平成28年中野区議会(第3回定例会)本会議一般質問


≪一般質問議事録全文≫

2ページ目より公開している一般質問議事録は「なかの区議会WEBサイト」で公開している議事会議録より、加藤たくまの発言部分のみを引用し掲載しています。詳細はリンク先の議事録をご確認下さい。

なかの区議会会議録一覧より「平成27年09月13日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録」へのリンク

※リンク先は新規ウィンドウ、タブにて開きます。

  • 1 中野区の国家戦略特区施策について
    2 弥生町まちづくりについて
    3 東京オリンピック・パラリンピックに向けての区の取組について
    4 18歳選挙権導入結果を受けた選挙のあり方について
    5 その他

 

 

○議長(北原ともあき) 次に、加藤たくま議員。

【加藤たくま議員登壇】

○1番(加藤たくま) 平成28年第3回定例会におきまして、自由民主党議員団の立場から質問をさせていただきます。
質問に先立ちまして、さきの台風10号等によります被害に対しまして、自治体、自衛隊、消防関係者などによる救助活動に敬意をあらわすとともに、被災された方々にはお見舞い申し上げます。
これに関しまして、中野区の豪雨関連の質問を後ほど少し触れさせていただきます。
質問は通告どおりで、5、その他はございません。

それでは、1の中野区の国家戦略特区についてから質問させていただきます。
中野区に産業や人口が集まることは、国家全体で見たときは産業や人口がある自治体から中野区に移動したというだけであり、その国家的な合計値は変わらない、つまりゼロサムであります。中野区政の観点から見れば、産業・人口が集中することは財政が安定する方向へ向かうわけであり、好ましいことでありますが、出て行かれた自治体はその移動により運営が逼迫する可能性があり得ます。その自治体さえよければいいという考えはどの自治体も持っていないとは思いますが、そのような現状は限られた資源を奪う自治体間戦争をしているという見方ができます。それぞれの自治体は国内ゼロサムの状況を脱却して、おのおのの自治体で産業や人口を自己増殖していく、そういった状況が国家全体として理想であると考えます。

アベノミクスの第3の矢、成長戦略は、新たな学術研究とそれを推進する際にボトルネックとなる規制の緩和などが伴う政策で、中野区は国家戦略特区に指定されていることからさまざまな試みをすることが可能となっております。中野区独自の産業をつくり、それに携わる方が住み続けたいまちとなり、中野の地で子どもを育む、そういった環境をつくるイメージが行政として必要で、産業・人口の自己増殖になると考えます。口をあけていれば人口流入してくるような立地条件に甘えず、常に成長していく自治体づくりをしていくべきだと考えます。

自治体は、地方自治法の第1条で、国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とするとしております。また、第1条の2では、地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。そして、第1条の2の2、一部省略しますが、国は、国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動もしくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模でもしくは全国的な視点に立って行わなければならないと定めております。ちょっとややこしいということで、要するに、この自治法というのは、国は全国の状況を鑑みて、全国的に統一したルールを規定することが国に求められて、そして自治体はそのルールなどを用いて、地方自治体は地方に寄り添った施策をやらないといけないことが示されております。

私も国で働いていた経験がありまして痛感するところですが、国は憲法に定めるところの基本的人権の平等主義に則して、決して均一ではない全国の状況を全て考慮して法律をつくっていかなければなりません。そのため地域ごとにさまざまな統計・観測・推計データをつくり、地域ごとの係数をつくるなど、不平等性の是正をする努力がなされます。東日本大震災のときに日本赤十字社が募った義援金が被災者の手元に行くには被害状況を分析しなければならないため、なかなか行き届かなかったのと同じ状況です。新法ができるには、その地域地域の問題を見ないといけないため長い調査期間が必要となり、制定には非常に時間がかかります。もしくは、後に取り上げる気象業務法のように、地方自治体とは全く関係性がない法律もたくさんあります。しかし、国家戦略特区制度ではその概念を取っ払うものでありまして、自治体が求める新法をつくることが可能といっても過言ではない制度です。

