葉樹や草花を補植することを検討しております。

 新体育館の現体育館からの主な変更点について。新体育館は、スポーツ振興の中心となる体育館として、全区レベルの大会を円滑に行うことができる設備を備えたメインアリーナ及びサブアリーナを整備するほか、武道場やトレーニング室、会議室等についても拡充し、幅広い区民にスポーツ機会を提供する施設として整備する考えであります。

 また、公園内の体育館として、公園利用者の利便性を高めるため、屋外テラスやカフェ、売店等を設置するほか、屋外スポーツ機能との連携を図り、屋外施設の利用者にとっても利用しやすい施設として整備する考えであります。老朽化している現在の中野体育館の課題の解消や屋外スポーツ機能との円滑な連携を図っていくため、区民大会を円滑に実施できる施設の充実、更衣室やシャワー室の機能等について、今後基本設計を行っていく過程で検討してまいりたいと考えております。

 私からは以上です。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、熊本地震を教訓とした災害対策のあり方についての御質問にお答えをいたします。

 初めに、区職員の兵たん機能についての御質問でございます。

 区は、災害対策本部が継続的に機能するよう、職員用の飲料水や食料を備蓄するとともに、職員の休憩場所の確保などにつきましては、災対各部が庁舎内で調整し、対応しているところでございます。災害時の議会棟の活用につきましては、議会としての活用もあると思われますので、基本的に要請することは考えていないところでございます。

 次に、受援体制の整備についての御質問でございます。

 熊本地震の事例を踏まえ、今後区として災害時相互応援協定を結んでいる自治体や団体の円滑な受け入れを行い、被災者の救援や復旧等に活用できるよう、受援の体制を構築し、地域防災計画に反映させていきたいと考えております。

 復旧・復興手続の事前準備についてでございます。

 区は、平成16年に中野区震災復興マニュアルを整備しているところでございます。今年度、都は区市町村震災復興標準マニュアルの改定に取り組む予定であることから、この改定マニュアルと、熊本地震をはじめ、平成16年以降に経験してきた地震災害の事例を踏まえて中野区震災復興マニュアルを確認し、必要な計画の整備に取り組んでまいります。

 また、復旧・復興の手続等で区民が迷わないよう、必要な手続き等をわかりやすく案内するホームページなどの事前準備についても今後検討してまいりたいと考えております。

○議長(北原ともあき) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。

 

 

平成28年02月29日中野区議会予算特別委員会の会議録

 

 次に、加藤たくま委員、質疑をどうぞ。

 

○加藤委員 平成28年予算特別委員会におきまして、自由民主党議員団の立場から総括質疑をさせていただきます。

 

 先ほど市川委員より中野区議会の歴史を伺いまして、議員になって1年足らずの私がこの場に立てることに幸せを感じております。了承は得ていませんが、新人11名を代表しまして、先人の先輩方に感謝の意を表します。

 

 残り時間はこのようになっておりますが、5時もしくは1時間程度を目標としております。質疑項目は通告のとおりで、その他はございません。それでは、質疑を始めます。

 

 1、世界最先端水防システムの構築について。この項に関しましてはイントロが長く、質問まで時間がかかりますが、御了承ください。このタイトルは、かなり大風呂敷を広げたタイトルと思われるかもしれませんが、これからお話しさせていただく水防システムは、その地位を担うものになると思っております。

 

 平成27年9月、関東・東北豪雨による鬼怒川の大洪水は大きな爪跡を残しました。我が会派は、昨年12月、被災に遭った下妻、常総市に赴き、自然の驚異を目の当たりにしました。その大きな被害をもたらした豪雨は、線状降水帯と呼ばれ、気象レーダーの発達により、その存在は近年認識され、最近、増加傾向にあるということがわかっております。気象学会としてもこの現象の理解が不十分で、その発生メカニズムの解明には至っておりません。それは地球温暖化が一因とも考えられておりますが、歯どめがかからない温暖化が線状降水帯の発生頻度を増加させる可能性も示唆されております。線状降水帯のような豪雨が降った場合は、幾ら環七地下調節池があるからといっても、中野においても洪水から守られる保証は全くありません。

 

 平成27年第3回定例会の一般質問におきまして、私、加藤が提案させていただきました内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(通称SIP)のレジリエントな防災・減災機能の強化、サブタイトル、リアルタイムな災害情報の共有と利活用における豪雨・竜巻予測技術の研究に関してですが、その後、中野区は社会実験へ参加することとなったと聞いております。私が質問する際に、この研究が一体どういうものなのか、説明が不足していたと思いますので、改めてこの場で説明させていただきたいと思います。

 

 まず、本研究の経緯を説明させていただきます。内閣府の戦略的イノベーションは、アベノミクス3本の矢であります大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の中の成長戦略で、政府が今後我が国で重要となる事業に対して、特に力を入れて行う10のプロジェクトから成り立っております。革新的燃料技術、次世代パワーエレクトロニクス、革新的構造材料、エネルギーキャリア、次世代海洋資源調査技術、自動走行システム、インフラ維持管理・更新・マネジメント技術、レジリエントな防災・減災機能の強化、次世代農林水産業創造技術、革新的設計生産技術の10のプロジェクトです。その中の一つを担っております。そして、この中野区で行うプロジェクトは、レジリエントな防災・減災機能の強化における豪雨の研究におきましては、3・11以降、地震・風水害が多い日本において、災害を抑制させるというニーズを受けまして、政府はその災害対策に関する英知を集結して、災害と闘い、人命を守るプロジェクトが推進されております。本プロジェクトは、毎年5億円、5カ年程度の予算が組まれております。これらの成果はいずれ国外へと輸出し、社会貢献、世界貢献するものとなるでしょう。そして、その背景の中で中野区はこのゲリラ豪雨予測情報に関する社会実験に参画するということです。

 

 ここで、国のゲリラ豪雨対策の歴史を簡単に説明させていただきます。2008年7月28日に兵庫県神戸市灘区の都賀川で発生した5人が亡くなるというゲリラ豪雨による水害事故を受けて、このフリップに出しますレーダー、左のものができました。右のほうが5年前の最新技術のレーダーで、一つのメッシュが1キロサイズで、この情報が更新されるまで5分から10分かかっておりましたが、5年前、その事故を受けて開発されたXバンドMPレーダーというものは、1個の解像度が、メッシュサイズが250メートル掛ける250メートル。1分前の降雨の情報が見られるようになりました。この技術を使うことによりまして、リアルタイムな豪雨の状況がわかるようになりました。そして、その豪雨情報はホームページやスマホアプリで今、誰でも見られるようになっております。

 

 この研究から5年程度たった現在、このリアルタイムなゲリラ豪雨の情報と気象学的な予測指標をあわせることで、60分後のゲリラ豪雨の予測をすることができるようになりました。そして、この60分後までのゲリラ豪雨の情報を使って、浸水予測1時間後までのができるようになりまして、中野区内で危険な箇所がどこになるかというのが表示されるようになりました。

 

 こういったゲリラ豪雨の情報を用いた河川、下水道の氾濫モデルは世界初のものです。そして、この当該研究の担当所管である国土交通省の国土技術政策総合研究所は来年度にこの情報を一般公開する。ホームページで見られるようにするということです。大体、イメージとしましては、このように20分前の情報から現在情報、そして1時間後の浸水情報が見られるようになってきました。この情報を使うことによりまして、中野区役所職員及び区民の方々がどのように防災・減災、避難行動のためにどう利用するかを社会実験するというのがこのプロジェクトの内容になります。

 

 これによりまして、ゲリラ豪雨という言葉の定義は、小部隊による奇襲などで敵を混乱させる戦法、またはその部隊や戦闘員のことをいいますということです。つまり、いつ、どこにあらわれるかわからないというものをあらわしますが、60分後にゲリラ豪雨がどこで発生するか、どういう被害が起こるかということがわかるということによりまして、もはやゲリラではなくなるということです。つまり、ゲリラ豪雨をゲリラ豪雨ではないただの豪雨にしてしまうというすばらしいシステムです。このプロジェクトによって、中野区からゲリラ豪雨をなくします。しかし、その情報を上手に伝えなければなりません。

 

 そこで重要となってきますのが、同じく平成27年の第3回定例会で質問させていただいた大規模災害に備えたタイムライン(防災行動計画)です。タイムラインを策定することで、2012年10月末、ハリケーン・サンディがアメリカ・ニューヨーク大都市圏を襲ったときに、アメリカの関係機関が互いに協力し、総力を挙げて実行した結果、大きな減災効果を上げました。タイムラインとは、時間軸に沿った防災行動計画であり、関係機関とはあらかじめ策定し、緊急時に被害を最小にとどめる工夫をします。中野区はこのタイムラインを取り入れるという御回答をいただき、来年度は策定すると伺っております。そもそも、タイムラインは豪雨が予測できるときに役立つものであり、予測が割としやすい台風のみを対象にすることが想定されてきましたが、しかし、我が中野区では、世界初としてゲリラ豪雨の予測情報が伝えようとしているということで、ゲリラ豪雨用のタイムラインを策定する必要が生じてきております。ゲリラ豪雨情報を生かすも殺すも運用次第です。

 

 では、長らくお待たせしましたが、質問させていただきます。

 

 台風版のタイムラインとあわせて、ゲリラ豪雨版のタイムラインを策定する必要があると思いますが、どのようにお考えか、区の方針をお聞かせください。

 