平成25年に制定された国家戦略特別区域法の第1条では、この法律は、我が国を取り巻く国際経済環境の変化その他の経済社会情勢の変化に対応して、我が社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成することが重要であることに鑑み、国家戦略特別区域に関し、規制改革その他の施策を総合的、かつ集中的に推進するために必要な事項を定め、もって国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与することを目的としております。第2条におきましては、要するに、研究開発などをして国際競争力を強化しまして、居住者、来訪者、もしくは滞在者を増加させ、国際的な経済活動の拠点の形成に資する事業をやることによって、その地域のパワーをつけようという内容になっております。地方自治法の枠からこの国家戦略特区の法律というのは出られる、地方自治体を無視するというか、その枠を超えられるものであると考えております。中野区には国家戦略特区制度をフルに使っていただき、区政を前進させていただきたいと思います。

そこで質問しますが、中野区は、今後、国家戦略特別区域制度に対してどのような御見解をお持ちか、伺いたいと思います。

現在、国家戦略特区事業で推進されている事業としては、農業の1、2、3次産業を、この1から3を全部足した数字で一括で行う6次産業事業というものがあったり、ドローン利活用事業、都市計画法・エリアマネジメントに係る道路法等の特例、保育園の要件に関する事例など、いろいろなメニューが出ております。中野区においても、国家戦略特区制度を使うことで既存の規制緩和を利用することはもちろんのこと、中野区独自で規制緩和し前進できるシステム、技術がたくさんあると考えております。

例えば、以前から私が一般質問、総括質疑で取り上げさせていただいている世界最先端豪雨予測システムの社会実験ですが、そのシステムが完成し、1時間先の豪雨と氾濫の予測情報を配信することが技術的には可能になったと伺っております。しかし、その社会実験ですが、予測情報を配信するためには気象業務法がボトルネックとなります。気象業務法第17条(予報業務の許可)、気象庁以外の者が気象、地象、津波、高潮、波浪又は洪水の予報の業務を行おうとする場合は、気象庁長官の許可を受けなければならないと定めておりまして、簡単に言えば、洪水予報するためには気象予報士がいなければいけないということになります。現状のルールにのっとれば、予測しているのが区の防災担当者でないにもかかわらず、その情報を発信するという理由で中野区の防災担当者が気象予報士の資格を持たなければならないということになります。人事上、なかなかそれは無茶な話となります。豪雨予測システムの開発には気象業務法の規制緩和が必要不可欠となるということです。これが国家戦略特区制度を用いることでボトルネックの解決が図られるものと考えます。

また、ICTCOにおけるIoTを中心とした情報通信ツールの技術開発の中には電波法の規制緩和により発展が望めるものがあるということです。区役所・サンプラザ一体再開発には用途地域による制限などを変更させるような規制緩和も求められます。民泊におきましては、管理人がいないホテル型の施設を排除した良好な住環境の維持、国際交流の発展のためには独自のルールが必要になってくると思われます。中野区の今後の医療においては、病院の病床規制、国際的な医療人材、医療機器薬事戦略などの現在認定されている医療特区制度を利用するなどのニーズも考えられます。国家戦略特区制度を利用した新しい自治体にはグローバルな技術・人材が集まってくる可能性もあります。私が少し考えただけでもこれだけのアイデアが出てくるというわけで、中野区独自の産業をつくり、自治体として成長していくためにも、官民挙げて規制緩和を提案すべきと考えますが、大学、民間会社、財団、病院、NPOに提案を促し、それらを受けとめて国に上げていくための取り組みが必要と思われますが、区の体制はどのようになっているのでしょうか、伺います。

また、内閣府では、地方創生コンシェルジュという地方創生にかかわるさまざまな自治体のサービスの相談窓口をつくっておりますが、その部署と中野区では連携をとられておりますでしょうか。あわせてお伺いします。
既存の特例を利活用するとともに、中野区独自のクールなルールをつくることにより産業・人口の増加促進がなされることを期待しまして、本項の質問を終了させていただきます。

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