○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) ゲリラ豪雨につきましては、短時間に被害が発生する可能性が高いことから、ゲリラ豪雨の予測が可能になれば、区をはじめ防災関係機関が的確に行動するため、タイムラインは効果があると考えております。今後、策定について検討していきたいと考えております。

 

○加藤委員 策定するという言質を得られたということで、次の質問をさせていただきます。

 

 このゲリラ豪雨版のタイムラインを策定する際には、世界初ということになりますので、その策定について、参考となるものが少ないと思われますが、策定に向けて押さえておくべき点について質疑させていただきます。

 

 ゲリラ豪雨情報を活用するユーザーとして、このフリップに示します、その情報を発信する国土交通省国土技術政策総合研究所と東京都中野区消防署、消防団、警察署、地下鉄管理者、道路管理者、各世帯、商店、企業を想定していますが、区はこれ以外にも活用すべきユーザーはいると考えますか。

 

○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 防災関係機関や区民、区内事業者は含まれておりますので、必要なユーザーは網羅されていると考えております。実験に参加できた場合は、その検証の中で、ほかに必要なユーザーがいるかどうか、確認していきたいと考えております。

 

○加藤委員 この青色で示したのは、ネットでいつでも見られるということなので、情報自体は誰でもいつでも見られるんですが、ゲリラ豪雨なので急に起きるということで、それが発生しているときにそのホームページを見ているとは限らないということです。なので、区としては別の方法で、ホームページではそういう情報が出ているかもしれないですけど、災害が起こっているということを知らせないといけないと思います。そのため、入手して、被害が発災しそうだという情報を、区はそのまま区民に周知するためどうすればいいとお考えか、教えてください。

 

○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 国によるゲリラ豪雨の情報につきまして、区民や事業所、防災関係機関にただ周知するだけでなく、情報に基づきまして、浸水予想地域にいる区民や事業者に対しまして、事前に避難準備や避難軽減措置の勧奨などの対策も行うことを検討する考えでございます。避難準備の周知につきましては、利用可能なあらゆる情報手段の活用を検討してまいります。

 

○加藤委員 近年は、スマートフォンアプリ開発者がさまざまな試みをしておりまして、災害情報に関しても最新情報を得られるアプリなどがたくさんあります。区としては無料でそういうツールができることは非常によいことだと思います。先ほど出しましたゲリラ豪雨の雨のデータに関しましては、その情報を国が情報公開しておりまして、アプリ開発者が勝手にアプリをつくって無料で誰でも見られるようなことになっておりますので、区としてもそういった情報を出すことによって、勝手にアプリ開発者がつくってもらえるような試みもあってもいいのかと思います。緊急性が問われる情報ですので、隠し立てすることもないと思いますので、そういった情報の出し方も一つ考えていただきたいと思います。

 

 と言っていましても、アプリ開発がすぐにできるとも限らないので、今ある技術で考えていきたいと思いますが、例えば区内の消防団が的確な水防活動を行うために、分団本部でゲリラ豪雨情報を入手できることが望ましいですが、消防団はそのゲリラ情報をどういう形で入手できますでしょうか。

 

○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 区は今年度、消防団への補助金の中でインターネット閲覧できる設備を各分団本部に整備するなどの助成を行っております。消防団はその設備で公表されている浸水被害予測など各種災害情報を入手することが可能になると考えております。

 

○加藤委員 水防活動はゲリラ豪雨に関して非常に有効と考えますので、逐次のデータを閲覧できるように整備をよろしくお願いいたします。

 

 また、この社会実験、タイムラインを検討する際の参加ユーザー、あと、今のような連絡体制について理解しました。

 

 次に考えなければいけないのは、浸水被害予測の情報を得て、それぞれのユーザーがどう行動するかだと思います。このツールを使いますと、浸水予測がなされてから実際に浸水が発生するまで、早ければ10分後、最大でも10分しかない余裕の時間が出てきますが、その短い時間でできることは限られていると思いますが、中野区としては、そのできること、またそれの優先順位を考えておく必要があると思いますが、どのようにお考えですか。

 

○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 災害対策法に定めがありますとおり、防災は地域並びに住民の生命、身体、財産を保護するために行うものでございます。したがいまして、これに基づき優先順位をつけていくべきと考えております。ゲリラ豪雨の場合につきましては、降雨から浸水に至るまで短時間になりますので、初動対応といたしまして、浸水予測区域にいる区民等に対して、浸水予測を周知し、屋内の校舎などへの避難を促す、一次避難所を開設する、施設管理者に浸水予防措置を促すことなどを検討していきたいと考えてございます。

 

○加藤委員 中野区役所の防災担当者以外のユーザーがゲリラ豪雨発災時に優先すべき行動に関しては、タイムラインで策定していくということですが、いろいろと関係各所と協議していかなければなりません。タイムラインはそのコンセンサスをとるのが非常に大変だと思うので、頑張っていただきたいと思います。

 

 タイムライン自体は日本において近年導入された考えですので、特にまたこのゲリラ豪雨というのは、これから初めて世界でつくろうというものでありますので、各主体によって研さんを積んでいかなければならないと思います。このタイムライン作成に当たっては、最初からがちがちに形式を固めたり、思い込みや思い入れが強く、改定を難しくするものじゃなく、関係者とよく協議してコンセンサスを得て、訓練、実際の発生時に伴う実践等の経験を積むことでPDCAサイクルをしっかりと循環させて、よりよいものに常にしていけるような仕組みをつくっていただきたいと思います。この業務自体は、今後の気候変動に伴う風水害に対する適応策の一つでもあり、中野区としてはすばらしい適応策を一つ得られるものだと考えております。

 

 リスクマネジメントとクライシスマネジメントという言葉がありますが、ある分野の専門家によりますと、リスクマネジメント、リスク管理はその現象が発生するまでにとるべき対策、危機管理はその現象が発生してからの対策です。食の安全管理を例にとれば、不良品が紛れ込まないようにするのがリスク管理で、不良品が市場に出回ってしまい、謝罪会見とか商品回収をするというのはクライシスマネジメント、危機管理ということになります。ゲリラ豪雨においては、この豪雨によって被災しないようにするのがリスク管理で、被害が発生してその対応をとるのが危機管理です。このゲリラ豪雨の予測技術とタイムラインの関係ということで、ソフト対策におけるリスク管理体制は完璧となります。その後とるべき施策はハード対策のみになると思いますので、よい意味でその施策の選択肢は限られてきます。専門家の一人である私もできる限り注力させていただきますので、世界最高の水防システム構築に向けて努力していきましょう。以上で本項目の質疑を終わります。

 

 またちょっと前置きが長くなってしまうんですが、2の中野区独自の民泊制度の制定について。民泊に関しては、本定例会で小林ぜんいち委員が一般質問で触れておりましたが、改めて質問させていただきます。

 

 円安、オリンピック・パラリンピックに伴う外国人観光客の増加が見込まれています。中野区も、この空前の日本観光ブーム、インバウンドに参加すべきです。そのために民泊の制度を利用して観光客の誘い込みは非常に重要で、観光客の潜在数を増加させるために有効手段だと考えられます。しかし、昨今、民泊で言われている外国人観光客による騒音、不法、悪質なごみ捨て、セキュリティ、防犯上の不安の問題が民泊制度の推進により増加するような状況は決して好ましいものではありません。現在、政府では旅館業法の簡易宿泊所の定義に関して緩和を検討しており、中野区が何も手を打たなければ、国が認める条件で民泊施設が増加することは必至であります。さらに国家戦略特区で旅館業法における用途地区等に関する規制緩和も行われようとしております。

 

 テレビで民泊の長所と短所を伺うものの、実態がよくわかりませんでしたね。私は先週、中野駅から5分以内の場所にある民泊施設に宿泊してみました。その経験談を話させていただきます。

 

 まず、民泊施設にどう宿泊するのか。民泊はマンションやオフィスビルの一室を使用していることがあって、普通のホテル、旅館とは違いまして、宿泊施設はまちなかで目にすることができません。見つけられません、基本的には。基本的にはインターネットを使用しないと、場所がわからなければ予約もできません。日本国内の民泊施設の多くは2008年より始まったエアビーアンドビーという民泊施設を検索できるポータルサイトに登録されておりますので、このサイトを利用しました。これは主に民泊を利用したい外国人ユーザーが使うサイトです。ホテルのポータルサイトと同様に、内装、外装の写真、周辺のお店の情報、設備などが記されております。おもしろいことに、ガレージとか車庫とか、剣道場みたいな物件もその対象になっておりました。ほとんど利用者がいないであろうという施設でも、その物件をあけておくよりはましだろうということで、その物件が登録されているようです。

 

 予約する際には簡易登録が必要ですが、氏名、連絡先等の入力を求められるとともに、パスポートの画像を送る必要があります。ここで普通のホテルや民泊施設の検索はポータルサイトで行われ、ポータルサイトから予約したい意思をオーナーに連絡するということです。連絡のやりとりはスマートフォンアプリで、使う際にはオーナーとはアプリとメール、ショートメールの3種類を用いることができます。オーナーとユーザーが必ず連絡がとれるような配慮がなされておりまして、パスポートの画像などとあわせてポータルサイトの設定としては、やるべき措置は行っているようには感じました。ポータルサイトは客とオーナーとのマッチングをしまして、オンライン決済をする場であり、その手数料で利益を上げます。マッチング後は、客と民泊施設のオーナーと直接のやりとりとなります。私はオーナーとやりとりをして、部屋の使用に関するマニュアルを教えていただきました。

 

 まず、民泊施設の詳細な住所――ポータルサイトで検索している段階ではおおよその場所しか示していないんですが、実際にお金を払って、もう借りる、使うという段階になりましたら、やっと詳細な住所がわかります。指定された場所は1階が飲食店、2階以上はオフィスビルとなっておりました。ルームキーが入っているダイヤル式の鍵がついた郵便ポストのあけ方、そして、その建物オートロックの解錠の暗証番号、部屋の使い方が英語のみで書いてありました。部屋は43平米で、風呂、トイレはセパレート、キッチンがついていまして、調理器材、電子レンジ、炊飯器、洗濯機など、普通に住むことができる道具がそろっております。1泊2名で7,000円程度、最大人数6名泊まっても1万2,000円程度の設定で泊まることができて、最大だったら1人2,000円で泊まることができます。場所、部屋の装備次第では、これ以下の物件は幾らでもあります。何も問題なしに非常にリラックスして宿泊することができました。ほかの都市に行った際に、私はこのサービスを使ってもいいなというふうな実感がありました。

 

 需要と供給がともに高く、このビジネスモデルは今後も拡大されていくことを肌で感じました。体験としてのメリットはさまざまなものがあり、快適さと、あと格安ということです。オーナーも空き部屋を埋めることができるので、利益を出すことができます。利用者の視点から民泊のデメリットは、オートロックの暗証番号が不特定多数に拡散するリスクがある。オーナーが近くにいる保証はないため、何かあったときの対応が可能なのか不安、マッチングはオーナーとのやりとりのみになりますが、本当に信頼できるオーナーなのか不安。これに関しては口コミでいろいろと評価もあるところで、淘汰されるのかもしれません。外国人は日本の文化風習、習慣がわからないためにトラブルが発生することもあり得ると思います。また、私自身も旅行先で多少はしゃぐこともあるので、騒音に関してはいたし方ないと考えるところもあります。しかし、結果的に民泊施設の周りが一番迷惑がかかるというのは、この民泊制度です。私が泊まったのはオフィスビルでしたが、これが閑静な住宅のど真ん中、もし自分の隣の家や共同住宅の隣の部屋だったとしたら、非常に許しがたい事態だと思います。

 

 すみません。長くなりましたが、質問させていただきます。

 

 まず、中野区内に民泊が必要な状況にあるのかを確認させていただきたいと思います。メディア等でよく出る数字だと思いますが、日本における外国人観光客の近年の推移についてお教えください。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 国内の外国人旅行客の状況でございます。官公庁が公表しております宿泊旅行者統計調査によりますと、2015年の訪日来客数は、前年比47.1%増、1,973万7,000人で、過去最高の人数となっております。これを受けて国は、当初2020年までに訪日来客数、年間2,000万人という目標を3,000万人に引き上げるとしておるところでございます。

 

○加藤委員 外国人観光客が如実に増加していることがわかりますが、それでは、都内において、例えばホテルの稼働率などでその辺の実態がわかるものがあれば教えてください。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 同じく官公庁、宿泊旅行者統計調査によりますと、都内の宿泊施設の客室稼働率でございますが、2011年の68%、これは震災の影響もあって低いんですが、2014年には81.5%と大幅に上昇しておりまして、全国平均の58.4%、これを大きく超えて高い数字となっているということでございます。

 

○加藤委員 それでは、中野区に関してその辺の、例えばサンプラザなどの状況を教えていただけますでしょうか。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 中野サンプラザのホテルから聞き取りをした情報でございますが、このサンプラザのホテルの稼働率、ここ数年8割半ばでございまして、都内の平均を超える高い稼働率となっております。なお、サンプラザにつきましては、コンサート等の興行がなされる日が稼働率が高いといったものもちょっと聞いております。

 

○加藤委員 そのうち外国人観光客の利用実態みたいのはわかりますでしょうか。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 外国人の宿泊者数ですが、年々増加しているというふうに聞いておりまして、2012年では500人程度だったのに対しまして、2015年では2,000人ということで、約4倍程度増加しているというふうに聞いてございます。

 

○加藤委員 空前の日本観光ブームということで、中野区においても起こっているということが言えるということで、そう考えると、中野区における民泊に関するものを規制しなければ、ただただそのニーズがあるということで、増加することだと思います。

 

 そこで伺いますが、現在、中野区において区が把握している民泊施設はどのぐらいありますでしょうか。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 委員も御利用なさったという住宅の空き室等の貸し室と借り手を仲介する大手事業者のサイト、この検索結果によりますと、区内で300件を超える物件の登録があったということでございます。特徴といたしましては、大半が中央線以南のエリアであること、また、物件の8割が集合住宅、2割が一戸建てであるということがわかっております。この形態につきましては、自宅の一部を貸すシェア型や、物件そのものを貸す空き物件活用型、これが混在しているという状況でございます。

 

 民泊そのものにつきましては、制度的な位置づけがあるわけではないので、実態を正確に把握するといったこと、これは非常に難しいところでございます。さまざまな情報を得て、今後も実態の把握に努めてまいりたいと考えております。

 

○加藤委員 私自身が利用しまして、需要と供給双方のニーズが高いと感じまして、この民泊施設が増加する流れは変えられないと感じます。それでも、やっぱりそれ相当のモラルを守っていくことが重要で、しかし、それは困難なことだと考えます。現に私が泊まった施設のオートロックの暗証番号は今でも覚えていまして、その番号というのは数字が潰れていたので、多分相当変わっていない部屋です。それで、多分今後も変わらないんだろうなということです。かつ私が泊まろうとしてAの部屋の鍵を借りようとして、Aの部屋のポストをあけようとしたら――あけなきゃいけなかったんですけど、何を勘違いしたか、Bの部屋のところをあけたら鍵が入っていて、その部屋の前へ行ったら、どうやらそれはオフィスだなみたいな感じで、この部屋じゃないと思ってマニュアルを見直したら、Aの部屋と間違っているというのがわかりました。つまり、僕はBの部屋にいつでも入れる状況にあると。これが今、民泊の制度が非常に危ないところの一つだと思っています。つまり、オートロックが現に住んでいる人以外が知ってしまうということが非常に危ないのではなかろうかということです。安全のためにつけたオートロックがそういうふうになってしまうと、無効化してしまうということがあり得ますので、民泊施設が今後どういうふうになるかというのは、中野区独自の民泊制度をつけてやっていかないといけないと思います。

 

 しかし、まず、いきなり制度とかいうのは難しいと思いますので、マンション、オフィス自体が自衛に努めるべきだと。中に民泊事業者がいることを……。それで、そういったところに努めるべきだと思います。マンション管理組合の管理規約の改正案をあるところから拝借しまして……(「うちのマンション」と呼ぶ者あり)いでい委員のマンションの。改正案に含まれる文言としては、専用部分を営利目的とした民泊及び滞在の用に供すること、インターネット等の広告媒体を利用し、専有部分を1カ月未満の短期で借り受ける者を募集する行為、不特定の第三者の短期賃貸借契約、マンスリーマンション、ウイークリーマンション等を繰り返す行為などを禁止するとあります。区としては、こういったマンション管理組合の了承なしに運営できないという規則に対して、何か推進やサポートすることは可能でしょうか。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 実際にマンション管理組合の管理規約で民泊を禁止する規定を設ける事例がふえているというのは聞いているところでございます。区内でもそういった事例があるということで聞いております。今後そうした自主的な動きも想定されることから、マンション管理組合、あるいは近隣住民などからそうした相談があった場合にも適切に対応していきたいというふうに思っております。

 

○加藤委員 そういった自衛もありますけど、やはり区としても何かとやっていかないといけないと思うんですが、用途地区とかで限定することは可能なのでしょうか。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 建築基準法では、ホテル、旅館が建設可能な地域を第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域に限定しているところでございます。国家戦略特区の外国人滞在施設経営事業ですね。これに基づく民泊事業の場合ですが、用途地域による制限はありませんけれども、東京圏の区域計画、これに設定する必要がある、認定を受ける必要があるということになっております。先行している大田区でございますが、既存の土地環境、住環境保全の観点から、建築基準法と同様の用途地域のみで実施をしているところでございます。中野区におきましても、その対象地域を大田区と同様の用途地域とした場合、区内の26%が対象になるところでございますが、どの用途地域を対象とするか、これについては検討してまいりたいと考えております。

 

○加藤委員 中野区もやっていく際には大田区の事例を参考にしていくことかと思いますけれども、大田区は空港の膝元ということもありまして、中野区とは全く違う状態だと思うんですが、中野区がそういった観点で独自にやっていく際にはどういったところに注視してやっていくべきか、お考えはありますでしょうか。

 

○石井都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 民泊が無秩序の状態にある状況に鑑みまして、まず第1に、利用者が安心して滞在でき、かつ近隣住民が不安を持つことがないようにすることを目的として、民泊事業の指針や行政関与のあり方を整理して、適正に運営が行われている民泊を誘導したいと考えております。その上で、民泊を利用する旅行客に中野のまちを楽しんでもらえるよう、周辺商店街や地域イベントに誘導できるような地域情報の提供など、消費拡大につながる都市観光との連携、また、民泊事業の新規参入に当たって必要となる情報の提供や、民泊の周辺関連産業における新事業創出につながる支援など、産業振興施策との連携を検討して、中野の特性を生かした民泊施策を構築していきたいと考えております。

 

○加藤委員 民泊はこれから間違いなく過熱していくということで、中野区としても何らか対策を講じていく方針だというのは今お聞かせいただきました。ここで議論しても、まだ準備ができていないという状況だと思いますので、これから言うのは全て要望だということで、幾つか言わせていただきます。

 

 利用者によって不便な民泊施設というのは、恐らくネット上で評価、口コミで淘汰されます。そういうことを見越して、中野区の法人の民泊施設の許可を与えるということで、利用者が安全な施設だと認識してもらうというのは一つの手だと。あと、そういった公認ステッカーを与えるということで、この部屋は民泊施設に使っていると認識してもらうだけでも、先ほど言った、僕が鍵をとってやってしまうような、鍵をそのままポストにロックもしないで入れているような状況というのは少しでも防げるのではないかなというふうに感じます。また、巨大会社がインターネットに載せないでも運営できるスキームを持っていたらしょうがないのですが、基本的には民泊の施設というのはインターネット上で検索できるものなので、どこにあるかわからないということはないので、一件一件そういうふうにちゃんと周辺のお住まいの人とか、働いている方々に許可をとっているのかとか、そういった指導をすることも可能かと思っております。

 

 また、先ほど言った民泊が投資型の部屋を丸ごと貸すタイプだったり、シェア型、あとホームステイ型と言われる管理人がいるタイプがあります。民泊の増加が防げないのであれば、管理人がいるホームステイ型である程度そういう方がいれば、生活環境が担保されるのではないかなということで、ホームステイ型を区として積極的に導入するなどといったことで、中野区独自の民泊制度をつくっていかれたらいいかなと思います。いつの間にか隣が騒音施設になってしまった、ごみが散乱している、そんな状況がはびこってしまったら、民泊施設周辺にお勤め、お住まいの方にとって、中野区の生活環境はどうなっているんだと、中野区自体の評価が一気に下がってしまうことだってあり得ると思います。幾らビジネスライクでインバウンドだとか言っても、民泊によって中野の治安が悪くなり、中野の価値が下がるような事態になれば元も子もない話ですので、その辺を注意しながら、増加する民泊の適切な規制をしていただくことを要望しまして、本項目の質問を終えます。

 

 三つ目の弥生町の防災まちづくりについて質問させていただきます。

 

 弥生町三丁目周辺地区では、URと共同による都営川島アパート跡地の取得や、避難道路3本を優先的に整備する計画など、事業を着実に進めているということですが、地域の方々は住居という生きていくための絶対基盤が揺らぎかねないということで、不安に感じている方々の声をよく聞きます。それは全体的な進捗状況、スケジュール感がわからないというのがその一因だと考えております。

 

 そこで伺いますが、都営川島アパート跡地を通る2本の避難道路や南台一・二丁目の広域避難場所に至る避難道路1号など、3本の避難道路について事業に先行的に着手するなどしているということですが、その進捗状況について伺います。また、特に事業が先行する川島アパート跡地を通る避難道路5号、6号の用地取得の進捗状況はいかがでしょうか。

 

○安田都市基盤部副参事(弥生町まちづくり担当) 都営川島町跡地に計画する南北の避難道路5号及び東西を通る避難道路6号につきましては、昨年度から権利者との用地折衝をはじめ、都営川島町跡地の取得とともに、跡地に隣接する権利者との用地取得が完了しており、既に建物の除却が進んでいるところです。これにより、来年度は都営川島町跡地への避難道路等の整備が可能となっている状況でございます。なお、避難道路1号につきましては、用地の買収に着手したところでございます。

 

○加藤委員 権利者の中には、この場所から引っ越したくないと思っている方も多くいらっしゃいます。こうした方々に丁寧な事業内容の説明と権利者自身の立場に立った生活再建の相談など、その辺の体制についてお伺いします。

 

○安田都市基盤部副参事(弥生町まちづくり担当) 特に川島町商店街から方南通りに抜ける避難道路1号につきましては、道路法に基づき幅員6メーターの区域決定など、丁寧に全権利者に対して説明しているところです。本事業の着手に先立ちましては、各権利者とは事業担当が数回にわたり事業の説明を行うとともに、道路用地担当とも連携協力して、用地折衝において生活再建上の相談等を含め、丁寧に対応しているところでございます。

 

○加藤委員 避難道路1号沿道には非常に多くの権利者がおり、皆さんがいつ買収されるのか、補償を受けて生活再建がちゃんとできるのか、大変不安に思っている方が多いです。道路用地買収や建物補償等は本年度都市基盤部に新設された道路用地担当が主に担っていると伺っておりますが、現在の体制としてそれが十分なのか。何か、言ったスケジュール感がちゃんとできていないような感があるという方もおります。今後、西武新宿線の都市計画道路の用地買収も予定されていますが、その辺が大丈夫なのか、お伺いしたいと思います。

 

○松原都市基盤部副参事(道路用地担当) 現在、道路用地担当では、土地の評価、補償算定、権利者折衝、契約締結といった事務を行っております。関係権利者の皆様に対しましては、弥生町まちづくり担当や西武新宿線沿線まちづくり担当などと密接に連携をとって、権利者との信頼関係を築きながら進めているところでございます。来年度以降予定されております大規模で継続的な用地買収に対しましては、用地業務に精通いたしましたまちづくり専門員のもとでのOJT、それから、用地買収の研修派遣によって体制づくりを図ってきているところでございます。今後とも引き続き一層のスキルアップと体制の強化に努めてまいりたい、このように考えております。

 

○加藤委員 道路整備事業は、一旦事業着手しましたら、公表した計画に従って適切に進める必要があります。権利者の方々は自分の将来設計や生活再建について必死に考えています。いつ買収されるかわからないまま放置されることは、地域全体にとっても不安となります。例えば、聞く話では、壊れた家具が家の中にあって、買いかえたいんだけど、新しい住宅に引っ越す可能性を考えて買いかえられないと、そんなささいなことでもフラストレーションがたまるような生活になっております。事業担当者と道路用地担当者が密接に協力し、権利者の立場や心情を十分理解した対応が必要です。そのために、さらなる体制の強化を要望いたします。

 

 続きまして、都営川島アパート跡地について、来年度からURによる代替地整備とともに、区による避難道路や公園の整備を行うと聞いております。現在、跡地の中にも一般の方が通行できる道路がありますが、工事中は通行できなくなってしまうのか、お伺いいたします。

 

○安田都市基盤部副参事(弥生町まちづくり担当) 跡地内の道路整備でございますが、平成28年度の夏ごろより避難道路5号と避難道路6号につきまして、仮整備に着手する予定でございます。年度末の交通開放を予定しております。工事期間中は一時的な制限を除き、既存の位置指定道路の通行を確保しながら、跡地内の工事を進めることとしてございます。年度末の交通開放後にUR都市機構による代替地整備を行うこととしており、それに伴い、現在、跡地を斜めに横断する位置指定の箇所ですけども、この道路を閉鎖する予定でございます。

 

 なお、これらについては、この3月中に周辺住民に対し事業説明会を行い、また、工事着手前に具体的な作業内容や行程について説明会を開催するとともに、チラシ等で周知を図ってまいります。

 

○加藤委員 川島アパート跡地には、URが権利用代替地を整備すると聞いておりますが、避難道路の整備に伴って引っ越しを余儀なくされる方々の中に、アパートにお住まいの高齢者なども多くいます。そうした方々のために共同住宅もあったらよいと思います。できれば、その共同住宅に地域の方々が災害時等に利用できるコミュニティスペースや集会所があればいいと思っております。その辺はURとともにぜひ検討していただければと思います。

 

 次に、跡地に整備される公園についてお伺いします。

 

 前回、私の一般質問におきましても、川島アパート跡地に整備する公園には、先進的な防災機能を持った公園にしてほしいと要望いたしました。首都直下型地震の発生の切迫性に鑑みると、この公園は大変貴重な施設になります。地域住民の意見を聞いて、そうした防災公園にしてほしいと考えております。しかし、公園ができても、災害時に実践的に活用できなければ意味がありません。例えば、かまどベンチが公園に整備できるとして、地域の皆さん同士で防災訓練を兼ねた炊き出しや餅つき大会など、ふだんからの地域の行事を通じて防災設備や設備器具が活用できるようにしていくことが大変重要だと考えております。弥生町地域のイベントでは、まきを使った本格的な炊き出しなどもやっておりますので、そういったことができる土壌があると考えております。そうした日常的な啓発や訓練の場として積極的に利用される公園になるよう取り組んでほしいと思いますが、どのようにお考えですか。

 

○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 地域の防災力向上のためには、ふだんの地域活動とあわせまして、防災資機材の取り扱い訓練を行うことは効果的と考えております。この公園を使って地域の行事が行われる際には、防災資機材の取り扱い訓練などもあわせて行っていくよう進めていくことを考えております。

 

○加藤委員 川島アパート跡地が、昨年中野区が東京都から買い取って、不燃化特区に関連していない住民からしてみると、ずっと空き地の状態なので、農地解放してくれといった声もあったりするような話もあるし。ずっとあいているので、そういうふうに言う方もいて、何でほったらかしなんだと言う方もいます。事業のスケジュールから、そういったことが不可能なのはわかるんですが、住民からしてみれば、中野区はずっと何にもやっていないんじゃないかというふうに思う方もいらっしゃるということなので、手間かとは思いますが、この不燃化事業特区に関連していない住民の方々、弥生町全体のまちづくりがどのように進んでいるかということを常に説明していただきたいと思います。それを最後の要望としまして、本項に関する質問を終わります。

 

 ここで全ての質問を終わります。ありがとうございました。

 

○若林委員長 以上で加藤たくま委員の質疑を終了します。